商標取消審判
2023-300863
パティーナ、パティナ
- 審判番号
- 2023-300863
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2008-080615
- 登録番号
- 5237343
- 請求日
- 2023年11月28日
- 審決日
- 2025年03月10日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】カペラ ホテル グループ プライベート リミテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【被請求人】株式会社 TOKYO NET WORTH
- 【被請求人代理人】槙枝 一臣
- 【被請求人代理人】大西 玲子
- 【被請求人代理人】岡村 俊佑
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- T131 .1 -Y (X36)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第3号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の商標登録第5237343号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5237343号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成20年9月18日に登録出願され、第36類「建物の売買」を指定役務として、同21年6月12日に設定登録され、同31年2月19日に存続期間更新登録がなされて、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和5年12月11日であり、その請求の登録前3年以内の同2年12月11日から同5年12月10日までの期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、答弁に対し弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標権者は、不動産の売買等を事業として営む宅地建物取引業者であり(乙1)、「パティーナ」及び「PATINA」を自社開発マンションのブランド名として展開し、平成20年から現在に至るまで43棟のマンションを分譲等しており、当該マンションのうち、要証期間内に分譲を行ったもの(以下「本件マンション」という。)は、8棟に及ぶ(乙3)。
平成25年1月に本件商標権者の個人向けマンション販売業を分社化するため、株式会社NET WORTH(現在は、株式会社BLANClarity.)を設立し(乙3の2、乙4)、同社に販売営業を委託しており、要証期間内の分譲を行ったマンションは、いずれも同社が販売代理店として購入希望者に向けて営業を行い分譲したものである。
2 本件商標権者と株式会社BLANClarity.は、本件マンションの竣工前から本件マンションの販売営業を行っており、印刷業者等に発注して作成した乙第5号証の各パンフレットのデータ(以下「本件パンフレット」という。)を購入希望者に閲覧させて、本件マンションの案内を行い、本件マンションを分譲している(乙6)。
3 本件商標権者らは、本件パンフレットに使用標章(乙5の8)を付しており、これが本件商標と社会通念上同一と認められる商標に当たることは明らかである。本件商標権者らは、本件パンフレットに使用標章を付した上で、当該パンフレットを用いて本件マンションの内容を購入希望者等に案内しており、かかる本件商標権者らの行為が、本件商標をその指定役務である「建物の売買」についての「使用」に当たることは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、平成16年11月に、不動産の売買・交換・賃借及びその仲介に所有・管理及び利用等を目的として設立された株式会社であり(乙1)、東京都知事免許を受けてマンション販売の事業を行っている(乙5の1~乙5の8)。
また、株式会社BLANClarity.(以下「ブランクラリティ」という。)は、平成25年1月に本件商標権者の個人向けマンション販売業を分社するために設立されたグループ会社であり、設立時の商号は株式会社NET WORTHであったものが令和5年4月に商号変更されたものである(乙3の2、乙4)。
(2)本件商標権者は、「パティーナ蒲田DUO」というマンション(以下「本件マンション1」という。)を分譲販売するため、本件マンション1の各室の間取り等を掲載したパンフレット(乙5の2。以下「本件パンフレット1」という。)を作成した。
本件パンフレット1の表紙には、別掲2(1)の使用商標1が表示されている。
また、「OUTLINE 物件概要」のページには、売主が本件商標権者であり、分譲後の権利形態が建物の専有部分が区分所有権であり、敷地及び建物の共用部分が各戸専有面積割合による所有権の共有である旨が記載されており、要するに、本件パンフレット1に掲載された本件マンション1が本件商標権者が売主として分譲する分譲マンションである旨が記載されている。
さらに、同ページには、所在地が東京都大田区であること、竣工引渡日が令和3年2月26日であり入居開始日が同年3月上旬であることが記載されている。
(3)本件商標権者は、「パティーナ北綾瀬」というマンション(以下「本件マンション2」という。)を分譲販売するため、本件マンション2のパンフレット(乙5の4。以下「本件パンフレット2」という。)を作成した。
本件パンフレット2の表紙には、別掲2(2)の使用商標2が表示されている。
また、「OUTLINE」のページには、本件パンフレット2に掲載された本件マンション2が本件商標権者が売主として分譲する分譲マンションである旨が記載されており、さらに、所在地が東京都足立区であること、竣工予定日が令和3年11月下旬であり入居予定日が同年12月上旬であることが記載されている。
(4)本件商標権者は、「パティーナ川崎南DUO」というマンション(以下「本件マンション3」という。)を分譲販売するため、本件マンション3のパンフレット(乙5の6。以下「本件パンフレット3」という。)を作成した。
本件パンフレット3の表紙には、別掲2(3)の使用商標3が表示されている。
また、「OUTLINE」のページには、本件パンフレット3に掲載された本件マンション3が本件商標権者が分譲する分譲マンションである旨が記載されており、さらに、所在地が 神奈川県川崎市であること、竣工引渡日及び入居開始日がいずれも令和4年3月末日(予定)であることが記載されている。
(5)本件商標権者は、「パティーナ綾瀬」というマンション(以下「本件マンション4」という。)を分譲販売するため、本件マンション4のパンフレット(乙5の7。以下「本件パンフレット4」という。)を作成した。
本件パンフレット4」の表紙には、別掲2(4)の使用商標4が表示されている。
また、「OUTLINE」のページには、本件パンフレット4に掲載された本件マンション4が本件商標権者が分譲する分譲マンションである旨が記載されており、さらに、所在地が東京都足立区であること、竣工引渡日が令和4年7月29日であり入居開始日が同年8月初旬であることが記載されている。
(6)本件商標権者は、「パティーナ中野」というマンション(以下「本件マンション5」という。)を分譲販売するため、本件マンション5のパンフレット(乙5の8。以下「本件パンフレット5」という。)を作成した。
本件パンフレット5の表紙には、別掲2(5)の使用商標5が表示されている。
また、「OUTLINE & SPECIFICATION」のページには、本件パンフレット5に掲載された本件マンション5が本件商標権者が分譲する分譲マンションである旨が記載されており、さらに、所在地が東京都中野区であること、竣工引渡日が令和5 年8月下旬(予定)であり入居開始日が同年9月上旬(予定)であることが記載されている。
(7)本件商標権者は、同5年10月31日に、本件マンション5の一室につき、本件商標権者からXへの所有権の移転の登記がなされており、この移転の登記が本件商標権者からXへの同室の販売に伴うものであることは明らかである。
そして、同室の販売に際して、本件商標権者又は本件商標権者から本件マンション5の販売を受託したブランクラリティのいずれかによって、Xに対し、本件マンション5の各室の間取り等の情報が記載された本件パンフレット5が配布されたものと推認される。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
ア 使用商標1
本件商標は、別掲1のとおり、「パティーナ」の片仮名と「PATINA」の欧文字が2段書きされたもの(以下「本件商標の文字部分」という。)と、その下に配置された、白抜きの「PATINA」の欧文字を下部に配し、6本の白線を中央に、幾何図形をその周囲に配する等した青色系統の色の略正方形のロゴ(以下「本件商標のロゴ部分」という。)との組み合わせによる商標である。
なお、このうち、本件商標の文字部分と本件商標のロゴ部分に共通に含まれている「PATINA」の欧文字は、英語の単語として、「(木製品などの)古つや」等の意味を有するものであり(乙7の1、乙7の2)、また、「パティーナ」は、「PATINA」の表音であり、両者は称呼及び観念が同じものであることが明らかである。
これに対し、使用商標1は、「PATINA」の欧文字、その下に小さく記載された「KAMATA DUO」の大文字及びその下にさらに小さく記載された「パティーナ蒲田 DUO」の文字が3段書きされた文字部分と、その下に、本件商標のロゴ部分の色彩が若干異なるものが配置されたロゴ部分からなるものである。
そのうち、文字部分については、「PATINA」が大きく目立つように配置されており、また、「PATINA」と地名等の組み合わせからなるマンション名のうち「PATINA」の部分がマンションのシリーズ名として独立して看守し得るものとなっているところ、上記のとおり、本件商標の「パティーナ」と「PATINA」の称呼と観念が同一のものであることに照らせば、本件商標の文字部分と使用商標1の文字部分とは、社会通念上同一のものといえる。
また、文字部分の下に配置されたロゴ部分についても、本件商標のロゴ部分と使用商標1のロゴ部分とは、色彩が若干異なるものの、いずれも「PATINA」の文字を下部に、6本の白線を中央に、幾何図形をその周囲に配する等した青色系統の略正方形であって、一見して、社会通念上同一のものといえる。
以上を踏まえれば、本件商標と使用商標1とは、いずれも文字部分とロゴ部分の組み合わせからなるものであり、文字部分同士及びロゴ部分同士がそれぞれ社会通念上同一の範囲のものとなっていることから、全体として、社会通念上同一の範囲のものといえる。
してみると、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。
イ 使用商標2ないし4
使用商標4についても、上記アの使用商標1と同様、3段書きされた文字部分同士及びロゴ部分同士がそれぞれ社会通念上同一の範囲のものとなっており、全体として、社会通念上同一の範囲のものといえる。
また、使用商標2及び3については、いずれもロゴ部分の一部が隠れているものの、使用商標4と同様、社会通念上同一のものと推認できる。
してみると、使用商標2ないし4は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標である。
ウ 使用商標5
使用商標5については、文字部分が「PATINA NAKANO」である(この点、被請求人の主張によればその下に「パティーナ中野」と記載されたものとなっているとのことであるが、乙第5号証の8からその旨を確認することができない。)ところ、このうちの「NAKANO」は、本件マンション5の所在地である東京都中野区を示す文字であって、「PATINA」の部分が識別力を有することは明らかである。そうすると、本件商標の「パティーナ」と「PATINA」の称呼と観念が同一のものであることに照らせば、本件商標の文字部分と使用商標5の文字部分とは、社会通念上同一のものといえる。
そして、使用商標5のロゴ部分については、上記ア及びイの使用商標1ないし4のロゴ部分と同様、一見して本件商標のロゴ部分と社会通念上同一のものといえる。
してみると、使用商標5は、上記ア及びイの使用商標1~4と同様、文字部分同士及びロゴ部分同士がそれぞれ本件商標の文字部分及びロゴ部分と社会通念上同一の範囲のものの組み合わせであるから、使用商標5は、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。
エ 以上によれば、使用商標1~5は、いずれも、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用者について
使用商標1ないし5を表示する本件パンフレット1ないし5においては、いずれも、本件商標権者が本件マンション1ないし5の売主として表示されている。
よって、使用商標1ないし5の使用者は、いずれも本件商標権者である。
(3)使用役務について
上記1(2)ないし1(6)のとおり、使用商標1ないし5は、本件パンフレット1ないし5に表示されているところ、本件パンフレット1ないし5が、各室の間取り等を示すものとして、本件マンション1ないし5の分譲販売の際、顧客において各室の間取り等を確認するために用いられることは、明らかである。
さらに、本件パンフレット1ないし5が、潜在的な顧客へのそれぞれのマンションの紹介や、それぞれのマンションの各室を購入した顧客における間取り等の確認のために頒布されるものでもあることも、明らかである。
してみると、本件パンフレット1ないし5は、分譲マンションの販売の役務の提供を受ける者の利用に供する物であるとともにその役務に関する広告であるところ、この分譲マンションの販売の役務(以下「使用役務」という。)は、本件商標の指定役務の範ちゅうのものである。
(4)使用時期及び使用場所について
ア 使用商標1ないし5
上記1(2)ないし1(6)のとおり、本件商標権者は、本件マンション1ないし本件マンション5を売主として分譲販売したところ、これらのマンションの竣工引渡日(ないしその予定日(竣工予定日))及び入居開始日(ないしその予定日(入居予定日))は、いずれも要証期間内であり、また、いずれのマンションも日本国内に所在するものである。
これらを踏まえれば、使用商標1ないし5は、要証期間内に日本国内において使用されたものと推認される。
イ 使用商標5
上記(6)のとおり、本件マンション5の竣工引渡日が令和5年8月下旬(予定)であり入居開始日が同年9月上旬(予定)であるところ、上記1(7)のとおり、令和5年10月31日に、本件マンション5の一室につき、本件商標権者からXへの所有権の移転の登記がなされており、これらはいずれも要証期間内になされたものである。
このことを踏まえれば、要証期間内に、本件商標権者からXへの同室の販売に伴い、買い主であるXに本件パンフレット5が頒布されて、本件商標5が使用されたものと推認される。
(5)使用行為について
ア 上記(3)のとおり、本件パンフレット1ないし5は、本件商標の指定役務の範ちゅうの使用役務の提供を受ける者の利用に供する物である。そして、上記(2)及び(4)アのとおり、本件商標権者は、要証期間内において使用役務の提供を受ける者の利用に供する物である本件パンフレット1ないし5に使用商標1ないし5を付して使用したものであり、この行為は、商標法第2条第3項第3号の使用行為に該当する。
イ 上記(3)のとおり、本件パンフレット5は、本件商標の指定役務の範ちゅうの使用役務に関する広告である。そして、上記(2)及び(4)イのとおり、本件商標権者は、要証期間内において使用役務に関する広告である本件パンフレット5を買主に頒布したものと推認され、この行為は商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する。
3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務である本件商標の指定役務について本件商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-300863