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特許拒絶査定不服審判

2023-007618

リグニンを含む不溶性繊維、ポリフェノール源、および可溶性繊維源を含むペットフード組成物

審判番号
2023-007618
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-535181
請求日
2023年05月10日
審決日
2024年11月14日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人山崎国際特許事務所
  • 【請求人代理人】赤松 利昭
  • 【請求人代理人】内藤 忠雄
  • 【請求人代理人】今井 千裕
  • 【請求人代理人】朴 志恩
審判長/審判官
  • 審判長 居島 一仁
  • 審判官 加藤 範久
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P18 .536-WZ (A23K) / P18 .537-WZ (A23K) / P18 .121-WZ (A23K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
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特願2021-535181「リグニンを含む不溶性繊維、ポリフェノール源、および可溶性繊維源を含むペットフード組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月25日国際公開、WO2020/131007、令和 4年 2月22日国内公表、特表2022-515737〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)12月17日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 3年 6月17日 手続補正書の提出 令和 4年 6月22日付 拒絶理由通知書 同年 9月28日 意見書、手続補正書の提出 同年12月22日付 拒絶査定 (令和 5年 1月10日 謄本の送達) 令和 5年 5月10日 審判請求書及び手続補正書の提出 令和 6年 4月25日付 当審における拒絶理由通知書 同年 7月31日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、令和6年7月31日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用のペットフード組成物であって、 リグニンを含む不溶性繊維と、 ポリフェノールと、 を含み、前記リグニンを含む不溶性繊維は、繊維束を含み、 前記コンパニオンアニマルが、イヌ科動物またはネコ科動物であり、任意選択で、ネコ科動物であり、 前記繊維束は前記ペットフード組成物の総重量の5重量%~15重量%の量で存在する、ペットフード組成物。」 第3 当審において通知した拒絶理由 当審において令和6年4月25日付けで通知した拒絶の理由のうち、理由2、理由3、理由5の概要は、次のとおりである。 理由2(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由5(進歩性)この出願の請求項1から9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2017/117091号 2.特開平9-143083号公報(技術常識を示す文献) 3.特開2008-13534号公報(技術常識を示す文献) 4.特開2013-177349号公報(技術常識を示す文献) 5.特表2014-504641号公報(技術常識を示す文献) 6.特表2007-527400号公報(周知技術を示す文献) 第4 サポート要件について 1 本願発明 本願発明1は、前記第2で示したとおりである。 2 発明の詳細な説明の記載 (1)段落【0003】及び【0004】 「【0003】 そのため、食物摂取を促進/刺激できるだけでなく、摂取された食物の適切な消化を確実にすることができるような栄養治療学に対するニーズが依然として存在する。理想的には、予定された活動計画の変更に直面してもより高い食物摂取量を維持することができるが、最低でも、予定された活動計画の混乱が収まった後、動物はできるだけ早く通常の摂取量レベルに戻るであろう。 【0004】 本発明の特定の実施形態は、これらの、および他のニーズに対処するように設計されている。」 (2)段落【0017】 「【0017】 いくつかの実施形態では、ポリフェノール源はフェノール化合物の混合物を含む。いくつかの実施形態では、ポリフェノール源は、エラグ酸、没食子酸、プロトカテク酸、p-ヒドロキシ安息香酸、カテキン、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択されるフェノール化合物を含む。いくつかの実施形態では、ポリフェノール源は、ピーカン殻、またはピーカンナッツの任意の他の構成要素を含む。いくつかの実施形態では、ピーカン殻はまた、リグニン系繊維の源であってもよい。」 (3)段落【0038】ないし【0040】 「【0038】 他の実施形態は、リグニンを含む不溶性繊維源、ポリフェノール源、および可溶性繊維源を含む組成物であって、不溶性繊維の可溶性繊維に対する重量比が、約2:1より大きい組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、a)ストレスに苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加させること、b)多くのストレスの経験中にコンパニオンアニマルの食物摂取量を維持すること、c)不安に苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加および/または維持すること、d)予定された活動計画変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化すること、e)コンパニオンアニマルの糞便エタノールアミドを減少させること、f)コンパニオンアニマルの糞便アシルタウリンを減少させること、g)コンパニオンアニマルの糞便アシルグリシンを減少させること、h)食餌性タンパク質腐敗を減少させること、i)不安に苦しむコンパニオンアニマルの体重を増加させること、および/または、j)コンパニオンアニマルのエンドカンナビノイド系を調整すること、のための方法を提供する。 【0039】 またさらなる実施形態は、本明細書に記載のいずれか一つの組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに投与することを含む、a)ストレスに苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加させること、b)多くのストレスの経験中にコンパニオンアニマルの食物摂取量を維持すること、c)不安に苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加および/または維持すること、d)予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化すること、e)コンパニオンアニマルの糞便エタノールアミドを減少させること、f)コンパニオンアニマルの糞便アシルタウリンを減少させること、g)コンパニオンアニマルの糞便アシルグリシンを減少させること、h)食餌性タンパク質腐敗を減少させること、i)不安に苦しむコンパニオンアニマルの体重を増加させること、および/または、j)コンパニオンアニマルのエンドカンナビノイド系を調整すること、のための方法を提供する。 【0040】 本発明のさらなる他の実施形態は、a)ストレスに苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加させること、b)多くのストレスの経験中にコンパニオンアニマルの食物摂取量を維持すること、c)不安に苦しむコンパニオンアニマルの食物摂取量を増加および/または維持すること、d)予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化すること、e)コンパニオンアニマルの糞便エタノールアミドを減少させること、f)コンパニオンアニマルの糞便アシルタウリンを減少させること、g)コンパニオンアニマルの糞便アシルグリシンを減少させること、h)食餌性タンパク質腐敗を減少させること、i)不安に苦しむコンパニオンアニマルの体重を増加させること、および/または、j)コンパニオンアニマルのエンドカンナビノイド系を調整すること、のためのペットフード組成物の製造における、本明細書に記載されたいずれか一つの組成物の使用を提供する。」 (4)段落【0068】ないし【0082】 「【0068】 ここで、本発明の実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。 【実施例】 【0069】 食餌は、AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)およびNRC(米国学術研究会議)の栄養勧告に従って処方される。できあがったキブルは、押出成形で製造され、乾燥され、嗜好剤でコーティングされる。本発明の例示的な組成物を調製するために(実施例1またはEx.1))、材料を、ハンマーミル均質化および押出成形の前に穀物混合物に添加する。実施例Iは、リグニンを含む繊維からの選択物を含有し、そしてまたより高レベルの可溶性繊維の添加を除外する。対照的に、比較食餌(比較例1、またはComp.Ex.1)は、実施例1と同じ栄養成分を含有するが、より高い可溶性繊維添加含有量と、より低い不溶性繊維含有量とを有する。本発明の例示的な組成物および比較組成物は、以下の表1に記載される。 【表1】 [図:0001420779000001.jpg] 【0070】 表1(上記)に記載される組成物は、当業者に公知の従来的な手段を使用して調製されてもよい。 【0071】 年齢、体重、および性別に基づき二つのグループにランダム化された健康なネコ科の被験動物を登録した、施設内動物配慮利用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)承認の臨床的食餌介入プロトコルが実施される。ネコは、生化学的および臨床的健康のマーカーによって健康と評価される。この試験は、91日間の実験食餌を与えられたネコでの、世話人盲検の縦断的デザインである。両方の食餌(実施例1および比較例1)は、同じ明白な栄養特性を維持し、一方で可溶性食物繊維レベル、不溶性食物繊維レベル、粗食物繊維レベル、および総食物繊維レベルに影響を及ぼす特殊実験成分の含有においては変化をつける。具体的には、実施例1は、比較例1に比べて、可溶性繊維を低減し不溶性繊維を増加して計画された。 【0072】 食餌摂取量は、開始時のボウル重量からの差による摂取されたグラムとしてモニターされ、次いで代謝体重に正規化する前にカロリーに変換される(kcal/kg^0.75)。糞便および血清代謝物は、試験開始時および終了時に収集され、代謝物の値は自然対数変換され、比較例1または実施例1のいずれかを摂取したときの差(試験開始時から終了時までのデルタ)を計算するために使用される。統計解析は、JMPソフトウェアv13.1(SASインスティテュート社、ノースカロライナ)を用いて実施される。別段の記載がない限り、単変量テストは、アルファを0.05として、自然対数変換された代謝物レベルのデルタ(試験終了‐試験開始)に対するt検定によって実施される。代謝物クラスの多変量テストは、アルファ=0.05のコントラストでMANOVAによって実施される。 【0073】 この試験中、比較例1を比べて、本発明の例示的な組成物は、体重に基づく個々の代謝の差異を説明する摂取量差を測定するためのゴールドスタンダードである、代謝体重に正規化されたカロリーの摂取量を著しく増加させる。これらの結果を以下の表2に記載する。 【表2】 [図:0001420779000002.jpg] 【0074】 予定された活動計画の変更は、ペットの健康管理と健康維持の通常部分であり、ペットが、ある社会的環境の中に生活の場を提供されている集団である場合、しばしば集団として予定された活動計画の変更を経験する。このことは、個々の世帯および個々のペットで発生する傾向の要約および分析を可能にする。特に、研究の場で、定期的なメンテナンスのためハウジングユニット間を移動したり、健康検査のため獣医を訪問したりすることは、それぞれ、飼い主がペットを一時的に預けることや、ペットに定期健康診断を受けさせることを模倣するのに役立つ。 【0075】 91日間に及ぶ試験の過程で、ネコの食餌摂取量が規則的なプロセスによって定期的に混乱されていることは、傾向の分析から明らかである。また、本発明の成分の組み合わせを含有しない比較組成物に比べ、本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持することも明らかである。(図1を参照)。 【0076】 実施例2 N-アシルエタノールアミド(N-Acylethanolamides)(例えば、オレオイルエタノールアミド)、および他のN-アシルアミン(NAA)は、腸内で局所的に活性となる、食物摂取および満腹感の強力な原動力となるものである。これらの生理活性シグナル伝達ホルモンもまた腸内微生物相によって産生されることが最近認識されている。したがって、腸内微生物相は、宿主の食物摂取および満腹感の生理学的プロセスを決定する代謝産物(ポストバイオティクスと呼ばれる)を産生する。本発明の例示的な組成物は、いくつかのNAAクラスのほぼすべてのメンバー(図2~4を参照):エタノールアミド(図2);タウリン(図3)およびグリシン(図4)を強力かつ均一に減少させる。 【0077】 驚くべきことに、O結合型O-アシルグリセロールクラス(OAG)は、本発明の例示的な組成物によって比較的変化せず(図5を参照)、本発明の例示的な組成物の顕著な特異性(標的有効性)を示す。これらの結果は、本発明の組成物が、胃腸の満腹ホルモンを減少させ、食物摂取量を増加させ、ならびに予定された活動計画の変更中に、摂取量を正常化することが期待されることを示す。 【0078】 実施例3 食餌性タンパク質が不十分に消化され吸収された場合、バイパス窒素は、タンパク質分解微生物相によって結腸内で分解される。未消化タンパク質の二種類の微生物代謝産物は、ポリアミン(タンパク質の窒素画分を含有する)および分枝状短鎖脂肪酸(BSCFA)であり、これは未消化タンパク質の炭素骨格を含有する。これらの産物の減少は、特に血清循環におけるレベルの減少と組み合わせた場合、タンパク質腐敗の発生がより少なく、食餌性タンパク質がより適切に消化され吸収されることを示しうる。二重の利点は、タンパク質がペットによってより効率的に直接使用されることと、同時に、微生物がタンパク質腐敗の毒性副産物を産生しないことである。 【0079】 図6に記述されたデータによって図示されるように、本発明の例示的な組成物は、本発明の組成物を与えられたネコの糞便中のカダベリン型およびプトレシン型ポリアミンのレベルの減少によって示されるように、食餌性タンパク質の消化および代謝処分を改善する。これらのポリアミンは、それぞれリジンおよびアルギニンアミノ酸の腐敗に由来する。胃腸区画におけるこの減少は、図6に示す血清ポリアミンの減少によって示されるように、全身的効果を有する。 【0080】 BSCFAの糞便レベルも減少し(例えば、図7を参照)、ポリアミンで示されるタンパク質腐敗の減少を確認する。バリン、ロイシン、およびイソロイシン(isoleuc)腐敗のそれぞれに由来した三つの標準的なBSCFA全てが、比較組成物(比較例1)を与えられたネコと比較して、有意に減少する。 【0081】 表2および図1~7に記載されるデータを含み、前述の実施例によって実証されるように、本発明の組成物に基づく食餌は、非可溶性繊維、特にリグニンを高く制御されたレベルで、および可溶性繊維の添加を低く制御されたレベルで含有し、動物が予定された活動計画の変更を受けた際に、全体的な食物摂取量を増加させ、かつ通常の摂取量への復帰を促進する。リグニンは難消化性繊維であり、繊維含有物は典型的には食餌摂取量を減少させるため、これは予想外の結果であった。 【0082】 要約すると、本発明の組成物は、食物摂取量を増加させ、タンパク質消化可能性を維持し、食餌性タンパク質腐敗マーカーを減少させる能力を示しており、これは、予定された活動計画の変更に直面したペットの健康を改善する上で、重要な役割を果たしうる。」 (5)【図1】ないし【図7】 「【図1】 [図:0001420779000003.jpg] 【図2】 [図:0001420779000004.jpg] 【図3】 [図:0001420779000005.jpg] 【図4】 [図:0001420779000006.jpg] 【図5】 [図:0001420779000007.jpg] 【図6】 [図:0001420779000008.jpg] 【図7】 [図:0001420779000009.jpg] 」 3 サポート要件に関する当審の判断 (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号の要件(以下「サポート要件」という。)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、上記判断基準に基づいて、本願発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であるか、検討する。 (2)本願発明の課題について 上記2(1)の段落【0003】及び【0004】の記載からみて、本願の発明の課題は、「食物摂取を促進/刺激できるだけでなく、摂取された食物の適切な消化を確実にすることができるような栄養治療学に対するニーズ」に対処し、「理想的には、予定された活動計画の変更に直面してもより高い食物摂取量を維持することができるが、最低でも、予定された活動計画の混乱が収まった後、動物はできるだけ早く通常の摂取量レベルに戻る」ようにするペットフード組成物を提供することであって、上記課題を解決するための手段として、ペットフード組成物に「リグニンを含む不溶性繊維源」と「ポリフェノール源」とを含ませることであると認められる。 この点、本願発明1では、 「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用のペットフード組成物であって、 リグニンを含む不溶性繊維と、 ポリフェノールと、 を含み、前記リグニンを含む不溶性繊維は、繊維束を含み、 前記コンパニオンアニマルが、イヌ科動物またはネコ科動物であり、任意選択で、ネコ科動物であり、 前記繊維束は前記ペットフード組成物の総重量の5重量%~15重量%の量で存在する、ペットフード組成物。」 とあるように、上記課題に対応する「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用の」「ペットフード組成物」において、「リグニンを含む不溶性繊維」及び「ポリフェノール」を含むものとなっている。 (3)発明の詳細な説明について ア 段落【0069】~【0075】及び図1には、【表1】に示された「ポリフェノール源」と「不溶性繊維」を含む「実施例1」の組成物について、上記課題を解決することができるか否かの検証のため、具体的に「ネコ」を被験動物として91日間にも及ぶ試験を行い、(比較例1に比して)平均カロリー摂取量が増加した旨が記載されている。 そして、図1は、「予定された活動計画の変更/混乱に直面した際に、本発明の組成物によって提供される全体的な食物摂取量増加および回復力を示すデータ」(【0009】)であって、「91日間に及ぶ試験の過程で、ネコの食餌摂取量が規則的なプロセスによって定期的に混乱されていることは、傾向の分析から明らかである。また、本発明の成分の組み合わせを含有しない比較組成物に比べ、本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持することも明らかである。(図1を参照)。」(【0075】)とあるが、試験結果を示しているであろう図1には、縦軸と横軸が意味するものが何ら記載されていない。 この点、審判請求人は令和6年7月31日に提出された意見書において、「図1に関しては、段落[0075]に示されているように、図1は実施例に記載された91日間に及ぶ試験の過程における猫の食物摂取の傾向を示しています。したがって、x軸(横軸)は日数を示し、y軸(縦軸)は実施例1の組成物(実線)または比較組成物(点線)を与えられた猫の平均食物摂取量を示しています。本願明細書の段落[0072]には、「食餌摂取量は、開始時のボウル重量からの差による摂取されたグラムとしてモニターされ、次いで代謝体重に正規化する前にカロリーに変換される(kcal/kg^0.75)。」ことが記載されています。」と主張している。 確かに、審判請求人の同意見書での主張を踏まえると、図1について、x軸(横軸)は日数を示し、y軸(縦軸)は猫の平均食物摂取量を示していると解することもできるが、そのように解した上で、図1から看取できることは、実施例1の組成物(実線)を与えられた猫の食物摂取量が、比較組成物(点線)が与えられた猫の食物摂取量より、全体的に概ね増加していることであって、段落【0075】に記載された「本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持する」ことではない。そして、同意見書では、この点について、「猫の食物摂取量より、全体的に概ね増加していること」と「より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持すること」との関係等に関する説明は見当たらず、本願の明細書の発明の詳細な説明にもそのような関係を示す記載も示唆もない。 したがって、同意見書における審判請求人の主張を踏まえても、先の当審における拒絶理由通知で示したとおり、依然として、図1から段落【0075】に記載された事項は看取できず、実施例1を参酌しても、本願発明1が課題を解決するための手段を有することを示すものであるとは認められない。 イ 段落【0076】及び【0077】、図2から5には、「実施例2」として、試験を行い、「本発明の組成物が、胃腸の満腹ホルモンを減少させ、食物摂取量を増加させ、ならびに予定された活動計画の変更中に、摂取量を正常化することが期待されることを示す」(【0077】)とあるが、試験結果を示しているであろう図2から5には、縦軸が意味するものが何ら記載されていないし、各棒グラフと凡例にあるものとの対応関係が不明である。 この点、審判請求人は同意見書において、 「図2~7に関して、y軸(縦軸)は血清または糞便サンプルを通じて測定された猫のさまざまなポストバイオティクス(エタノールアミド、タウリン、グリシン、グリセロール、糞便および血清のポリアミン、糞便のBSCFA)の量を表しています。本願明細書の段落[0072]には、糞便および血清代謝物は、試験開始時および終了時に収集され、代謝物の値は自然対数変換され、比較例1または実施例1のいずれかを摂取したときの差(試験開始時から終了時までのデルタ)を計算するために使用される。」ことが記載されています。」と主張している。 図2~5の縦軸が審判請求人が主張するものを示していると解したとしても、依然として各棒グラフと凡例にあるものとの対応関係は不明である。また、図2~5で看取できることは、猫のさまざまなポストバイオティクス(エタノールアミド、タウリン、グリシン、グリセロール、糞便および血清のポリアミン、糞便のBSCFA)の量が比較例よりも実施例で示されたものの方が減少していること程度であって、本願の明細書の発明の詳細な説明や同意見書の主張を参酌しても、当該量が減少することと「予定された活動計画の変更中に、摂取量を正常化することが期待される」(段落【0077】)こととの関係については何ら説明されておらず、本願の明細書の発明の詳細な説明にもそのような関係を示す記載も示唆もない。 よって、同意見書における審判請求人の主張を踏まえても、先の当審における拒絶理由通知で示したとおり、依然として、図2から5に基づいて、段落【0077】に記載された事項は看取できず、実施例2を参酌しても、本願発明1が課題を解決するための手段を有することを示すものであるとは認められない。 ウ 上記イと同様に、段落【0078】から【0080】、図6及び7に記載された「実施例3」についても、試験結果を示しているであろう図6及び7には、縦軸が意味するものが何ら記載されていないし、各棒グラフと凡例にあるものとの対応関係が不明であるので、実施例3を参酌しても、本願発明1が課題を解決するための手段を有することを示すものであるとは認められない。 エ 上記アからウのとおり、発明の詳細な説明を参酌しても、「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」ための手段がどのようなものであるかを理解することができないから、本願発明1が「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」という課題を解決するための手段を有するか否かは依然として明らかでない。 また、発明の詳細な説明には、本願発明1が当該課題を解決することができると理解できるような、本願発明の作用機序等についての説明もなく、同意見書においても何ら具体的な説明はない。 したがって、出願時の技術常識に照らしても、本願発明1が、本願の発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲のものであるとはいえない。 第5 実施可能要件について 前記第4で検討したとおり、同意見書における審判請求人の主張を踏まえても、本願の図1から7に示す試験結果が定かではない。したがって、本願発明1が「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用」のものであるのか明確に理解することができないため、課題を解決できるように、本願発明1を実施できるか依然として不明である。 したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願発明1について、特許法第36条第4項第1号に規定するいわゆる実施可能要件を満たしているとは認められない。 第6 刊行物及び刊行物に記載された発明 当審において通知した拒絶理由における文献は、以下に示すとおりであり、各文献にはそれぞれ以下に示すとおりの事項が記載されている。 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 引用発明1(国際公開2017/117091号)には、次の事項が記載されている。(引用箇所の後に、外国語特許出願の日本語公表特許公報(特表2019-500047号公報)の対応する箇所を参考として括弧書きで示す。) ア 段落[0002]から[0004] 「[0002] Pets require a healthy diet and proper digestion for continued growth and ordinary wellbeing. However, gastrointestinal distress commonly interferes with the ordinary digestion of common pet food compositions. Some of these problems can be quite serious, such as inflammatory bowel disease (IBD) and other chronic digestive conditions. IBD is commonly accompanied by diarrhea, which can be extremely unpleasant to the pet harboring the condition or to a pet owner who must clean up after the pet, particularly if on a chronic basis. ([0002]ペットは、継続的な成長および普段の健康のため健康的な食餌ならびに適切な消化を必要とする。しかしながら、胃腸障害が、一般的なペットフード組成物の普段の消化を一般に妨げる。これらの問題の幾つか、例えば、炎症性腸疾患(IBD)および他の慢性的な消化状態は、非常に深刻であり得る。IBDは、下痢を一般に伴い、特に、長期的であるなら、この状態を有するペットにとって、またはペットが汚した場所をきれいにしなければならないペットの飼い主にとって、極めて不快であり得る。) [0003] One mechanism for treating IBD and improving inflammatory status in pets is to administer beneficial agents, such as medicaments, prebiotics, probiotics, and the like, through traditional pet food compositions. However, ensuring that the benefit agent is delivered to the target site has been a challenge. As such, there exists a need for pet food compositions which are able to control the release of a benefit agent and ensure that the benefit agent is delivered to the target site. Embodiments of the present invention are designed to meet these needs. ([0003]ペットにおいてIBDを処置する、および炎症状態を改善する1つの機序は、医薬(medicament)、プレバイオティクス(prebiotics)、プロバイオティクス(probiotics)などといった有益な薬剤(beneficial agent)を、従来のペットフード組成物を通じて投与することである。しかしながら、有益な薬剤が標的部位に送達されることを確実にすることが、課題であった。したがって、有益な薬剤の放出を制御し、有益な薬剤が標的部位に送達されることを確実にすることができるペットフード組成物が必要である。本発明の実施形態は、これらの要求に合うように設計される。) [0004] In some embodiments, the present invention provides a controlled release pet food composition comprising: a matrix comprising: a fiber component comprising a high solubility fiber source and low solubility fiber source, and a polyphenol source; wherein the matrix is adapted to deliver the polyphenol source to the lower gastrointestinal (GI) tract of a mammal after ingestion by the mammal. ([0004]幾つかの実施形態において、本発明は、高溶解性繊維源および低溶解性繊維源を含む繊維成分と、ポリフェノール源とを含むものである基材を含む、放出制御ペットフード組成物であって、ここで、基材は、哺乳動物による摂取後に、ポリフェノール源を哺乳動物の下部消化器(GI)管に送達するように構成されている、放出制御ペットフード組成物を提供する。) イ 段落[0006] 「[0006] Still further embodiments provide a method for treating, preventing, or ameliorating a symptom of an inflammatory disease, condition or disorder, e.g. inflammatory bowel disease, in a mammal, comprising administering any one of the compositions described herein to a mammal, e.g. a companion animal, in need thereof. ([0006]さらに他の実施形態は、本明細書において記載される組成物のいずれか1つを、それを必要とする哺乳動物、例えば、コンパニオンアニマルに投与することを含む、哺乳動物において、炎症性疾患、状態もしくは障害、例えば、炎症性腸疾患の症状を処置、予防、または改善する方法を提供する。)」 ウ 段落[0012]及び[0013] 「[0012] In some embodiments, the pet food compositions set forth herein provide a multifactorial therapy based on nutritive dietary factors that: (1) decrease allergenicity due to the use of hydrolyzed proteins; (2) provide readily digestible macronutrients; (3) provide glutaminyl amino acids that provide metabolic intermediates to enterocytes; (4) provide immune modulators that decrease inflammatory responses; and (5) provide microbial cell wall fractions that promote tolerance or hindgut commensal biota. In other embodiments, the pet food compositions increase gut microbial production of metabolic end products of dietary polyphenols and/or enhance the absorption of these dietary polyphenols into systemic circulation. ([0012]幾つかの実施形態において、本明細書において説明されるペットフード組成物は、以下のことを行う、栄養的食餌因子に基づく多元的な療法を提供する。すなわち、(1)加水分解されたタンパク質の使用に起因するアレルゲン性を低下させること;(2)容易に消化可能な多量栄養素(主要栄養素;macronutrient)をもたらすこと;(3)代謝中間体を腸細胞にもたらすグルタミニルアミノ酸をもたらすこと;(4)炎症反応を低下させる免疫モジュレーターをもたらすこと;および(5)耐性、または後腸共生生物相を、促進・助長する微生物の細胞壁分画をもたらすことを行う、栄養素食餌性因子に基づく多機能療法を提供する。他の実施形態において、ペットフード組成物は、食餌性ポリフェノールの代謝最終産物についての腸内細菌叢の産生を増加し、および/またはこれらの食餌性ポリフェノールについての全身循環への吸収を増強する。) [0013] In some embodiments, the pet food compositions of the present invention comprise a matrix comprising dietary components capable of providing the desired effect of immune optimization. Specifically, the compositions may comprise a matrix comprising an inert, non- fermentable fiber source having polyphenols chemically or physically bound thereto in such a manner so as to be not available for digestion or absorption in the upper gastrointestinal (GI) tract. In some embodiments, these fiber-bound polyphenols bypass the upper GI tract and arrive intact to the colon of the animal. It is believed that the gut microbes metabolize dietary fiber; and in the process, liberate the fiber-bound polyphenols. These newly liberated polyphenols are also subject to microbial metabolism, producing small biomolecules called "post-biotics". Post- biotics are absorbed across the colon and distributed systemically where they have pleiotropic effects, including immune modulation which helps to treat IBD and improve the inflammatory response. One benefit of the use of a low solubility fiber source (e.g. lignin), which is poorly soluble in the mammalian lower GI tract, is that it provides for stool bulking. ([0013]幾つかの実施形態において、本発明のペットフード組成物は、免疫最適化の所望の効果をもたらす能力がある食餌成分を含むものである基材(matrix)を含む。具体的には、組成物は、上部消化(GI)管における消化もしくは吸収に利用可能でないような様式で化学的または物理的に結合したポリフェノールを有する不活性な非発酵性繊維源を含む(matrix)基材を、含んでもよい。幾つかの実施形態において、これらの繊維結合ポリフェノールは、上部GI管を通り抜け、動物の結腸にそのまま到達する。腸内細菌叢は、食物繊維を代謝し、その過程で、繊維結合ポリフェノールを遊離させると考えられている。これらの新たに遊離されたポリフェノールはまた、微生物代謝の対象であって、「ポストバイオティクス」と呼ばれる小さな生体分子を産生する。ポストバイオティクスは、結腸全体で吸収され、全身に分布し、そこで、炎症性腸疾患(IBD)を処置し、炎症反応を改善するのを助ける免疫調整を含む、多面発現効果を有する。哺乳動物の下部GI管において難溶性である、低溶解性繊維源(例えば、リグニン)の使用の1つの恩恵は、大便の嵩高さをもたらすことである。)」 エ 段落[0017] 「[0017] In some embodiments, the benefit agent is a polyphenol source. In some embodiments, the polyphenol source is substantially unavailable to the upper GI tract, as a result of the dissolution profile of the controlled release matrix. ([0017]幾つかの実施形態において、有益な薬剤は、ポリフェノール源である。幾つかの実施形態において、放出制御基材の溶解特性の結果として、ポリフェノール源は、上部GI管では実質的に利用できない。)」 オ 段落[0019]から[0022] 「[0019] In some embodiments, the terms "high solubility fiber" and "soluble fiber" may be used interchangeably. In some embodiments, the terms "low solubility fiber" and "insoluble fiber" may be used interchangeably. ([0019]幾つかの実施形態において、用語「高溶解度の繊維」および「溶解性繊維」は、互換的に使用されてもよい。幾つかの実施形態において、用語「低溶解度の繊維」および「不溶性繊維」は、互換的に使用されてもよい。) [0020] In some embodiments, the high solubility fiber source comprises oat bran, buckwheat groats, pea bran, barley, tomato pomace, citrus pulp, beet pulp, and a combination of two or more thereof. In some embodiments, the low solubility fiber source comprises a cellulosic material, a pecan fiber, or a combination thereof. ([0020]いくつかの実施形態では、高溶解性繊維源は、オート麦ふすま、ソバ挽き割り、エンドウ豆ふすま、大麦、トマトかす、柑橘類パルプ、ビートパルプ、及びそれらの2つ以上の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、低溶解性繊維源は、セルロース系材料、ピーカン(ペカン;pecan)繊維、又はそれらの組み合わせを含む。) [0021] In some embodiments, the polyphenol source is of food or plant origin. In some embodiments, the polyphenol source of food origin comprises a polyphenol of fruit or vegetable origin. In some embodiments, the polyphenol source comprises a flavonoid or a phenolic acid. ([0021]幾つかの実施形態において、ポリフェノール源は、食品又は植物由来のものである。幾つかの実施形態において、食品由来のポリフェノール源は、果物または野菜由来のポリフェノールを含む。幾つかの実施形態において、ポリフェノール源は、フラボノイドまたはフェノール酸(フェノールカルボン酸)を含む。) [0022] In some embodiments, the polyphenol source provides a polyphenol selected from: dehydroxy rosmarinic acid, Coumaroylnepitrin, eupafolin, carnosol, scutellarin, kaempferol, rosmarinic acid, rosmanol, cirsimaritin, luteolin, 6-methoxy-luteolin, 7-epirosmannol, quercetin, catechin, hesperidin, cyanidin, and a combination of two or more thereof. ([0022]幾つかの実施形態において、ポリフェノール源は、デヒドロキシロスマリン酸、クマロイルネピトリン、ユーパフォリン、カルノソール、スクテラリン、ケンフェロール、ロスマリン酸、ロスマノール、シルシマリチン、ルテオリン、6-メトキシ-ルテオリン、7-エピロスマンノール、ケルセチン、カテキン、ヘスペリジン、シアニジン、およびその2つ以上の組み合わせから選択されるポリフェノールをもたらす。)」 カ 段落[0027]及び[0028] 「[0027] Yet other embodiments provide method of forming a pet food composition, comprising the steps of: extruding a matrix comprising: a fiber component comprising a high solubility fiber source and low solubility fiber source, and a polyphenol source; applying a surface coating to the kibble; wherein the matrix is adapted to deliver the polyphenol source to the lower gastrointestinal (GI) tract of a mammal after ingestion by the mammal. In some embodiments, the surface coating comprises a palatant. ([0027] なお他の実施形態は、高溶解性繊維源および低溶解性繊維源を含む繊維成分と、ポリフェノール源とを含む基材を押し出す工程;及び、表面コーティングをキブルに適用する工程を含み、ここで、基材は、哺乳動物による摂取後に、ポリフェノール源を哺乳動物の下部消化器(GI)管に送達するように構成されるのである、ペットフード組成物を形成する方法を提供する。幾つかの実施形態において、表面コーティングは、美味剤を含む。) [0028]In some embodiments, the present invention is directed to a controlled release composition for companion animals that can be orally administered by veterinarian, pet owner or other caregiver. The composition of the invention is chewable, without any significant loss of the controlled release property. In particular, the benefits associated with the controlled release functionality are substantially maintained even after mastication by the animal. Thus it will be understood that chewable in the present context means that the controlled release performance of the dosage form is effectively resistant to chewing. ([0028]幾つかの実施形態において、本発明は、獣医、ペットの飼い主または他のケアギバー(caregiver)により経口投与され得る、コンパニオンアニマルのための放出制御組成物を対象にする。本発明の組成物は、放出制御特性を有意に失うことなく、チュアブルである。特に、放出制御機能性に付随する恩恵は、動物による咀嚼後でさえ実質的に維持される。従って、本文脈におけるチュアブルということは、投薬形態の放出制御性能が、咀嚼に対して有効に抵抗性であることを意味することにつき理解されるだろう。)」 キ 段落[0036] 「[0036] As used herein, the term "companion animal" refers to domesticated animals. Companion animals exclude humans. Preferably, the animal is a mammal. Examples of companion animals include, but are not limited to, dogs, cats and horses. The preferred companion animals are dogs and cats. ([0036]本明細書において使用される、用語「コンパニオンアニマル」は、飼いならされた動物を指す。コンパニオンアニマルはヒトを除く。好ましくは、動物は哺乳動物である。コンパニオンアニマルの例は、イヌ、ネコおよびウマを含むが、これらに限定されない。好ましいコンパニオンアニマルは、イヌおよびネコである。)」 ク 段落[0038] 「[0038] In some embodiments, the pet food composition generally comprises hydrolyzed animal or plant protein comprising a nutritionally complete amino acid profile (e.g., dried chicken livers), peptidyl glutamine (e.g., Hyvital? wheat glutamine PN), the insoluble, inert fibers as set forth herein (pecan fiber, oat, and cellulose), the probiotic soluble fiber as set forth herein (e.g., beet pulp), the fiber-bound polyphenols as set forth herein (e.g., cranberry pomace, pomegranate extract, green tea extract), medium chain triglycerides, high docosahexaenoate fish oil, ginger root powder, boswellia serrata extract, and yeast beta glucan. ([0038]幾つかの実施形態において、ペットフード組成物は、一般に、栄養学的に完全なアミノ酸プロファイル(例えば、乾燥された鶏の肝臓)を含む加水分解された動物性または植物性タンパク質、ペプチジルグルタミン(例えば、Hyvital(登録商標)小麦グルタミンPN)、本明細書において説明される不溶性、不活性繊維(ピーカン繊維、オート麦、およびセルロース)、本明細書において説明されるプロバイオティクス溶解性繊維(例えば、ビートパルプ)、本明細書において説明される繊維結合ポリフェノール(例えば、クランベリーかす、ザクロ抽出物、緑茶抽出物)、中鎖トリグリセリド、高ドコサヘキサエン酸の魚油、根生姜粉末、ボスウェリア・セラータ(boswelliaserrata)抽出物、ならびに酵母ベータグルカンを含む。)」 ケ 段落[0062]及び[0063] 「[0062] An exemplary pet food composition (Example 4) is prepared as set forth in Table 12 (below). All amounts are provided in weight percent, based upon total weight of the pet food composition. The composition is formulated according to the nutrition standards set forth by AAFCO and the RC. [図:0001420779000010.jpg] [図:0001420779000011.jpg] ([0062]表12(以下)に示す通り、例示的なペットフード組成物(実施例4)を調製する。全ての量を、ペットフード組成物の総重量に基づく、重量パーセントで提供する。AAFCOおよびNRCが規定する栄養基準に従い、組成物を処方する。 表12 [図:0001420779000012.jpg] ) [0063] A clinical intervention trial was performed with both healthy canines and canines suffering from irritable bowel disease (IBD). Stools were collected after four (4) weeks of consuming either the Control (Comp. Ex. I) or Test diet (Example 4). Stools were visually subjected to the Hill' s Pet Nutrition Scale of 1 to 5, wherein 1 indicates watery diarrhea and 5 indicates a well formed, hard stool. The histogram depicted in Figure 3 indicates the average of two stool scores for each dog when consuming a composition according to Comp. Ex I (solid gray portion of the histogram bars) or consuming a composition according to Example 4 (hatched portion of the histogram bars). The portions of the bars of the histogram at the higher scores were dominated by stools from dogs fed a composition according to Example 4, whereas the lower stool scores were observed more frequently in dogs consuming a composition according to Comp. Ex I. In particular, although numerically fewer, low scores indicate potential for gastrointestinal distress and can elicit concern in caregivers. The fact that all stool scores 3 and lower were only observed in the dogs consuming a composition according to Comp. Ex. 1 indicates the potential for compositions according to Example 4 to mitigate and remediate low stool scores and bring assurance to canine caregivers. [0063]健康なイヌおよび炎症性腸疾患(IBD)に罹患しているイヌの両方で、臨床介入試験を行った。対照(比較例I)または試験食餌(実施例4)のいずれかを4)週間摂取した後に、糞便を集めた。糞便を、視覚的に、ヒルズペット栄養尺度(Hill’s Pet Nutrition Scale)1~5の対象にし、ここで、1は水様の下痢を示し、5は、十分に形作られた堅い便を示す。図3に示すヒストグラムは、比較例Iによる組成物を摂取する(ヒストグラムバーの、べた塗りした灰色の部分)場合、または実施例4による組成物を摂取する(ヒストグラムバーの斜線部分)場合の、それぞれのイヌについての、2種の糞便スコアの平均を示す。実施例4による組成物を与えたイヌに由来する便は、より高いスコアのヒストグラムのバーの部分を占めるのであり、一方、より低い便スコアが、比較例Iによる組成物を消費するイヌにおいて、より頻繁に観察された。特に、数値的に、より少ないが、低いスコアは、胃腸障害の可能性を示し、ケアギバー(caregiver)に不安を生じさせ得る。糞便スコア3およびそれより下のスコアの全てを、比較例1による組成物を消費するイヌにおいてのみ観察したという事実は、実施例4による組成物が、低い便スコアを軽減するか、または修正する可能性、およびイヌのケアギバー(caregiver)に対して保証をもたらす可能性を示す。)」 (2)引用発明について 引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 なお、段落[0019]の記載によれば、引用文献1において、用語「高溶解度の繊維」および「溶解性繊維」は、互換的に使用されてもよく、用語「低溶解度の繊維」および「不溶性繊維」は、互換的に使用されてもよいのであるから、引用文献1に記載された発明において「高溶解性繊維」を「溶解性繊維」に、「低溶解性繊維」を「不溶性繊維」に統一して置き換えることとする。 <引用発明> 「下痢を伴うことによって極めて不快なペット([0002])に投与することで、炎症性腸疾患の症状を処置または改善する([0003]、[0006])ペットフード組成物([0004])であって、 当該ペットフード組成物は、 溶解性繊維およびリグニンを含む不溶性繊維を含む繊維成分と、ポリフェノールとを含むものであって、([0004]、[0013]、[0017]) 不溶性繊維は、ピーカン繊維を含み([0020]) ポリフェノールは、植物由来のものを含み、フェノール酸を含み、カテキンを含み([0021]、[0022]) 当該ペットフード組成物が投与されるコンパニオンアニマル([0028])として、好ましいコンパニオンアニマルは、イヌおよびネコであって([0036])、 例示的なペットフード組成物には、ピーカン殻が7重量%含まれており([0062]) 当該組成物が胃腸障害の可能性を示す低い便スコアを修正する可能性を示した([0063])ペットフード組成物。」 2 引用文献2について (1)引用文献2の記載事項 引用文献2(特開平9-143083号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 段落【0022】 「【0022】かかる組成物は、人、ならびに牛、馬、豚、犬及び猫などの家畜もしくは愛玩動物、ならびに鶏及び七面鳥などの家禽、その他の魚、蜜蜂、蚕などの飼育動物において、下痢、便秘の予防もしくは治療、さらには飼料摂取量の増進用として有効に利用することができる。」 (2)引用文献2記載技術 前記(1)より、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。 <引用文献2記載技術> 「犬及び猫において、下痢の治療に利用する組成物は、飼料摂取量の増進用として有効に利用できること。」 3 引用文献3について (1)引用文献3の記載事項 引用文献3(特開2008-13534号公報)には、次の事項が記載されている。 ア 段落【0035】 「【0035】 表2は異なった性別と種別の犬にプロバイオティクス・カプセルを与えた結果、消化機能が向上したことを示す。特には食欲増進、下痢の減少、軟便の向上、嚥下運動問題の減少、嘔吐の減少などである。」 (2)引用文献3記載技術 前記(1)より、引用文献3には、以下の技術事項(以下「引用文献3記載技術」という。)が記載されている。 <引用文献3記載技術> 「犬において、消化機能が向上した際に、食欲増進、下痢の減少を意味すること。」 第7 進歩性に関する当審の判断 当審においては、以下に詳述するとおり、本願発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると判断した。 1 対比 本願発明1と引用発明を対比する。 引用発明の「ペットフード組成物」は、本願発明の「ペットフード組成物」に相当する。 また、引用発明の「リグニンを含む不溶性繊維」、「ポリフェノール」は、それぞれ、本願発明の「リグニンを含む不溶性繊維」、「ポリフェノール」に相当する。 加えて、引用発明の「コンパニオンアニマル」、「イヌ」、「ネコ」は、それぞれ、本願発明の「コンパニオンアニマル」、「イヌ科動物」、「ネコ科動物」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明は、次の一致点で一致し、相違点1及び2で一応相違する。 <一致点> ペットフード組成物であって、 リグニンを含む不溶性繊維と、 ポリフェノールと、 を含み、 コンパニオンアニマルが、イヌ科動物またはネコ科動物であるペットフード組成物。 <相違点1> ペットフード組成物が、本願発明1では「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用の」ものであるのに対し、引用発明では「下痢を伴うことによって極めて不快なペットに投与することで、炎症性腸疾患の症状を処置または改善する」ものである点。 <相違点2> リグニンを含む不溶性繊維は、本願発明1では「繊維束を含」んでおり、「繊維束は前記ペットフード組成物の総重量の5重量%~15重量%の量で存在する」のに対し、引用発明では繊維束を含むことが特定されていない点。 2 判断 相違点について検討する。 (1)相違点1について 本願発明1の「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用の」ものであるという構成は、本願発明1のペットフードの用途を特定しようとするものである。 そこで、まず「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」という用途について、令和6年7月31日に提出された意見書及び本願の明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載に基づいて、検討する。 同意見書及び発明の詳細な説明等には、以下のとおり記載がある。 <令和6年7月31日付け意見書> 「図1に関しては、段落[0075]に示されているように、図1は実施例に記載された91日間に及ぶ試験の過程における猫の食物摂取の傾向を示しています。したがって、x軸(横軸)は日数を示し、y軸(縦軸)は実施例1の組成物(実線)または比較組成物(点線)を与えられた猫の平均食物摂取量を示しています。本願明細書の段落[0072]には、「食餌摂取量は、開始時のボウル重量からの差による摂取されたグラムとしてモニターされ、次いで代謝体重に正規化する前にカロリーに変換される(kcal/kg^0.75)。」ことが記載されています。」 <本願の明細書の発明の詳細な説明、図面> 「【0075】 91日間に及ぶ試験の過程で、ネコの食餌摂取量が規則的なプロセスによって定期的に混乱されていることは、傾向の分析から明らかである。また、本発明の成分の組み合わせを含有しない比較組成物に比べ、本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持することも明らかである。(図1を参照)。」 「【図1】 [図:0001420779000013.jpg] 」 図1は、「予定された活動計画の変更/混乱に直面した際に、本発明の組成物によって提供される全体的な食物摂取量増加および回復力を示すデータ」(【0009】)であって、「91日間に及ぶ試験の過程で、ネコの食餌摂取量が規則的なプロセスによって定期的に混乱されていることは、傾向の分析から明らかである。また、本発明の成分の組み合わせを含有しない比較組成物に比べ、本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持することも明らかである。(図1を参照)。」(【0075】)とあるが、試験結果を示しているであろう図1には、縦軸と横軸が意味するものは何ら記載されていない。 この点、前記第4の3(3)アに示したとおり、審判請求人が同意見書で主張するように、縦軸は「実施例1の組成物(実線)または比較組成物(点線)を与えられた猫の平均食物摂取量」、横軸は「日数」を示していると解しても、図1から看取できることは、実施例1の組成物(実線)を与えられた猫の食物摂取量が、比較組成物(点線)が与えられた猫の食物摂取量より、全体的に概ね増加していることであって、段落【0075】に記載された「本発明の組成物は、より少なく混乱で正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持する」ことではない。言い換えれば、段落【0075】に記載された「正常な状態へより迅速に復帰できるようにしつつ、規則正しい食餌摂取パターンを支持する」こと、つまりは、本願発明1の「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」ことが意味することは、「食物摂取量を増加させる」ことに他ならず、それ以上の特別な技術的意義を有するものではない。 以上の検討を踏まえた上で、改めて、相違点1に係る本願発明1の構成について検討する。 一般に、あるペットフード組成物が腸の疾患を処置するもので下痢症状を改善しているときに、当該ペットフード組成物はペットの食物摂取量を増加させることは、例えば、引用文献2記載技術や引用文献3記載技術にあるように、技術常識である。そして、引用発明は「下痢を伴うことによって極めて不快なペットに投与することで、炎症性腸疾患の症状を処置または改善する」ものであって、引用発明のペットフード組成物が胃腸障害の可能性を示す低い便スコアを修正する可能性を示している。そうすると、引用発明も下痢症状を改善するものであるのだから、上記技術常識に照らすと、「ペットの食物摂取量を増加させる」ものであることは明らかである。 また、ペットを飼育する際に、予定された活動計画を変更すると、ペットがストレスを感じ下痢症状等が発生し、食物摂取量が低下することもごく自然に起こりうることである。 以上を踏まえると、予定された活動計画を変更して食物摂取量が低下したペットの対処法として、ペットの食物摂取量を増加させる引用発明のペットフード組成物を、「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」用のものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点2について 引用発明も「不溶性繊維」は、「ピーカン繊維を含」むものであるところ、上記「ピーカン繊維」が一つの単繊維であるよりは複数の繊維による繊維束であると考える方が自然であるから引用発明も「繊維束」を含んでいるものであることは明らかである。そして、引用発明は、「例示的なペットフード組成物には、ピーカン殻が7重量%含まれて」いるものであるから、「ピーカン殻」による「ピーカン繊維」の繊維束も同程度の量で存在することも明らかである。 仮に、「ピーカン殻」の「7重量%」が、「ピーカン繊維」の繊維束では異なる重量%になるとしても、「5重量%~15重量%」の量になるかそれと近しい量になると考えられる。そもそも、本願の明細書の発明の詳細な説明を参酌しても、繊維束の量について、「いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約5重量%~約15重量%を占める。いつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約5%重量を占める。いくつかの実施形態で、繊維束は総組成物の約6%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約7%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約8%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約9%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約10%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約11%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約12%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約13%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約14%重量を占める。いくつかの実施形態では、繊維束は総組成物の約15%重量を占める。」(【0031】)とした上で、実施例では、「不溶性繊維」が「10」重量%含まれるものが記載されている(【0069】の【表1】)のみであって、「5重量%~15重量%」とした点に当業者が予測しがたい顕著な効果を奏するとは認められない。 以上のとおり、上記相違点2は、実質的な相違点ではないか、仮に実質的な相違点であるとしても、当業者が適宜なし得たことに過ぎない。 3 審判請求人の主張について 令和6年7月31日に提出された意見書において、 「本願発明は、『予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する用のペットフード組成物』という用途発明(未知の属性を発見し、この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明)であります。」と主張した上で、本願の明細書の段落【0001】~【0004】を摘記し、さらに段落【0074】~【0082】を摘記して、本願発明は「当業者が予測できない顕著な効果」を奏する旨を主張しているので、以下、検討する。 前記第4の3で示したとおり、出願時の技術常識に照らしても、本願発明1が、本願の発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲のものであるとはいえないが、少なくとも、本願発明1の「予定された活動計画の変更中に、コンパニオンアニマルの食物摂取量を正常化する」という用途の技術的意義を善解すると、前記2(1)で示したとおり、それはストレス等による下痢等の症状により低下した「食物摂取量を増加させる」ことに他ならない。そして、「食物摂取量を増加させる」という点は、引用発明も有していることは明らかである。よって、本願発明は、用途発明でいう「未知の属性を発見し」たものであるということはできないので、用途発明として進歩性が認められるものではない。 また、本願発明の効果についても、審判請求人が意見書において摘記した段落【0082】にも「要約すると、本発明の組成物は、食物摂取量を増加させ、タンパク質消化可能性を維持し、食餌性タンパク質腐敗マーカーを減少させる能力を示しており、これは、予定された活動計画の変更に直面したペットの健康を改善する上で、重要な役割を果たしうる。」とあるように、本願発明は「食物摂取量を増加させ」ることに主たる効果があるのであって、そのような効果は、前記2(1)で示したとおり、引用発明も有するものである。 よって、審判請求人の主張は、前記2で示した判断を左右するものではなく、これを採用することはできない。 4 小括 以上のとおり、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第8 むすび 前記第4で示したとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 また、前記第5で示したとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 さらに、前記第7で示したとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 したがって、結論のとおり審決する。

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2023-007618

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