商標拒絶査定不服審判
2022-003541
ポッポ
- 審判番号
- 2022-003541
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-042754
- 請求日
- 2022年02月14日
- 審決日
- 2023年04月27日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社大分からあげ
- 【請求人代理人】上野 貴士
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W2943) / T18 .262-Z (W2943) / T18 .263-Z (W2943) / T18 .264-Z (W2943)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 42754拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年4月2日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年5月7日付け :拒絶理由通知
令和3年6月14日 :意見書の提出
令和3年11月25日付け:拒絶査定
令和4年2月14日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第29類「鶏肉の唐揚げ,とりの唐揚げ,唐揚げ用に衣をつけた鶏肉,唐揚げ用に衣をつけた鶏肉製品,冷凍した鶏肉の唐揚げ」及び第43類「鳥から揚げを主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として,登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下に掲げるとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3138170号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定役務 第42類「ら―めん・お好み焼・たい焼・フライドポテト・アイスクリ―ム及び清涼飲料を主とする飲食物の提供」
登録出願日 平成4年9月7日
設定登録日 平成8年3月29日
(2)登録第6286187号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
指定役務 第43類「飲食物の提供」
登録出願日 令和元年8月23日
設定登録日 令和2年8月31日
以下,引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,右斜め上方向に弧を描くように伸びる略山形図形が3つ横につながった赤色の図形(外縁は黒線で縁取られている。以下,「図形部分」という。)の内部に,「POPPO」の欧文字(以下,「文字部分」という。)を白抜きで横書きしてなるところ,当該文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。
また,図形部分は,特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,特定の称呼及び観念を生じないものである。
そして,文字部分は,図形部分の内部に配置されているものの,図形部分の中央の目立つ位置に,白抜きの読み取りやすい書体で明瞭に記載されているから,外観上,図形部分とは一見して明確に区別して認識できるものであることに加え,文字部分又は図形部分が,本願の指定商品及び指定役務との関係において,当該商品の品質や役務の質等を表すものともいえないうえ,ほかに文字部分及び図形部分が単独では商品及び役務の出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見あたらない。
そうすると,文字部分と図形部分を分離して観察することは,取引上不自然なものとはいえず,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,称呼しやすく,記憶にとどめやすい文字部分をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当であるから,文字部分を要部として抽出し,他の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである。
したがって,本願商標は,その構成中,独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得る文字部分の構成文字に相応して,「ポッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1
引用商標1は,別掲2のとおり,「ポッポ」の片仮名を赤色で横書きしてなるところ,当該文字に通じる「ぽっぽ」は,「断続的に蒸気や煙を勢いよく吐き出す音。また,そのさま。」,「湯気・炎・煙などが立ちのぼるさま」,「体などが熱くほてるさま」等,様々な意味を有する語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)であるものの,それ単独で表示された引用商標1からは,特定の意味を認識させるとはいい難い。
したがって,引用商標1は,その構成文字に相応して,「ポッポ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は,別掲3のとおりの構成からなるところ,太い線の内部に多数の白抜きの円図形及び1つの星形図形を配してなるものの,「POPPO」の欧文字を表したものと容易に看取されるものである。そして,「POPPO」の文字は,前記アのとおり,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。
したがって,引用商標2は,その構成文字に相応して,「ポッポ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
(ア)本願商標と引用商標1
本願商標の要部の一つである文字部分と,引用商標1を比較すると,外観においては,両者は,文字の種類が欧文字と片仮名とで異なり,色彩が相違するものであるが,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,文字の色を変更したりすることが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば,これらの外観上の差異が,看者に対し,強い印象を与えるとまではいえない。
また,称呼においては,文字部分と引用商標1は,「ポッポ」の称呼を共通にするものである。
さらに,観念においては,文字部分と引用商標1は,ともに特定の観念を生じないから,観念上,比較することができない。
そして,特定の観念を有しない文字商標においては,観念において商標を記憶できず,称呼において記憶し,これを頼りに取引にあたることが少なくないというのが相当である。
以上によれば,文字部分と引用商標1は,その外観,称呼及び観念によって,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,上記取引の実情を考慮すると,両者の外観が相違し,観念において比較できないとしても,これが,取引上必要な役割を果たす称呼についての共通性を凌駕するほどには顕著なものとは認められないものであるから,本願商標と引用商標1は商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(イ)本願商標と引用商標2
本願商標の要部の一つである文字部分と,引用商標2を比較すると,外観においては,それぞれの構成文字の書体及び色彩,各文字の形状に沿って配される白抜きの円図形の有無,語尾の「O」の文字の中心における星形図形の有無において差異はあるものの,文字のつづりを共通にするものであるから,両者は外観において似通った印象を与えるものである。
また,称呼においては,文字部分と引用商標2は,ともに「ポッポ」の称呼を生じるから,両者は,称呼上,同一である。
さらに,観念においては,文字部分と引用商標2は,ともに特定の観念を生じないから,両者は,観念上,比較することができない。
以上によれば,文字部分と引用商標2は,観念上比較することができないとしても,外観上似通った印象を与えるものであって,称呼を同一とするものであるから,その外観,称呼及び観念が取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,本願商標と引用商標2は,商品の出所について誤認を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定商品及び指定役務中,第43類「鳥から揚げを主とする飲食物の提供」は,引用商標の指定役務と,その需要者,業種,提供の場所等を共通にする同一又は類似の役務である。
オ 小括
本願商標と引用商標とは,相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,図形部分が,鶏冠を模したデザインであること,また「P」「O」「P」「P」「O」の文字が連続して配されていることから,「ポッポ」の称呼及び「鶏」,「鶏冠」の観念を生じる。」旨を主張している。
しかしながら,図形部分は,たとえ鶏冠を模したデザインであるとしても,前記(1)アのとおり,特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないものであり,これに接する取引者,需要者が当該図形部分から直ちに鶏冠を認識するともいえない。また,文字部分は,前記(1)アのとおり,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものであるから,当該文字部分をもって鶏や鶏冠を想起させるものではない。したがって,請求人主張のような上記観念を生じるということはできない。
イ 請求人は,根拠とするインターネット情報のサイト名と記事名称を挙げ,「ある地域では鶏唐揚げのことを「ポッポ」「ポッポしゃん」と呼ぶ習慣が醸成されており,鶏唐揚げを販売する店舗や飲食店がその商品名や店舗名称を「ポッポ」,「ポッポしゃん」とすることが知られていることにより,図形部分のデザインと文字部分の構成文字から「ポッポ」の称呼が生じることが相まって,「鶏唐揚げ」の観念をも生ずる。」旨を主張している。
しかしながら,請求人のいうように,鶏唐揚げのことを「ポッポ」「ポッポしゃん」と呼ぶ習慣が醸成されている地域があり,鶏唐揚げを販売する店舗や飲食店がその商品名や店舗名称を「ポッポ」,「ポッポしゃん」とすることが知られている地域があるかどうかについては,請求人の指すインターネット情報と思われるものをみても,「ポッポしゃん」の文字が店舗名として用いられていることは認められるものの,わずか一例があることを示すものでしかないし,「ポッポ」又は「ポッポしゃん」の文字が鶏唐揚げを指称する語として使用されていることを示すような記載は見あたらない。さらに,当審において職権で調査するも,そのような事情を認めるに足りる事情を見いだすことはできなかった。
また,仮に請求人のいうような特定の地域において,鶏唐揚げ又は鶏唐揚げの販売等を行う店舗が「ポッポ」等の名称で呼ばれているとしても,本願の指定商品及び指定役務の取引者,需要者には,そのような地域の者以外の者も含まれるところ,特定の限定的な地域の取引の実情をもって,本願の指定商品及び指定役務の取引者,需要者全体が,「ポッポ」及び「ポッポしゃん」の文字から,「鶏唐揚げ」又は「鶏唐揚げの販売等を行う店舗の名称」を指称するものと理解,認識するとはいえないし,他にそのように理解,認識すると認めるに足りる事情は見いだせない。加えて,請求人のいうような地域があるとしても,文字部分は「POPPO」の欧文字からなるものであって,「ポッポ」や「ポッポしゃん」とは,文字種及び文字構成が異なるものである。
そして,図形部分は,たとえ鶏冠を模したデザインであるとしても,前記(1)アのとおり,特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないものであり,これに接する取引者,需要者が当該図形部分から直ちに鶏冠を認識するともいえない。
したがって,本願商標は,文字部分と図形部分から「鶏唐揚げ」の観念をも生ずるとはいえない。
ウ 請求人は,引用商標1の登録後に引用商標2が登録されている事実を挙げ,「本願商標と引用商標1は,その文字部分のみを比較した場合であっても,両者は非類似の商標と判断されるべきである」旨主張している。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号は「・・・他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて・・・」と規定しているのであるから,引用商標2の登録査定時において,引用商標1の権利者と引用商標2の出願人は同一人であったことからすれば,引用商標2が引用商標1との関係において同号に該当するものでなかったことは明らかであり,上記主張は,その前提を欠くものである。
エ 請求人は,「本願の指定商品及び指定役務と引用商標1の指定役務は異なっており,重ならない。」旨を主張している。
しかしながら,本願の指定商品及び指定役務中,第43類「鳥から揚げを主とする飲食物の提供」と引用商標1の指定役務は,主として提供するものが異なってはいるものの,ともに飲食物の提供であるから,その需要者,業種,提供の場所等を共通にする類似の役務である。
オ したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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