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特許拒絶査定不服審判

2021-015323

手切り開封用低吸着性積層体と、該積層体を用いた包装材料及び包装体

審判番号
2021-015323
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-162090外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月10日
審決日
2023年01月17日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B32B) / P18 .57 -Z (B32B) / P18 .572-Z (B32B) / P18 .575-Z (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-162090「手切り開封用低吸着性積層体と、該積層体を用いた包装材料及び包装体」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月14日出願公開、特開2019- 38182〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年8月25日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 3月23日付け:拒絶理由通知書 令和3年 5月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 8月10日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和3年11月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年11月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年11月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「 【請求項1】 基材層と、ベース樹脂層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体であって、 前記基材層は、紙層であり、 前記ベース樹脂層は、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであり、 前記接着剤層を形成する接着剤は、ポリウレタン系接着剤であり、 前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、 該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有する非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであって、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造であり、 前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が75~85℃である、 経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体。 【請求項2】 請求項1に記載の手切り開封用低吸着性積層体を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装材料。 【請求項3】 請求項2に記載の手切り開封用低吸着性包装材料を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装体。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和3年5月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 少なくとも、基材層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する、手切り開封用低吸着性積層体であって、 前記基材層は、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであり、 前記接着剤層を形成する接着剤は、ポリウレタン系接着剤であり、 前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであり、 前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃である、 経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体。 【請求項2】 前記基材層は、1軸延伸PET、2軸延伸PET、未延伸ナイロン、2軸延伸PP、及び、紙、なる群から選択される1種または2種以上を含有する層であって、1層または2層以上で構成されているものであり、 かつ、2層以上で構成されている場合には、各層は同一または異なる組成からなる、請求項1に記載の、手切り開封用低吸着性積層体。 【請求項3】 前記基材層が、紙層を有するものである、請求項1または2に記載の、手切り開封用低吸着性積層体。 【請求項4】 請求項1~3の何れか1項に記載の手切り開封用低吸着性積層体を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装材料。 【請求項5】 請求項4に記載の手切り開封用低吸着性包装材料を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装体。」 2 本件補正の適否 (1)目的外補正について ア 特許請求の範囲の限定的減縮について 本件補正後の請求項1に係る発明は、「基材層と、ベース樹脂層と、接着剤層と、シール層」を有し、「前記基材層は、紙層であり」、「前記ベース樹脂層は、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」る「手切り開封用低吸着性積層体」である。 一方、本件補正前の請求項1に係る発明は、「少なくとも、基材層と、接着剤層と、シール層」を有し、「前記基材層は、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」る「手切り開封用低吸着性積層体」である。 このように、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1 に係る発明に対し、「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」る構成を「基材層」の特定事項から「ベース樹脂層」の特定事項とし、「基材層」の特定事項を「紙層」へと変更したものである。 よって、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「基材層」の構成を変更するものであるから、本件補正の目的は特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 また、本件補正後の請求項1に係る発明と、本件補正前の請求項2又は3に係る発明とについて対比しても、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項2又は3に係る発明における、「基材層」のうち「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」る層を削除したものであるから、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。 イ 請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明について 本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除、同項第3号の誤記の訂正、及び、同項第4号の明りょうでない記載の釈明のいずれを目的としたものではないことは明らかである。 ウ 目的外補正についての結論 以上のことから、本件補正の目的は特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、特許法第17条の2第5項の規定を満たしていない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (2)独立特許要件について 上記(1)に記載したとおり、本件補正発明は却下すべきものであるが、仮に本件補正発明が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 ア 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。 イ 引用文献の記載事項 (ア) 引用文献1に記載された発明 a 原査定の拒絶の理由で引用された特開2015-66802号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与したものである。)。 (a)「【請求項1】 少なくとも、ベース樹脂層、接着剤層、及びシール層からなる非吸着性シーラントフィルムであって、 該シール層は、ガラス転移点が70~90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に該接着剤層を介してドライラミネート法により積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。 【請求項2】 少なくとも、基材フィルム層と、請求項1に記載の非吸着性シーラントフィルムからなる層と、からなる包装材用積層体。」 (b)「【0001】 本発明は、化成品、医薬品、食品等の内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性のシーラントフィルム及びそれよりなる包装材用積層体に関し、より詳細には、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができ、且つ、高いシール強度を示し、さらに、成膜が容易であるシーラントフィルム及びそれよりなる包装材用積層体に関する。」 (c)「【0006】 本発明は、上記の問題点を解決し、優れた非吸着性及びシール強度を示し、さらに、成膜が容易であるシーラントフィルム、及びそれよりなる包装材用積層体を提供することを目的とする。」 (d)「【0012】 さらに、本発明の非吸着性シーラントフィルムをシーラント層として有する積層体は、種々の包装材として使用するのに適しており、特に、非吸着性が求められる医薬品用包装袋を形成するために、好適に使用することができる。」 (e)「【0017】 <2>ベース樹脂層 本発明の非吸着性シーラントフィルムのベース樹脂層は、任意の樹脂フィルムからなる。各種包装材や包装容器に用いられる任意の樹脂フィルムを使用することができ、貼り合わせる基材フィルムの種類等に応じて、適するものを自由に選択して使用する。 【0018】 ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの具体例としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂等)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂等からなる樹脂フィルムが例示できる。 【0019】 層間の接着強度を高める観点から、ホモPETからなる樹脂フィルムが特に好ましい。なお、本発明において、ホモPETは、テレフタル酸とエチレングリコールとを、エステル交換法、直接エステル化法等の任意の方法により重縮合してなる結晶性PETであり、慣用の添加剤や不可避的に混入する不純物等を除いては、他の共重合成分を積極的には含まないものである。慣用の添加剤としては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種ないし2種以上を含んでもよい。数平均分子量が2~3万程度の汎用のホモPETを好適に用いることができる。」 (f)「【0022】 <3>接着剤層 本発明において、接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の任意のドライラミネート用接着剤を使用することができる。 【0023】 上記の接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。 シール層を構成する共重合ポリエステルとの接着性を高める観点から、ポリウレタン系接着剤からなるドライラミネート用接着剤を特に好ましく使用することができる。」 (g)「【0024】 <4>シール層 本発明の非吸着性シーラントフィルムのシール層は、ガラス転移点が70~90℃、より好適には70~80℃である非晶性の共重合ポリエステルからなる。 【0025】 本発明における共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)が代表例としてあげられる。このような共重合PETとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを主成分とし、これに、共重合成分としてテレフタル酸以外の多価カルボン酸及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコールを、非晶性を示し且つガラス転移点が70~90℃となるように添加し、共重合して得られる変性PETが用いられる。 【0026】 なお、本発明において、非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて-100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した際に、融解ピークを持たないことを意味する。 また、本発明において、ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して測定される。 【0027】 共重合成分として添加される多価カルボン酸としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸(不飽和脂肪酸の二量体又はその水素添加物を主体とするもの)、ジフェニルカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。 【0028】 また、共重合成分として添加される多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物等が挙げられる。 【0029】 上記共重合PETの具体例としては、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコール、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノール、テレフタル酸とイソフタル酸とプロピレングリコール等による組み合わせの共縮合重合体からなるPETが挙げられる。 【0030】 上記主成分及び共重合成分の混合比は、非晶性を示し且つ所望のガラス転移点を有する限り、特に限定されないが、例えば、原料となる多価カルボン酸の50モル%以上がテレフタル酸であり、また、原料となる多価アルコールの50モル%以上がエチレングリコールである。原料となるテレフタル酸及びエチレングリコールの量がこれより少ないと、耐衝撃性及び非吸着性が損なわれ得る。 【0031】 また、原料となる多価カルボン酸及び多価アルコールの合計量100モル%に対して、主成分であるテレフタル酸及びエチレングリコールの合計量が、50~95モル%であり、共重合成分の合計量が5~50モル%であることが好ましい。共重合成分の合計量が5モル%より少ないと、非晶性が失われ、シール強度が損なわれる。 【0032】 さらに、本発明においては、上記非晶性共重合ポリエステルのうち、ガラス転移点が70~90℃となるように調製された共重合ポリエステルを用いる。この調製は、原料として使用する多価カルボン酸及び多価アルコールの化学構造等に応じて、これらの混合比や重合度等を変化させることにより、当業者が適宜に行うことができる。 【0033】 本発明において、ガラス転移点が70~90℃である非晶性ポリエステルを用いることにより、100~200℃、より好ましくは120~160℃でのヒートシールによって、優れたシール強度及びヒートシール性が発揮される。ガラス転移点がこの範囲を外れると、低温シール性が損なわれるか、または十分なシール強度が得られないため好ましくない。 【0034】 上記の要件を満たす、ガラス転移点が70~90℃である非晶性の共重合ポリエステルは商業的にも入手可能であり、本発明において好適に用いられるものとしては、バイロン(R)(東洋紡(株)製)、Eastar PETG(EASTMAN CHEMICAL(株)製)等が挙げられる。」 (h)「【0042】 <6>積層体 本発明のシーラントフィルムからなる層に、基材フィルム層を積層して、包装材用積層体を得ることができる。 ここで用いる基材フィルム層としては、プラスチックフィルム等の単層フィルム、または多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装袋及び包装容器に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。好ましく使用される積層体の具体例としては、二軸延伸PETフィルム上に、接着剤層を介してアルミニウム箔を貼り合わせた多層積層フィルムを基材フィルムとして、該アルミニウム箔側の面上に、本発明の非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最表層となるように重ね合せ、ドライラミネート等で積層してもよい。」 (i)「【0047】 上記積層体よりなる包装袋や包装容器は、特に、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の包装のために、例えば、貼付剤の外袋として、または化粧水等の詰め替え用内容物に使用されるスタンディングパウチとして、好適に使用することができる。」 (j)「【0048】 次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。 【実施例】 【0049】 [実施例1] (1)非晶性PET(東洋紡(株)製SI-173、ガラス転移点78℃)をTダイ法により押出し、30μm厚の非晶性PETフィルム(シール層)を得た。 【0050】 (2)ベース樹脂層として2軸延伸ポリエステルフィルム(PET;東洋紡(株)製E-5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、(1)の非晶性PETフィルムと貼り合せた後、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させ、本発明の非吸着性シーラントフィルムを得た。 【0051】 (3)一方、2軸延伸ポリエステルフィルム(PET;東洋紡(株)製E-5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、厚さ7μmのアルミ箔(日本製箔(株)製A1N30H-O)と貼り合せた後、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、基材フィルムとした。 【0052】 (4)次いで、このアルミ箔面に接着剤を上記と同様に塗布し、(2)で得た本発明の非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合わせ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させ、本発明の積層体を製造した。得られた積層体の層構成は以下のとおりであった: 2軸延伸ポリエステルフィルム/接着剤/アルミ箔/接着剤/2軸延伸ポリエステルフィルム/非晶性PETフィルム」 b 特に上記a(h)、(j)の記載を踏まえれば、引用文献1には、2軸延伸ポリエステルフィルム、接着剤及びアルミ箔からなる基材フィルム層に対して、ベース樹脂層、接着剤層、シール層からなる非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合わせて積層した包装材用積層体が記載されていることが分かる。 c 上記a、bを総合し、特に実施例1の層構成に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「基材フィルム層と、非吸着性シーラントフィルムからなる層とからなる包装材用積層体であって、 前記非吸着性シーラントフィルムは、ベース樹脂層、接着剤層、及びシール層からなり、 前記基材フィルム層は、2軸延伸ポリエステルフィルム、接着剤及びアルミ箔からなり、 前記ベース樹脂層は、東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルムであり、 前記接着剤層は、ロックペイント株式会社製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1からなり、 前記シール層は、東洋紡株式会社製SI-173からTダイ法により押出して形成された30μm厚の非晶性PETフィルムであって、 東洋紡株式会社製SI-173のガラス転移点が78℃であり、 前記基材フィルム層に対して、ベース樹脂層、接着剤層、シール層からなる非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合わせて積層した、 包装材用積層体。」 (イ) 引用文献2、3に記載された事項 a 引用文献2 (a) 原査定の拒絶の理由で引用された特開2005-7827号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与したものである。)。 「【請求項1】 基材上に、ポリオレフィン層、およびアニオン系界面活性剤または両性界面活性剤を含み且つ沸点が100℃以下の有機溶剤を実質的に含まない水分散液型の非晶性ポリエステル樹脂層を順次形成した内面シール層を有する包装材。」 「【請求項4】 前記基質層が、紙、セロハン、ポリエステル、ナイロンおよびポリプロピレンのいずれか少なくとも一種からなる請求項2または3に記載の包装材。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、粉体状あるいは(顆)粒状の医薬品(医薬部外品、化粧品を含む)や健康食品の包装に適した袋状の包装材ならびに内容物を封入して得られる包装体に関する。」 「【0009】 【発明の実施の形態】 (基材) 本発明の包装材の基材は、従来の医薬品等の包装材に用いられているものと同様の材料構成が用いられる。すなわち、必要に応じて印刷を施した、紙、セロハンまたはポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムからなる基質層上に、バリア層としてアルミニウム箔又はバリアフィルム(例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム、シリカやアルミナ、アルミニウム等の無機物の蒸着フィルム、またはポリプロピレンフィルム等)を貼合せたものが用いられる。バリア層は、例えば酸素透過度が50mL/m2・day・MPa以下(JIS K7126B法)および/または水蒸気透過度が5g/m2・day以下(JIS K7129B法)のバリアとなることが好ましい。」 「【0076】 (実施例9) 基材として12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの替わりに坪量30.5g/m2のグラシン紙を使用すること、および下層のポリエチレン40μmを20μmとすること以外は、実施例1と同様にして、包装材を作製した。包装材作製時の塗工性は良好であった。包装材のシール強度は9.4N/15mm、残留溶剤量は0.6mg/m2、臭いは無臭、耐ブロッキング性は良好、粉粒体付着率は0.2%であった。いずれの評価項目も全く問題がない。」 (b) 上記記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。 「基材として紙を使用し、内面シール層を有する医薬品用の包装材。」 b 引用文献3 (a) 本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-66800号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある(段落【0032】の「基材フィルム」を除く下線は、当審で付与したものである。)。 「【請求項1】 少なくとも、基材フィルム層と、バリアフィルム層と、非吸着性シーラントフィルム層とからなる包装材用積層体であって、 該非吸着性シーラントフィルム層は、少なくともベース樹脂層とシール層とからなり、 該ベース樹脂層は、ホモポリエチレンテレフタレートからなる層であり、 該シール層は、ガラス転移点が70~90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に押出コーティングにより積層される層であることを特徴とする、上記包装材用積層体。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、化成品、医薬品、食品等の内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性のシーラントフィルムからなる包装材用積層体に関し、より詳細には、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができ、且つ、高いシール強度を示し、さらに、成膜が容易であるシーラントフィルムからなる包装材用積層体に関する。」 「【0032】 基材フィルム 本発明において、基材フィルムとしては、単層または多層積層構成の樹脂フィルム、又は、模造紙、クレイコート紙、クラフト紙、板紙、合成紙等の各種の紙類が用いられるが、特に限定されず、各種包装袋及び包装容器に用いられる任意の樹脂フィルム及び/又は紙類を使用することができる。 上記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂など)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロースエステル類などが例示できる。これらの樹脂は、単独で用いても、2種またはそれ以上を混合して用いてもよい。上記樹脂フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。」 (b) 上記記載から、引用文献3には、次の事項が記載されていると認められる。 「基材フィルム層として紙を用い、非吸着性シーラントフィルム層を有する医薬品用の包装材用積層体。」 c 周知技術 上記a、bに記載したとおり、医薬品用の包装材に用いられる、基材層及びシール層を有する積層体において、基材層を紙層からなるものとしたものは周知の技術(以下「周知技術」という。)である。 ウ 引用発明1との対比 (ア) 本件補正発明と引用発明1とを対比する。 a 引用発明1は、優れた非吸着性及びシール強度を有するシーラントフィルムからなる包装材用積層体に係る技術であり(上記イ(ア)a(b)、(c))、本件補正発明もシール強度に優れ、被包装体の薬剤から発生する有効成分に対して低い吸着性を有する手切り開封用低吸着性積層体に係る技術であるから(段落【0006】)、両者の技術分野及び課題が共通する。 b 引用発明1の「基材フィルム層」、「ベース樹脂層」、「接着剤層」、「シール層」は、上記イ(ア)a(e)~(h)の記載及びその機能、構造又は技術的意義を考慮してみると、それぞれ本件補正発明の「基材層」、「ベース樹脂層」、「接着剤層」、「シール層」に相当する。また、「非吸着性シーラントフィルム」の「非吸着性」は「低吸着性」ともいえるので、引用発明1の「基材フィルム層と、非吸着性シーラントフィルムからなる層とからなる包装材用積層体」は本件補正発明の「低吸着性積層体」に相当する。 c そうすると、引用発明1の「包装材用積層体」が「基材フィルム層と、非吸着性シーラントフィルムからなる層とからな」り、「前記非吸着性シーラントフィルムは、ベース樹脂層、接着剤層、及びシール層からなり」、「前記基材フィルム層に対して、ベース樹脂層、接着剤層、シール層からなる非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合わせて積層した」態様は、本件補正発明の「低吸着性積層体」が「基材層と、ベース樹脂層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する」態様に相当する。 d また、引用発明1の「ベース樹脂層」が「東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルム」であることと、本件補正発明の「前記ベース樹脂層」が「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」ることとは、「前記ベース樹脂層」が「ポリエチレンテレフタレートであ」る限りで一致する。 e また、引用発明1の「シール層」に用いられている「東洋紡株式会社製SI-173」について、引用文献1には「ガラス転移点が78℃」である点は記載されているものの(段落【0049】)、具体的な構造が記載されていない。しかしながら、本願明細書の段落【0029】に記載されているように、当該「東洋紡株式会社製SI-173」が「非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の30モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造」の非晶性PETであることは、例えば特開2017-2236号公報(平成29年1月5日出願公開)の段落【0117】、特開2003-104456号公報(平成15年4月9日出願公開)の段落【0047】にあるように一般的に知られていたことである。また、当該構造を踏まえれば、「非晶性PETフィルム」が「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層」であること、当該「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有する非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレート」であることは、当業者にとって明らかである。 そうしてみると、引用発明1の「シール層」が「東洋紡株式会社製SI-173からTダイ法により押出して形成された30μm厚の非晶性PETフィルム」である態様は、本件補正発明の「シール層」が「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有する非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであって、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造であり、前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が75~85℃である」態様に相当する。 (イ) 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「基材層と、ベース樹脂層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する、低吸着性積層体であって、 前記ベース樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートであり、 前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、 該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有する非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであって、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造であり、 前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が75~85℃である、 低吸着性積層体。」 【相違点1】 「低吸着性積層体」について、本件補正発明は、「経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体」であるのに対し、引用発明1は用途が不明であるとともに、「手切り開封用」であるか不明な点。 【相違点2】 「基材層」について、本件補正発明は、「紙層」であるのに対し、引用発明1は「2軸延伸ポリエステルフィルム、接着剤及びアルミ箔」からなる点。 【相違点3】 「ベース樹脂層」について、本件補正発明は、「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレート」であるのに対し、引用発明1は、「東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルム」であり、具体的な構造が不明な点。 【相違点4】 「接着剤層を形成する接着剤」について、本件補正発明は「ポリウレタン系接着剤」であるのに対し、引用発明1は「ロックペイント株式会社製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1」である点。 エ 判断 以下、相違点について検討する。 (ア)相違点1について 上記イ(ア)a(b)、(d)、(i)に記載したとおり、引用文献1の段落【0001】、【0012】、【0047】には、積層体よりなる包装袋を、医薬品、医薬部外品の包装に用いることが記載されているとともに、貼付剤の外袋に用いる例が記載されている。さらに、上記イ(ア)a(b)に記載したとおり、引用文献1の段落【0001】には、内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性のシーラントフィルムによって、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができることが記載されている。これらの記載を踏まえれば、被包装対象を、医薬品や医薬部外品の貼付剤の一種である経皮吸収テープとすることは、何ら困難なことではない。 また、被包装対象を限定することにより、格別の効果を奏するものでもない。 さらに、このような医薬品、医薬部外品の包装として手切り開封が可能なものは一般的であって、引用発明1を手切り開封用とすることは、当業者にとって困難なことではない。 したがって、引用文献1の上述の記載を踏まえれば、引用発明1において、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点2について 上記イ(ア)a(h)に記載したとおり、引用文献1の段落【0042】には、基材フィルム層として、「特に限定されず、各種包装袋及び包装容器に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。」ことが記載されている。 当該記載を踏まえれば、上記周知技術を適用し、引用発明1の「基材フィルム層」を「紙層」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 (ウ)相違点3について 上記イ(ア)a(e)に記載したとおり、引用文献1の段落【0019】には、「ベース樹脂層」を構成する樹脂フィルムとして、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなり、数平均分子量が2~3万程度の結晶性ホモPETが特に好ましい旨が記載されている。 当該記載を踏まえれば、引用発明1のベース樹脂層である「2軸延伸ポリエステルフィルム」を「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレート」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 (エ)相違点4について 上記イ(ア)a(f)に記載したとおり、引用文献1の段落【0022】~【0023】には、「接着剤層を形成する接着剤」として、ポリウレタン系接着剤が特に好ましい旨が記載されている。 当該記載を踏まえれば、引用発明1の「接着剤」として「ポリウレタン系接着剤」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 (オ)本件補正発明の効果について 上述した相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (カ)したがって、本件補正発明は、引用発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 オ 独立特許要件についての結論 よって、仮に本件補正発明が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである場合、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年11月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年5月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)の【請求項1】に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 <理由> (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2015-66802号公報 3 引用文献 (1) 引用文献1 ア 引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与したものである。)。 (ア)「【請求項1】 少なくとも、ベース樹脂層、接着剤層、及びシール層からなる非吸着性シーラントフィルムであって、 該シール層は、ガラス転移点が70~90℃である非晶性の共重合ポリエステルからなり、該ベース樹脂層上に該接着剤層を介してドライラミネート法により積層される層であることを特徴とする、上記非吸着性シーラントフィルム。」 (イ)「【0001】 本発明は、化成品、医薬品、食品等の内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性のシーラントフィルム及びそれよりなる包装材用積層体に関し、より詳細には、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができ、且つ、高いシール強度を示し、さらに、成膜が容易であるシーラントフィルム及びそれよりなる包装材用積層体に関する。」 (ウ)「【0006】 本発明は、上記の問題点を解決し、優れた非吸着性及びシール強度を示し、さらに、成膜が容易であるシーラントフィルム、及びそれよりなる包装材用積層体を提供することを目的とする。」 (エ)「【0012】 さらに、本発明の非吸着性シーラントフィルムをシーラント層として有する積層体は、種々の包装材として使用するのに適しており、特に、非吸着性が求められる医薬品用包装袋を形成するために、好適に使用することができる。」 (オ)「【0017】 <2>ベース樹脂層 本発明の非吸着性シーラントフィルムのベース樹脂層は、任意の樹脂フィルムからなる。各種包装材や包装容器に用いられる任意の樹脂フィルムを使用することができ、貼り合わせる基材フィルムの種類等に応じて、適するものを自由に選択して使用する。 【0018】 ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの具体例としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂等)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂等からなる樹脂フィルムが例示できる。 【0019】 層間の接着強度を高める観点から、ホモPETからなる樹脂フィルムが特に好ましい。なお、本発明において、ホモPETは、テレフタル酸とエチレングリコールとを、エステル交換法、直接エステル化法等の任意の方法により重縮合してなる結晶性PETであり、慣用の添加剤や不可避的に混入する不純物等を除いては、他の共重合成分を積極的には含まないものである。慣用の添加剤としては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種ないし2種以上を含んでもよい。数平均分子量が2~3万程度の汎用のホモPETを好適に用いることができる。」 (カ)「【0022】 <3>接着剤層 本発明において、接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の任意のドライラミネート用接着剤を使用することができる。 【0023】 上記の接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。 シール層を構成する共重合ポリエステルとの接着性を高める観点から、ポリウレタン系接着剤からなるドライラミネート用接着剤を特に好ましく使用することができる。」 (キ)「【0024】 <4>シール層 本発明の非吸着性シーラントフィルムのシール層は、ガラス転移点が70~90℃、より好適には70~80℃である非晶性の共重合ポリエステルからなる。 【0025】 本発明における共重合ポリエステルとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)が代表例としてあげられる。このような共重合PETとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを主成分とし、これに、共重合成分としてテレフタル酸以外の多価カルボン酸及び/又はエチレングリコール以外の多価アルコールを、非晶性を示し且つガラス転移点が70~90℃となるように添加し、共重合して得られる変性PETが用いられる。 【0026】 なお、本発明において、非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて-100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した際に、融解ピークを持たないことを意味する。 また、本発明において、ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して測定される。 【0027】 共重合成分として添加される多価カルボン酸としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸(不飽和脂肪酸の二量体又はその水素添加物を主体とするもの)、ジフェニルカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。 【0028】 また、共重合成分として添加される多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物等が挙げられる。 【0029】 上記共重合PETの具体例としては、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコール、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノール、テレフタル酸とイソフタル酸とプロピレングリコール等による組み合わせの共縮合重合体からなるPETが挙げられる。 【0030】 上記主成分及び共重合成分の混合比は、非晶性を示し且つ所望のガラス転移点を有する限り、特に限定されないが、例えば、原料となる多価カルボン酸の50モル%以上がテレフタル酸であり、また、原料となる多価アルコールの50モル%以上がエチレングリコールである。原料となるテレフタル酸及びエチレングリコールの量がこれより少ないと、耐衝撃性及び非吸着性が損なわれ得る。 【0031】 また、原料となる多価カルボン酸及び多価アルコールの合計量100モル%に対して、主成分であるテレフタル酸及びエチレングリコールの合計量が、50~95モル%であり、共重合成分の合計量が5~50モル%であることが好ましい。共重合成分の合計量が5モル%より少ないと、非晶性が失われ、シール強度が損なわれる。 【0032】 さらに、本発明においては、上記非晶性共重合ポリエステルのうち、ガラス転移点が70~90℃となるように調製された共重合ポリエステルを用いる。この調製は、原料として使用する多価カルボン酸及び多価アルコールの化学構造等に応じて、これらの混合比や重合度等を変化させることにより、当業者が適宜に行うことができる。 【0033】 本発明において、ガラス転移点が70~90℃である非晶性ポリエステルを用いることにより、100~200℃、より好ましくは120~160℃でのヒートシールによって、優れたシール強度及びヒートシール性が発揮される。ガラス転移点がこの範囲を外れると、低温シール性が損なわれるか、または十分なシール強度が得られないため好ましくない。 【0034】 上記の要件を満たす、ガラス転移点が70~90℃である非晶性の共重合ポリエステルは商業的にも入手可能であり、本発明において好適に用いられるものとしては、バイロン(R)(東洋紡(株)製)、Eastar PETG(EASTMAN CHEMICAL(株)製)等が挙げられる。」 (ク)「【0038】 <5>非吸着性シーラントフィルムの製造 本発明の非吸着性シーラントフィルムは、ベース樹脂層を形成する樹脂フィルムと、シール層を形成する共重合ポリエステルからなるフィルムとを、接着剤層を介して、ドライラミネート法により積層することにより製造される。 【0039】 本発明においては、ベース樹脂層及び/又はシール層の積層面に、ドライラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、あるいは、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させて接着剤層を形成すことができ、そのコーティングないし塗工量としては、0.1~10g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。 樹脂フィルム上に上記共重合ポリエステルをドライラミネートすることにより、高い非吸着性及びシール強度が発揮される。 【0040】 ここで、ベース樹脂層の層厚は、10~30μm、より好ましくは10~20μmである。10μmより薄いと基材としての強度不足であり、また30μmより厚いとシーラントフィルムとして固く、コストも高くなるため好ましくない。 【0041】 また、シール層の層厚は、15~60μm、より好ましくは20~50μmである。15μmより薄いと安定性が悪く、シール強度が弱くなり、また60μmより厚いとシーラントフィルムとして固く、コストも高くなるため好ましくない。」 (ケ)「【0047】 上記積層体よりなる包装袋や包装容器は、特に、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の包装のために、例えば、貼付剤の外袋として、または化粧水等の詰め替え用内容物に使用されるスタンディングパウチとして、好適に使用することができる。」 (コ)「【0048】 次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。 【実施例】 【0049】 [実施例1] (1)非晶性PET(東洋紡(株)製SI-173、ガラス転移点78℃)をTダイ法により押出し、30μm厚の非晶性PETフィルム(シール層)を得た。 【0050】 (2)ベース樹脂層として2軸延伸ポリエステルフィルム(PET;東洋紡(株)製E-5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、(1)の非晶性PETフィルムと貼り合せた後、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させ、本発明の非吸着性シーラントフィルムを得た。 【0051】 (3)一方、2軸延伸ポリエステルフィルム(PET;東洋紡(株)製E-5100;厚さ12μm)を用い、その一方の面上に接着剤(ロックペイント(株)製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1)を、版深90μmの斜線版を用いて塗工量3.0g/m2で塗布し、厚さ7μmのアルミ箔(日本製箔(株)製A1N30H-O)と貼り合せた後、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させて、基材フィルムとした。 【0052】 (4)次いで、このアルミ箔面に接着剤を上記と同様に塗布し、(2)で得た本発明の非吸着性シーラントフィルムを、シール層が最外層となるように貼り合わせ、40℃の恒温槽に48時間保管し、接着剤を硬化させ、本発明の積層体を製造した。得られた積層体の層構成は以下のとおりであった: 2軸延伸ポリエステルフィルム/接着剤/アルミ箔/接着剤/2軸延伸ポリエステルフィルム/非晶性PETフィルム」 イ 上記記載を総合し、特に実施例1の層構成に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「ベース樹脂層、接着剤層、シール層からなる非吸着性シーラントフィルムであって、 前記ベース樹脂層は、東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルムであり、 前記接着剤層は、ロックペイント株式会社製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1からなり、 前記シール層は、東洋紡株式会社製SI-173からTダイ法により押出して形成された30μm厚の非晶性PETフィルムであって、 東洋紡株式会社製SI-173のガラス転移点が78℃であり、 前記ベース樹脂層の一方の面上に接着剤を塗布し、前記非晶性PETフィルムと貼り合わせて接着剤を硬化させた、 非吸着性シーラントフィルム。」 4 引用発明2との対比 ア 本願発明と引用発明2とを対比する。 (ア) 引用発明2は、優れた非吸着性及びシール強度を有するシーラントフィルムに係る技術であり(上記3(1)ア(イ)、(ウ))、本願発明もシール強度に優れ、被包装体の薬剤から発生する有効成分に対して低い吸着性を有する手切り開封用低吸着性積層体に係る技術であるから(段落【0006】)、両者の技術分野及び課題が共通する。 (イ) 上記3(1)ア(ク)の特に引用文献1の段落【0040】の記載及びその機能、構造又は技術的意義を考慮してみると、引用発明2の「ベース樹脂層」は本願発明の「基材層」に相当する。同様に、引用発明2の「接着剤層」、「シール層」は、上記3(1)ア(カ)~(ク)の記載及びその機能、構造又は技術的意義を考慮してみると、それぞれ本願発明の「接着剤層」、「シール層」に相当する。また、「非吸着性」は「低吸着性」ともいえるので、引用発明2の「非吸着性シーラントフィルム」は本願発明の「低吸着性積層体」に相当する。 (ウ) そうすると、引用発明2の「前記ベース樹脂層の一方の面上に接着剤を塗布し、前記非晶性PETフィルムと貼り合わせて接着剤を硬化させた」態様は、本願発明の「低吸着性積層体」が「基材層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する」態様に相当する。 (エ) また、引用発明2の「ベース樹脂層」が「東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルム」であることと、本願発明の「前記基材層」が「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレートであ」ることとは、「基材層」が「ポリエチレンテレフタレートであ」る限りで一致する。 (オ) また、引用発明2の「シール層」に用いられている「東洋紡株式会社製SI-173」について、引用文献1には「ガラス転移点が78℃」である点は記載されているものの、具体的な構造が記載されていない。しかしながら、本願の段落【0029】に記載されているように、当該「東洋紡株式会社製SI-173」が非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の30モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造の非晶性PETであることは、例えば特開2017-2236号公報(平成29年1月5日出願公開)の段落【0117】、特開2003-104456号公報(平成15年4月9日出願公開)の段落【0047】にあるように一般的に知られていたことである。また、当該構造を踏まえれば、「非晶性PETフィルム」が「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層」であること、当該「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであ」ることは、当業者にとって明らかである。 そうしてみると、引用発明2の「シール層」が「東洋紡株式会社製SI-173からTダイ法により押出して形成された30μm厚の非晶性PETフィルム」である態様は、本願発明の「シール層」が「非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであり、前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃である」態様に相当する。 イ 以上のことから、本願発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「基材層と、接着剤層と、シール層のそれぞれ各一層をこの順に有する、低吸着性積層体であって、 前記基材層は、ポリエチレンテレフタレートであり、 前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であって、該非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエチレンテレフタレートであり、 前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃である、 低吸着性積層体。」 【相違点5】 「低吸着性積層体」について、本願発明は、「経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体」であるのに対し、引用発明2は用途が不明であるとともに、「手切り開封用」であるか不明な点。 【相違点6】 「基材層」について、本願発明は、「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレート」であるのに対し、引用発明2は、「東洋紡株式会社製E-5100;厚さ12μmのPETの2軸延伸ポリエステルフィルム」であり、具体的な構造が不明な点。 【相違点7】 「接着剤層を形成する接着剤」について、本願発明は「ポリウレタン系接着剤」であるのに対し、引用発明2は「ロックペイント株式会社製ロックボンドJ/アドロック、RU77T/H-7;配合比10/1」である点。 5 判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点5について 上記3(1)ア(イ)、(エ)、(ケ)に記載したとおり、引用文献1の段落【0001】、【0012】、【0047】には、積層体よりなる包装袋を、医薬品、医薬部外品の包装に用いることが記載されているとともに、貼付剤の外袋に用いる例が記載されている。さらに、上記3(1)ア(イ)に記載したとおり、引用文献1の段落【0001】には、内容物に含有される有効成分の吸着量が低減された非吸着性のシーラントフィルムによって、内容物中の有効成分の含有量を高く維持することができることが記載されている。これらの記載を踏まえれば、被包装対象を、医薬品や医薬部外品の貼付剤の一種である経皮吸収テープとすることは、何ら困難なことではない。 また、被包装対象を限定することにより、格別の効果を奏するものでもない。 さらに、このような医薬品、医薬部外品の包装として手切り開封が可能なものは一般的であって、引用発明2を手切り開封用とすることは、当業者にとって困難なことではない。 したがって、引用文献1の上述の記載を踏まえれば、引用発明2において、相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 相違点6について 上記3(1)ア(オ)に記載したとおり、引用文献1の段落【0019】には、「ベース樹脂層」を構成する樹脂フィルムとして、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなり、数平均分子量が2~3万程度の結晶性ホモPETが特に好ましい旨が記載されている。 当該記載を踏まえれば、引用発明2のベース樹脂層である「2軸延伸ポリエステルフィルム」を「テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合してなる数平均分子量が2万~3万の結晶性ホモポリエチレンテレフタレート」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 ウ 相違点7について 上記3(1)ア(カ)に記載したとおり、引用文献1の段落【0022】~【0023】には、「接着剤層を形成する接着剤」として、ポリウレタン系接着剤が特に好ましい旨が記載されている。 当該記載を踏まえれば、引用発明2の「接着剤」として「ポリウレタン系接着剤」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。 エ 本願発明の効果について 上述した相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 オ したがって、本願発明は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-015323

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