2021-010261
光学指紋認識方法及び装置、コンピュータ読取可能な記憶媒体
- 審判番号
- 2021-010261
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-507701外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月02日
- 審決日
- 2023年03月22日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】北京小米移動軟件有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人藤本パートナーズ
- 分類
- P18 .121-WZ (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)9月28日を国際出願日(パリ条約による優先権主張2017年(平成29年)7月27日、中国)とする出願であって、令和2年11月18日付けで拒絶理由が通知され、令和3年2月15日に手続補正がされ、令和3年4月1日付けで拒絶査定がされたものである。
これを不服として、令和3年8月2日に本件審判請求がされ、同時に手続補正がされ、その後、当審により令和4年8月9日付けで拒絶理由が通知され、令和4年11月4日に手続補正がされた。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和4年11月4日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。なお、本願発明は、上記令和4年11月4日の手続補正による補正前の請求項4に係る発明の発明特定事項を一部削除したものである。
[本願発明]
認識しようとする指を検出して取得した光信号を受信するステップと、
前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップと、
前記指紋光信号に基づいて前記認識しようとする指を認識するステップと、を含み、
前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップは、
前記光信号のうち予め設定された指紋光信号範囲にある光信号を決定するステップと、
決定された光信号を前記指紋光信号とするステップと、を含む、
ことを特徴とする光学指紋認識方法。
第3 当審が通知した拒絶理由の概要
令和4年11月4日の手続補正による補正前の請求項に係る発明について、令和4年8月9日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、理由2(進歩性)として通知した理由の概要は、次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-3
・引用文献等 1
・備考
請求項1-3に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項 4-6
・引用文献等 1、2
・備考
請求項4-6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項 7-9、13、14
・引用文献等 1
・備考
請求項7-9、13、14に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項 10-12
・引用文献等 1、2
・備考
請求項10-12に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
<引用文献等一覧>
1.米国特許公開第2016/0246396号
2.特開2003-216939号公報
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
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1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
当審が通知した拒絶理由で引用した引用文献1(米国特許公開第2016/0246396号)には、次の事項が記載されている。なお、訳は対応するファミリ文献(特表2018-506124号公報)のものを用いた。また、下線は当審により付したものである。
「[0048] FIG.1 is a block diagram 100 illustrating a mobile device 102 including an object detection system 110, consistent with some embodiments. Mobile device 102 may be, for example, a laptop, smartphone, personal digital assistant, tablet computer, wearable health monitor, or other portable electronic device. Although mobile device 102 is shown as a non-stationary device, it should be appreciated that in other embodiments, a computing device including object detection system 110 may be a stationary device such as, for example, a personal computer, television, digital kiosk, electronic cash register, or digital security system.[0049] Object detection system 110 may be used to detect an object 104such as a stylus or a finger of a user within a proximity of mobile device 102 and to capture one or more images of the object. Object detection system 110 may include a touch system 112 coupled to a sensor system 114 that work together to enhance the user's experience.」
(訳:
[0048] 図1は、いくつかの実施形態と一貫する、物体検出システム110を含むモバイルデバイス102を示すブロック図100である。モバイルデバイス102は、たとえば、ラップトップ、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットコンピュータ、ウェアラブルヘルスモニタ、または他のポータブル電子デバイスとすることができる。モバイルデバイス102は、非静止デバイスとして図示されているが、他の実施形態において、物体検出システム110を含むコンピューティングデバイスは、たとえばパーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルキオスク、電子キャッシュレジスタ、またはデジタルセキュリティシステムなどの静止デバイスとすることができることを理解されたい。
[0049] 物体検出システム110は、モバイルデバイス102に近接するスタイラスまたはユーザの指などの物体104を検出し、物体の1つまたは複数のイメージを取り込むのに使用され得る。物体検出システム110は、ユーザの経験の質を高めるために一緒に働くセンサシステム114に結合されたタッチシステム112を含むことができる。)
「[0052] Sensor system 114 may include a sensor array 116 and one or more processing components 132. Sensor array 116 may be coupled to the touch-sensitive screen and may reside underneath at least a portion of the display or the whole part of the display, and/or may be integrated and built into the display of mobile device 102. In some implementations, sensor array 116 may be coupled to the touch-sensitive screen with a coupling material such as an epoxy, a pressure-sensitive adhesive (PSA), or other adhesive material. In some implementations, sensor array 116 may be laminated or otherwise bonded to the backside of the touch-sensitive screen or to the backside of the visual display. In some implementations, sensor array 116 may be fabricated or otherwise formed behind or as part of the visual display, touch-sensitive screen, or cover glass that may reside in front of the display. In some implementations, the sensor array may overlap some or all of the display and/or touchscreen.[0053] Sensor array 116 may include one or more transmitters for transmitting signals and one or more receivers for picking up or receiving signals transmitted by the transmitters. Sensor array 116 may be, for example, an ultrasonic sensor array, capacitive sensor array, optical sensor array, radio frequency (RF) sensor array, infrared (IR) sensor array, force-sensitive resistor (FSR) array, or other type of sensor array. A quantity of receivers and transmitters (neither is illustrated) included in sensor array 116 may depend on its size. For example, sensor array 116 may be approximately 3.2 inches x 3.0 inches, 1 inch x 1 inch, 11 millimeters (mm) x 11 mm, 15 mm x 6 mm, 9 mm x 4 mm, or 4 mm x 4 mm. These are merely examples, and the size of sensor array 116 may vary.[0054] In some embodiments, the transmitters may transmit a signal pattern of ultrasonic waves, and object 104 may be within a proximity of or may be positioned on or over a surface of the touch-sensitive screen, causing the ultrasonic waves to reflect back toward the sensor array. In an example, the transmitters transmit an ultrasonic signal. In this example, the transmitters may be any suitable ultrasonic device that includes one or more ultrasonic transducers such as a piezoelectric ultrasonic plane wave generator to generate ultrasonic signals. The receivers may receive the reflected signal pattern from object 104 and may be any suitable ultrasonic receiver. The receivers may continuously run such that they are always ready to receive input from the transmitters when mobile device 102 is turned on.[0055] Processing component 132 may perform various operations of activating and accessing the sensor array and determining a position of object 104 based on the reflected signal pattern. Processing component 132 may extract ultrasonic signals received, detected and captured by the receivers of sensor array 116 and track the movement of object 104 to detect relatively accurate positions of object 104. Processing component 132 may capture or extract images (e.g., images based on ultrasonic, capacitive, optical, RF, IR, or FSR technologies) of the object.」
(訳:
[0052] センサシステム114は、センサアレイ116および1つまたは複数の処理構成要素132を含むことができる。センサアレイ116は、タッチ感知スクリーンに結合され得、少なくともディスプレイの一部またはディスプレイの全部分の下に存在することができ、かつ/またはモバイルデバイス102のディスプレイに一体化され、組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、センサアレイ116は、エポキシ、感圧接着剤(PSA)、または他の接着材料などの結合材料を用いてタッチ感知スクリーンに結合され得る。いくつかの実施態様において、センサアレイ116は、タッチ感知スクリーンの裏側またはビジュアルディスプレイの裏側に積層されまたは他の形で接着され得る。いくつかの実施態様において、センサアレイ116は、ビジュアルディスプレイ、タッチ感知スクリーン、またはディスプレイの前に存在し得るカバーガラスの背後にまたはその一部として製造されまたは他の形で形成され得る。いくつかの実施態様において、センサアレイは、ディスプレイおよび/またはタッチスクリーンの一部またはすべてにオーバーラップすることができる。
[0053] センサアレイ116は、信号を送信するための1つまたは複数の送信器と、送信器によって送信された信号をとらえまたは受信するための1つまたは複数の受信器とを含むことができる。センサアレイ116は、たとえば、超音波センサアレイ、容量性センサアレイ、光センサアレイ、無線周波数(RF)センサアレイ、赤外線(IR)センサアレイ、力感知抵抗器(FSR:force-sensitive resistor)アレイ、または他のタイプのセンサアレイとすることができる。センサアレイ116内に含まれる受信器および送信器(いずれも図示せず)の量は、そのサイズに依存することができる。たとえば、センサアレイ116は、約3.2インチ×3.0インチ、1インチ×1インチ、11ミリメートル(mm)×11mm、15mm×6mm、9mm×4mm、または4mm×4mmとすることができる。これらは単に例であり、センサアレイ116のサイズは、変化してもよい。
[0054] いくつかの実施形態において、送信器は、超音波の信号パターンを送信することができ、物体104は、タッチ感知スクリーンの表面に近接するかこれに接してまたはこれの上に位置決めされ得、超音波をセンサアレイに向かって反射させることができる。一例において、送信器は超音波信号を送信する。この例において、送信器は、超音波信号を生成するために、圧電超音波平面波ジェネレータ(piezoelectric ultrasonic plane wave generator)などの1つまたは複数の超音波トランスデューサを含む任意の適切な超音波デバイスとすることができる。受信器は、物体104から反射された信号パターンを受信することができ、任意の適切な超音波受信器とすることができる。受信器は、モバイルデバイス102がオンに切り替えられる時に常に送信器からの入力を受信する準備ができているように、継続的に動作させることができる。
[0055] 処理構成要素132は、センサアレイのアクティブ化およびアクセスならびに反射された信号パターンに基づく物体104の位置の判定という様々な動作を実行することができる。処理構成要素132は、物体104の相対的に正確な位置を検出するために、センサアレイ116の受信器によって受信され、検出され、取り込まれた超音波信号を抽出し、物体104の移動を追跡することができる。処理構成要素132は、物体のイメージ(たとえば、超音波技術、容量性技術、光技術、RF技術、IR技術、またはFSR技術に基づくイメージ)を取り込みまたは抽出することができる。)
「[0060] FIG. 2 is a block diagram 200 illustrating a process flow using an object detection system 110 for acquiring fingerprint image information or enhancing the image quality of biometrics, consistent with some embodiments. In the example illustrated in FIG. 2, the object is a finger 204, and the touch-sensitive screen may aid in acquiring fingerprint sensor data or be used to enhance the fingerprint image quality and/or other aspects of fingerprinting through a touch interface (e.g., a capacitive touch interface). Although the biometrics may be described as being a user's fingerprint, this is not intended to be limiting and the biometrics may include other identifying information (e.g., the user's palm print).」
(訳:
[0060] 図2は、いくつかの実施形態と一貫する、指紋イメージ情報を獲得しまたはバイオメトリクスのイメージ品質を高めるための物体検出システム110を使用するプロセスフローを示すブロック図200である。図2に示された例において、物体は、指204であり、タッチ感知スクリーンは、指紋センサデータの獲得を支援し、あるいは、タッチインターフェース(たとえば、容量性タッチインターフェース)を介して指紋イメージ品質および/または指紋の他の態様を高めるのに使用され得る。バイオメトリクスが、ユーザの指紋であるものとして説明される場合があるが、これは、限定的であることを意図されたものではなく、バイオメトリクスは、他の識別情報(たとえば、ユーザの掌紋)を含むことができる。)
「[0065] Touch system 112 may derive touch parameters from the user's touch such as the touch size, area, location, x-y position, angle and orientation of the user's finger, movement and/or rate of movement of the user's finger, and the touch down time (e.g., the duration of time in which the user's finger is touching the touch-sensitive screen) of an object touching the touch-sensitive screen of the device. In one example, if the user's finger is still moving, it may be ineffective to capture an image of the user's fingerprint. A more ideal time to capture the image is when, for example, the user's finger is practically still and within a threshold proximity to the touch-sensitive screen (e.g., touching the touch-sensitive screen).」
(訳:
[0065] タッチシステム112は、タッチサイズ、エリア、位置、x-y位置、ユーザの指の角度および包囲、ユーザの指の移動および/または移動の速度、デバイスのタッチ感知スクリーンにタッチする物体のタッチダウン時間(たとえば、ユーザの指がタッチ感知スクリーンにタッチしている時間の持続時間)など、ユーザのタッチからタッチパラメータを導出することができる。一例において、ユーザの指がまだ移動しつつある場合に、ユーザの指紋のイメージを取り込むことは、非効率的である可能性がある。イメージを取り込むべき、より理想的な時は、たとえば、ユーザの指が事実上静止し、タッチ感知スクリーンからしきい近接以内にある(たとえばタッチ感知スクリーンにタッチしている)時である。)
「[0079] At an action 230, data may be synthesized to enhance fingerprint record management to, for example, create, match, and/or authenticate the user's fingerprint image. If the user is setting up her account, processing component 132 may capture an image of finger 204, analyze the fingerprint image for minutiae and/or features, and store the minutiae and/or features as fingerprint template information (also known as a fingerprint “template”) in memory 134 . The image may be based on sensor array 116's interaction with the object. At a later point in time, if processing component 132 determines that the captured fingerprint image of finger 204 matches a stored fingerprint template in memory 134, processing component 132 may authenticate the user. In contrast, if processing component 132 determines that the captured fingerprint image of finger 204 does not match any of the stored templates in memory 134 , processing component 132 may determine that the authentication failed and not authenticate the user.」
(訳:
[0079] アクション230において、たとえばユーザの指紋イメージを作成し、照合し、かつ/または認証するために指紋レコード管理の質を高めるように、データが合成され得る。ユーザが、アカウントをセットアップしている場合に、処理構成要素132は、指204のイメージを取り込み、特徴点および/または特徴に関して指紋イメージを分析し、特徴点および/または特徴を指紋テンプレート情報(指紋「テンプレート」とも称する)としてメモリ134内に記憶することができる。イメージは、センサアレイ116の、物体とのインタラクションに基づくものとすることができる。後の時点に、処理構成要素132が、指204の取り込まれた指紋イメージがメモリ134内の記憶された指紋テンプレートと一致すると判定した場合に、処理構成要素132は、ユーザを認証することができる。対照的に、処理構成要素132が、指204の取り込まれた指紋イメージがメモリ134内の記憶されたテンプレートのいずれとも一致しないと判定した場合に、処理構成要素132は、認証が失敗したと判定し、ユーザを認証しないものとすることができる。)
「[図:0001400902000001.jpg]」
(訳:
[図:0001400902000002.jpg]
)
「[図:0001400902000003.jpg]」
(訳:
【図2】
[図:0001400902000004.jpg]
)
(2)引用発明
上記(1)の記載によれば、引用文献1には、次に述べるように、指紋によりユーザを認証する方法が記載されている。
段落[0053]によれば、「センサアレイ116は、信号を送信するための・・・送信器と、送信器によって送信された信号を・・・受信する・・・受信器とを含」み、段落[0054]によれば、「送信器は超音波信号を送信」し、「受信器は、物体104から反射された信号パターンを受信」する。
また、段落[0053]によれば、「センサアレイ116は、たとえば、超音波センサアレイ、・・・光センサアレイとすることができる」ものであるから、送信器から送信され、受信器で受信する信号は、超音波信号の代わりに光とすることができる。また、段落[0049]によれば、「物体」とは、「ユーザの指」などである。
したがって、引用文献1に記載された方法は、「送信器から送信されてユーザの指で反射された光を、光センサアレイで受信」するものである。
段落[0065]によれば、引用文献1に記載された方法は、「ユーザの指が事実上静止し」、「タッチ感知スクリーンにタッチしている時」、「ユーザの指紋のイメージを取り込む」ことが理想的であり、段落[0055]の記載によれば、ユーザの指紋のイメージの取り込みは、上記光センサアレイで受信した光から取り込むものである。
したがって、引用文献1に記載された方法は、「ユーザの指が事実上静止し、タッチ感知スクリーンにタッチしている時、前記光センサアレイで受信した光からユーザの指紋のイメージを取り込」むものである。
段落[0079]によれば、引用文献1に記載された方法は、「ユーザの指紋イメージを照合し、ユーザを認証する」ものである。
以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
送信器から送信されてユーザの指で反射された光を、光センサアレイで受信し、
ユーザの指が事実上静止し、タッチ感知スクリーンにタッチしている時、前記光センサアレイで受信した光からユーザの指紋のイメージを取り込み、
ユーザの指紋イメージを照合し、ユーザを認証する、
方法。
2 引用文献2
当審が通知した拒絶理由で引用した引用文献2(特開2003-216939号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付した。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は超小型の指紋検出装置に関するものである。」
「【0018】a)図2に示すように、撮像素子1aには指内部からの拡散光101のみが入射することが望ましいが、外部からの光102も一部は到達し、指紋画像に対するノイズとなってしまう。【0019】前述したように、保護板6には拡散光101の波長以外は概ね遮断する光学フィルター特性を持たせることで、その影響を軽減することはできるが、完全に排除することは困難である。そこで、次の手段を併用することがある。【0020】即ち、照射光100が入射しない時点の撮像素子1aの出力は、主に外光102による不要なノイズ成分であるため、これを基準とすることで、照射光100による指紋画像成分のみを抽出する。LEDチップ2を間欠的に発光させ、発光時と非発光時の出力差を演算することでノイズ成分を除去することができる。実際には指10は絶えず動いているため、発光時間間隔をじゅうぶん短くすることや、何回か演算を行なって平均値をとる等の動作が必要になる。」
「[図:0001400902000005.jpg]」
第5 本願発明と引用発明との対比
1 引用発明の「ユーザの指」は、その「指紋イメージを照合し、ユーザを認証する」ためのものであるから、本願発明の「認識しようとする指」に相当する。
本願発明の「指を検出して取得した光信号」とは、明細書の段落【0027】の「光学指紋センサ(認識区域10の下方にある。未図示)は外へ光信号を射出し、当該光信号は認識しようとする指20の表面に反射され、光学指紋センサは反射された光信号を受信してから、それを電気信号に変換し、さらに指紋画像に変換する。」との記載によれば、指の表面に射出され反射された光信号である。
これに対し、引用発明は、「送信器から送信されてユーザの指で反射された光を、光センサアレイで受信」するものであるから、この動作は、本願発明の「指を検出して取得した光信号を受信するステップ」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「認識しようとする指を検出して取得した光信号を受信するステップ」を含む点で一致する。
2 引用発明は、「ユーザの指が事実上静止し、タッチ感知スクリーンにタッチしている時、前記光センサアレイで受信した光からユーザの指紋のイメージを取り込」むものである。
この動作は、「前記光センサアレイで受信した光」のうち、「ユーザの指が事実上静止し、タッチ感知スクリーンにタッチしている時」の光であればユーザの指紋のイメージを取り込む動作であるから、本願発明の「前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップ」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップ」を含む点で一致する。
一方で、「前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップ」が、本願発明は、「前記光信号のうち予め設定された指紋光信号範囲にある光信号を決定するステップと、決定された光信号を前記指紋光信号とするステップと、を含む」のに対し、引用発明は、そのようなステップを含まない点で両者は相違する。
3 引用発明は、「ユーザの指紋イメージを照合し、ユーザを認証する」ものであり、この動作は、本願発明の「前記指紋光信号に基づいて前記認識しようとする指を認識するステップ」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「前記指紋光信号に基づいて前記認識しようとする指を認識するステップ」を含む点で一致する。
4 引用発明は、「ユーザの指で反射された光」により「ユーザの指紋イメージを照合し、ユーザを認証する、方法」であり、この方法は、本願発明の「光学指紋認識方法」に相当する。
よって、本願発明と引用発明は、「光学指紋認識方法」である点で一致する。
5 以上をまとめると、本願発明と引用発明との間には次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
認識しようとする指を検出して取得した光信号を受信するステップと、
前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップと、
前記指紋光信号に基づいて前記認識しようとする指を認識するステップと、を含む、
ことを特徴とする光学指紋認識方法。
[相違点]
「前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップ」が、本願発明は、「前記光信号のうち予め設定された指紋光信号範囲にある光信号を決定するステップと、決定された光信号を前記指紋光信号とするステップと、を含む」のに対し、引用発明は、そのようなステップを含まない点。
第6 当審の判断
上記引用文献2(特に、下線部を参照)に記載されているように、指紋検出装置において、撮像素子に外部からの光が到達し、指紋画像に対するノイズとなってしまうという課題を解決するために、指への照射光が入射しない時点の撮像素子の出力である、外光による不要なノイズ成分を基準として、照射光による指紋画像成分のみを抽出し、ノイズ成分を除去する技術が知られている。
一方、引用発明は、光センサアレイで受信した光からユーザの指紋のイメージを取り込むものであるが、この光センサアレイは、引用文献1の[0048]、 [0052] 、FIG.1(図1)、 FIG.2(図2)に記載されているように、モバイルデバイスなどのタッチ感知スクリーンやディスプレイの下や裏に存在するものであるから、指のエリアからの光以外の外部からの光も光センサアレイに到達することは当業者に明らかである。したがって、引用発明には、外部からの光が指紋画像に対するノイズとなってしまうという課題があることを当業者は理解できる。
よって、引用発明において、上記課題を解決するために、引用文献2に記載の上記技術を適用する動機があるといえ、該動機にしたがって、引用発明において、指への照射光が入射しない時点の撮像素子の出力である外光による不要なノイズ成分を基準として、照射光による指紋画像成分のみを抽出し、ノイズ成分を除去するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そのようにした場合の、「指への照射光が入射しない時点の撮像素子の出力である外光による不要なノイズ成分を基準として、照射光による指紋画像成分のみを抽出」した「照射光による指紋画像成分」は、撮像素子の出力の信号範囲から、予め基準として準備しておいたノイズ成分を減算した残りの信号範囲にある光信号成分であるから、本願発明の「予め設定された指紋光信号範囲にある光信号」に相当する。したがって、上述のことは、引用発明において、「前記光信号のうち前記認識しようとする指に対応する指紋光信号を決定するステップ」が、「前記光信号のうち予め設定された指紋光信号範囲にある光信号を決定するステップと、決定された光信号を前記指紋光信号とするステップと、を含む」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであることを意味している。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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