商標拒絶査定不服審判
2022-020664
トランシーノ、トランシノ
- 審判番号
- 2022-020664
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-066936
- 請求日
- 2022年12月20日
- 審決日
- 2024年03月21日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】第一三共ヘルスケア株式会社
- 【請求人代理人】谷山 尚史
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .8 -WY (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法64条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第64条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021- 66936拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の標章は、登録第6364387号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和3年6月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月16日付け:拒絶理由通知書
令和4年 7月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 9月12日付け:拒絶査定
令和4年12月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 7月12日付け:審尋
令和5年 8月18日 :上申書の提出
令和5年11月28日 :上申書の提出
令和5年12月20日 :回答書の提出
令和5年12月27日 :手続補正書の提出
2 本願標章
本願標章は、別掲のとおりの構成よりなり、第3類及び第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、登録第6364387号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として登録出願されたものである。
本願の指定商品は、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に第3類「美白効果を有する歯磨き」及び第5類「美容効果を有する栄養補助食品,美白効果を有するサプリメント」と補正されたものである。
3 原登録商標
原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、令和2年11月2日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類」及び第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),医療用試験紙,医療用歯磨き,医療用化粧品、せっけん類及び歯磨き」を指定商品として、同3年3月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
4 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願標章は、他人がこれをその指定商品に使用しても,その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨判断し、本願を拒絶したものである。
5 当審における審尋及びこれに対する請求人の回答(要旨)
当審において、令和5年7月12日付け審尋により、請求人の主張を裏付ける証拠が十分とはいえず、本願標章が、商標法第64条に規定する要件を具備するものとはいえない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。
これに対し、請求人は、令和5年12月20日に回答書を提出し、追加提出証拠によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認定されて然るべきものである旨を主張した。
6 当審の判断
(1)本願標章と原登録商標について
本願標章は、別掲のとおり、「TRANSINO」の文字を横書きし、そのうち「A」の字の横線が省略されているものであるところ、これが原登録商標と同一の構成よりなるものであって、また、請求人が原登録商標の権利者と同一人であることは、本願の願書及び原登録商標の商標登録原簿の記載から明らかである。
(2)本願の指定商品について
本願の指定商品である第3類「美白効果を有する歯磨き」及び第5類「美容効果を有する栄養補助食品,美白効果を有するサプリメント」は、原登録商標の指定商品である第3類「化粧品,せっけん類」及び第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),医療用試験紙,医療用歯磨き,医療用化粧品、せっけん類及び歯磨き」とは異なる商品であり、これらに類似する商品ともいえないものである。
(3)原登録商標の周知・著名性について
請求人提出の資料(甲第1号証ないし甲第588号証。枝番号を含む。以下、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)及び請求人の主張、並びに、当審における職権調査によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、「TRANSINO」の文字(そのうち「A」の字の横線は省略されている。)からなる商標(以下「本件商標」という。)を、2007年(平成19年)から現在に至るまで、商品「肝斑の改善用の薬剤」について使用しており、また、「ビタミン剤,薬用化粧品,薬用洗顔料」などの商品についても使用しているものであって(請求人の主張、甲1ないし甲9、甲13、甲14、甲18、甲20 ほか)、その間に上記商標の使用が途絶えたことがあるとする事実は見当たらないものである(職権による調査)。
イ 請求人の業務に係る本件商標が使用された商品は、「肝斑の改善用の薬剤,ビタミン剤,薬用化粧品,薬用洗顔料」などの商品(以下「請求人商品」という。)であり、当該商品は、オンラインショップにおいて販売されている(甲8、甲517、甲518)ほか、全国のドラッグストア等の実店舗においても販売されている(請求人の主張、甲519、甲520)。
ウ 請求人商品は、販売開始1ヶ月で10億円超の出荷額となり(甲13、甲14)、2014年度(平成26年度)ないし2020年度(令和2年度)の建値売上高は、約24億円ないし76億円であって(請求人の主張、甲10)、「SRI+」の調査においても、例えば2021年度(令和3年度)における、請求人商品のうち「ビタミンC剤」に係る推計販売規模は約25億円、マーケットシェアは23.5%、同「Lシステイン剤」に係る推計販売規模は約31億円、マーケットシェアは29.8%とされている(甲11、甲12)。また、そもそも、「肝斑の改善用の薬剤」は請求人商品以外に取り扱われておらず、その意味においてマーケットシェアは100%であり、独占状態であるともいえる(請求人の主張、職権による調査)。
エ 請求人は、少なくとも2007年(平成19年)、2008年(平成20年)、2010年(平成22年)ないし2015年(平成27年)、2017年(平成29年)ないし2021年(令和3年)において、テレビコマーシャルや、新聞、雑誌、屋外広告、ウェブサイトなどにおいて、請求人商品に係る広告宣伝活動を行ってきた(請求人の主張、甲434ないし甲514、甲522ないし甲530)。それらの広告宣伝費は、2014年度(平成26年度)ないし2020年度(令和2年度)において、約5.7億円ないし9.8億円であって(請求人の主張、甲468)、また、「電通発行:広告統計」によれば、2007年度(平成19年度)ないし2022年度(令和4年度)の「新聞」「雑誌」「テレビ」に係る広告費の合計は約3.7億円ないし約12.7億円とされる(甲531)。
オ 請求人商品は、請求人以外の者によっても、雑誌やウェブサイト、新聞において、度々取り上げられ、紹介されている(請求人の主張、甲63ないし甲433、甲532ないし甲587)。
カ 請求人商品は、「日経MJ」の「2007年ヒット商品番付」において「前頭」にランク付けされた(甲13)ほか、「ドラッグトピックス」の「第20回「ヒット商品大賞」「話題賞品大賞」」、同「第31回「ヒット商品大賞」」などの受賞歴がある(甲14ないし甲18)。
キ 請求人は、薬剤や薬用化粧品、薬用せっけん、薬用歯磨き、化粧品、避妊具などの製造、販売を行っている企業である(請求人の主張、甲515、甲516、職権による調査)。
ク 本件商標を構成する文字は、一般的な辞書類に掲載されているものではなく、また、他人がこれを商標として使用している事例は見当たらない(請求人の主張、職権による調査)。
ケ 上記アないしクによれば、請求人は、約15年という比較的長い期間にわたり、原登録商標又はこれと同一性を損なわないと考えられる商標を、原登録商標の指定商品中「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」などについて使用しており、その商品は、遅くとも2014年3月3日には、オンラインショッピングサイトで購入が可能であったことが認められる(甲517)ほか、売上高やマーケットシェアが比較的大きいといえることからすれば、その販売開始当初から、相当程度広範な地域で請求人商品が販売されていたと推認できるものである。
また、請求人商品に関しては、請求人によってテレビコマーシャルを始めとする様々な広告宣伝活動が相当程度の規模で行われたほか、請求人以外の者によっても、雑誌やウェブサイト、新聞において、度々取り上げられ、広く紹介されているものである。なお、提出された証拠のうち、請求人以外の者による雑誌やウェブサイトなどにおける請求人商品の紹介事例については、画像が不鮮明であったり、文字が極めて小さいなどにより、必ずしも本件商標の使用が確認できないものや、いずれの商品との関係で使用されているかが確認できないものが相当数あるものの、その他の証拠に掲載された商品の画像(甲1ないし甲9 ほか)などからすれば、それらに関してもおよそ請求人商品に係るものと推認できるものである。
以上のことからすれば、原登録商標は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているというのが相当である。
(4)混同を生ずるおそれについて
上記(3)のとおり、原登録商標は、我が国の需要者の間に広く認識されているものであり、また、原登録商標を構成する文字は造語といえるものであって、他人がこれを商標として使用している事例も見当たらない。
そして、請求人商品は、「肝斑の改善用の薬剤」や「ビタミン剤,薬用化粧品,薬用洗顔料」などの商品であって、かつ、請求人は、薬剤や薬用化粧品、薬用せっけん、薬用歯磨き、化粧品、避妊具などの製造、販売を行っている企業であるから、本願の指定商品である「美白効果を有する歯磨き」及び「美容効果を有する栄養補助食品,美白効果を有するサプリメント」は、請求人商品と需要者層を一定程度共通にし、又は、請求人の業務範囲と相当程度の関連性があるものである。
そうすると、原登録商標と同一の態様からなる本願標章が、他人によって本願の指定商品について使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
(5)まとめ
以上のとおり、本願標章は、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであって、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品である本願の指定商品について他人が登録商標の使用をすることにより、その商品と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるものであるから、これが商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、取り消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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