商標拒絶査定不服審判
2021-010335
ハイボールスタンド
- 審判番号
- 2021-010335
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-081322
- 請求日
- 2021年08月04日
- 審決日
- 2022年04月19日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】楢岡 力哉
- 【請求人代理人】有吉 修一朗
- 【請求人代理人】森田 靖之
- 【請求人代理人】筒井 宣圭
- 【請求人代理人】遠藤 聡子
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-81322拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「HIGHBALL STAND」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、令和元年6月7日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年4月8日付け及び同年9月18日付けで拒絶理由の通知がされ、それぞれ同年5月22日及び同年10月27日に意見書が提出されたが、同3年4月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は「HIGHBALL STAND」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中「STAND」の文字について、近時、立ち飲み形式に限らず、提供するアルコール飲料を冠した「○○スタンド」「○○STAND」と称する店舗の存在が広く見受けられるものであるから、本願商標は全体として「ハイボールを提供する店」程の意味合いを容易に認識させるというのが相当である。してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者・取引者は、これを自他役務の識別標識として認識するというよりは、「ハイボールを提供する店における飲食物の提供,ハイボールを提供する店におけるアルコール飲料を主とする飲食物の提供」であることを表示したものと理解し、把握するに止まるので、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するものと判断せざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べた。
(1)過去の審判例で示されている判断基準を考慮すると、「〇〇スタンド」や「〇〇STAND」といった「漠然とした名称」の使用事実に着目するのではなく、「HIGHBALL STAND」といった具体的な名称に着目した上で、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かを検討すべきであり、同号の適用にあたって、本願商標「HIGHBALL STAND」が、役務の質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、要求されて然るべきである。
(2)過去の審判例における判断を参酌すると、自他役務の識別標識としての機能を発揮するか否かの判断に影響を与える使用例としては、「同時に使用されている使用例」であると解せる。これを本願商標にあてはめると、単に「ウェブサイト内で「HIGHBALL(ハイボール)」と「STAND(スタンド)」の文字が、バラバラで普通に使用されている例」は参酌すべきではなく、「「HIGHBALL」と「STAND」の文字が結合された使用例」や「「ハイボール」と「スタンド」の文字が結合された使用例」に限って参酌すべきである。証拠調べ通知で示された、1.の事例については、いずれもこれに該当せず、本願商標が一般的に広く使用されたものであるか否かということについて、大きな影響を及ぼすものではなく、本願商標の商標登録の適否を判断する基準とするのは適切ではない。
(3)過去の審判例で示されている判断基準を考慮すると、特定の用語が一般的に広く使用されたものであるか否かの一応の基準としては、当該指定商品役務における需要者が普段接すると思われる情報媒体において、少なくとも10件程度、あるいはそれを超える掲載件数が必要なものであると解せる。そうとすると、証拠調べ通知で示された、3.の事例が存在したとしても、一般的に広く使用されたものであるということは到底いえない。
(4)証拠調べ通知で示された、1.に基づいて、本願商標の識別力が否定されるのであれば、審判請求書で例示した登録例の存在の理由が全く以て不明であり、明らかに論理矛盾を生じている、若しくは、対象によって適用する基準を変更するダブルスタンダードと言わざるを得ず、著しく公平性の観点に欠ける。
(5)証拠調べ通知で示された、2.における「専門店」「酒場」「バー(Bar)」という語は、広辞苑で1番目か2番目に掲載されている意味であり、ハイボールを含めたアルコールを提供する店において、一般的に使用されるものである。これに対して、「STAND」の語は、以下のような複数の意味を有し、原審で指摘の「立ったまま飲食する店」の意味は、広辞苑で6番目に掲載されている意味である。そうとすると、ハイボールを含めたアルコールを提供する店において、「STAND」や「スタンド」の語は、「専門店」「酒場」「バー(Bar)」の語と比較すると、それほど一般的に使用されているとは言えないと考えるのが自然である。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「HIGHBALL STAND」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「HIGHBALL」の文字は、「ハイボール:ウイスキーをソーダ、ジンジャーエールなどで割った飲み物。」の意味を有し、「STAND」の文字は、「屋台、売店、売場」等の意味を有するものであり(出典:ランダムハウス英和大辞典第2版)、いずれも我が国において親しまれた英単語であるから、その文字全体からは、容易に「ハイボールを提供するスタンド」程度の意味合いを理解させるものである。
また、当審における証拠調べ通知1.(別掲1)のとおり、「○○STAND(スタンド)」と称する店において、ハイボールが普通に提供されている実情が認められ、同2.(別掲1)のとおり、近年、ハイボールを専門に提供する店も珍しくなく、さらに、同3.(別掲1)及び原審が示した事例(別掲2)のとおり、ハイボールを提供する店を、「HIGHBALL STAND」または「ハイボールスタンド」と称している事例も存在することが認められる。
以上を踏まえると、本願指定役務との関係において、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標から「ハイボールを提供するスタンド」程度の意味合いを理解、認識するものと判断するのが相当である。
したがって、「ハイボールを提供するスタンド」程度の意味合いを想起させる本願商標を、その指定役務に使用するときは、「ハイボールを提供するスタンドにおける飲食物の提供,ハイボールを提供するスタンドにおけるアルコール飲料を主とする飲食物の提供」を理解、認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の提供場所、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、過去の審判例で示されている判断基準を考慮すると、「〇〇スタンド」や「〇〇STAND」といった「漠然とした名称」の使用事実に着目するのではなく、「HIGHBALL STAND」といった具体的な名称に着目した上で、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かを検討すべきであり、同号の適用にあたって、本願商標「HIGHBALL STAND」が、役務の質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、要求されて然るべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12(行ケ)76 平成12年9月4日 東京高等裁判所)。また、過去の審決との比較ではなく、本審決時における、本願商標の構成態様及び取引実情といった個別具体的な事情を総合的に勘案した結果、本願商標が役務の提供場所、質(内容)を表すものとして認識され得ることは前記(1)のとおりであるから、本願商標が、役務の質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、要求されて然るべきとはいえないばかりか、本件については、ハイボールを提供する店を、「HIGHBALL STAND」または「ハイボールスタンド」と称している事例も存在するものである。
イ 請求人は、過去の審判例における判断を参酌すると、自他役務の識別標識としての機能を発揮するか否かの判断に影響を与える使用例としては、「同時に使用されている使用例」であると解せる旨、また、証拠調べ通知で示された、1.の事例については、いずれも「「HIGHBALL」と「STAND」の文字が結合された使用例」や「「ハイボール」と「スタンド」の文字が結合された使用例」には該当せず、本願商標が一般的に広く使用されたものであるか否かということについて、大きな影響を及ぼすものではなく、本願商標の商標登録の適否を判断する基準とするのは適切ではない旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知1.で示したのは、本願商標の構成文字の使用例ではなく、「○○STAND(スタンド)」と称する店において、ハイボールが提供されているという取引実情であるから、請求人の主張はその前提において誤りがある。
ウ 請求人は、過去の審判例で示されている判断基準を考慮すると、特定の用語が一般的に広く使用されたものであるか否かの一応の基準としては、当該指定商品役務における需要者が普段接すると思われる情報媒体において、少なくとも10件程度、あるいはそれを超える掲載件数が必要なものであると解せるから、証拠調べ通知で示された、3.の事例が存在したとしても、一般的に広く使用されたものであるということは到底いえない旨主張する。
しかしながら、そもそも本願商標の構成文字が一般的に広く使用されたものであるか否かを判断しているのではなく、本願商標が本願指定役務との関係において、取引者、需要者をして役務の提供場所、質(内容)を認識させるか否かを判断しているところ、何件の使用例をもって取引者、需要者の認識を推し量るかについては、当該商標を構成する各文字の語義、性質、態様、商品・役務との関係、需要者層、社会背景、取引実情等の他の要素によって変化するものであるから、過去の審決における使用例の定量的な分析結果を、必ずしもすべての事案に適用できないことは明らかである。
エ 請求人は、証拠調べ通知で示された、1.に基づいて、本願商標の識別力が否定されるのであれば、審判請求書で例示した登録例の存在の理由が全くもって不明であり、明らかに論理矛盾を生じている、若しくは、対象によって適用する基準を変更するダブルスタンダードと言わざるを得ず、著しく公平性の観点に欠ける旨主張する。
しかしながら、商標登録の可否は、商標の構成、指定役務、取引の実情等を踏まえて、具体的な実情に基づき商標ごとに個別に判断すべきものであるから、請求人が指摘するような他の商標登録事例があるからといって、論理矛盾やダブルスタンダードであるということにはならないし、本願商標が本願指定役務について役務の提供場所、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることを否定する理由にはならない。
オ 請求人は、証拠調べ通知で示された、2.における「専門店」「酒場」「バー(Bar)」という語は、広辞苑で1番目か2番目に掲載されている意味であり、ハイボールを含めたアルコールを提供する店において、一般的に使用されるものであるが、「STAND」の語は、複数の意味を有し、原審で指摘の「立ったまま飲食する店」の意味は、広辞苑で6番目に掲載されている意味であるから、ハイボールを含めたアルコールを提供する店において、「STAND」や「スタンド」の語は、「専門店」「酒場」「バー(Bar)」の語と比較すると、それほど一般的に使用されているとはいえないと考えるのが自然である旨主張する。
しかしながら、取引者、需要者が、本願商標の構成における「STAND」の語をどのように認識するかは、広辞苑において何番目に記載されているかによって推し量るものではない上、請求人が、審判請求書[3]において、126件もの飲食物を提供する「○○STAND(スタンド)」の事例を提示しているとおり、本願指定役務の分野において、一般的に使用されていないともいえない。
カ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、その指定役務に使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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