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特許拒絶査定不服審判

2023-014596

衛生薄葉紙

審判番号
2023-014596
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-210693
請求日
2023年08月30日
審決日
2026年03月30日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】大王製紙株式会社
  • 【請求人代理人】伊東 忠重
審判長/審判官
  • 審判長 有家 秀郎
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 立澤 正樹
分類
P18 .121-WZ (A47K) / P18 .537-WZ (A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-210693「衛生薄葉紙」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月21日出願公開、特開2020- 74977〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 原査定まで 本願は、平成30年11月8日の出願であって、原査定までの経緯は、以下のとおりである。 令和4年 8月31日付け:拒絶理由通知 同年10月18日提出:意見書及び手続補正書 同年12月22日付け:拒絶理由通知(最後) 令和5年 3月10日提出:意見書及び手続補正書 同年 5月31日付け:補正の却下の決定及び拒絶査定(以下、「原査定」という。) (同年 6月13日 :拒絶査定の謄本送達日) 2 審判請求以降 原査定に対し、令和5年8月30日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 それ以降の経緯は、以下のとおりである。 令和6年10月17日付け:拒絶理由通知 同年12月19日提出:意見書及び手続補正書 令和7年10月20日付け:拒絶理由通知(最後) 同年12月22日提出:意見書及び手続補正書 第2 令和7年12月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年12月22日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 令和7年12月22日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、請求項1についてみれば、下記(1)に示す本件補正前(令和6年12月19日提出の手続補正書による補正後)の請求項1を、下記(2)に示す本件補正後のとおりの請求項1に補正するものである(下線は補正箇所を示す。)。 (1)本件補正前 「少なくとも1枚の原紙で形成され、 水に反応してアルカリ性または酸性を示す消臭成分が前記原紙に担持されており、 前記消臭成分が粒子状の固体であり、 前記消臭成分の平均粒子径が1μm~300μmであり、 前記原紙が、積層された2枚の水解性シートであり、 前記消臭成分が前記水解性シートの積層間に担持されており、 前記水解性シートが、複数の第1エンボス凹部と表裏で対応する複数の第1エンボス凸部と複数の第1エンボス凸部に囲まれ且つ第1エンボス凸部が形成されない部分となる第1非エンボス部とを有する第1シートと、複数の第2エンボス凹部と表裏で対応する複数の第2エンボス凸部と複数の第2エンボス凸部に囲まれ且つ第2エンボス凸部が形成されない部分となる第2非エンボス部とを有する第2シートとで構成され、 前記第1シートと前記第2シートとの積層間で、前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部とが対面し、且つ前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部とが対面し、 前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間および対面する前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部によって囲まれた空間に前記消臭成分が前記空間の一部を埋めるように収容されている、衛生薄葉紙。」 (2)本件補正後 「少なくとも1枚の原紙で形成され、 水に反応してアルカリ性または酸性を示す消臭成分が前記原紙に担持されており、 前記消臭成分が粒子状の固体であり、 前記消臭成分の平均粒子径が1μm~300μmであり、 前記原紙が、積層された2枚の水解性シートであり、 前記消臭成分が前記水解性シートの積層間に担持されており、 前記水解性シートが、複数の第1エンボス凹部と表裏で対応する複数の第1エンボス凸部と複数の第1エンボス凸部に囲まれ且つ第1エンボス凸部が形成されない部分となる第1非エンボス部とを有する第1シートと、複数の第2エンボス凹部と表裏で対応する複数の第2エンボス凸部と複数の第2エンボス凸部に囲まれ且つ第2エンボス凸部が形成されない部分となる第2非エンボス部とを有する第2シートとで構成され、 前記第1シートと前記第2シートとの積層間で、前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部とが対面し、且つ前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部とが対面し、 前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間および対面する前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部によって囲まれた空間に前記消臭成分が前記各空間の一部を埋めるように収容されており、前記収容された粒子状消臭成分が前記各空間に分散して担持されている、衛生薄葉紙。」 2 補正目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明について、「空間の一部」を「各空間の一部」とし、「前記収容された粒子状消臭成分が前記各空間に分散して担持されている」という限定を加える補正であるから、特許法17条の2第5項2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。 3 独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かについて、以下に判断する。 (1)本願補正発明、及び発明の詳細な説明等 ア 本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1(2)に示した本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。 イ 本願の発明の詳細な説明等 本願の発明の詳細な説明及び図面には、下記の記載及び図示がある。 (ア)「【0046】 本実施形態において、消臭成分30の形態は、特に限定されないが、水解性シートに担持させる消臭成分30は粒子状の固体、または水溶性カプセルに消臭成分30を内包したカプセル状の粒子状の個体であることが好ましい。ここで、粒子状とは、粉または微細な粒の状態を意味する。消臭成分30がこのような粒子状の固体である場合、消臭成分30の平均粒子径は、好ましくは1μm~300μmであり、より好ましくは3μm~200μmであり、さらに好ましくは6μm~100μmである。なお、本明細書において、平均粒子径は、JIS Z 8815(2013)に準拠したレーザー回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS Z 8819(2001)に準拠して計算される体積基準積算分布が50%となる値(d50)を用いる。 【0047】 また、本実施形態において、消臭成分30を構成する材料は、水に反応してアルカリ性または酸性を示すものであれば、特に限定されない。水に反応してアルカリ性を示すものとしては、例えば、炭酸塩および/または塩基性酸化物を用いることができ、中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウムのいずれか1種またこれらの混合物が好ましく、より好ましくは炭酸カルシウムまたは酸化カルシウムである。また、水に反応して酸性を示すものとしては、例えば、有機酸を用いることができ、中でも、クエン酸、リンゴ酸、乳酸のいずれか1種またこれらの混合物が好ましく、より好ましくはクエン酸またはリンゴ酸である。なお、炭酸塩および/または塩基性酸化物が、潮解性をもつ固体や常温にて揮発する性質をもつ場合は、ゼラチンカプセルやシクロデキストリン等によるカプセル状態とするのが好ましい。 【0048】 また、本実施形態において、消臭成分30は、水溶性の接着剤32で覆われていることが好ましい。具体的には、図3に示すように、消臭成分30は、消臭剤31の全体が接着剤32で被覆されたものである。ここで、消臭成分30が接着剤32で覆われているとは、消臭剤31の全体が覆われている場合に限られず、消臭剤31の一部が接着剤32で覆われている場合、あるいは消臭剤31が接着剤32に含有されている場合が含まれる。 【0049】 なお、水溶性の接着剤32の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、寒天、シクロデキストリン等、またはカルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー等のセルロース系接着剤等が挙げられる。 ・・・・(中略)・・・・ 【0065】 図6は、本実施形態(第2実施形態)に係る衛生薄葉紙の原紙の断面を示す図である。第2実施形態では、原紙STが2枚の水解性シート(第1シート10及び第2シート20)で構成され、さらに、第1シート10は複数の第1エンボス凸部52を有し、第2シート20は複数の第2エンボス凸部62を有する。 【0066】 具体的には、図6に示すように、第1シート10は、エンボス加工により形成された第1エンボス部50を有し、第2シート20は、エンボス加工により形成された第2エンボス部60を有する。第1シート10において、第1エンボス部50は、複数の第1エンボス凹部51、複数の第1エンボス凸部52、及び第1非エンボス部53を有する。また、第2シート20において、第2エンボス部60は、複数の第2エンボス凹部61、複数の第2エンボス凸部62、及び第2非エンボス部63を有する。 【0067】 第1シート10の第1エンボス部50では、第1エンボス凹部51は、第1シート10の一方の面10aに形成されている。また、第1エンボス凸部52は、第1シート10の他方の面10bに形成されて、第1エンボス凹部51と第1シート10の表裏で対応する。さらに、第1非エンボス部53は、複数の第1エンボス凸部52に囲まれ且つ第1エンボス凸部52が形成されない部分となる。 【0068】 第2シート20の第2エンボス部60では、第2エンボス凹部61は、第2シート20の一方の面20aに形成されている。また、第2エンボス凸部62は、第2シート20の他方の面20bに形成されて、第2エンボス凹部61と第2シート20の表裏で対応する。さらに、第2非エンボス部63は、複数の第2エンボス凸部62に囲まれ且つ第2エンボス凸部62が形成されない部分となる。 【0069】 このような構成では、第1エンボス凸部52は、第1シート10の一面(他方の面10b)に形成される凸部(凸エンボス)を構成する。また、第2エンボス凸部62は、エンボス加工により第2シート20の一面(他方の面20b)に形成される凸部(凸エンボス)を構成する。なお、エンボス加工の方法は、特に限定されず、例えば、スチールラバー式のエンボス付与方法により、図示しない凸エンボスロールを第1シート10及び/または第2シート20に押し付ける方法を採用することができる。 【0070】 また、本実施形態では、第1シート10の第1エンボス凸部52が形成された形成面(他方の面)10bと第2シート20の第2エンボス凸部62が形成された形成面(一方の面)20aとが対面している。 【0071】 具体的には、第1シート10の第1エンボス凸部52の頂部52aが、第2シート20の第2エンボス凸部62が形成された形成面20aに接着剤40を介して接着されている。また、第2シート20の第2エンボス凸部62の頂部62aは、第1シート10の第1エンボス凸部52が形成された形成面10bに接着剤40を介して接着されている。第2シート20の第2エンボス凸部62に対して、接着剤40により接着されている。ここで、接着剤40の材質は、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、寒天、シクロデキストリン等、またはカルボキシメチルセルロース等のセルロース系接着剤等を用いることができる。 【0072】 なお、第1シート10の第1エンボス凸部52が形成された形成面(凸部形成面)10bは、エンボス加工により凸部(凸エンボス)が形成された第1シート10の一面(一方の面10a)に対応する。また、第2シート20の第2エンボス凸部62が形成された形成面(凸部形成面)20bは、エンボス加工により凸部(凸エンボス)が形成された第2シート20の一面(一方の面20a)に対応する。 【0073】 また、本実施形態では、図6に示すように、第1シート10の第1エンボス凸部52の頂部52aと第2シート20の第2エンボス凸部62の頂部62aとが対面している。具体的には、第1シート10の第1エンボス凸部52の頂部52aは、第2シート20の第2エンボス凸部62に対して、接着剤40により接着されている。これにより、2枚の水解性シートSTが、第1シート10と第2シート20との積層間で、エンボス凸部52、62の頂部52a、62a同士が対面し、非エンボス部53、63同士が対面するエンボス構造(ティップトゥティップ形式のエンボス構造)を有する。 【0074】 本実施形態では、上述のように、積層された2枚の水解性シートSTを、凸部形成面10b、20bが対面する第1シート10と第2シート20とで構成することにより、2枚の水解性シートSTの積層間BSに空間(エンボス空間)ESを形成することができる。そして、水解性シートSTの積層間BSに形成された空間ESには、消臭成分30を収容することができる。 【0075】 これにより、本実施形態では、水解性シートSTの積層間BSに消臭成分30を確実に担持させることができる。また、水解性シートSTの積層間BSに担持される消臭成分30の量を増やすことができる。 【0076】 また、本実施形態では、上述のように、エンボス凸部52、62の頂部52a、62a同士が対面しかつ非エンボス部53、63同士が対面する(ティップトゥティップ形式のエンボス構造を有する)。これにより、頂部52a、62a同士が対面する両シートのエンボス凸部52、62によって囲まれた複数の空間ESが、2枚の水解性シートSTの積層間BSに分散して形成される。 【0077】 このように水解性シートSTの積層間BSに分散して形成された複数の空間ESには、それぞれ消臭成分30を収容することができる。そのため、本実施形態によれば、2枚の水解性シートSTの積層間BSに消臭成分30を確実に担持しながら、水解性シートSTの全体に分散して担持することができる。」 (イ)図6 「 [図:0001435461000001.jpg] 」 (2)引用文献の記載及び引用発明等について ア 引用文献1 (ア)記載事項 本願出願前の平成27年3月16日に公開され、令和7年10月20日付け拒絶理由通知(最後)で引用された、特開2015-47296号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載及び図示がある(下線は、当審において付した。以下同様。)。 a「【0020】 ここで、本実施形態のトイレットペーパー12は、特徴的に、図2~図4に示されるように、複数のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造を有しており、その積層内面13A~13Dの少なくとも一面に有機酸又はその塩である消臭剤が付与されている。(図中、消臭剤の付与位置を符号15で示す)。消臭剤付与部分15が積層内面13A~13Dに位置していることで、使用時に消臭剤が肌に触れがたくなる。 【0021】 図2に示す形態は、2プライの積層構造であり、その二つの積層内面13A,13Bの双方に消臭剤が付与されているが、必ずしも双方の面13A,13Bに与されている必要はなく、例えば、一方の積層内面13Aのみに消臭剤が付与されていてもよい。 ・・・・(中略)・・・・ 【0028】 ここで、本発明では、長尺のトイレットペーパー12の先端部分のみ消臭剤が付与されているもの、巻き開始部分のみに消臭剤が付与されているもの、トイレットペーパーの全長の中央部分のみに消臭剤が付与されたものであってもよいが、その場合、使用開始初期や使用後期に消臭効果が低下或いは得られなくなるおそれがある。したがって、好ましくは、長尺のトイレットペーパーの長手方向×幅方向の特定の範囲に消臭剤が付与されていない部分が存在するにしても、当該部分の長手方向長さが1m未満であるのが望ましい。換言すれば本発明では、トイレットペーパーの長手方向に少なくとも1m毎に消臭剤の付与部分が存在しているのが望ましい。当該部分が1m未満であれば、十分に消臭性能を得ることができる。すなわち、トイレットロールを構成するトイレットペーパーはロール状に巻かれた場合でもある程度の通気性があることから、1m程度の消臭剤未付与部分があっても、消臭効果を十分に発揮できる。もっとも特に好ましくは、トイレットペーパー12の全長に渡って、さらに特に好ましくは紙面全体に分散して、消臭剤が位置しているものである。トイレットロールは、芯際にいくほどロール周長が短くなるが、紙管の周長の長さの範囲で消臭剤が塗布されていれば、使用開始から使用終了まで常にロール外表面に近い位置に消臭剤付与部分が位置されていることになり、使用開始から使用終了まで消臭効果を持続して発揮させることができる。」 b「【0036】 他方、本発明に係るトイレットロール10では、図4に示すように、トイレットペーパー12にエンボス14が付与されているのが望ましい。エンボス14の付与態様としては、図4に示すように、一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aが他方のトイレットペーパー原紙に対面し、そのエンボス凸部によって他方のトイレットペーパー原紙との間に空隙を有するようされている所謂ダブルエンボスの形態、図示はしないが、トイレットペーパー12の一方面にエンボス凸部のみが存在し、他方の面にそのエンボス凸部に対応する凹部のみが形成されている、所謂シングルエンボスの形態のいずれであってもよい。エンボス14が付与されていることにより嵩高となるとともに、紙面の面積が増加して消臭剤と外気との接触機会がより増加する。特に、図4に示される、プライを構成するトイレットペーパー原紙13のうちエンボスが付与されているものが、そのエンボス凸部頂部14Aが積層内面側に位置するようにして積層されて空隙が形成されているダブルエンボスが望ましい。このエンボス態様では、エンボスによって各プライ間に空隙ができるため、通気性に優れ、より消臭剤と外気とが接触しやすくなり、高い消臭効果が得られる。 【0037】 また、上記ダブルエンボスの場合には、図示例の如く、エンボス凸部頂部14Aにラミネート糊16が配され、これによってトイレットペーパー原紙同士が接着されているのが望ましい。このようにするとプライ剥離が好適に防止される。」 c「【0051】 一方、本実施形態のトイレットロールの製造方法において消臭剤を付与するにあたっては、各付与装置での付与に適した液体状やスラリー状の消臭剤を含む薬液として用いる。係る消臭剤を含む薬液は、消臭剤のほか、溶媒、有効成分である消臭剤をトイレットペーパー原紙に定着させるための接着剤、インク、その他の助剤等を含みうる。溶媒としては、水、アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピルアルコール、エタノール、メタノール等が例示できる。これらを少なくとも一種含むのが望ましく、特に水と、プロピルアルコール、エタノール、メタノールの少なくとも一種で構成される低級アルコールとが含まれているのがよい。 【0052】 接着剤としては、消臭剤の効果を妨げない範囲で選択でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、等が例示できる。 【0053】 ここで、消臭剤としてポリフェノール等を用いる場合には、このポリフェノール等を0.1~40重量%、好ましくは0.5~20重量%、特に好ましくは、1.0~10重量%含むポリフェノール系消臭液に対して、上記接着剤、インク、水や低級アルコール等の溶媒、その他の助剤を適宜混合して、消臭剤を含む薬液とすることができる。 【0054】 なお、ポリフェノール系消臭液には、ポリフェノール等以外のその他の成分として、水等の溶媒や保存剤、pH調製剤等の助剤を含みうる。また、本実施形態に係るポリフェノール系消臭剤には、安定性、ポリフェノール等への官能基の付与、自身の反応性による消臭効果のさらなる向上の観点等のためその他の有機酸、有機酸塩が配合されていてもよい。係る有機酸、有機酸塩は、例えば、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、グルタル酸、アミノ酸、アジピン酸、アスコルビン酸、又はこれらの無機塩もしくは有機塩が例示できる。塩を形成する無機塩基としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムのようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩等が例示できる。また、有機塩基としては、窒素含有塩基、例えば一級、二級又は三級アミン、イミノ基、グアニジノ基、イミダゾリノ基、イミダゾリル基、ピリジル基等の基を有する化合物が例示できる。」 d 図2 「 [図:0001435461000002.jpg] 」 e 図4 「 [図:0001435461000003.jpg] 」 f 上記a~cの記載及び、上記dの図2を踏まえると、「トイレットペーパー原紙13」の「積層内面13A」及び「積層内面13B」は、「トイレットペーパー原紙13」を示す2本線のうち1本の線で示されており、「消臭剤付与部分15」は、内部に点々が付された厚みを有する部分で示されていると理解される。 以上を踏まえると、上記eの図4から、以下の事項が看取される。 (a)トイレットペーパー12は、2枚のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造が2プライの積層構造であること (b)積層されるトイレットペーパー原紙13はそれぞれ、複数のエンボス凸部14Aが形成され、複数のエンボス凸部14Aに対応する他方の面がエンボス凹部となること (c)積層されるトイレットペーパー原紙13はそれぞれ、エンボス凸部14Aと隣接するエンボス凸部14Aとの間に、エンボスが形成されていない非エンボス部を有していること (d)積層される一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部と、他方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部とが対面し、対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間に、消臭剤付与部分15及びラミネート糊16が配置されること (e)積層される一方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部と、他方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部とが対面し、対面する2つの非エンボス部の間の一部に消臭剤付与部分15が配置されること (イ)引用発明 上記(ア)からみて、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)。 「2枚のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造が2プライの積層構造であり、その二つの積層内面13A、13Bの双方に消臭剤付与部分15を有する、トイレットペーパー12であって、トイレットペーパー12の全長に渡って、紙面全体に分散して、消臭剤が位置しているものであり(【0020】、【0021】、【0028】、上記(ア)f(a))、 積層されるトイレットペーパー原紙13はそれぞれ、複数のエンボス凸部14Aが形成され、複数のエンボス凸部14Aに対応する他方の面がエンボス凹部となり(上記(ア)f(b))、 積層されるトイレットペーパー原紙13はそれぞれ、エンボス凸部14Aと隣接するエンボス凸部14Aとの間に、エンボスが形成されていない非エンボス部を有し(上記(ア)f(c))、 積層される一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部と、他方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部とが対面し、対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間に、消臭剤付与部分15及びラミネート糊16が配置され(上記(ア)f(d))、 積層される一方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部と、他方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部とが対面し、対面する2つの非エンボス部の間の一部に、消臭剤付与部分15が配置され(上記(ア)f(e))、 消臭剤を付与するにあたっては、液体状やスラリー状の消臭剤を含む薬液を用い、有効成分である消臭剤をトイレットペーパー原紙13に定着させるための接着剤、を含み(【0051】)、 接着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉、等が例示でき(【0052】)、 消臭剤としてポリフェノール等を用いる場合には、その他の成分として水等の溶媒やpH調整剤等の助剤を含むことができ、安定性、ポリフェノール等への官能基の付与、自身の反応性による消臭効果のさらなる向上の観点のため、有機酸、有機酸塩が配合されていてもよく、有機酸の塩を形成する無機塩基としては、ナトリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩があげられる(【0053】【0054】)、 トイレットペーパー12。」 イ 引用文献2 (ア)記載事項 本願出願前の平成26年10月9日に公開され、令和7年10月20日付け拒絶理由通知(最後)で引用された、特開2014-193212号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 a「【0022】 他方、消臭剤層21は、消臭剤を有効成分として消臭機能を発揮する層である。この消臭剤層21は、図示のように紙管内面11Aの全面に形成するのが望ましい。係る消臭剤層21の有効成分である消臭剤としては、ポリフェノール系消臭剤、スギ、ヒノキ等から抽出された精油類、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、ベタイン化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、ゼオライト、活性炭、イオン交換樹指の少なくとも1種を含むものであるのが望ましい。これらの消臭剤であれば、十分な消臭効果を得ることができる。 【0023】 消臭剤層21は、消臭剤を紙管11の内面11Aに固着するためのバインダー成分が含まれていてもよい。バインダーとしては、消臭剤の効果を妨げないものであれば特に限定されない。例えば、空気中の悪臭成分を化学的に中和したり分解したり補足したりする消臭剤であれば、消臭剤の揮散を過度に妨げないバインダー、吸着を利用する消臭剤であれば消臭剤と外気との接触機会を過度に遮断しないバインダーを用いる。係るバインダーとしては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが例示できる。 【0024】 特に、本実施形態に係るトイレットロールの構成は、二酸化チタン、二酸化アルミニウム、ベタイン化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、ゼオライト、活性炭、イオン交換樹指等のような粉状又は粒状の消臭剤をバインダーにより原紙層20上に付着させて消臭剤層21を形成するものに特に有用である。すなわち、これらの粉状又は粒状の消臭剤は、消臭効果が高いものの従来の凹部のない紙管内面には十分な量を付着させることが難しかった。これは、紙管内面は面積が限られること、粉状又は粒状であるとバインダーを用いても離脱しやすくなることが要因として大きい。本実施形態では、上述のとおり凹部内に入り込む分だけ消臭剤の担持量を増加させることができ、しかもアンカー効果により消臭剤層21の厚みを厚くすることができるため、係る粉状又は粒状の消臭剤を十分な量を付着させることができる。 【0025】 本実施形態において特に望ましい粉状の平均粒子径は、0.5~20μmである。この平均粒径であれば消臭剤層21を形成しやすく、また、十分に原紙層20上に付着させやすい。特に、上記の好ましい凹部2,2…の構成と組み合わせることで、一層の効果が発揮される。なお、ここでの平均粒子径とは、マイクロトラック法によるメジアン径を意味する。」 b「【0043】 このようにして紙管原紙32の紙管内面となる面に、多数の凹部40,40…を形成した後には、この面に塗工機61で消臭剤を塗工して消臭剤層41を形成する。消臭剤の塗工は、適宜のバインダーや溶媒に対して消臭剤を混合した消臭液を、既知の印刷機、塗工機を用いて行なうことができる。消臭液の塗工量は、5~80g/m2となるようにするのが望ましい。この範囲であれば、生産性よく消臭液を十分に塗工することができ、また、十分な量の消臭剤を付与することができる。」 (イ)引用文献2に記載された技術的事項 上記(ア)からみて、引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる(以下、「引用文献2に記載の技術的事項」という。) 「消臭剤層21は、消臭剤を有効成分として消臭機能を発揮する層であり(【0022】)、 消臭剤層21は、固着するためのバインダー成分が含まれ、係るバインダーとしては、ポリビニルアルコールが用いられ(【0023】)、 粒状の消臭剤をバインダーにより原紙層20上に付着させて消臭剤層21を形成し(【0024】)、 粉状の平均粒子径は、0.5~20μmであることで、消臭剤層21を形成しやすく、十分に原紙層20上に付着させやすく(【0025】)、 紙管内面となる面に、塗工機で消臭剤を塗工して消臭剤層21を形成すること(【0043】)。」 ウ 引用文献3 (ア)記載事項 本願出願前の平成26年11月13日に公開され、令和7年10月20日付け拒絶理由通知(最後)で引用された、特開2014-210884号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。 a「【0030】 <本発明の第1:排泄物処理剤> 本発明の第1は、アルカリ性固形物質を含み、水中で用いられ、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示すように用いられる、排泄物処理剤である。このような構成によって、排泄物の臭いを生じさせず、居室や病室内全体に排泄物臭(排泄物から発生する臭気)が臭うという問題を解決することができる。 【0031】 排泄物処理剤は、水中で用いられ、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示すように調製される。pH7以下であると、目的とする消臭効果を得ることができないし、pH12.5を超えると、人体に触れたときの腐食性の観点から見て好ましくない。使用者へのより高い安全性を考慮すると、好ましくはpH7.5~12.5、さらに好ましくはpH8~12、特に好ましくはpH8~11.5に調製される。なお、本明細書中に記載のpHは、水に対して十分な溶解度を有するもの(1重量%の水溶液を調製できる程度の溶解度を有するもの、すなわち、室温の水100gに対して1g以上溶解するもの)については、当該物質の1重量%の水溶液(液温20℃)を調製し、これを(株)佐藤商事社製のPHレコーダーSDカード記録系型番PH-SDを用いて測定する値を意味するものとする。また、水に対する溶解度が比較的低いもの(1重量%の水溶液を調整できない程度の溶解度しか有さないもの、すなわち、室温の水100gに対して1g未満しか溶解しないもの)については、その飽和水溶液(スラリー溶液であってもよい)について、上記測定器を用いて測定する値を意味するものとする。」 b「【0035】 アルカリ性固形物質の形状は、水中に効果的に分散させるという観点から、粉状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限は特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である。上限も特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10~1000μmが好ましく、50~300μmが好ましく、100~150μmが好ましい。かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストを低くすることができる。必要に応じて、アルカリ性固形物質は、平均粒径が異なる2種以上のアルカリ性固形物質が組み合わせて使用されてもよい。 【0036】 アルカリ性固形物質の種類も、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示すように調製することができる物質であれば特に制限されないが、形状が固形の粉末という観点において、好ましい形態においては、アルカリ性固形物質は、重曹、消石灰または塩基性リン酸塩である。 【0037】 (重曹) 重曹(炭酸水素ナトリウム)は、組成式NaHCO3で表されるナトリウムの炭酸水素塩である。重曹は食品添加物としても使用されることがあるように人体に対して無害である。したがって、薬傷を生じさせにくいという点からも、アルカリ性固形物質としては、他のアルカリ性固形物質と比較して、重曹を用いることが好ましい。要するに、直接皮膚等に触れた場合であっても皮膚荒れ等を起こすことなく、取扱い性が増す。また、下水にそのまま流すこともでき、後の処理が非常に楽になる。重曹を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、QINDAO HAI WAN GROUP IMP. EXP.CO.社製や、Zichuan Antou Alum Factory社製の産業等級重曹などが好ましい。アルカリ性固形物質の含有量は上記述べたとおりであるが、特に、重曹である場合は、弱アルカリ性の観点から、50~99質量%であることが好ましく、55~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。」 (イ)引用文献3記載の技術的事項 上記(ア)からみて、引用文献3には次の技術的事項が記載されていると認められる(以下、「引用文献3に記載の技術的事項」という。)。 「消臭効果を得るためのアルカリ性固形物質を含み、水中で用いられ、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示すように用いられる、排泄物処理剤において(【0030】【0031】)、 アルカリ性固形物質の形状は、水中に効果的に分散させるという観点から、粉状であることが好ましく、平均粒径は、10~1000μmが好ましく、50~300μmが好ましく、100~150μmが好ましく、かかる範囲であると、取扱いが容易となり生産コストを低くすることができ(【0035】)、 アルカリ性固形物質の種類は、人体に対して無害であるナトリウムの炭酸水素塩である重曹が好ましいこと(【0036】【0037】)。」 (3)対比・判断 ア 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「2プライの積層構造」をなす「積層」された「2枚のトイレットペーパー原紙13」は、本願補正発明の「少なくとも1枚の原紙」に相当する。 (イ)引用発明において、「消臭剤付与部分15」が消臭のための有効成分を含むことは明らかであるところ、「消臭剤付与部分15」に含まれる消臭のための有効成分は、本願補正発明における「消臭成分」に相当する。 (ウ)引用発明において、「2枚のトイレットペーパー原紙13」が「二つの積層内面13A、13Bの双方に消臭剤付与部分15を有する」ことは、上記(イ)を踏まえると、本願補正発明において、「消臭成分が前記原紙に担持されて」いることに相当する。 (エ)引用発明において、「2枚のトイレットペーパー原紙13が積層されたプライ構造」をなす「トイレットペーパー原紙13」のそれぞれが、「トイレットペーパー12」を形成する用途から、水解性をそなえることが明らかであることは、本願補正発明において、「原紙が、積層された2枚の水解性シートであ」ることに相当する。 (オ)引用発明において、「2枚のトイレットペーパー原紙13」が「二つの積層内面13A、13Bの双方に消臭剤付与部分15を有する」ことは、上記(イ)及び(エ)を踏まえると、本願補正発明において、「前記消臭成分が前記水解性シートの積層間に担持されて」いることに相当する。 (カ)引用発明において、「2プライの積層構造」をなす「2枚のトイレットペーパー原紙13」が、「一方のトイレットペーパー原紙13」及び「他方のトイレットペーパー原紙13」からなることは、上記(エ)を踏まえると、本願補正発明において、「前記水解性シート」が「第1シート」及び「第2シート」で構成されることに相当する。 (キ)上記(カ)を踏まえると、引用発明において、「一方のトイレットペーパー原紙13」に「複数のエンボス凸部14Aが形成され、複数のエンボス凸部14Aに対応する他方の面がエンボス凹部」となることは、本願補正発明において、「第1シート」が「表裏で対応する」「複数の第1エンボス凸部」及び「複数のエンボス凹部」を有することに相当する。 また、引用発明において、「一方のトイレットペーパー原紙13」が「エンボス凸部14Aと隣接するエンボス凸部14Aとの間に、エンボスが形成されていない非エンボス部を有」することは、エンボス凸部14Aを格子の交点に配置した場合、及び千鳥状に配置した場合のいずれであっても、非エンボス部から見て複数の方向にエンボス凸部14Aが配置され、それら複数の方向に配置されたエンボス凸部14Aによって囲まれる領域がエンボス凸部14Aが形成されていない部分となることが明らかであるから、本願補正発明において、「第1シート」が「複数の第1エンボス凸部に囲まれ且つ第1エンボス凸部が形成されない部分となる第1非エンボス部」を有することに相当する。 (ク)上記(カ)を踏まえると、引用発明において、「他方のトイレットペーパー原紙13」に「複数のエンボス凸部14Aが形成され、複数のエンボス凸部14Aに対応する他方の面がエンボス凹部」となることは、本願補正発明において、「第2シート」が「表裏で対応する」「複数の第2エンボス凸部」、及び「複数の第2エンボス凹部」を有することに相当する。 また、引用発明において、「他方のトイレットペーパー原紙13」が「エンボス凸部14Aと隣接するエンボス凸部14Aとの間に、エンボスが形成されていない非エンボス部を有」することは、エンボス凸部14Aを格子の交点に配置した場合、及び千鳥状に配置した場合のいずれであっても、非エンボス部から見て複数の方向にエンボス凸部14Aが配置され、それら複数の方向に配置されたエンボス凸部14Aによって囲まれる領域がエンボス凸部14Aが形成されていない部分となることが明らかであるから、本願補正発明において、「第2シート」が「複数の第2エンボス凸部に囲まれ且つ第2エンボス凸部が形成されない部分となる第2非エンボス部」を有することに相当する。 (ケ)引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部と、他方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部とが対面」していることは、本願補正発明において「前記第1シートと前記第2シートとの積層間で、前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部とが対面し」ていることに相当する。 (コ)引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部と、他方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部とが対面」していることは、本願補正発明において、「第1シートと第2シートの積層間」で「前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部とが対面し」ていることに相当する。 (サ)本願補正発明における「前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間」について、検討する。 上記(1)イに示した、本願の発明の詳細な説明の段落【0073】及び【図6】において、「第1シート10の第1エンボス凸部52の頂部52a」と「第2シート20の第2エンボス凸部62の頂部62a」とが対面する間の領域は、「接着剤40」及び「消臭成分30」によって概略占められているところ、当該「接着剤40」及び「消臭成分30」によって概略占められる「頂部52a」と「頂部62a」との間の領域は、本願補正発明における「前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間」の具体例であると理解される。そして、本願補正発明を特定する請求項1の記載に戻れば、「空間」について、何も存在しない領域であることは特定されていない。 そうすると、本願補正発明における「空間」は、特許請求の範囲の文言から、また本願の明細書及び図面を参酌しても、何も存在しない空間であることが特定されているわけではなく、接着剤などの適宜のものによって占められる空間を含むと理解される。 以上を踏まえると、引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部と、他方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部とが対面し、対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間」は、「消臭剤付与部分15及びラミネート糊16が配置」されている箇所を含めて、本願補正発明において、「前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間」に相当する。 (シ)本願補正発明における「対面する前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部によって囲まれた空間」についても、「空間」に関し、何も存在しない領域であることは特定されていない。 そうすると、引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部と、他方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部とが対面し、対面する2つの非エンボス部の間」は、「一部に、消臭剤付与部分15が配置され」ている箇所も含めて、本願補正発明において、「前記水解性シートの積層間に形成された」「対面する前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部によって囲まれた空間」に相当する。 (ス)本願補正発明において、上記(サ)に対比した構成に係る空間及び上記(シ)に対比した構成に係る空間について、「前記消臭成分が前記各空間の一部を埋めるように収容されて」いる構成と、引用発明において、「トイレットペーパー12の全長に渡って、紙面全体に分散して、消臭剤が位置」しており、上記(サ)に対比した箇所及び上記(シ)に対比した箇所のいずれにも「消臭剤付与部分15」が配置され、該「消臭剤付与部分15」中に消臭のための有効成分が存在することが明らかであることとは、「前記各空間」に「前記消臭成分が収容されている」点で共通する。 (セ)引用発明の「トイレットペーパー12」は、本願補正発明の「衛生薄葉紙」に相当する。 イ 一致点・相違点 したがって、本願補正発明と引用発明とは、 <一致点> 「少なくとも1枚の原紙で形成され、 消臭成分が前記原紙に担持されており、 前記原紙が、積層された2枚の水解性シートであり、 前記消臭成分が前記水解性シートの積層間に担持されており、 前記水解性シートが、複数の第1エンボス凹部と表裏で対応する複数の第1エンボス凸部と複数の第1エンボス凸部に囲まれ且つ第1エンボス凸部が形成されない部分となる第1非エンボス部とを有する第1シートと、複数の第2エンボス凹部と表裏で対応する複数の第2エンボス凸部と複数の第2エンボス凸部に囲まれ且つ第2エンボス凸部が形成されない部分となる第2非エンボス部とを有する第2シートとで構成され、 前記第1シートと前記第2シートとの積層間で、前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部とが対面し、且つ前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部とが対面し、 前記水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と前記第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間および対面する前記第1非エンボス部と前記第2非エンボス部によって囲まれた空間に前記消臭成分が各空間に収容されている、 衛生薄葉紙。」 である点において一致し、下記の点で相違する。 <相違点1> 「消臭成分」に関し、 本願補正発明では、消臭成分が「水に反応してアルカリ性を示す」「粒子状の固体」の「粒子状消臭成分」であり、「平均粒子径が1μm~300μm」であるのに対して、 引用発明では、「消臭剤付与部分15」が含む消臭のための有効成分について、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「消臭成分」の「収容」に関し、 本願補正発明においては、消臭成分が各空間の「一部を埋めるよう」に収容されており、収容された粒子状消臭成分が「前記各空間に分散して担持されている」と特定されているのに対し、 引用発明においては、そのように特定されていない点。 ウ 判断 以下、相違点について検討する。 (ア)相違点1について a 引用発明において、「消臭剤付与部分15」を配置して消臭剤を付与するにあたり、「スラリー状の消臭剤を含む薬液」を用いてよいものである。「スラリー」とは、液体の中に微小固体粒子が浮遊している固液混合体を指すものである。そして、たとえば引用文献3の段落【0030】及び【0031】で、「水中で用いられ、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示すように用いられる」「アルカリ性固形物質」に関し、「その飽和水溶液(スラリー溶液であってもよい)」と記載されているように、水溶性の固体微粒子が飽和水溶液中に分散している状態も、「スラリー」に当たる。また、水溶性の固体微粒子が水以外の溶媒または分散剤中に分散している状態も、「スラリー」に当たる。 b 引用文献2に記載の技術的事項、及び、引用文献3に記載の技術的事項に示されるように、消臭剤の消臭成分について、紙に付着させやすく、また、水中に効果的に分散させやすいものとして、平均粒子径が数十μm程度の固体粒子状ものとすることは、周知技術である。 引用発明において、「スラリー状の消臭剤を含む薬液」を用いて「消臭剤付与部分15」を設ける際、主目的である消臭のための有効成分について、紙の上に十分に付着させやすく水中での分散も良好であることを考慮する観点から、引用文献2及び引用文献3に示される周知技術を採用し、平均粒子径が数十μm程度の固体粒子状の状態でスラリーに含めることは、当業者であれば想到容易である。 また、その際、引用発明において、「消臭剤付与部分15」に含める成分について、「自身の反応性による消臭効果のさらなる向上の観点」で「ナトリウムのようなアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩」を検討していること、及び、「トイレットペーパー12」に設ける「消臭剤付与部分15」として人体への安全性が当然に考慮されるべきことからすると、固体微粒子とする消臭のための具体的な有効成分として、引用文献3に記載の技術的事項で例示される、「重曹」などの「水中で用いられ、水に添加した際にpH7を超えて12.5以下を示す」ものを選択することは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 c そして、引用発明において上記bのように、「消臭剤付与部分15」について、消臭のための有効成分をスラリーが含む固体微粒子としてシートに担持させたものに対して、相違点1に係る本願補正発明の構成において、固体粒子状の消臭成分の構造上の相違が特定されているわけではない。 なお、本願の発明の詳細な説明において、固体粒子状の「消臭成分30」について、固体粒子のみの状態で直接シートに担持させる具体的な方法が説明されているわけではないから、発明の詳細な説明を参酌しても、本願補正発明がスラリーを介して固体粒子状の消臭成分をシートに担持させたものを排除しているとはいえない。 d また、本願補正発明において相違点1に係る構成としたことによる効果は、引用発明、引用文献2、3に示される周知技術から予測される範囲を超える、格別顕著なものとはいえない。 (イ)相違点2について a 引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部と、他方のトイレットペーパー原紙13のエンボス凸部14Aの頂部とが対面し、対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間」では、「消臭剤付与部分15及びラミネート糊16が配置され」るから、「消臭剤付与部分15」が占める領域は「対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間」の一部となる。また、上記(ア)で相違点1について検討したように、「消臭剤付与部分15」中に含める消臭のための有効成分を固体粒子状のものとした場合に、固体粒子状とした消臭のための有効成分が占める領域も、「対面する2つのエンボス凸部14Aの頂部の間」の一部となる。 b 引用発明において、「積層される一方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部と、他方のトイレットペーパー原紙13の非エンボス部とが対面し、対面する2つの非エンボス部の間」では、「消臭剤付与部分15が配置され」るのは「一部」である。また、上記(ア)で相違点1について検討したように、「消臭剤付与部分15」中に含める消臭のための有効成分を固体粒子状のものとした場合に、固体粒子状とした消臭のための有効成分が占める領域も、「対面する2つの非エンボス部の間」の一部となる。 c したがって、相違点2のうち、消臭成分が各空間の「一部を埋めるように」収容されている点は、引用発明との実質的な相違点ではない。 引用発明において、上記(ア)のとおり消臭のための有効成分を固体粒子状とした場合にも、同様である。 d 相違点2に係る本願補正発明の構成のうち、消臭成分が「各空間に分散して担持されている」構成について、検討する。 上記(1)イ(ア)に摘記した本願の発明の詳細な説明の段落【0076】における「・・・複数の空間ESが、2枚の水解性シートSTの積層間BSに分散して形成される。」の記載、及び、段落【0077】における「このように水解性シートSTの積層間BSに分散して形成された複数の空間ESには、それぞれ消臭成分30を収容することができる。そのため、本実施形態によれば、2枚の水解性シートSTの積層間BSに消臭成分30を確実に担持しながら、水解性シートSTの全体に分散して担持することができる。」の記載より、本願補正発明における「各空間に分散して担持されている」という構成は、「各空間」のいずれにも消臭成分が収容されていることによって、シートの全体でみて消臭成分が分散した状態で担持されている状態となっていることを、意味すると理解することが妥当である。 なお、本願の発明の詳細な説明を参照しても、【図6】の「空間ES」について、固体粒子状の「消臭成分30」を個々の「空間ES」内の全体に、均一に分散させることは、説明されていない。 そして、本願補正発明を特定する請求項1の記載に戻れば、一つ一つの空間の中でみて、「各空間内の全体」に「均一」に消臭成分が「分散」されているとは、特定されていない。 したがって、本願補正発明における、消臭成分が「各空間に分散して担持されている」構成は、消臭成分が「各空間」のいずれにも収容されていることにより、シートの全体でみて消臭成分が分散した状態で担持されている状態となっていることを特定するものと認められる。また、仮に「各空間」の中でも何らか分散している趣旨であったとしても、「各空間」内の全体に均一に消臭成分が分散されていることを特定するとは、認められない。 e 上記dを踏まえて、相違点2に係る本願補正発明の構成のうち、消臭成分が「各空間に分散して担持されている」構成について、判断する。 上記ア(ス)で指摘したとおり、引用発明において、「トイレットペーパー12の全長に渡って、紙面全体に分散して、消臭剤が位置」しており、上記ア(サ)に対比した箇所及び上記ア(シ)に対比した箇所のいずれにも「消臭剤付与部分15」が配置され、該「消臭剤付与部分15」中に消臭のための有効成分が存在することが明らかである。 したがって、相違点2のうち、消臭成分が「各空間に分散して担持されている」点は、引用発明との実質的な相違点ではない。 引用発明において、上記(ア)のとおり消臭のための有効成分を固体粒子状とした場合にも、同様である。 また引用発明において、上記(ア)のとおり消臭のための有効成分を固体粒子状とした場合、固体粒子状とした消臭のための有効成分は、どの部分の「消臭剤付与部分15」を見ても、「消臭剤付与部分15」の中である程度分散した状態となることが明らかである。 したがって、相違点2のうち、消臭成分が「各空間に分散して担持されている」点は、仮に消臭成分が「各空間」の中でも何らか分散している趣旨であったとしても、引用発明との実質的な相違点とはならない。 f よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明との実質的な相違点ではない。 (ウ)相違点1、2のまとめ 上記相違点1、2を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願補正発明は、引用発明、及び、引用文献2、3に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ 請求人の主張 (ア)請求人の主張 請求人は、令和7年12月22日提出の意見書において、下記の主張をしている。 「(相違点1) 本願発明では、消臭成分が粒子状の固体であり、その平均粒子径が1μm~300μmであるのに対し、引用発明1では、消臭剤が液体状またはスラリー状で付与されるのみであり、粒子状固体であることは開示されていません。 (相違点2) 本願発明では、水解性シートの積層間に形成された複数の空間に、粒子状の消臭成分が空間の一部を埋めるように収容され、各空間に分散して担持されるのに対し、引用発明1では、消臭剤が原紙の積層内面に付与されるにすぎず、空間内部に粒子状消臭成分が収容される構成は開示されていません。 本願発明は、これらの相違点を有する構成を採用することにより、 (A)水解性シートの積層間に消臭成分を確実に担持させつつ担持量を増加させることができ、 (B)消臭成分をシート全体に分散して担持させることができる、 という効果を奏します(本願明細書0016、0018、0074~0077、図6参照)。」 「しかしながら、引用文献1~3のいずれにも、消臭成分が粒子状の固体であり、消臭成分の平均粒子径が1μm~300μmであり、かつ水解性シートの積層間に形成された、対面する前記第1エンボス凸部の頂部と第2エンボス凸部の頂部によって囲まれた空間および対面する第1非エンボス部と第2非エンボス部によって囲まれた空間に、粒子状の固体である消臭成分が該空間の一部を埋めるように収容されており、該収容された粒子状消臭成分が各空間に分散して担持された構成(上記相違点1~2)を採用することで、水解性シートの積層間に消臭成分を確実に担持させながら、担持される消臭成分の量を増やし、かつ、消臭成分を水解性シートの全体に分散して担持することができる(上記(A)~(B)の効果が得られる)という本願発明の技術思想は開示されておりません。そのため、引用発明1~3には、引用発明1から、あるいは引用発明1に引用発明2、3を適用して、本願発明に想到する動機付けがありません。」 「 しかしながら、引用文献1に記載の消臭剤は、液体状またはスラリー状の混合液が紙表面に付与(塗布)される構成であり(引用文献1の段落0051~0054)、本願発明のように、粒子状固体が空間内部に収容される構成とは本質的に異なります。 また、引用文献1は、液体状やスラリー状の消臭剤のみを教示しており、粒子状固体を空間内に収容する構成を示唆する記載はありません。このように文献に開示されていない構造を仮定して論理付けることは、後付けの推論であり、このように、引用文献に開示されていない構成を前提として進歩性を否定する判断は、後知恵的な判断に基づくものと考えられ、また、引用文献1の記載を超える推論であると思料します。 さらに、引用文献2には、粉体状の消臭剤は付着面積が限られ、十分に付着させることが困難であることが明示されており(引用文献2の段落0003)。これは、粒子状消臭成分を紙に担持させる本願発明の方向性とは逆の教示、すなわち阻害要因に該当します。 以上のとおり、引用発明1に基づいて、または引用発明1に引用発明2、3を組み合わせたものに基づいて、本願発明(本願請求項1の発明)に想到することは困難です。」 (イ)請求人の主張についての判断 上記ウ(ア)で本願補正発明と引用発明との相違点1について判断したとおり、引用発明において、「スラリー状の消臭剤を含む薬液」を用いて「消臭剤付与部分15」を配置する場合、「スラリー」とは、液体の中に微小固体粒子が浮遊している固液混合体を指すものであるから、「消臭剤付与部分15」を設ける主目的である消臭のための有効成分を、「スラリー」に含める固体粒子の状態とすることは、当業者であれば想到容易である。 なお、本願の発明の詳細な説明等を参酌しても、固体の「消臭成分30」をシートに担持させる具体的な手法が説明されているわけではなく、本願補正発明において製造の際にスラリーが含む固体微粒子としてシートに担持させた固体粒子状の消臭成分との構造上の相違が特定されているわけでもないから、請求人が主張するように、本願補正発明における「粒子状の固体」の「消臭成分」について、引用発明における「スラリー」とは相容れないものということはできない。 また、上記(3)ウ(イ)で本願補正発明と引用発明との相違点2について判断したとおり、引用発明において、本願補正発明の「各空間」相当するいずれの領域についても、その一部に「消臭剤付与部分15」が配置されており、「消臭剤付与部分15」に含まれる消臭のための有効成分は、本願補正発明の「各空間」に相当するいずれの領域についても、その一部を占めることとなる。 したがって、上記請求人の主張のうち、本願補正発明の構成が想到容易でない旨の主張は、採用することはできない。 また、引用発明において、本願補正発明の「各空間」に相当するいずれの領域にも、「消臭剤付与部分15」に含まれる消臭のための有効成分が配置されることとなるから、請求人が主張する消臭成分を分散配置させる効果、及び、消臭成分の量を増やすことができるという効果は、引用発明により得られる効果と、格別変わるものとはいえない。 したがって、上記請求人の主張のうち、本願補正発明の構成に依拠した格別の効果についての主張も、採用することはできない。 よって、上記請求人の主張は採用できない。 オ 本願補正発明のまとめ よって、本願補正発明は、引用発明、及び、引用文献2、3に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 (4)独立特許要件のまとめ 以上より、本願補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができたものではない。 4 補正の却下の決定のむすび 上記2及び3のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願について 1 本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1~3に係る発明は、本件補正前の令和6年12月19日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~3の記載により特定されるべきものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)を特定する、特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記第2 1(1)に摘記したとおりである。 2 令和7年10月20日付け拒絶理由通知(最後)の概要 令和7年10月20日付け拒絶理由通知(最後)で通知した拒絶理由のうち、本願発明についての拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 ・進歩性欠如 本願発明は、引用発明、および、周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2015-47296号公報 2.特開2014-193212号公報(周知技術を示す文献。) 3.特開2014-210884号公報(周知技術を示す文献。) なお、上記引用文献1~3は、上記第2において本願補正発明の独立特許要件を判断する際に示した引用文献1~3と同じである。 3 当審の判断 本願発明は、本願補正発明から一部の構成を削除したものである。 上記第2の3で判断したとおり、本願補正発明は、引用発明、及び、引用文献2、3に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、及び、引用文献2、3に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-014596

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