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特許拒絶査定不服審判

2021-015660

樹状細胞療法においてex vivoでの抗原のプロセシングと提示を亢進させるための合成ベクターとしての脂質

審判番号
2021-015660
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-524752
請求日
2021年11月15日
審決日
2024年11月25日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ピーディーエス バイオテクノロジー コーポレイション
  • 【請求人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 吉田 佳代子
  • 審判官 冨永 みどり
  • 審判官 田村 直寛
分類
P18 .55 -WZ (C12N) / P18 .572-WZ (C12N) / P18 .575-WZ (C12N) / P18 .113-WZ (C12N) / P18 .537-WZ (C12N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項、特許法第184条の12第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-524752「樹状細胞療法においてex vivoでの抗原のプロセシングと提示を亢進させるための合成ベクターとしての脂質」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日国際公開、WO2017/083820、平成31年 1月10日国内公表、特表2019-500021〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)11月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年11月13日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は、次のとおりである。 令和元年11月14日 手続補正書の提出 令和2年 9月 3日付け 拒絶理由通知書 令和3年 2月 8日 意見書及び手続補正書の提出 同年 7月 9日付け 拒絶査定 同年11月15日 審判請求書及び手続補正書の提出 令和5年 6月13日 当審による拒絶理由通知書 同年12月20日 意見書及び手続補正書の提出 令和6年 3月 5日付け 当審による拒絶理由通知書(最後) 令和6年 9月12日 意見書及び手続補正書の提出 第2 令和6年9月12日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月12日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正前(令和5年12月20日提出の手続補正書)の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。 「【請求項1】 細胞障害性T細胞誘導のための薬剤であって、 カチオン性脂質を含有する組成物を含み、 投与すると前記細胞障害性T細胞誘導を生じる樹状細胞ワクチン組成物を含み、 前記樹状細胞ワクチン組成物は、少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含み、 前記少なくとも1種のカチオン性脂質は、R-DOTAPを含む、薬剤。 【請求項2】 前記少なくとも1種の抗原は、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原を含有し、前記少なくとも1種の抗原は、タンパク質、ペプチド、RNA、またはDNAをベースにしている、請求項1の薬剤。 【請求項3】 前記組成物は、さらに、アジュバント、増殖因子、サイトカイン、または免疫抑制に対抗する薬剤を含有する、請求項1に記載の薬剤。 【請求項4】 (1)MHCクラスI経路によって抗原を提示すること、 (2)免疫系を活性化し、B細胞及びT細胞の増殖を誘導すること、 (3)R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物及び抗原を含有する組成物を含む、腫瘍内で調節性T細胞の集団を減少させること、を同時に行うための薬剤であって、 前記少なくとも1種の抗原は、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原である、薬剤。 【請求項5】 単離された樹状細胞の集団と、R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原と、を含むワクチン。 【請求項6】 前記抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原であって、 前記抗原が、タンパク質、ペプチド、RNAまたはDNAをベースにしており、 前記少なくとも1種の抗原が、修飾されたタンパク質、リポタンパク質、リポペプチド、またはRNAベースまたはDNAベースの抗原である、請求項5に記載のワクチン。 【請求項7】 単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、有効量のR-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、前記樹状細胞を活性化する、樹状細胞をex vivoで活性化する方法。 【請求項8】 前記少なくとも1種の抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原であって、 前記少なくとも1種の抗原が、タンパク質、ペプチド、RNAまたはDNAをベースにしている、請求項8に記載の方法。 【請求項9】 請求項7または8に記載の方法によって活性化された樹状細胞を含む医薬組成物。 【請求項10】 細胞障害性T細胞誘導のための薬剤であって、 R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、 少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団と、 を含有する樹状細胞ワクチン組成物を含む薬剤。 【請求項11】 前記少なくとも1種の抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原である、請求項10に記載の薬剤 【請求項12】 前記組成物が、さらに、アジュバント、増殖因子、サイトカイン、または免疫抑制に対抗する薬剤を含有する、請求項10に記載の薬剤。」 (2)本件補正により、本願の特許請求の範囲は、以下のとおり補正された。なお、下線は補正箇所を示す。 「【請求項1】 樹状細胞ワクチン組成物を含む、細胞傷害性T細胞誘導のための薬剤であって、 前記樹状細胞ワクチン組成物は、投与すると前記細胞傷害性T細胞誘導を生じ、 前記樹状細胞ワクチン組成物は、 (1)有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質と、 (2)少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団と、 を含み、 前記少なくとも1種のカチオン性脂質は、R-DOTAPを含み、 前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、 薬剤。 【請求項2】 前記少なくとも1種の抗原は、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原を含有し、前記少なくとも1種の抗原は、タンパク質、ペプチド、RNA、またはDNAをベースにしている、請求項1の薬剤。 【請求項3】 前記組成物は、さらに、アジュバント、増殖因子、サイトカイン、または免疫抑制に対抗する薬剤を含有する、請求項1に記載の薬剤。 【請求項4】 (1)MHCクラスI経路によって抗原を提示すること、 (2)免疫系を活性化し、B細胞及びT細胞の増殖を誘導すること、 (3)R-DOTAPを含む有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物及び抗原を含有する、腫瘍内で調節性T細胞の集団を減少させること、を同時に行うための薬剤であって、 前記少なくとも1種の抗原は、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原であり、前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、 薬剤。 【請求項5】 単離された樹状細胞の集団と、R-DOTAPである有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原と、を含み、 前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、ワクチン。 【請求項6】 前記抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原であって、 前記抗原が、タンパク質、ペプチド、RNAまたはDNAをベースにしており、 前記少なくとも1種の抗原が、修飾されたタンパク質、リポタンパク質、リポペプチド、またはRNAベースまたはDNAベースの抗原である、請求項5に記載のワクチン。 【請求項7】 樹状細胞をex vivoで活性化する方法であって、 単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、R-DOTAPである有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、 前記単離された樹状細胞の処理は、前記樹状細胞を活性化し、 前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、方法。 【請求項8】 前記少なくとも1種の抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原であって、 前記少なくとも1種の抗原が、タンパク質、ペプチド、RNAまたはDNAをベースにしている、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 請求項7または8に記載の方法によって活性化された樹状細胞を含む医薬組成物。 【請求項10】 細胞傷害性T細胞誘導のための薬剤であって、 (1)有効量のR-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、 (2)少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団と、 を含み、 前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、 樹状細胞ワクチン組成物を含む薬剤。 【請求項11】 前記少なくとも1種の抗原が、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原である、請求項10に記載の薬剤 【請求項12】 前記組成物が、さらに、アジュバント、増殖因子、サイトカイン、または免疫抑制に対抗する薬剤を含有する、請求項10に記載の薬剤。」 2 補正の目的の適否(特許法第17条の2第5項違反)について (1)本件補正は、少なくとも以下の補正を含むものである。 ア 補正前の請求項1、4、5、7及び10において、「少なくとも1種のカチオン性脂質」という記載を「有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質」と補正するともに、新たに「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」という記載を追加する補正。 イ 補正前の請求項1及び10において、「細胞障害性T細胞誘導」という記載を「細胞傷害性T細胞誘導」とする補正。 (2)補正の目的について検討する。 ア 前記(1)アの補正について 前記(1)アの補正は、補正前の請求項1、4、5、7及び10において、新たに「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」という記載を追加する補正を含むものである。 まず、補正後の「内示化」との記載について検討すると、そもそも本願明細書には、「内示化」という記載自体が存在せず、「内示化」が具体的にどのようなことを意味するものであるかを説明する記載は見当たらない。 そして、一般に、「内示」とは、「正式の通知・決定の前に、内々で示すこと」(新村出編「広辞苑 第五版」、岩波書店)を意味することを踏まえると、「樹状細胞による抗原の内示化」とは技術的に意味が不明である。 ここで、本願明細書の発明の詳細な説明を参照すると、段落【0042】には、「カチオン性脂質は無毒であり、抗原の内在化とDC成熟を促進することができる。より具体的には、カチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内在化のみならず、そのプロセシング、細胞質への侵入、その後のinvivoでのMHCクラスIおよびII経路による提示の亢進を促進することができる。」と説明されていることから、前記「内示化」が「内在化」の誤記であると認めた場合であっても、前記説明によれば、カチオン性脂質は、本来「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する」という活性を有するものと解される。 他方、補正後の「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、・・・を促進する条件下にある」という記載は、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質」が特定の条件で使用した場合に、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する」という活性を示すものとも解することができ、その場合、どのような条件であれば「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質」が前記活性を示し、あるいは前記活性を示さなくなるのかは、発明の詳細な説明を参照しても明らかでない。 そうすると、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」という記載を追加することによって、単に「少なくとも1種のカチオン性脂質」の本来有する活性を説明したものであるのか、あるいは「少なくとも1種のカチオン性脂質」の使用される条件を特定したものであるのかが不明確であり、さらに使用される条件を特定したものである場合には、どのような条件を特定しているのかも不明確である。 そのため、補正後の請求項1、4、5、7及び10において、「カチオン性脂質」が、補正前の請求項1、4、5、7及び10における「カチオン性脂質」に比べて限定されたものとなっているのか否か判然としない。 したがって、当該補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものとはいえない。 また、当該補正は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものとも認められない。 イ 前記(1)イの補正について 前記(1)イの補正は、「障害」という誤字を「傷害」に正すものであるから、特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものである。 (3)小括 以上のとおり、前記(1)アの補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものとも認められない。 よって、前記補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に違反するものである。 3 新規事項(特許法第17の2第3項違反)について (1)本願は、国際出願であることから、特許法17条の2第3項の規定により(同法第184条の12第2項参照)、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内でない新規事項を追加する補正はできないところ、前記2(1)アの補正が、翻訳文等に記載したものであるか、以下、検討する。 (2)前記2(1)アの補正は、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」という記載を追加する補正を含むところ、「樹状細胞による抗原の内示化」という記載は翻訳文等のいずれの箇所にも記載されておらず、また、本願出願時における技術常識から自明な事項ともいえない。 また、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」という記載について検討すると、翻訳文等には、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質」が、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」ことが記載されておらず、また、そのようなことが本願出願時の技術常識から自明であったものとも認められない。 したがって、前記2(1)アの補正は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、この補正を含む本件補正は特許法第184条の12第2項において読み替えられた同法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 4 独立特許要件の充足性(特許法第17の2第6項違反)について 前記2(1)アの補正は、前記2(2)アで説示したとおり、不明確な記載を含むものであるが、仮に、前記2(1)アの補正のうち、「抗原の内示化」という記載は、本願明細書の段落【0042】の記載からみて、「抗原の内在化」を意味するものであり、さらに、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」を追加する補正は、「少なくとも1種のカチオン性脂質」の「有効量」は、「樹状細胞による抗原の内在化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する」量であることを限定したものであると解した場合、本件補正後の請求項7に係る発明は、特許法17条の2第5項第2号に該当する補正がなされたものであるから、以下に、独立特許要件について検討する。 (1)補正後の請求項7に係る発明 本件補正後の請求項7に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項7】 樹状細胞をex vivoで活性化する方法であって、 単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、R-DOTAPである有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、 前記単離された樹状細胞の処理は、前記樹状細胞を活性化し、 前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある、方法。」 (2)新規性(特許法第29条第1項第3号)について ア 引用文献に記載された事項及び引用発明 (ア)引用文献4に記載された事項及び引用発明4 a 当審による令和6年3月5日付けの拒絶理由において引用された、本願優先日前に発行された特表2011-518170号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。また、下線は当審合議体が付したものである。以下同様。 ・記載事項4-1 「【請求項9】 エキソビボで免疫細胞を活性化する、又は被験者における免疫応答を誘発する方法であって、該細胞を活性化するのに十分な用量の、又は被験者における免疫応答を誘発するのに十分な用量の、少なくとも1つのキラルカチオン性脂質を被験者に投与することを含む、方法。 【請求項10】 カチオン性脂質が、下記式: 【化2】 [図:0001421627000001.jpg] 〔式中、R1は第四級アンモニウム基であり、Y1は、炭化水素鎖、エステル、ケトン及びペプチドから選択され、C*はキラル炭素であり、R2及びR3は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、エステル結合炭化水素、リンジエステル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される〕により表される構造を有する非ステロイド性のカチオン性脂質を含む、請求項9記載の方法。 【請求項11】 キラルカチオン性脂質が、DOTAP、DOTMA、DOEPC、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項10記載の方法。」 ・記載事項4-2 「【0009】 本発明において、選択されたカチオン性脂質の2つの鏡像異性体により実施した追加の試験は、カチオン性脂質のR及びS鏡像異性体が、多様な条件下で強力な免疫活性化因子として作用する能力には、両者の間で差があるという発見をもたらした。抗原と組み合わせると、R鏡像体を含有するカチオン性脂質/抗原複合体は、多様な用量条件下で(低用量条件を含む)、複合体に配合された抗原に特異的な強い免疫応答を誘導し、腫瘍退縮をもたらす。しかし、S-DOTAPと抗原から構成される複合体は、限定された腫瘍退縮しか誘導することができず、R-ROTAPが有効であった全ての用量において誘導することができなかった。しかし、DOTAPの両方の鏡像異性体は共に、細胞性免疫応答を誘導する第1段階である、樹状細胞の成熟及び活性化の誘導においては、同等に有効である。」 ・記載事項4-3 「【0067】 〔実施例〕 <カチオン性脂質の鏡像異性体による免疫系の効果的な刺激> ・・・ 【0070】 4.カチオン性脂質/E7複合体の個別のR及びS鏡像異性体は、DOATPラセミ混合物と同様に、ヒト樹状細胞を活性化する カチオン性リポソームを前記に記載されたように調製した。製剤に使用されるE7抗原は、HLA-A*0201で拘束された同定済みヒトE7ペプチドである〔HPV-16 E7、アミノ酸11~20、YMLDLQPETT(配列番号1)〕。ペプチドは、University of Pittsburgh, Molecular Medicine Institute, Pittsburgh,PAにおいて合成された。ヒトHLA-A2ヒト樹状細胞は、Lonza(Walkersville,MD)から得た。凍結クリオバイアルを融解し、樹状細胞を、12ウエル組織培養皿において、50マイクログラム/mlのIL-4及びGM-CSFを補充したLGM-3培地(Walkersville,MDのLonzaにより市販されている)により、培地2mlに125,000細胞/cm2の初期平板培養密度で、37℃・5%CO2にて培養した。細胞を培養で3日間増殖させると、顕微鏡検査では、接着した細胞及び円形になった細胞の混合物が認められた。 【0071】 細胞を新たな用量の50マイクログラム/mlのIL-4及びGM-CSFにより3日目に処理し(全てのウエル)、試験ウエルを、インターロイキン1-ベータ(「IL-β」)、インターロイキン6(「IL-6」)及びTNF-αの混合物により10ng/ml、プロスタグランジンE2(「PGE-2」)により10μg/ml(活性化の陽性対照)、処理無し(陰性活性化対照)、S-DOTAP/E7により2.5、10及び40マイクロモル最終濃度及びR-DOTAP/E7により2.5、10及び40マイクロモル最終濃度で処理した。処理した樹状細胞を、培養液中に24時間維持してから、細胞表面マーカーの染色とフローサイトメトリーでの分析のために採取した。採取した細胞を血球計でカウントし、表面マーカーの標識のため、以下の抗体結合体10μlを、各試料に順に加えた:CD80-FITC、CD83-APC及びCD86-PE(BD Biosciences)。続いて、表面標識細胞をBD FACxcaliberフローサイトメーターを使用したフローサイトメトリーによって分析し、活性化により産生された同時刺激樹状細胞マーカー分子CD80、CD83及びCD86をモニタリングした。図2、3及び4により分かるように、カチオン性脂質/E7複合体の両方の鏡像異性体により処理された初代ヒト樹状細胞は、カチオン性脂質のラセミ混合物(RS-DOTAP)で観察されたもの及び米国特許出願第12/049,957号(本出願の譲渡人に譲渡された)に報告されたものと同様に、T細胞への抗原提示の成功のために評価及び必要とされる樹状細胞活性化の3つの同時刺激マーカーの全ての発現を上方制御した。 【0072】 5.個別のR及びS鏡像異性体を含有するカチオン性脂質/E7複合体は、ヒト樹状細胞を活性化してケモカイン及びサイトカイン産生を誘発する効力が異なるヒトHLA-A2樹状細胞(Lonza, Walkersville,MD)を前記に記載したように試験し、培養で増殖させた。3日目に、40マイクロモルのDOTAP/E7複合体により、又は強力な免疫刺激物質であるリポ多糖(LPS)の50マイクロモル濃度(陽性対照)により、細胞を処理した。アッセイウエルから培地を取り出し、微量遠心管により1300rpmで5分間遠心分離して、非結合樹状細胞をペレット化した。上澄みを取り出し、1mlあたり10マイクロリットルのCalbiochem(La Jolla, CA)のプロテアーゼインヒビターカクテルセットI(カタログ番号539131)で処理し、分析するまで凍結保存した。試料を、Searchlight Protein Array Multiplex ELISAアッセイ〔Pierce Biotechnology(Woburn, MA)〕によりケモカイン及びサイトカイン発現について分析した。 【0073】 細胞性免疫応答に必須であることが知られている、選択されたケモカインのCCL3、CCL4、CCL5及びCCL19の産生を評価し、IL-2、IL-8及びIL-12の産生を評価した(図5-11、ここでは、R-DOTAP/E7及びS-DOTAP/E7の有する、CCL3、CCL4、CCL5、CCL19、IL-2、IL-8及びIL-12の産生を誘発する能力を例示している)。同図は、DOTAPの個別の鏡像異性体を含有するDOTAP/E7複合体が、ヒト樹状細胞によるサイトカイン及びケモカイン産生を誘発することを例示する。しかし、両方の鏡像異性体は、免疫系を異なる程度で活性化し、R-鏡像異性体がより高い効力を示す。 【0076】 8.S-DOTAP及びR-DOTAP組成物によるT細胞増殖の誘発 本出願者たちは以前に、米国仮出願第60/983,799号(本出願の譲渡人に譲渡された)において、DOTAP/E7がヒトTリンパ球と直接相互作用して、クローン増殖及びT細胞活性化をもたらすことを示した。これらの研究は、DOTAPのラセミ混合物がT細胞のクローン増殖を刺激する能力を検査した。これらの研究において、HLA-A2+の健康な提供者から得た濃縮ヒトリンパ球を、媒質、DOTAPのみ、ペプチドのみ、又はDOTAP/E7で、直接刺激した。刺激を7日の間隔を置いて3回繰り返した。第3刺激の3日後、DOTAP又はDOTAP/E7で処理したリンパ球は、クローン増殖がなかった培地対照とは対照的に、培養液中においてT細胞コロニーの広範な増殖を示した。増殖したT細胞は、有意なCTL活性も示した。」 ・記載事項4-4 「【0083】 疾患に対して細胞性免疫応答を誘発することができる免疫刺激物質の重要な特徴は、重要なケモカイン及びサイトカインの産生を誘発する能力である。実施例に報告されているように、ケモカイン及びサイトカインの産生を誘発する能力において有意な差がDOTAPのR及びS異性体の間に観察された。R-DOTAPは、S-DOTAPよりも強力な免疫活性化因子であることが観察された。全ての場合において、R-DOTAPの効力は、DOTPAラセミ混合物と同等又はそれを超えていた。 ・・・ 【0085】 したがって、DOTAPのR鏡像異性体が、DOTAPの観察されたアジュバント効果の大部分を担っていることが明白である。しかし、両方の鏡像異性体ともに、成熟をもたらす樹状細胞の強力な活性化因子である。」 b 引用文献4に記載された発明 引用文献4の記載事項4-3には、実施例において使用した樹状細胞について、「ヒトHLA-A2ヒト樹状細胞は、Lonza(Walkersville,MD)から得た」と記載されていることから、実施例において使用した樹状細胞は、単離されたものであるといえる。 そうすると、引用文献4の記載事項4-1の請求項9~11に係る発明を裏付ける実施例について記載した、記載事項4-3の下線部によれば、引用文献4には、次の発明が記載されていると認められる。 「単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、十分な量のR-DOTAPであるカチオン性脂質を含む組成物とヒトE7ペプチドであるE7抗原とで処理して、前記樹状細胞を活性化する、樹状細胞をex vivoで活性化する方法。」(以下「引用発明4」という。) (イ)引用文献8に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である「Proc .Natl. Acad. Sci. USA., 1992, Vol.89, No.17, p.7915-918」(以下「引用文献8」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項8-1(標題) 「カチオン性脂質がウイルス糖タンパク質をクラスI主要組織適合複合体抗原提示経路に導く」 ・記載事項8-2(要旨) 「単純ヘルペスウイルス(HSV)の組換え糖タンパク質B(gB)は、DNAトランスフェクションに使用される市販のカチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチル硫酸塩(DOTAP)を用いて細胞内に導入された後、クラスI主要組織適合複合体(MHC)分子によって処理され提示された。DOTAPと結合したgBで処理した細胞は、クラスI MHCに制限されたHSV特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)による溶解を受けやすく、処理した細胞はHSV感染マウスの脾臓細胞におけるメモリーgB特異的CTL活性を再刺激した。gB特異的CTL応答は、組換えgBとDOTAPで免疫したマウスでは検出されたが、完全フロイントアジュバントで乳化したgBを投与したマウスでは検出されなかった。このように、カチオン性脂質は組換え抗原を用いたワクチン接種においてCD8+T細胞応答の誘導を促進し、ウイルスや他の細胞内病原体に対するクラスI MHC免疫の解明に容易に利用できる試薬として役立つ可能性がある。」 (ウ)引用文献9に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である「Biochim. Biophys. Acta., 2001, Vol.1527, No.3, p.97-101」(以下「引用文献9」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項9-1(標題) 「マウス樹状細胞における主要組織適合性複合体クラスI制限抗原提示経路および樹状細胞の成熟に対するリポフェクチン-抗原複合体の効果」 ・記載事項9-2(要旨) 「我々は以前、カチオン性リポソームであるリポフェクチン(LF)と複合化した外来性抗原が、in vitroでパルスされた樹状細胞(DC)上に主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子を介して効率的に提示されることを報告した。本研究では、LF-抗原複合体で処理したマウス未熟樹状細胞DC2.4細胞におけるMHCクラスI制限抗原提示が、エンドサイトーシス、プロテアソーム触媒作用、ゴルジ体輸送の阻害を介して顕著に抑制されることを示した。また、LFはDC2.4細胞におけるインターロイキン12 p40 mRNA、MHC分子、共刺激分子の発現に影響を及ぼさないことも見いだした。これらの所見から、LFを用いた抗原負荷法は、DCにおける古典的MHCクラスI経路への外因性抗原の送達を促進しうるが、DCの成熟を開始するものではないことが示唆された。」 (エ)引用文献10に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である「Biosci. Rep., 2002, Vol.22, No.2, p.339-353」(以下「引用文献10」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項10-1(標題) 「樹状細胞へのCTLエピトープのリポソーム送達」 ・記載事項10-2(概要) 「強力かつ長期間持続するT細胞応答(CD4+又はCD8+)の誘導は、効率的なワクチン開発における主要な要件である。重要な点は、強力な抗原特異的CD8+ Tリンパ球(CTL)応答を誘導するために、抗原提示細胞(APC)である樹状細胞(DC)に抗原を送達することである。タンパク質又はペプチドベースのワクチンは、ウイルス性疾患や悪性腫瘍の治療において、CTL応答を刺激するために、生細胞ワクチンの使用に代わる魅力的な選択肢となる。しかしながら、外来抗原が主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子を介してT細胞に適切に提示されないため、個別のCTLエピトープを表すタンパク質や合成ペプチドを用いたワクチン接種はほとんどの場合失敗してきた。現代のワクチンは、合成分子又は天然分子をベースとして、適切なプロフェッショナルAPCを標的とし、DCの活性化を促進するシグナルを共送達するように設計されている。本総説では、腫瘍やウイルスに関連した抗原をDCの細胞質に送達できる、これらの特性を併せ持つ脂質ベースの製剤の開発に関する最近の知見について述べる。ウイルス、寄生虫感染及び腫瘍増殖に対する特異的免疫について報告したin vitro及び前臨床研究を紹介する。」 ・記載事項10-3(343頁下から18行~344頁5行) 「カチオン性リポソーム リポソームの組成がCTL反応の誘導に重要な役割を果たすという明らかな証拠がある。リポソームの表面電荷とアジュバント作用の関係に関する研究が行われ、最近の研究では、プラス電荷を持つリポソームはマクロファージやDCに効率よく取り込まれる一方、中性のリポソームは弱く取り込まれることが示された。この過程と一致して、マイナスイオン性リポソームや中性リポソームと比較してプラスイオン性リポソームを用いた場合の強力なin vivo CTL及び体液性応答が報告されている(Nakanishiら、1997;Nakanishiら、1999;Chikhら、2001a、b)。HIVモデルにおいて、リポフェクチンなどのプラスイオン性リポソームによるHIV-1 Gag、Pol、Envタンパク質のDCへの送達は、HIV-1に感染した被験者の細胞において、タンパク質のみを負荷したDCによって誘導された応答よりも大きな抗HIV-1メモリーCTL応答を刺激した(Zhengら、1999)。抗原提示はクロロキンによって増強されたが、ブレフェルジンAによって阻害された。このことは、DCによるHIV-1タンパク質のプロセシングと提示には、古典的なMHCクラスI細胞質経路が用いられていることを示している。このことは、リポフェクチン/OVAで処理したマウス未熟DC株DC2.4で最近確認された。驚くべきことに、リポフェクチンはDCの成熟を開始しなかった(Okadaら、2001年)。カチオン性リポソームが頑健な免疫反応を誘導する能力が高いことを示すもう一つの例は、カチオン性コレステロール誘導体3β[N-(N′,N′-ジメチルアミノエタン)-カルボミル]コレステロールを含む小胞をマウスとマカクに投与したものである。インフルエンザ及びヘリコバクター・ピロリ感染に対しては、CTLと抗体の両方が誘導されたが、中性リポソームは実質的に安定な抗原を示さず、アジュバント効果もなかった(Guyら、1998;Guyら、2001)。」 (オ)引用文献11に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である「BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS, 1997, Vol.240, No.3, p.793-797」(以下「引用文献11」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項11-1(標題) 「プラスに荷電したリポソームは可溶性タンパク質に対する免疫応答を誘導する効率的な免疫アジュバントとして機能する」 ・記載事項11-2(概要) 「可溶性タンパク質抗原に対する最適なリポソーム免疫アジュバントを設計するために、我々はリポソームの表面電荷とアジュバント作用の関係を調べた。プラスに荷電したマルチラメラベシクル(MLV)はマクロファージに効率よく取り込まれたが、マイナスに荷電したMLVや中性のMLVはほとんど取り込まれなかった。これと一致して、可溶性鶏卵アルブミン(OVA)を含むプラス荷電MLVは、同濃度の抗原を含むマイナス荷電MLVや中性MLVよりも、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答と抗体産生をより強力に誘導するものとして機能した。これらの結果は、抗原特異的免疫応答の誘導において、リポソーム表面のプラス電荷が免疫増強効果を高める重要な因子であることを示している。」 ・記載事項11-3(795頁右欄9行~796頁左欄13行) 「さらに、我々はインビトロで可溶性抗原をプラス電荷リポソームで送達する抗原提示経路についても検討した。その結果、プラス電荷を帯びたリポソーム中の可溶性抗原は、可溶性抗原単独よりも100倍以上高い効率で、APCによってCD4+T細胞に提示された。さらに、可溶性抗原の抗原特異的CTLへの提示は、プラス電荷を帯びたリポソームを介して送達された場合にのみ可能であり、可溶性抗原単独では、APCがCD4+T細胞に提示するのに十分な量では抗原特異的CTLに提示されなかった(Nakanishiら、原稿準備中)。この条件下では、抗原のほとんどはペプチドのMHCクラスII提示のためのプロセッシング経路に運ばれると思われるが、一部の抗原はファゴソームから細胞質コンパートメントに漏れ、MHCクラスI提示経路に運ばれるかもしれない。このファゴソームから細胞質への「漏出」についてはほとんど知られていないが、MHCクラスIに提示されるためには、多数の抗原がAPCに取り込まれなければならないことが考えられる。 リポソーム抗原はもちろんMHCクラスII提示経路に送達されるため、我々は最終的に、様々な電荷を持つMLV中の抗原がマウスにおいて抗原特異的抗体応答を誘発する能力を調べた。C57BL/6マウスに、様々な電荷を持つMLVに含まれる100μgのOVAを免疫し、一次免疫後異なる時間間隔で尾静脈から血清を採取し、ELISAを用いて血清中の抗OVA抗体を測定した。可溶性OVA単独で免疫したマウスでは、一次IgG1抗体反応はほとんど観察されなかった。対照的に、リポソームOVAと、ヒトのワクチンに使用される唯一のアジュバントであるミョウバンを含むOVAは、マウスに有意なOVA特異的IgG1応答を発現させた。3つのリポソームアプローチのうち、プラス電荷を帯びたMLVが最も効果的であった(図4)。」 (カ)引用文献12に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である「J. Exp. Med., 2011, Vol.208, No.1, p.149-165」(以下「引用文献12」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項12-1(標題) 「CD83は、IL-10を介したMARCH1のユビキチン化と分解に対抗することで、樹状細胞上のMHCIIとCD86を増加させる」 ・記載事項12-2(概要) 「効果的なワクチンアジュバントは、樹状細胞(DC)上で主要組織適合性(MHC)クラスIIタンパク質と共刺激分子CD86の発現を誘導しなければならない。しかしながら、アジュバントの中にはサイトカインの産生を誘発し、その結果、有害な炎症を引き起こすものもある。好ましくないサイトカイン産生を引き起こすことなく、MHCクラスIIとCD86の発現を選択的に増加させる薬剤の開発には、DCにおけるMHCクラスIIとCD86の産生と分解に影響を及ぼす分子機構をよりよく理解する必要がある。ここで我々は、成熟したDCの表面に発現する免疫グロブリンタンパク質であるCD83が、どのようにしてMHCクラスIIとCD86の発現を促進するのかを調べた。N-エチル-N-ニトロソウレアによりCD83の膜貫通(TM)領域を欠損させたマウスを用いて、CD83のTMドメインが、MHCクラスIIとユビキチンリガーゼMARCH1との会合を阻害することにより、MHCクラスIIとCD86の発現を促進することを見いだした。CD83のTM領域は、DCにおけるMHCクラスIIとCD86のインターロイキン10駆動性、MARCH1依存性のユビキチン化と分解を阻害する。この翻訳後経路を利用して、DC上でのMHCクラスIIとCD86の発現を高めることで、ワクチンの免疫原性を高めることができるかもしれない。」 (キ)引用文献13に記載された周知事項 当審において、周知技術を示すために引用する、本願優先日前に発行された「特表2012-533558号公報」(以下「引用文献13」という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項13-1 「【0485】 (脂質ナノ粒子(リポソーム)処方物RV01(01))1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(DlinDMA)を、以前に公開された手順を用いて合成した[Heyes,J.,Palmer,L.,Bremner,K.,MacLachlan,I.Cationiclipid saturation influences intracellulardeliveryof encapsulated nucleic acids.Journalof Controlled Release,107:276-287(2005)]。1,2-ジアステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)は、Genzymeから購入した。コレステロールはSigma-Aldrich(St.Lois,MO)から取得した。1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](アンモニウム塩)(PEGDMG 2000)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](アンモニウム塩)は、AvantiPolar Lipids(Alabaster,AL)から取得した。 【0486】 脂質の新鮮ストック溶液(エタノール中)を調製した。37mgのDlinDMA、11.8mgのDSPC、27.8mgのコレステロールおよび8.07mgのPEGDMG 2000を秤量し、7.55mLのエタノールに溶解させた。調製したこの脂質の新鮮ストック溶液を37℃で約15分間、静かに振盪し、均質な混合物を形成した。次いで、755μLのストックを1.245mLのエタノールに添加し、2mLの作業用脂質ストック溶液にした。この量の脂質を用いて、250μgのRNAを有する8:1のN:P(窒素対ホスフェート)比のLNPを形成した。DlinDMA(カチオン性脂質)上のプロトン化性(protonatable)窒素とRNA上のホスフェートがこの計算に使用される。・・・ 【0494】 (マウスT細胞機能アッセイ) (細胞内サイトカイン免疫蛍光アッセイ) 同一にワクチン接種したBALB/cマウスの2~5個の脾臓をプールし、培養のための単一の細胞懸濁物を調製した。各脾細胞プールについて、2つの抗原刺激培養物と2つの非刺激培養物を樹立した。抗原刺激培養物は、1×106個の脾細胞、RSVFペプチド85-93(1×10-6M)、RSVFペプチド249-258(1×10-6M)、RSVFペプチド51-66(1×10-6M)、抗CD28mAb(1mcg/mL)、およびブレフェルジンA(1:1000)を含むものとした。非刺激培養物は、RSVFペプチドを含めなかったこと以外は、刺激培養物と同一とした。37℃で6時間の培養後、培養物を免疫蛍光のために処理した。細胞を洗浄し、次いで、蛍光標識抗CD4および抗CD8モノクローナル抗体(mAb)で染色した。細胞を再度洗浄し、次いで、Cytofix/cytopermで20分間固定した。次いで、固定された細胞をPerm洗浄バッファーで洗浄し、次いで、IFN-g、TNF-a、IL-2およびIL-5に特異的な蛍光標識mAbで染色した。染色細胞を洗浄し、次いで、LSRIIフローサイトメーターで分析した。FlowJoソフトウェアを使用し、取得データを分析した。CD4+8-T細胞サブセットおよびCD8+4-T細胞サブセットを、別々に分析した。所与の試料の各サブセットについて、サイトカイン陽性細胞の%を決定した。RSVF抗原特異的T細胞の%は、抗原刺激培養物でのサイトカイン陽性細胞の%と非刺激培養物でのサイトカイン陽性細胞の%との差として計算した。標準的な方法(StatisticalMethods,第7版.G.W.SnedecorおよびW.G.Cochran)を使用し、抗原特異的細胞の%の95%信頼限界を決定した。」 ・記載事項13-2 「【0500】 (実施例7)(A-コットンラットRSVチャレンジ試験(CRIS14))RSVの表面融合糖タンパク質(RSV-F)を発現するA317レプリコンをこの実験に使用した。コットンラット(Sigmodonhispidus)(8匹の動物/群)に、裸の自己複製RNA(A317,1μgもしくは10μg)、LNPにおいて処方した自己複製RNA(RV01(01),A317,0.1μgもしくは1μg)、RSV-Fを発現するVRP(5×106IU)、F-三量体/アラムサブユニット(10μg)、またはホルマリン不活化RSVワクチン(5200FI-pfu)で、0日目と21日目に、両側に筋肉内ワクチン接種(50μL/脚)を行なった。抗体分析のため、14日目(2wp1)と35日目(2wp2)に血清を収集した。すべての動物を、1×105pfuのRSVで、鼻腔内に49日目にチャレンジし、ウイルス負荷および肺病理の決定のため、肺を54日目(5dpc)に収集した。 ・・・ 【0516】 (結論) リポソーム処方物では、裸のRNA対照と比べて、免疫原性(F特異的IgGの力価の増大によって決定(8~30倍の増大))、中和力価、ならびにCD4T細胞応答およびCD8 T細胞応答が有意に増強された。驚いたことに、RV01(01)のF特異的IgGの力価と中和力価は、0.1および1.0μgの両方の用量において、VRP(1×106IU)と同等であった。LNP処方物でのT細胞応答は、高用量ではVRP(1×106IU)と同等であった。CNE17を用いた自己複製RNAの処方物では、裸のRNA対照と比べて、免疫原性(F特異的IgGの力価の増大によって決定(2~5倍の増大))、中和力価、ならびにCD4T細胞応答およびCD8T細胞応答が有意に増強された。」 イ 対比 本件補正発明と引用発明4を対比する。 引用発明4の「R-DOTAPであるカチオン性脂質を含む組成物」及び「ヒトE7ペプチドであるE7抗原」は、本件補正発明の「R-DOTAPである」「少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物」及び「少なくとも1種の抗原」にそれぞれ相当するから、両者は、 「樹状細胞をex vivoで活性化する方法であって、 単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、R-DOTAPである少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、 前記単離された樹状細胞の処理は、前記樹状細胞を活性化する方法。」 である点で一致し、次の点で一応相違する。 <相違点> R-DOTAPである少なくとも1種のカチオン性脂質が、本件補正発明では、「有効量」含まれるものであって、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」ことが特定されているのに対し、引用発明4ではそのような特定がない点。 ウ 判断 (ア)「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスI経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」について 前記相違点のうち、カチオン性脂質の有する「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスI」「経路による増大した提示を促進する」という作用について、本願明細書の記載をみると、【0109】には、「図11の結果は、カチオン性脂質であるDOTAP、DOTMA、DOEPC、DDAがいずれも、BMDC(当審合議体注:【0094】によれば、「骨髄由来樹状細胞」のことを意味する。)によるOVAの取り込みと交差提示の亢進を助長することを示している。」と記載されているところ、この記載の根拠となる実施例は、次に記載するものである。 「【0107】 ・・・ <実施例8:MHCクラスI拘束性T細胞に対する抗原のプロセシングと交差提示に対する様々な脂質の作用> 【0108】 抗原の取り込みと交差提示に対する他のカチオン性脂質および中性脂質の作用を確認するために、完全OVAタンパク質と様々な濃度のDOTAP、DOTMA、DOPC、DOEPCまたはDDAの存在下、BMDCを37℃又は4℃で30分間インキュベートした。その後、DCを洗浄し、マイクロタイタープレートでOT1脾細胞(クラスI拘束性OVAペプチドSIINFEKLに特異的なTCRトランスジェニックT細胞)に添加し、37℃で3日間培養した。プロットは、培養の最後の18時間における3Hチミジン取り込みの平均CPMを示している。対照培養には、OT1脾細胞とSIINFEKLだけを含有し、これは抗原プロセシングの必要性を回避する。」 [図:0001421627000002.jpg] 「【0055】 ・・・ 【図11】 OVAおよび3種類のカチオン性脂質で「パルス」したBMDCの存在下でのOT1T細胞増殖。培養の最後の18時間における3H-チミジン取り込みの平均CPM。」 前記記載によれば、本願明細書では、3H-チミジン取り込みを測定して、T細胞の増殖を確認したことを根拠にして、「カチオン性脂質が、抗原の効果的な取り込みと樹状細胞によるタンパク質抗原の送達を介在するのに有効である」との結論を導いている。 一方、引用文献4には、「細胞を・・・S-DOTAP/E7により2.5、10及び40マイクロモル最終濃度及びR-DOTAP/E7により2.5、10及び40マイクロモル最終濃度で処理した。処理した樹状細胞を・・・細胞表面マーカーの染色とフローサイトメトリーでの分析のために採取した。採取した細胞を血球計でカウントし、表面マーカーの標識のため、以下の抗体結合体10μlを、各試料に順に加えた:CD80-FITC、CD83-APC及びCD86-PE(BD Biosciences)。続いて、表面標識細胞をBD FACxcaliberフローサイトメーターを使用したフローサイトメトリーによって分析し、活性化により産生された同時刺激樹状細胞マーカー分子CD80、CD83及びCD86をモニタリングした。図2、3及び4により分かるように、カチオン性脂質/E7複合体の両方の鏡像異性体により処理された初代ヒト樹状細胞は、カチオン性脂質のラセミ混合物(RS-DOTAP)で観察されたもの及び米国特許出願第12/049,957号(本出願の譲渡人に譲渡された)に報告されたものと同様に、T細胞への抗原提示の成功のために評価及び必要とされる樹状細胞活性化の3つの同時刺激マーカーの全ての発現を上方制御した。」と記載されているところ(記載事項4-3の段落【0071】)、ここで引用される「米国特許出願第12/049,957号」(当審合議体注:日本でのファミリー特許出願である特表2010-522206号公報(以下「対応公報」という。))をみると、次の記載がある(段落番号は対応公報におけるものである。)。 「【0093】 11.DOTAP/E7複合体は、注射後、主として樹状細胞に取り込まれ、樹状細胞の活性化及び流入領域リンパ節への移動を誘導する。 【0094】 未処理のマウス(n=4~6)にPBS対照(図7A、C及びE)又は0.5%の1-オレオイル-2-[6-[(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾキサジアゾール-4-イル)アミノ]ヘキサノイル]-3-トリメチルアンモニウムプロパン(「NBD-DOTAP」)を伴った総脂質100ナノモルを含有するDOTAP/E7(図7B、D及びF)を注射した。注射の4時間後、流入領域リンパ節を調製し、表面マーカーに対する適当な抗体で染色した。リンパ節の細胞全部の範囲内でNBDとCD11c(図7A及びB)又はCD86(図7C及びD)の同時発現を解析し、一方、NBDとCD8(図7E及びF)の同時発現は、CD3+集団の範囲内でゲートをかけ、解析した。数字は、4連一組の細胞の比率を表した。流入領域リンパ節を回収し、注射後様々な時点でフローサイトメータによって解析した。NBD-DOTAP/E7の注射後4時間で(図7A及びB)無処理のマウスに比べて、流入領域リンパ節でのCD11c+細胞の数は、2.5倍を超えて増えていた。NBD+細胞における同時刺激分子CD86の発現を調べたところ、NBD+細胞が高いレベルのCD86を示した(図7C及びD)ということは、DOTAPの皮下注射は、樹状細胞の活性化を誘導したことを示している。Tリンパ球のようなそのほかの種類の細胞によるNBDの取り込みも、抗CD3、CD4及びCD8抗体の同時染色によって検討した。CD3+細胞にゲートをかけ、CD3+細胞を解析したところ(図7E及びF)、NBD-DOTAPの注射後、NBDの取り込みを示さなかった。その結果は、NBD-DOTAPは、免疫直後主として樹状細胞(約80%)によって取り込まれ、DOTAPは、流入領域リンパ節への樹状細胞の移動を誘導し、結果として樹状細胞とT細胞の相互作用を生じ、強いT細胞の応答を引き出すことを明らかに実証した。」 「【0158】 ・・・カチオンリポソームはまた、同時刺激分子CD80とCD83の発現を誘導し、ヒト樹状細胞を活性化することができる(図23A~E及び図25A~B)」 対応文献において、カチオン性脂質及び抗原を動物に注射する場合においても確認されているように、同時刺激樹状細胞マーカー分子の発現誘導は、結果として、樹状細胞の活性化とT細胞との相互作用を生じ、強いT細胞の応答を引き出すことを意味するものであるところ、引用文献4には、R-DOTAPであるカチオン性脂質及びE7である抗原の複合体により処理されたヒト樹状細胞において、T細胞への抗原提示のために必要である3つの同時刺激樹状細胞マーカー分子CD80、CD83及びCD86の発現が上方制御されたことが確認されており(記載事項4-3の段落【0071】)、また、「T細胞増殖の誘発」と「有意なCTL活性を示した」ことが記載されている(記載事項4-3の段落【0076】)。 ここで、CTLはMHCクラスI経路による抗原の提示により誘導されるものであることを踏まえると(本願明細書段落【0007】参照)、引用発明4における「R-DOTAPであるカチオン性脂質」の「十分な量」は、本件補正発明における「樹状細胞の活性化」、「抗原の内示化とin vivoでのクラスI経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」で使用されていると認められる。 (イ)「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスII経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」について 前記相違点のうち、カチオン性脂質の有する「樹状細胞による抗原の内示化とMHCクラス」「II経路による増大した提示を促進する」という作用について、本願明細書には、次の記載がある。 「<実施例6:MHCクラスII拘束性T細胞に対する抗原のプロセシングと交差提示に対するDOTMAおよびDOTAPの作用> 【0105】 カチオン性脂質が実際にCD4 T細胞への抗原提示を増すか否かを確認するために、MHCクラスII分子に提示されるOVAペプチドに特異的なT細胞を有するDO11.10トランスジェニックマウス由来の細胞を使用した。図9の結果は、クラスII提示にも図8のクラスI提示で観察されたものと同じ傾向が観察されたことを示している。カチオン性脂質の存在下でOVAが取り込まれることで、CD4 T細胞に対する抗原提示が亢進された。 【0106】 これらの結果は、カチオン性脂質によって抗原の取り込みが亢進されることで、CD4 T細胞の効果的な活性化の絶対的前提条件である、効率的な抗原のプロセシングとMHCクラスII経路へのペプチドの取り込みに実際につながることを示している。 <実施例7:in vivoでの実際のワクチン設定における抗原提示に対するDOTAPによる作用> 【0107】 実際のワクチン設定におけるDOTAPの作用をモデル化するために、T細胞受容体養子移入系を使用した。この系では、図8および図9で説明したのと同じTCRトランスジェニックマウス由来のT細胞を用いているが、これらの細胞がワクチン接種後にin vivoでどのように応答するかを分析する。最初に、OT-1(OVA特異的CD8+)またはDO11.10(OVA特異的CD4+)T細胞を追跡用の蛍光色素CFSEで標識した。24時間後、マウスに、OVAのみまたはDOTAPの存在下のOVAを注射した。これらのT細胞が、免疫化後に流入領域リンパ節でDCによって提示される抗原を認識すれば、T細胞は増殖し、全ての娘細胞でCFSE色素が希釈される。次に、DOTAPを用いる場合と用いない場合でマウスにOVAを注射した。3日後、ワクチン接種部位の流入領域リンパ節を取り出し、T細胞を抗CD8抗体および抗CD4抗体で染色し、CFSEのレベルをフローサイトメトリーで可視化した。図10の結果は、完全OVAまたはDOTAPと混合した完全OVAのいずれかをさらに注射(免疫化)した場合のCFSE標識OT1(CD8 T細胞)またはDO11.10(CD4 T細胞)を示している。マウスにOVA+DOTAPをワクチン接種した場合のみ、T細胞の有意な分裂が生じた。これらの結果は、DOTAPの抗原送達特性が、ワクチン接種後の流入領域リンパ節におけるT細胞応答の増大につながることを示している。」 前記記載によれば、本願明細書では、CD4 T細胞の増殖を確認したことを根拠にして、「MHC」「クラスII経路による増大した提示を促進する」との結論を導くとともに、インビボでは、DOTAP存在下のワクチン接種により、CD4 T細胞とCD8 T細胞の応答が同時に起こることが示されている。 一方、引用文献4において、R-DOTAPであるカチオン性脂質及びE7である抗原の複合体により処理されたヒト樹状細胞において、T細胞への抗原提示のために必要である3つの同時刺激樹状細胞マーカー分子CD80、CD83及びCD86の発現が上方制御されたことが確認されているところ(記載事項4-3の段落【0071】)、引用文献12に示されるように、CD83は、MHCクラスIIの発現を増加させるものであることを踏まえると(記載事項12-1、12-2)、引用文献4において、CD83の発現が上方制御されたということは、MHCクラスIIの発現が増え、MHCクラスII経路を介して、抗原を提示していることを意味しているといえる。 また、引用文献11には、プラス電荷を帯びたリポソーム中の可溶性抗原は、可溶性抗原単独よりも100倍以上高い効率で、抗原提示細胞によってCD4+T細胞に提示されたことが記載されており(記載事項11-3)、引用文献13には、カチオン性脂質を含むリポソームを用いて、ワクチン接種をしたマウスにおいて、CD4T細胞が増加したことが記載されている(記載事項13-1、13-2)。 これら引用文献4、11、13の記載からみて、カチオン性脂質からなるカチオン性リポソームは、抗原提示細胞において、MHCクラスII経路の抗原提示を増強することは、本願優先日当時における周知技術である。 このような周知技術に加えて、本願明細書の実施例6における、カチオン性脂質による抗原の取り込み亢進とMHCクラスII経路へのペプチドの取り込みの記載、実施例7における、DOTAP存在下のOVAをマウスに注射することにより、MHCクラスII経路による抗原の提示により誘導されるCD4 T細胞応答及びMHCクラスI経路による抗原の提示により誘導されるCD8 T細胞応答が共に増大する旨の記載を踏まえると、前記(ア)で説示したとおり、引用発明4において「R-DOTAPであるカチオン性脂質」が「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスI経路による増大した提示を促進する」量となるために十分な「有効量」で使用されていれば、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスII経路による増大した提示を促進する」量となるために十分な「有効量」も使用されているといえる。 (ウ)以上のとおりであるから、引用発明4において、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」といえる。 したがって、前記相違点は実質的な相違点ではなく、本件補正発明は、引用文献4に記載された発明である。 (3)進歩性(特許法第29条第2項)について 引用文献4には、MHCクラスI経路による抗原提示の結果誘導されるCTLの活性化が開示されるにとどまり(記載事項4-1、記載事項4-3)、MHCクラスII経路による抗原提示が実験的な裏付けをもって示されていないことから、仮に、「in vivo でのMHCクラスI経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」と、「in vivo でのMHCクラスII経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」が、それぞれ異なるものであって、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivo でのMHCクラスII経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」で使用する点が、本件訂正発明と引用発明4との実質的な相違点であるとした場合について、以下に検討する。 ア 判断 前記(2)ウ(イ)で述べた、カチオン性脂質からなるカチオン性リポソームは、抗原提示細胞において、MHCクラスII経路の抗原提示を増強するという周知技術に、引用文献8~11の記載(前記記載事項8-1、8-2、9-1、9-2、10-3、11-3参照)併せ考慮すると、「カチオン性脂質」は、抗原を「細胞内に導入」し、「樹状細胞(DC)上に」「MHCクラスI分子」及び「MHCクラスII分子」を介して効率的に提示」させる作用を有することは、本願優先日当時における周知の事項である。 そして、引用発明4は免疫応答を誘発することを目的とする発明であるから(前記記載事項4-1)、カチオン性脂質に関する前記周知の事項を考慮すれば、引用発明4において、MHCクラスI経路のみならずMHCクラスII経路を介した免疫応答をも誘発するために、R-DOTAPであるカチオン性脂質を、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスII経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」で含むようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 イ 効果について 本願明細書では、カチオン性脂質によって、樹状細胞における抗原の取り込みが亢進され、MHCクラスI経路及びMHCクラスII経路による抗原の提示を促進することを確認している(段落【0057】、【0104】及び【0106】)。 しかしながら、樹状細胞における抗原の取り込みの亢進、及びMHCクラスI経路及びMHCクラスII経路による抗原の提示の促進については、引用文献4における、R-DOTAPであるカチオン性脂質及びE7である抗原の複合体により処理されたヒト樹状細胞において、T細胞への抗原提示のために必要である3つの同時刺激樹状細胞マーカー分子CD80、CD83及びCD86の発現が上方制御された旨の記載(記載事項4-3の段落【0071】)、及び「T細胞増殖の誘発」と「有意なCTL活性を示した」旨の記載(記載事項4-3の段落【0076】)及び前記で示した周知の事項から当業者が予測し得るものである。 そして、本願明細書において、「樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する」量となる「有効量」を検討した旨の記載も見当たらない。 そうすると、本件補正発明において、「少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」「有効量」を含むことを特定することによって、引用発明4及び周知の事項から予測できない効果を奏するものとは認められない。 (4) 審判請求人の主張について ア 審判請求人の主張 令和6年9月12日提出の意見書の「(3)[2]新規性および進歩性」において、審判請求人は、概略、次の点を主張する。 (A)本件補正発明は、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」と記載するように補正されたから、本件補正発明は、単に樹状細胞を活性化するものではないところ、引用文献4は、少なくとも1つのカチオン性脂質の有効量が、in vivoでのMHCクラスI及びII経路による増大した提示を促進する条件下にあることを開示又は示唆しておらず、被験体において免疫応答を誘導するのに十分な量を開示しているだけである。 (B)図1に示されるタンパク質の取り込みのR-DOTAPによる増強は、細胞依存性で濃度依存性であるため、本願明細書の開示なしにルーティンの実験では本願の「有効量」を決定できない。 イ 審判請求人の主張に対する判断 (ア)主張(A)について 前記(2)ウ及び(3)イで説示したとおり、引用発明4において、R-DOTAPは、「前記有効量の少なくとも1種のカチオン性脂質は、樹状細胞による抗原の内示化とin vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する条件下にある」といえるか、もしくは、前記(3)アで示した、カチオン性脂質は、抗原を細胞内に導入し、MHCクラスI分子及びMHCクラスII分子を介して効率的に提示する作用を有する旨の周知の事項を併せ考慮すると、引用発明4において、R-DOTAPであるカチオン性脂質を、「in vivoでのMHCクラスIおよびII経路による増大した提示を促進する」作用を発揮するための「有効量」で含むようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 (イ)主張(B)について DOTAPは抗原の取り込み量を増加する作用を有することは、前記(2)ウ(ア)で示したように、引用文献4に記載され、また、前記(3)アで示したように、本願優先日当時における周知の事項でもあるから、「樹状細胞による抗原の内在化」のためのR-DOTAPの「有効量」は、本願明細書の開示なしにでも好適な量を決定できるものである。 (ウ)よって、審判請求人による主張はいずれも採用できない。 (5)小括 以上のとおり、本件補正発明は引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 また、本件補正発明は引用発明4及び周知事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に違反するものであり、かつ、同法第184条の12第2項において読み替えられた同法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、仮に、同法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当するとしても、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 前記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1~12に係る発明は、令和5年12月20日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項4、7、10に係る発明(以下、請求項の番号に合わせて、「本願発明4」等という。)は、次のとおりである。 「【請求項4】 (1)MHCクラスI経路によって抗原を提示すること、 (2)免疫系を活性化し、B細胞及びT細胞の増殖を誘導すること、 (3)R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物及び抗原を含有する組成物を含む、腫瘍内で調節性T細胞の集団を減少させること、を同時に行うための薬剤であって、 前記少なくとも1種の抗原は、自己抗原、非自己抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、または腫瘍関連抗原である、薬剤。」 「【請求項7】 単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、有効量のR-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、前記樹状細胞を活性化する、樹状細胞をex vivoで活性化する方法。」 「【請求項10】 細胞障害性T細胞誘導のための薬剤であって、 R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、 少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団と、 を含有する樹状細胞ワクチン組成物を含む薬剤。」 2 当審による拒絶理由 令和6年3月5日付けの最後の拒絶理由通知書において、本願発明4、7及び10に対して通知された拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 理由1(新規事項)令和4年12月20日付け手続補正書でした本願発明4における補正は、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、翻訳文等という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。 理由2(新規性)本願発明7は、引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3(進歩性)本願発明7は、引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 理由4(明確性)本願発明10は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 <引用文献等一覧> 4.特表2011-518170号公報 3 理由2(新規性)について 事案に鑑み、まず、理由2(新規性)について検討する。 (1)引用文献4に記載された事項及び引用発明4 引用文献4に記載された事項及び引用発明4は、前記第2の4(2)アに記したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明7と引用発明4とを対比する。 前記第2の4(2)イでの検討を踏まえると、両者は、 「単離された樹状細胞を得て、 単離された樹状細胞を、有効量のR-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質を含む組成物と少なくとも1種の抗原とで処理して、前記樹状細胞を活性化する、樹状細胞をex vivoで活性化する方法。」 である点で一致するものであり、相違点はない。 したがって、本願発明7は、引用発明4と同一の発明である。 (3)小括 以上のとおり、本願発明7は、引用文献4に記載された発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 4 理由4(明確性)について (1)本願発明10には、 「細胞障害性T細胞誘導のための薬剤であって、 R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、 少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団と、 を含有する樹状細胞ワクチン組成物を含む薬剤。」 と記載されているが、この記載は、薬剤に含まれる「樹状細胞ワクチン組成物」が、「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質」と「少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団」を含むことを意味するとも、薬剤が「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質」と「少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞の集団と、を含有する樹状細胞ワクチン組成物」を含むことを意味するとも解釈でき、多義的であるから、本願発明10を明確に把握することができない。 以上のとおり、本願発明10は記載が不明確であるから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 5 理由1(新規事項)について (1)令和5年12月20日提出の手続補正書による補正により、当該補正前の請求項4の「カチオン性脂質及び抗原を含有する組成物」との記載が、「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と、少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物及び抗原を含有する組成物」と補正された。 補正後の請求項4において、「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質と」という記載の後に読点(「、」)があることからみて、補正後の請求項4に係る組成物は、「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質」、「少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」を含有するものと解される。 しかしながら、翻訳文等をみると、「カチオン性脂質及び抗原を含有する組成物」は記載されていると認められるものの(【0107】、【0114】、【0129】)、「カチオン性脂質」、「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の3成分を含有する組成物は記載されていない。 そして、翻訳文等の記載事項から、「カチオン性脂質」、「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の3成分を含有する組成物は、自明であるとはいえないし、また、そのことが本願出願時の技術常識であるとの事実も見当たらない。 したがって、「R-DOTAPを含む少なくとも1種のカチオン性脂質」、「少なくとも1種の抗原によってex vivoで刺激された、単離された樹状細胞集団とを含む樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の3成分を含有する組成物は、翻訳文等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、新規事項を追加する補正である。 (2)審判請求人の主張について ア 審判請求人の主張 審判請求人は、令和6年9月12日提出の意見書において、クレームに記載された少なくとも1つのカチオン性脂質、単離された樹状細胞の集団、及び抗原の組み合わせに対するサポートは、明細書全体に見出すことができる旨主張し、例示として、本願明細書の【0052】及び【0053】を挙げ、新規事項を追加するものではない旨主張する。 イ 審判請求人の主張に対する判断 審判請求人が根拠として挙げる翻訳文等【0052】及び【0053】の記載は以下のとおりである。 「【0052】 いくつかの実施形態では、本発明は、単離された樹状細胞を、有効量の少なくとも1つのカチオン性脂質と少なくとも1つの癌抗原とを含む1つ以上の脂質でex vivoにて処理することを含む、癌樹状細胞ワクチンを製造する方法を提供する。抗原。 【0053】 よって、本開示は、単離された樹状細胞を得て、(a)有効量の少なくとも1つのカチオン性脂質と、(b)少なくとも1つの癌抗原と、(c)少なくとも成長因子または少なくともサイトカインまたはそれらの組み合わせと、を含む組成物で、単離された樹状細胞を活性化することによって、活性化された樹状細胞を作製し、適切な数の活性化された樹状細胞を患者に投与することを含み、適切な数の活性化された樹状細胞を投与することによって、癌患者を治療する、癌患者を治療するための方法を提供する。」 前記記載は、いずれも、「カチオン性脂質」及び「癌抗原」を含む組成物で、「樹状細胞」を処理することを記載するものであって、「カチオン性脂質」、「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の3成分を含有する組成物を記載するものではない。 また、翻訳文等の他の箇所にも、「カチオン性脂質」、「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の3成分を含有する組成物についての記載は見当たらない。 したがって、審判請求人の主張は採用することができない。 (3)小括 よって、令和5年12月20日提出の手続補正書による補正は、特許法第184条の12第2項において読み替えて準用する同法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (4)付記 なお、補正後の請求項4に係る発明を「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の2成分を含有する組成物と解したとしても、翻訳文等には、「樹状細胞ワクチン組成物」及び「抗原」の2成分を含有する組成物は記載されておらず、そのようなことが本願出願時の技術常識であるとはいえないから、当該補正は新規事項を追加する補正であることを付記する。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項7に係る発明は、引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、さらに、令和5年12月20日提出の手続補正書でした補正は、特許法第184条の12第2項において読み替えて準用する同法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-015660

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  • 2023-018373拒絶査定不服審判 / 2026-03-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)タンパク質成形体の製造方法、タンパク質溶液の製造方法及びタンパク質の製造方法
    共通の審決分類: 113・C12N、537・C12N、55・C12N

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