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特許拒絶査定不服審判

2021-012062

非造血組織常在性γδ T細胞の増幅および該細胞の使用

審判番号
2021-012062
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-541524外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年09月10日
審決日
2023年01月31日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (C12N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-541524「非造血組織常在性γδ T細胞の増幅および該細胞の使用」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月 4日国際公開、WO2017/072367、平成30年11月15日国内公表、特表2018-533373〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年10月31日(パリ条約による優先権主張 2015年10月30日 (GB)英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国) 2016年 7月22日 (GB)英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国))を国際出願日とする出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりものである。 令和 2年 7月14日付け 拒絶理由通知書 令和 3年 1月25日 手続補正書・意見書の提出 令和 3年 4月22日付け 拒絶査定 令和 3年 9月10日 審判請求書・手続補正書の提出 第2 令和3年9月10日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年9月10日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 令和3年9月10日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。 補正前: 「【請求項1】 インターロイキン-15(IL-15)およびIL-2の存在下で、ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップを含む、in vitroで非造血組織常在性γδ T細胞を増幅するための方法であって、該リンパ球は、培養中に間質細胞または上皮細胞と直接的に接触しないものであり、該リンパ球が外因的に添加されるT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養される、上記方法。」 補正後: 「【請求項1】 インターロイキン-15(IL-15)およびIL-2の存在下で、ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップを含む、in vitroで非造血組織常在性γδ T細胞を増幅するための方法であって、該リンパ球は、間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養されるものであり、該リンパ球が外因的に添加されるT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養される、上記方法。」(下線部は、補正箇所である。) 2 補正の適否 本件補正は、請求項1の「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップ」について、補正前には、該リンパ球が「培養中に間質細胞または上皮細胞と直接的に接触しない」ものであると特定されていたところを「間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養される」ものであると補正するものである。 ここで、補正前の「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球」が「培養中に間質細胞または上皮細胞と直接的に接触しない」という発明特定事項には、発明の詳細な説明の段落【0026】に記載されるように(1)上記リンパ球が間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養される態様に加え、段落【0097】に記載されるように(2)間質細胞または上皮細胞がリンパ球の培養中に存在するが、物理的に分離されることによって直接的に接触しない態様が含まれるものと認められる。 そうすると、本件補正は、補正前の請求項1が上記(1)および(2)の態様を含むものであったところ、上記(2)の、間質細胞または上皮細胞が、リンパ球の培養中に存在するが該リンパ球と直接的に接触しない態様を除いて、上記(1)の、リンパ球が間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養される態様に限定するものであるといえるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。 (1)本願明細書及び図面の記載事項 ア 本願明細書の記載事項 本願明細書には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審にて付した。以下、同様である。 (本ア) 「【0014】 ・・・初代αβ T細胞の増幅での努力が、有益な増殖因子の供給源として他の支持細胞との共培養を一般的に用いてきた一方で(29)、本発明者らは、予期せぬことに、皮膚および他の非造血組織に常在するγδ T細胞が、自家皮膚線維芽細胞および潜在的には他の間質成分(ケラチン生成細胞および内皮細胞など)と接触させてこれらの細胞を共培養することにより、大いにかつ特異的に抑制されることを示した。そのような相互作用の除去は、潜在的な臨床応用のために、該細胞を、大量に、迅速に増幅することを可能にする。 ・・・ 【0016】 本明細書中には、皮膚および腸などの、ヒトまたは非ヒト動物非造血組織から、γδ T細胞を効率的かつ再現可能に単離および増幅するための新規な手段が開示される。増幅は、非造血組織由来非Vδ2 T細胞と、自家線維芽細胞および潜在的には他の間質成分との接触を分断することにより促進され、かつインターロイキン-2(IL-2)および/またはインターロイキン-15(IL-15)中での培養により維持される。 【0017】 αβ T細胞またはVδ2発現T細胞またはNK細胞の増幅は、自家線維芽細胞とのそれらの接触を分断することにより誘導されないので、増幅は非常に選択的である(図3A、3C、および3D)。線維芽細胞媒介型チェックポイント調節からの解放による非造血組織常在性γδ T細胞のこの増幅はまた、細胞のエフェクター能の「自発的」活性化もまた引き起こし(図5Aおよび5B)、このことは、抗腫瘍活性の文脈では非常に望ましい。・・・」(段落【0014】~【0017】) (本イ) 「【0026】 一実施形態では、ヒトまたは非ヒト動物非造血組織から取得されるリンパ球は、間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養することができる。例えば、間質細胞または上皮細胞を、培養に先立って除去することができる。好ましくは、ヒトまたは非ヒト動物非造血組織から取得されるリンパ球は、線維芽細胞の非存在下で培養することができる。例えば、線維芽細胞を、培養に先立って除去することができる。 ・・・ 【0029】 ・・・方法は、ヒトまたは非ヒト動物非造血組織のサンプルを提供するステップ、および該サンプルの非造血細胞からリンパ球を分離して、間質細胞を実質的に含まないリンパ球集団を作製するステップを含むことができる。 ・・・ 【0031】 非造血組織から取得されるγδ T細胞の集団は、γδ T細胞の実質的に純粋な集団であり得る。 ・・・ 【0036】 第3の態様では、本発明は、以下のステップ:(i)非造血細胞およびγδ T細胞を含む非造血組織を提供するステップ;(ii)非造血細胞からγδ T細胞を分離して、間質細胞を実質的に含有しない、γδ T細胞を含む集団を作製するステップ;および(iii)TCR活性化シグナルまたは共刺激シグナルの非存在下でステップ(ii)の集団を培養して、γδ T細胞の増幅された集団を作製するステップを含む、γδ T細胞を増幅するための方法を提供する。」(段落【0026】~【0036】) (本ウ) 「【0058】 ・・・ 【図3A-1】皮膚常在性γδ T細胞のみが、強い活性化および増殖を伴って、皮膚間質からの分離に対して応答することを示す図である。図3A:皮膚常在性リンパ球は、Clarkプロトコールを用いて単離した。3週間の器官型培養後、皮膚リンパ球を回収し、線維芽細胞をはじめとするいかなる残余の皮膚細胞からも分離し、1百万個のリンパ球/mLの密度で組織培養ウェルに移し、100U/mLのIL-2を添加した。さらに3週間後、常在性γδ T細胞は著しく増幅しており、皮膚リンパ球培養物中で富化されていた。この著明な増殖現象は、皮膚常在性γδ T細胞に限定されており、このことは、大多数のVδ1+ T細胞が3週間のうちに平均して127.18倍に増殖し、一方で、従来のαβ T細胞は平均で5.21倍しか増殖しなかった(これは20倍を超えて低いことになる)ことにより表わされる。 ・・・ 【図6A】ヒト腸内の組織常在性γδ T細胞の分析を示す図である。図6A:Clarkプロトコールを適応させることにより、腸常在性リンパ球の単離が可能になった。混合型腸リンパ球は、通常は主にVδ1細胞を含むが、Vδ2細胞および二重陰性γδ T細胞もまた含有する組織常在性γδ T細胞の大きな集団を含む。 【図6B】ヒト腸内の組織常在性γδ T細胞の分析を示す図である。図6B:腸器官型培養から単離されたγδ T細胞は、それらが腸間質から分離されれば時間と共にKi-67をアップレギュレーションするので、皮膚由来γδ T細胞と類似の応答を示す。 ・・・ 【図12】IL-2(左側パネル)、IL-15(中央パネル)およびIL-2+IL-5(右側パネル)中でのVδ1 T細胞の増幅を示す図である。新鮮に単離された皮膚由来リンパ球を、10%FCSおよび1%Pen/Strepを含有するRPMI培地中、96ウェル平底プレートで培養し、IL-2、IL-15またはIL-2+IL-15のいずれかをそれぞれ7日間添加した。IL-2およびIL-15の両方ならびに2種類のサイトカインの組み合わせが、間質細胞の非存在下でのアイソタイプ(真の陰性)染色と比較したKi-67染色でのシフトにより示される通り、Vδ1 T細胞の増殖を誘導した。・・・」(段落【0058】) (本エ) 「【0067】 リンパ球は、いずれかの好適なヒトまたは非ヒト動物非造血組織から取得することができる。非造血組織は、血液、骨髄または胸腺組織以外の組織である。・・・そのような好適なヒトまたは非ヒト動物非造血組織の例としては、皮膚もしくはその一部分(例えば、真皮、表皮)、消化管(例えば、消化管上皮、結腸、小腸、胃、虫垂、盲腸、または直腸)、乳腺組織、肺(好ましくは、この場合、組織は気管支肺胞洗浄により取得されない)、前立腺、肝臓、脾臓および膵臓が挙げられる。・・・非造血組織サンプルは、標準的な技術により、例えば、外植片(explant)(例えば、生検)により、取得することができる。 【0068】 リンパ球は、ヒトまたは非ヒト動物非造血組織からのリンパ球の単離を可能にするいずれかの好適な方法により取得することができる。1つのそのような方法は、Clarkらの文献(29)中に説明されており、該文献は、ヒト皮膚からリンパ球を単離するための三次元皮膚外植片プロトコールを記載している。外植片は、スキャホールド上への外植片からのリンパ球の放出を容易にするために、合成スキャホールドに接着させることができる。・・・この方法および他の方法を、複数の他の非造血組織タイプ(例えば、腸、前立腺および乳房)からリンパ球を単離するための用いることができる。 ・・・ 【0071】 重要なステップは、非造血組織常在性T細胞(例えば、αβ T細胞、γδ2 T細胞および非γδ2 T細胞を例えば含むことができる、混合型リンパ球集団内の)を、T細胞が取得された組織の非造血細胞(例えば、間質細胞、特に線維芽細胞)から意図的に分離するステップ(例えば、数日間または数週間の培養後)、および下記で説明される通りのサイトカイン中でのリンパ球としての細胞のその後の培養ステップである。これは、組織由来γδ1 T細胞およびDN γδ T細胞の、引き続く数日間および数週間にわたる選択的かつ著しい増幅を可能にする。 【0072】 本明細書中で用いる場合、「分離」、「分離された」または「分離する」こととは、異なる細胞集団の間の物理的接触を破壊または妨害する動作を意味する。分離は、例えば、膜同士の結合を妨害するために細胞の混合集団を強くピペッティングすることにより、またはCarrascoら(30)により記載される通り、例えば、ケモカインまたはサイトカインと共に培養することにより、例えば、組織マトリックスから細胞の集団の「クロールアウト」を誘導することにより、行なうことができる。分離は、トランスウェル(transwell)培養システムを用いて、または異なる細胞集団同士の物理的接触を妨げる同様の培養法により、培養の間、維持することができる。 【0073】 本明細書中で用いる場合、「実質的に純粋な」とは、個数、質量、または体積により90%超の純度を意味する。「実質的に含まない」とは、個数、質量、または体積により5%未満の所定の構成要素を有することを意味する。・・・」(段落【0067】~【0073】) (本オ) 「【0078】 IL-2と組み合わせたIL-15の添加が、IL-2単独と比較して増殖性非造血組織常在性γδ T細胞の増幅の強化をもたらすので、リンパ球は、好ましくは、IL-2およびIL-15の存在下で培養される。IL-15の濃度は、好ましくは少なくとも10ng/mLである。」(段落【0078】) (本カ) 「【0086】 一部の実施形態では、リンパ球は、CD3および/もしくはCD28活性化因子(例えば、抗CD3および/または抗CD28モノクローナル抗体);フィトヘマグルチニン(PHA);コンカナバリンA、合成ホスホ抗原(BrHPP(ブロモヒドリンピロリン酸)、2M3B1PP(2-メチル-3-ブテニル-1-ピロリン酸)、HMBPP((E)-4-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-2-エニルピロリン酸)、またはIPP(イソペンテニルピロリン酸)など);N-ビスホスホネート(ゾレドロネートなど);組み換えCD70;抗CD2モノクローナル抗体;抗CD27モノクローナル抗体;抗汎TCRγδ抗体:抗CD277モノクローナル抗体;または人工的抗原提示細胞(aAPC)などの、外因的に添加されたT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養することができる。T細胞シグナル伝達を活性化する物質としては、抗原提示細胞(APC)または人工的APCと結合したMHC複合体またはHLA複合体などの、細胞表面結合型分子も挙げられる。TCR経路アゴニストを外因的に添加することによりT細胞を活性化する好適な方法は、当技術分野で周知であり、かつDenigerらの文献(44)のFigure 1に概要が示されている。」(段落【0086】) (本キ) 「【0098】 Clarkプロトコールを用いると、非造血組織常在性リンパ球を、例えば、しっかりとピペッティングすることにより、皮膚線維芽細胞などの間質細胞から回収および分離することができる。リンパ球回収物は、プロセス中に結合が緩やかになっている可能性がある線維芽細胞凝集体を保持するために、40μmナイロンメッシュを通してさらに洗浄することができる。例えば、CD45抗体を用いる、蛍光または磁性結合細胞ソーティングを用いてリンパ球を単離することもできる。T細胞の活性化を最小限にするために、その前方および側方散乱特性を基準にして、リンパ球だけをソーティングすることもできる。・・・」(段落【0098】) (本ク) 「【0100】 間質細胞または上皮細胞は、好ましくはリンパ球の培養中に存在する(しかしリンパ球とは直接的に接触しない)が、それらを除去して、リンパ球が、間質細胞または上皮細胞の非存在下で(例えば、線維芽細胞の非存在下で)、培養されるようにすることができる。」(段落【0100】) (本ケ) 「【実施例】 【0138】 方法 三次元外植片培養によるヒト皮膚由来リンパ球の単離 三次元皮膚外植片プロトコールは、他の文献で記載されている通りに(29)、確立された。9mm×9mm×1.5mm Cellfoamマトリックス(Cytomatrix Pty Ltd, Victoria, Australia)をオートクレーブし、続いて100mg/mLラット尾I型コラーゲン(BD Biosciences社)溶液(PBS中)中で室温にて30分間インキュベートし、その後、PBS中で1回リンスした。成人ヒト皮膚のサンプルは、皮膚手術から3~6時間以内に取得した。皮下脂肪を除去し、残りの皮膚組織を、約1mm×1mmの大きさの断片へと切り刻んだ。約5個の皮膚断片/外植片を配置し、各マトリックスの表面へと押し当てた。各マトリックスを、2mLの「Skin-T」培地(・・・)が入った24ウェルプレート(Corning社)の別々のウェル中に配置した。培養の最初の7日間、アンホテリシン(2.5μg/mL;Life Technologies社)を培地に加えた。培地は、週3回交換した。栄養供給のために、上部の1mLの培地を各ウェルから吸引除去し、新鮮な培地と置き換えた。IL-2およびIL-15は、培養の開始時から、21日目でのリンパ球の単離までの各培地交換時に添加した。・・・ 【0139】 リンパ球を単離するために、マトリックスを、0.01mM HEPES含有10mLハンクス平衡塩溶液(HBSS;Life Technologies社)が入った50mL遠沈管(Corning社)へと移した(最大12個のマトリックス/遠沈管)。マトリックスを、10mLピペットを用いて細胞懸濁液でリンスし、細胞懸濁液を70μmフィルター(BD Biosciences社)を通して新しい50mL遠沈管(Corning社)へと入れた。このマトリックスの「洗浄」をさらに2回繰り返した。培養ウェルからの培地も吸引し、70μmフィルター(BD Biosciences社)を通して新しい50mL遠沈管(Corning社)へと入れた。ウェルを、1mLの0.01mM HEPES/HBSSを用いてさらに2回洗浄し、70μmフィルター(BD Biosciences社)に通した。続いて、遠心分離(1600rpm、15分間)により細胞を単離した。ペレットを、「Skin-T」培地中に再懸濁した。最終的な細胞ペレットを、引き続くフローサイトメトリー分析または機能性研究のために、「Skin-T」培地中に再懸濁した。細胞カウント数が必要な場合には、以下のいずれかにより、この段階で白血球を係数した:(1)トリパンブルー染色(0.4%)(Life Technologies社)および血球計算盤、または(2)CASY(登録商標) Model TTセルカウンターおよびアナライザー(Roche社)。」(段落【0138】~【0139】) (本コ) 「【0141】 初代腸サンプルは汚染し易いので、取得された生検サンプルは、10%FCS、ペニシリン500U/mL、ストレプトマイシン500μg/mL、ゲンタマイシン100μg/mL、アンホテリシンB 12.5μg/mLおよびメトロニダゾール5μg/mLを含有するIMDM中で最初に洗浄し、切り刻んでグリッド上に配置する前に2回洗浄した。腸グリッド培養は、Gut-T培地(・・・)中で生育させた。生育の最初の1週間、本発明者らは、皮膚と同様にアンホテリシンB 2.5μg/mLも用いた。培地は、IL-2(100IU/mL)およびIL-15(20ng/mL)を含有し、週3回交換した。腸の構造は皮膚よりも緩やかであったので、1週間後にリンパ球を回収できた。」(段落【0141】) (本サ) 「【0142】 組織γδ T細胞の増幅 ヒト皮膚由来γδ T細胞の増幅のために、グリッド培養の3~4週間後に回収された混合型リンパ球を、PBS中で洗浄し、遠沈し、10%加熱不活性化胎児ウシ血清(Life Technologies社)、L-グルタミン(292μg/mL;Life Technologies社)、ペニシリン(100単位/mL;Life Technologies社)、ストレプトマイシン(100μg/mL;Life Technologies社)、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタンスルホン酸(HEPES;0.01M;Life Technologies社)、ピルビン酸ナトリウム(1mM;Life Technologies社)、最小必須培地(MEM)非必須アミノ酸(1×;Life Technologies社)および10μL/L 2-メルカプトエタノール(Life Technologies社)を含有するRoswell Park Memorial Institute 1640培地(RPMI-1640;Life Technologies社)中に、1×106/mLの密度で再懸濁し、IL-2(100IU/mL)単独またはIL-2+IL-15(20ng/mL)を添加した。細胞を、2×105/ウェルで96ウェル平底プレート(Corning社)または2×106/ウェルで12ウェルプレート(Corning社)中(増幅用)に播種した。・・・純粋なγδ T細胞が必要な場合には、細胞を、1mL FACSバッファー(PBS、2%加熱不活性化胎児ウシ血清および0.01M EDTA含有)中に再懸濁し、αβ T細胞受容体に関して(Biolegend、クローンIP26、1:50)、暗所にて氷上で30分間染色し、すべての陰性細胞を、DIVAを実行するAriaソーター(BD Biosciences社)を用いてソーティングした。」(段落【0142】) (本シ) 「【0149】 結果 ヒトγδ T細胞は皮膚に豊富に存在し、非Vδ2 TCRを発現し、ヒトリンパ系ストレス監視応答に従事する Clarkプロトコール(29)を用いて、本発明者らは、3週間の期間にわたって、組織常在性リンパ球の増殖を可能にするためにIL-2およびIL-15を添加されたヒト余剰皮膚サンプルを用いて、1グリッド当たり平均で240,000細胞のリンパ球集団を得た。・・・器官型培養後のリンパ球のこのサブセット表示は、約100名のドナーで高度に再現可能であり、かつ新鮮消化皮膚サンプルと同等であり、γδ集団のわずかな増大でのみ異なったが、実用的に有用であり、標準的な組織消化プロトコールと比較して、はるかに大きくかつ純粋なリンパ球集団を提供した。・・・ ・・・ 【0153】 組織からの分離は、ヒト組織γδ T細胞の活性化および大幅な増幅を引き起こす ヒト組織、γδ T細胞およびそれらの生物学をさらに研究するために、本発明者らは、混合型皮膚リンパ球を細胞培養ウェルへと移し、長時間の生存率を維持するために、それらにIL-2を添加した。興味深いことに、器官型培養中に存在する間質細胞および上皮細胞から分離することにより、Vδ1 T細胞が独特に、いかなる他の刺激も加えることなく、活性化および増殖の兆候を示したことを、本発明者らはすぐに見出した。7日間未満の間に、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞は独特かつ大幅に、核因子Ki-67をアップレギュレーションし、かつIL-2受容体α(CD25)の表面発現を増加させた(図3Bおよび図4B)。際立ったことに、3週間の期間にわたって、およびIL-2のみの存在下で、組織由来Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞は、すべての他のT細胞サブセットよりも増殖し、それにより全皮膚リンパ球のうちの最大65%となり、個数は平均で127.18倍まで増加したが、一方で、αβ T細胞は、細胞絶対数により測定した場合に、5.21倍(p=0.0124)しか増えなかった(図3A)。細胞周期関連核因子Ki-67のMFIは、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞では14日間で2664.5(±1876.1)から8457.7(±4574.2)まで増加し、一方で、αβ T細胞では、MFIは592.8(±390.5)から284.7(±140.1)へと同じ期間で減少した(図3C)。選択的な皮膚常在性γδ T細胞増殖のこの現象はさらに、追加の組み換えIL-15を用いて補助することができ、組み換えIL-15は、リンパ球の生存率および総数を増加させた。 【0154】 皮膚γδ T細胞は、接触依存的様式で、線維芽細胞により著しく抑制される 前段落に記載されるVδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞の際立った増幅は、多量の線維芽細胞増殖が存在する器官型培養システム中では一切生じなかった。したがって、本発明者らは、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞とのそれらの共培養がT細胞の増幅を阻害するか否かを直接的に調べるために、自家線維芽細胞を生育させた。3週間のグリッド培養後、本発明者らは、空であるかまたは事前に達成された線維芽細胞のコンフルエントな単層を含有するウェルへと混合型皮膚リンパ球を播種し、それぞれの場合で、培地に外因的にIL-2を添加して、T細胞生育を維持させた。加えて、本発明者らは、同じウェル中でTリンパ球が線維芽細胞と直接的に接触することを防止するが、線維芽細胞により生成されるいずれかの可溶性因子によりTリンパ球が影響を受けることを可能にする、トランスウェル(transwell)を用いた。14日間の共培養中に、線維芽細胞がないウェル中およびT細胞が線維芽細胞と直接的に接触することを妨げられたウェル中では、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞は増殖し始めた。・・・目立ったことに、T細胞が線維芽細胞と直接接触させられた場合、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞の2週間にわたる生育率は、線維芽細胞接触のないウェルの22.6(SEM 8.07)倍から3.3(SEM 0.17)倍へと著しく低下した(図4A)。この接触媒介型阻害は、単独で生育させたリンパ球と比較した場合の、7日間の期間にわたるVδ1でのCD25、Ki-67および転写因子T-betのアップレギュレーションの非存在によりさらに確認された(図4B)。免疫系の組織媒介型制御の一部の形態が、組織ホメオスタシスの維持に対して基本的なものであることが明らかであろうが、これは、この制御なしでは、永続的な炎症の可能性が生じるであろうからである。間質線維芽細胞によるVδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞の抑制的調節は、そのような制御の一例であると思われる。 【0155】 総合すると、皮膚常在性Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞の表現型ならびにそれらの際立った機能的潜在能力は、これから特性決定される接触依存性メカニズムを介して、隣接する皮膚線維芽細胞により通常は抑制されている、活性化前のT細胞を反映している。T細胞を線維芽細胞との接触から解放することによりこのメカニズムを不活性化することによって、Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞の際立った増幅が選択的に可能になり、一方で、皮膚中の他のT細胞は影響されない。 【0156】 接触媒介型阻害の解除は、皮膚Vδ1 T細胞による細胞傷害性TH1偏向性サイトカイン応答を促進する 混合型皮膚由来リンパ球を14日間増幅させ、γδ T細胞からαβ T細胞を除去するために、蛍光結合型細胞ソーティング(fluorescence associated cell sorting)を用い、それにより最大90%の純度でγδ T細胞を取得することができた。・・・完全に予期せぬことに、増幅中のγδ T細胞(線維芽細胞からのその分離のみによって誘発された)は、多量のIFN-γ(12,383.46±16,618.90pg/mL)、GM-CSF(4,316.73±4,534.96pg/mL)などのTH1関連サイトカインならびに炎症性ケモカインCCL4(14,877.34±10,935.64pg/mL)およびCCL3(1,303.07±757.23pg/mL)を自発的に産生した(図5A)。」(段落【0149】~【0156】) (本ス) 「【0158】 ヒト腸内の組織常在性γδ T細胞 本発明者らは、ヒト結腸由来のグリッド培養中でも、Vδ1 T細胞受容体を発現するγδ T細胞の非造血組織常在性集団を特定している(図6)。3名のドナーで、本発明者らは、4~5週間の期間にわたって、皮膚細胞に関して用いたのと同じ方法を用いて(15)、これらの細胞を増幅することができた。増幅中、結腸由来Vδ1+ T細胞およびDN γδ T細胞は、線維芽細胞豊富な器官型細胞培養からのそれらの単離後に、類似のKi-67アップレギュレーションパターンを示した。・・・」(段落【0158】) イ 本願図面の記載事項 本願図面には、以下の事項が記載されている。 (本セ) 「 [図:0001398663000001.jpg] 」(図12) (2)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された、本願の優先日前の1997年に頒布された刊行物である、INAGAKI-OHARA K. et al., Eur.J.Immunol., 1997年, 27, 2885-2891(以下、引用文献1という。)には、以下の事項が記載されている。なお、原文は英語であるため、当審による翻訳文を示す。 ア 「インターロイキン-15は、マウスにおけるγδ T細胞受容体を持つ腸管上皮内リンパ球の増殖を優先的に促進する。」(2885頁の題名) イ 「幹細胞因子(SCF)やインターロイキン(IL)-7を含むいくつかのサイトカインが、マウスにおけるγδ T細胞受容体(TCR)腸管上皮内リンパ球(i-IEL)の発達に必要であることが知られている。我々はここで、IL-15がインビトロにおけるマウスγδ i-IELの増殖と維持に及ぼす影響を示す。γδ i-IELはIL-15受容体αのmRNAを恒常的に高発現しており、αβ i-IELに比べ、IL-15に応答してより活発に増殖した。Vγ/δレパートリー解析により、IL-15は、IL-2のように、γδ i-IELのポリクローナルな増殖を誘導するのに対し、IL-7に応答したδγ i-IELでは、Vγ1/Vδ4、Vδ5に偏ったVγ/δレパートリーを示すことが明らかになった。IL-15は、成長因子の欠乏によって誘導されるγδ i-IELのアポトーシスを効率的に抑制した。このレスキューは、Bcl-2の発現上昇を伴っていた。これらの結果は、IL-15がγδ i-IELの増殖と維持に重要な役割を担っていることを示唆している。」(2885頁の要約) ウ 「1 導入 腸管上皮内リンパ球(i-IEL)は、腸管上皮細胞(i-EC)の基底側面に位置し、腸管上皮を介して多くの環境抗原に常時さらされている[1]。マウスのi-iELには、TCRαβを有する集団(αβ i-IEL)とTCRγδを有する集団(γδ i-iEL)がほぼ同数含まれる[2]。」(2885頁左欄1行~8行) エ 「我々は最近、マウスサルモネラ症の初期に出現するγδ T細胞が、IL-15に応答して増殖し、様々なサイトカインを産生することを見いだした[16]。我々の結果は、サルモネラ症の過程でαβ T細胞が活性化するよりもかなり早い段階で、感染したマクロファージに由来するIL-15がγδ T細胞の初期活性化に寄与し得ることを示唆している[16]。活性化したマクロファージ以外にも、IL-15は、上皮細胞、線維芽細胞、骨格筋、腎臓、胎盤細胞を含む様々な細胞および組織で産生されると考えられているのに対し、IL-2は専ら活性化したT細胞で産生される[12,17-20]。最近、ヒトのi-ECがIL-15を産生できることが報告された[21]。i-IELのいくつかのサブセットがIL-2非依存的に増殖することを示すいくつかの証拠がある[22,23]。これらを総合すると、IL-15がi-IELの増殖と活性化に関与するようである。」(2885頁左欄最下行~右欄15行) オ 「この点を検討するために、我々は、IL-15がマウスのi-IELの増殖と活性化に及ぼす影響を調べた。我々は、IL-15がγδ i-IELを刺激して増殖させることを見いだした。さらに、IL-15は成長因子の欠乏によって誘導されるγδ i-IELのアポトーシスを効率的に抑制し、これは、アポトーシスを防ぐBcl-2の発現上昇を伴うものであった[24]。これらの結果は、IL-15がγδ i-IELの増殖と維持に役割を担っている可能性を示唆している。」(2885頁右欄16行~23行) カ 「2.2 i-IELおよびi-ECの調製 i-IELとi-ECは、既報[25]の方法を改変して単離した。簡単に言えば、マウス小腸を5mm片に切断し、10%胎児ウシ血清と1mM DTTを含む199培地(ギブコ, グランドアイランド, NY)中、室温で30分間攪拌した。振盪後、細胞をガーゼに通し、破片を除去し、25%/40%/75%不連続パーコール(登録商標)(ファーマシア, ウプサラ, スウェーデン)勾配で、20℃で20分間、600×6にて遠心分離を行った。i-ECとi-IELはそれぞれ、25%/40%および40%/75%の界面で得られた。αβおよびγδ i-IELは磁気セルソーティング(MACS, ミルテニー, バイオテック,ベルギッシュ グラートバッハ, ドイツ)によって負に分離した。簡単に言うと、i-IELをビオチン結合抗TCRγδモノクローナル抗体(GL3, ファーミンジェン, サン ディエゴ, CA)または抗TCRαβモノクローナル抗体(H57-579, ファーミンジェン)と4℃で15分間インキュベートした。洗浄後、細胞をストレプトアビジン(ストレプトアビジン マイクロビーズ, ミルテニー バイオテック)でコートした免疫磁気ビーズと4℃で15分間インキュベートした。磁気ビーズに結合していない細胞を結合した細胞から穏やかに分離し、αβ i-IELまたはγδ i-IELとして使用した。フローサイトメトリーによって評価したαβまたはγδ i-IELの純度は95%以上だった。いくつかの実験では、FITC標識抗TCRαβモノクローナル抗体(ファーミンジェン)とPE標識抗TCRγδモノクローナル抗体(ファーミンジェン)で染色したi-IELおよびFITC標識抗I-Abモノクローナル抗体(AF6-120.1,ファーミンジェン)[26]で染色したiECを、逆転写(RT)-PCR解析のためにEPICS ELITE(コルター, マイアミ, FL)で正に単離した。フローサイトメトリーによって評価した各細胞型の純度は99.5%以上だった。」(2885頁右欄下から8行~2886頁左欄22行) キ 「2.3 細胞培養 αβとγδ i-IEL(2.5×105/ml)を、様々な用量のヒトrIL-2(武田薬品工業,大阪,日本)、ヒトrIL-15(ジェンザイム コーポレーション, ケンブリッジ, MA)またはマウスrIL-7(ギブコBRL, ゲイザースバーグ, MD)の存在下、10%FCS、100U/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、5×10-5M 2-MEを添加したRPMI1640で培養した。・・・」(2886頁左欄23行~29行) ク 「3.2 IL-15はγδ i-IELの増殖と活性化を促す強力な刺激因子である γδ i-IELにおけるIL-15Rα mRNAの発現は、γδ i-IELがIL-15に応答する可能性を示唆した。IL-15がγδ i-IELの成長因子として働くかどうかを検証するために、BrdU取り込みアッセイを用いて単離したばかりのγδ i-IELに対するIL-15の増殖効果を調べた。図2に示すように、rIL-15は用量依存的にγδ i-IELへのBrdUの取り込みを増加させた。1ng/ml以上のrIL-15において、αβ i-IELに比べてγδ i-IELへのBrdU取り込みが2倍増加した(p<0.01)。一方で、rIL-2の増殖刺激活性は、αβとγδ i-IELの間でわずかな差があった。以前の報告[31]と一致して、rIL-7もγδ i-IELの増殖をある程度誘導した(図2)。これらの知見は、γδ i-IELがαβ i-IELよりも活発に外因性のrIL-15に応答することを示している。」(2887頁右欄15行~32行) ケ 「IL-15がγδ i-IELの機能を活性化できるかどうかを評価するために、我々は次にrIL-15に応答したγδ i-IELの上清におけるサイトカインの産生を調べた。γδ i-IELは培地のみで培養した後、自発的に有意なレベルのIFN-γを産生した。IFN-γの産生はrI-15又はrIL-7による刺激後にさらに増加したが、rIL-2では増加しなかった。αβ i-IELはrIL-15に応答してわずかなレベルのIFN-γのみを産生した。これらの条件下でαβまたはγδ i-IELのいずれの上清においてもIL-4の産生は検出されなかった(図3)。したがって、IL-15はTh1型サイトカインを産生するγδ i-IELの増殖と活性化を支持することができる。」(2887頁右欄33行~2888頁左欄5行) コ 「3.4 IL-15によるγδ i-IELのポリクローナルな増殖 γδ i-IELは、γ鎖としてVγ1またはVγ7、δ鎖としてVδ4、Vδ5、Vδ6またはVδ7を優先的に使用するが、Vγ/δレパートリーはγδ i-IELにおいて多様である[32-34]。IL-2、IL-7またはIL-15に応答してγδ i-IELのサブセットに違いが出るどうかを評価するために、rIL-2、rIL-7またはrIL-15で培養した後のγδ i-IELのTCR Vレパートリーを比較した。図5に示すように、rIL-15に応答したγδ i-IELは、rIL-2に応答したものと同じVγ/δレパートリーを発現していた。一方で、rIL-7は、Vγ1/2、Vδ4およびVδ5に偏ったVγ/δレパートリーを発現するγδ i-IELを増幅した。これらの結果は、IL-15が、IL-2と同様に、γδ i-IELのポリクローナルな増幅を誘導するのに対し、IL-7はγδ i-IELの限られた部分を刺激して増殖させる可能性があることを示唆している。」(2888頁右欄16行~2889頁左欄3行) サ 「3.5 IL-15は成長因子の欠乏によって誘導される細胞死からγδ i-IELをレスキューする i-IELは、37℃の培地のみでインビトロ培養すると、アポトーシスによって急速なプログラム細胞死を起こすことが知られている[35]。T細胞は、成長因子や繰り返しの抗原刺激の非存在下でアポトーシスを起こす[36]。IL-2Rγからのシグナルは、bcl-2のような生存遺伝子の上昇を介して、成長因子の欠乏に誘導されてT細胞がアポトーシスを起こすのを防ぐことができる[24,37,38]。そこで、我々は、IL-2Rγを受容体の構成要素として共有するIL-2、IL-7、またはIL-15が、インビトロ培養後のi-IELの両サブセットの生存に与える影響を比較した。以前の報告[35]と一致して、αβおよびγδ i-IEL両方の大部分が、37℃の培地のみでインビトロ培養した後にアポトーシスを起こした(図6)。ゲル電気泳動によるDNA分析の結果、細胞死はDNAの断片化を伴うことが明らかになった(データは示さず)。i-IELを100ng/mlのrIL-15と48時間培養したところ、rIL-15によりγδ i-IELにおける生存細胞の回復が増加した(図6)。rIL-15は、αβ i-IELの細胞死には限られた保護効果しか示さなかった。アポトーシスの頻度を定量的に分析するために、核DNA量をプロピジウムヨードで染色して調べた。24時間の培地のみでの培養後、低二倍体DNAを有するアポトーシス細胞の頻度が増加した(αβ, 3±1%から69±4%;γδ, 2±1%から62±3%)(図7)。rIL-15は、αβ i-IEL(54±4%)よりもγδ i-IEL(42±4%)のアポトーシスの防止に、より効果的であった。これらの結果は、γδ i-IELのかなりの部分がインビトロでの培養後に成長因子の欠乏によりアポトーシスを起こしていること、および、IL-15はγδ i-IELをアポトーシスからレスキューできることを示唆している。」(2889頁左欄4行~右欄22行) シ 「我々はここで、IL-15がγδ i-IELの増殖を優先的に促進することを示した。単離したてのγδ i-IELは、IL-15Rα mRNAを恒常的に高発現しているのに対し、αβ i-IELはこのmRNAを低レベルでしか発現していなかった。γδ i-IELはIL-15に応答して活発に増殖し、かなりの量のIFN-γを産生した。rIL-15は、おそらくBcl-2の上昇を介して、αβ i-IELよりも効率的に、γδ i-IELが成長因子飢餓により誘導されるアポトーシスを起こすのを防いだ。これらを総合すると、我々の結果は、γδ i-IELがIL-15をその増殖および維持のための成長因子として利用し得ることを示唆している。」(2890頁左欄12行~22行) ス 「結論として、IL-15はγδ i-IELの増殖と活性化を優先的に誘導し、これらの細胞が成長因子の欠乏によって誘導されるアポトーシスを起こすのを防ぐ。IL-15の効果は、αβ i-IELよりもγδ i-IELでより顕著である。IL-15は、γδ i-IELの発達と維持に重要であり得る。」(2891頁左欄8行~12行) セ 2887頁の図2は、横軸を「サイトカイン濃度(ng/ml)」、縦軸を「BrdUの取り込み(OD450)」として、IL-2、IL-7またはIL-15がi-IELの増殖に及ぼす効果の比較を示した図であって、以下の図および説明が記載されている。 「 [図:0001398663000002.jpg] 図2.IL-2、IL-7またはIL-15がi-IELの増殖に及ぼす効果の比較。選別されたαβ(白丸)またはγδ i-IEL(黒丸)を、様々な濃度のこれらのサイトカインと72時間培養した。培養の最後の18時間の間、BrdUがi-IELに添加された。数値は3つの独立した実験の平均値±標準偏差を表す。同じ用量のサイトカインでαβ i-IELに対して得られた値に対する差(*p<0.05, **p<0.01)。」(2887頁の図2) (3)引用文献1に記載された発明 引用文献1は、「インターロイキン-15は、マウスにおけるγδ T細胞受容体を持つ腸管上皮内リンパ球の増殖を優先的に促進する。」(上記(2)ア)と題する学術論文であって、マウスの小腸片から単離したγδ T細胞受容体(TCR)腸管上皮内リンパ球(γδ i-IEL)を、インターロイキン(IL)-2、IL-7またはIL-15の存在下でインビトロにて培養し、IL-15がγδ i-IELの増殖と活性化を優先的に誘導することや、IL-15がIL-2と同様にγδ i-IELのポリクローナルな増殖を誘導することを実証し、それらの結果よりIL-15がγδ i-IELの増殖や維持に重要な役割を担う因子であることを報告するものである(上記(2)イ、オ~ク、コ、シ~セ)。そして、上記γδ i-IELを調製するにあたり、マウス小腸片を培地中で撹拌して細胞を回収し、不連続パーコール(登録商標)勾配遠心分離によってi-IELを得た後に、抗TCRαβモノクローナル抗体を用いた磁気セルソーティングによってTCRαβを発現する細胞を負に分離(すなわち、TCRαβを発現する細胞を除去)してγδ i-IELを単離したことが記載され、当該方法によって単離したγδ i-IELは、フローサイトメトリーで評価した純度が95%以上であったことも記載されている(上記(2)カ)。 したがって、引用文献1には、次のとおりの発明が記載されていると認められる。 「IL-15またはIL-2の存在下で、マウスの小腸から単離されたγδ T細胞受容体を持つ腸管上皮内リンパ球(γδ i-IEL)をインビトロで培養して増殖させる方法。」(以下、「引用発明1」という。) (4)本願補正発明と引用発明1との対比 本願補正発明と引用発明1を対比する。 引用発明1の「IL-15」、「IL-2」はそれぞれ、本願補正発明の「インターロイキン-15(IL-15)」、「IL-2」に相当する。 引用発明1の「マウス」は、本願補正発明の「非ヒト動物」に相当する。 また、本願明細書において「好適なヒトまたは非ヒト動物非造血組織」の例として小腸が記載されていることから(上記(1)ア(本エ))、引用発明1の「小腸」は、本願補正発明の「非造血組織」に相当し、引用発明1のγδ i-IELはマウスの小腸から得られるリンパ球であるから、引用発明1の「マウスの小腸から単離されたγδ T細胞受容体を持つ腸管上皮内リンパ球(γδ i-IEL)」は、本願補正発明の「非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球」に相当する。 また、引用発明1の「γδ i-IEL」は、腸管上皮内に常時存在しているリンパ球であるから(上記(2)ウ)、本願補正発明でいう「非造血組織常在性」のリンパ球であると認められる。そして、引用発明1の「γδ i-IEL」は、T細胞受容体(TCR)γδを発現するものであり(上記(2)ウ)、引用文献1において「γδ T細胞」と表示されるから(上記(2)エ)、引用発明1の「γδ i-IEL」は、本願補正発明に係る「非造血組織常在性γδ T細胞」に相当すると認めることができる。 さらに、引用文献1には、上記「γδ i-IEL」を培養するにあたり、10%FCS(すなわち、ウシ胎児血清)、ペニシリン、ストレプトマイシン、および2-ME(すなわち、2-メルカプトエタノール)を含むRPMI1640培地を使用したことが記載されているが(上記(2)キ)、当該基本培地および培地成分はいずれも、本願明細書の実施例において使用された培地にも含まれるものであり(上記(1)ア(本サ))、「T細胞受容体経路アゴニスト」(上記(1)ア(本カ))を含むものではない。 したがって、引用発明1のγδ i-IELは、「外因的に添加されるT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養」されていると認められる。 そうすると、本願補正発明と引用発明1は、 「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップを含む、in vitroで非造血組織常在性γδ T細胞を増幅するための方法であって、該リンパ球が外因的に添加されるT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養される、上記方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願補正発明は、インターロイキン-15(IL-15)およびIL-2の存在下でリンパ球を培養しているのに対し、引用発明1は、IL-15またはIL-2の存在下でγδ i-IELを培養している点。 (相違点2) 本願補正発明は、リンパ球を、間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養しているのに対し、引用発明1は、γδ i-IELが、間質細胞や上皮細胞の非存在下で培養されることについて特定されていない点。 (5)判断 ア 相違点1について 引用文献1には、単離されたγδ i-IELをIL-15の存在下で培養し、IL-15が、γδ i-IELの増殖と活性化を優先的に誘導し、成長因子の欠乏によるアポトーシスを防ぎ、γδ i-IELのポリクローナルな増殖を誘導したことが示されている(上記(2)ク~セ)。また、IL-2についても、γδ i-IELの増殖を刺激する活性を有し、IL-15と同様にγδ i-IELのポリクローナルな増殖を誘導したことが具体的に示されている(上記(2)ク、コ、セ)。そして、T細胞の増殖の促進においてIL-2とIL-15を組み合わせる手法は本願の優先日当時、当業者に周知であったと認められる(DONG Jun et al., Journal of Experimental Hematology, 2010年, vol.18 no.6, p.1590-1594(原査定の参考文献5)の要約、C Agostini et al., J. Immunol., 1996年, vol.157, p.910-918(原査定の参考文献6)の図7、Kyle K Payne et al., Brest Cancer Res Treat., 2013年, vol.142 no.1, p.45-57(原査定の参考文献7)の要約、「材料と方法」の「リンパ球のエクスビボリプログラミングと増殖」欄)。そうすると、引用発明1において、γδ i-iELをインビトロで培養して増殖させるにあたり、引用発明1において増殖刺激因子として使用されているIL-15とIL-2を組み合わせて用いることに格別の困難性はなかったものといえる。 次に、IL-15とIL-2を組み合わせたことによる本願補正発明の効果について検討すると、本願明細書の段落【0078】および【0153】には、IL-2と組み合わせてIL-15を添加することにより、IL-2単独の場合と比べて非造血組織常在性γδ T細胞の増幅の強化をもたらすことができると記載され(上記(1)ア(本オ)、(本シ))、段落【0058】および図12には、IL-2単独、IL-15単独、およびIL-2+IL-15中での皮膚由来Vδ1 T細胞の増殖をKi-67染色により検証した結果も記載されている(上記(1)ア(本ウ)の【図12】の説明、イ(本セ))。しかしながら、これらの記載事項および本願明細書の他の記載を参酌しても、IL-2とIL-15を組み合わせたことによる効果が格別であるとは認められず、IL-2とIL-15を組み合わせて用いたことにより、本願補正発明が引用発明1および本願優先日当時の技術水準から予測し得ない顕著な効果を奏するとは認められない。 イ 相違点2について 引用文献1には、引用発明1のγδ i-IELをマウス小腸片から単離する方法として、マウス小腸片を培地中で撹拌し、振盪後、細胞をガーゼに通して破片を除去したこと、25%/40%/75%不連続パーコール(登録商標)勾配で遠心分離を行って、それぞれ25%/40%および40%/75%の界面にi-ECおよびi-IELを分離したこと、および、そのようにして得られたi-IELに対して抗TCRαβモノクローナル抗体を用いた磁気セルソーティングを行い、TCRαβを発現する細胞を除去してγδ i-IELを精製したことが記載され、当該方法によって単離したγδ i-IELは、フローサイトメトリーで評価した純度が95%以上であったことが記載されている(上記(2)カ)。 このことから、引用発明1のγδ i-IELは、マウス小腸片に由来するγδ i-IEL以外のリンパ球ないしは他の細胞の混入が5%未満となる程度に精製されたものであると認められる。 一方、本願明細書の記載(上記(1)ア(本ウ)、(本エ)、(本キ)、(本サ)、(本シ))によると、本願の発明の詳細な説明には、皮膚外植片または腸サンプルを、Clarkプロトコールを用いた三次元器官培養法によって培養して皮膚または腸常在性混合型リンパ球集団を単離したことが記載され、当該混合型リンパ球集団を、器官型培養中に存在する間質細胞および上皮細胞から分離してIL-2などとともにさらに培養することによって、γδ T細胞を増幅させたことが具体的な実施形態として記載されていると認められる。 しかしながら、上記の実施形態において、器官型培養後に回収した組織常在性混合型リンパ球集団から残余の間質細胞や上皮細胞を分離するための除去手段が具体的に開示されていない。 また、本願の発明の詳細な説明の他の記載を参酌しても、間質細胞や上皮細胞の分離除去については、段落【0098】において、Clarkプロトコールを用いると、しっかりとピペッティングすることにより、皮膚線維芽細胞などの間質細胞から非造血組織常在性リンパ球を回収および分離できること、線維芽細胞凝集体を保持するために40μmナイロンメッシュを通してリンパ球回収物をさらに洗浄することができること、および、蛍光または磁性結合細胞ソーティングや前方および側方散乱特性を基準にしてリンパ球だけをソーティングすることもできることが記載されているにとどまっており、「間質細胞または上皮細胞の非存在」であるといえる間質細胞や上皮細胞の残存量も評価されていない。 これに対し、引用文献1では、パーコール(登録商標)を媒体とする密度勾配遠心分離法によって、密度の異なるi-ECとi-IELを異なる界面に分画した上で、抗TCRαβ抗体に結合するαβ i-IELを除去することでγδ i-IELの精製が行われており、他の細胞の残存量は極めて低いものになっているといえる。 そうすると、引用発明1の「γδ i-IEL」は本願補正発明でいうところの「間質細胞または上皮細胞の非存在」であると認められ、上記相違点2は、実質的な相違点とはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (6)審判請求人の主張について ア 審判請求人の主張 審判請求人は、令和3年9月10日付けの審判請求書において、要するに以下の旨、主張している。 本願補正発明は、皮膚及び他の非造血組織に常在するγδ T細胞が、間質細胞及び上皮細胞との共培養によって特異的に抑制されるという知見に基づくものであり、容易に想到し得ない。間質細胞の非存在下での増殖効果はγδ T細胞に特異的なものであり、本願明細書では、間質細胞の非存在下では、γδ T細胞は127.18倍に増殖したのに対し、αβ T細胞は5.21倍にしか増殖しなかったことが示されている(図3のA)。 一方、引用文献1には、γδ i-IELの純度が95%以上であったと記載されていることからみて、引用文献1のγδ i-IELの培養に含まれる5%未満の非リンパ球細胞には、本来、間質細胞や上皮細胞が含まれるはずであるから、引用文献1の記載内容に基づいて、IL-15及びIL-2の存在下で、間質細胞または上皮細胞の非存在下で、非造血組織から取得されるリンパ球を培養することを当業者は容易に想到し得ない。 イ 判断 上記(5)イで述べたように、本願明細書の実施例ないしは他の記載箇所を参照しても、リンパ球集団における間質細胞や上皮細胞の残存量を確認したことが記載されておらず、「間質細胞または上皮細胞の非存在」の範囲は明示されていない。 むしろ、本願明細書では、細胞などの「純度」について、「「実質的に純粋な」とは、個数、質量、または体積により90%超の純度を意味する。「実質的に含まない」とは、個数、質量、または体積により5%未満の所定の構成要素を有することを意味する。」と記載され(上記(1)ア(本エ)の段落【0073】)、95%超の純度のものが「実質的に含まない」と定義されている。また、γδ T細胞から蛍光結合型細胞ソーティングによってαβ T細胞を分離することを開示した実施例についても「純粋なγδ T細胞が必要な場合には、細胞を、1mL FACSバッファー(・・・)中に再懸濁し、αβ T細胞受容体に関して(・・・)、暗所にて氷上で30分間染色し、すべての陰性細胞を、DIVAを実行するAriaソーター(・・・)を用いてソーティングした。」(上記(1)ア(本サ)の段落【0142】)および「混合型皮膚由来リンパ球を14日間増幅させ、γδ T細胞からαβ T細胞を除去するために、蛍光結合型細胞ソーティング(fluorescence associated cell sorting)を用い、それにより最大90%の純度でγδ T細胞を取得することができた。」と記載され(上記(1)ア(本シ)の段落【0156】)、「純粋なγδ T細胞」を得るために、αβ T細胞をソーティングして除去して「最大90%の純度」を有するγδ T細胞を取得したことが記載されている。これらの記載を総合すると、「間質細胞または上皮細胞の非存在」が0%のみを意味するとは解されない。 これに対して、引用発明1のγδ i-IELは、パーコール(登録商標)を媒体とする密度勾配遠心分離法を用いてi-IELとi-ECを異なる界面に分離させた後にi-IELの画分を回収し、当該i-IEL画分に対してさらにTCRαβ抗体による負のソーティングを行って、95%以上の純度でγδ i-IELを精製したものであり、上記の密度勾配遠心による分離工程において、リンパ球以外の細胞は相当程度除去されているものと認められる。 そうすると、引用文献1のγδ i-IELの培養に含まれる5%未満の非リンパ球細胞には、本来、間質細胞や上皮細胞が含まれるはずであるという推論を前提にして、本願補正発明に係る「間質細胞または上皮細胞の非存在下」で培養される「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球」と、引用発明1で培養されるγδ i-IELは明確に区別し得るものとはいえず、非造血組織由来のリンパ球を「間質細胞または上皮細胞の非存在下」で培養する点(すなわち、上記(4)の「相違点2」)は、本願補正発明と引用発明1の実質的な相違点とはいえない。そして、たとえ、引用文献1に、γδ i-IELを間質成分から分離することによってγδ i-IELの選択的な増幅が促進されることが記載されていなかったとしても、そのことが相違点2についての上記判断を左右するものではない。 よって、上記審判請求人の主張は採用できない。 (7)むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年9月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年1月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「インターロイキン-15(IL-15)およびIL-2の存在下で、ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップを含む、in vitroで非造血組織常在性γδ T細胞を増幅するための方法であって、該リンパ球は、培養中に間質細胞または上皮細胞と直接的に接触しないものであり、該リンパ球が外因的に添加されるT細胞受容体経路アゴニストの非存在下で培養される、上記方法。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 令和3年4月22日付け拒絶査定は、この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、との理由を含むものである。 3 引用文献およびその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1およびその記載事項は、前記第2の2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップ」について、該リンパ球が「培養中に間質細胞または上皮細胞と直接的に接触しない」ことが特定されるものであり、当該発明特定事項は、本願補正発明が備える「間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養される」態様に加えて、間質細胞または上皮細胞が存在するが、リンパ球と直接的に接触しない態様を包含するものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を含み、さらに「ヒトまたは非ヒト動物の非造血組織から取得されるリンパ球を培養するステップ」が「間質細胞または上皮細胞の非存在下で培養される」態様に限定された本願補正発明が、上記第2の2(1)~(7)のとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明についても同様に、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-012062

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