商標拒絶査定不服審判
2021-009250
ワカドリノトリセイ、ワカドリノトリセー、トリセー
- 審判番号
- 2021-009250
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-067961
- 請求日
- 2021年07月12日
- 審決日
- 2022年08月17日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社鳥せい商事
- 【請求人代理人】鮫島 正洋
- 【請求人代理人】高見 憲
- 【請求人代理人】坂倉 夏子
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W2943) / T18 .262-Z (W2943) / T18 .263-Z (W2943) / T18 .264-Z (W2943)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 67961拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年6月2日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月13日付け:拒絶理由通知
令和2年10月30日 :意見書の提出
令和3年4月13日付け :拒絶査定
令和3年7月12日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,豆」及び第43類「飲食物の提供,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定商品及び指定役務として,登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下に掲げるとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1584137号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品 第29類「食肉,卵,やきとり,肉製品,加工卵,かまぼこ,焼きちくわ,フィッシュソーセージ」及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品(平成15年2月12日書換登録)
登録出願日 昭和54年1月11日
設定登録日 昭和58年4月27日
(2)登録第6349773号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品及び指定役務 第43類「鳥料理を主とする飲食物の提供」及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成30年11月1日
設定登録日 令和3年2月8日
以下,引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商標の類否
商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,黒色で縁取られた緑色の円図形の内部に,とさかと尾羽が赤く塗られた鶏とおぼしき図形を表した図形(以下「本願図形部分」という。)並びにその右側に二段書きで配した「若どりの」の文字及び「鳥せい」の文字(以下,これらをまとめて「本願文字部分」という。)からなる結合商標である。
そして,本願図形部分と本願文字部分とは,視覚上明確に分離して看取され得るものであるところ,まず,本願図形部分は,特定の意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,鶏とおぼしきものを表したものと想起される以上に特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に,本願文字部分については,いずれも同色(赤色)で表されているものの,上段の「若どりの」の文字部分(以下「上段文字部分」という。)の構成文字は,下段の「鳥せい」の文字部分(以下「下段文字部分」という。)の構成文字のおよそ10分の1ないし15分の1程度の大きさで,非常に小さく表されていることから,視覚上分離して看取される。
また,「若どり」の文字は,「まだ,成長しきっていない若い鳥」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する「若鳥」の語の「鳥」の文字を平仮名表記したものと容易に認識できるものであり,飲食物に関する商品及び役務を取り扱う業界においては,取扱いに係る商品の品質又は役務の質等を表したものと容易に認識されるから,出所識別標識としての機能がないか極めて弱いものというのが相当である。
これに対し,「鳥せい」の文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。
その他,本願図形部分と本願文字部分とが一連一体となって何らかの称呼が生じるとはいえないものであり,本願図形部分,上段文字部分及び下段文字部分を常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。
以上からすると,本願商標は,その全体構成に照らし,本願図形部分と本願文字部分とを分離して観察することが取引上不自然とはいえず,上段文字部分は下段文字部分に比して非常に小さく,飲食物を取扱う分野において出所識別標識としての称呼,観念が生じないものといえることから,本願商標の構成中,「鳥せい」の文字部分を要部として抽出し,他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
したがって,本願商標は,構成文字全体に相応して、「ワカドリノトリセイ」の称呼を生じるほかに、その構成中,独立して自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たし得る下段文字部分の構成文字に相応して,「トリセイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,「鳥せい」の文字を筆書き風の書体で縦書きしてなるところ,当該文字は,上記イのとおり,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。
したがって,引用商標は,いずれも,その構成文字に相応して,「トリセイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
エ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標の要部である下段文字部分と引用商標とを比較すると,外観は,それぞれの構成文字の書体における若干の差異や横書きか縦書きかの差異はあるものの,いずれも「鳥せい」の文字を表したものと容易に認識できる一般的な書体といえるものであって,文字のつづりを共通にするものであるから,両者は外観において似通った印象を与えるものである。
また,称呼においては,下段文字部分と引用商標は,いずれも「トリセイ」の称呼を生じるから,両者は,称呼上,同一である。
さらに,観念においては,下段文字部分と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないから,両者は,観念上,比較することはできない。
以上によれば,下段文字部分と引用商標とは,観念上比較することはできないものの,外観が似通った印象を与えるものであって,称呼を同一とするものであるから,その外観,称呼及び観念が,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,本願商標と引用商標は,商品又は役務の出所について誤認を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
オ 本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願商標の指定商品中の第29類「食肉,卵,肉製品,加工水産物,加工卵」は,引用商標1の指定商品中の第29類「食肉,卵,やきとり,肉製品,加工卵,かまぼこ,焼きちくわ,フィッシュソーセージ」と,本願商標の指定役務中の第43類「飲食物の提供」は,引用商標2の指定役務の第43類「鳥料理を主とする飲食物の提供」と,それぞれ,その需要者,販売部門,業種等を共通にする同一又は類似の商品及び役務である。
カ 小括
本願商標と引用商標とは,相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願商標の指定商品及び指定役務は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似のものを含むものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,請求人の代表者の陳述書(甲1)を提出し,「本願商標は,請求人の飲食店を表す商標として,少なくとも北海道地方において周知である。そして,本願商標が周知であるにも関わらず,引用商標2が登録されていることは,本願商標と引用商標が非類似であることを裏付けている。」旨を主張するとともに,請求人が本願商標又は本願商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した看板やメニューの写真を示している。
しかしながら,本願商標を使用した請求人の業務に係る商品又は役務の売上高や広告宣伝費について,請求人の代表者が上記陳述書において主張しているものの,本願商標を使用した請求人の業務に係る商品又は役務についての販売数量,売上高,市場シェアなどの販売実績や広告宣伝の方法等,その周知性を判断するための客観的かつ具体的な証拠の提出はないから,本願商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
そのほか,本願商標が,我が国の取引者,需要者の間で,請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって,請求人から提出された証拠によっては,本願商標が,我が国において,請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,周知性を獲得しているとは認めることができないものである。
そして,上記(1)エのとおり,本願商標と引用商標は類似の商標と判断するのが相当であり,請求人の上記主張は,本願商標と引用商標とが非類似であるとの裏付けになるものではない。
イ 請求人は,「請求人は,引用商標の権利者の店舗との関係で誤認されたことは一度もない」旨述べ,本願商標と引用商標は非類似の商標であると判断されるべき旨を主張している。
しかしながら,商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的,恒常的なそれを指すものであって,単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号同年4月25日第一小法廷判決・審決取消訴訟判決集昭和49年443頁参照)ところ,請求人の主張する上記事情は,本願商標及び引用商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの限定的な事情であることが明らかであるから,これらの事情は商標の類否の判断を左右するものではない。
また,引用商標の権利者の店舗との関係で誤認されたことはないとしても,現実に出所の混同が生じることは商標法第4条第1項第11号に該当する要件とされていないから,出所の混同のおそれを否定することはできない。
ウ 請求人は,店名又は店名の一部に「鳥せい」の文字が使用されている例(甲7~甲12)を示し,「「鳥せい」の語は,商品「鳥肉」及び役務「鳥料理を主とする飲食物の提供」との関係では,出所識別機能が極めて弱い」旨を主張している。
しかしながら,請求人の提出する証拠(甲7~甲12)によれば,商品「鳥肉」及び役務「鳥料理を主とする飲食物の提供」を取り扱う業界において,店名又は店名の一部に「鳥せい」の文字を使用している店舗が,岩手県に1店舗,埼玉県に2店舗,東京都に1店舗,北海道に1店舗,宮崎県に1店舗存在することは確認できるものの,全国で合計6店舗の例であって,多いとはいえない数である。
また,「鳥せい」の文字は,上記(1)イ及びウのとおり,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であると認識されるものであるから,当該文字が,本願の指定商品及び指定役務との関係において,当該商品又は役務の品質(質)等を表すものともいえないし,ほかに「鳥せい」の文字が本願の指定商品及び指定役務との関係において,商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないものであると認めるに足りる事情は見あたらない。
そうすると,本願商標の構成中「鳥せい」の文字部分は,商品又は役務の出所識別標識としての機能を十分に果たすものであると判断するのが相当である。
エ 請求人は,引用商標2が,登録第5105383号商標(以下「件外商標」という。)と非類似の商標であると判断された審決例(不服2020-5250)を挙げて,本願商標も登録されるべきである旨を主張している。
しかしながら,商標の類否の判断は,査定時又は審決時における取引の実情を勘案し,その指定商品及び指定役務の取引者,需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ,本願商標と件外商標とは商標の構成が異なるものであって,本願とは事案を異にするものであるから,上記審決例によって,ただちに本願の判断が左右されるものではない。
オ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-009250