商標拒絶査定不服審判
2021-008725
トーキョークロゲワギュー、トーキョーソダチトーキョーワギュー、トーキョーソダチ、ソダチ、トーキョーワギュー
- 審判番号
- 2021-008725
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-020568
- 請求日
- 2021年07月01日
- 審決日
- 2022年05月24日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ミート・コンパニオン
- 【請求人代理人】特許業務法人タナベ・パートナーズ国際特許事務所
- 【請求人代理人】田辺 敏郎
- 【請求人代理人】田辺 恵
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .21 -Z (W2930)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第6号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-20568拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年2月4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年12月12日付け:拒絶理由通知
令和2年 2月12日 :意見書の提出
令和2年 2月13日 :手続補足書の提出
令和3年 3月30日付け:拒絶査定
令和3年 7月 1日 :審判請求書の提出
令和3年 7月 2日 :手続補足書の提出
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「東京産の黒毛和牛肉,東京産の黒毛和牛肉を使用してなる肉製品,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるカレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「東京産の黒毛和牛肉を使用してなるサンドイッチ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなる中華まんじゅう,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるハンバーガー,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるピザ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるホットドッグ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるミートパイ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるぎょうざ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるしゅうまい,東京産の黒毛和牛肉を使用してなる弁当,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるラビオリ,東京産の黒毛和牛肉を使用してなるパスタソース」を指定商品として登録出願されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成中の横長楕円形は、ありふれた輪郭として普通に使用されている図形であり、特定の称呼及び観念を生じることのない一種の背景図形として看取、把握されるものである。また、本願商標の構成中の各文字部分については、本願商標に係る指定商品との関係において、商品の名称、原材料、品質を表したものであり、自他商品識別標識としての機能が極めて弱いか、その機能を果たさないものである。
さらに、本願商標の構成中の、牛の顔正面と思しき切り抜きを施した緑色で着色した図形と各文字部分については、重なり合っているものの、観念上のつながりが認められず、当該図形と各文字部分とを一体とみるべき特段の事情も認められないことからすると、当該色図形が、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であり、本願商標から当該図形を要部の一として分離、抽出することも許されるというべきである。
次に、本願商標の構成中の、牛の顔正面と思しき切り抜きを施した緑色で着色した図形と、「T」を図案化した東京都のシンボルマークとの類否について検討するに、両者は同色で着色されており、全体の形状も類似しているものである。そして、前者の一部に牛の顔正面と思しき切り抜きが施されているが、当該部分は、図形全体において占める割合が小さく、図形全体の形状や色彩等に与える影響も小さく、当該部分をもって、同色かつ全体の形状が類似する著名な東京都のシンボルマークと非類似であるとはいえない。
そうすると、本願商標は、その構成中に、東京都が、東京都のシンボルマークとして平成元年3月22日に決定、同年6月1日に制定し、現在に至るまで使用している著名な標章と類似するものを有してなるから、本願商標は、地方公共団体を表示する標章であって著名なものと類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号の趣旨
商標法第4条第1項第6号の趣旨は、同号所定の公的機関、非営利公益団体及び非営利公益事業(以下「公的機関等」という。)を表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標が商標登録を受けると、当該商標の使用状況等によっては、公的機関等の権威や信用が損なわれたり、また、当該商標に関する業務が公的機関等に関わるものであるなどの誤解を招き、需要者・取引者に損害を与えるという弊害が生じ得ることから、そのような商標の登録を禁じることによって、上記弊害の発生を阻止し、公的機関等の権威及び信用を保持するとともに、出所混同の防止により需要者・取引者の利益を保護するものと解される(知財高裁平成26年(行ケ)第10090号、平成26年9月17日判決言渡)。
2 商標法第4条第1項第6号該当性について
(1)東京都シンボルマークが「地方公共団体又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章で著名」であることについて
請求人提出の甲号証及び別掲2によれば、以下のとおりである。
ア 東京都は、旧東京市の成立100周年を記念して、1989年(平成元年)6月1日に東京都シンボルマークを制定した(平成元年東京都告示第五七七号)。当該東京都シンボルマークは、「三つの同じ円弧で構成」された図形であり、「鮮やかな緑色」で彩色することを基本としている(甲1~甲3、別掲2(1))。
イ 東京都シンボルマークは、東京都庁舎に掲揚されている都旗(平成元年東京都告示第九七八号)に配されているほか、同庁舎正面の窓にデザインされている。また、東京都交通局の都営地下鉄、都営バス車両、清掃車や、同局が販売する都営交通オリジナルグッズ、あるいは、東京都水道局の浄水場などでも、東京都シンボルマークが使用されている。さらに、東京都公式ホームページのロゴマークや、東京都公式SNSアカウントのアイコンとしても、東京都シンボルマークが使用されている(甲2、別掲2(2)~(4))。
ウ 東京都シンボルマークのデザイン決定時、あるいは制定当日に、東京都シンボルマークのデザインが、都の木であるイチョウの葉の形状と関連付けて新聞報道された(甲2、別掲3)。
エ 上記アないしウによれば、東京都シンボルマークは、1989年の制定以降、30年以上にわたり、東京都によって、多数かつ多岐にわたる公共サービス等に使用されているものであり、新聞報道もされたものといえる。
そうすると、東京都シンボルマークは、地方公共団体又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、一般に広く知られている著名な標章と判断するのが相当である。
(2)本願商標と東京都シンボルマーク(以下「引用標章」という。)との類否について
ア 判断基準
商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解される商標の類否判断に当たり、構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、〔1〕その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、〔2〕それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ 本願商標について
本願商標は、〔a〕ベージュ色で彩色された横長楕円図形(周縁部に黒色の細線が配されている。以下、当該〔a〕図形を「楕円図形」という。)、〔b〕楕円図形内の中心部に大きく顕著に配された図形であって、緑色で彩色された三つの同じ円弧で構成された図形(頂部に小さく、二つの角と耳がある動物の頭部を正面から表したと思しき図形が、ベージュ色に彩色され配されている。以下、当該〔b〕図形全体を「緑色図形」といい、ベージュ色に彩色された動物の頭部と思しき図形を「ベージュ色図形」という。)、〔c〕楕円図形内の中央部に毛筆体で横書きしてなる「東京黒毛和牛」の文字(下には、当該文字と幅を揃えた下線が配されている。)、〔d〕〔c〕の下線部の下に小さく横書きしてなる「東京育ち TOKYO WAGYU」の文字、の各構成要素を結合した結合商標である。
そして、本願商標の構成中、〔a〕の楕円図形部分からは、特定の観念及び称呼が自然に生じるものとはいえず、上記〔b〕ないし〔d〕の各要素の背景図形又は輪郭図形であるとの印象を受ける。次に、〔c〕の「東京黒毛和牛」の文字部分は、「東京の黒毛和牛」の意味合いを認識させるところ、本願の指定商品である「東京産の黒毛和牛肉,東京産の黒毛和牛肉を使用してなる肉製品」等との関係において、商品自体の名称、あるいは、商品の原材料又は品質を表したものとして看取、理解され得ることから、自他商品の識別標識としての機能は強いものとはいえない。また、〔d〕の「東京育ち TOKYO WAGYU」の文字部分については、「東京産の和牛」であることを表したものと解し得るところ、本願の指定商品である「東京産の黒毛和牛肉,東京産の黒毛和牛肉を使用してなる肉製品」等との関係において、商品の産地、原材料又は品質を表したものとして看取、理解され得ることから、自他商品の識別標識としての機能は強いものとはいえない。
一方、本願商標の構成中、〔b〕の緑色図形部分は、ベージュ色で表された楕円図形を背景として、緑色で表されており、背景色に比して鮮やかな色彩であることや、緑色図形が本願商標全体に占める割合が大きいこと(例えば、緑色図形の直径は、楕円図形の長径の約6割を占める。)、また、緑色図形はその一部において〔c〕及び〔d〕の文字と重なる部分があるものの、当該文字部分に比して、緑色図形は約3倍程度の縦幅をもった大きさで表されていることからすると、外観上、緑色図形部分は、本願商標の他の構成部分に比して、見る者の注意をより引くものであるということができる。
そうすると、本願商標のうち、緑色図形部分は、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできず、本願商標のうち、緑色図形部分だけを引用標章と比較して商標の類否の判断をすることも許されるというべきである。
ウ 本願商標と引用標章との類否について
本願商標の要部である緑色図形部分と引用標章とを対比すると、いずれも、〔a〕緑色で彩色されている点、〔b〕三つの同じ円弧で構成されている点、〔c〕図形の比率が別掲2(1)のとおりの縦横比である点において一致している。
他方、本願商標の要部である緑色図形には、ベージュ色図形が配されている点において、引用標章と相違しているものの、当該ベージュ色図形は小さく表されており、緑色図形全体に占める割合は小さいものである。
したがって、両者には若干の相違が存在するものの、上記の一致点は、本願商標の要部である緑色図形部分及び引用標章の基本的な構成要素における一致点と評価できることに照らせば、その相違は微差にとどまるものというほかない。すなわち、両者は、上記のように、三つの同じ円弧で構成された同一の縦横比を有する緑色の図形である点において構成の軌を一にしているため、看者に与える印象が近似したものになり、時と処を異にして両者に接するときは互いに紛れやすいというべきである。
したがって、本願商標の要部である緑色図形部分と引用標章は、外観において類似するというべきである。
(3)小括
以上によれば、本願商標は、地方公共団体又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な標章と類似の商標である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、引用標章は「イチョウの葉」特有の中央上方部の切込みがないことからも明らかなように、東京都の頭文字「T」を基調にデザインされたものであって、「イチョウの葉」ではない旨を主張するとともに、本願商標は「イチョウの葉」を図案化したものであること、すなわち、牛の正面顔図形を、イチョウの葉中央上端部縦方向の切込部も兼ねた状態に配置してなる「イチョウの葉マーク」そのものであり、「T」を基調とした引用標章とは明確に異なる旨主張する。
しかしながら、本願商標中の緑色図形の頂部にベージュ色図形が配されているとしても、当該ベージュ色図形は、緑色図形の上部の切り込みを表したものとは看守しがたく、当該ベージュ色図形の存在によっても、本願商標中の緑色図形の輪郭と、引用標章の輪郭とは、構成の軌を一にするものである。また、本願商標中の緑色図形と引用標章を、場所と時間を異にして離隔的に観察する需要者にとって、両者の相違点は、上記2(2)ウにおいて指摘した、〔a〕緑色で彩色されている点、〔b〕三つの同じ円弧で構成されている点、〔c〕図形の比率が別掲2(1)のとおりの縦横比である点、という両者の基本的な構成要素に比し、わずかな差異にすぎないというべきであって、本願商標中の緑色図形と引用標章は、外観的な印象を共通にし、類似するというべきである。なお、両者のデザイン上の意図に関わらず、客観的には、両者は外観において類似することは上記2(2)ウのとおりであるから、引用標章は「T」を基調にデザインされたものであることや、本願商標中の緑色図形は「イチョウの葉」を図案化したものであるという請求人の意図は、上記判断を左右するものではない。
(2)請求人は、「本願商標と共通の類似群を指定してなり『イチョウの葉』を基調とした商標登録例」(甲4~甲7)を挙げ、これらの既登録例はいずれも中央上端部にイチョウの葉特有の縦方向の切り込み状の形態が見られることから、欧文字「T」を基調とした引用標章とは明白に異なること、また、本願商標も「イチョウの葉マーク」そのものであることから、「イチョウの葉」を有する商標が商標法第4条第1項第6号に該当しないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、デザイン上の意図に関わらず、客観的にみて、本願商標中の緑色図形と引用標章は、外観において類似することは上記2(2)ウのとおりである。また、請求人が挙げる甲第4号証ないし甲第7号証に掲載されている登録商標例は、いずれの図形においても、上部輪郭側に1箇所又は3箇所の切れ込みを有する態様で表されており、本願商標中の緑色図形の輪郭と明らかに相違するものであるから、請求人の挙げた商標登録例があるからといって、それらが本件における判断を左右するものではない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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