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特許拒絶査定不服審判

2021-009753

頂部コンタクトの下方にトレンチを有する発光デバイス

審判番号
2021-009753
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-543309
請求日
2021年07月21日
審決日
2022年08月01日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
  • 【請求人代理人】伊東 忠重
  • 【請求人代理人】伊東 忠彦
  • 【請求人代理人】大貫 進介
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 山村 浩
  • 審判官 吉野 三寛
分類
P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-543309「頂部コンタクトの下方にトレンチを有する発光デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月12日国際公開、WO2016/073678、平成29年11月16日国内公表、特表2017-534185〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)11月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年11月6日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 7月 3日 :手続補正書の提出 令和 元年10月30日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 2月 4日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年 6月29日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和 2年10月 5日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 3月18日付け:拒絶査定 令和 3年 7月21日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年7月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年7月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「上側領域と反対導電型の下側領域との間に配置された発光層を有する半導体構造と、 前記半導体構造の頂面に配置された頂部コンタクトであり、前記上側領域に電気的に接続されている頂部コンタクトと、 前記頂部コンタクトの真下で前記半導体構造の底面に形成されたトレンチであり、当該トレンチは、前記底面から前記発光層内まで延在し、前記発光層の一部が、当該トレンチと前記半導体構造の前記頂面との間に残存している、トレンチと、 前記底面を覆って及び前記トレンチ内に配置された反射層であり、前記トレンチ内の当該反射層が、光を前記頂部コンタクトから遠ざけるように反射するミラーの少なくとも一部を形成している、反射層と、 前記反射層が前記トレンチを完全には充填していない所である空所の中に配置された充填材料と、 を有するデバイス。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和2年10月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「上側領域と反対導電型の下側領域との間に配置された発光層を有する半導体構造と、 前記半導体構造の頂面に配置された頂部コンタクトであり、前記上側領域に電気的に接続されている頂部コンタクトと、 前記頂部コンタクトの下方で前記半導体構造の底面に形成されたトレンチであり、当該トレンチは、前記底面から前記発光層内まで延在し、前記発光層の一部が、当該トレンチと前記半導体構造の前記頂面との間に残存している、トレンチと、 前記底面を覆って及び前記トレンチ内に配置された反射層であり、前記トレンチ内の当該反射層が、光を前記頂部コンタクトから遠ざけるように反射するミラーの少なくとも一部を形成している、反射層と、 前記反射層が前記トレンチを完全には充填していない所である空所の中に配置された充填材料と、 を有するデバイス。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「下方」を、上記のとおり「真下」に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1の記載事項 ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である米国特許出願公開第2010/0213481号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。以下同じ。) (ア) 「ABSTRACT A light emitting device including a light emitting structure having a first conductive semiconductor layer, an active layer disposed under the first conductive semiconductor layer and a second conductive semiconductor layer disposed under the active layer; a trench formed in a portion of the light emitting structure; a current barrier layer in the trench and configured to hinder current supply to the active layer at a portion where the trench is located and to block the active layer over the trench from emitting light; and a first electrode on the first conductive semiconductor layer above the portion where the trench is located.」(当審注:「an active layer disposed under the active layer」については「an active layer disposed under the first conductive semiconductor layer」の明らかな誤記であると認められるため、誤記を正して摘記をした。) 「当審訳:要約 第一の導電性半導体層と第一の導電性半導体層の下に配置された活性層と活性層の下に配置された第二の導電性半導体層とを有する発光構造;発光構造の一部に形成されたトレンチ;トレンチ内の電流障壁層であって、トレンチが位置する部分で活性層への電流供給を妨げ、トレンチの上の活性層が発光するのをブロックするように構成されたもの;トレンチが位置する部分の上方に位置する第一の導電性半導体層上の第一の電極を含む発光装置。」 (イ) 「[0008] Also, an N-type electrode and a P-type electrode are disposed over/under related-art vertical light emitting devices, respectively. In this instance, electrons and holes injected by the N-type electrode and the P-type electrode, respectively, are entered into an active layer, and are combined with each other to generate light. The generated light is then emitted to the outside or is reflected by the N-type electrode and lost.」 「当審訳:[0008] また、従来の縦型発光素子の上下には、それぞれN型電極とP型電極が配置されている。このとき、N型電極およびP型電極からそれぞれ注入された電子および正孔は活性層に入り、互いに結合して光を発生する。発生した光は外部に放出されるか、N型電極で反射されて失われる。」、 「[0009] Thus, related-art light emitting devices have a limitation in that the light emitting efficiency is reduced, because light emitted under the N-type electrode is reflected by the N-type electrode. Also, related-art light emitting devices have a limitation in that excessive heat is generated due to the re-absorption of the light reflected by the N-type electrode. Moreover, related-art light emitting devices have a limitation in a deterioration of life span and reliability because of current crowding.」 「当審訳:[0009] このように、従来の発光装置では、N型電極の下で発光した光がN型電極で反射されるため、発光効率が低下するという限界があった。また、従来の発光装置では、N型電極で反射された光が再吸収されるため、過剰な熱が発生するという限界がある。また、従来の発光装置では、電流集中による寿命や信頼性の劣化に限界がある。」 (ウ) 「[0010] Accordingly, one object of the present invention is to address the above-noted and other problems.」 「当審訳:[0010] 従って、本発明の1つの目的は、上記および他の問題に対処することである。」、 「[0011] Another object of the present invention is to provide a light emitting device capable of enhancing light extraction efficiency as well as a current spreading efficiency.」 「当審訳:[0011] 本発明の他の目的は、電流拡散効率だけでなく光取り出し効率も向上させることができる発光装置を提供することにある。」 (エ) 「[0018] FIG. 1 is a cross-sectional view illustrating a light emitting device according to an embodiment of the present invention. As shown, the light emitting device includes a first conductive semiconductor layer 110, an active layer 120, a second conductive semiconductor layer 130, a current barrier layer 150, a reflective layer 150, a substrate 160 and a first electrode 170.」 「当審訳:[0018] 図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置を示す断面図である。図示されるように、発光デバイスは、第一の導電性半導体層110、活性層120、第二の導電性半導体層130、電流障壁層150、反射層150、基板160、および第一の電極170を含む。」、 「[0021] Hereinafter, a method of manufacturing a light emitting device according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. 2 to 8.」 「当審訳:[0021]以下、本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法について、図2~8を参照して説明する。」、 「[0023] First, as shown in FIG. 2, a first substrate 100 is prepared. The first substrate 100 may be, for example, a sapphire (Al2O3) substrate and a SiC substrate. A wet-washing process may also be performed on the first substrate 100 to remove impurities on the surface thereof.」 「当審訳:[0023] まず、図2に示すように、第一の基板100を用意する。第一の基板100は、例えば、サファイア(Al2O3)基板やSiC基板であってもよい。また、第一の基板の表面の不純物を除去するために、第一の基板100に対して湿式洗浄処理を行ってもよい。」、 「[0024] Then, the first conductive semiconductor layer 110 is formed on the first substrate 100. For example, the first conductive semiconductor layer 110 may be formed by forming an N-type GaN layer through a Chemical Vapor Deposition (CVD) process, a Molecular Beam Epitaxy (MBE) process, a sputtering process or a Hydride Vapor Phase Epitaxy (HVPE) process. The first conductive semiconductor layer 110 may also be formed by implanting a trimethyl gallium gas (TMGa), an ammonium gas (NH3), a nitrogen gas (N2) and a silane gas (SiH4) including an N-type impurity such as silicon (Si) into a chamber.」 「当審訳:[0024]: 次に、第一の導電性半導体層110を、第一の基板100上に形成する。第一の導電性半導体層110は、例えば、化学気相成長法(CVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、スパッタリング法、水素化物気相エピタキシー法(HVPE)によりN型GaN層を形成することにより形成することができる。第一の導電性半導体層110は、トリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニウムガス(NH3)、窒素ガス(N2)、シリコン(Si)等のN型不純物を含むシランガス(SiH4)をチャンバ内に注入することによって形成してもよい。」、 「[0026] Then, the active layer 120 is formed on the first conductive semiconductor layer 110. The active layer 120 is a layer emitting light and has energy determined by an intrinsic energy band of an active layer (light emitting layer) material when electrons injected from the first conductive semiconductor layer 110 meet holes injected from the second conductive semiconductor layer 130. The active layer 120 may also have a quantum well structure that is formed by alternate or successive lamination of nitride semiconductor thin layers having different energy bands. For example, the active layer 120 may have a multi-quantum well structure of InGaN/GaN formed by implanting a trimethyl gallium gas (TMGa), an ammonium gas (NH3), a nitrogen gas (N2) and a Trimethyl indium gas (TMIn), etc.」 「当審訳:[0026] 次に、第一の導電性半導体層110上に活性層120を形成する。活性層120は、発光層であり、第一の導電性半導体層110から注入された電子が、第二の導電性半導体層130から注入された正孔と衝突するときに、活性層(発光層)材料の固有エネルギーバンドによって決まるエネルギーを有する。活性層120はまた、異なるエネルギーバンドを有する窒化物半導体薄層の交互または連続積層によって形成される量子井戸構造を有してもよい。例えば、活性層120は、トリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニウムガス(NH3)、窒素ガス(N2)、トリメチルインジウムガス(TMIn)等を注入して形成されたInGaN/GaNの多重量子井戸構造を有していてもよい。」、 「[0027] The second conductive semiconductor layer 130 is then formed on the active layer 120. For example, the second conductive semiconductor layer 130 may include a P-type GaN layer formed by implanting a trimethyl gallium gas (TMGa), an ammonium gas (NH3), a nitrogen gas (N2) and bis-ethylcyclopentadienyl magnesium (EtCp2Mg) {Mg(C2H5C5H4)2} including a P-type impurity such as magnesium (Mg) into a chamber.」 「当審訳:[0027] 次に、活性層120上に第二の導電性半導体層130を形成する。例えば、第二の導電性半導体層130は、トリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニウムガス(NH3)、窒素ガス(N2)、マグネシウム(Mg)等のP型不純物を含むビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg){Mg(C2H5C5H4)2}をチャンバ内に注入して形成されたP型GaN層を含むことができる。」、 「[0028] As shown in FIG. 3, a first trench T1 is formed by removing a portion of the second conductive semiconductor layer 130, the active layer 120 and the first conductive semiconductor layer 110. For example, an etching process may be performed on a spatially opposite position to the first electrode 170 until a portion of the first conductive semiconductor layer 110 is exposed. The etching process for forming the first trench T1 may also be performed through a dry or wet etching process.」 「当審訳:[0028] 図3に示すように、第二の導電性半導体層130、活性層120及び第一の導電性半導体層110の一部を除去して第一のトレンチT1を形成する。例えば、第一の導電性半導体層110の一部が露出するまで、第一の電極170と空間的に反対の位置でエッチングプロセスを実行してもよい。第一のトレンチT1を形成するためのエッチング工程は、ドライまたはウェットエッチング工程を介して行うこともできる。」、 「[0029] Further, the first trench T1 is formed at a position that spatially overlaps the first electrode 170. The first trench T1 may also be formed by etching the second conductive semiconductor layer 130, the active layer 120 and the first conductive semiconductor layer 110 to expose a portion of the first conductive semiconductor layer 110.」 「当審訳:[0029] また、第一のトレンチT1は、第一の電極170と空間的に重なる位置に形成されている。第一のトレンチT1は、第二の導電性半導体層130、活性層120および第一の導電性半導体層110をエッチングして、第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成してもよい。」、 「[0030] In a light emitting device according to the embodiment of the present invention, light is not generated at a region where the first trench T1 is formed because a portion of the active layer 120 is removed. Accordingly, light absorption by the first electrode 170 that is located over the first trench T1 can be minimized. Also, the current concentration under the first electrode 170 can be prevented and instead causes current spreading, thereby improving the reliability of the light emitting device.」 「当審訳:[0030] 本発明の実施の形態に係る発光装置では、活性層120の一部が除去されているため、第一のトレンチT1が形成されている領域では光が発生しない。従って、第一のトレンチT1の上方に位置する第一の電極170による光吸収を最小限に抑えることができる。また、第一の電極170の下での電流集中を防止することができ、その代わりに電流拡散を生じさせ、発光装置の信頼性を向上させることができる。」、 「[0031] FIGS. 4 and 5 illustrate different shapes for the trench. For example, as illustrated in FIG. 4, a second trench T2 having a certain inclination is formed through an etching process on the light emitting device. Further, the width of the top of the second trench T2 is smaller than the width of the bottom of the second trench T2 due to an etching process considering the crystal orientation of the light emitting device. Accordingly, light emitted by a subsequently formed light emitting layer may be efficiently reflected to the outside.」 「当審訳:[0031] 図4および図5は、トレンチの異なる形状を示す。例えば、図4に示すように、発光素子にエッチング工程を経て、所定の傾斜を有する第二のトレンチT2を形成する。また、第二のトレンチT2の上部の幅は、発光素子の結晶方位を考慮したエッチング処理により、第二のトレンチT2の下部の幅よりも小さくなっている。これにより、後に形成される発光層から出射された光を効率よく外部に反射させることができる。」、 「[0032] As illustrated in FIG. 5, a third trench T3 is formed through an etching process on the light emitting device. For example, only a portion of the second conductive semiconductor layer 130 may be etched, and then the current barrier layer 140 is formed on the third trench T3. Also, because the current barrier layer 140 hinders smooth current supply to a region where the third trench T3 is formed, the active layer 120 over the trench T3 does not emit light. Accordingly, the light absorption by the first electrode 170 over the third trench T3 can be minimized.」 「当審訳:[0032] 図5に示すように、発光素子にエッチング処理により第三のトレンチT3を形成する。例えば、第二導電性半導体層130の一部のみをエッチングした後、第三のトレンチT3上に電流バリア層140を形成してもよい。また、電流バリア層140は、第三のトレンチT3が形成された領域への円滑な電流供給を妨げるため、トレンチT3上の活性層120は発光しない。これにより、第三のトレンチT3上の第一の電極170による光吸収を最小限に抑えることができる。」、 「[0033] Hereinafter, the first trench T1 as described in FIG. 3 will be described as an example, but as shown in FIGS. 4 and 5, the trench can have various shapes. As illustrated FIG. 6, a roughness R is formed on the first conductive semiconductor layer 110 exposed by the first trench T1. For example, a first mask pattern 210 is formed to expose the first conductive semiconductor layer 110 at the bottom of the first trench T1. The roughness R may also be formed by a wet etching solution such as KOH and NaOH. The first mask pattern 210 may also be formed of a photo-sensitive layer or an insulating layer such as a nitride or an oxide.」(当審注:「as shown in FIGS. 5 and 6」は、その前からの文脈に照らして、「as shown in FIGS. 4 and 5」の明らかな誤記であると認められる(なお、請求人も、審判請求書においてその旨主張する。)ため、誤記を正して摘記をした。) 「当審訳:[0033] 以下、図3で説明した第一のトレンチT1を一例として説明するが、図4及び図5に示すように、トレンチは種々の形状を有することができる。図6に示すように、第一のトレンチT1によって露出された第一の導電性半導体層110上に粗さRが形成される。例えば、第一のトレンチT1の底部に第一の導電性半導体層110を露出させるように第一のマスクパターン210を形成する。粗さRは、KOHやNaOHなどのウェットエッチング液で形成してもよい。また、第一のマスクパターン210は、感光層や、窒化物や酸化物などの絶縁層で形成してもよい。」、 「[0034] Also, the first mask pattern 210 may have a mesh pattern selectively exposing a region where the roughness R is formed. For example, when the first mask pattern 210 has the mesh pattern, the roughness R may be formed through a dry etching process. When a region where the roughness R that is formed is exposed, the roughness R may be formed through a wet etching process.」 「当審訳:[0034] また、第一マスクパターン210は、粗さRが形成された領域を選択的に露出するメッシュパターンを有していてもよい。例えば、第一のマスクパターン210がメッシュパターンを有している場合には、ドライエッチングにより粗さRを形成してもよい。また、形成された粗さRが露出している領域には、ウェットエッチングにより粗さRを形成してもよい。」、 「[0035] The roughness R may also have a periodic pattern, or a non-periodic pattern. In addition, the light extraction efficiency and light output power is increased by the roughness R. As illustrated in FIG. 7, after the first mask pattern 210 is removed, the current barrier layer 140 is formed in the first trench T1. In addition, the current barrier layer 140 may include at least one of a dielectric layer and an amorphous layer.」 「当審訳:[0035] 粗さRはまた、周期的パターンまたは非周期的パターンを有してもよい。また、粗さRによって光取り出し効率及び光出力パワーが向上する。図7に示すように、第一のマスクパターン210を除去した後、第一のトレンチT1内に電流障壁層140を形成する。さらに、電流障壁層140は、誘電体層および非晶質層の少なくとも一方を含むことができる。」、 「[0039] Also in FIG. 8, a second electrode (not shown) is formed on the second conductive semiconductor layer 130 and the current barrier layer 140. The second electrode may include an ohmic layer, the reflecting layer 150, an adhesive layer and the second substrate 160. The second electrode may also be formed of at least one of a semiconductor substrate implanted with Ti, Cr, Ni, Al, Pt, Au, W, and impurities.」 「当審訳:[0039] また、図8において、第二の導電性半導体層130及び電流バリア層140上には、第二の電極(図示せず)が形成されている。第二の電極は、オーミック層と、反射層150と、接着層と、第二の基板160とを含むことができる。第二の電極は、Ti、Cr、Ni、Al、Pt、Au、W及び不純物が注入された半導体基板の少なくとも1つから形成されていてもよい。」、 「[0041] The second electrode may also include the reflection layer 150 or an adhesive layer. Further, when the second electrode includes the reflection layer 150, the reflection layer 150 may be formed of a metal layer including Al, Ag or an alloy including Al or Ag. Al or Ag also effectively reflects light generated from an active layer to enhance light extraction efficiency of the light emitting device.」 「当審訳:[0041] 第二の電極は、反射層150または接着層を含んでもよい。また、第二の電極が反射層150を含む場合、反射層150は、Al、Ag、またはAlもしくはAgを含む合金を含む金属層で形成してもよい。また、AlまたはAgは活性層から発生した光を効果的に反射し、発光素子の光取り出し効率を高める。」 「[0042] When the second electrode includes an adhesive layer, the reflection layer 150 also serves as the adhesive layer, or an adhesive layer may be formed using Ni and Au. In addition, FIG. 8 shows that the reflection layer 150 fills only a portion of the first trench T1. However, the embodiments of the present invention are not limited to this structure. For example, the reflection layer 150 may fill the entirety of the first trench T.」(当審注:「the reflection 150」(2カ所)については「the reflection layer 150」の明らかな誤記であると認められるため、誤記を正して摘記をした。) 「当審訳:[0042] また、第二の電極が接着層を含む場合には、反射層150を接着層と兼用してもよいし、NiやAuを用いて接着層を形成してもよい。さらに、図8は、反射層150が第一のトレンチT1の一部のみを満たすことを示す。しかしながら、本発明の実施形態は、この構造に限定されない。例えば、反射150は、第一のトレンチTの全体を満たすことができる。」、 「[0043] In addition, the second substrate 160 is formed on the reflection layer 150. The second substrate 160 may include a highly electrical conductive metal, a metal alloy or a conductive semiconductor material to efficiently implanting holes. For example, the second substrate 160 may be formed of at least one of Cu, a Cu alloy, Si, Mo and SiGe. The second substrate 160 may also be formed through an electro-chemical metal vapor deposition method or a bonding method using a eutectic metal.」 「当審訳:[0043] また、反射層150上には、第二の基板160が形成されている。第二の基板160は、高導電性金属、金属合金または導電性半導体材料を含んで、効率的に孔を埋め込むことができる。例えば、第二の基板160は、Cu、Cu合金、Si、Mo、SiGeのうちの少なくとも一つから形成されていてもよい。また、第二の基板160は、電気化学的金属蒸着法や共晶金属を用いた接合法によって形成してもよい。」、 「[0044] Then, the first substrate 100 is removed. For example, the first substrate 100 may be removed using a high-power laser lift-off or a chemical etching method. Also, the first substrate 100 may be removed through a physical polishing process. The first electrode 170 is then formed on the first conductive semiconductor layer 110 exposed by the removal of the first substrate 100. The first electrode 170 may also be formed on the first conductive semiconductor layer 110 to spatially overlap a portion of the first trench T1.」 「当審訳:[0044] 次に、第一の基板100を除去する。例えば、第一の基板100は、高出力レーザリフトオフまたは化学エッチング法を用いて除去することができる。また、第一の基板100は、物理的研磨プロセスによって除去されてもよい。次に、第一の基板100を除去して露出した第一の導電性半導体層110上に第一の電極170を形成する。第一の電極170は、第一の導電性半導体層110上に、第一のトレンチT1の一部に空間的に重なるように形成されてもよい。」 「[0045] In one embodiment, because the active layer 120 does not exist in the first trench T1 vertically under the first electrode 170, the light generation by combination of carriers (electrons and holes) does not occur. Also, the trench, which is an etched region, may be covered with the current barrier layer 140, and thus a current does not flow in the trench and is diffused to other regions. That is, the trench region is covered with the current barrier layer 140 to perform a role of a current blocking layer. Therefore, efficient current flow contributes to a reliability of the light emitting device. Also, the light absorption by the first electrode 170 can be minimized to increase the quantity of light.」 「当審訳:[0045] 一実施形態では、活性層120は、第一の電極170の垂直下の第一のトレンチT1内に存在しないので、キャリア(電子と正孔)の組み合わせによる光の発生は生じない。また、エッチングされた領域であるトレンチを電流バリア層140で覆うことにより、トレンチ内に電流が流れず、他の領域に拡散するようにしてもよい。すなわち、トレンチ領域は、電流障壁層140によって覆われ、電流遮断層の役割を果たす。従って、効率的な電流の流れは、発光装置の信頼性に寄与する。また、第一の電極170による光吸収を最小限に抑えて光量を増加させることができる。」、 「[0046] Further, the roughness formed after an etching of the first conductive semiconductor layer 110 improves the light extraction efficiency by light scattering. Also, the current spreading efficiency as well as light extraction efficiency is simultaneously enhanced.」 「当審訳:[0046] また、第一導電性半導体層110をエッチングした後の粗さは、光散乱による光取り出し効率を向上させる。また,電流拡散効率と光抽出効率を同時に高めた。」、 (オ) 「1. A light emitting device, comprising: a light emitting structure including a first conductive semiconductor layer, an active layer disposed under the first conductive semiconductor, and a second conductive semiconductor layer disposed under the active layer; a trench formed in a portion of the light emitting structure; a current barrier layer in the trench and configured to hinder current supply to the active layer at a portion where the trench is located and to block the active layer over the trench from emitting light; and a first electrode on the first conductive semiconductor layer above the portion where the trench is located.」(当審注:「an active layer disposed under the active layer」については「an active layer disposed under the first conductive semiconductor layer」の明らかな誤記であると認められるため、誤記を正して摘記をした。) 「1.以下を含む発光装置: 第一の導電性半導体層と、第一の導電性半導体層の下に配置された活性層と、活性層の下に配置された第二の導電性半導体層とを含む発光構造体; 発光構造体の一部に形成されたトレンチ; トレンチ内の電流障壁層であって、トレンチが位置する部分で活性層への電流供給を妨げ、トレンチの上の活性層が発光するのをブロックするように構成されたもの; トレンチが位置する部分の上方に位置する第一の導電性半導体層上の第一の電極。」、 「6. The light emitting device according to claim 1, further comprising: a roughness on a portion of the light emitting structure exposed by the trench. 「6.さらに、前記トレンチによって露出された発光構造の部分の粗さを有する、請求項1に記載の発光装置。」、 「15. The light emitting device according to claim 1, wherein side surfaces of the trench are tilted at a predetermined angle.」 「15.前記トレンチの側面は、所定の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。」、 「16. The light emitting device according to claim 15, wherein a width of a lower side of the trench is greater than a width of an upper side of the trench.」 「16.前記トレンチの下側の幅は、前記トレンチの上側の幅よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の発光装置。」 (カ) 図1~8は次のとおりである。 [図1] [図:0001392590000001.jpg] [図2] [図:0001392590000002.jpg] [図3] [図:0001392590000003.jpg] [図4] [図:0001392590000004.jpg] [図5] [図:0001392590000005.jpg] [図6] [図:0001392590000006.jpg] [図7] [図:0001392590000007.jpg] [図8] [図:0001392590000008.jpg] (キ) a 図8からは、断面において、反射層150が、第一のトレンチT1内の上面及び側壁に形成された電流障壁層140の上面及び側壁と、第二の導電性半導体層130の下面とに設けられていることが、見て取れる。そして、[0041]の「反射層150は、Al、Ag、またはAlもしくはAgを含む合金を含む金属層で形成してもよい。また、AlまたはAgは活性層から発生した光を効果的に反射し、発光素子の光取り出し効率を高める。」との記載によれば、反射層150を形成した目的が「発光素子の光取り出し効率を高める」ことにあるのに照らせば、反射層150は、図8の断面で表れている部分以外の第二の導電性半導体層130の下面全体にも形成されていると解される。 そうすると、反射層150は、第一のトレンチT1内の上面及び側壁に形成された電流障壁層140の上面及び側壁と、第二の導電性半導体層130の下面全体上とに設けられていると認められる。 b 図8からは、第二の基板160の一部が、第一のトレンチT1内に形成された反射層150によっても残存している第一のトレンチT1を埋めていることが認められる。 このことは、[0043]の「第二の基板160は、高導電性金属、金属合金または導電性半導体材料を含んで、効率的に孔を埋め込むことができる。」との記載からも、裏付けられる。 イ 以上によれば、引用文献1には、図2、図3、図6及び図7の状態を順に経由して図8の構成に至った実施形態について、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。(なお、引用発明を認定する際の根拠箇所等を参考として括弧内に付した。) 「第一の基板100を用意し、([0023]) 第一の導電型半導体層110を、第一の基板100上に形成し、([0024]) 第一の導電性半導体層110上に活性層120を形成し、([0026]) 活性層120上に第二の導電性半導体層130を形成し、([0027]) 第一のトレンチT1は、第二の導電性半導体層130、活性層120および第一の導電性半導体層110をエッチングして、第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成され、([0029]) 第一のトレンチT1によって露出された第一の導電性半導体層110上に粗さRが形成され、([0033]) 粗さRの形成は、第一のトレンチT1の底部に第一の導電性半導体層110を露出させるように第一のマスクパターン210を形成し、([0033]) 第一のマスクパターン210は、粗さRが形成された領域を選択的に露出するメッシュパターンを有していてもよく、例えば、第一のマスクパターン210がメッシュパターンを有している場合には、ドライエッチングによってもよく、([0034]) 第一のトレンチT1内に電流障壁層140を形成し、([0035]) 反射層150が第一のトレンチT1の一部のみを満たし、([0042]) 反射層150上には、第二の基板160が形成され、([0043])、 そして、第一の基板100を除去し、([0044]) 第一の基板100を除去して露出した第一の導電性半導体層110上に第一の電極170を形成し、([0044]) 第一のトレンチT1は、第一の電極170と空間的に重なる位置に形成されており、([0029]) 反射層150が、第一のトレンチT1内の上面及び側壁に形成された電流障壁層140の上面及び側壁と、第二の導電性半導体層130の下面全体上とに設けられており、(上記ア(キ)a) 第二の基板160の一部が、第一のトレンチT1内に形成された反射層150によっても残存している第一のトレンチT1を埋めている、(上記ア(キ)b) 発光装置。([0018])」 (3)引用文献2の記載事項 ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である国際公開第2008/047923号(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 (ア) 「[0007] 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明の実施形態に係る窒化物半導体発光ダイオード素子は、次の特徴を有する。 (1)底面および上面を有し、内部に発光層を含む窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層の底面側に金属または半導体からなる保持基板が接合された窒化物半導体発光ダイオード素子であって、 前記窒化物半導体層の底面には、前記発光層で生じた光を上面側に反射する光反射凹部が形成されていることを特徴とする、窒化物半導体発光ダイオード素子。 (2)前記窒化物半導体層の底面の形状が方形であり、該底面には、前記光反射凹部として溝が形成されており、該溝は前記方形の全ての辺と10度~80度の角度で交わる方向に伸びる部分を有している、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (3)前記部分の長さの合計が前記方形の対角線の長さの50%以上である、上記(2)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (4)前記窒化物半導体層の底面の形状が四角形または六角形であり、該底面には前記光反射凹部として直線状の溝が一本のみ、該四角形または六角形の対角線のひとつに沿って形成されており、かつ、該溝の長さが該対角線の長さと実質的に等しい、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (5)前記窒化物半導体層の底面には、前記光反射凹部として孔が形成されている、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (6)前記窒化物半導体層の上面の上にパッド電極を有しており、該パッド電極が、前記光反射凹部の上方を避けるように形成されている、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (7)前記保持基板が、前記窒化物半導体層に直接ウェハボンディングにより接合された半導体基板である、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (8)前記窒化物半導体層の底面に接して形成され、酸化物半導体からなり、表面が研摩により平坦化された、透光性の薄膜を有し、該薄膜の上に光反射膜として機能する金属層が積層されている、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子 (9)前記窒化物半導体層の上面に、当該窒化物半導体層の成長に用いられた半導体基板に由来する透光性半導体層が接合されている、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (10)導電性基板と、該導電性基板上に形成された窒化物半導体層とを有し、該窒化物半導体層には、前記導電性基板から最も離れた位置に配置されたn型層と、該n型層と前記導電性基板との間に配置された発光層と、前記n型層とで前記発光層を挟むように配置されたp型層とが含まれている窒化物半導体発光ダイオード素子において、 前記n型層の上にはパッド電極が形成されており、 前記窒化物半導体層の前記導電性基板側の面には、前記パッド電極と向かい合うようにして、底面を有する扁平孔が、少なくとも前記発光層に達する深さに形成されている、 ことを特徴とする窒化物半導体発光ダイオード素子。(11)前記扁平孔が、前記発光層が完全に除去される深さに形成されている、上記(10)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。 (12)前記窒化物半導体層の前記導電性基板側の面には、前記扁平孔に加えて、光反射凹部が形成されている、上記(10)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。」 (イ) 「[0039](実施形態2) この実施形態に係る窒化物LEDは、導電性基板と、該導電性基板上に形成された窒化物半導体層とを有し、該窒化物半導体層には、前記導電性基板から最も離れた位置に配置されたn型層と、該n型層と前記導電性基板との間に配置された発光層と、前記n型層とで前記発光層を挟むように配置されたp型層とが含まれている窒化物LEDであって、前記n型層上にはパッド電極が形成されており、前記窒化物半導体層の前記導電性基板側の面には、前記パッド電極と向かい合うようにして、底面を有する扁平孔が、少なくとも前記発光層に達する深さに形成されている、という特徴的な構成を有している。 このように構成された窒化物LEDの断面構造を図10に示す。図10に示す窒化物LEDは、金属で形成された導電性基板11と、その上に形成された窒化物半導体層12とを有している。窒化物半導体層12には、導電性基板11側から順に、p型層12-1、発光層12-2、n型層12-3が含まれている。n型層12-3上にはパッド電極P14が形成されている。窒化物半導体層12の導電性基板11側の面には、パッド電極P14に向かい合うようにして、底面H11を有する扁平孔HIが、n型層12-3に達する深さに形成されている。p型層12-1には、発光層12-2が形成された側とは反対側の面上に、コンタクト層P11が形成されている。窒化物半導体層12の導電性基板11側の面上および側面上には、コンタクト層P11が形成された領域を除き、絶縁膜P12が形成されている。コンタクト層PI1および絶縁膜P12と導電性基板11の間には、薄膜金属層P13が挟まれている。 [0040]図10に示す窒化物LEDでは、導電性基板1が金属で形成されており、光透過性を有さないので、発光層12-2から放出される光は、n型層12-3の表面側から取出される。窒化物半導体層12の導電性基板11側の面には、パッド電極14と向かい合うように扁平孔H1が形成されており、パッド電極14の直下では発光が生じないようになっている。なぜなら、パッド電極の直下での発光を許した場合、発生した光はパッド電極による遮蔽および吸収を強く受けるために、LED素子の外部に効率よく取出すことができず、この発光に費やされたエネルギーは損失となるからである。換言すれば、図10に示す窒化物LEDでは、パッド電極の直下での発光が生じないようにすることにより、損失を低減し、出力を改善している。 それに加えて、発光層は自らが発生した光に対して吸収体として作用することから、発光層から不要な部分(発光させない部分)を除去することは、損失の源の除去という側面から、LED素子の発光出力を改善するという目的にとって、好ましい効果をもたらす。この効果を得るには、扁平孔を少なくとも発光層に達する深さに形成すればよいが、好ましくは、図10に示す窒化物LEDのように、扁平孔をn型層に達する深さに形成して、扁平孔を形成した部分の発光層を完全に除去する。発光層のIn(インジゥム)含有量をクラッド層よりも高くし、あるいは、発光層のA1(アルミユウム)含有量をクラッド層よりも低くして、ダブルへテロ構造を構成した窒化物LEDでは、発光層をコアとする板状の導波路構造が形成され、光が発光層に強く閉じ込められる傾向が生じるので、発光層から不要な部分を除去することによる出力の改善効果がとりわけ顕著となる。」 (ウ) 「(請求の範囲)」、 「[10]導電性基板と、該導電性基板上に形成された窒化物半導体層とを有し、該窒化物半導体層には、前記導電性基板から最も離れた位置に配置されたn型層と、該n型層と前記導電性基板との間に配置された発光層と、前記n型層とで前記発光層を挟むように配置されたp型層とが含まれている窒化物半導体発光ダイオード素子において、 前記n型層の上にはパッド電極が形成されており、 前記窒化物半導体層の前記導電性基板側の面には、前記パッド電極と向かい合うようにして、底面を有する扁平孔が、少なくとも前記発光層に達する深さに形成されている、 ことを特徴とする窒化物半導体発光ダイオード素子。」 (エ) 図10は次のとおりである。 [図:0001392590000009.jpg] イ 以上によれば、引用文献2には、実施形態2(図10)について、以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「導電性基板と、該導電性基板上に形成された窒化物半導体層とを有し、該窒化物半導体層には、前記導電性基板から最も離れた位置に配置されたn型層と、該n型層と前記導電性基板との間に配置された発光層と、前記n型層とで前記発光層を挟むように配置されたp型層とが含まれている窒化物LEDであって、前記n型層上にはパッド電極が形成されており、前記窒化物半導体層の前記導電性基板側の面には、前記パッド電極と向かい合うようにして、底面を有する扁平孔が、少なくとも前記発光層に達する深さに形成されており、([0039]) パッド電極の直下での発光が生じないようにすることにより、損失を低減し、出力を改善し、([0040]) それに加えて、発光層は自らが発生した光に対して吸収体として作用することから、発光層から不要な部分(発光させない部分)を除去することは、損失の源の除去という側面から、LED素子の発光出力を改善するという目的にとって好ましい効果をもたらし、([0040]) この効果を得るには、扁平孔を、少なくとも発光層に達する深さに形成すすればよいが、好ましくは、扁平孔をn型層に達する深さに形成して、扁平孔を形成した部分の発光層を完全に除去する([0040])」との技術的事項。 (4)対比 ア 本件補正発明と引用発明1とを対比する。 (ア)本件補正発明の「上側領域と反対導電型の下側領域との間に配置された発光層を有する半導体構造と、」との特定事項について 引用発明1の「発光装置」は、「第一の導電性半導体層110上に活性層120を形成し、」「活性層120上に第二の導電性半導体層130を形成し」た構造を備えているところ、この構造が本件補正発明の「半導体構造」に相当する。 引用発明1の「第一の導電性半導体層110」、「第二の導電性半導体層130」及び「活性層120」は、それぞれ、本件補正発明の(半導体構造の)「上側領域」、(半導体構造の)「反対導電型の下側領域」及び「発光層」に相当する。 引用発明1は、「第一の導電性半導体層110上に活性層120を形成し」、「活性層120上に第二の導電性半導体層130を形成」するものであるから、その「活性層120」は、本件補正発明でいう「上側領域と反対導電型の下側領域との間に配置された」ものといえる。 よって、引用発明1は本件補正発明の上記特定事項を備える。 (イ)本件補正発明の「前記半導体構造の頂面に配置された頂部コンタクトであり、前記上側領域に電気的に接続されている頂部コンタクトと、」との特定事項について 引用発明1の「第一の電極170」は、「第一の基板100を除去して露出した第一の導電性半導体層110(本件補正発明の「(半導体構造の)上側領域」に相当。)上に」「形成」されるものであるから、本件補正発明でいう「前記半導体構造の頂面に配置」されたものといえるとともに、本件補正発明の「頂部コンタクト」に相当する。 引用発明1の当該「第一の電極170」が本件補正発明でいう「前記上側領域に電気的に接続されている」といえることは、それが「電極」である以上、明らかである。 よって、引用発明1は本件補正発明の上記特定事項を備える。 (ウ)本件補正発明の「前記頂部コンタクトの真下で前記半導体構造の底面に形成されたトレンチであり、当該トレンチは、前記底面から前記発光層内まで延在し、前記発光層の一部が、当該トレンチと前記半導体構造の前記頂面との間に残存している、トレンチと、」との特定事項について 引用発明1の「第一のトレンチT1」は、本件補正発明の「トレンチ」に相当する。 引用発明1の「第一のトレンチT1」は、「第一の電極170と空間的に重なる位置に形成され」るものであるから、本件補正発明でいう「前記頂部コンタクトの真下」に形成されたものといえる。 引用発明1の「第二の導電性半導体層130の下面」は、本件補正発明の「前記半導体構造の底面」に相当する。 引用発明1の「第一のトレンチT1は、第二の導電性半導体層130、活性層120および第一の導電性半導体層110をエッチングして、第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成され」るところ、「第一のトレンチT1」を「形成」するための「エッチング」は、「第二の導電性半導体層130」の「活性層120」が存在する側の面とは反対側の面、つまり、「第二の導電性半導体層130の下面」からなされるものと解されるから、引用発明1の「第一のトレンチT1」は、本件補正発明でいう「前記半導体構造の底面に形成された」ものといえる。 よって、引用発明1は、本件補正発明の「前記頂部コンタクトの真下で前記半導体構造の底面に形成されたトレンチであ」るとの特定事項を備える。 一方で、引用発明1の「第一のトレンチT1」は、「第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成」されるものであるから、本件補正発明でいう「前記底面から」「延在」するものとはいえるが、「前記発光層内まで延在し、前記発光層の一部が、当該トレンチと前記半導体構造の前記頂面との間に残存している」ものではない。 (エ)本件補正発明の「前記底面を覆って及び前記トレンチ内に配置された反射層であり、前記トレンチ内の当該反射層が、光を前記頂部コンタクトから遠ざけるように反射するミラーの少なくとも一部を形成している、反射層と、」との特定事項について 引用発明1の「反射層150」は、本件補正発明の「反射層」に相当する。 引用発明1の「反射層150」は、「反射層150が、第一のトレンチT1内の上面及び側壁に形成された電流障壁層140の上面及び側壁と、第二の導電性半導体層130の下面全体上とに設けられ」るものであるから、本件補正発明でいう「前記底面を覆って及び前記トレンチ内に配置され」ているものといえる。 引用発明1では、「活性層120」から出射された光のうち「第一のトレンチT1」内の側壁に入射する光は「反射層150」によって反射されるものといえるとともに、「第一のトレンチT1は、第一の電極170と空間的に重なる位置に形成されて」いることから、当該「反射層150」は、本件補正発明の「光を前記頂部コンタクトから遠ざけるように反射するミラーの少なくとも一部を形成している」といえる。 よって、引用発明1は本件補正発明の上記特定事項を備える。 (オ)本件補正発明の「前記反射層が前記トレンチを完全には充填していない所である空所の中に配置された充填材料と、」との特定事項について 引用発明1は、「反射層150が第一のトレンチT1の一部のみを満たし」、「第二の基板160の一部が、第一のトレンチT1内に形成された反射層150によっても残存している第一のトレンチT1を埋めている」ものであるから、引用発明1の「第二の基板160」のうち「第一のトレンチT1内に形成された反射層150によっても残存している第一のトレンチT1を埋め」る部分が、本件補正発明の「前記反射層が前記トレンチを完全には充填していない所である空所の中に配置された充填材料」に相当する。 よって、引用発明1は本件補正発明の上記特定事項を備える。 (カ)本件補正発明の「を有するデバイス」との特定事項について 引用発明1の「発光装置」は本件補正発明の「デバイス」に相当する。 よって、引用発明1は本件補正発明の上記特定事項を備える。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「上側領域と反対導電型の下側領域との間に配置された発光層を有する半導体構造と、 前記半導体構造の頂面に配置された頂部コンタクトであり、前記上側領域に電気的に接続されている頂部コンタクトと、 前記頂部コンタクトの真下で前記半導体構造の底面に形成されたトレンチであり、当該トレンチは、前記底面から延在している、トレンチと、 前記底面を覆って及び前記トレンチ内に配置された反射層であり、前記トレンチ内の当該反射層が、光を前記頂部コンタクトから遠ざけるように反射するミラーの少なくとも一部を形成している、反射層と、 前記反射層が前記トレンチを完全には充填していない所である空所の中に配置された充填材料と、 を有するデバイス。」 【相違点】 本件補正発明では、「トレンチ」が「前記底面から前記発光層内まで延在し、前記発光層の一部が、当該トレンチと前記半導体構造の前記頂面との間に残存している」ものであるのに対し、 引用発明1では、「第一のトレンチT1」が「第二の導電性半導体層130、活性層120および第一の導電性半導体層110をエッチングして、第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成され」、その後、「第一のトレンチT1によって露出された第一の導電性半導体層110上に粗さRが形成され」るものである点。 (5)相違点の判断 引用発明1には、「第一のトレンチT1」に関連して、「第二の導電性半導体層130、活性層120および第一の導電性半導体層110をエッチングして、第一の導電性半導体層110の一部を露出させることによって形成され」る工程(以下「エッチング工程」という。)と「第一のトレンチT1によって露出された第一の導電性半導体層110上に粗さRが形成され」る工程(以下「粗さ形成工程」という。)が特定されているところ、引用発明1から出発した当業者が、相違点に係る本件補正発明の構成に至るためには、(i)エッチング工程につき、「第一の導電性半導体層110」までエッチングするのではなく、「活性層120」の途中までエッチングするようにするとともに、(ii)粗さ形成工程につき、これを行わないようにするか、又は、粗さ形成工程を行ってもなお、活性層が残存すれば足りる。 そこで、上記当業者が、(i)及び(ii)のようにすることに容易に想到し得るか否かについて以下検討する。 ア 上記の検討をするに先立ち、引用文献1に記載された発明の技術的意義を確認する。 (ア)引用文献1には、その最上位の技術思想として請求項1に記載された発明が開示されている。そして、その発明の技術的意義は、従来の縦型発光素子は、その上下に、それぞれN型電極とP型電極が配置されており、N型電極およびP型電極からそれぞれ注入された電子および正孔は活性層に入り、互いに結合して光を発生するものである([0008])ところ、発生した光は外部に放出される一方で、N型電極で反射されて失われるため、発光効率が低下するという課題や電流集中により寿命および信頼性が低下するという課題があり([0009])、それらの課題を解決するために、第一の導電性半導体層と第一の導電性半導体層の下に配置された活性層と活性層の下に配置された第二の導電性半導体層とを含む発光構造体と、発光構造体の一部に形成されたトレンチと、トレンチ内の電流障壁層であって、トレンチが位置する部分で活性層への電流供給を妨げ、トレンチの上の活性層が発光するのをブロックするように構成されたものと、トレンチが位置する部分の上方に位置する第一の導電性半導体層上の第一の電極とを備えるように構成したもの(請求項1)であって、このように構成することにより、電流障壁層が内部に形成されたトレンチが位置する部分で活性層への電流供給が妨げられることから、トレンチが位置する部分に係る活性層が発光するのがブロックされ、よって、発光効率が低下するのを抑制できるとともに、電流集中を抑制できることにあると認められる。 (イ)次に、上記(ア)で技術的意義を認定した発明のトレンチの深さについてみると、引用文献1には、トレンチが第一の導電型半導体層の一部を露出させる態様(請求項4、[0028]、図3を参照。引用発明1もこれに該当する。)に加えて、トレンチが第二の導電型半導体層及び活性層を除去した態様(請求項3を参照。)、及び、トレンチが第二の導電性半導体層が除去されるにとどまる態様(請求項2、[0032]、図5を参照。)の少なくとも3種類の態様が記載されている。この点、トレンチは、その内部にある電流障壁層と相まって、トレンチが位置する部分での活性層への電流供給を妨げることに寄与するものであるから、その深さを活性層との関係で理解するのが自然であるところ、上記の3種類の態様は、トレンチが、活性層を貫通し第一の導電性半導体層を一部除去する態様(以下「活性層貫通態様」という。)、活性層を除去するが第一の導電型半導体層を除去しない態様(以下「活性層除去態様」という。)、及び、活性層に至っていない態様(以下「活性層不達態様」という。)であると理解できる。 そして、トレンチ内の電流障壁層がトレンチが位置する部分で活性層への電流供給を妨げる作用機序は、活性層貫通態様については、その部分において活性層がそもそも存在しないことに加えて、電流拡散を生じさせることにあり([0030])、また、活性層不達態様については、円滑な電流供給が妨げられることにある([0032])。そこで、電流拡散を生じさせることや円滑な電流供給が妨げられることについてさらにみると、第一の電極から流れ出た電子が、下方に進んだとしても、第一の電極の下方に電流障壁層が存在することから、電流障壁層に到達することができず、よって、これを迂回するように流れ、その結果、第一の電極の下方に位置する活性層(トレンチの上の活性層)に電子が流入されにくくなることを意味するのが明らかであり、このような機序が、活性層除去態様にも妥当することが明らかである。 以上の作用機序に照らせば、引用文献1に記載された発明においては、第一の電極と電流障壁層との距離が短いほど(すなわち、トレンチの深さが大きいほど)、上記電子が、第一の電極からより短い距離で電流障壁層を迂回することになる結果、トレンチが位置する部分に係る活性層に電子がより流入されにくくなるともに、電流がより集中されなくなるといえる。 イ 上記(i)の事項の検討 上記ア(イ)で説示したとおり、引用文献1の記載からは、トレンチの深さについて、活性層貫通態様、活性層除去態様、活性層不達態様のいずれであってもよいこと、トレンチの深さが大きいほど、電子が第一の電極からより短い距離で電流障壁層を迂回することになる結果、トレンチが位置する部分に係る活性層に電子がより流入されにくくなるともに、電流がより集中されなくなるという作用効果を奏することが理解できる。そして、引用発明1は、トレンチが第一の導電型半導体層の一部を露出させる態様であって、活性層貫通態様であるといえる。 他方で、半導体構造をエッチングするに際しては、深くエッチングするよりも浅くエッチングする方が簡易かつ迅速であって、しかも、加工成功率(歩留まり)が向上するのが自明であり、そのようにすると、製造コストの面から有利であることも明らかである。 このように、引用文献1に記載された発明においては、トレンチの深さが大きいほど、より作用効果が増加する一方で、製造コストの面で不利になることから、引用文献に記載された発明の一態様であって、活性層貫通態様である引用発明1において、求められる作用効果と製造コストとのバランスに応じて、トレンチの深さを大きくしたり小さくしたりことは、当業者が適宜なし得ることである。そして、製造コストを低下させることを優先する観点から、引用発明1のトレンチの深さを小さくしていくと、活性層除去態様を経て活性層不達態様に至るまでの間に活性層を一部除去する態様(以下「活性層一部除去態様」という。)が自然に観念されるのであり、このような活性層一部除去態様においても、上記のバランスが妥当することが明らかである。 よって、当業者であれば、引用発明1のエッチング工程において、「活性層120」の途中までエッチングするようにすることに至るといえる。そして、このことは、引用文献2に、「発光層は自らが発生した光に対して吸収体として作用することから、発光層から不要な部分(発光させない部分)を除去することは、損失の源の除去という側面から、LED素子の発光出力を改善するという目的にとって、好ましい効果をもたらす。この効果を得るには、扁平孔を少なくとも発光層に達する深さに形成すればよいが、好ましくは、図10に示す窒化物LEDのように、扁平孔をn型層に達する深さに形成して、扁平孔を形成した部分の発光層を完全に除去する」([0040])と記載されており、「扁平孔」につき「少なくとも発光層に達する深さ」が、扁平孔が発光層の導電性基板側の表面に少なくとも達することを意味し、また、「n型層に達する深さ」が、扁平孔が発光層のパッド電極側の表面に少なくとも達することを意味すると解され、よって、扁平孔が発光層の途中に達することも当然に想定されていることからも、首肯できることである。 ウ 上記(ii)の事項の検討 引用発明1の粗さ形成工程は、不可欠なものではなく、付加的なものといえるのであって、このことは、引用文献1には、上記ア(ア)で認定したとおりの技術的意義を有する発明が開示されており、この中には粗さ形成工程が存在しないことや、引用文献1の請求項において、粗さを特定したものが下位請求項である請求項6で初めて登場することからも明らかである。そして、引用発明1の粗さ形成工程は、「第一のトレンチT1の底部に第一の導電性半導体層110を露出させるように第一のマスクパターン210を形成し」、「例えば、第一のマスクパターン210がメッシュパターンを有している場合には、ドライエッチングにより粗さRを形成してもよ」いものであるから、一定の付加的な製造コストを要するものである。 そうすると、引用発明1において粗さ形成工程を省略することは、当業者が適宜なし得た設計的事項に過ぎないというべきである。 また、そもそも引用発明1では「粗さRが形成された領域を選択的に露出するメッシュパターン」を用いて粗さRを形成しているところ、当該メッシュパターンで保護された領域はエッチングされないため、引用発明1において上記アのように変更した構成は、粗さ形成工程を行ってもなお、活性層が残存するともいえる。 エ 本件補正発明の効果について 本件補正発明の効果は、引用発明1、引用文献1に記載された技術的事項及び必要であれば引用文献2に記載にされた技術的事項に基づいて当業者が予測し得たものである。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、引用文献1が、相違点に係る本件補正発明の構成を何ら開示していない旨主張するが、上記(5)イで説示したとおりである。 イ 請求人は、引用文献2も、相違点に係る本件補正発明の構成を開示していない旨主張し、その根拠として、引用文献2の「扁平孔を少なくとも発光層に達する深さに形成すればよい」(【0040】)という記載は、相違点に係る本件補正発明の構成を意味するものではなく、むしろその図10に示されるように、扁平孔H1を形成した部分の発光層12-2を完全に除去することを教示するものである旨主張する。 しかしながら、以下のとおり、当業者であれば、引用文献2の同段落の記載から、相違点に係る本件補正発明の構成を読み取れるといえる。 まず、引用文献2の同段落には、請求人が指摘する「扁平孔を少なくとも発光層に達する深さに形成すればよい」の記載(以下「発光層到達記載」という。)の直後に、「好ましくは、図10に示す窒化物LEDのように、扁平孔をn型層に達する深さに形成して、扁平孔を形成した部分の発光層を完全に除去する」の記載(以下「n型層到達/発光層完全除去記載」という。)があるのであり、これらに照らせば、発光層到達記載は、図10に倣っていえば、扁平孔H1が発光層12-2の下側の面に少なくとも到達していることを意味すると解するのが自然である。すなわち、扁平孔を形成する深さの観点でみれば、発光層到達記載は「少なくとも発光層に達する深さ」とされている一方、n型層到達/発光層完全除去記載は「好ましくは・・・n型層に達する深さ」とされていることから、発光層到達記載はその観点においてn型層到達/発光層完全除去記載の上位概念に当たるのが明らかである。そして、n型層到達/発光層完全除去記載が、図10のような、扁平孔H1が、発光層12-2を完全に除去するとともにn型層12-3に到達していること、つまり、発光層12-2の上側の面に少なくとも到達していることを明らかに意味する一方で、発光層到達記載が、n型層到達/発光層完全除去記載のような発光層を「完全に除去する」旨の文言を含まないことから、発光層到達記載は、上記のとおり、扁平孔H1が発光層12-2の下側の面に少なくとも到達していることを意味すると解される。 そして、上記の理解は、発光層到達記載及び(その下位概念の)n型層到達/発光層完全除去記載に係る態様の技術的意義にも沿う。すなわち、同段落の記載によれば、当該技術的意義は、発生した光が発光層に吸収されて生じる損失に対応するために、発光層の不要な部分を除去することにあると解されるところ、その理解に基づけば、好ましいとされるn型層到達/発光層完全除去記載に係る態様では、発光層の不要な部分が完全に除去される一方で、その上位概念の発光層到達記載に係る態様では、同部分が少なくとも一部除去されるのだから、発光層到達記載に係る態様であれば上記技術的意義を奏するものの、n型層到達/発光層完全除去記載に係る態様であれば好ましいということが、自然に理解できる。この点、請求人は、発光層到達記載が、図10のような扁平孔H1を形成した部分の発光層12-2を完全に除去することを意味する旨主張しているものの、そう解してしまうと、n型層到達/発光層完全除去記載に係る態様が発光層到達記載に係る態様の中で好ましいものであることを説明できなくなる。 このように、発光層到達記載は、図10に倣っていえば、扁平孔H1が発光層12-2の下側の面に少なくとも到達していることを意味している一方、n型層到達/発光層完全除去記載は、扁平孔H1が、発光層12-2の上側の面に少なくとも到達していることを意味していること、発光層到達記載が扁平孔を形成する深さの観点においてn型層到達/発光層完全除去記載の上位概念であることから、当業者であれば、発光層到達記載に基づいて、扁平孔H1が発光層12-2の下側の面と上側の面との間の位置に到達している態様をも自然に読み取れるといえる。 ウ 請求人は、引用文献1に記載された発明は、トレンチの底に粗さRを形成するものである旨主張するが、上記(5)ウで説示したとおりである。 エ よって、請求人の主張は採用できない。 (7)したがって、本件補正発明は、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項並びに必要であれば引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (8)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年7月21日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年10月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献1に記載された発明及び必要に応じて例えば引用文献2に記載された周知技術に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、との理由を含むものである。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)及び同(3)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明における「真下」を「下方」に上位概念化したものである。 そうすると、本願発明の一部の発明特定事項を下位概念化するとともに、他の発明特定事項を全て含んだものに相当する本件補正発明が、上記第2の[理由]2に記載したとおり、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項並びに必要であれば引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び引用文献1に記載された技術的事項並びに必要であれば引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-009753

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