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商標異議申立

2024-900192

審判番号
2024-900192
法域
商標
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
商願2023-116914
登録番号
6823632
請求日
2024年09月23日
審決日
2025年05月15日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人タス・マイスター
  • 【異議申立人】亀山 夏樹
  • 【異議申立人代理人】亀山 夏樹
審判長/審判官
  • 審判長 大島 康浩
  • 審判官 真鍋 伸行
  • 審判官 大島 勉
分類
T1652.22 -Y (W0942) / T1652.25 -Y (W0942) / T1652.271-Y (W0942)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

登録第6823632号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。

結論

結 論 登録第6823632号商標の商標登録を維持する。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第6823632号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年10月20日に登録出願、第9類、第35類、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同6年7月2日に登録査定、同月12日に設定登録されたものである。 2 引用商標等 商標異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立て理由において引用する商標は、以下の(1)ないし(3)の商標である。 (1)別掲2のとおりの構成からなり、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」に使用され、周知であるとするもの(以下「引用商標1」という。)。 (2)別掲3のとおりの構成からなり、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」に使用され、周知であるとするもの(以下「引用商標2」という。)。 なお、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。 (3)別掲5のとおりの構成からなり、産業標準化法に基づく日本産業規格「コミュニケーション支援用絵記号のデザイン原則(JIS T0103)の附属書3の絵記号例「大分類 動き・様子」、「中分類 基本動作」、名称「歩く」の例に使用されているもの(以下「引用標章1」という。)。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」及び第42類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号について ア 本件商標 本件商標は、「歩行姿勢を示す人型図形と、人型図形の背後に配されたハート形図形」からなる。 人型図形は、頭部を表す頭部図形と、体部を表す体部図形との結合であり、いずれも濃い青色で示され、頭部図形は、円形状、体部図形は、左手が体の前に、右手が体の後ろ、左足が前で右足が後ろ(合議体注、「左足が後ろ右足が前」の誤記と思われる。)となっていて、全体的に、人が右向きに歩く姿を表すものであり、ハート形図形は、人型図形よりも淡い青色となっている。 そして、本件商標から特定の称呼や観念は生じ得ない。 イ 引用商標1 引用商標1は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」に使用されるアイコンであり、そのアイコンは、「黄緑色の背景色に配された白色の人型図形」と「背景左上に配された「健康」という文字列」との結合商標である(甲8、甲9)。 上記「人型図形」から特定の称呼や観念は生じ得ないが、「健康」という文字列から、「ケンコー」という称呼が生じ、「身体に悪いところがなく身体が健やかなこと」といった観念は生じ得る。 よって、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」を踏まえると、「健康」という文字列から生じる称呼や観念は、いずれも、商品の効能を直接的に表す用語であることから識別力は極めて低いと考えられるため、引用商標1の要部は、人型図形であるといえる。 引用商標1の要部である人型図形は、頭部を表す円形状の頭部図形と、体部を表す体部図形とからなる。体部図形は、左手が体の前に、右手が体の後ろ、左足が前で右足が後ろ(合議体注、「左足が後ろ右足が前」の誤記と思われる。)となっており、全体的に、人が右向きに歩く姿を表す。 また、引用商標1から特定の称呼や観念は生じ得ない。 そして、甲第10号証は、data.ai(アプリ分析ツール)の画面であり、日本のグーグルプレイにおいて、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」のアイコンとして、引用商標1が、2019年9月3日から使用されている。 この引用商標1が付された商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」において、そのプログラムの名称は、「ステップカウンター」であるが(甲8)、「ステップカウンター」は、「足取り、歩調等」を意味する単語「ステップ」と「計算機等」を意味する単語「カウンター」とからなるため、その全体から「歩数を計算する機械」といった意味合いが生じ、また、「ステップカウンター」の語は、歩数計として一般的に用いられる実情がある(甲11、甲12)。 したがって、「ステップカウンター」は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」との関係で、出所識別機能が極めて低い。このため、引用商標1が付された商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」に触れたユーザーが認識する出所識別標識は、引用商標1となる。 そして、令和6年9月21日時点での「ステップカウンター」のダウンロード数(国内)は、76.4万件であり、そのうち70.2万件の評価を得て、平均評価は、4.45(5点満点)である(甲13)。 さらに、ダウンロードのランキング(国内)は、「Heath&Fitness」ジャンルにおいて、ランキングは、2020~2023年前半までは10位近辺を位置し、一旦、4か月の間ランキングは順位を下げたものの、その後も、毎月50位を維持しており、10位程度まで伸ばしている(甲10)。 また、data.aiでは、引用商標1を、2019年12月10日より使用し、ダウンロード数は、4.1千件(国内)である(甲14)。 また、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」という性質上、ユーザは、日々の歩数を確認する必要があることから、その都度アプリを立ち上げて、引用商標1に触れている。 よって、引用商標1が付された商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」は、多くの人に長い間ダウンロードされ、かつ、ダウンロードされたユーザは、日々の利用の度に引用商標1に触れていることから、引用商標1の周知度は極めて高いといえる。 また、令和6年9月21日時点での「ステップカウンター」のダウンロード数(全世界)は、4,719万件(data.ai)と348万件(data.ai)であり、2020年から現在まで、月間ダウンロード数50万件以上を継続している(甲15)。 また、国別ダウンロード数(data.ai)も、インド(800万件以上)、ロシア(400万件以上)、アメリカ(300万件以上)、ドイツ、トルコ、イタリア、ポーランド、イギリス、フランス、スペイン、ブラジル、オランダ等において、総ダウンロード数100万件以上となっている(甲16の1)。また、国別ダウンロード数(data.ai)では、ポーランド、フランス、アメリカ、イタリア、ロシア、トルコ、インド、英国、スペイン等と、総ダウンロード数10万件以上となっている(甲16の2)。 引用国際登録商標1(別掲4)は、米国で商標登録を受けている商標であり、「黒色の背景色に配された白色の人型図形」、すなわち、引用商標1から文字列「健康」が省略され、かつ、引用商標1の背景色違いのものである(甲17)。 引用国際登録商標1は、米国で商標登録を受け(甲18)、さらに、米国の商標登録に基づき、ブラジル、エジプト、欧州共同体、フランス、インド、メキシコ、フィリピン、ポルトガル、韓国、トルコ、ウクライナ、イタリア、ベトナムにおいて、国際登録の保護を受けている(甲19~20)。 ウ 引用商標2 商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」において、そのプログラム名称「歩数計&カロリーカウンター」が知られており(甲21)、上記プログラムに使用されるアイコンである引用商標2は、「紫から青へのグラデーションがかかった背景色に配された白色の人型図形」である(甲22)。 すなわち、引用商標2は、引用商標1から文字列「健康」が省略され、かつ、引用商標1の背景色違いである。 この引用商標2が付されたプログラム名称「歩数計&カロリーカウンター」のうち、「歩数計」部分は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」等において、歩数計の意味合いを表すものである。また、「カロリーカウンター」部分は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」等において、「消費カロリーの計算機能」との意味合いの語として使用されている(甲23、甲24)。 よって、プログラム名称「歩数計&カロリーカウンター」は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」において、出所識別機能が極めて低いため、引用商標2が付された商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」に触れたユーザが認識する出所識別標識は、引用商標2となる。 さらに、引用商標2は、data.aiにて、2019年12月10日より使用されていて、ダウンロード数は、約8万件である(甲21)。 エ 本件商標と引用商標1との対比 両商標は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」について使用されている。 本件商標は、人型図形とハート形図形とからなり、また、引用商標1は、人型図形とからなる。 両商標に含まれる人型図形は、いずれも、人が右向きに歩く姿を表すものであり、頭部を表す円形状の頭部図形と左手及び右足が体の前、右手及び左足が体の後となる姿勢の体部図形とからなる。 そして、本件商標のハート形図形は、人型図形から隠れるようにレイアウトされるとともに、濃い青色で施された人型図形よりもきわめて淡い青色となっている。 一方、引用商標1の使用状況は、上述のとおり、2019年9月3日から継続使用しているばかりでなく、多くのユーザにダウンロード(総ダウンロード数:76.4万件)され、そして日々利用されているだけでなく、多くの人(70.2万件)から高い評価(5点満点中の4.45点)を得ている。 したがって、引用商標1は、国内において、極めて高い周知度を獲得している。 さらに、引用商標1は、全世界において、多くのユーザにダウンロード(総ダウンロード数:4,719万件)されているとともに、米国商標法及びマドリッドプロトコルの下、世界各国において、保護を受けている。 したがって、引用商標1は、世界各国において、極めて高い周知度を獲得している。 また、引用商標1は、国内、国外問わず、長年の間多くのユーザに高頻度で使用されており、かつ、長年の間多くのユーザから高評価を得た結果、引用商標1は、国内、国外問わず、需要者において、当該商品の周知度は極めて高い。 よって、両商標には、外観上の違いがあるものの、引用商標1の高い周知度(国内、国外問わず)を考慮すれば、本件商標に触れた需要者は、引用商標1と見間違える蓋然性が高い。 すなわち、両商標の使用状況及び周知度の違いは、外観上の違いを凌駕する程度のものといえるから、両商標は類似するといえる。 オ 本件商標と引用商標2との対比 両商標は、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」について使用されており、引用商標1は、引用商標2と共通の人型図形を有し、その他の要素は識別力が低いから、本件商標と引用商標2とは、本件商標と引用商標1と同様に、類似する。 以上より、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」及びその類似する商品等について、本件商標を使用することは、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上述のとおり、引用商標が付された、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」は、国内、国外問わず、長年の間多くのユーザに好意的に使用されており、結果として、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」及びその類似する商品等における周知度は極めて高い。 したがって、商品「スマートフォン用の歩数計プログラム」と非類似の商品等について本件商標を使用することは、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (3)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、右方向に歩いている人物の様式化された画像[グラフィックデザイン]で構成されており、産業標準化法に基づく日本産業規格「コミュニケーション支援用絵記号のデザイン原則(JIS T0103)の附属書3の絵記号例「大分類 動き・様子」、「中分類 基本動作」、名称「歩く」の例(甲25)と同一又は類似であると考えられ、このような商標の採用及び/又は使用は、上記法により禁止されている。 したがって、本件商標を使用することは、公序良俗に反するものであるから商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 なお、提出された証拠のうち甲第10号証、甲第16号証、甲第18号証及び甲第20号証は、外国語で作成されたものであり、翻訳文の提出もないから、具体的な内容を把握することができない。 (ア)引用商標1は、別掲2のとおり、黄緑色の角丸四角形の中に、白抜きで右向きの人のシルエット図形を、また、同図形左上部に角丸横長長方形内に赤地に白抜きで「健康」の文字を配した構成からなり、販売者と認められるLeap Fitness Groupが、スマートフォン用の歩数計アプリに使用しており、Google Playにおいては、遅くとも2021年4月23日には使用されたことがうかがえ(甲8)、data.aiにおいて2024年9月21日時点の日本国内でのダウンロード数は76.4万件である(甲13)。 (イ)引用商標2は、別掲3のとおり、紫から青にグラデーションした角丸四角形の中に、白抜きで右向きの人のシルエット図形を配した構成からなり、販売元である、香港所在のLeap Health Fitness Limitedが、スマートフォン用の歩数計アプリに使用しており、data.aiにおいては、初回リリース日は2017年12月14日で、2024年9月21日時点の日本国内のダウンロード数は8.13万件(甲21)であり、全世界でのダウンロード数は348万件(甲15の2)である。 (ウ)引用商標1から、左上部に角丸横長長方形内に赤地に白抜きで「健康」の文字を配した構成を除いた図形よりなる商標は、販売元である、香港所在のLeap Health Fitness Limitedが、スマートフォン用の歩数計アプリに使用しており、data.aiにおいては、初回リリース日は2019年12月10日で、2024年9月21日時点の日本国内のダウンロード数は4.1千件(甲14)である。 (エ)引用商標1の、左上部に角丸横長長方形内に赤地に白抜きで「健康」の文字の代わりに「2024」の数字を配した図形よりなる商標は、スマートフォン用の歩数計アプリに使用されており、data.aiにおいては、初回リリース日は2019年8月15日で、2024年9月21日時点の全世界でのダウンロード数は4,719万件(甲15の1)である。 (オ)引用商標1から、左上部に角丸横長長方形内に赤地に白抜きで「健康」の文字を配した構成を除き、かつ、引用商標1の背景色違いのものである引用国際登録商標1は、権利者である、カナダ所在のAstral IP Enterprise Ltd.が、国際分類第9類の商品(商品名は外国語のため具体的な内容を把握することはできない。)において、米国で商標登録を受けている商標であり、さらに、米国の商標登録に基づき、ブラジル、ドイツ、エジプト、欧州連合、スペイン、フランス、インドネシア、インド、イタリア、日本国、大韓民国、メキシコ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア連邦、トルコ、ウクライナ、ベトナムを指定国としている(甲19)。 イ 判断 上記アによれば、引用商標1は2021年4月23日から、引用商標2は2017年12月14日からスマートフォン用の歩数計プログラムに使用され、それぞれ、2024年9月21日時点の日本国内のダウンロード数が76.4万件、8.13万件であることはうかがえる。 しかしながら、上記時点(2024年9月21日)のダウンロード数は、本件商標の出願時(2023(令和5)年10月20日)及び登録査定時(2024(令和6)年7月2日)より後の日付での数値であるため、引用商標の使用開始から本件商標の登録出願時(2023(令和5)年10月20日)までの間に引用商標が広く知られるようになったことが分かる証拠とは認められない。また、このほかに引用商標が広く知られるようになったことが分かる客観的な証拠は見あたらず、そもそも、引用商標の分野における同業者の同種商品に関するアプリのダウンロードの件数について、それが分かる証拠の提出がないため、引用商標を使用した商品のダウンロードの件数の多寡を判断することができないことからも、これより直ちに周知性があるとは言い切れない。 さらに、引用商標を使用した商品の市場シェアや、引用商標に係る広告宣伝の費用、回数及び期間など、引用商標の使用事実を量的に把握することができる具体的な証拠の提出がないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標の分野に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、申立人は、上記(ウ)及び(エ)において、それぞれの商標をスマートフォン用の歩数計アプリに使用し、初回リリース日及びダウンロードの件数等から、国内において、それぞれの商標は、極めて高い周知性を獲得している旨主張し、また、上記(オ)において、引用国際登録商標1は、米国で商標登録を受けている商標であり、さらに、米国の商標登録に基づき、ブラジル等において、国際登録の保護を受けている旨主張する。 しかしながら、上記(ウ)及び(エ)の商標のダウンロード数は、本件商標の出願時(2023(令和5)年10月20日)及び登録査定時(2024(令和6)年7月2日)より後の日付での数値であるため、引用商標の使用開始から本件商標の登録出願時までの間に引用商標が広く知られるようになったことが分かる証拠とは認められない。また、このほかに、一部同一人と認められるも、異なる使用者や使用者が不明な、上記(ウ)ないし(オ)の商標が、それぞれ、その使用開始又は国際登録から本件商標の登録出願時までの間に広く知られるようになったことが分かる客観的な証拠は見あたらず、また、(ウ)及び(エ)の商標の分野における同業者の同種商品に関するアプリのダウンロードの件数について、それが分かる証拠の提出がないため、(ウ)及び(エ)の商標を使用した商品のダウンロードの件数の多寡を判断することができないことからも、これより直ちに周知性があるとは言い切れない。 さらに、(ウ)ないし(オ)の商標を使用した商品の市場シェアや、当該商標に係る広告宣伝の費用、回数及び期間など、当該商標の使用事実を量的に把握することができる具体的な証拠の提出がないから、当該商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、当該商標の分野に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 さらにまた、(ウ)ないし(オ)の証拠において使用されているアプリの商標は、引用商標1と異なることから、その主張は採用できない。 (2)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標は、別掲1のとおり、灰色の角丸四角形の枠内に、水色のハート図形(以下「ハート図形」という。)と重ねて濃い青色で右向きの人型のシルエット図形(以下「人型シルエット図形」という。)を配した構成からなるものであり、枠内のこれら図形が重なり、しかも同系色で表されていることからすれば、人型シルエット図形のみが看者の注意を強くひき、当該部分が分離して看取されるとはいい難く、ハート図形と人型シルエット図形が一体のものとして看取されるとみるのが自然である。 また、上記構成からなる本件商標は、特定の事物等を表すものとして認識されるというべき事情は見いだせないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。 イ 引用商標1は、別掲2のとおり、黄緑色の角丸四角形の中に、白抜きで右向きの人のシルエット図形を、また、同図形左上部に角丸横長長方形内に赤地に白抜きで「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。」(「広辞苑第七版」岩波書店)の意味を有する「健康」の文字を配した、文字と図形が一体となった構成からなり、引用商標2は、別掲3のとおり、紫から青にグラデーションした角丸四角形の中に、白抜きで右向きの人のシルエット図形を配した構成からなる。 そうすると、引用商標1は、「健康」の文字から「ケンコウ」の称呼が生じ、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。」の観念が生じ、図形部分は、特定の意味合いをもって親しまれているものではないから、特定の称呼及び観念は生じない。また、引用商標2は、特定の意味合いをもって親しまれているものではないから、特定の称呼及び観念は生じない。 ウ 上記ア及びイのとおりの構成からなる本件商標と引用商標とを比較してみれば、両者は右向きの人型のシルエット図形を共通にするとしても、角丸四角形の枠及びハート図形、角丸四角形内の角丸横長長方形及び「健康」の文字の有無並びに商標全体の色彩が異なるものであり、外観上、一見して異なる印象を与えるものとして看取されるというのが相当である。 また、引用商標1からは「ケンコウ」の称呼が生じ、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。」の観念が生じ、本件商標と引用商標2は、いずれも称呼及び観念を生じない。 したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において相紛れるおそれがなかったり、比較できないものであり、外観において異なる印象を与えるものであるから、非類似の商標というのが相当である。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号の該当性について 引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたとはいえない。 また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 また、本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の使用に係る商品の需要者が一部共通するとしても、上記のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、その類似性の程度は低く、引用商標が需要者に広く認識されていたと認められない以上、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起して、その商品及び役務が引用商標の使用者又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように認識することはなく、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれはないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、上記(2)アのとおり、灰色の角丸四角形の枠内に、ハート図形と重ねて濃い青色で右向きの人型シルエット図形を配した構成からなり、特定の称呼及び観念は生じない。 他方、引用標章1は、別掲5のとおり、黒地に白抜きで右向きのピクトグラム風の人間のシルエットを表した構成からなるものである。 本件商標と引用標章1を比較すると、両者は、右向きの人のシルエットを表した図形は共通するものの、本件商標は灰色の角丸四角形の枠内に水色のハート図形を有し、このハート図形に重なるように濃い青色の右向きの人型シルエット図形を配してなるのに対し、引用標章1は、ハート図形はなく、黒地に白抜きで右向きのピクトグラム風の人間のシルエットの図形からなるから、看者に与える印象が大きく異なる。 したがって、本件商標は、引用標章1とは明らかに異なるものというのが相当であるから、本件商標を使用することが、公序良俗に反するものとはいえない。 また、本件商標は、上記のとおりの構成からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではなく、また、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-900192

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