商標拒絶査定不服審判
2021-017741
アーチ
- 審判番号
- 2021-017741
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-142766
- 請求日
- 2021年12月22日
- 審決日
- 2022年11月25日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ササクラ
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【請求人】株式会社インターセントラル
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【請求人】株式会社トヨックス
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T18 .261-Z (W16) / T18 .262-Z (W16) / T18 .263-Z (W16)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-142766拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「ARCH」の文字を標準文字で表してなり、第16類「書籍,雑誌,印刷物,印刷用インテル,活字,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,書画,写真,写真立て」を指定商品として、令和2年11月18日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年4月12日付けで拒絶理由の通知がされ、同年5月24日に意見書の提出がされたが、同年9月16日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の1及び2のとおりであり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。
1 登録第5748023号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年10月27日に登録出願、第9類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する別掲2に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同27年3月6日に設定登録されたものである。
2 登録第6137677号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成30年3月20日に登録出願、第9類、第35類、第36類、第38類及び第42類に属する別掲4に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同31年4月12日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1及び引用商標2をまとめて、以下「引用商標」という場合がある。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標と引用商標の構成中の「Arch」の欧文字とは、大文字と小文字の違いがあるとしても、「A」、「R(r)」、「C(c)」、「H(h)」の文字を共通にするから、外観上極めて近似し、「アーチ」の称呼及び「弓形」の観念も共通にすることから、これらを総合的に判断すれば、本願商標と引用商標は、類似する商標であり、また、本願の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、上記第1のとおり、「ARCH」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」(「ジーニアス英和辞典 第5版」発行者:株式会社大修館書店)の意味を有する英語として辞書に載録されている。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「アーチ」の称呼を生じ、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の観念を生じるものである。
(2)引用商標1について
引用商標1は、別掲1のとおり、青色の「CAFIS」の欧文字の下に、
青色又は赤色で着色された横長長方形状の各辺を内側に湾曲させた図形をずらしたように2つ重ね(以下「図形」という。)、その中に大きく「Arch」の欧文字を白抜きで配した構成よりなるところ、「CAFIS」の欧文字と図形とは、重なることなく間隔を空けて配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいい難い。
また、引用商標1の構成中の「CAFIS」の欧文字は、構成文字に相応して、「カフィス」の称呼を生じるものであり、当該文字は、一般の辞書等に載録されていない語であるから、特定の観念は生じないものである。
さらに、引用商標1の構成中の図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであり、内部の文字を強調するための背景図形として理解されるものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
加えて、引用商標1の構成中の図形内に横書きされた「Arch」の欧文字は、白抜きで顕著に表されているから、特に、看者の注意を引く部分であるといえる。
そして、「Arch」の欧文字は、上記(1)のとおり、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の意味を有する語であり、これが、引用商標1の指定商品との関係で、商品の品質等を表示するものであると判断すべき特別な事情はないことから、「Arch」の欧文字が、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、引用商標1は、本願商標との類否を判断するに当たって、その構成中、白抜きで顕著に表された「Arch」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標1は、その構成中、白抜きで顕著に表された「Arch」の欧文字に相応して、「アーチ」の称呼を生じ、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の観念を生じるものである。
(3)引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、丸みを帯びたデザインで緑色の「CAFIS」の欧文字の下に、紫色の「Arch」の欧文字を配した構成よりなるところ、「CAFIS」の欧文字と「Arch」の欧文字は、重なることなく間隔を空けて配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいい難い。
また、引用商標2の構成中の「CAFIS」の欧文字は、構成文字に相応して、「カフィス」の称呼を生じるものであり、当該文字は、一般の辞書等に載録されていない語であるから、特定の観念は生じないものである。
さらに、引用商標2の構成中の「Arch」の欧文字は、その構成において、「CAFIS」の欧文字と比べて、やや小さく表されているとしても、「CAFIS」と「Arch」とは異なる色彩で表されていることに加え、両者の書体も異なることから、看者の注意を引く部分であるといえる。
そして、「Arch」の欧文字は、上記(1)のとおり、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の意味を有する語であり、これが、引用商標2の指定商品との関係で、商品の品質等を表示するものであると判断すべき特別な事情はないことから、「Arch」の欧文字が、本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、引用商標2は、本願商標との類否を判断するに当たって、その構成中、「Arch」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標2は、その構成中の「Arch」の欧文字に相応して、「アーチ」の称呼を生じ、「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の観念を生じるものである。
(4)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、外観においては、その全体の構成において、本願商標と引用商標1とは、図形及び「CAFIS」の文字の有無の差異、本願商標と引用商標2とは、「CAFIS」の文字の有無の差異を有するものであるが、本願商標と引用商標の要部である「Arch」の欧文字との比較においては、両者は、書体の相違があり、2文字目以降で大文字と小文字の違いがあるとしても、両者は、「ARCH(Arch)」の文字つづりを同一にするものであり、外観上、類似するものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標とは、共に「アーチ」の称呼を生じるものである。
そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、共に「アーチ形[弓形,弧形](のもの,デザイン)」の観念を生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において類似し、称呼及び観念を同一にするから、両商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(5)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品中、第16類「書籍,雑誌,印刷物,写真,写真立て」は、引用商標の指定商品及び指定役務中、第9類「通信ネットワークを通じてダウンロードが可能な映像,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,新聞・雑誌・書籍・地図・写真等の画像情報・文字情報を記録させた磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク等の記録媒体」と、販売部門、需要者の範囲等を共通にする同一又は類似の商品である。
(6)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、引用商標1は、欧文字「CAFIS」と欧文字「Arch」を内包したデザイン図形とが結合した構成であるところ、デザイン図形の各辺が内側に大きく湾曲しており、その湾曲部分に欧文字「CAFIS」がはまり込むように配置され、欧文字「CAFIS」はデザイン図形の青色と同色に着色されており、視覚上、不可分といえるほどに商標全体が極めて強い一体性をもって構成されているから、引用商標1を目にした需要者・取引者は、引用商標1全体を不可分一体のまとまりある商標として認識する旨、また、引用商標2は、欧文字「CAFIS」と「Arch」とが上下に近接して配置され、上下段が視覚上まとまりある構成となっているため、全体が不可分一体のまとまりある商標として認識される旨主張する。
しかしながら、上記1(2)及び(3)のとおり、引用商標1の構成中「CAFIS」の欧文字と図形、引用商標2の構成中「CAFIS」の欧文字と「Arch」の欧文字は、重なることなく間隔を空けて配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものであって、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえない。
また、引用商標1の構成中の「Arch」の欧文字は、その構成において顕著に表されており、引用商標2の構成中の「Arch」の欧文字は、「CAFIS」の欧文字と比べて、やや小さく表されているとしても、両者は異なる色彩で表されていることに加え、その書体も異なることから、両商標ともに、当該「Arch」の文字部分が、最も強く看者の注意を引く部分である。
してみれば、引用商標と本願商標との類否を判断するに当たっては、引用商標の構成中の「Arch」の欧文字を抽出し、当該文字部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
(2)請求人は、引用商標の構成中「CAFIS」の文字は、引用商標の権利者である株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下「NTTデータ社」という。)の商品・サービスを示す名称としてIT用語辞典にも掲載されているよく知られた商標であって、強い識別力を発揮する部分であることから、需要者等が「CAFIS」を捨象して認識することはない旨主張する。
しかしながら、上記1(2)及び(3)のとおり、引用商標の構成中の「CAFIS」の文字は、一般の辞書等に載録のないものであるから、NTTデータ社の商品・サービスを示す名称としてIT用語辞典にも掲載されているとしても、そのことをもって、直ちに当該文字がNTTデータ社に係る商標として認識されているということはできないし、他に当該文字がNTTデータ社に係る商標としてのみ認識されるというべき特段の事情も見いだせない。
(3)請求人は、引用商標は、商品・役務の説明や宣伝・広告、取引書類において常に「CAFIS Arch」や「キャフィスアーチ」とともに使用されており、需要者・取引者があえて「アーチ」と称呼するような状況は現実的でなく、NTTデータ社の強いブランド力を発揮する「キャフィス」を捨象することなく「キャフィスアーチ」と称呼するのが自然である旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではなく、その指定商品全体についての一般的・恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、役務についても同様に解されているところ、請求人の主張する上記取引の実情は、商標を実際に使用している具体的な商品及び役務についての実情であるから、特殊的、限定的な取引の実情といわざるを得ないものであり、商標の類否判断にあたり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
(4)請求人は、過去の登録例及び審判決例を挙げ、それらの登録例等と本件との類否判断と全く同じ状況にあるから、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が挙げる登録例及び審決例は、本願商標とは、その構成、態様等が異なることから、事案を異にするものであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の登録例や審決例に拘束されることなく判断されるべきであるから、これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。
(5)以上のとおり、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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