商標異議申立
2022-900045
オリンペ、オランプ
- 審判番号
- 2022-900045
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2021-033478
- 登録番号
- 6476215
- 請求日
- 2022年02月10日
- 審決日
- 2024年12月20日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社リラナチュレ
- 【権利者代理人】野中 信孝
- 【権利者代理人】永田 昇
- 【権利者代理人】過 立飛
- 【異議申立人】コミッティー インターナショナル オリンピック
- 【異議申立人代理人】田中 尚文
- 【異議申立人代理人】岡田 淳
- 【異議申立人代理人】渡部 彩
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T1651.21 -Y (W05293032) / T1651.22 -Y (W05293032) / T1651.261-Y (W05293032) / T1651.262-Y (W05293032) / T1651.263-Y (W05293032) / T1651.271-Y (W05293032)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号商標法4条1項7号商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6476215号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6476215号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6476215号商標(以下「本件商標」という。)は、「olympe」の欧文字を標準文字により表してなり、令和3年3月19日に登録出願、第5類「人用栄養補助食品」、第29類「乳酸菌飲料」、第30類「コーヒー,コーヒー飲料」及び第32類「清涼飲料水」を指定商品として、同年10月29日に登録査定され、同年11月25日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1128501号商標(以下「引用商標」という。)は、「OLYMPIC」の欧文字を横書してなり、2011年(平成23年)9月16日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年11月8日に国際商標登録出願、第1類ないし第22類、第24類ないし第45類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年6月19日に設定登録され、その後、2021年(令和3年)10月28日に国際登録簿に記録された登録の減縮の通報により第1類ないし第3類、第5類、第7類ないし第12類、第14類、第16類ないし第19類、第21類、第24類、第25類、第28類、第32類、第35類ないし第39類、第41類ないし第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務に減縮され、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第121号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第6号について
(1)申立人について
申立人たるコミッティーインターナショナルオリンピック(IOC)は、近代オリンピックの創始者であるフランス人、ピエール・ド・クーベルタン男爵の提唱で1894年6月23日に設立された、オリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の団体である(甲4)。
(2)「OLYMPIC」標章の著名性及び公益性について
申立人が運営・統括に携わる、近代オリンピック競技大会の誕生は、今から130年以上前の1896年であり、同年に第1回オリンピックアテネ大会が開催され、以後、オリンピック競技大会は1世紀以上にわたり、美と技を競う世界規模の平和とスポーツの祭典として原則として2年又は4年に一度開催されてきた。
近年に開催された、2008年の第29回夏季オリンピック北京大会と2012年の第30回夏季オリンピックロンドン大会には、いずれも204の国と地域から1万人以上もの選手が参加し(甲5)、また、2016年の第31回夏季オリンピックリオデジャネイロ大会には過去最大の205の国と地域から1万1000人以上の選手が参加しており(甲6)、テレビ・インターネット・ラジオを通じて世界中の数十億の人々に視聴された。
甲第7号証ないし甲第66号証は、我が国で出版されたオリンピック競技大会に関する書籍の一部であるが、これらの書証からは、同競技大会が我が国でも大いに注目されており、「OLYMPIC」の文字からなる引用商標と同一の標章が、オリンピック競技大会を表すものとして、130年以上もの間継続して使用されてきた事実をうかがい知ることができる。
以上より、1886年の第1回オリンピックアテネ大会から2021年の第32回夏季オリンピック東京大会までの130年以上の長期にわたり、世界の各都市を舞台として盛大に開催されてきた、オリンピック競技大会を指称する「OLYMPIC」なる標章は、全世界で老若男女問わず、申立人がその運営・統括の中心となって開催するオリンピック競技大会やその関連活動等を広く示すものとして認識されており、その程度は極めて高く、世界でも最も著名な標章の一つであると共に、公益性も非常に高いものであることは明白である。
上述の諸点に加え、申立人及び「OLYMPIC」標章の公益性について触れると、オリンピック憲章では、申立人の使命として、「スポーツと文化および教育を融合させる活動を奨励し支援する」と規定されている(甲4)。かかる規定に基づき、申立人は、オリンピック・ムーブメントの一環として、様々な教育・文化活動を世界的規模で行い、「OLYMPIC」標章は、これらの各種教育・文化活動についても広く用いられ、親しまれている。我が国では、日本オリンピック委員会(JOC)等がオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業として、各種の教育・文化活動を国内で精力的に行っており(甲67~甲119)、このような活動は多岐に渡る。
申立人は、多くの協力者と共に、オリンピック・ムーブメントと呼ばれる、オリンピックの理念であるオリンピズムを具現化し、次の世代へと受け継いでいく様々な活動を行い、また、オリンピック憲章に従い、オリンピズムを推進すべく、普遍かつ恒久的な活動を行っており、このような活動の状況からしても、「OLYMPIC」が公益性の高い標章であることは明らかである。
(3)本件商標と「OLYMPIC」標章について
本件商標「olympe」と申立人に係るオリンピック競技大会を表象する「OLYMPIC」標章とは、語頭の5文字を共通にするばかりか、相違する末尾の文字「e」と「C」とは、視覚上極めて近似することから、本件商標に接した需要者・取引者にあっては、本件商標を「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが極めて高いものというべきである。
そして、「OLYMPIC」に関連して「OLYMPISM」や「OLYMPIAN」等の「OLYMP」を語頭に含む標章が主に申立人等の団体や組織によって、多用されている現状からすると、簡易迅速を旨とする実際の商取引においては、本件商標が必ずしも細部にわたって記憶して取引にあたるとは考え難く一見して語頭の「olymp」が印象付けられ、むしろ、「OYMPIC」標章と何らかの関連性があると捉えられ、全体として相紛らわしい類似の商標と認識されると考えられるものである。
(4)小括
以上を総合すると、「OLYMPIC」標章は、申立人に係る公益に関する事業であって営利を目的としない事業であるオリンピック競技大会を表象するものとして、本件商標の登録出願時には、我が国はもとより世界的に著名になっており、且つ、その状態は登録査定時においても継続していたと認められるものである。そして、本件商標と「OLYMPIC」商標とは類似するものであることからすると、本件商標は、商標法第4条第1項第6号の規定に違反して登録されたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)「OLYMPIC」標章は極めて公益性が高く、世界各国で著名に至っていることは明白であるから、これと同一又は類似、或いは、これとの関連性を想起させるような商標の登録・使用が認められれば、スポーツによる教育、平和への貢献といったオリンピック・ムーブメントにより築き上げられた価値観が棄損され、公益に反する結果を招くことは想像に難くなく、特に、2021年の夏には東京で第32回夏季オリンピック東京大会が開催され、日本でもオリンピック・ムーブメントの公益的な目標の達成に向けて官民一体となって邁進してきたことにも鑑みると、本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性の検討に際しては、「OLYMPIC」標章及びこれの使用される各種活動の公益性という点が十分に考慮されるべきである。
(2)申立人は、オリンピズムの理念に基づいてオリンピック競技大会を頂点としたオリンピック・ムーブメントを永きにわたり主導的な立場で推進してきたが、申立人と何ら関わりのない本件商標は、著名な「OLYMPIC」標章に便乗し、その信用、名声にあやかろうとする意図が明らかであって、申立人が推進してきたオリンピック・ムーブメントが阻害されるに他ならない。
ここで改めて本件商標「olympe」の文字と、「OLYMPIC」の文字を比較するに、両者は6文字又は7文字中の最初の5文字を共通し、語尾「e」(小文字のイー)と「C」(大文字のシー)とは、視覚上近似するアルファベット同士の差異に過ぎないことから、本件商標を「OLYMPIC」標章と見誤るおそれが極めて高いというべきである。
また、「OLYMPIC」に関連して「オリンピズム/OLYMPISM」や「オリンピアン/OLYMPIAN」等の「オリン(ピ)/OLYMP」を語頭に含む表現が多用されている現状からすると、本件商標は「OLYMPIC」に着想を得た名称であると容易に理解され、これに接する需要者等をして「OLYMPIC」との関連性を想起させるものである。
上述の諸点に鑑みると、本件商標は、「OLYMPIC」標章に化体した信用にただ乗りし、不正な利益を得ようとしたものであって、スポーツを通じ、平和でよりよい世界の実現に貢献するという、まさに公共の利益を追求するオリンピック競技大会の尊厳が害されるおそれがあるのみならず、「OLYMPIC」標章の著名性にあやかって不正な利益を得ようとするものであり、公正な取引秩序を乱すばかりか、国際信義及び公序良俗にも反するものである。
したがって、本件商標のように申立人と何ら関係のない者が本件商標を独占して使用することは、オリンピック憲章に基づき開催されるオリンピック競技大会の権威を損なうおそれがあるばかりか、社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すものと判断されるのが相当である。
そうすると、本件商標は、「OLYMPIC」標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力に便乗して不当な利益を得る等の目的をもって引用商標の特徴を模倣して出願し登録を受けたもので、商標を保護することにより、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的に反するものであり、公正な取引秩序を乱し、商道徳に反するものというべきである。
(3)小括
上述のとおり、本件商標は、申立人が運営・統括に携わるオリンピック競技大会やオリンピック・ムーブメント推進のための様々な式典やイベントで使用されている著名な「OLYMPIC」標章に化体した信用にただ乗りし、あやかろうとした、或いは、オリンピック競技大会やその日本代表選手である「オリンピアン(OLYMPIAN)」、オリンピックの理念である「オリンピズム(OLYMPISM)」との関連性を容易に想起させるべく採択されたものであり、社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すことは明らかであって、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたことが明らかである。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標とが類似の関係にあることは前記のとおりであって、また、本件商標(決定注:「引用商標」の誤記と認める。)の指定商品「fruit beverages and fruit juices」と引用商標(決定注:「本件商標」の誤記と認める。)の指定商品「清涼飲料水」は類似のものである。
したがって、引用商標に係る出願日及び登録日のいずれもが本件商標に係る商標登録出願の出願日及び登録日に先立つものであることも考慮すると、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
(2)小括
上述のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、その指定商品も同一又は類似のものであり、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたことが明らかである。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)「OLYMPIC」の著名性について
申立人が運営・統括に携わり、1886年の第1回オリンピックアテネ大会から2021年の第32回夏季オリンピック東京大会までの130年以上の長期にわたり、世界の各都市を舞台として開催されてきた、オリンピック競技大会やオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業にて使用されてきた「OLYMPIC」標章が、我が国は当然として全世界で極めて著名性の高いものであることは、上記にて詳述したとおりである。
オリンピック競技大会の開催をはじめとするオリンピック・ムーブメントの諸活動を継続的に実施するためには莫大な費用が必要であり、オリンピック・ムーブメントの推進には、民間企業等の資金的・技術的な協力が不可欠であることから、申立人は、世界各国でオリンピック・ムーブメントの推進と、オリンピック競技大会運営のための資金調達を目的としたマーケティング活動を実施している。
このようなマーケティングの主なものとしては、スポンサーシップ、放映権、ライセンシングがある(甲120、甲121)。このうち、スポンサーシップ契約は、原則として1業種につき1社のみとされ、これにより契約したスポンサーは、契約したスポンサーの種類に応じ、「OLYMPIC」の名称、オリンピック・シンボル(五輪マーク)、大会のエンブレムと大会マスコット等のオリンピック資産を利用した様々なマーケティング活動を行うことができる。オリンピックのスポンサー契約のうち、最高位のスポンサーシッププログラムが、申立人が1985年にスタートしたTOP(THE OLYMPIC Partner)プログラムであり、TOPのスポンサー企業は、世界的規模で、契約を締結した各分野について独占的に、オリンピック資産を活用したマーケティングを行うことが可能となる(甲121)。なお、2014年の冬季オリンピックソチ大会及び2016年の夏季オリンピックリオデジャネイロ大会のTOPスポンサーは12社という非常に厳選された数字となっている。
また、オリンピック開催国では、国内マーケティングプログラムが用意され、TOPスポンサーの業種との調整を踏まえて、業種別にスポンサー企業が決められることになっており(甲121)、例えば、2012年の夏季オリンピックロンドン大会のスポンサー企業の数は42社、2014年の冬季オリンピックソチ大会のスポンサー企業の数は46社に上った。
そして、2021年に開催された第32回夏季オリンピック東京大会でも、TOPスポンサー企業、東京2020オリンピックゴールドパートナー及び東京2020オリンピックオフィシャルパートナーとしての契約がこれまでと同様に締結されており、同大会の開催に伴う経済波及効果は約3兆円との試算が示されていたことからもわかるように、マーケティング活動を介しても、「OLYMPIC」が著名なものとなっていることが容易に理解できるものである。
(2)出所の混同のおそれについて
申立人の使用に係る「OLYMPIC」が1886年から現在に至るまでおよそ130年以上に渡り、世界最大級のスポーツの祭典であるオリンピック競技大会を指称する商標として使用されており、オリンピック競技大会といったスポーツの興行の企画・運営にとどまらず、これに関連した極めて広範な商品や役務との関係で著名であることは、上述より明らかである。
また、本件商標と「OLYMPIC」とは、語頭の「オリン」の称呼を共通にすると共に、外観上見誤るおそれがあり、更に、申立人やその関連組織・団体が「OLYMPIC」との関係で「オリンピアン/OLYMPIAN」や「オリンピズム/OLYMPISM」等の「オリン(ピ)/OLYMP」を語頭に含む表示を多用していることも考慮すると、「OLYMPIC」の極めて高い著名性と相俟って、本件商標は「OLYMPIC」関連の一群の商標と認識され得るものである。
そして、申立人は、各企業とのスポンサーシップ契約を締結し、それらのスポンサーがオリンピック資産を利用したさまざまなマーケティング活動を行っているという実態からすれば、著名な「OLYMPIC」商標との関係性を容易に想起させる本件商標が付された本件の指定商品が実際の商取引に資された場合、これに接した需要者・取引者は、申立人あるいは日本オリンピック委員会と正式なスポンサー契約を締結した、オフィシャルスポンサーの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
(3)小括
したがって、申立人が中心となって開催されるオリンピック競技大会やオリンピック・ムーブメントの普及・啓発事業を表示する「OLYMPIC」と密接な関連性を印象付ける本件商標は、これが使用された場合、オリンピック競技大会を容易に想起又は連想させ、申立人あるいは日本オリンピック委員会とスポンサー関係にある者の業務に係る商品であると商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
(1)申立人提出の証拠によれば、「OLYMPIC」の文字(以下「引用標章」という。)は、非営利公益団体である国際オリンピック委員会(申立人)により開催されるオリンピック競技大会を指標する標章として長年にわたり使用されていることが認められ、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として、著名なものとなっていたと認められるものである。そして、引用標章は、これに相応して「オリンピック」の称呼及び「オリンピック競技大会」の観念を生じるものというのが相当である。
(2)本件商標は、上記第1のとおり、「olympe」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「オリンポスの神々」等の意味を有する語(「クラウン仏和辞典 第7版」株式会社三省堂)として辞書に掲載されているとしても、その意味が、我が国の一般需要者の間でよく知られたものとは認め難いから、特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として理解されるものである。
そして、特定の意味を有さない欧文字からなる造語にあっては、我が国で広く親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みにならって称呼されるのが一般的といえるから、本件商標からは、「オリンペ」の称呼を生じるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、「オリンペ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)そこで、本件商標と引用標章を比較するに、外観については、両者は、末尾における「e」と「IC」の文字の相違により、外観上十分に区別できるものである。また、称呼については、本件商標より生ずる「オリンペ」の称呼と、引用標章より生ずる「オリンピック」の称呼とは、その音構成において語頭からの「オリン」の音を共通にするも、これに続く音において「ペ」と「ピック」との明確な差異を有するものであるから、両者は称呼上明瞭に聴別し得るものである。さらに、観念については、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用標章は「オリンピック競技大会」の観念を生じるから、両者は観念上紛れるおそれがないものである。
そうすると、本件商標と引用標章とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)以上のとおり、本件商標は、「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なもの」に同一又は類似の商標と認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記1(3)のとおり引用標章と非類似の商標であるから、引用標章と同一の綴りからなる引用商標とも、非類似の商標といい得るものである。
したがって、両商標の指定商品の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用標章は、上記1(1)からすれば、申立人により開催されるオリンピック競技大会を表示するものとして、著名なものと認められる。
しかしながら、上記1(3)のとおり、本件商標は、引用標章と非類似のものであり、別異の商標と認められるものである。
してみると、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用標章を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号について
上記1(3)のとおり、本件商標は、引用標章とは非類似の商標であるから、引用標章の著名性に便乗して不正な利益を得るために使用する目的をもって登録出願されたものとはいえず、その指定商品に使用することが、商取引の秩序を乱し、社会の一般的道徳観念や国際信義に反するということはできない。
そして、本件商標は、その構成からみて、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成のものでないことは明らかであり、その他、本件商標が、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号、同項第7号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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