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特許拒絶査定不服審判

2021-016047

情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

審判番号
2021-016047
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-095805
請求日
2021年11月24日
審決日
2022年11月01日
公報発行日
2022年11月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】WOTA株式会社
  • 【請求人代理人】IPTech弁理士法人
審判長/審判官
  • 審判長 ▲吉▼田 耕一
  • 審判官 稲葉 和生
  • 審判官 野崎 大進
分類
P18 .121-WY (A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 95805「情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 1月 6日出願公開、特開2022- 1075、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年6月1日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 3月30日付け:拒絶理由通知書 令和3年 5月26日: 意見書、手続補正書の提出 令和3年 8月19日付け:拒絶査定 令和3年11月24日: 審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 7月26日付け:令和3年11月24日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶理由通知書(以下、 「当審拒絶理由」という。) 令和4年 9月20日: 意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年8月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 理由(進歩性) 本願請求項1-13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献A-Hに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2019-153071号公報 B.実願平04-085504号(実開平06-021489号)のCD-ROM C.特開2020-71609号公報 D.国際公開第2020/044351号 E.特表2015-525709号公報 F.特開2011-218316号公報 G.特開平11-333497号公報 H.特開2001-029439号公報 第3 当審拒絶理由の概要 理由(進歩性) 本願請求項1-13に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.国際公開第2020/044351号(拒絶査定時の引用文献D) 2.米国特許第5257423号明細書(当審で新たに引用された文献) 第4 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和4年9月20日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 可搬、かつ、任意の場所に設置可能に構成される手洗い装置と、情報処理装置とを含み、 前記手洗い装置は、 筐体と、 前記筐体の一部に設けられる手洗い槽と、 洗浄水を吐水する水栓と、 前記手洗い槽からの排水を浄化して、循環水として循環させ、前記洗浄水として前記水栓へ供給する循環ユニットと、 前記循環水に関するセンシングデータを取得する取得部と、 取得した前記センシングデータを、前記情報処理装置に送信する送信部と を含み、 前記情報処理装置は、受信部と、記憶部と、分析部と、出力部とを含み、 前記受信部は、前記手洗い装置から、前記センシングデータを受信し、 前記記憶部は、受信した前記センシングデータを格納し、 前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する 情報処理システム。」 なお、本願発明2-9の概要は以下のとおりである。 本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明7-9は、それぞれ、本願発明1に対応する「情報処理装置」、「情報処理方法」、「プログラム」の発明であり、実質的に、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1及び引用発明 (1) 引用文献1 当審拒絶理由において引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。 ア 図1 「 [図:0001390334000001.jpg] 」 イ 5ページ13行-6ページ6行 「The present invention relates to a hand washing system. The system is adapted for controlling and monitoring hand washing, in particular at locations such as hospitals or other healthcare establishments, food production factories, restaurants and other locations where personal hygiene is critical and legally regulated. Fig. 1 is a block diagram of a hand washing system 100 according to an embodiment of the invention. A dispensing unit 104 is connected to a water source via a water faucet valve 114. The water source can be of any kind, for example, a connection to the city water supply, a local container (filled with water manually or through other means) etc. Users coming to wash their hands on the system are typically detected automatically by proximity sensors 106 such as motion sensors, volume sensors, heat sensors etc. In some embodiments, a single sensor can perform the proximity detection and user recognition in a single step. Alternatively, a user may active the system manually, for example, by pressing a Start button. The user is then identified automatically by the identification unit 110. The identification unit 110 typically comprises a biometric identification module that can identify an individual via one or more cameras 108 or via any biometric identification techniques (fingerprint, iris, face recognition, voice recognition etc.). Alternatively, the identification can be performed via User ID tags users wear (bracelet etc.) or carry (a card, via a mobile phone etc.).」 (訳: 本発明は、手洗いシステムに関する。システムは、特に、個人の衛生が重要であり、法的に規制される、病院その他の医療施設、食品製造工場、レストランその他の場所において、手洗いの制御及び監視をするように構成されている。 図1は、本発明の一実施形態による、手洗いシステム100のブロック図である。ディスペンサ・ユニット104は、水栓バルブ114を介して給水源に接続されている。給水源は、任意の種別、例えば、都市水道用水への接続や、(手動その他の手段により水が充填されている)局所的な(local)容器などとすることができる。システムに自分の手を洗浄するために近づくユーザは、典型的には、動きセンサ、体積センサ、熱センサなどの近接センサ106によって、自動的に検出される。いくつかの実施形態では、単一のセンサが、単一のステップで、近接検出とユーザ認識とを行える。あるいは、ユーザは、例えば、「スタート」ボタンを押すことによって、システムを手動で起動できる。次に、ユーザは、ユニット110によって、自動的に識別される。識別ユニット110は、典型的には、1つ以上のカメラ108により、または、任意のバイオメトリック識別技術(例えば、指紋認識、瞳孔認識、顔認識、音声認識など)により個人を識別できるバイオメトリック識別モジュールを備えている。あるいは、識別は、利用者が身につけている(腕輪など)、又は、持ち歩いている(カード、携帯電話など)、ユーザIDタグによって、行うことができる。) ウ 7ページ11-20行 「・In order to prepare a predefined pattern set of parameters, machine learning tools are used to train the system's algorithms with various images/videos of hands movements (both conforming to requirements and not conforming to requirements). The predefined pattern set of parameters can include: ・Time - total time in front of the dispensing unit or at the facility and/or lathering and/or rinsing, or a specific time for one or more steps of the hand-washing sequence. ・Water - the total volume of water consumed during the washing operation, the actual water volume used by the user for hand wash.」 (訳: ・パラメータの予め定義されたパターンセットを準備する目的で、機械学習ツールが、(要件に合致するもの、及び、要件に合致しないものの両方の) 様々な手の動きの画像/動画によって、システムのアルゴリズムをトレーニングするために、使用される。 予め定義されたパターンのパラメータ集合は、以下を含むことができる: ・時間 - ディスペンサ・ユニットの前にいる、または施設にいる、及び/または、泡立て、及び/または、すすぎの合計時間、または、手洗いの手順における1以上のステップの特定の時間 ・水 - 洗浄の操作中に消費される水の全体積、手洗いのためにユーザが使用した実際の水の体積) エ 図2 「 [図:0001390334000002.jpg] 」 オ 11ページ5-20行 「The server 102 comprises (or is coupled to) a database for managing user profiles and hand-washing sequences. The user profile can include information about known allergies, sensitivities and particular necessities of that user. Hand-washing sequences are assigned based on the user profile, location of the dispenser 104, legal/regulatory requirements and also particular requirements of the establishment where the reagent dispenser 104 is operated. Fig. 2 is an example of a reagent dispenser 104 with a reagent cartridge 216. The reagent dispenser 104 is locked by a self-recognition tooth pattern. The dispenser 104 comprises a sink 202 a shower head 204 for dispensing water and cleaning reagents. The dispenser 104 is equipped with different sensors placed at different locations, for example, a proximity sensor 106 that can be placed near the shower head 204 for identifying hands / hands movement; additional camera-type sensors 108 placed on the side for capturing hands movement; a frontal sensor 212 for identifying the user (via a camera & image recognition, voice recognition, iris recognition, finger prints recognition etc.); and a reagent cartridge sensor 220 for cartridge and cleaning reagent identification.」 (訳: サーバ102は、ユーザプロファイル及び手洗いシーケンスを管理するためのデータベースを含む(又はこれに結合される)。ユーザ・プロファイルは、そのユーザの既知のアレルギーや、敏感性、および特定の必要条件に関する情報を含むことができる。手洗いシーケンスは、ユーザプロファイル、ディスペンサ104の場所、法律/規則上の必要条件、および薬剤ディスペンサ104が運用される施設の特定の要件に基づいて割り当てられる。 図2は、薬剤カートリッジ216と薬剤ディスペンサ104の一例である。薬剤ディスペンサ104は、自己認識用の歯形パターンによってロックされる。ディスペンサ104は、シンク202、水と洗剤を供給するためのシャワーヘッド204を備えている。ディスペンサ104は、異なる位置に配置された種々のセンサを備えており、例えば、手/手の動きを識別するためにシャワーヘッド204の近くに配置された近接センサ106;手の動きをキャプチャするために配置された追加のカメラ型センサ108;(カメラ&画像認識、音声認識、虹彩認識、指紋認識等により)ユーザを識別するための前方センサ212;及び、カートリッジと洗剤を識別するための薬剤カートリッジセンサ220を備えている。) カ 12ページ21-27行 「The hand washing system also comprises a server 102 connected to the reagent and water dispensing unit 104 for receiving and analyzing handwashing data parameters and other operational roles. The server 102 analyzes handwashing data from one or more locations and can issue different reports and recommendations regarding the behavior of different users and their compliance or not with the required regulations. The“server” 102 can be implemented as a single computing server, or as one or more computers in a single or multiple geographical locations.」 (訳: また、手洗いシステムは、手洗いデータのパラメータを受信および分析するため、そして、他の動作上の役割のために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104に接続された、サーバ102を備えている。サーバ102は、1つまたは複数の場所から手洗いデータを解析して、異なるユーザと、そのユーザの挙動、及び、要求されている基準への法令遵守(compliance)又は非遵守に関して、異なる報告及び勧告を発行できる。「サーバ」102は、1台の計算機サーバ、または単一または複数の地理的位置にある1台以上のコンピュータとして実装することができる。) キ 13ページ8-10行 「The server 102 can monitor and analyze the reagent and water dispensing unit s 104 status (through different sensors) and alert the service support team when it's time for regular maintenance work or to examine a malfunction of the system.」 (訳: サーバ102は、例えば、サービス保守チームに、定期メンテナンス作業の時期到来を警告したり、システムの不具合を検査するために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104のステータスを(異なるセンサにより)監視して分析することができる。) ク 20ページ3-7行 「Various forms of computer readable media may be involved in carrying sequences of instructions to a processor. For example, sequences of instruction (i) may be delivered from RAM to a processor, (ii) may be carried over a wireless transmission medium, and/or (iii) may be formatted according to numerous formats, standards or protocols, such as Bluetooth, TDMA, CDMA, 3G.」 (訳: 様々な形態のコンピュータ可読媒体が、プロセッサに命令シーケンスを搬送することに関与できる。例えば、命令シーケンスは、(i)RAMからプロセッサへと送出され、(ii)無線伝送媒体上で搬送され、および/又は、(iii)ブルートゥース、TDMA、CDMA、3Gなどの多数のフォーマット、規格又はプロトコルに従ってフォーマットされてもよい。) (2) 引用発明 よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。 「手洗いシステム100は、特に、個人の衛生が重要であり、法的に規制される、病院その他の医療施設、食品製造工場、レストランその他の場所において、手洗いの制御及び監視をするように構成され、 ディスペンサ・ユニット104は、水栓バルブ114を介して給水源に接続され、 給水源は、任意の種別、例えば、都市水道用水への接続や、(手動その他の手段により水が充填されている)局所的な(local)容器などとすることができ、 予め定義されたパターンのパラメータ集合は、以下を含むことができ: ・時間 - ディスペンサ・ユニットの前にいる、または施設にいる、及び/または、泡立て、及び/または、すすぎの合計時間、または、手洗いの手順における1以上のステップの特定の時間 ・水 - 洗浄の操作中に消費される水の全体積、手洗いのためにユーザが使用した実際の水の体積 サーバ102は、ユーザプロファイル及び手洗いシーケンスを管理するためのデータベースを含み、 ディスペンサ104は、シンク202、水と洗剤を供給するためのシャワーヘッド204を備え、 ディスペンサ104は、異なる位置に配置された種々のセンサを備えており、 手洗いシステムは、手洗いデータのパラメータを受信および分析するため、そして、他の動作上の役割のために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104に接続された、サーバ102を備え、サーバ102は、1つまたは複数の場所から手洗いデータを解析して、異なるユーザと、そのユーザの挙動、及び、要求されている基準への法令遵守(compliance)又は非遵守に関して、異なる報告及び勧告を発行でき、 サーバ102は、例えば、サービス保守チームに、定期メンテナンス作業の時期到来を警告したり、システムの不具合を検査するために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104のステータスを(異なるセンサにより)監視して分析することができ、 様々な形態のコンピュータ可読媒体が、プロセッサに命令シーケンスを搬送することに関与でき、例えば、命令シーケンスは、(ii)無線伝送媒体上で搬送され、および/又は、(iii)ブルートゥース、TDMA、CDMA、3Gなどの多数のフォーマット、規格又はプロトコルに従ってフォーマットされてもよい、 手洗いシステム100。」 2 引用文献2について 引用文献2には、下記の記載がある。 (1) 1欄39-62行 「Portable hand washing stations are known which fit within a car and supply warm water for the washing of hands. However, this is a costly and not widespread solution and leaves to the vehicle operator the task of resupply and maintenance of such a portable lavatory. Portable sinks for use by campers or in association for portable toilets are known but are not designed with the particular needs of the consumer of self-service gas. Hand wash stations for use by gas station attendants and mechanics which recirculate the washing fluid are known, but these have been located indoors in garages and do not incorporate features designed for the shelter and convenience of the consumer. Portable hands-free wash stations for use in small restaurants and the home, which incorporate foot pedals, soap dispensers, hot air hand dryers and vanities are known, however, these are not designed to be conveniently placed at a self-service gas pump and are not designed to meet the requirements of outdoor washing of hands in all weather conditions. What is needed is a hand washing station which may be conveniently integrated in proximity to self-service gas pumps which is adapted for hands-free all-weather operation.」 (訳: ポータブル式の手洗いステーションは知られており、これは、自動車の車内に適しており、手洗い用の温水を供給する。しかし、これは、コスト高で、広く普及した解決策ではなく、このようなポータブル式手洗いの補給及び保守の作業が車両運転者に課される。 キャンプ用、または、ポータブル式トイレに関連した、携帯型シンクが知られているが、セルフサービス式給油所の消費者の特定のニーズに向けて設計されていない。 給油所の係員とメカニックに使用される手洗いステーションであって、洗浄液を再循環するものが知られているが、これは、ガレージの室内に配置されるもので、消費者の保護と便宜のために設計された機能は含まれていない。 小さなレストランや家庭用のポータブル式ハンズフリー洗浄ステーションであって、足踏みペダル、石鹸ディスペンサ、温風ハンドドライヤー、及び、洗面化粧台を備えるものが知られているが、これは、セルフサービス式ガソリンポンプに都合良く配置できるように設計されておらず、あらゆる天候条件で屋外における手洗いの要件を満たすように設計されていない。 必要とされているは、ハンズフリーで全天候での運用に適合されており、セルフサービス式ガソリンポンプの近くに都合よく組み込むことができる、手洗いステーションである。) (2) 図3 「 [図:0001390334000003.jpg] 」 (3) 6欄44-60行 「The recycling hand wash station 120 permits extended use of the station without the need to supplement or replace the water supply. The recycling wash station 120 may require the replacement of the filter cartridges 185 and the wash water 187 as infrequently as once every six months depending on the volume of use. The recycling wash station 120 has a counter (not shown) which counts the number of times the wash station 120 is activated by means of the "on" switch 143. The number of wash cycles indicates when the filter 185 of the filter system 181 requires replacement and the holding tank 174 requires filling. The recycling wash station 120, while reducing servicing frequency and costs, by recycling the water also effects a substantial savings in water usage. Conservation of water will be important in areas experiencing drought or where water is normally in short supply. 」 (訳: 再循環式手洗いステーション120により、水供給を補充又は交換する必要なしにステーションの利用を延長できる。再循環式手洗いステーション120は、使用量に応じた、6ヶ月に1回程度の低い頻度で、フィルタカートリッジ185と洗浄水187の交換を必要する。 循環式手洗いステーション120は、「オン」スイッチ143による起動回数をカウントするカウンタ(図示せず)を備える。洗浄サイクルの数は、フィルタシステム181のフィルタ185が交換を必要としており、貯蔵タンク174が充填を必要としている時点を示す。循環式手洗いステーション120は、整備頻度やコストを低減しつつ、水を再利用することにより、使用水量の大幅な節約をもたらす。節水は、干ばつを経験している地域や、通常、水が供給不足の地域において重要であろう。) 3 引用文献Aについて 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、以下の記載がある。 (1) 段落【0031】 「【0031】 制御基板50は、自動水栓20から吐水状態の情報を受信し、ソープ・ディスペンサ30からソープ液の残量の情報を受信し、デジタル・サイネージ40から洗面台利用者に関する距離の情報を受信する。そして、制御基板50は、所定の時間例えば10秒間、吐水状態の情報、残量の情報及び距離の情報をメモリに蓄積し、蓄積した吐水状態の情報、残量の情報及び距離の情報を所定の時間毎にクラウド・サーバ70に送信する。後述するように、クラウド・サーバ70は、集計された吐水状態の情報、残量の情報及び距離の情報を管理者端末80に送信することで、管理者は、それぞれの洗面台10について、監視し、またそれらの情報に基づいて操作することができる。そして、制御基板50は、自動水栓20の吐水状態の変更を行うために管理者が管理者端末80を用いて指示する吐水状態変更操作指示をクラウド・サーバ70を介して受信し、さらに、自動水栓20に吐水状態変更操作指示を送信する。ここで、吐水状態変更操作指示は、自動水栓20の吐水/止水の切替と吐水量の変更と吐水の温度の変更とを含む管理者が行う操作によって管理者端末80が発する指示である。」 (2) 段落【0034】 「【0034】 クラウド・サーバ70は、インターネットに接続される物理サーバ又はそれによって提供されるサービスであって、例えば、PaaS形式のものであってもよく、IaaS形式のものであってもよい。クラウド・サーバ70は、制御基板50から送信された、それぞれの公共トイレPTのそれぞれの洗面台10について、吐水状態の情報、残量の情報及び距離の情報を集計するとともに、それらの情報から洗面台10の各機器の故障判定を行い、また、集計した各情報及び故障判定された洗面台10の情報を管理者端末80に送信又は通知する。さらに、クラウド・サーバ70は、デジタル・サイネージ40からの問合せに対して、どの所定のコンテンツ・サーバに映像情報をリクエストするかをデジタル・サイネージ40に指示する。」 (3) 段落【0036】 「【0036】 情報処理部72は、クラウド・サーバ70内のアプリケーション・プログラム又は論理回路によって実現される機能の1つである。情報処理部72は、それぞれの洗面台10の制御基板50から蓄積された吐水状態の情報、残量の情報及び距離の情報を所定の時間毎、例えば10秒間毎に受信する。情報処理部72は、受信したそれぞれの洗面台10の吐水状態の情報から、当該洗面台10の利用者数を算出するとともに、それぞれの洗面台10の吐水状態の情報と残量の情報と距離の情報と算出された利用者数とを集計する集計部74と、集計部74に集計された吐水状態の情報及び距離の情報からそれぞれの洗面台10の自動水栓20の故障判定を行うとともに、集計部74に集計された残量の情報から複数の洗面台10のうちのソープ液の補充が必要なソープ・ディスペンサ30を有する洗面台10を特定する判定部76と、を有する。」 (4) 段落【0042】-【0044】 「【0042】 図8に示すように、集計部74は、特定の洗面台10について、ステップs741cにおいて、吐水量の情報を集計する処理と吐水量の情報から洗面台の利用者数を算出する処理とを開始する。ステップs742cにおいて、集計部74は、制御基板50から蓄積された吐水量の情報が送信されるまで待機する。ステップs743cにおいて、集計部74は、制御基板50から送信された吐水量の情報を受信する。ステップs744cにおいて、集計部74は、吐水量が0を超える値であるか0であるかを判断する。吐水量が0を超える値であれば、フローはステップs745cに進み、ステップs745cにおいて、集計部74は、吐水量を記録する。ステップs744cにおいて、吐水量が0であれば、フローはステップs742cの待機に戻る。そして、ステップs745cの後、フローはステップs746cに進み、ステップs746cにおいて、今回の吐水量を感知し始めた時刻(今回開始時刻)と前回の吐水量を感知し始めた時刻(前回開始時刻)とを比較し、その時間差が10秒を超えるか10秒以内であるかを判断する。今回開始時刻と前回開始時刻との時間差が10秒を超えるのであれば、フローはステップs747cに進み、ステップs747cにおいて、集計部74は、その洗面台10について、利用者数+1として算出し記録する。ステップs746cにおいて、今回開始時刻と前回開始時刻との時間差が10秒以内であれば、フローはステップs748cに進む。ステップs746c又はステップs747cから進んだステップs748cにおいて、集計部74は、その洗面台10について、今回開始時刻を記録する。ステップs748cの後、フローはステップs742cの待機に戻る。 なお、ステップs746cにおける判断は、吐水量の情報から、前回開始時刻と今回開始時刻との間の時間が、10秒を超えるのであれば、別の人物が自動水栓20を利用したものとして人数を+1算出するためのものであり、10秒以内であれば、同一人物が自動水栓20を利用したものとして人数を+1算出しないためのものである。 【0043】 判定部76が、それぞれの洗面台10について、自動水栓20の比例制御電磁弁25と流量センサ26とハンドセンサ(図示しない)と、距離センサ46と、において、集計部74に集計された吐水状態の情報及び距離の情報から、各機器が故障しているか否かを判定する故障判定を行う処理の故障判定アルゴリズムを、図9に基づいて、次の段落で説明する。 【0044】 図9に示すように、判定部76は、比例制御電磁弁25についての故障判定として、距離センサ46が距離の情報を出力せず、すなわち、距離センサ46が人体の存在を感知せず、ハンドセンサが信号を出力せず、すなわち、ハンドセンサが手指の存在を感知せず、さらに、流量センサ26が0を超える吐水量の情報を出力するのであれば、比例制御電磁弁25が故障し開状態のままで固定されていると判定する。 判定部76は、比例制御電磁弁25についての故障判定として、距離センサ46が距離の情報を出力し、すなわち、距離センサ46が人体の存在を感知し、ハンドセンサが信号を出力し、すなわち、ハンドセンサが手指の存在を感知し、さらに、流量センサ26が0である吐水量の情報を出力するのであれば、比例制御電磁弁25が故障し閉状態のままで固定されていると判定する。 判定部76は、流量センサ26についての故障判定として、比例制御電磁弁25が開状態の情報を出力し、流量センサが0である吐水量の情報を出力するのであれば、流量センサ26が故障していると判定する。 判定部76は、流量センサ26についての故障判定として、比例制御電磁弁25が閉状態の情報を出力し、流量センサが0を超える吐水量の情報を出力するのであれば、流量センサ26が故障していると判定する。 判定部76は、ハンドセンサについての故障判定として、距離センサ46が距離の情報を出力し、すなわち、距離センサ46が人体の存在を感知し、ハンドセンサが信号を出力せず、すなわち、ハンドセンサが手指の存在を感知せず、さらに、流量センサ26が0を超える吐水量の情報を出力するのであれば、ハンドセンサが故障していると判定する。 判定部76は、距離センサ46についての故障判定として、距離センサ46が距離の情報を出力せず、すなわち、距離センサ46が人体の存在を感知せず、ハンドセンサが信号を出力し、すなわち、ハンドセンサが手指の存在を感知し、さらに、流量センサ26が0を超える吐水量の情報を出力するのであれば、距離センサ46が故障していると判定する。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「手洗いシステム100」が「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」と「サーバ102」とを含むことは、本願発明1のシステムが、「可搬、かつ、任意の場所に設置可能に構成される手洗い装置と、情報処理装置とを含」むことと、「手洗い装置と、情報処理装置とを含」む点で共通する。 イ 本願発明1の「手洗い装置」に関して (ア) 引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」は、上記(1)エの図2を参照すると、「筐体」を備えていることは明らかである。 (イ) 引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」の「シンク202」は、本願発明1の「前記筐体の一部に設けられる手洗い槽」に相当する。 (ウ) 引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」の「水と洗剤を供給するためのシャワーヘッド204」は、本願発明1の「洗浄水を吐水する水栓と」に相当する。 (エ) 引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」は、「異なる位置に配置された種々のセンサを備えて」いるから、当然、センサの出力を取得する何らかの「取得部」を備えており、これは、本願発明1の「前記循環水に関するセンシングデータを取得する取得部」と、「センシングデータを取得する取得部」である点で共通するといえる。 (オ) 引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」は、「手洗いデータのパラメータを受信および分析するため、そして、他の動作上の役割のために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104に接続された、サーバ102」と接続しているから、「取得した前記センシングデータを、前記情報処理装置に送信する送信部」を備えていることは明らかであるといえる。 (カ) まとめ 上記(ア)-(オ)から、引用発明の「(薬剤及び水)ディスペンサ・ユニット104」は、本願発明1において「前記手洗い装置は、 筐体と、 前記筐体の一部に設けられる手洗い槽と、 洗浄水を吐水する水栓と、 前記手洗い槽からの排水を浄化して、循環水として循環させ、前記洗浄水として前記水栓へ供給する循環ユニットと、 前記循環水に関するセンシングデータを取得する取得部と、 取得した前記センシングデータを、前記情報処理装置に送信する送信部と を含」むことと、「前記手洗い装置は、 筐体と、 前記筐体の一部に設けられる手洗い槽と、 洗浄水を吐水する水栓と、 センシングデータを取得する取得部と、 取得した前記センシングデータを、前記情報処理装置に送信する送信部と を含」む点で共通するといえる。 ウ 本願発明1の「情報処理装置」に関して 引用発明の「サーバ102」が、「ユーザプロファイル及び手洗いシーケンスを管理するためのデータベースを含み」、「手洗いデータのパラメータを受信および分析するため、そして、他の動作上の役割のために、薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104に接続された、サーバ102」であって、「1つまたは複数の場所から手洗いデータを解析して、異なるユーザと、そのユーザの挙動、及び、要求されている基準への法令遵守(compliance)又は非遵守に関して、異なる報告及び勧告を発行でき」ることは、本願発明1の「前記情報処理装置は、受信部と、記憶部と、分析部と、出力部とを含み、 前記受信部は、前記手洗い装置から、前記センシングデータを受信し、 前記記憶部は、受信した前記センシングデータを格納し、 前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」ことと、「前記情報処理装置は、受信部と、記憶部と、分析部と、出力部とを含み、 前記受信部は、前記手洗い装置から、前記センシングデータを受信し、 前記記憶部は、受信した前記センシングデータを格納」する点で共通するといえる。 エ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「手洗い装置と、情報処理装置とを含み、 前記手洗い装置は、 筐体と、 前記筐体の一部に設けられる手洗い槽と、 洗浄水を吐水する水栓と、 センシングデータを取得する取得部と、 取得した前記センシングデータを、前記情報処理装置に送信する送信部と を含み、 前記情報処理装置は、受信部と、記憶部と、分析部と、出力部とを含み、 前記受信部は、前記手洗い装置から、前記センシングデータを受信し、 前記記憶部は、受信した前記センシングデータを格納し、 前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する 情報処理システム。」 [相違点1] 本願発明1の「手洗い装置」は、「可搬、かつ、任意の場所に設置可能に構成される」ものであるのに対して、引用発明の「薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104」は、「可搬、かつ、任意の場所に設置可能に構成される」ことが、特定されていない点。 [相違点2] 本願発明1の「手洗い装置」は、さらに、「前記手洗い槽からの排水を浄化して、循環水として循環させ、前記洗浄水として前記水栓へ供給する循環ユニット」を含むのに対して、引用発明の「薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104」は、「循環ユニット」を含むことが特定されていない点。 [相違点3] 本願発明1の「手洗い装置」は、さらに、「前記循環水に関するセンシングデータを取得する取得部」を含むのに対して、引用発明の「薬剤及び水ディスペンサ・ユニット104」は、「前記循環水に関する」センシングデータを取得することが特定されていない点。 [相違点4] 本願発明1の「情報処理装置」は、さらに、「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」のに対して、引用発明の「サーバ102」は、「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し」、「推定された前記劣化状態を出力する」ことが特定されていない点。 (2) 当審の判断 事案に鑑みて、上記[相違点4]について先に検討すると、本願発明1の上記[相違点4]に係る、「情報処理装置」は、さらに、「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」構成については、上記引用文献1-2には記載されておらず、周知技術であるともいえない。 引用文献2には、第5の2(1)を参照すると、手洗い装置等の公衆衛生のための装置を、ポータブル式、すなわち、可搬として、任意の場所に設置可能とする周知技術が記載され、また、引用文献2には、第5の2(1)-(3)を参照すると、手洗い装置等の水を利用する各種の装置において、節水等の目的で、排水を浄化して再利用する手段を設ける周知技術が開示され、さらに、引用文献2には、第5の2(3)を参照すると、手洗い装置等の公衆衛生のための装置のメンテナンス等のために、各種の消耗部品の使用回数を監視して、ユーザに報知する周知技術が開示されているものの、「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」構成は、開示されていない。 よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点4」に係る構成を容易に想到することはできない。 したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2-9について 本願発明2-9も、本願発明1の上記[相違点4」に係る「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 令和4年9月20日付けの補正による、補正後の請求項1-9は、本願発明1の上記[相違点4」に係る、「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」という技術的事項を有するものである。 原査定における引用文献Aには、上記第5の3(1)-(4)の記載を参照すると、公共トイレ等に設置される洗面台とクラウド・サーバとを備え、洗面台は、吐水量やソープ液の残量等の情報をクラウド・サーバに送信し、クラウド・サーバで集計するシステムが記載されている。さらに、引用文献1には、人体を感知する距離センサや、電磁弁の開閉状態等のセンサ情報を組合わせて、センサや電磁弁等の故障を判定することは記載されているが、本願発明1の上記[相違点1]、「相違点2」に係る、上記の「前記分析部は、格納した前記センシングデータに基づき、過去のセンシングデータ及び過去のメンテナンスデータを参照し、前記循環ユニットの劣化状態を推定し、 前記出力部は、推定された前記劣化状態を出力する」という技術的事項は開示されていない。 また、原査定における引用文献Bには、段落【0009】-【0018】を参照すると、可搬かつ任意の場所に設置可能な手洗い装置の周知技術が記載され、原査定における引用文献Cには、段落【0023】-【0026】を参照すると、無線送信装置を用いて医療関係者である利用者を特定する周知技術が記載され、原査定における引用文献E-H(要約欄を参照。)には、それぞれ、手洗い装置や水洗トイレ等からの排水を浄化して循環させる循環ユニットの周知技術が記載されているが、本願発明1の上記[相違点1]、「相違点2」に係る、上記の技術的事項は、原査定における引用文献B-C、E-Hには、記載されておらず、周知技術であるともいえないので、本願発明1-9は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Hに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-016047

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