2021-013332
商品登録装置、商品登録方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2021-013332
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-144802外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月04日
- 審決日
- 2023年03月13日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G07G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年3月6日に出願した特願2017-041343号の一部を令和1年8月6日に新たな特許出願(特願2019-144802号)としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
同年 4月20日付け:拒絶理由通知書
同年 6月29日付け:拒絶査定
同年10月 4日 :審判請求書の提出
同年 8月26日 :意見書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~4に係る発明は、令和3年1月20日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 【請求項1】商品の精算情報を生成し、店員によって操作される商品登録装置であって、前記精算情報に基づく精算処理を顧客の操作に応じて行う精算装置のうち、前記精算情報を送信する前記精算装置を、自動的に決定する決定手段と、前記精算処理で生じたお釣りの少なくとも一部が前記精算装置のお釣りの払出し口に残っていることを示す第1通知を受信する受信手段と、を備え、前記決定手段は、前記第1通知の送信元である前記精算装置は前記精算情報の送信先候補から除外する、商品登録装置。」
第3 当審が通知した拒絶の理由
令和4年6月28日付けで当審が通知した拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1~4
・引用文献等 1~4
<引用文献等一覧>
1.特開2013-242839号公報
2.特開平10-240994号公報
3.特開2016-212459号公報
4.特開2010-237910号公報
第4 引用文献の記載事項、引用発明
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1 引用文献1
(1)記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付与した。以下同様。
・「【0044】
登録用POSレジスタ20は、顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行う。データの登録は、例えば、商品に付されているバーコードを読み取ることで行う。そのため、登録用POSレジスタ20には、例えば、顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられている。本願においては、登録用POSレジスタ20によって登録され、精算処理において用いられる商品に関するデータを、登録データと呼ぶこととする。登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を含んでいる。なお、登録データは、購入しようとする商品すべての金額すなわち合計金額や、個々の商品の単価や個数の情報を呼出す識別情報(コード情報等)であってもよい。この場合、精算用POSレジスタ30が上述の識別情報(コード情報等)に基づいて、ストアコントローラ10、または、ストアコントローラ10の機能を有する登録用POSレジスタ20にリクエストを行ない登録データを受信するようにしてもよい。
また、登録用POSレジスタ20は、各精算用POSレジスタ30からステータス情報を受信して管理する。
【0045】
さらに、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択する。その際、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に基づいて、できるだけ待ち時間を少なくできるように、現在商品登録作業中の顧客がどの精算用POSレジスタ30で精算を行えばよいのかを判定する。すなわち、登録用POSレジスタ20は、複数の精算用POSレジスタ30から最適な1つを選択する。登録用POSレジスタ20は、例えば、空いている精算用POSレジスタ30を選択する。あるいは、全ての精算用POSレジスタ30が顧客で埋まっている場合には、登録用POSレジスタ20は、一番早く空きそうな精算装置を選択する。そして、登録用POSレジスタ20は、選択した精算用POSレジスタ30に対して、登録データを送信する。その登録データが示す商品を購入しようとする顧客は、当該登録データが送信された精算用POSレジスタ30を操作して、自分で精算処理を行うことができる。精算処理とは、購入しようとする商品の代金を、現金、電子マネー、クレジットカードなどを選択的に用いて支払い、決済する処理である。
【0046】
上記のステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報である。進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられている。この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行う。例えば、登録用POSレジスタ20は、空き状態の精算用POSレジスタ30を優先して選択する。また、空き状態の精算用POSレジスタ30が無ければ、レシート発行中のものを選択する。上記の待機状態、決済中、レシート発行中という3つの進捗状況は、精算処理中の段階を示すものであり、待機状態から決済中、決済中からレシート発行中へと進捗状況は移行する。よって、決済中よりもレシート発行中の方が進捗は進んでいることになり、空き状態のものが無ければ、レシート発行中のものを選択することで、一番早く空きそうな精算用POSレジスタ30を選択することができる。」
・「【0053】
また、待機状態にある精算用POSレジスタ30に対する精算処理の流れは例えば次のように行うことができる。(1)まず、決済方法を選択する。現金、クレジットカード、電子マネー等のいずれかまたは併用する旨を顧客の操作に応じて選択する。(2)次に、決済を実行する。精算用POSレジスタ30が有する紙幣や硬貨の投入排出口への現金投入や釣り銭の支払い、カード読み取り機でのカード読み取り等によって決済を実行する。
(3)次に、精算用POSレジスタ30が有する印刷部を用いて、レシートを発行する。
レシートには、例えば、購入した商品の一覧、購入合計金額、受領金額、釣り金額等が印字される。(4)そして、精算用POSレジスタ30は、精算処理を終了し、空き状態となる。」
・「【0072】
決済部310は、釣銭釣札機、クレジットカードリーダ、電子マネーリーダ等と、それらの制御部とを備えて構成されていて、決済部310を用いて、現金、クレジット、電子マネーにより決済処理が行われる。決済部310は、釣銭釣札機によって、現金により決済を実行し、決済を実行した結果(例えば、決済が成立したか否かを示す情報)を、バスを介してCPU301に出力する。釣銭釣札機は、紙幣の投入及び排出をする紙幣投入口、硬貨を投入するための硬貨投入口、釣銭を排出する釣銭排出口とを備えている。また、決済部310は、クレジットにより決済を実行し、決済を実行した結果を、ポート及びバスを介してCPU301に出力する。また、決済部310は、電子マネーにより決済を実行し、決済を実行した結果を、バスを介してCPU301に出力する。」
・「【0124】
また、登録用POSレジスタ20は、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30として、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30の選択を出来ないように選択禁止の制御を行なう。ここで、ステータス情報が「使用中」である場合とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況が、例えば、「待機状態」、「決済中」、又は「レシート発行中」である場合(すなわち「空き状態」でない場合)をいう。なお、「トラブル発生中」である場合も、ステータス情報が「使用中」である場合に含めてもよい。」
・「【0135】
また、本実施形態において、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であるステータス情報において、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などを例示したがこれに限らず、例えば、決済部310において現金を入出金する釣銭釣札機の場合において、釣銭釣札機の状態をステータス情報としてもよく、この釣銭釣札機の状態をステータス情報として送信するようにしてもよい。
この場合、・・・」
(2)認定事項
引用文献1の「ステータス情報」に関して、「ステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報である。進捗状況は、待機状態、決済中、レシート発行中、空き状態、会計保留、トラブル発生中などの状況に分けられている。」(【0046】)、「ここで、ステータス情報が「使用中」である場合とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況が、例えば、「待機状態」、「決済中」、又は「レシート発行中」である場合(すなわち「空き状態」でない場合)をいう。なお、「トラブル発生中」である場合も、ステータス情報が「使用中」である場合に含めてもよい。」(【0124】)という記載がある。
そうすると、上記の記載から、
「ステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であり、進捗状況は、「待機状態」、「決済中」、「レシート発行中」、又は「トラブル発生中」である「使用中」である場合と、「空き状態」、「会計保留」などの状況に分けられていること。」
が認定できる。
(3)引用発明
上記(1)、(2)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「登録用POSレジスタ20は、顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理を行うものであり、データの登録は、商品に付されているバーコードを読み取ることで行い、顧客が購入する商品に付されたバーコード(商品コード)を店員の操作により読み取るスキャナが設けられている、登録用POSレジスタ20であって、登録用POSレジスタ20によって登録され、精算処理において用いられる商品に関するデータを、登録データと呼び、その登録データが示す商品を購入しようとする顧客は、当該登録データが送信された精算用POSレジスタ30を操作して、自分で精算処理を行うことができ、精算処理とは、購入しようとする商品の代金を、現金、電子マネー、クレジットカードなどを選択的に用いて支払い、決済する処理であり、登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択し、ステータス情報とは、精算用POSレジスタ30における精算処理の進捗状況を表す情報であり、進捗状況は、「待機状態」、「決済中」、「レシート発行中」、又は「トラブル発生中」である「使用中」である場合と、「空き状態」、「会計保留」などの状況に分けられ、この進捗状況に基づき、登録用POSレジスタ20は、どの精算用POSレジスタ30を選択するのかという判定処理を行い、精算用POSレジスタ30が有する紙幣や硬貨の投入排出口への現金投入や釣り銭の支払い、カード読み取り機でのカード読み取り等によって決済を実行し、釣銭釣札機は、紙幣の投入及び排出をする紙幣投入口、硬貨を投入するための硬貨投入口、釣銭を排出する釣銭排出口を備え、登録用POSレジスタ20は、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30として、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30の選択を出来ないように選択禁止の制御を行なう、登録用POSレジスタ20。」
2 引用文献3
(1)記載事項
引用文献3には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【0007】
しかしながら、釣銭の出金後、一定時間後に釣銭取り忘れの通知を行っても、または、釣銭の取り除き後にレシートの排出を行っても、買物客が急いでその場を離れた場合には、警告音に気づかず、釣銭の取り忘れが発生してしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、上述のような実状に鑑みたものであり、より確実に釣銭の取り忘れを防止することが可能なセルフチェックアウト装置、セルフチェックアウト方法、およびセルフチェックアウトプログラムを提供することを目的とする。」
・「【0019】
セルフチェックアウト装置10は、買物客が行う操作により買上げ商品の販売登録処理及びその代金の精算処理を実行する。
・・・
【0038】
釣銭検出部304は、釣銭出金部301によって出金された釣銭が紙幣出金口110又は硬貨出金口112から取り除かれたか否かを検出する。例えば、釣銭検出センサーを用いて、紙幣出金口110に出金された紙幣、又は硬貨出金口112に出金された硬貨が残っているか否かを検出する。
・・・
【0051】
次に、ステップS508において、ステップS507で釣銭出金部301によって出金された釣銭が紙幣出金口110又は硬貨出金口112に残っているか否かを釣銭検出部304によって判断する。すなわち、釣銭が紙幣出金口110及び硬貨出金口112から全額取り除かれたか否かを判断する。
【0052】
釣銭が残っていないと判断された場合(ステップS508:NO)、レシート発行用プリンタ108が印字したレシートを発行して本実施の形態のセルフチェックアウト処理を終了する。
【0053】
他方、釣銭が残っていると判断された場合(ステップS508:YES)、ステップS509において、買物客の視線が釣銭出金部301によって出金される紙幣出金口110又は硬貨出金口112に向いているか否かを判断する。買物客の視線は、視線検出用カメラ101が取得した買物客の顔画像データに基づいて、視線検出部302によって検出する。
【0054】
買物客の視線が紙幣出金口110又は硬貨出金口112に向いていると判断された場合(ステップS509:YES)、ステップS510において、ステップS507で釣銭を出金してから一定時間(t1)、例えば、5秒間経過したか否かを判断する。
【0055】
出金してから一定時間(t1)経過していないと判断された場合(ステップS510:NO)、ステップS508に戻る。
【0056】
他方、出金してから一定時間(t1)経過していると判断された場合(ステップS510:YES)、ステップS511において、釣銭の取り忘れがあったことをスピーカ107から警告音等により通知(アラーム出力)する。
【0057】
また、買物客の視線が紙幣出金口110又は硬貨出金口112に向いていないとステップS509で判断された場合(ステップS509:NO)、ステップS512において、セルフチェックアウト装置10は、図10に示すような画面を表示器116に表示する。好ましくは、視線検出部302によって検出された視線の方向に設置された表示器116に表示する。例えば、表示器116は、買い上げ商品を計量するための合計重量計量用秤114の近傍に設けられている。若しくは、表示器116は、買い上げ商品の決済に関わるレシートを排出するレシート発行用プリンタ108のレシート排出口の近傍に設けられている。又は、表示器116は、複数個設けられていてもよい。釣銭があることを示す情報としては、図10に示すようなメッセージを表示しても良いし、単なる点滅表示でも良い。
【0058】
そして、セルフチェックアウト装置10は、ステップS513において、ステップS507で釣銭を出金してから一定時間(t2)経過したか否かを判断する。なお、一定時間t2はステップS510で判断する一定時間t1より短い時間(t1>t2)である。例えば、セルフチェックアウト装置10は、3秒間経過したか否かを判断する。
【0059】
出金してから一定時間(t2)経過していないと判断された場合(ステップS513:NO)、ステップS508に戻る。
【0060】
他方、出金してから一定時間(t2)経過していると判断された場合(ステップS513:YES)、セルフチェックアウト装置10は、ステップS511において、釣銭の取り忘れがあったことをスピーカ107から警告音等により通知(アラーム出力)する。」
・図5
「[図:0001397529000001.jpg]」
(2)認定事項
上記(1)を踏まえると、引用文献3には、以下の事項(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「買物客が行う操作により買上げ商品の販売登録処理及びその代金の精算処理を実行するセルフチェックアウト装置10において、釣銭の取り忘れを防止するために、釣銭検出部304は、釣銭が紙幣出金口110又は硬貨出金口112から取り除かれたか否かを検出し、釣銭の取り忘れを警報音により通知し、釣銭が残っていないと判断された場合にレシートを発行してセルフチェックアウト処理を終了する、セルフチェックアウト装置10。」
3 引用文献4
(1)記載事項
引用文献4には、図面と共に以下の記載がある。
・「【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、レシート等の取り忘れが店員あるいは顧客に通知されるだけであるため、セルフチェックアウトシステムに適用した場合に十分な効果を得ることができない。一般的に顧客は、例えば釣銭の受け取りを優先してレシートを軽視しがちであるので、そのような通知を見落とす、あるいは聞き漏らす危険性があり、顧客は釣銭等のみを受け取ってレシートを受け取っていない、というような事態も想定されるからである。つまり、従来は、顧客がレシートや釣銭等を取り忘れてしまうことを防ぐ十分な対策がとられていない、という問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、セルフチェックアウトシステムにおいて、レシートや釣銭等の取り忘れを効果的に防止することにある。」
・「【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるセルフチェックアウトシステム1の外観図である。また、図2は、セルフチェックアウトシステム1の電気的構成を示すブロック図である。セルフチェックアウトシステム1は、顧客が自分で買上げ商品の登録と精算を行うことが可能なPOSレジスタであって、POSレジスタ本体10(CPU11,ROM12,RAM13を有している)と、バーコードスキャナ14と、液晶タッチパネル15と、金銭受取払出部16と、カードリーダ17と、レシートプリンタ18と、第1計量部19Aと、第2計量部19Bと、発光器20と、通信部21とを備えている。
・・・
【0020】
金銭受取払出部16は、紙幣投入口161及び硬貨投入口162へ投入された各種貨幣の種類と枚数を検出して検出結果のデータをCPU11へ出力し、また、CPU11から釣銭を払い出す指示を受けてその指示に応じた枚数の紙幣及び硬貨を紙幣払出口163と硬貨払出口164へ排出する。また、金銭受取払出部16は、排出した紙幣や硬貨が紙幣払出口163と硬貨払出口164から取り除かれたか否かを検出するセンサを備え、紙幣や硬貨が取り除かれた場合、そのことをCPU11へ通知する。
・・・
【0043】
なお、処理順序設定ファイルに設定されている実行順序が、図4とは反対に、釣銭・決済用媒体排出処理が先で、レシート発行処理が後となっている場合は、ステップS14~ステップS16が先に実行され、その後、ステップS11~ステップS13が実行される。このとき、CPU11は、金銭受取払出部16あるいはカードリーダ17からの通知を取得するまで、ステップS15とステップS16を繰り返すので、顧客が紙幣払出口163や硬貨払出口164から釣銭を取り除かない限り、又は、顧客がカード入出口171から決済用媒体を取り除かない限り、次のレシート発行処理の実行が待機されることとなって、レシートが排出されないことになる。」
・図5
「[図:0001397529000002.jpg]」
(2)認定事項
上記(1)を踏まえると、引用文献4には、以下の事項(以下「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「顧客が自分で買上げ商品の登録と精算を行うことが可能なPOSレジスタであるセルフチェックアウトシステム1において、釣銭の取り忘れを効果的に防止するために、金銭受取払出部16は、排出した紙幣や硬貨が紙幣払出口163と硬貨払出口164から取り除かれたか否かを検出するセンサを備え、紙幣や硬貨が取り除かれた場合、そのことをCPU11へ通知し、顧客が釣銭を取り除かない限り、次のレシート発行処理の実行が待機されることとなって、レシートが排出されないようにする、セルフチェックアウトシステム1。」
第5 対比・判断
1 発明の対比
(1)本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「商品」は前者の「商品」に相当し、以下同様に、「店員」は「店員」に、「顧客」は「顧客」に、「釣り銭」は「お釣り」にそれぞれ相当する。
そして、この対比関係を踏まえると、さらに以下のことがいえる。
(2)後者は「商品に付されているバーコードを」「登録用POSレジスタ20」の「スキャナ」で「店員の操作により読み取る」ことで「データの登録」を「行い」、「登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択し」た後に、「登録データが示す商品を購入しようとする顧客は」「精算用POSレジスタ30を操作して、自分で精算処理を行う」から、後者の「登録データ」、「登録用POSレジスタ20」及び「精算用POSレジスタ30」は、前者の「精算情報」、「商品登録装置」及び「精算装置」にそれぞれ相当する。
(3)後者の「顧客が購入しようとする商品のデータを登録する処理」は、前者の「商品の精算情報を生成」する処理に相当し、後者の「商品に付されているバーコードを」「登録用POSレジスタ20」の「スキャナ」で「店員の操作により読み取る」ことで「データの登録」を「行」うものにおいて、後者の「登録用POSレジスタ20」は、前者の「店員によって操作される商品登録装置」に相当する。
(4)後者の「登録用POSレジスタ20は、ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択」することは、上記(2)の相当関係を踏まえると、前者の「前記精算情報に基づく精算処理を顧客の操作に応じて行う精算装置のうち、前記精算情報を送信する前記精算装置を、自動的に決定する決定手段」に相当する。
(5)後者の、登録用POSレジスタ20が「ステータス情報に応じて、登録データの送信先となる精算用POSレジスタ30を選択」する手段は、精算処理の進捗状況を、ステータス情報として登録用POSレジスタ20と精算用POSレジスタ30との間でやりとりする手段があることは自明であるから、上記(2)の相当関係を踏まえると、前者の「前記精算処理で生じたお釣りの少なくとも一部が前記精算装置のお釣りの払出し口に残っていることを示す第1通知を受信する受信手段」とは、「前記精算処理で生じた情報を受信する受信手段」において共通する。
(6)後者の「登録用POSレジスタ20は、登録商品についての精算を行うべき精算用POSレジスタ30として、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30の選択を出来ないように選択禁止の制御を行なう」ことと、前者の「前記決定手段は前記第1通知の送信元である前記精算装置は前記精算情報の送信先候補から除外する」こととは、上記(2)の相当関係を踏まえると、「前記決定手段は前記情報に基づいて、所定の精算装置を前記精算情報の送信先候補から除外する」ことにおいて共通する。
(7)上記の(1)~(6)を総合すると、両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違する。
<一致点>
「商品の精算情報を生成し、店員によって操作される商品登録装置であって、前記精算情報に基づく精算処理を顧客の操作に応じて行う精算装置のうち、前記精算情報を送信する前記精算装置を、自動的に決定する決定手段と、前記精算処理で生じた情報を受信する受信手段と、を備え、前記決定手段は、前記情報に基づいて、所定の精算装置を前記精算情報の送信先候補から除外する、商品登録装置。」
<相違点>
受信手段及び決定手段に関して、本願発明では、「前記精算処理で生じたお釣りの少なくとも一部が前記精算装置のお釣りの払出し口に残っていることを示す第1通知」を受信する受信手段を備え、前記決定手段は、「前記第1通知の送信元である前記精算装置」は精算情報の送信先候補から除外するのに対して、引用発明では、ステータス情報が「使用中」である精算用POSレジスタ30の選択を出来ないように選択禁止の制御を行なう点。
2 判断
(1)上記相違点について検討する。
引用発明、引用文献3に記載された事項、引用文献4に記載された事項は、いずれも「商品の精算情報を生成する商品登録装置と、精算情報に基づく精算処理を顧客の操作に応じて行う精算装置とを備えて、前記精算装置にはお釣りの払出し口がある」点で共通し、この点に着目するとこの3者は技術分野が共通する。
そして一般的に、お釣りの払出し口がある精算装置、すなわち現金を扱う精算装置では、精算処理を顧客の操作に応じて行うと、顧客による釣銭の取り忘れが発生した場合に種々の問題が起こり得ることは、当業者には明らかである。
ここで、引用発明は、顧客が精算を行う精算用POSレジスタ30を自動的に選択するものであるところ、引用文献1、3、4に接した当業者であれば、引用発明において、顧客が精算を行う精算装置として釣銭が残った状態の精算用POSレジスタ30を選択すれば、問題が起こるのは明らかであるとともに、引用文献3又は4に記載された事項によって、精算装置のお釣りの払出し口に釣銭が残っているか否かを自動的に判別できることも明らかである。
そうすると、上記問題を防止するために、引用発明において、引用文献3又は4に記載された事項を参照し、お釣りの少なくとも一部が精算用POSレジスタ30の釣銭排出口に残っている場合には、その通知を送信して、レシート未発行である使用中の当該精算用POSレジスタ30を選択できないようにすることで上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、容易に想到し得たことにすぎない。
そして、本願発明の効果について検討しても、引用文献1、3、4から当業者が予測されるものであって格別なものとはいえない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人の主張
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請求人は、令和4年8月26日の意見書において、以下の旨を主張する。
「(A)第1の理由まず、本願請求項1における、「精算処理で生じたお釣りの少なくとも一部が前記精算装置のお釣りの払出し口に残っていることを示す第1通知を受信し、第1通知の送信元である精算装置を精算情報の送信先候補から除外する」構成は、いずれの引用文献にも記載されていません。引用文献2-4には、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す情報の用途について、以下のように記載されています。引用文献2:「お釣りが払出し口に残っている状態」を検出した場合、顧客へ警告し、検出されている間は硬貨払出動作を禁止すること([0018]-[0019])。続きを表示(全17行)引用文献3:「お釣りが払出し口に残っている状態」を検出しない場合にレシートを発行し、「お釣りが払出し口に残っている状態」を検出した場合に顧客の視線状態に応じてお釣りの取り忘れを示す警報音の出力タイミングを変更すること([0031]、[0051]-[0060])。引用文献4:「お釣りが払出し口に残っている状態」を検出している間はレシートを発行しないこと([0043])。これに対して、本願発明は、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す通知を登録装置が受信して、その精算装置を精算情報の送信先候補から除外するものです。このように、本願発明と引用文献2-4に係る発明では、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す情報の用途が異なります。また、引用文献2-4に係る発明は、引用文献2の課題に対して、いずれも「釣銭の取り忘れを防止する」ことを目的としています。これに対して、本願発明は、「お釣りの取り忘れが発生した場合にでも、次に利用する顧客が誤って、又は、悪意をもって持ち去ってしまうことを防止する」ことを目的としています。すなわち、本願発明は、お釣りの取り忘れが発生した後に効果を奏するものです。また、さらに、本願発明は、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す通知を登録装置が受信することにより、引用文献1に係る発明よりも詳細に精算装置の状態を通知することが可能となっています。このように、本願発明と引用文献2-4に係る発明では、発明の目的及び効果が異なります。以上から、「トラブル発生中」の具体例として、「お釣りが払出し口に残っている状態」を採用することで、引用文献2に記載された課題を解決するということは、後知恵であると思料いたします。そして、引用文献2の課題を解決するために、引用文献1-4に記載された事項から当業者が想到する発明は、引用文献1に係る発明の構成と、引用文献2-4に係る発明の構成とを別々に備えたものであり、本願発明とは異なるものであると思料いたします。(B)第2の理由引用文献1におけるステータス情報は、段落[0046]等に記載されているように、基本的には精算処理の進捗を示す情報です。しかし、「お釣りが払出し口に残っている状態」は、精算処理の進捗を示す情報ではありません。お釣りを取り出すタイミングは、顧客毎に顧客が決めるタイミングです。お釣りを取り出すタイミングとしては、決済終了直後、レシート発行中、レシート発行後など様々なタイミングが考えられるため、「お釣りが払出し口に残っている状態」からは、精算処理のどの進捗を示すのか判断できません。そのため、「お釣りが払出し口に残っている状態」を、ステータス情報に含めることを当業者は想到しないはずです。拒絶理由通知書では、引用文献1の段落[0135]に、釣銭釣札機の状態をステータス情報としてもよいことが記載されている、と指摘されています。しかし、ここで挙げられているのは、釣銭釣札機内に収納している貨幣種においてニアフルやニアエンドの状態までです。ここでも、「お釣りが払出し口に残っている状態」をステータス情報に含めることは記載されていません。「ニアフルやニアエンドの状態」は、お釣りの支払いができない状態であり、精算処理の進捗を妨げる状態です。すなわち、「ニアフルやニアエンドの状態」の精算装置では精算処理を行えないため、上述した「客捌きをよくする」目的のために、この状態をステータス情報に含めていると思料いたします。これに対して、「お釣りが払出し口に残っている状態」は、精算処理の進捗を妨げる状態ではありません。「お釣りが払出し口に残っている状態」だとしても、精算処理を行い、客を捌くことは可能です(間違った釣り銭を渡してしまったり、顧客に対して不信感を与えてしまったりすることは別の課題です。)。そのため、引用文献1に係る発明の目的を踏まえると、精算処理の進捗に影響しない「お釣りが払出し口に残っている状態」を、ステータス情報に含めることを当業者は想到しないはずです。」
これらの主張((A)第1の理由、(B)第2の理由)について、以下検討する。
イ 「(A)第1の理由」について
(ア)「まず、本願請求項1における、「精算処理で生じたお釣りの少なくとも一部が前記精算装置のお釣りの払出し口に残っていることを示す第1通知を受信し、第1通知の送信元である精算装置を精算情報の送信先候補から除外する」構成は、いずれの引用文献にも記載されていません。」という主張については、いずれの引用文献にも一括して記載されていないと主張しているのにすぎず、引用文献の組み合わせを考慮した進歩性の判断とはいえない。
(イ)「引用文献2-4には、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す情報の用途について、以下のように記載されています。・・・このように、本願発明と引用文献2-4に係る発明では、「お釣りが払出し口に残っている状態」を示す情報の用途が異なります。」という主張については、上記2(1)にて説示したとおり、そもそも、「お釣りが払出し口に残っている状態」では種々の問題が起こり得ることは、当業者には明らかであるから、その点で引用発明と引用文献3又は4に記載された事項とは課題が共通するところ、動機付けが認められる。
(ウ)「また、引用文献2-4に係る発明は、・・・これに対して・・・本願発明は、お釣りの取り忘れが発生した後に効果を奏するものです。」、「また、さらに、本願発明は・・・引用文献1に係る発明よりも詳細に精算装置の状態を通知することが可能となっています。」という主張については、引用発明に引用文献3又は4に記載された事項を適用したもの(つまり、お釣りを取らない限りレシートが発行されないもの)にも、同様の効果が予測できる。また、「以上から・・・引用文献1-4に記載された事項から当業者が想到する発明は、引用文献1に係る発明の構成と、引用文献2-4に係る発明の構成とを別々に備えたものであり、本願発明とは異なるものであると思料いたします。」という主張については、上記2(1)にて説示したとおりである。
したがって、請求人の上記「(A)第1の理由」の主張は、採用できない。
ウ 「(B)第2の理由」について
上記「(B)第2の理由」は、これは引用文献1のみに基いた主張であるし、引用発明に引用文献3又は4に記載された事項を適用する際の阻害要因にもならないから、請求人の上記主張は採用できない。
(3)判断の小括
よって、本願発明は、引用発明並びに引用文献3又は4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明並びに引用文献3又は4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
そうすると、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013332