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商標取消審判

2021-300178

サンブリッジ

審判番号
2021-300178
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2010-096426
登録番号
5430798
請求日
2021年03月11日
審決日
2022年03月09日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】亀山 夏樹
  • 【被請求人】株式会社 サンブリッジコーポレーション
  • 【被請求人代理人】中村 仁
  • 【被請求人代理人】土生 真之
  • 【被請求人代理人】大塚 啓生
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 大山 健
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T132 .1 -Z (X36)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5430798号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5430798号商標の指定商品及び指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物内のスペースの貸与」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5430798号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの上段に太陽をイメージした赤色の図形と下段に茶色のやや図案化された「sunbridge」の文字を横書きした構成からなり、平成22年12月13日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物内のスペースの貸与」を含む商標登録原簿に記載の第9類、第16類、第35類、第36類、第37類、第41類及び第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年8月5日に設定登録され、その後、令和3年6月22日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年3月24日である。 また、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年3月24日ないし令和3年3月23日である(以下「要証期間」という場合がある。)。 さらに、本件商標は、平成29年10月4日受付で、株式会社サンブリッジ(以下「サンブリッジ社」という。)から、現在の商標権者である株式会社サンブリッジコーポレーション(以下「サンブリッジコーポレーション社」という場合がある。)に登録名義人の表示変更がなされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和3年5月26日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年7月9日付け(同10日差出)審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。 1 請求の要旨 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物内のスペースの貸与」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 2 弁駁書による主張の要旨 (1)「GVH入居ご案内」(乙8)について 被請求人によれば、グループ会社であるサンブリッジ社は、乙第8号証を根拠に、「GVH入居ご案内」という資料を顧客に配布及び提示していたと述べている。しかしながら、乙第8号証の配布時期について主張していない。ここで、乙第8号証の表紙には、「2018.11」と記載されているが、これが実際に配布した年月を記したものであるかは不明である。さらに、乙第8号証の表紙には、「GVH入居ご案内」という文字が表示されるものの、宛名が明示されていない。 よって、乙第8号証においては、「被請求人のグループ会社である株式会社サンブリッジが、いつ、どの顧客に対して配布及び提示していた」という事実を証明したとはいえない。 また、乙第8号証において、表紙には「GVH入居ご案内」が記載され、2ページ以降には、ビルの開閉時間、入室方法、利用設備の案内などが記載されているが、役務「建物内のスペースの貸与」にあたり極めて重要な情報である「入居場所の所在地」が記載されていない。このため、乙第8号証が、乙第3号証ないし乙第5号証のいずれの契約に対応して配布等されたかもわからない。 よって、乙第3号証ないし乙第5号証等に基づいて、被請求人のグループ会社であるサンブリッジ社は、要証期間内に、当該役務について本件商標を使用していたことは客観的に認められない。 ところで、乙第8号証は、入居者に対する利用案内についての書類とも考えられるが、入居場所の所在地や部屋の内部の写真についての記載がない。また「建物内のスペースの貸与等」を行うにあたり重要となる入居場所の所在地をはじめ、部屋の内部写真が記載されていない点は、入居者に対する利用案内として不自然であり、果たして、この書類を「利用案内」として顧客に配布及び提示したものであるかは疑問が残る。さらに、乙第8号証がオフィス内のプリンターなどで簡易的に制作できるものであるため、単に制作したものにすぎず、この書類を顧客に対し実際に配布及び提示していない可能性もある。 よって、乙第8号証は、本件商標の使用時期を証明する証拠としても不十分である以前に、本件商標の使用事実を証明する証拠としても不十分である。 また、乙第5号証においては、サンブリッジ社がKEIRETSU・JAPAN株式会社(以下「KEIRETSU・JAPAN社」という。)に対し施設利用契約を締結しているようにみえるものの、賃貸人株式会社ジェイアール東日本ビルディング(以下「ジェイアール東日本ビルディング社」という。)に対する同居承諾願(「タレンタ・ホールディングス株式会社」の件でいうところの乙第4号証。)が提出されていない。 さらに、乙第7号証によれば、KEIRETSU・JAPAN社は、サンブリッジ社との関係ではグループ会社であることが推認できるが、第三者である賃貸人による署名捺印がされた書類がなく、被請求人やそのグループ会社の署名捺印のみの書類では、乙第5号証に対応する施設利用契約が当時存在していたことを客観的に証明しているとはいえない。 ところで、乙第8号証の記載ぶりから、サンブリッジ社が「GVH入居ご案内」の配布元とも考えられるが、乙第2号証(サンブリッジ社の履歴事項全部証明書写し)によれば、目的の欄に、本件商標の指定役務に関わる事業内容が記載されていない。 よって、乙第8号証より、サンブリッジ社が、事業目的として、本件商標の指定役務を事業として行っていたことについては疑問である。 このように考えると、被請求人のグループ会社であるサンブリッジ社は、「建物内のスペースの貸与等」を反復継続的に行っていたものとはいえないし、仮に、「建物内のスペースの貸与等」を反復継続的に行っていたものとしても、要証期間内において本件商標について使用していたことは客観的に認められない。 (2)「SVH入居ご案内」(乙10)について 乙第10号証の記載ぶりから、被請求人であるサンブリッジコーポレーション社が「SVH入居ご案内」の配布元とも考えられるが、被請求人は、持ち株会社であることから、「建物内のスペースの貸与等」を事業として反復継続的に行っていたことについては疑問である。 被請求人は、乙第10号証を根拠に、「SVH入居ご案内」という資料を顧客に配布及び提示していたと述べているが、いつ配布したかという点について主張していない。ここで、乙第10号証の表紙には、「2021.2」と記載されているが、これが実際に配布した年月を記したものであるかは不明である。 さらに、乙第10号証の表紙には、「SVH入居ご案内」という文字が表示されるものの、宛名が明示されていない。 よって、乙第10号証においては、「被請求人が、いつ、どの顧客に対して配布及び提示していた」という事実を証明したとはいえない。 また、乙第10号証では、表紙においては「SVH入居ご案内」と記載され、2ページ以降には、ビルの開閉時間、入室方法、利用設備の案内などが記載されているが、入居場所の所在地が記載されていない。このため、乙第10号証が、乙第6号証及び乙第7号証の契約に対応して配布等されたかもわからない。 なお、感染症対策により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が各地でなされる中、東京都においても例外なくその措置が行われてきたことは周知の事実である。そして、その措置は、2021年1月以降も継続して行われているところ、KEIRETSU・JAPAN社は、被請求人に対しフリー席を利用する程度の規模であることを鑑みると、2021年1月以降も、在宅勤務を余儀なくされている可能性が高い。このような状況下の中、「SVH入居ご案内」という資料(乙10)が、緊急事態措置等が実施されている期間に配布されたものとは考えにくい。 よって、乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証等に基づいて、被請求人は、要証期間内に、当該役務に本件商標をついて使用していたことは客観的に認められない。 また、乙第10号証は、乙第8号証と同様に、入居者に対する利用案内についての書類とも考えられるが、入居場所の所在地や部屋の内部の写真についての記載がない。役務「建物内のスペースの貸与等」を行うにあたり極めて重要となる入居場所の所在地をはじめ、部屋の内部写真が記載されていない点は、入居者に対する利用案内として不自然であり、果たして、この書類を「利用案内」として顧客に配布及び提示したものであるかは疑問が残る。 さらに、乙第10号証がオフィス内のプリンターなどで簡易的に制作できるものであるため、単に制作したものに過ぎず、この書類を顧客に対し実際に配布及び提示していない可能性もある。 よって、乙第10号証は、本件商標の使用時期を証明する証拠としても不十分である以前に、本件商標の使用事実を証明する証拠としても不十分である。 また、乙第6号証においては、被請求人がKEIRETSU・JAPAN社に対し施設利用契約を締結しているようにみえる。しかしながら、乙第7号証「同居承認願い書」では、第三者である賃貸人東急不動産社の署名捺印がされた同居承認願(「タレンタ・ホールディングス株式会社」の件でいうところの乙第4号証)がない。 乙第7号証によれば、KEIRETSU・JAPAN社は、サンブリッジコーポレーション社との関係ではグループ会社であることが推認できるが、第三者である賃貸人による署名捺印がされた書類がなく、被請求人やそのグループ会社のみ署名捺印の書類では、施設利用契約が当時存在していたことを客観的に証明しているとはいえない。 また、乙第7号証の第2文には「掲題の件、2020年8月28日付で締結予定の建物賃貸借契約の第14条第3号の規定の但書に基づき(以下省略)」との記載がある。よって、当該書面は、2020年8月28日よりも前の書面であることがうかがえる。 しかしながら、乙第7号証の日付は、2021年2月17日となっていることから、乙第7号証における記載には矛盾がある。さらに、同居人の会社名が「KEIRETSU・JAPAN株式会社」ではなく「株式会社KEIRETSU・JAPAN」となっている。乙第7号証は、「同居承認願い書」という賃貸人東急不動産社に対して提出する重要書類であるにもかかわらず、このような矛盾や誤記の多い書類が当時本当に存在していた点について疑問が残るし、矛盾や誤記の多い書類が当時、賃貸人に対し本当に提出されたかも疑問が残る。 よって、乙第7号証と関連する乙第6号証における同居兼オフィス利用契約が存在していたかについても疑問が残る。 また、乙第6号証における同居兼オフィス利用契約が当時存在していた場合であっても、基本料金を示すものと思われる「別途料金表」が添付されていない。これまでに被請求人から提出された証拠の状況から察するに、乙第7号証の提出にあたり料金表の部分が何らかの意図によって提出されなかった可能性もある。 このように考えると、被請求人は、「建物内のスペースの貸与等」を反復継続的に行っていたものとはいえないし、仮に、「建物内のスペースの貸与等」を反復継続的に行っていたものとしても、要証期間内において本件商標をついて使用していたことは客観的に認められない。 (3)結語 上述のとおり、被請求人は、本件審判の請求日前3年以内に日本国内において本件商標を本件審判請求に係る指定役務について使用したとはいえない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は審判請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。 1 本件商標に対する審判請求の理由は、以下のとおりである。 被請求人は、本件審判請求に係る指定役務中「建物の貸与,建物内のスペースの貸与」(以下「使用役務」という場合がある。)について本件商標を使用している。以下、証拠資料を提出して説明する。 2 被請求人及びグループ会社による不動産事業について 被請求人はサンブリッジグループの持株会社であり、グループ会社であるサンブリッジ社(乙2)が、「GVH」(Global Venture Habitatの略)という名称の下、海外テクノロジーの日本エントリーを支援する事業の一環として、同社が賃借している建物内スペースの貸与を事業として行っている。 具体的には、サンブリッジ社がジェイアール東日本ビルディング社から賃借しているJR恵比寿ビルのスペースの一部をタレンタ株式会社(以下「タレンタ社」という。)に有料で使用させている。この事実を証明するため、サンブリッジ社とタレンタ社との借室に関する覚書(乙3)、ジェイアール東日本ビルディング社ヘの同居承諾願(乙4)を提出する。 なお、同承諾願はタレンタグループの持株会社であるタレンタ・ホールディングス株式会社の名義で提出しているが上記スペースの使用者はタレンタ社である。 また、サンブリッジ社は、2019年11月1日から2020年1月31日まで、上記JR恵比寿ビルのスペースの一部をKEIRETSU・JAPAN社に有料で使用させていた(乙5)。 被請求人も、「SVH」(Sunbridge Venture Habitatの略)という名称の下、ベンチャー企業支援事業の一環として、同社が賃借している建物内スペースの貸与を事業として行っている。 具体的には、現在、被請求人が東急不動産社から賃借している恵比寿ビジネスタワーのスペースの一部をKEIRETSU・JAPAN社に有料で使用させている。この事実を証明するため、被請求人とKEIRETSU・JAPAN社との借室に関する契約書(乙6)及び東急不動産社への同居承認願い書(乙7)を提出する。 3 本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用している事実 サンブリッジ社は、上記不動産事業「GVH」の営業活動において本件商標を使用している。その一例として、顧客に配布及び提示していた「GVH入居ご案内」という資料を証拠として提出する(乙8)。 なお、サンブリッジ社は、被請求人からの許諾に基づいて本件商標を使用している(乙9)。 また、被請求人も、上記不動産事業「SVH」の営業活動において本件商標を使用している。その一例として、顧客に配布及び提示している「SVH入居ご案内」という資料を証拠として提出する(乙10)。 4 まとめ 上述のとおり、提出した証拠からも明らかなように、被請求人及びそのグループ会社であるサンブリッジ社が提供する指定役務「建物の貸与,建物内のスペースの貸与」について、日本国内において継続して3年以上本件商標を使用している。 第4 審尋及び被請求人の回答 1 審尋 審判長は、令和3年10月22日付け審尋(以下「審尋」という。)において、概ね、乙第10号証の「SVH入居ご案内」について、要証期間である2021年(令和3年)2月時点で商標権者が作成したものであること、当該入居案内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されていること、及び、ビル内の座席スペースを有償で貸与することが指定役務中、第36類「建物内のスペースの貸与」の範ちゅうに含まれることは認められるとしても、その配布物の配布の事実が確認できないため、要証期間に商標権者が本件商標を使用していたと認めることはできないなど、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標を使用している事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。 2 被請求人の回答 被請求人は、令和3年11月19日付け回答書(以下「回答書」という。)において、本件商標を使用していることについて要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第11号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)審尋の見解に対し、既に提出済の証拠(乙1~乙10)について具体的に説明するとともに、さらに新たな証拠(乙11~乙19)を提出し、サンブリッジ社は商標権者と緊密な親子関係にあって、本件商標の通常使用権者であること、また、被請求人及びサンブリッジ社が本件審判請求に係る指定役務中「建物内のスペースの貸与」について本件商標を要証期間に使用している旨を説明する。 (2)商標権者(被請求人)及び通常使用権者について ア 商標権者について 被請求人は技術開発や経営等に関するコンサルティング、企業の合併・技術提携等に関する指導・仲介、ベンチャー企業育成のための施設、事業所等の運営等を事業内容とするサンブリッジグループの持株会社であり、A氏が同社の代表取締役を務めている。なお、平成22年9月30日に設立され、その後、平成24年10月1日付けで商号をサンブリッジ社より現商号へ変更している(乙11)。 イ 通常使用権者について サンブリッジ社は、市場の開拓等に関するコンサルティング等を事業内容とし、平成24年10月1日に被請求人持株会社設立に伴い、事業会社として分社独立した企業である。A氏がファウンダーであり(乙12)、同氏が平成29年3月27日ないし令和2年6月18日までは代表取締役を務め、現在も継続して取締役を務めている(乙2)。 また、2017年(平成29年)10月4日及び2018年(平成30年)3月24日時点の株主名簿より明らかなとおり、サンブリッジ社が発行する株式の100%を同社設立時には被請求人であるサンブリッジコーポレーション社が保有した。 以下に述べる本件商標の使用時点である2019年(令和元年)11月1日及び2020年(令和2年)5月25日時点においては、同社発行済株式67万株のうちサンブリッジコーポレーション社と同社代表取締役のA氏の合計保有数が過半数以上を占めるものである。これらの事実は「財務諸表等の用語、株式及び作成方法に関する規則」第8条4項第3号及び第2号ロに該当するものであり、サンブリッジ社は被請求人の子会社であることが明らかである(乙13)。 以上のとおり、被請求人及び被請求人の代表取締役であるA氏がサンブリッジ社発行済株式の過半数を保有し、さらにA氏がサンブリッジ社のファウンダーであって、同社の代表取締役・取締役を務めていることから、両社は緊密な親子関係にあり、被請求人がサンブリッジ社に対し、本件商標の使用について黙示の許諾を与えていることは明白であり、よって、サンブリッジ社は本件商標の通常使用権者であるといえる。 実際、通常使用権に関する許諾契約書が不存在である場合であっても、通常使用権者であることの立証が可能であることについては、数多の審判決(取消2018-300479号、取消2019-300528号及び取消2018-300376号)からも自明である(乙15~乙17)。 さらに、本件商標と同じ文字列及び図形から構成される商標について、平成28年10月1日より要証期間を含み、被請求人がサンブリッジ社に対し上記商標の使用を許諾する旨の契約を締結していることからも、サンブリッジコーポレーション社はサンブリッジ社に対し、本件商標についても通常使用権を許諾する意思があることは明らかである(乙9、乙14)。 (3)本件商標の使用の事実について 海外テクノロジーの日本エントリーを支援する事業の一環として、被請求人は同社が賃借している建物内スペースの貸与事業を行うものであるが、事業の経緯を辿ると、本事業は当初通常使用権者であるサンブリッジ社が「GVH」の名称の下で行っていた事業であり、2021年からは被請求人も「SVH」の名の下で当該事業を行っている。以下、各事業内容及び本件商標の使用の事実について詳細に述べる。 ア 「GVH」 「GVH」とは、上述のとおり、本件商標の通常使用権者であるサンブリッジ社が提供する、海外テクノロジーの日本エントリーを支援する事業の一環として、同社がジェイアール東日本ビルディング社から賃借しているJR恵比寿ビル内のスペースの貸与を行う事業の名称である。 (ア)2019年(令和元年)11月1日ないし2020年(令和2年)1月31日 サンブリッジ社は2019年(令和元年)11月1日付け契約にて、KEIRETSU・JAPAN社との間で「施設利用契約書」を締結し、上記JR恵比寿ビルのスペースの一部をKEIRETSU・JAPAN社に有料で使用させていた(2019年11月1日~2020年1月31日:乙5)。 乙第5号証に添付される「施設利用契約条項」のうち、第5条第1項の「(甲所定の)価格表」及び第8条第2項の「施設利用ガイド」を指し示す書類が本件商標の付された「GVH入居ご案内」(乙8)であり、当該「GVH入居ご案内」が契約締結時にサンブリッジ社より賃借人であるKEIRETSU・JAPAN社に配布されたことに間違いない。 上記に挙げる使用の事実に相違ない旨をKEIRETSU・JAPAN社代表取締役が証明したものを、提出する(乙18)。 以上のとおり、本件商標は、使用役務に関する取引書類である契約書に付され、これが本件商標の通常使用権者より頒布されているので、商標法第2条第3項第8号に該当するといえるものであり、商標法上の使用に該当するものである。 (イ)2020年(令和2年)8月1日ないし同年10月31日 サンブリッジ社は、2020年(令和2年)5月25日付契約にて、タレンタ社との間で「覚書」を締結し、上記JR恵比寿ビルのスペースの一部をタレンタ社に有料で使用させている(乙3、乙4)。 なお、覚書に示すとおり、サンブリッジ社とタレンタ社間での原契約は2003年(平成15年)11月25日付け施設利用契約及び2013年(平成25年)12月1日付け覚書であり、サンブリッジ社はタレンタ社に対し、2010年(平成22年)11月1日より継続してJR恵比寿ビルのスペースの一部を貸与するものである。 本件商標が付された「GVH入居ご案内」(乙8)は覚書締結時にサンブリッジ社より貸借人であるタレンタ社に配布されたことに間違いない。 上記に挙げる使用の事実に相違ない旨(乙第8号証を2020年(令和2年)5月25日に受領したこと)をタレンタ社代表取締役が証明したものを、提出する(乙19)。 以上のとおり、本件商標は、使用役務に関する取引書類である契約書に付され、これが本件商標の通常使用権者より頒布されているので、商標法第2条第3項第8号に該当するといえるものであり、商標法上の使用に該当するものである。 イ SVH SVHとは、上述のとおり、被請求人が海外テクノロジーの日本エントリーを支援する事業の一環として、同社が東急不動産社より貸借している恵比寿ビジネスタワー内のスペースの貸与を行う事業の名称である。 (ア)2021年(令和3年)3月1日ないし2023年(令和5年)3月31日 被請求人は2021年(令和3年)3月30日付け契約にて、KEIRETSU・JAPAN社との間で「同居兼オフィス利用契約」を締結し、上記恵比寿ビジネスタワー内のスペースの一部をKEIRETSU・JAPAN社に有料で使用させている(乙6、乙7)。 乙第6号証に添付される「施設利用契約条項」のうち、第5条第1項の「(甲所定の)価格表」及び第8条第2項の「施設利用ガイド」を指し示すものが、本件商標が付された「SVH入居ご案内」(乙10)であって、当該「SVH入居ご案内」は、施設利用開始前の2021年(令和3年)2月に被請求人より賃借人であるKEIRETSU・JAPAN社に配布されたものであることに間違いない。 上記に挙げる使用の事実(乙第10号証を2021年(令和3年)2月に受領したこと)に相違ない旨をKEIRETSU・JAPAN社代表取締役が証明したものを、提出する(乙18)。 (イ)小括 以上のとおり、本件商標は、使用役務に関する取引書類である契約書に付され、これが商標権者により頒布されているので、商標法第2条第3項第8号に該当するといえるものであり、商標法上の使用に該当するものである。 (4)まとめ 提出した証拠から明らかなように、被請求人及び通常使用権者であるサンブリッジ社により、本件審判請求に係る指定役務について、日本国内において継続して3年以上本件商標を使用している。 第5 当審の判断 1 事実認定 被請求人の主張及びその提出した証拠によれば、以下のとおりである。 (1)GVH入居ご案内(乙8)について GVH入居ご案内(以下「G案内」という。)の表紙には「株式会社サンブリッジ」、その下に「GVH入居ご案内」、その右下に「2018.11」の記載がある。 また、表紙の中央に、別掲2のとおり上段に太陽をイメージした赤色の図形と下段に茶色のやや図案化された「sunbridge」の文字(以下「使用商標」という。)が記載されている。 2ページ及び3ページには、「施設利用ガイド」の見出しの下、「1.ビル開閉時間について」、「2.セキュリティカードについて」、「3.清掃について」及び「4.来客用飲み物について」等の施設を利用する際の諸注意が記載されている。 4ページには、「ファシリティ標準価格表」の見出しの下、表には、それぞれ「項目」、「単位」、「単価(円)」について「固定1座席(シェアリング方式)」、「月・社」、「25,000」等の記載がある。 5ページには、「フリー席プランのご案内」の見出しの下、「・(GVHプラン)/フリー席利用の基本料:12,500円/月・社」、「・(Freeプラン)/フリー席利用の基本料:25,000円/月・社」等の記載がある。 (2)SVH入居ご案内(乙10)について SVH入居ご案内(以下「S案内」という。)の表紙には「株式会社サンブリッジコーポレーション」、その下に「SVH入居ご案内」、その右下に「2021.2」の記載がある。 また、表紙の中央に、使用商標が記載されている。 2ページないし4ページには、「施設利用ガイド」の見出しの下、「1,ビル開閉時間について」、「2,セキュリティカードについて」、「3,会議室について」及び「4,来客用飲み物について」等の施設を利用する際の諸注意が記載されている。 5ページには、「ファシリティ標準価格表」の見出しの下、表には、それぞれ「項目」、「単位」、「単価(円:税別)」等について「フリー座席(シェアリング方式)」、「月」、「25,000円」等の記載がある。 (3)株主名簿(乙13)について 乙第13号証は、サンブリッジ社の「株主名簿」とされるもので、2葉目は、2018年(平成30年)3月24日時点の「株主名簿」であり、項目に「株式の数」、「氏名又は名称」等があり、それぞれに「500,000株」、「株式会社サンブリッジコーポレーション」、「合計」の欄には「500,000株」の記載があり、この株主名簿について2021年(令和3年)11月5日にサンブリッジ社の代表取締役社長が証明したものである。 (4)その他の証拠について サンブリッジ社の履歴事項全部証明書(乙2)、サンブリッジコーポレーション社の履歴事項全部証明書(乙11)、サンブリッジ社とタレンタ社との間で交わされた覚書(乙3)、ジェイアール東日本ビルディング社とサンブリッジ社との間で交わされた同居承諾願(乙4)、東急不動産社とサンブリッジコーポレーション社との間で交わされた同居承諾願い書(乙7)、サンブリッジ社とKEIRETSU・JAPAN社との間で交わされた施設利用契約書(乙5)、サンブリッジコーポレーション社とKEIRETSU・JAPAN社との間で交わされた同居兼オフィス利用契約書(乙6)、サンブリッジコーポレーション社とサンブリッジ社との間で交わされた名称使用契約書(乙9、乙14)、KEIRETSU・JAPAN社の代表取締役が提出した証明書(乙18)及びタレンタ社の代表取締役が提出した証明書(乙19)である。 2 上記1からすれば、次のとおり判断できる。 (1)使用商標について G案内及びS案内(以下「入居案内」という。)には、使用商標が付されており、これは、本件商標と同様に上段に太陽をイメージした赤色の図形と下段に茶色のやや図案化された「sunbridge」の文字を横書きした構成よりなるところ、両者は、ともに同じ図形及び同じ文字を配し、ともに「サンブリッジ」の称呼を生じるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えないものである。 (2)使用役務について 入居案内には、ともに「フリー座席(シェリング方式)」、月額25,000円の記載があることからすれば、これらは、月額で建物の一部のスペースを貸与しているものとみてとれるから、これは、使用役務中の「建物内のスペースの貸与」の範ちゅうに属する役務と認めることができる。 (3)使用者について ア S案内には、商標権者の社名が記載されていることから、S案内は、商標権者が作成したものと認められる。 イ G案内には、サンブリッジ社の社名が記載され、株主名簿(乙13)によれば、G案内が作成された2018年(平成30年)11月において、サンブリッジ社の株式は、すべて商標権者であるサンブリッジコーポレーション社が所有していることからすると、サンブリッジ社は、商標権者の子会社であったことが推認できる。 そうすると、商標権者とサンブリッジ社との間には、本件商標の黙示の使用許諾があったものと推認できるから、サンブリッジ社は、本件商標の通常使用権者であると認められる。 (4)使用時期について ア G案内は、「2018.11」の記載があり、これは、2018年(平成30年)11月とみるのが自然であるから、要証期間の日付である。 しかしながら、G案内がいつ誰によって頒布されたのか明確となる証拠の提出はなく、G案内を作成した例えば印刷会社との取引書類の提出もない。 さらに、G案内で建物のスペースを貸与した際の取引書類(領収書、請求書等)の提出もないから、実際に、取引が行われた事実が客観的証拠によって証明されていない。 イ S案内は、「2021.2」の記載があり、これは、2021年(令和3年)2月とみるのが自然であるから、要証期間の日付である。 しかしながら、S案内がいつ誰によって頒布されたのか明確となる証拠の提出はなく、S案内を作成した例えば印刷会社との取引書類の提出もない。 さらに、S案内で建物のスペースを貸与した際の取引書類(領収書、請求書等)の提出もないから、実際に、取引が行われた事実が客観的証拠によって証明されていない。 (5)小括 以上のとおり、商標権者であるサンブリッジコーポレーション社又は通常使用権者と認められるサンブリッジ社が、本件審判請求に係る指定役務中の「建物のスペースの貸与」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことは認められるとしても、要証期間に作成された入居案内について、実際に顧客に入居案内を頒布した事実を証明する証拠の提出がないし、当該入居案内を作成した取引書類もなく、さらに、入居案内を用いて具体的な取引が行われた取引書類の証拠の提出もないから、実際に要証期間に取引が行われたかが不明である。 その他、被請求人は、使用役務が要証期間に取引されていることを具体的な根拠及び客観的な証拠によって何ら明らかにしていない。 したがって、商標権者及び通常使用権者は、本件商標を要証期間に使用役務について使用したことを証明したことにならない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定役務について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。 また、被請求人は、本件審判請求に係る指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の指定役務」については、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-300178

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