2021-007214
ペットフード組成物
- 審判番号
- 2021-007214
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-535241外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月02日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .537-WZ (A23K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2016年(平成28年)12月27日を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 9月23日 :意見書、手続補正書の提出
同年 6月 2日 :審判請求書の提出
同年 8月10日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~11に係る発明は、令和4年8月10日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである(なお、下線は補正箇所を明示するために合議体にて付与した。)。
「 【請求項1】ネコのCORIを低下させるためのペットフード組成物であって、オメガ-6多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤及び少なくとも二種類のオメガ-3多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤を、ネコのシュウ酸カルシウムリスク指数(CORI)を低下させるのに有効な量で含み、少なくとも二種類のオメガ-3多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤の合計が、前記オメガ-6多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤よりも多い量であり、前記オメガ-6多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤は、アラキドン酸(AA)であり、前記少なくとも二種類のオメガ-3多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤が、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含み、前記AA:(EPA+DHA)の比が0.4:1~0.6:1であり、前記オメガ-6多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤および前記少なくとも二種類のオメガ-3多価不飽和脂肪酸の栄養補助剤が、前記ペットフード組成物の乾燥重量の0.3%~1%の量で含まれる、ペットフード組成物。」
第3 拒絶の理由
令和4年4月28日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、理由1の概要は、以下のとおりである。
1.(サポート要件)本願は、補正前の請求項1~13について、下記の点で、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
本願発明の課題は「ネコの水分補給を増加させることにより、FLUTD等の尿路状態を治療、低減、抑制又は緩和するための方法及び組成物」を提供することであるが、本願明細書の発明の詳細な説明及び本願出願時の技術常識を踏まえても、「AA:(EPA+DHA)の比」を「0.1:1~0.9:1」の範囲とすることのみで上記課題を解決することを、当業者が認識することができたとはいえない。
よって、補正前の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。
また、補正前の請求項2~13に係る発明についても同様である。
第4 当審の判断
1 サポート要件の判断について
特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである(平成17年(行ケ)第10042号)。
2 発明の詳細な説明の記載について
本願明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
(1)「【背景技術】【0001】イエネコ(Felis domesticus)は砂漠条件で正常に生息し、他の多くの哺乳動物と比較して、非常に濃縮した尿を生成することにより水を保持することに適応している。しかし、非常に濃縮した尿を生成することは、尿路結石、及び猫の特発性膀胱炎等の、確定されていない他の尿路状態の発症の促進等の悪影響を有する可能性がある。しばしば乏しい水分補給に起因するネコの尿路状態は、猫下部尿路疾患(FLUTD)と呼ばれることもある。【0002】FLUTDはネコの生命を脅かす状態となる場合がある。特に、ネコの飼い主がFLUTDで直面する問題は、症状に飼い主が気づく時までに、この疾患はネコの生命を脅かしているということである。結晶がネコの尿路中で結石として析出し、尿流を遮断する可能性がある。結石の種類としてはストルバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、シスチン、リン酸カルシウム、及びケイ酸塩が挙げられる。ストルバイト及びシュウ酸カルシウムの結石が、ネコにおいて群を抜いて最も一般的である。未治療のままでいると、尿が逆流して腎臓を損傷し、毒素が血中に蓄積するため、「遮断された」ネコは死に至る。【0003】ネコに一層水を飲ませるようにすることができると、これにより尿を希釈することにより、低水分により生じるネコの尿路状態を緩和することができる。この希釈は二つの段階:まず、尿内の電解質濃度を低下させることにより(ネコがより多くの食塩を補うために、それ以上水を飲まないと仮定する)、及び次に、排尿頻度を増加させることによって膀胱中の尿を消化するのにかかる時間を減少させることにより、作用する。概してネコは一日あたり、体重1kgあたりわずか約30ミリリットルの水しか飲まず、自然に飲水を増加させることは難しい。水分の多いフードを与えることは、水を大変多く飲まない動物の水分摂取の増加に役立つが、摂取する水が依然として十分でないか、又は利尿が十分に増加しないといういずれかの理由により、不十分となり得る。加えて、泌尿器症候群を示すネコは多くの場合肥満であるか、又は過剰体重を有している。このように、尿障害、特にFLUTDの治療が望まれる場合、水分の多いフードを与えることは好ましいこともあるが、十分ではなく、すなわちこうしたフードが十分な水分補給をもたらさないか、ネコが受け入れない場合があるか、又は、消費量の管理が十分になされないと更なる過剰体重及び/もしくは肥満を誘発する場合がある。【0004】ペットフード組成物中においてドコサヘキサエン酸(「DHA」)及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)などの特定のオメガ-3多価不飽和脂肪酸を組み込むことは一般的に公知である。また、特定のキャットフードは、オメガ-3及びオメガ-6多価不飽和脂肪酸の両方を含有することが知られているが、脂肪酸が水分補給レベルにおいて重要な役割を担う/果たすという教示又は示唆は何も明らかになっていない。したがって、ネコの水分補給を増加させることにより、FLUTD等の尿路状態を治療、低減、抑制又は緩和するための方法及び組成物の必要性が、今日存在する。」
(2)「【0005】驚くべきことに、キャットフード中において特定のオメガ-3多価不飽和脂肪酸とオメガ-6多価不飽和脂肪酸との比を制御することで、ネコの尿の比重が低下することと、シュウ酸カルシウムリスク指数(CORI)で示されるように、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクが低下することとが結果として得られることとなるということが発見された。特に、EPA+DHAに対するAAの比[AA:(EPA+DHA)]が1未満であることが、ネコの尿の比重を低下させ、動物を脱水させることなく幼猫及び成熟した成猫両方においてCORIを低下させる。」
(3)「【0030】尿比重は尿希釈度の測定法である。比重が大きければ大きいほど、尿は一層濃い/濃縮されている。ネコにおける尿比重の正常な範囲は、典型的には1.030から1.060の間である。非常に低い比重は腎不全を示す一方で、高い尿比重は尿が更に濃縮されているため、一層、結石が析出して問題を生じることとなりやすいことを意味する。【0031】尿比重は、(a)腎臓の集合管への糸球体濾過を経る尿の生成、及び(b)集合管から水を吸収して血流に戻すことの組み合わせにより制御される。このプロセスは、部分的にはエイコシノイド(eicosinoid)プロスタグランジンE2(PGE2)により制御されている。PGE2は腎臓尿細管細胞上でプロスタグランジンE受容体に結合し、セカンドメッセンジャーの活性化により、体内の水及びナトリウムのバランスを制御するものである水及びナトリウムのチャネルを制御する。【0032】発明者らは、ネコの遺伝子型と、それら個々の尿比重との間の全ゲノム関連研究を使用して、AAからPGE2を作製する経路中での鍵となる酵素である、プロスタグランジンEシンターゼ3遺伝子を含有する遺伝子座を発見した。更に、ネコの食餌における、EPA+DHAに対するAA(PGE2の前駆体)の様々な比が、ネコの尿比重と相関することも見出された。このように、食餌におけるAAの量を制御することで、ネコの尿比重を低下させることができるということが見出された。本発明の組成物を給餌されたネコは尿が一層薄いが、その血液浸透圧もまた低下することが見出されたが、このことは、これらの動物はより多く水を飲み、全体の水のバランスが増加した、即ちより水分補給されたことを示している。【0033】高い相対過飽和度(「RSS」)は、シュウ酸塩及びストルバイト両結石に関して、尿石を形成する傾向を示す。比重の低下がRSSの低下と相関していることが見出された。したがって、ネコにおける、一層水和した尿の生物学的メリットは、結石形成のリスク低下である。【0034】尿石症の管理は、多くのペットフードメーカー及び独立の研究者の間の積極的な研究の領域である。シュウ酸カルシウムリスク指数(CORI)は、析出が生じるまで、全尿をシュウ酸ナトリウム溶液で滴定することによって決定される。CORI値は、カルシウムイオン濃度([Ca2+])を析出点までに添加されたシュウ酸塩の量で除算することによって求められる。CORIはまた、イヌ又はネコの尿中の尿結晶の阻害因子及び促進因子を説明すると考えられている。CORI試験は、RSSとともに実施され、ペットにおけるシュウ酸カルシウムの尿結石形成のリスクを低減することに関して切望されている洞察をもたらしうる。このタイプの複合試験はまた、尿結石リスク低減を目的とする特定の療法(食餌又は薬物)が個別の患者においてシュウ酸カルシウム再発(recurrence)のリスクを真に低減させるという臨床的に関連性のある情報も提供しうる。」
(4)「【実施例】【0076】実施例1以下の表1には、本発明の4つの比較成分表と3つの例示的成分表とを記載している。表1【表1】[図:0001394413000001.jpg]」
(5)「実施例2【0077】給餌試験を実施して、CORIに対する食餌の影響を評価した。12匹のネコには対照食餌を給餌し、12匹のネコには本開示による低いAA:(EPA+DHA)比を有する試験食餌を給餌した。対照食餌はAAを0.07重量%、合わせたEPA及びDHAを0.02重量%で含有して、AA:(EPA+DHA)比が3.5:1、かつ、水分含有量が5.15重量%を得た。試験食餌はAAを0.16重量%、合わせたEPA及びDHAを0.27重量%で含有して、AA:(EPA+DHA)比が0.59:1、かつ、水分含有量が5.11重量%を得た。ネコは、それらそれぞれの食餌で56日間維持した。【0078】各ネコから、A、B及びC日目に尿を採取して分析した。給餌期間にわたって、対照食餌を給餌したネコは、平均CORI値が54.5を示した。この同一期間にわたって、本発明の特定の実施形態による試験食餌を給餌したネコは、平均CORI値が40.2を示した。本実施例で説明されるように、試験食餌を給餌したネコは、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクが26%低下することを示した。」
(6)「実施例3【0079】給餌試験を実施して、尿比重に対する食餌の影響を評価した。12匹のネコに実施例1の対照食餌を給餌し、12匹のネコに実施例1の試験食餌を給餌した。ネコは、それらそれぞれの食餌で56日間維持した。各ネコから、0日目、28日目及び56日目に尿を採取して尿比重を分析した。この食餌期間にわたって、対照食餌を給餌したネコは、平均尿比重が1.056を示した。この同一期間にわたって、本開示による試験食餌を給餌したネコは、平均尿比重が1.053を示した。本実施例で説明されるように、試験食餌を給餌したネコは、対照食餌よりも0.04重量%少ない水分を含む食餌を給餌していたにも関わらず、ほとんど濃縮されていない尿(すなわち、密度が低い)を呈した。」
3 本願発明の課題について
本願発明の課題は、上記2(1)より、「ネコの水分補給を増加させることにより、FLUTD等の尿路状態を治療、低減、抑制又は緩和するための方法及び組成物」を提供することと認められる。
4 本願発明の課題を解決するための手段について
(1)本願発明は「ネコのCORIを低下させるためのペットフード組成物」であり、「AA:(EPA+DHA)の比が0.4:1~0.6:1」であるものである。
(2)上記2(2)の記載によると、「キャットフード中において」、「AA:(EPA+DHA)を1未満とすること」で、「CORI」が「低下」するため、「FLUTD等の尿路状態を治療、低減、抑制又は緩和する」ことが可能となるものと解される。そして、本願発明は「AA:(EPA+DHA)の比が0.4:1~0.6:1」と特定されており、AA:(EPA+DHA)の比が1未満となるから、本願発明は発明の詳細な説明に記載されたものであると、形式的にはいえる。
(3)しかしながら、本願発明がサポート要件に適合するか否かは、上記1のとおり、本願発明が、形式的に発明の詳細な説明に記載された発明であるだけでは足りず、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かによって判断されるべきものである。したがって、以下、「AA:(EPA+DHA)の比」を「0.4:1~0.6:1」とすると「CORI」が「低下」し、本願発明の課題を解決できると当業者が認識できるように、本願出願時の技術常識も踏まえて発明の詳細な説明に技術的な裏付けが十分記載されているかについて検討する。
(4)本願明細書の発明の詳細な説明には、上記2(5)にCORIに対する食餌の影響を評価するためのネコに対する給餌試験が記載されている。また、食餌による疾患の治療には、食餌中の有効成分の比率だけでなく、その配合量が影響することが技術常識である。
この点も踏まえると、上記2(5)の試験食餌(AAを0.16重量%、EPA及びDHAを合わせて0.27重量%、水分5.11重量%)は対照食餌(AAを0.07重量%、EPA及びDHAを合わせて0.02重量%、水分5.15重量%)に比べて、AA、EPA及びDHAをいずれも2倍以上含んでいるところ、上述したとおり、食餌中の有効成分の配合量は当然実験結果に影響を及ぼすと考えられ、食餌中の有効成分の配合量について比較検討する等のことを行わない上記2(5)の給餌試験に基づいて「AA:(EPA+DHA)の比」を「0.4:1~0.6:1」とすることのみで「CORI」が「低下」することの十分な技術的裏付けとはならない。
また、発明の詳細な説明に上記2(5)以外のCORIに対する食餌の影響を評価するためのネコに対する給餌試験は記載されていない。さらに、AA、EPA、DHAがそれぞれCORI値の低下にどのような影響を及ぼしているのか、その作用機序が何ら記載されていない。
上記のことからみて、なぜ「AA:(EPA+DHA)の比」を「0.4:1~0.6:1」とすることで課題が解決するといえるのか、当業者であっても理解することができない。
(5)なお、仮に「「AA:(EPA+DHA)の比」を特定することにより「CORI」が「低下」する」こと自体が正しいものであるとしても、課題を解決する手段となる「AA:(EPA+DHA)の比」の範囲がなぜ「0.4:1~0.6:1」となるのか、発明の詳細な説明に十分示されていない。すなわち、上記2(5)の対照食餌の比はAA:(EPA+DHA)=3.5:1であり、試験食餌の比はAA:(EPA+DHA)=0.59:1であるが、「0.4:1~0.6:1」という範囲、特に境界値である「0.4」及び「0.6」は何を根拠として導出されたのか、発明の詳細な説明には何ら技術的な裏付けがなされておらず、技術常識ともいえないから、その意味においても「AA:(EPA+DHA)の比」を「0.4:1~0.6:1」の範囲とすれば課題が解決することを、当業者が認識できたものとはいえない。
5 請求人の主張について
(1)請求人の主張について、請求人は、令和4年8月10日提出の意見書において、次の主張を行っている。
ア 主張1
本願発明において、AA:(EPA+DHA)の比を0.4:1~0.6:1とする根拠について、実施例1の例1~3と主張している。
イ 主張2
本願発明が課題を解決できるかどうかという点に関して、実施例2では、平均CORI値が十分に低下したことが示されている(段落0078参照)と主張している。
(2)請求人の主張についての検討・判断
折りたたみ中(クリックで表示)
ア 主張1について
実施例1の例1~3に記載された「AA:(EPA+DHA)」の値はそれぞれ、「0.46」、「0.48」、「0.59」であるから、いずれの例もAA:(EPA+DHA)の比が「0.4:1~0.6:1」の範囲内となるものである。
しかしながら、実施例1の例1~3の食餌を与えられたネコのCORIがどのような値となるかについては、発明の詳細な説明に何ら記載が無い。したがって、例1~3の食餌が本願発明の課題を解決することとの関係について不明と言わざるを得ず、AA:(EPA+DHA)の比を「0.4:1~0.6:1」とすることで課題が解決することを示す根拠とはなり得ない。
なお仮に、実施例1の例1~3が本願発明の課題を解決するものに対応するとしても、実施例1には、比較例として比較例3及び4が記載されており、それらの「AA:(EPA+DHA)」の値はそれぞれ、「0.56」、「0.59」であるから、例1~3が課題を解決するものであれば比較例3及び4も同様に課題を解決できるものに含まれるといえる。しかしながら、「比較例」として扱われている以上、比較例3及び4の食餌では本願発明の課題を解決できなかったことが推察され、ひいては、AA:(EPA+DHA)の比を「0.4:1~0.6:1」とすることのみでは課題が解決し得ないことを裏付けることを表すものともいえる。
以上のことから、実施例1を検討しても、上記4の判断を左右するものではなく、主張1を採用できない。
イ 主張2について
上記4(4)でも述べたとおり、実施例2に記載されるような特定の成分を特定の配合量含んだ食餌についての実験から、なぜ配合量に依らずAA:(EPA+DHA)の比を「0.4:1~0.6:1」とすることで本願発明の課題が解決するという結論が得られるのか、その技術的又は理論的な裏付けは不明である。そして、サポート要件の立証責任は出願人側が負うべきところ(平成17年(行ケ)第10042号)、請求人は当該裏付けに関し意見書において何ら主張していない。そうすると、AA:(EPA+DHA)の比を0.4:1~0.6:1とすることで課題が解決することを、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らしても、当業者が認識できたものとはいえない。
したがって、主張2は採用できない。
6 小括
以上のことから、本願発明は、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえないものである。
第5 まとめ
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-007214