意匠拒絶査定不服審判
2023-006850
配管継手用ナット
- 審判番号
- 2023-006850
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2022-005182
- 登録番号
- 1756335
- 請求日
- 2023年04月25日
- 審決日
- 2023年09月25日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社トヨックス
- 【請求人代理人】弁理士法人英知国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 裕和
- 審判官 尾曲 幸輔
- 審判官 江塚 尚弘
- 分類
- D18 .113-WY (M2-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2022- 5182「配管継手用ナット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年(2022年)3月14日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年(2022年) 9月 7日付け :拒絶理由の通知
同年 10月21日 :意見書の提出
令和5年(2023年) 1月31日付け :拒絶査定
同年 4月25日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「配管継手用ナット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2018年 9月15日
受入日 特許庁意匠課受入2018年10月 5日
掲載者 Elysee
表題 FEMALE PLUG
掲載ページのアドレス http://elysee.com.cy/single_product/female-plug-light-en-57
に掲載された「管継手」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ30033345号)
第4 対比
以下、引用意匠を本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「配管継手用ナット」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、「管継手」であり、表記は異なるものの、いずれも配管を連結するために用いられるものであるから、両意匠の意匠に係る物品は一致する。
2 両意匠の形状等の対比
両意匠の形状等には、主として、以下の共通点及び相違点がある。
(共通点1)全体の基本的構成態様について、円筒形状部と多角形状ナット部を連接して構成された点。
(共通点2)円筒形状部の内周について、雌ねじが設けられている点。
(相違点1)多角形状ナット部について、本願意匠は、六角形状であるのに対し、引用意匠は、八角形状である点。
(相違点2)多角形状ナット部の各角について、本願意匠は面取りが施されているのに対し、引用意匠は面取りされていない点。
(相違点3)正面視における円筒形状部と多角形状ナット部の長さ比について、本願意匠は、約7:5であるのに対し、引用意匠は、約1:1である点。
(相違点4)円筒形状部と多角形状ナット部の径について、引用意匠は、円筒形状部の外周が多角形状ナット部の各辺に接する態様であるのに対し、本願意匠は、円筒形状部の外周が多角形状ナット部の各辺をはみ出す態様であり、結果として斜視図1に見られるような三日月形段差面が表れる点。
(相違点5)円筒形状部について、本願意匠は、肉薄に形成されているのに対し、引用意匠は、肉厚に形成されている点。
(相違点6)円筒形状部と多角形状ナット部の内周の構成について、本願意匠は、雌ねじが設けられた円筒形状部内周が、縮径する段差を経て、ねじ切り加工の無い多角形状ナット内周につながる構成であるのに対し、引用意匠は、円筒形状部内周に雌ねじが設けられ、多角形状ナット内周の態様は不明である点。
第5 判断
1 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。
2 両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、配管を連結するために使用される「配管継手用ナット」であり、当該物品分野の需要者は、主に、使用者、製造業者、販売業者及び取引業者が含まれる。そして、需要者の注意を引く部位は、基本的な構成要素である円筒形状部及び多角形状ナット部といえ、これら形状等について評価し、かつ、それ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価することとする。
(1) 共通点の評価
(共通点1)の基本的構成態様について、配管継手用ナットの分野において、両意匠のように、円筒形状部と多角形状ナット部から構成されるものは、この種物品の分野において、本願出願前から公然知られており、両意匠にのみ見られる態様とはいえないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点2)配管継手用ナットは、配管の連結に用いられるものであるため、内周に雌ねじが設けられる点は、機能的に必然のものであって、両意匠にのみ見られる態様とはいえないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(2) 相違点の評価
(相違点1)及び(相違点2)について、ナット部の角数の変更や面取りの有無は、この種物品分野において、よく見られる形状的処理であって、両意匠のみに認められる特徴とはいえないから、いずれも、格別、需要者の注意を引くものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点3)について、両意匠における主たる構成要素である円筒形状部と多角形状ナット部の大きさに係る相違であり、この物品の購入時において需要者が注目するところであるから、当該部における形状等の相違は、両意匠の類否判断に与える影響が大きい。
(相違点4)について、三日月形段差面の有無は、作業効率等に係る機能的な相違を生じさせるものであり、需要者が注目するところであるから、当該部における形状等の相違は、両意匠の類否判断に与える影響が大きい。
(相違点5)について、円筒形状部の多少の厚みの変更は、この種物品分野においてよく行われる処理ではあるものの、両意匠は、その程度において著しく、異なる印象を生じさせており、需要者が注目するところであるから、両意匠の類否判断に与える影響が大きい。
(相違点6)について、内周の態様は、本物品の主たる用途及び機能である配管の連結の可否に大きく影響を与えるものであり、需要者が注目するところであるから、当該部における形状等の相違は、両意匠の類否判断に与える影響が大きい。
3 小括
以上のとおり、両意匠の意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形状等においては、相違点の類否判断に与える影響が共通点のそれを凌駕しており、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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審決本文(J-PlatPat)
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