2021-011148
永久磁石の反発しあうバランスの良い磁力線を有効に用いたオイルフィルターエレメント
- 審判番号
- 2021-011148
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-553823外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月06日
- 審決日
- 2023年07月10日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ターゲンテックス
- 分類
- P18 .537-WZ (B01D) / P18 .55 -WZ (B01D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 20項目
1 手続の経緯
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本件出願は、2017年(平成29年)11月17日(優先権主張:平成28年11月30日)を国際出願日とする出願であって、令和1年7月2日差出で手続補正(以下、「補正1」という。)がなされ、令和2年5月29日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年10月9日差出で意見書が提出されたものの、令和3年3月29日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、これを不服として、同年7月6日に請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正(以下、「補正2」という。)がなされ、その後、令和4年12月26日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、令和5年3月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
なお、令和5年2月28日付けの手続却下の決定により、令和3年10月1日差出で提出された手続補正書(令和3年7月6日提出の手続補正書についての手続補正)に係る手続が却下されたため、令和4年12月26日付けの拒絶の理由は、願書に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面について、次のとおりのものに対して通知された。
2 特許請求の範囲の記載
本件出願の特許請求の範囲の請求項1、2は、令和5年3月13日になされた手続補正(以下、「補正3」という。)により補正された、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】濾紙を使用したオイルフィルターエレメントの濾紙のかわりに、中空円板状の形状を {(外径-内径)/2 ÷高さ}で表し数値は(0.6~4)を使用範囲とし、永久磁石の磁極を有する両端面にヨークを施した奇数の複数個の永久磁石はN極とN極からなる間隙及びS極とS極からなる間隙を一対とし、又はつい複数になるように間隙を設けて同一中心線上に配置し、その間隙がヨークを両端につけず永久磁石を非磁性体の上に置き、他方を同一極に向かい合わせて垂直方向に浮かせたときに、その自重をを支えられる距離の1/2以内とし、永久磁石の間隙部分の高さ及び流量を均一にするため、孔のあいた非磁性体の保持板をヨークとヨークに固定し、N極同士の間隙とS極同士の間隙のバランスの良い一対の間隙又は複数対のバランスのとれた間隙にて安定化分子がより多くえられるため、オイルの劣化を予防し永久磁石によるオイルフィルターエレメント。【請求項2】濾紙を使用したオイルフィルターエレメントの濾紙のかわりに、長手方向の対向する両面に磁極を有する断面四角形の偶数の複数個の棒状永久磁石を、同一円周上に内側にN極のみ又はS極のみの同一極となるように、外側を内側と反する同一極となるように円筒状に等間隔に並べて配列し、棒状永久磁石に接する内接円の直径は棒状永久磁石の高さ以内とし、隣接する磁石間の距離は偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)に配劣したときの間隔と隣接する磁石間の距離はできるだけ狭め、と比較して等間隔になるよう配置し、円筒状に配置された棒状永久磁石の内側にオイルを通過させる孔のあいた非磁性体の保持板を設け、その長手方向の両端には複数の棒状永久磁石と円筒状の持板を固定するための固定具を設け、バランスの良い偶数個の磁力線によるオイル中の安定化分子がより多く得られるため、オイルの劣化を予防し、濾紙ワ使用しない永久磁石ニヨルオイルフィルターエレメント。」
3 令和4年12月26日付けで通知した拒絶の理由
令和4年12月26日付けで通知した拒絶の理由は、次の3-1及び3-2のとおりである。
なお、次の3-1及び3-2で示す、請求項の番号、及び、明細書の段落番号は、上記1で述べたとおりの本拒絶の理由の通知時のものである。
3-1 (明確性要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1の「中空円板状の形状」及び「{(外径-内径)/2÷高さ}で表し数値は(0.6~4)を使用範囲」の記載は、何の数値が「(0.6~4)を使用範囲」とするのかが不明であり、また「{(外径-内径)/2÷高さ}」とは、永久磁石自体の形状に基づいて計算されるものであるのか、それともヨークを施した状態の永久磁石の形状に基づいて計算されるものであるのかが不明である。
(2)請求項1に記載された「同一の保持板」とは、保持板の何が同一であるのかが不明である。
(3)請求項1に記載された「バランスの良い」「磁力線」とは、磁力線がどのような状態になっていることなのかが不明である。
(4)請求項3に記載された「隣接する磁石間の距離はできるだけせばめ、」とは、隣接する磁石間の距離をどの程度までせばめることを意味しているのかが不明である。
(5)請求項3に記載された「保持板」及び「保持版」とは、同じものを意味しているのか、異なるものを意味しているのかが不明瞭である。
(6)請求項3に記載された「バランスの良い」「磁力線」とは、磁力線がどのような状態になっていることなのかが不明である。
3-2 (新規事項)補正1、及び、補正2は、下記の点で本件出願の国際出願日における国際特許出願の明細書、請求の範囲若しくは図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(1)補正2により補正された請求項1の「非磁性体の同一の保持板」は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(2)補正2により補正された請求項1の「永久磁石の間隙を同一に安定させ」は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(3)補正1により補正された請求項2の「上記のオイルフィルターエレメントを間隙の順序が同じものを三個用いて内接円状の接点が、正三角形上になる様に配置し、アッパーホルダーとアンダーホルダーをジョイントするために、非磁性体のジョイントボルトを用い、アンダーホルダーには油路をつくり、個々のバランスの良い磁力線を持つオイルフィルターエレメントが三個固定することにより、内側のトライアングルゾーンは、更にバランスの良い濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメント。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(4)補正1により補正された請求項3の「オイルを通過させる孔のあいた非磁性体の保持版を設け」は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(5)補正1により補正された請求項4の「前項のオイルフィルターエレメントを二個使用し、ケースジョイントを用いて、円筒状につなぎ、長さが不足する場合は、ケースアジャスタージョイントを利用し、全高の高いエレメントに対応できる、濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメント。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(6)補正1により補正された本件出願の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)【0006】の「永久磁石の間隙部分は」「同一の間隔になるように」するとの記載、及び、「エレメントの直径が比較的大きい場合、前述のエレメント間隙の磁極が同じものを三個、内接円の正三角形の頂点に設置することにより、非磁性体のボルトでアッパーホルダーと油路を設けたアンダーホルダーを固定することにより、トライアングルゾーンをつくり、個の間隙は、更にバランスの良い磁力線ゾーンが得られ、オイル劣化防止に効果的な、濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメントである。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(7)補正1により補正された本件明細書【0007】の「全高の高いエレメントに対して、前項のエレメントを磁極の配置が同じものをジョイントケースでつなぎ、更に高さが不足する場合は、ケースアジャスタージョイントを用いて、対応でき、それぞれのオイル分子が、長く磁力線に接してオイル劣化防止を目的とした、濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメントである。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(8)補正1により補正された本件明細書【0010】の「永久磁石の間隙部分は」「同一の間隔になるように」するとの記載、及び、「上記のオイルフィルターエレメントを間隙の順序が同じものを三個内接円上の接点が正三角形上になる様に配置し、アッパーホルダーとアンダーホルダーをジョイントするために、非磁性体のジョイントボルトを用い、アンダーホルダーには油路をつくり、個々のバランスの良い磁力線を持つオイルフィルターエレメントが三個固定することにより、内側のトライアングルゾーンは更にバランスの良い磁力線によるオイル劣化防止を目的とした、濾紙のかわりに用いるオイルフィルターエレメントである。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(9)補正1により補正された本件明細書【0011】の「前項のオイルフィルターエレメントを二個使用し、ケースジョイントを用いて、円筒状につなぎ、長さが不足する場合は、ケースアジャスタージョイントを利用し、全高の高いエレメントに対応できる、バランスの良い磁力線によるオイルの劣化防止を目的とした、濾紙のかわりに用いるオイルフィルターエレメントである。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(10)補正1により補正された本件明細書【0013】の「1行目 「ミクロン」を「μm」に補正し4行目「 >4μ,>6μ,>7μ,>21μ」を「>4μm,>6μm,>7μm,>21μm,」に補正し、(ISO4406~ )内を(ISO4406では>4μm>6μm>7μm>21μmの微細な鉄粉の数で汚れの度合いをしめしている。)に補正する。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(11)補正1により補正された本件明細書【0021】の「永久磁石の間隙部分にはできるだけ狭めた同一の間隔になるように、」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(12)補正1により補正された本件明細書【0023】の「2行目及び3行目の図2を図3に補正する。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(13)補正1により補正された本件明細書【0032】の「
[図:0001400913000001.jpg]
」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(14)補正1により補正された本件明細書【0033】の「1~2行目を次のとおり、補正する。表1、表2に示すARTCによる測定時は、EURO5の基準値であったが、EURO6(EUでは 2014年から採用)本発明の出願時2016年11月30日においては、既にEURO6の基準値とも比較可能であり、通常では考えられない数値が測定されているが、本発明の優れた効果によるものであることについて、考察すれば次のようになる。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(15)補正1により補正された本件明細書【0036】の「1行目 ▲2▼ 0033を ▲2▼0034 とし ▲3▼0034を ▲3▼0035のとおり補正する。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(16)補正1により補正された本件明細書【0048】の「表1、表2に示すARTCによる測定時は、EURO5の基準値であったが、EURO6(EUでは 2014年から採用)本発明の出願時2016年11月30日においては、既にEURO6の基準値とも比較可能であり、通常では考えられない数値が測定されているが、本発明の優れた効果によるものであることについて、考察すれば次のようになる。」との記載は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
(17)補正1により追加された本件出願の図2、図4は、当初明細書等に記載されたものとはいえない。
4 当審における判断
4-1 明確性要件について
(1)「隣接する磁石間の距離はできるだけ狭め、」について(上記3の3-1の(4))
ア 補正3により補正された請求項2には、「隣接する磁石間の距離はできるだけ狭め、」と記載されている。
イ しかしながら、上記アの「隣接する磁石間の距離はできるだけ狭め、」とは、隣接する磁石間の距離をどの程度まで狭めることを意味しているのかが不明である。
ウ また、本件明細書には、上記「隣接する磁石間の距離」についての具体的な記載は見当たらないし、本件出願の優先日当時の技術常識を考慮しても、上記「隣接する磁石間の距離」を「できるだけ狭め」た距離が、どの程度であるのかは不明である。
エ よって、請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえない。
オ なお、審判請求人は、令和5年3月13日提出の意見書において、次のとおり主張している。
「イ・・・(略)・・・請求項3には、「長手方向の対向する両面に磁極を有する断面四角形の偶数の複数個の棒状永久磁石を、同一円周上に・・・円筒状に等間隔に並べて配列し、」これらのことから、一つの同じ大きさの濾紙のオイルフィルタ―を棒状永久磁石の配列を決定する時に、偶数の棒状永久磁石(6ケ,8ケ、10ケ)の同じ中心点からそれぞれの棒状永久磁石が内接円に接しなければならず、ただ「隣接する磁石間の距離はできるだけせばめ、」ると、偶数の棒状永久磁石(10ケ)を用いた場合、オイルの通過面積がすくなくなり、油量が少なくなる場合が生ずるので、偶数の棒状永久磁石の数量と間隙の兼ね合いが、重要になる。ウ よって。請求項3に係る発明は、偶数の棒状永久磁石の数量と間隙の兼ね合いが重要であり、明確といえる。」
カ しかしながら、上記オの主張から、補正3により補正された請求項2に係る発明は、「偶数の棒状永久磁石の数量と間隙の兼ね合いが重要であ」ることは理解できるものの、上記オの主張は、上記アの「隣接する磁石間の距離はできるだけ狭め、」との事項が、隣接する磁石間の距離をどの程度まで狭めることを意味しているのかについて説明するものではない。
キ よって、審判請求人の主張は採用できない。
(2)「バランスの良い偶数個の磁力線」について(上記3の3-1の(6))
ア 補正3により補正された請求項2には、「バランスの良い偶数個の磁力線」と記載されている。
イ しかしながら、「バランスの良い」「磁力線」とは、磁力線がどのような状態になっていることなのかが不明である。
ウ また、「偶数個の磁力線」についても、磁力線がどのような状態になっているのかが不明である。なお、「偶数個の磁力線」は、磁力線の本数が偶数であることを意味するとも解されるが、その場合には、どのようにして磁力線の本数を計測するのかが不明である。
エ さらに、本件明細書には、上記「バランスの良い」「磁力線」及び「偶数個の磁力線」の具体的な記載は見当たらないし、本件出願の優先日当時の技術常識を考慮しても、上記「バランスの良い」「磁力線」がどのような状態になっていることなのか、また、上記「偶数個の磁力線」について、どのようにして磁力線の本数を計測するのかが不明である。
オ よって、請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえない。
カ なお、審判請求人は、令和5年3月13日提出の意見書において、次のとおり主張している。
「ウ・・・(略)・・・請求項3の一行目の末尾あたりから「長手方向の両面に磁極を有する断面四角形の偶数の複数個の棒状永久磁石を、同一円周上に内側をN極のみ又はS極のみの同一極となるように外側を内側と反する同一極となる様に円筒状に等間隔に並べて配列し、」としているので、偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)、を円筒状に等間隔に並べて配列した場合、濾紙のオイルフィルターの外径を基準にして、本発明の大きさを基準にしているので、偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)の内接円が同一になり、隣接する間隔は同一の内接円の場合、には10ケの場合、間隔が小さくなり、6ケの場合、間隔が大きくなる。また偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)が一組(2ケ)ずつ180°の真向かいに向き合うのでバランスが良い。エ よって、請求項3に係る発明は明確であるといえる。」
キ しかしながら、上記カの主張から、補正3により補正された請求項2に係る発明が、「偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)の内接円が同一になり、隣接する間隔は同一の内接円の場合、には10ケの場合、間隔が小さくなり、6ケの場合、間隔が大きくなる」こと、及び、「偶数個の棒状永久磁石(6ケ、8ケ、10ケ)が一組(2ケ)ずつ180°の真向かいに向き合うのでバランスが良い」ことは理解できるものの、上記カの主張は、上記「バランスの良い」「磁力線」がどのような状態になっていることなのか、また、上記「偶数個の磁力線」について、どのようにして磁力線の本数を計測するのかについて、説明するものではない。
ク よって、審判請求人の主張は採用できない。
4-2 新規事項の追加について
(1)「非磁性体の保持板」について(上記3の3-2の(4))
ア 補正3により補正された請求項2には、「非磁性体の保持板」と記載されている。
イ ここで、当初明細書等では、実施例2のオイルフィルターエレメントが請求項2の「オイルフィルターエレメント」に対応するところ、実施例2及びそれに対応する箇所(【0007】、【0011】、【0023】~【0026】)には、「非磁性体の保持板を設け」ることは記載されていない。
ウ 特に、当初明細書等【0024】には、「円筒状に配置された棒状永久磁11(当審注:「棒状永久磁石11」の誤記)の内側にはオイルの流れを乱流にするための孔のあいたシリンダーマグネットホルダー12を設け」ることが記載されており、当該「シリンダーマグネットホルダー12」が請求項2の「保持板」に相当すると解される。
エ しかしながら、当該「シリンダーマグネットホルダー12」が「非磁性体」であることは、当初明細書等に記載されていない。
オ よって、請求項2において、「非磁性体の保持板」と記載する補正3は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
(2)【0006】について(上記3の3-2の(6))
ア 補正1により、本件明細書【0006】には、次の2つの記載が追加された。
(ア)「永久磁石の間隙部分はできるだけ狭めた同一の間隔になるように、」
(イ)「エレメントの直径が比較的大きい場合、前述のエレメント間隙の磁極が同じものを三個、内接円の正三角形の頂点に設置することにより、非磁性体のボルトでアッパーホルダーと油路を設けたアンダーホルダーを固定することにより、トライアングルゾーンをつくり、個の間隙は、更にバランスの良い磁力線ゾーンが得られ、オイル劣化防止に効果的な、濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメントである。」
イ ここで、当初明細書等の請求の範囲には、「永久磁石」の「間隙がヨークを両端につけた永久磁石を非磁性体の上に置き、他方を同一極に向かい合わせて垂直方向に浮かせたときに、その自重を支えられる距離の1/2以内とし、」と記載されていることから、上記アの「永久磁石の間隙部分はできるだけ狭めた」「間隔になるように」することは、当初明細書の範囲内のものである。
ウ しかしながら、上記アの「永久磁石の間隙部分は」「同一の間隔になるように」することは、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
エ また、上記アの(イ)の記載も、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
オ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
カ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(3)【0007】について(上記3の3-2の(7))
ア 補正1により、本件明細書【0007】には、次の記載が追加された。
「全高の高いエレメントに対して、前項のエレメントを磁極の配置が同じものをジョイントケースでつなぎ、更に高さが不足する場合は、ケースアジャスタージョイントを用いて、対応でき、それぞれのオイル分子が、長く磁力線に接してオイル劣化防止を目的とした、濾紙を使用しない永久磁石によるオイルフィルターエレメントである。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(4)【0010】について(上記3の3-2の(8))
ア 補正1により、本件明細書【0010】には、次の2つの記載が追加された。
(ア)「永久磁石の間隙部分はできるだけ狭めた同一の間隔になるように、」
(イ)「上記のオイルフィルターエレメントを間隙の順序が同じものを三個内接円上の接点が正三角形上になる様に配置し、アッパーホルダーとアンダーホルダーをジョイントするために、非磁性体のジョイントボルトを用い、アンダーホルダーには油路をつくり、個々のバランスの良い磁力線を持つオイルフィルターエレメントが三個固定することにより、内側のトライアングルゾーンは更にバランスの良い磁力線によるオイル劣化防止を目的とした、濾紙のかわりに用いるオイルフィルターエレメントである。」
イ しかしながら、上記アの記載は、上記(2)と同様に、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(5)【0011】について(上記3の3-2の(9))
ア 補正1により、本件明細書【0011】には、次の記載が追加された。
「前項のオイルフィルターエレメントを二個使用し、ケースジョイントを用いて、円筒状につなぎ、長さが不足する場合は、ケースアジャスタージョイントを利用し、全高の高いエレメントに対応できる、バランスの良い磁力線によるオイルの劣化防止を目的とした、濾紙のかわりに用いるオイルフィルターエレメントである。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(6)【0013】について(上記3の3-2の(10))
ア 補正1により、本件明細書【0013】の記載が、次の記載に変更された。
「1行目 「ミクロン」を「μm」に補正し4行目「 >4μ,>6μ,>7μ,>21μ」を「>4μm,>6μm,>7μm,>21μm,」に補正し、(ISO4406~ )内を(ISO4406では>4μm>6μm>7μm>21μmの微細な鉄粉の数で汚れの度合いをしめしている。)に補正する。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(7)【0021】について(上記3の3-2の(11))
ア 補正1により、本件明細書【0021】には、次の記載が追加された。
「永久磁石の間隙部分にはできるだけ狭めた同一の間隔になるように、」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(8)【0023】について(上記3の3-2の(12))
ア 補正1により、本件明細書【0023】の記載が、次の記載に変更された。
「2行目及び3行目の図2を図3に補正する。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(9)【0032】について(上記3の3-2の(13))
ア 補正1により、本件明細書【0032】の記載が、次の記載に変更された。
「[図:0001400913000002.jpg]」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(10)【0033】について(上記3の3-2の(14))
ア 補正1により、本件明細書【0033】の記載が、次の記載に変更された。
「1~2行目を次のとおり、補正する。表1、表2に示すARTCによる測定時は、EURO5の基準値であったが、EURO6(EUでは 2014年から採用)本発明の出願時2016年11月30日においては、既にEURO6の基準値とも比較可能であり、通常では考えられない数値が測定されているが、本発明の優れた効果によるものであることについて、考察すれば次のようになる。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(11)【0036】について(上記3の3-2の(15))
ア 補正1により、本件明細書【0036】の記載が、次の記載に変更された。
「1行目 ▲2▼ 0033を ▲2▼0034 とし ▲3▼0034を ▲3▼0035のとおり補正する。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(12)【0048】について(上記3の3-2の(16))
ア 補正1により、本件明細書【0048】の記載が、次の記載に変更された。
「表1、表2に示すARTCによる測定時は、EURO5の基準値であったが、EURO6(EUでは 2014年から採用)本発明の出願時2016年11月30日においては、既にEURO6の基準値とも比較可能であり、通常では考えられない数値が測定されているが、本発明の優れた効果によるものであることについて、考察すれば次のようになる。」
イ しかしながら、上記アの記載は、当初明細書に記載されておらず、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
ウ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
エ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
(13)図2、4について(上記3の3-2の(17))
ア 補正1により、
「【図1】[図:0001400913000003.jpg]【図2】[図:0001400913000004.jpg]」が
「【図1】[図:0001400913000005.jpg]【図2】[図:0001400913000006.jpg]【図3】[図:0001400913000007.jpg]【図4】[図:0001400913000008.jpg]」に変更された。
イ 上記アの補正において、補正1による補正前の図1、図2は、それぞれ補正1による補正後の図1、図3に対応するものである。
ウ しかしながら、補正1による補正後の図2、図4は、本件出願の国際出願日における国際特許出願の図面には記載がなく、当初明細書等に記載された範囲内のものではない。
エ よって、上記アの補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではない。
オ なお、上記アの記載は、その後何ら補正されておらず、当該拒絶理由は依然として解消されていない。
5 むすび
以上のとおり、令和5年3月13日になされた手続補正(補正3)により補正された、特許請求の範囲の請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえず、特許法第36条第6項第2号に適合しないものであるから、本件出願は拒絶をすべきものである。
また、令和1年7月2日になされた手続補正(補正1)、及び、令和5年3月13日になされた手続補正(補正3)は、国際出願日における国際特許出願の明細書、請求の範囲若しくは図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないため、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本件出願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-011148