商標拒絶査定不服審判
2021-011230
スーパースムースワセリン、スムースワセリン、スーパースムース、スムース
- 審判番号
- 2021-011230
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-062619
- 請求日
- 2021年08月24日
- 審決日
- 2022年08月23日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】第一三共ヘルスケア株式会社
- 【請求人代理人】谷山 尚史
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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商願2020-62619拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年5月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年11月13日付け:拒絶理由通知
令和3年 3月29日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 5月20日付け:拒絶査定
令和3年 8月24日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「スーパースムースワセリン」の文字を横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類」及び第5類「薬剤」を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、第3類「ワセリンを配合してなる化粧品,ワセリンを配合してなるせっけん類,化粧用ワセリン」及び第5類「ワセリンを成分に含む体・肌・顔・手用の医療用ローション剤およびクリーム剤,医療用ワセリン」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「スーパースムースワセリン」の文字を表してなるところ、その構成中の「スーパー」の文字は、「超・・・、より優れた」等の意味を有する語であり、「スムース」の文字は、「スムーズ」と同義の語であり「なめらか」等の意味を有する語であり、さらに「ワセリン」の文字は「固体炭化水素を主成分とする白色軟膏状物質。」等の意味を有する語であって、いずれも一般的に親しまれた平易な語である。
そうとすれば、本願商標は、全体として「なめらかさに優れたワセリン」ほどの意味合いを容易に認識させる。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界においては、なめらかさを特徴としたワセリンが普通に取引されている実情が認められ、「なめらかさに優れた商品」に「スーパースムース」の文字が使用され取引されている実情が認められる。
そうすると、本願の指定商品を取り扱う分野において普通に使用されている「スーパースムース」の文字に「ワセリン」の文字を結合したにすぎない本願商標を、その補正後の指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審においてした審尋
当審において、審判長は、請求人に対し、令和4年5月31日付けで、別掲1ないし別掲3に示すとおりの用例を提示した上で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとする旨の見解を示した審尋を発し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記4の審尋に対し、令和4年7月19日受付の回答書を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張を裏付けるものとして、前記1の審判請求書をもって提出した甲第1号証ないし甲第19号証に加えて、甲第20号証ないし甲第26号証を提出した。
(1)請求人は、もとより、「スーパー」、「スムース」及び「ワセリン」の各語の有する意味合いを否定しているものではない。しかし、不可分一体の態様よりなる本願商標に接した需要者又は取引者が、あえて「スーパー」、「スムース」及び「ワセリン」の各語に分けて認識すると考えるのは不自然であって考え難く、当該各語の個別の意味合いに基づいて本願商標を認識し把握するとみることも極めて不自然であって考え難いのであるから、本願商標は、構成文字に相応した全体の外観及び称呼のみをもって取引に資されるとみるべきものであり、全体として特定の観念を生じない不可分一体の造語とみるべきものである。
(2)請求人は、もとより「スーパー」及び「スムース」の各語が指定商品の分野で一般に使用されている事実を否定するものではない。しかし、本願商標は、「スーパースムースワセリン」の構成文字よりなるものであるから、「スーパー」及び「スムース」の各語が一般に使用されているという事実は、本願商標が普通一般に使用され或いは使用され得ることを裏付ける根拠となるものではなく、本願商標が構成全体として自他商品識別機能を発揮し得ないとみるべき根拠となるものでもない。「毛穴レスUV」、「ローヤルゼリーリッチ」等の登録が認められているのは、構成各語が識別力を発揮し得ない語であっても、実際の取引においては、それらの結合により全体として識別機能を発揮することが経験則上認められるからにほかならない。
(3)審尋において示された用例には、商標として登録されているものもあるから、これらの用例は、「スーパー」又は「スムース」の文字が、商品の品質が優れていることを表すものとして使用されていることを示す用例や根拠として相応しいものではなく、むしろ「スーパー」又は「スムース」の文字を含む商標が、実際の指定商品の取引の分野において、全体として自他商品識別機能を発揮していることを裏付ける証拠となるものである。
(4)審尋において示された用例中の、「スーパースムース」の文中等での用例は、小売事業者が販売のために便宜上記載しているものと見受けられ、商品の説明の一部に用いられているのみであって、製品自体について使用されている文言ではなく、また、「パウダー」の文字と結合され、かつ、「なめらかに仕上げます」等の他の説明があってこそ商品全体の説明として成立しているものであるから、直ちに「スーパースムース」の語が指定商品を取り扱う分野において普通一般に使用されているという証左となるものでもなく、ましてや本願商標が自他商品識別機能を発揮し得ないとみるべき根拠となるものではない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「スーパースムースワセリン」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、「超・・・、より優れた」等の意味を有する「スーパー」の語、「スムーズ」と同義の語であり「なめらかなさま」等の意味を有する「スムース」の語と、「固体炭化水素を主成分とする白色軟膏状物質」等の意味を有する「ワセリン」の語(いずれも「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店)から引用。)との組合せからなる結合商標であると容易に看取、理解されるものである。
ところで、本願の指定商品を含む「化粧品,せっけん類」を取り扱う業界においては、「スーパー」の文字は、商品の品質が優れていることを表すものとして(別掲1)、また、「スムース」の文字は、商品の使用感や効能などにおいてなめらかさを特長とするものについて(別掲2。なお、用例に見られるように、「スムース」の後に「バーム」や「ローション」等、商品の普通名称を伴うことが多い。)、それぞれ一般に使用されており、さらに、両者を組み合わせた「スーパースムース」の文字も、商品を説明する際に用いられている実情がある(別掲3)。
そうすると、上記のような、本願商標を構成する「スーパー」、「スムース」及び「ワセリン」の各語の意味に加え、本願の指定商品を取り扱う業界における「スーパー」及び「スムース」の文字の用例や、「スムース」の後に商品の普通名称である「ワセリン」を伴い、それらを「スーパー」が形容するという言語構成に照らすと、「スーパースムースワセリン」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「スーパー」の文字については、商品の品質が優れていることを表したもの、「スムース」の文字については、商品が有する特長を表したもの、そして「ワセリン」の文字については、白色軟膏状物質であるワセリンを表したものと看取、理解した上で、その構成全体をもって「使用感や効能などにおいてなめらかさを特長とした優れたワセリン」ほどの意味合いを表したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
してみれば、本願商標は、その商品の品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、需要者等が、本願商標をあえて「スーパー」、「スムース」及び「ワセリン」の各語に分けて、当該各語の個別の意味合いに基づいて認識し把握するとみることは、極めて不自然であって考え難く、本願商標は、構成文字に相応した全体の外観及び称呼のみをもって取引に資され、全体として特定の観念を生じない不可分一体の造語である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、これを構成する「スーパー」、「スムース」及び「ワセリン」の各語の意味やその一般的な用法の実情等、またその語の組合せの順序等の言語構成を踏まえると、本願の指定商品との関係においては、その構成全体をもって「使用感や効能などにおいてなめらかさを特長とした優れたワセリン」として一般に認識され、商品の品質又は原材料を表示したものとして自然に理解されるというべきであって、「スーパースムースワセリン」の語が特定の意味合いを有しない語として認識されるものとはいえない。
イ 請求人は、「スーパー」及び「スムース」の各語が一般に使用されているという事実は、本願商標が普通一般に使用され或いは使用され得ることを裏付ける根拠となるものではなく、本願商標が構成全体として自他商品識別機能を発揮し得ないとみるべき根拠となるものでもない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、当該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解される(最高裁昭和60年(行ツ)第68号昭和61年1月23日第一小法廷判決言渡)。本願商標についても、たとえ「スーパースムースワセリン」の文字そのものが、本願の指定商品に使用されている事実がなかったとしても、そのことが本願商標に係る商標法第3条第1項第3号該当性の判断に影響を与えるものとはいえない。
ウ 請求人は、審尋において示された用例には、商標として登録されているものもあるから、これらの用例は、「スーパー」又は「スムース」の文字を含む商標が、実際の指定商品の取引の分野において、全体として自他商品識別機能を発揮していることを裏付ける証拠となるものである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるし、当該商標の構成中に、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分が含まれているとしても、他の部分が自他商品の識別標識としての機能を有する場合等において、当該商標を全体としてみるときに、自他商品の識別標識としての機能を有すると判断されるものである。そして、請求人が指摘する3件の登録商標は、その構成中に「Super」又は「SMOOTH」の文字を含むものの、そもそも、これらの登録例は、本願商標とは明らかに構成文字やその組合せが異なるものであるから、審尋に示した用例中の登録商標をもって、それらの認定、判断と本願商標に係る認定、判断とを同列に論じることはできない。
エ 請求人は、「スーパースムース」の文中等での用例は、小売事業者が販売のために便宜上記載しているものと見受けられ、商品の説明の一部に用いられているのみであり、また、「パウダー」の文字と結合され、かつ、「なめらかに仕上げます」等の他の説明があってこそ商品全体の説明として成立しているものであるから、直ちに「スーパースムース」の語が指定商品を取り扱う分野において普通一般に使用されているという証左となるものでもなく、ましてや本願商標が自他商品識別機能を発揮し得ないとみるべき根拠となるものではない旨主張する。
しかしながら、上記ウのとおり、指定商品に係る取引の実情は、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断に当たっての一要素であるところ、商品の製造販売元であるメーカーによる商品説明又は宣伝広告のみならず、小売事業者が商品を販売する際に記載する商品説明又は宣伝広告についても、需要者の認識を推し量るための取引の実情として勘案されるものであるし、請求人が指摘する用例を含めた取引の実情に加えて、本願商標を構成する各語の意味やその言語構成を総合的に勘案した上で、本願の指定商品分野の取引者、需要者は、本願商標を商品の品質又は原材料を表示してなるものと認識するにとどまると認定、判断したものである。
オ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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