商標取消審判
2020-300223
シグマスター
- 審判番号
- 2020-300223
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1978-012503
- 登録番号
- 1472404
- 請求日
- 2020年03月25日
- 審決日
- 2021年08月04日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】廈門星宸科技有限公司
- 【請求人代理人】万野 秀人
- 【被請求人】シグマ電子工業 株式会社
- 【被請求人代理人】清原 義博
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 政実
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .1 -Z (Z09)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第2条第1項第1号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第1472404号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第1472404号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第1472404号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「SIGMASTAR」の欧文字及び「シグマスター」の片仮名を上下二段に書してなり、昭和53年2月28日に登録出願、第11類「電気機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同56年7月31日に設定登録、その後、平成13年10月24日に、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年4月8日であり、本件審判の登録前3年以内の期間(平成29年4月8日~令和2年4月7日)を以下、「要証期間」という。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和2年6月19日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年9月11日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品「電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 弁駁書の要旨
答弁書に添付された乙各号証のいずれからも、被請求人が、要証期間に、本件商標をその指定商品に使用していることは立証されていない。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、印刷業者「株式会社双林印刷社」が、平成23年(2011年)9月12日付けで、1,000部の「点滅サインのIC電子点滅器パンフ(3折)」を本件商標の商標権者である「シグマ電子工業株式会社」(以下、「シグマ電子工業社」又は「商標権者」という。)に納品したことを示す請求書であり、乙第2号証に添付の「SIGMASTER(R)(最後の(R)の文字は○付き。以下同じ。) 登録第1760095号」と題された商品カタログ(以下、単に「商品カタログ」という。)が、シグマ電子工業社が発行する商品カタログであることを立証しようとするものである。
しかしながら、乙第1号証からは、「点滅サインのIC電子点滅器パンフ(3折)」が乙第2号証に添付の商品カタログであることは読み取れないため、シグマ電子工業社に納品された「点滅サインのIC電子点滅器パンフ(3折)」が乙第2号証に添付の商品カタログと同一のものであるとは認められない。
このため、乙第1号証は、乙第2号証に添付の商品カタログが、シグマ電子工業社が発行する商品カタログであることを立証するための証拠とは認められない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、シグマ電子工業社が要証期間に、商品カタログを、シグマ電子工業社の顧客「三和サインワークス株式会社」(以下「三和サインワークス社」という。)に配布した事実をもって、商標権者が要証期間に本件商標をその指定商品に使用していることを立証しようとするものであるが、乙第2号証によって、商標権者が要証期間に本件商標をその指定商品に使用したとは認められない。
乙第2号証に添付の商品カタログの最終ページの下段には、シグマ電子工業社の商号等が記載されているが、当該カタログには、シグマ電子工業社の商号等を上書きして加工した形跡が見られるため、この商品カタログは、シグマ電子工業社が発行した商品カタログではない可能性があり、商標権者が、要証期間に本件商標をその指定商品に使用していることを立証するための証拠と認めることはできない。
(3)使用商標と登録商標との同一性について
本件商標は、欧文字の「SIGMASTAR」と片仮名の「シグマスター」を上下2段に表記した商標(以下「SIGMASTAR\シグマスター」という。) であるのに対して、乙第2号証の商品カタログに記載された商標は、「SIGMASTAR」又は「SIGMASTAR-F」の文字を単独で表記したものである。
すなわち、この商品カタログに記載された商標「SIGMASTAR」又は「SIGMASTAR-F」は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」とは一見して構成が異なり、外観において同視することができない。
したがって、この商品カタログに記載された商標「SIGMASTAR」又は「SIGMASTAR-F」は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」と同一の商標であると認めることはできない。
さらに、この商品カタログには、商標「SIGMASTAR」と商標「SIGMASTAR-F」とが混在している。この商品カタログの1頁の左上にのみ記載された商標「SIGMASTAR」については、同じページ内の離れた場所に「IC電子点滅器」との記載があり、2頁以降に複数記載された商標「SIGMASTAR-F」については、真横又は同じ行に「IC電子点滅器」との記載がある。
してみれば、商標「SIGMASTAR-F」については、商品「IC電子点滅器」に使用していることが明確であり、すなわち指定商品に使用されているといえるが、商標「SIGMASTAR」については、商品「IC電子点滅器」に使用されているかが明確ではなく、すなわち指定商品に使用されているかが明確ではない。商標「SIGMASTAR」が指定商品に使用されていないと考えた場合、この商品カタログにおいて指定商品に使用されている商標は「SIGMA STAR-F」となる。
商標「SIGMASTAR-F」は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」における欧文字部分の「SIGMASTAR」と字体態様が異なり、かつ、称呼も「シグマスターエフ」と異なる。
したがって、この商品カタログにおいて指定商品に使用されている商標「SIGMASTAR-F」は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」と同一の商標であると認めることはできない。
よって、この商品カタログは、商標権者が要証期間に本件商標をその指定商品に使用していることを立証するための証拠と認めることはできない。
(4)業としての使用について
商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは」と規定する。
「商標」とは、商標法第2条第1項第1号に規定するように、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」であるので、商標法第50条の登録商標の使用といい得るためには、業としての使用でなければならない。
乙第2号証の証明書は、三和サインワークス社の京都工場がシグマ電子工業社から商品カタログを2017年10月4日に受領したことを証明するものである。
しかしながら、この証明書だけでは、シグマ電子工業社が三和サインワークス社の京都工場に対して、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する目的以外で商品カタログを配布している可能性がある。
このため、この証明書は、商標権者が要証期間に本件商標をその指定商品に「使用」していることを立証するための証拠と認めることはできない。
また、「業として」とは、「一定の目的の下に反復、継続して行う行為として」と解することができ、商標法第50条の登録商標の使用といい得るためには、その使用が反復継続性を伴った行為として行われなければならない。
この証明書は、三和サインワークス社の京都工場が、シグマ電子工業社から商品カタログを2017年10月4日に受領したことを証明するだけであり、要証期間に「反復継続」して取引者との間で商品の取引がなされたとみることはできない。
したがって、この証明書は、本件商標権者が要証期間に本件商標を指定商品に「使用(業として使用)」していることを立証するための証拠と認めることはできない。
以上の理由から、乙各号証によって、商標権者が要証期間に本件商標をその指定商品に使用しているとは認められず、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、令和3年3月31日付け審尋に対する同年4月21日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、答弁書で、乙第1号証及び乙第2号証を、回答書において、乙第3号証ないし乙第6号証を提出した。
1 答弁書による主張の要旨
商標権者は、要証期間に、本件商標をその指定商品に使用している。
(1)商標権者の住所は現在、「京都府長岡京市東神足二丁目1-6-3」であるため、答弁書と同日付で提出の表示変更登録申請書において、商標権者の住所を変更する手続を行っている。
(2)乙第2号証に添付の商品カタログは、シグマ電子工業社が発行する商品カタログであり、乙第1号証から確認できるとおり、印刷業者「株式会社双林印刷社」(以下「双林印刷社」という。)により平成23年(2011年)9月12日付で1,000部印刷されたものである。
また、当該カタログの表紙上部には、本商標権に係る商標「SIGMASTAER\シグマスター」の欧文字部分と同じ文字態様で、商標「SIGMASTAR」が記載されていることが確認できる。
商品カタログの印刷日以降現在まで、シグマ電子工業社は要望のあった顧客に対して商品カタログを配布し続けており、要証期間の継続した期間も、実際に商品カタログが配布されている事実が、乙第2号証の証明書より確認できる。
乙第2号証に係る証明書では、シグマ電子工業社の顧客である三和サインワークス社の京都工場が、商品カタログを平成29年(2017年)10月4日付で受領したことが証明されている。
当該顧客が商品カタログを受領した日付は、要証期間に該当することから、本件商標はその指定商品に対して、要証期間に、使用されていたことが確認できる。
2 回答書による主張の要旨
(1)当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、令和3年3月31日付けで、合議体の暫定的見解を示し、被請求人が答弁書で提出した乙各号証によっては、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明しているとはいえない旨の審尋を送付し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
(2)回答書による主張の要旨
被請求人は、前記(1)の審尋に対し、回答書において要旨以下のように述べた。
ア 電気工学における配電用機械器具
「電気電子用語大事典」(平成4年8月25日株式会社オーム社発行)(乙3)によれば、「配電」とは「変電所から需要端までの電力輸送のこと。配電変電所から高圧配電線、変圧器、低圧配電経路を経て引込線に至る電線路を意味する。」とある。
すなわち、配電とは前掲辞典1021頁の「図ハ-4 配電網」の図のように、変電所から一般末端需要などの端末に至る経路をいう。
イ 第9類「配電用機械器具」の点滅器
「配電用機械器具」の「点滅器」は、配電経路に使用する通称開閉器のことである。具体的には、PAS開閉器が一例である。
ウ IC電子点滅器
(ア)商標権者が使用する「IC電子点滅器」とは、一般に配電後の末端使用電源、例えば家庭用「コンセント」から電源を得て使用する、「電子応用機械器具」、例えば、「照明器具」、「スポットライト」などの器具の内部の電子回路内に配設使用して照明器具を点滅する「部品」、「通称ICスイッチ」である。
すなわち、商標権者が使用する「IC電子点滅器」は、「電子応用機械器具」の「部品」に他ならない。
商標権者が使用する「IC電子点滅器」とは、家庭端末電源から電源を得て駆動する「電子応用機械器具」の内部に用いる電子部品である。
(イ)これに反し、合議体が指摘する「配電用機械器具」の部品である「点滅器」(開閉器)とは、送電線用架線金具などの送電用部品製造業者が製造し、通常流通経路を経ず、末端需要者「送電電気工事業者」あるいは関西電力などの電力会社(発電、送電関係の強電関係者)に供給されるものである。
(ウ)本件「IC電子点滅器」は電子部品製造業者が製造し、電子機器製造業者又は修理業者にB to B商品として販売され、あるいは電子機器専門小売店を介して需要者である製造業者、あるいは末端使用者に販売するものである。
(エ)前述のように「配電用機械器具」の「点滅器」は配電経路に使用する部品(通称開閉器)のことであり、一方「IC電子点滅器」とは、家庭端末電源から電源を得て駆動する「電子応用機械器具」の内部に用いる電子部品である。
(オ)「IC電子点滅器」は、「電子応用機械器具」の電子部品であるのに対し、「配電用機械器具」の部品である点滅器、開閉器とは使用用途はもちろん流通経路も全く異なる商品である。
エ 結語
審判合議体の認定は、電気工学(強電)上の配電及び配電機器用点滅器(開閉器)と、電子工学(電子機器 弱電)で使用する「IC電子点滅器」とは、使用目的はもちろん、製造、流通及び需要者の流通経路が全く異なる商品であって、学問的定義からも、取引社会の実態、商品特性からも逸脱した誤認定である。
(3)弁駁書について
ア 乙第2号証について
弁駁書において請求人は、乙第2号証に添付の商品カタログの最終ページの下段にある商標権者の商号等の記載箇所について、この箇所に商標権者の商号等を上書きして加工した形跡が見られ証拠としての信ぴょう性にかけるため、本件商標の使用を立証するための証拠と認めることはできない旨、主張している。
商品カタログ中にある上書き加工の形跡が見られる箇所には元々、乙第5号証の旧商品カタログに示すとおり、商標権者の旧本店住所「京都市南区久世中久枇町1丁目103番地」が記載されていた。
商標権者は平成29年6月13日付で本店所在地を「京都府長岡京市東神足二丁目16番3号」へと移転している(乙4)。
この移転に伴い商標権者は、乙第2号証の商品カタログに示されるように旧本店住所が記載された商品カタログに新本店住所を貼り付け、以降現在に至るまでこの商品カタログを使用している。
ゆえに乙第2号証に添付の商品カタログは本店移転の直後に作成及び配布されたものである。
なお、乙第2号証に添付の商品カタログは同号証における証明書より平成29年(2017年)10月4日付で配布(使用)されたものであり、要証期間に作成、配布された資料である。
また、商品カタログ中の品番「F42-6AV」(乙6)と「PR61型プログラム多段」については電子回路に相当するものであり、電子回路は、第9類「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに含まれるものであるから、本件商標を付した商品カタログは本件商標の使用を立証するための証拠であるといえる。
したがって、乙第2号証に添付の商品カタログは被請求人が発行したものであり、本件商標の使用を立証するための証拠である。
イ 使用商標と本件商標との同一性について
請求人は、商品カタログに記載された商標「SIGMASTAR」又は「SIGMASTAR-F」は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」と同一の商標であると認めることはできない旨、主張している。
商品カタログに記載された商標は、本件商標「SIGMASTAR\シグマスター」と完全に同一のものではない。
しかし、使用商標「SIGMASTAR」は、片仮名部分を欠くとしても、本件商標の上段欧文字部分と同一のつづりであるとともに書体を共通にするものであり、加えて、その称呼「シグマスター」も片仮名と共通にしていることから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と判断するのが相当である。
また、過去の不使用取消審判の事例を見るに、本件のように本件商標と使用商標が異なる態様であっても社会通念上同一の商標と認められたことにより、審判の請求は認められないと認定された事例が存在する。
これら不使用取消審判では、欧文字と片仮名の二段併記である登録商標に対して使用商標が欧文字(または片仮名)のみであっても、両商標は社会通念上同一の商標であることが認められている。
これら事例に照らすと、本件における本件商標と使用商標も社会通念上同一の商標と認められるべきである。
ウ 本件商標の使用を証明する新たな証拠
本件商標の使用を証明する新たな証拠として、乙第3号証ないし乙第6号証を提出する。
エ まとめ
以上より被請求人は、審尋における合議体の暫定的な認定及び請求人提出の弁駁書の内容について同意することはできない旨を回答の上、本件商標の商標権に係る商標をその指定商品に使用していることを証明した。
したがって、本件商標は、請求人の取消事由に該当せず、本件取消審判請求は却下され、本件商標の登録は維持されるべきである。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び同人が提出した乙各号証は、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、双林印刷社が、平成23年9月30日に発行した、シグマ電子工業社あての請求書であり、請求書の題目の下に「平成23年9月30日」の記載、右側に「株式会社双林印刷社」の記載、左側に「京都市南区久世中久世町1丁目103番地」の記載、「シグマ電子工業株式会社 御中」の記載、表中「納品日」の欄に「H.23/09/12」、商品名の欄に「点滅サインのIC電子点滅器パンフ(3折)」の記載、「数量」の欄に「1,000」の記載がある。
なお、当該請求書において、本件商標の使用は確認することができない。
また、当該請求書の発行日は、要証期間外である。
(2)乙第2号証について
乙第2号証の1葉目は、三和サインワークス社の京都工場の代表者が、令和2年6月9日に、シグマ電子工業社あてに作成した証明書であり、「弊社は、貴社の『SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT』と題したIC電子点滅器の商品カタログを、平成29年(2017年)10月4日(貴社出荷日)に受領したことに相違ありません。」の記載がある。
本号証の2葉目ないし8葉目は、「SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT」の題目の商品「IC電子点滅器」の商品カタログである。
当該商品カタログの1葉目に「SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT」の記載、その下に「点滅サインのIC電子点滅器」の記載、「ネオン。イルミネーション。蛍光燈のサイン点滅はIC方式が最も優れています。」の記載、「[取扱上の注意]」の項目に、「2.設置場所 通風よく雨水のかからない様、直射日光をさけて取付けて下さい。」の記載及び「3.点滅器は、取付ける前に看板等の電球の点灯試験をしてから接続して下さい。」の記載、当該商品パンフレットの6葉目の左下に「シグマ電子工業株式会社」の記載、その下に「京都府長岡京市東神足二丁目16―3」の記載がある。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、「電気電子用語大事典」(平成4年8月25日株式会社オーム社発行)の抜粋であり、当該事典の1020頁の「配電」の項目に「変電所から需要端までの電力輸送のこと。配電変電所から高圧配電線,変圧器,低圧記電線路を経て引込線に至る電線踏を意味する。」の記載がある。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、大阪法務局北出張所の登記官が、令和3年4月20日に発行したシグマ電子工業社の現在事項全部証明書であり、本号証の1葉目の「現在事項全部証明書」の標題の下に「京都府長岡市東神足二丁目16番3号」の記載、その下に「シグマ電子工業株式会社」の記載、表中「商号」の欄に「シグマ電子工業株式会社」の記載、「本店」の欄に「京都市南区久世中久世町一丁目103番地」の記載、その右横に「平成5年7月1日移転」の記載、「京都市南区久世中久世町一丁目103番地」の記載の下に「京都府長岡京市東神足二丁目16番3号」の記載、その右横に「平成29年6月13日移転」の記載、その下に「平成29年6月26日登記」の記載がある。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、「SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT」の題目の商品「IC電子点滅器」の商品カタログである。
当該商品カタログの1葉目に「SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT」の記載、その下に「点滅サインのIC電子点滅器」の記載、「ネオン。イルミネーション。蛍光燈のサイン点滅はIC方式が最も優れています。」の記載、「[取扱上の注意]」の項目に「2.設置場所 通風よく雨水のかからない様、直射日光をさけて取付けて下さい。」の記載及び「3.点滅器は、取付ける前に看板等の電球の点灯試験をしてから接続して下さい。」の記載、当該商品カタログの6葉目の左下に「製造元 シグマ電子工業株式会社」の記載、その下に「本社工場 京都市南区久世中久世町1丁目103番地」の記載がある。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人が、シグマ電子工業社が製造するIC電子点滅機(型番F42-6AV)の承認図及び説明であると主張する書面であり、本号証の左上に「電子点城器は、看板等の電球を流れ点滅に見せる装置です。」の記載、右下に「シグマ電子工業株式会社」の記載がある。
なお、この書面の作成日は明らかではなく、また、本号証に本件商標の記載はない。
3 上記2によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用者及び商品カタログについて
「SIGMASTAR(R) 登録第1760095号 PAT」の題目の商品「IC電子点滅器」の商品カタログ(乙5)は、「京都市南区久世中久世町1丁目103番地」在のシグマ電子工業社が、印刷業者である双林印刷社に1,000部依頼し、平成23年(2011年)9月30日に納品されたことが認められ、本件商標の商標登録原簿及びシグマ電子工業社の現在事項全部証明書(乙4)によれば、要証期間における商標権者の住所は、「京都市南区久世中久世町1丁目103番地」であり、一致することから、商品カタログ(乙5)は、商標権者の「シグマ電子工業社」が作成したことが認められる。
そして、商標権者であるシグマ電子工業社は、要証期間の平成29年(2017年)10月4日に、商品カタログ(乙5)の最終頁の作成者の住所の表示を「京都府長岡京市東神足二丁目16―3」に変更した商品カタログ(乙2)をシグマ電子工業社の顧客である三和サインワークス社の京都工場の代表者に送付したことが推認できる。
(2)使用商標について
商品カタログ(乙2、乙5)の1葉目に「SIGMASTAR(R)」(以下「使用商標」という。)の文字が使用されているところ、使用商標は、構成文字の最後に○付きの「R」が付されているが、これは、付記的な表示であると認められ、○付きの「R」からは、特定の称呼及び観念を生じないものである。
一方、本件商標は、「SIGMASTAR」の欧文字と「シグマスター」の片仮名を上下二段に書してなるところ、その構成中の「シグマスター」の片仮名は、「SIGMASTAR」の欧文字の読みを記載したことが明らかであることから、本件商標は、構成全体としての使用に加え、「SIGMASTAR」の欧文字又は「シグマスター」の片仮名のみの使用も容認されると判断するのが相当である。
そして、本件商標の構成中の「SIGMASTAR」の欧文字と商品カタログに記載された「SIGMASTAR(R)」の文字は、○付きの「R」の文字の有無に差異はあるものの、構成文字「SIGMASTAR」のつづりを共通にし、かつ「シグマスター」の称呼を共通にすることからすと、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。
なお、使用商標は、商品カタログにのみ使用されているものであり、商品又は商品の包装に使用商標が使用されていることは確認できない。
(3)使用商品について
商品カタログ(乙2、乙5)に掲載された商品は、「IC電子点滅器」である。
そして、商品カタログ(乙2、乙5)によると、「IC電子点滅器」は、ICで制御するネオン、イルミネーション及び蛍光燈のサイン点滅を行う商品と考えられ、被請求人も「ICスイッチ」と称すると主張している。
そうすると、当該商品は、ICで制御する開閉器(電気回路の断絶と接続をする装置。回路は開の状態で切れ、閉の状態でつながる。スイッチ。)(出展:デジタル大辞泉)に該当するものと認められ、「配電用機械器具」の範ちゅうに属する商品と判断するのが相当である。
よって、商標権者であるシグマ電子工業社の取り扱いに係る商品「IC電子点滅器」は、本件審判請求に係る指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品とは認められない。
(4)小括
以上から、本件商標の商標権者であるシグマ電子工業社は、同社が作成した商品「IC電子点滅器」の商品カタログに、本件商標と社会通念上同一の商標を使用し、当該商品カタログは、要証期間である平成29年(2017年)10月4日に、同社の顧客である三和サインワークス社の京都工場の代表者に送付したことは認められる。
しかしながら、商標権者であるシグマ電子工業社の取り扱いに係る商品「IC電子点滅器」は、本件審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品とは認められないものであり、また、他に、被請求人が提出した全証拠を総合してみても、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件審判請求に係る指定商品に、使用していることを証明するものは見いだすことができない。
4 被請求人の主張について
被請求人は、「商標権者が使用する『IC電子点滅器』とは、家庭端末電源から電源を得て駆動する『電子応用機械器具』の内部に用いる電子部品である。」旨を主張する。
しかしながら、商品「IC電子点滅器」の商品カタログ(乙2、乙5)における「[取扱上の注意]」の項目に、「2.設置場所 通風よく雨水のかからない様、直射日光をさけて取付けて下さい。」の記載及び「3.点滅器は、取付ける前に看板等の電球の点灯試験をしてから接続して下さい。」の記載があることからすると、商標権者の取り扱いに係る商品「IC電子点滅器」は、電子応用機械器具の内部に用いる電子部品には該当しない商品というのが相当である。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することができない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件請求に係る商品のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-300223