商標拒絶査定不服審判
2025-008556
チョコレートイロノオンセン
- 審判番号
- 2025-008556
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-137922
- 請求日
- 2025年06月03日
- 審決日
- 2026年03月02日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】有限会社亀山温泉ホテル
- 【請求人代理人】舛谷 威志
- 【請求人代理人】大谷 元
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 中島 光
- 分類
- T18 .13 -Z (W4344) / T18 .272-Z (W4344)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-137922拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年12月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 8月21日付け:拒絶理由通知書
令和6年11月 6日 :意見書の提出
令和7年 2月26日付け:拒絶査定
令和7年 6月 3日 :審判請求書の提出
令和7年10月23日付け:証拠調べ通知
2 本願商標
本願商標は、「チョコレート色の温泉」の文字を標準文字で表してなり、第43類「宿泊施設の提供及びこれに関する情報の提供」及び第44類「入浴施設の提供及びこれに関する情報の提供,温泉浴場の提供,保養地で提供される身体と精神の健康のための温泉療法用施設の提供」を指定役務として登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「チョコレート色の温泉」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、温泉の湯がチョコレート色であることを示したものであることを理解させるものである。そして、入浴剤又は温泉そのものの成分により、湯がチョコレート色である温浴施設が存在する。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者、取引者は「チョコレート色のお湯の温泉を提供する宿泊施設の提供及びこれに関する情報の提供,入浴施設(チョコレート色のお湯の温泉)の提供及びこれに関する情報の提供,保養地で提供される身体と精神の健康のための温泉療法用施設(チョコレート色の湯の温泉)の提供」等、チョコレート色の湯の温泉に関する役務であることを表示したものと理解し、把握するにすぎず、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められる。また、本願商標をその指定役務中、「チョコレート色の湯の温泉に関する役務」以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
4 当審における証拠調べ及びそれに対する請求人の回答
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1ないし別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、上記1の証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
請求人は、当該証拠調べに対し、指定した期間を経過するも、何ら回答していない。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「チョコレート色の温泉」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「チョコレート」の文字は、「カカオの種子を煎って砕いてペースト状にしたものをベースに、カカオ脂・砂糖・香料などを加えて練り固めた菓子」の意味を有する語として、「色」の文字は、「色彩」の意味を有する語として、「温泉」の文字は、「地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉」及び「(前記の泉)を利用した浴場」の意味を有する語として、いずれも、辞書(広辞苑第七版 株式会社岩波書店)に載録されている、広く一般に親しまれているものである。
そして、別掲1によれば、本願商標の構成中、「チョコレート」の文字、又は、当該文字と「色」の文字を結合してなる「チョコレート色」の文字が、色彩を表す語として、様々な分野で広く使用されている実情がある。
また、別掲2及び別掲3によれば、入浴施設において提供される湯の色彩を、例えば、「コーヒー」、「ミルク」、「抹茶」等のように、飲食料品に例えることが行われており、これらと同様に、「チョコレート」の文字が、湯の色彩を表現する語として使用されている実情もある。
そうすると、本願商標の各構成文字の意味と、前記の各実情に照らせば、本願商標は、全体として「チョコレートのような色彩の温泉」又はこれを利用した浴場の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その役務が、チョコレートのような色彩の温泉を利用した浴場を有する入浴施設の提供又はこれに関する役務であるという、役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるものであって、本願商標は、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務識別力を欠くものというべきである。
なお、前記のとおり、本願商標は、標準文字で表してなるものであるから、その態様上顕著な特徴は認められない。
以上を踏まえると、本願商標は、前記指定役務との関係において、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
また、本願商標を、その指定役務中、前記役務以外の役務(チョコレートのような色彩の温泉を利用した浴場を有する入浴施設の提供又はこれに関する役務以外の役務)に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標というべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、温泉の色及びチョコレートの種類について解説するウェブサイトを挙げ、本願商標は、チョコレートのような色の温泉をイメージさせるもので、単にチョコレート色と言っても特定の色を直観させることができないから、本願商標「チョコレート色の温泉」は、直接具体的な内容表示ではなく、出願人がチョコレートをイメージさせた色合いの温泉に対する造語である旨を主張する。
しかしながら、別掲1ないし別掲3で示すとおり、「チョコレート」の文字が、暗い黄赤を表す慣用色の名称として、JIS(日本産業規格)に規定されており、実際に、「チョコレート」又は「チョコレート色」の文字が、色彩を表す語として使用されている実情があること、入浴施設において提供される湯の色彩を飲食料品に例えることが行われており、これらと同様に、「チョコレート」又は「チョコレート色」の文字も、湯の色彩を表現する語として使用されている実情があることからすれば、本願商標に接したその指定役務の取引者、需要者は、これより、「チョコレートのような色彩の温泉」又はこれを利用した浴場の意味合いを容易に認識し、これが、提供される役務の質(内容)を表したものと理解するというのが相当である。
イ 請求人は、原審における拒絶理由通知で挙げられた証拠中に、「チョコレート色の温泉」の文字が、指定役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして使用されている事実は発見できない旨を主張する。
しかしながら、出願に係る商標が、その指定商品又は指定役務について商品又は役務の品質又は質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品又は役務との関係で、商品又は役務を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の需要者によって当該商品又は役務に使用された場合に、将来を含め、商品の品質又は役務の質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該商品又は役務に使用されていることを要しないと解される(最高判昭和61年1月23日(昭和60年(行ツ)第68号)、知財高判令和4年5月19日(令和3年(行ケ)第10100号)参照)。
そして、本願商標が、本件審決の時点において、その指定役務との関係で、その役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定役務の需要者によって本願商標がその指定役務に使用された場合に、将来を含め、役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることは、前記(1)で述べたとおりである。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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