2021-014126
積層型キャパシタ及びその製造方法
- 審判番号
- 2021-014126
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-069166外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月18日
- 審決日
- 2022年08月23日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】龍華国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月30日(パリ条約に基づく優先権主張 平成28年9月29日 韓国(KR) 平成28年10月19日 韓国(KR))の出願であって、令和2年11月10日付け拒絶理由通知に対する応答時、令和3年2月9日に手続補正がなされたが、同年8月3日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して、同年10月18日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。
第2 令和3年10月18日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年10月18日の手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正について
令和3年10月18日の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前には、
「【請求項1】誘電体層、前記誘電体層を挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極を含む本体と、前記本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続するように配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2内部電極がめっき層であり、前記本体は、前記誘電体層と前記第1および第2内部電極との積層方向において互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結して互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結して前記第3及び第4面と連結して互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1及び第2内部電極が前記第3及び第4面にそれぞれ露出し、前記第5及び第6面は、内部の導電体から離間しており、前記第1外部電極は、前記第3面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第1内部電極の露出した端部と接続し、前記第2外部電極は、前記第4面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第2内部電極の露出した端部と接続する、積層型キャパシタ。」
とあったものが、
「【請求項1】誘電体層、前記誘電体層を挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極を含む本体と、前記本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続するように配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2内部電極がめっき層であり、前記本体は、前記誘電体層と前記第1および第2内部電極との積層方向において互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結して互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結して前記第3及び第4面と連結して互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1及び第2内部電極が前記第3及び第4面にそれぞれ露出し、前記第1内部電極は、前記第5面および前記第6面を結ぶ方向において前記第2内部電極よりも大きく形成され、前記第5及び第6面は、内部の導電体から離間しており、前記第1外部電極は、前記第3面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第1内部電極の露出した端部と接続し、前記第2外部電極は、前記第4面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第2内部電極の露出した端部と接続する、積層型キャパシタ。」
と補正された(下線部は補正箇所を示す。)。
2.補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1及び第2の内部電極」について、「前記第1内部電極は、前記第5面および前記第6面を結ぶ方向において前記第2内部電極よりも大きく形成され」ていることの限定を付加するものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
よって、上記補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)否かについて以下に検討する。
(1)引用例の記載事項
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原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-285801号公報(以下、「引用例」という。)には、「積層型電子部品」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
セラミック層を積層して構成した直方体状のセラミック本体と、該セラミック本体中において前記セラミック層に重畳してなるとともに、前記セラミック本体の一端面側に導出され容量形成に寄与するめっき膜製導体層を具備してなり、前記めっき膜製導体層の周縁部をその内側領域よりも厚くしたことを特徴とする積層型電子部品。」
イ.「【0001】
本発明は、積層型電子部品およびその製法に関し、特に、セラミック層とともに積層して構成される内部の導体層としてめっき膜を用いる積層型電子部品およびその製法に関する。」
ウ.「【0032】
(積層型電子部品の構造)
本発明の積層型電子部品の代表例である積層セラミックコンデンサについて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明にかかる積層セラミックコンデンサの概略断面図である。本発明の積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック本体1の対向する端面に外部電極3が形成されている。セラミック本体1は複数のセラミック層5を積層して構成されている。セラミック層1上には、このセラミック層1と略相似形状であり、かつ前記セラミック本体1の端面2に導出される容量形成に寄与するめっき製導体層7が形成されている。」
(なお、4~5行目の「セラミック層1」(2箇所)は、「セラミック層5」の誤記であると認められる。)
エ.「【0074】
次に本発明の積層型電子部品にかかる積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。
【0075】
(第1の態様:ダミー導体層なし)
・・・・・(中 略)・・・・・
【0079】
次に、Niめっき膜上に密着し一体化したセラミックグリーンシートを、各層キャリアフィルムを剥ぎながら200層仮積層し、次いで、この仮積層体の上下面に外部カバー層を接着させ、温度60℃、圧力0.8MPaで加圧加熱した。この後、再度、温度70℃、圧力50MPaの圧力で静水圧加圧を施し母体積層体を作製した。このとき導体パターンは各層ごとに導体パターンの長辺方向に半分ほどずらして配置され、短辺側は積層方向に整列していた。
【0080】
次に、母体積層体をダイシングソウを用いて切断した。切断箇所は、図10(a)の箇所とした。即ち、内部の導体パターンの長辺方向には導体パターン間のほぼ中央部を、短辺方向には、導体パターンの長辺のほぼ中央部(その下層は導体パターン間のほぼ中央部)を切断した。こうして対向する端面に導体パターンが露出したコンデンサ本体成形体を作製した。」
オ.「
[図:0001393643000001.jpg]
」
カ.「
[図:0001393643000002.jpg]
」
上記「ア.」ないし「カ.」から以下のことがえる。
・引用例に記載の「積層型電子部品」は、上記「イ.」の記載によれば、セラミック層とともに積層して構成される内部の導体層としてめっき膜を用いる積層型電子部品に関する。
・上記「ア.」、「ウ.」の記載、及び「オ.」(図1)によれば、積層型電子部品は具体的には積層セラミックコンデンサであり、複数のセラミック層5を積層して構成した直方体状のセラミック本体1と、セラミック本体1中においてセラミック層5上に重畳して形成され、セラミック層5と略相似形状であり、かつセラミック本体1の端面2に導出され容量形成に寄与するめっき製導体層7と、セラミック本体1の対向する2つの端面にそれぞれ形成された2つの外部電極3を備えるものである。
特に上記「オ.」(図1)によれば、積層された各セラミック層5上に重畳して形成されるめっき製導体層7は、セラミック本体1の対向する2つの端面の一方と他方に交互に導出され、それぞれの端面に形成された外部電極3は、それぞれの端面に導出されためっき製導体層と接続していることが見て取れる。
・上記「エ.」の製法に関する記載(特に下線を付した記載部分)、及びめっき製ダミー導体層15を有する積層セラミックコンデンサに係るものではあるものの上記「カ.」(図3)によれば、めっき製導体層7は、セラミック層5より小さい形状であり、セラミック本体1の対向する2つの側面には露出しないことが見て取れることを踏まえると、めっき製ダミー導体層15を有しない図1に係るものにあっても、めっき製導体層7は、セラミック層5より小さい形状であり、セラミック本体1の対向する2つの側面には露出しないものであると解される。
以上のことから、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数のセラミック層を積層して構成した直方体状のセラミック本体と、前記セラミック本体中において前記各セラミック層上に重畳して形成され、前記セラミック本体の対向する2つの端面の一方と他方に交互に導出され容量形成に寄与するめっき製導体層と、前記セラミック本体の対向する2つの端面にそれぞれ形成され、それぞれの端面に導出されためっき製導体層と接続してなる2つの外部電極と、を備え、前記めっき製導体層は、前記セラミック層と略相似形状で当該セラミック層より小さい形状であり、前記セラミック本体の対向する2つの側面には露出しない、積層セラミックコンデンサ。」
(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア.本体について
引用発明における「セラミック層」は、本願補正発明でいう「誘電体層」に相当する。
引用発明における容量形成に寄与する「めっき製導体層」は、積層される複数の各セラミック層上に重畳して形成されてなるものであり、本願補正発明でいう誘電体層を挟んで交互に積層される「第1及び第2内部電極」に相当する。
そして、引用発明における複数のセラミック層を積層して構成した「セラミック本体」は、各セラミック層上に重畳して形成される「めっき製導体層」も含むものであるから、本願補正発明でいう「本体」に相当する。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「誘電体層、前記誘電体層を挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極を含む本体と」を含むものである点で一致する。
また、引用発明における「セラミック本体」は、直方体状であり、2つの外部電極がそれぞれ形成される対向する2つの端面と、この2つの端面と連結し、複数のセラミック層と各セラミック層上に重畳して形成されためっき製導体層の積層方向において互いに対向する2つの主面(上下面)と、これら2つの端面及び2つの主面(上下面)と連結して互いに対向する2つの側面を有することは明らかである。ここで、これら「2つの端面」、「2つの主面(上下面)」、「2つの側面」が、それぞれ本願補正発明でいう「第3及び第4面」、「第1及び第2面」、「第5及び第6面」に相当する。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記本体は、前記誘電体層と前記第1および第2内部電極との積層方向において互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結して互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結して前記第3及び第4面と連結して互いに対向する第5及び第6面」を含むものである点でも一致する。
さらに、引用発明における「めっき製導体層」は、セラミック層と略相似形状で当該セラミック層より小さい形状であり、セラミック本体の対向する2つの側面には露出しないことから、セラミック本体の対向する2つの側面は、本願補正発明でいう「内部の導電体」であるめっき製導体層から離間してなるものである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記第5及び第6面は、内部の導電体から離間して」いる点でも一致する。
イ.第1及び第2内部電極について
引用発明における「めっき製導体層」は、めっき層である。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記第1及び第2内部電極がめっき層」である点で一致する。
また、引用発明における「めっき製導体層」は、セラミック本体の対向する2つの端面の一方と他方に交互に導出、すなわち露出してなるものである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記第1及び第2内部電極が前記第3及び第4面にそれぞれ露出」している点で共通する。
ただし、本願発明では「前記第1内部電極は、前記第5面および前記第6面を結ぶ方向において前記第2内部電極よりも大きく形成」されることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違する。
ウ.第1及び第2外部電極について
引用発明におけるセラミック本体の対向する2つの端面にそれぞれ形成された「2つの外部電極」は、それぞれの端面に導出されためっき製導体層と接続してなるものであり、本願補正発明でいう「第1及び第2外部電極」に相当する。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続するように配置される第1及び第2外部電極と」を含むものである点で一致し、「前記第1外部電極は、前記第1内部電極の露出した端部と接続し、前記第2外部電極は、前記第2内部電極の露出した端部と接続する」ものである点で共通する。
ただし、本願発明では「前記第1外部電極は、前記第3面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成」され、「前記第2外部電極は、前記第4面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成」されることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違する。
エ.そして、引用発明における「積層セラミックコンデンサ」は、本願補正発明でいう「積層型キャパシタ」に相当する。
よって上記「ア.」ないし「エ.」によれば、本願補正発明と引用発明とは、
「誘電体層、前記誘電体層を挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極を含む本体と、前記本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続するように配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2内部電極がめっき層であり、前記本体は、前記誘電体層と前記第1および第2内部電極との積層方向において互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結して互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結して前記第3及び第4面と連結して互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1及び第2内部電極が前記第3及び第4面にそれぞれ露出し、前記第5及び第6面は、内部の導電体から離間しており、前記第1外部電極は、前記第1内部電極の露出した端部と接続し、前記第2外部電極は、前記第2内部電極の露出した端部と接続する、積層型キャパシタ。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
本願発明では「前記第1内部電極は、前記第5面および前記第6面を結ぶ方向において前記第2内部電極よりも大きく形成」されることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。
[相違点2]
本願発明では「前記第1外部電極は、前記第3面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成」され、「前記第2外部電極は、前記第4面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成」されることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。
(3)判断
上記各相違点つにいて判断する。
[相違点1]について
例えば特開平6-84690号公報(特に段落【0002】、図12、図13を参照)、特開平8-273973号公報(特に段落【0005】~【0006】、図9を参照)、特開2000-306761号公報(特に段落【0021】、図2を参照)に記載されているように、交互に積層される内部電極の積層ずれなどに基づく容量変化を防ぐために、幅方向(2つの側面を結ぶ方向)において一方の内部電極を他方の内部電極よりも大きく形成することは周知の技術事項である。そして、引用発明においても内部電極の積層ずれなどに基づく容量変化をなくすことは当然望まれることであるから、かかる周知の技術事項を採用し、相違点1に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。
[相違点2]について
例えば原査定時に提示した特開2015-228481号公報(特に段落【0042】、図1を参照)、さらには特開平11-186092号公報(特に【請求項1】、段落【0013】、【0031】~【0034】、図1、図2、図6を参照)に記載されているように、複数の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を同じ回路基板上に実装する場合に、隣接する電子部品間の距離を小さくしても電子部品同士の電気的な接触をし難くし、実装密度を向上できるようにするために、それぞれの端面に形成される外部電極(端子電極)について、幅方向の2つの側面に至らないように(2つの側面から間隔を隔てて)形成すること、すなわち、それぞれの端面のうち2つの側面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成することは周知の技術事項である。引用発明においても、実装密度向上のためにかかる周知の技術事項を採用し、相違点2に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。
そして、上記各相違点を総合勘案しても、本願発明が奏する効果は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
3.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
令和3年10月18日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年2月9日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】誘電体層、前記誘電体層を挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極を含む本体と、前記本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ接続するように配置される第1及び第2外部電極と、を含み、前記第1及び第2内部電極がめっき層であり、前記本体は、前記誘電体層と前記第1および第2内部電極との積層方向において互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結して互いに対向する第3及び第4面、前記第1及び第2面と連結して前記第3及び第4面と連結して互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1及び第2内部電極が前記第3及び第4面にそれぞれ露出し、前記第5及び第6面は、内部の導電体から離間しており、前記第1外部電極は、前記第3面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第1内部電極の露出した端部と接続し、前記第2外部電極は、前記第4面のうち前記第5面及び第6面と連結する辺部分以外の領域を覆って形成され、前記第2内部電極の露出した端部と接続する、積層型キャパシタ。」
2.原査定の概要
本願の請求項1に対する原査定(令和3年8月3日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び周知の技術事項(下記の引用文献9、10に記載された技術事項)に基いて、その出願前にその発明に属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
3.引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用例(引用文献1)、及び引用発明は、前記「第2 2.(1)」に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、上記「第2 2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「第1及び第2の内部電極」について、「前記第1内部電極は、前記第5面および前記第6面を結ぶ方向において前記第2内部電極よりも大きく形成され」ていることの限定、すなわち上記「第2 2.(2)」で認定した相違点1に係る構成を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記「第2 2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 その他
なお、審判請求人は令和3年12月27日に提出した上申書において補正案を提示しているので、一応検討しておく。
補正案は、請求項1において、「前記第1内部電極が配置された誘電体層に、前記第4面に露出し、前記第2外部電極と接続するように形成される第1ダミー電極と、前記第2内部電極が配置された誘電体層に前記第3面に露出し、前記第1外部電極と接続するように形成される第2ダミー電極」を含み、「前記第1内部電極および前記第1ダミー電極」が、第5面および第6面を結ぶ方向において「前記第2内部電極および前記第2ダミー電極」より大きく形成されることを特定(限定)しようとするものである。
しかしながら、引用例には、交互に積層される各めっき製導体層7と同一面上に、各めっき製導体層7の導出する端面とは反対側の端面に導出して外部電極と接続する、容量形成に寄与しないめっき製ダミー導体層15を有する積層セラミックコンデンサに係る発明についても記載されており(特に【請求項2】、段落【0034】、【0064】、図2を参照)、この「めっき製ダミー導体層15」は、補正案でいう「第1ダミー電極」及び「第2ダミー電極」に相当する。ここで、その製法(段落【0051】~【0064】を参照)からして、また、例えば図3からも明らかなように、同一平面上のめっき製導体層とめっき製ダミー導体層とは、同じ幅の導体パターン57から形成された導体層を切断して得られるものであり、同じ幅を有するものである。したがって、めっき製ダミー導体層15を有する積層セラミックコンデンサに係る発明において、上記[相違点1]について判断したように、交互に積層される内部電極の積層ずれなどに基づく容量変化を防ぐために、幅方向(2つの側面を結ぶ方向)において一方の内部電極を他方の内部電極よりも大きく形成するという周知の技術事項を採用した際には、幅方向(2つの側面を結ぶ方向)において一方のめっき製導体層だけでなくこれと同一面上に形成される一方のめっき製ダミー導体層も含めて、他方のめっき製導体層およびこれと同一平面上に形成される他方のめっき製ダミー導体層よりも大きく形成されることになるものと解される。
以上のことから、補正案に係る発明であっても、依然として引用例に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、進歩性を有しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-014126