2021-008337
マレーシアハラール、マレーシアハラル、ハラール、ハラル
- 審判番号
- 2021-008337
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-117766外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月24日
- 審決日
- 2022年05月18日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジャバタン ケマジャン イスラム マレーシア(ジャキム)
- 【請求人代理人】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
- 分類
- T18 .21 -Z (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項5号
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 図形・ロゴ等(別掲)
- 論点(本文から自動抽出・参考)
- 指定商品・役務の補正濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第5号、商標法第24条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
1 手続の経緯
本願は,令和元年9月4日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第5類,第10類,第29類,第30類,第32類,第42類及び第43類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,上記1のとおり商標登録出願されたものであり,その指定商品及び指定役務については,上記1の手続補正書により,第29類「食肉,魚,家きん肉,食用鳥獣肉,肉エキス,肉製品,砂糖漬けしたしょうが,加工野菜及び加工果実,食用ゼリー,肉ゼリー,ゼリー状フルーツ,ジャム,コンポート,卵,乳製品,食用油脂,魚のすり身を薄く揚げたクラッカー,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,乾燥ココナッツ,ココナッツバター,ココナッツミルク,ココナッツミルクを主原料とする飲料,ココナッツの加工品,乾燥唐辛子,魚のペースト,肉のペースト,食用鳥獣肉のペースト,野菜のペースト,ナッツのペースト,大豆,保存加工をした大豆」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,マレーシア政府が商品『茶』や役務『工業上の分析及び調査』等について使用する監督用の印章又は記号であって経済産業大臣が指定するもの(平成26年9月26日経済産業省告示196号)と同一又は類似の商標であり,かつ,前記商品・役務等と同一又は類似の商品・役務について使用するものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第5号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第5号該当性について
ア 商標法第4条第1項第5号は,「日本国又はパリ条約の同盟国,世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて,その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの」は,商標登録を受けることができない旨規定するものであり,同項第2号(国の紋章その他の記章)及び同項第3号(国際連合その他の国際機関の標章)と共に,工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約[昭和50年3月条約第2号](以下「パリ条約」という。)第6条の3の義務を履行するための公益保護を旨とする不登録事由である(甲3)。
そして,パリ条約第6条の3(1)(a)は,「同盟国は,同盟国の国の紋章,旗章その他の記章,同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし,また,権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する。」と規定され,その理由は「そのような商標の登録又は使用が,主権の象徴の使用を管理する国家の権利を侵すものであり,さらにそのような商標の付された商品の出所に関して公衆を誤認させるかもしれないから」であり(「注解パリ条約/GUIDE TO THE PARIS COVENTION FOR THE PROTECTION OF INDUSTRIAL PROPERTY」AIPPI・JAPAN),また,「その目的は,工業所有権の対象としての保護というよりは,特定の状況の下ではそのような対象となることから排除しようというものである。」(前掲書)。
さらに,パリ条約第6条の3(3)(a)は,「 (1)及び(2)の規定を適用するため,同盟国は,国の記章並びに監督用及び証明用の公の記号及び印章であつて各国が絶対的に又は一定の限度までこの条の規定に基づく保護の下に置くことを現に求めており又は将来求めることがあるものの一覧表・・・を,国際事務局を通じて,相互に通知することに同意する。各同盟国は,通知された一覧表を適宜公衆の利用に供する。」とし,これにより,「同盟国・・・が,記章などに関して,商標として登録及び使用を排除するためにある種の通知をすることを要求しあるいは許容している。」ものである(前掲書)。
イ そこで検討するに,本願商標は,別掲1のとおりの構成からなるところ,当該商標は,上記パリ条約第6条の3(3)により,世界知的所有権機関(以下「WIPO」という。)の国際事務局から通知され,商標法(昭和34年法律第127号)第4条第1項第5号の規定に基づき,経済産業大臣が指定,告示した「マレーシアの監督用又は証明用の印章又は記号指定」(平成26年9月26日経済産業省告示第196号:別掲2)に係る標章とその構成を同一にするものである。
また,本願商標の上記1の補正後の指定商品「食肉,魚,家きん肉,食用鳥獣肉,肉エキス,肉製品,砂糖漬けしたしょうが,加工野菜及び加工果実,食用ゼリー,肉ゼリー,ゼリー状フルーツ,ジャム,コンポート,卵,乳製品,食用油脂,魚のすり身を薄く揚げたクラッカー,食用魚介類(生きているものを除く。),加工水産物,乾燥ココナッツ,ココナッツバター,ココナッツミルク,ココナッツミルクを主原料とする飲料,ココナッツの加工品,乾燥唐辛子,魚のペースト,肉のペースト,食用鳥獣肉のペースト,野菜のペースト,ナッツのペースト,大豆,保存加工をした大豆」は,上記経済産業大臣が指定する印章又は記号が用いられている商品及び役務(別掲2)中,少なくとも「食肉。魚。家禽肉及び食用鳥獣肉。肉エキス。保存処理、乾燥処理及び調理をした果実及び野菜。ゼリー。ジャム。コンポート。卵。ミルク及び乳製品。食用油脂。加工水産物。米。大豆。ミネラルウォーター。炭酸水及びアルコールを含有しないその他の飲料。果実飲料及び果汁」と同一又は類似の商品である。
ウ そうすると,本願商標は,マレーシアの政府又は地方公共団体の監督用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一の商標であって,その印章又は記号が用いられている商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,権限のある官庁の許可を受けて商標出願されたものであり,商標法第4条第1項第5号に違反するものではない。」旨主張している。
しかしながら,商標法第4条第1項第5号は,公益的な不登録事由であって,上記(1)アのとおり,パリ条約第6条の3を受けて,主権の象徴の使用を管理する国家の権利や,商品の出所に関する公衆の誤認のおそれの見地から,「日本国又はパリ条約の同盟国,世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体」(以下「パリ条約の同盟国の政府等」という。)の監督用及び証明用の記号及び印章を工業所有権の対象となることから排除するものであるところ,現行商標法の公益的な不登録事由のうち,同項第6号のみについて,当該団体自身が出願をするときは適用しない旨規定され(同法第4条第2項),同項第1号ないし同項第5号にはそのような規定はない。
また,パリ条約の同盟国の政府等の監督用及び証明用の公の記号及び印章について商標登録を認めた場合,当該商標権について自由な権利の移転及び専用使用権の設定が認められることになり(商標法第24条の2,同法第30条),商標法第4条第1項第5号の立法趣旨ないしパリ条約第6条の3の趣旨に反するばかりでなく,当該商標の付された商品又は役務の出所について公衆を誤認させるおそれも生ずることを考慮すれば,パリ条約の同盟国の政府等が経済産業大臣の指定する自己の監督用及び証明用の印章又は記号を出願してきたときであっても,当該印章又は記号は産業財産権の対象として保護すべきものとは認められないと解するのが相当である。
さらに,商標法第4条第1項第5号の大臣指定の対象となる印章又は記号は,上記(1)アのとおり,パリ条約第6条の3(3)(a)に基づき,同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章であって各国が保護の下に置くことを求めるものの一覧表として,WIPO国際事務局を通じて我が国に通知される制度となっているところ,同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章についてかかる通知を行い,我が国の大臣指定の対象となるか否かは同盟国の意思に基づくものといえるから,同盟国自らの求めによって監督用及び証明用の公の記号及び印章について大臣指定が行われた以上,その後に当該同盟国の政府や権限のある官庁の許可を受けた者の商標出願が同号の対象となり商標登録を受けることができないとしても著しく不合理であるとはいえない。
したがって,商標法第4条第1項第5号は,パリ条約の同盟国の政府等が出願人である場合においても適用されると解すべきものであり,本願商標は,パリ条約の同盟国であるマレーシア国政府あるいは同国の権限のある官庁の許可を受けて商標出願されたものであるとしても,商標法第4条第1項第5号に該当するものである。
イ 請求人は,パリ条約第6条の3仏文の参考訳(DeepL翻訳結果出力)とされるものを引用し,パリ条約の日本語訳と仏文正本との間に齟齬があるとして「商標法第4条第1項第5号はパリ条約第6条の3(1)(a)の規定に違反して「in the absence of authorization from the competent authorities,」(権限のある官庁の許可を受けずに)の要件を付加することなく制定されている。」旨主張している。
しかしながら,パリ条約第6条の3の日本語の公式な訳文は,我が国では昭和9年(1934年)のパリ条約改正時に現行の条文とほぼ同じものが条約の仏文正本と共に公布され,効力が発生(昭和9年12月3日条約第5号,同日外務省告示第113号)して以来,永年修正を受けることなく「同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びに紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし,また,権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用することを適当な方法によつて禁止する。」とされるものであって,「権限のある官庁の許可を受けずに」の訳語の位置が「登録を拒絶し又は無効とし」ではなく「使用することを禁止する」に係るものであることについても,上記(1)アに示したパリ条約第6条の3の趣旨や,仏文正本や英文公定訳の語順に照らして,直ちに明白な誤りとは認定し難いものであるから,「DeepL翻訳結果」に基づく翻訳文と異なることを根拠に,上記日本語訳がパリ条約第6条の3(1)(a)の仏文正本との間に齟齬があるということはできない。
そうすると,パリ条約第6条の3(1)(a)の条文において「権限のある官庁の許可を受けずに」は「使用することを適当な方法によつて禁止する。」に係るものと解することができるから,商標法第4条第1項第5号に「権限のある官庁の許可を受けずに」の要件がないとしても,同号がパリ条約第6条の3(1)(a)に違反するものであると認めることはできない。
ウ 請求人は諸外国等の商標法や登録事例を引用して,我が国の商標法及び商標審査便覧(42.103.01:甲4)による運用がパリ条約第6条の3に違反し誤っている旨主張している。
しかしながら,商標法第4条第1項第5号は,上述のように,パリ条約第6条の3(1)(a)を我が国で履行するために,パリ条約の同盟国等が経済産業大臣の指定する自己の監督用及び証明用の印章又は記号を商標登録から除外するために設けられているものであって,外国や外国の政府機関において,権限のある官庁の許可を受けた監督用及び証明用の記号又は印章についての商標登録を許すような商標法の規定や運用があるからといって,直ちに商標法第4条第1項第5号がパリ条約に違反するものであるということはできないし,パリ条約の趣旨及び我が国の商標法の諸規定を踏まえた上で,パリ条約の同盟国等自身が出願人である場合においても同号を適用するとしている商標審査便覧による運用が誤ったものということもできない。
エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第5号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲(理由中で参照)
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別掲2 「マレーシアの監督用又は証明用の印章又は記号指定」(平成26年9月26日経済産業省告示第196号)
審決本文(J-PlatPat)
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2021-008337