2021-007099
自動組立装置および位置制御方法
- 審判番号
- 2021-007099
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-213036外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月01日
- 審決日
- 2022年01月12日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社FUJI
- 【請求人代理人】特許業務法人中部国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H05K) / P18 .575-Z (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本件に係る出願は、2014年(平成26年)3月28日に国際出願(日本国受理)された特願2016-509825号(以下、「原出願」という。)の一部を平成30年4月25日に新たな特許出願とした特願2018-83773号の一部を令和1年11月26日に新たな特許出願としたものであって、令和2年9月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月25日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和3年3月1日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)され、これに対して同年6月1日に審判請求書が提出されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和3年6月1日にした手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年6月1日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項1~6は削除され、請求項7は、次のとおり補正され,補正後の請求項1となった(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】複数の貫通穴が形成された回路基板を一対の基板搬送レーンにおいて水平な姿勢で搬送するとともに、前記回路基板を固定的に保持する保持機能を備えた回路基板搬送装置と、x方向移動装置、y方向移動装置、z方向移動装置の作動により、2本のリード線を有するリード部品を保持して移動する作業ヘッドと、(a)互いに接近・離間させることで前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴にそれぞれ挿通された前記リード部品の前記2本のリード線に接して折り曲げる一対の可動子と、1つのピッチ変更用モータを有し、前記ピッチ変更用モータの作動により前記一対の可動子を移動させるピッチ変更装置とを備えたクリンチユニットと、(b)前記クリンチユニットをzモータで上下方向に移動させる上下方向移動装置と、(c)前記クリンチユニットを前記一対の基板搬送レーンの間において水平方向に移動させるユニット水平移動装置とを備えたクリンチ装置とを含む自動組立装置において、前記z方向移動装置の作動により、前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前に、前記一対の可動子の前記水平方向の位置および前記上下方向の位置である高さを制御する位置制御方法であって、前記一対の可動子の前記水平方向の位置が、前記作業ヘッドに保持された前記リード部品の前記2本のリード線が挿通される、前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴に近接するように、前記一対の可動子を前記ピッチ変更装置で移動させるとともに、前記クリンチユニットを前記ユニット水平移動装置で移動させて、前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御し、次に、前記一対の可動子の前記高さが前記回路基板の前記一対のリード線貫通穴に近接する高さとなるように、前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置の前記zモータで上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する工程を含む位置制御方法。」
なお、「前記保持機構」(2箇所)は「前記保持機能」の誤記と認める。、
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の請求項7は、令和2年11月25日にした手続補正により補正された次のとおりのものである。
「【請求項7】複数の貫通穴が形成された回路基板を一対の基板搬送レーンにおいて水平な姿勢で搬送するとともに、前記回路基板を固定的に保持する保持機能を備えた回路基板搬送装置と、2本のリード線を有するリード部品を保持して移動させる作業ヘッドと、(a)互いに接近・離間させることで前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴にそれぞれ挿通された前記リード部品の前記2本のリード線に接して折り曲げる一対の可動子と、1つのピッチ変更用モータを有し、前記ピッチ変更用モータの作動により前記一対の可動子のピッチを変更するピッチ変更装置とを備えたクリンチユニットと、(b)前記クリンチユニットを前記一対の基板搬送レーンの間において水平方向に移動させるユニット水平移動装置とを備えたクリンチ装置とを含む自動組立装置において、前記クリンチユニットが備える前記一対の可動子が前記2本のリード線に接して折り曲げる前に、前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する位置制御方法であって、前記一対の可動子の前記水平方向の位置が、前記作業ヘッドに保持された前記リード部品の前記2本のリード線が挿通される、前記回路基板搬送装置で固定的に保持された前記回路基板に形成された複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴に近接するように、前記一対の可動子のピッチを前記ピッチ変更装置で移動させるとともに、前記クリンチユニットを前記ユニット水平移動装置で移動させて、前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する工程を含む位置制御方法。」
(3)本件補正の適否
本件補正は、補正前の請求項7に係る発明の発明特定事項に関して、
「移動させる作業ヘッド」を、「x方向移動装置、y方向移動装置、z方向移動装置の作動により」「移動する作業ヘッド」とし、
「クリンチ装置」を「クリンチユニットをzモータで上下方向に移動させる上下方向移動装置」「を備えたクリンチ装置」とし、
「前記クリンチユニットが備える前記一対の可動子が前記2本のリード線に接して折り曲げる前に、」を「前記z方向移動装置の作動により、前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前に、」とし、
「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する位置制御方法」を「前記一対の可動子の前記水平方向の位置および前記上下方向の位置である高さを制御する位置制御方法」とし、
「前記回路基板搬送装置で固定的に保持された前記回路基板」を「前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板」とし、
「前記ピッチ変更用モータの作動により前記一対の可動子のピッチを前記ピッチ変更装置で移動させる」を「前記ピッチ変更用モータの作動により前記一対の可動子を前記ピッチ変更装置で移動させる」とし、
「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する工程」を「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御し、次に、前記一対の可動子の前記高さが前記回路基板の前記一対のリード線貫通穴に近接する高さとなるように、前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置の前記zモータで上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する工程」とするものである。
上記の補正の内容について、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「基板搬送装置12は、回路基板P(以後、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものである。」(段落【0007】)、「作業ヘッド移動装置22は、x方向移動装置24,y方向移動装置25およびz方向移動装置26,27を含む。」(段落【0008】)、「ユニット移動装置36は、カットアンドクリンチユニット34を、x方向に移動させるx方向移動装置86、y方向へ移動させるy方向移動装置87、z方向へ移動させるz方向移動装置88、鉛直線回りに回転させるθ回転装置89等を含む。」(段落【0013】)、「S29において、カットアンドクリンチユニット34が、リード線案内穴76a,bの開口が基板Pの貫通穴170a,bに下方から近接する高さまで上昇させられる。リード部品Aのリード線La,Lbが貫通穴170a,bを経てリード線挿入穴68a,bに挿入されると、」(段落【0026】)と記載されているから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、補正前の請求項7に記載された発明特定事項を、補正後の請求項1において、さらに限定することを含むものであって、補正前の請求項7に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含む。
上記のとおり、本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものを含むから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許をうけることができるものであるか)について、以下、検討する。
2.独立特許要件について
(1)本件補正発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)に記載したもののうち、「前記保持機構」との明らかな誤記を「前記保持機能」と正したものである。
(2)引用文献に記載された事項及び引用発明並びに周知技術
ア 引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、実願昭59-92231号(実開昭61-9157号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
(ア)「〔産業上の利用分野〕本考案はプリント基板に挿入した電子部品の2本のリード線の不用部分を切断し、更にリード線の残り部分をプリント基板に沿わせ屈曲して電子部品をプリント基板上に固定する作業を自動的に行なう装置に関する。」(明細書第2頁第17行~第3頁第2行)
(イ)「第8図はプリント基板組立てラインでの作業状況を示しており、プリント基板搬送ライン(92)の下方に本考案に係る電子部品のリード線の切断及び曲げ固定装置(8)がターンテーブル装置(2)を介してX-Yテーブル(1)上に配備されている。」(明細書第6頁第10~14行)
(ウ)「ターンテーブル装置(2)は第2図に示す如く、前記支持板(12)上に枢支されたターンテーブル(20)の下面にピン(21)を偏心して突設し、該ピンに対し長孔(24)を有する摺動片(23)を嵌めると共に、支持板(12)上のガイド(22)(22)によって摺動可能に案内する。該摺動片(23)は回転用シリンダ装置(25)のピストンロッドに接続されている。該シリンダ装置(25)によって摺動片(23)を往復駆動することにより、長孔(24)の内面かカム面となってピン(21)を駆動し、ターンテーブル(20)を90°回動せしめる。」(明細書第8頁第2~11行)
(エ)「X-Yテーブル(1)、ターンテーブル装置(2)、昇降用シリンダ装置(3)、ロッド押圧用シリンダー装置(44)、間隔調節装置(5)、及びリード線切断固定装置(7)のセンサー(75)は第8図に示す制御装置(80)に接続されており、上記各装置は制御装置によってシーケンス制御される。プリント基板(90)は搬送ライン(92)によって搬送され、作業者の前に位置決めされている。X-Yテーブル(1)は制御装置(80)からの制御信号によって切断及び曲げ固定装置(8)を電子部品(9)の挿入位置の下方へ移動せしめる。この時ターンテーブル装置(2)の駆動により、切断及び曲げ固定装置(8)は電子部品(9)の挿入姿勢に応じて90°向きを変える。又、間隔調節装置(5)は挿入されるべき電子部品(9)のリード線の間隔に対応するストロークを有するピストンロッドを動作させ、バネ(52)に抗して従動片(51)を上昇せしめ、リンク(53)(53)の作動により両取付台(6)(6)の間隔従って両リード線切断装置(7)(7)の間隔を開く。この際第4図に示すロッド(40)(40)も取付台(6)(6)の離間に伴って同じく間隔を開く。次に昇降用シリンダー装置(3)(3)が制御装置(80)からの信号により動作して、支持ブロック(4)を間隔調節装置(5)と共に上昇せしめ、リード線切断固定装置(7)(7)をプリント基板(90)の裏面に接近せしめる。作業者が手作業によって或はロボットハンドにより自動的に、電子部品(9)のリード線(91)をプリント基板(90)の定められた位置の孔に挿入すると、該挿入位置の下方には前述の如く所定の姿勢で切断及び曲げ固定装置(8)が待機しているから、前記リード線(91)は第6図に示す如く固定刃(70)及び切断刃(71)に開設された挿入孔(72)(73)を貫通し、第5図に示すセンサー(75)がこれを検知する。」(明細書第12頁第3行~第13頁第14行)
(オ)「該シリンダー装置(44)の駆動により両ロッド(40)(40)は第7図に示す如く押し上げられ、押圧片(41)の押圧により揺動レバー(76)はスプリングに抗して回動する。これによってリード線(91)は切断刃(71)の押圧により固定刃(70)の挿入口(72)内の可動範囲内で基端部が基板(90)の下面に沿う方向に押し曲げられた後、固定刃(70)及び切断刃(71)により不要部分が切断される。この結果、リード線(91)の残りの部分は第7図に示す如く基板(90)の下面に沿って屈曲して基板(90)に係合するのである。」(明細書第13頁第17行~第14頁第7行)
(カ)「本考案に係る電子部品のリード線の切断及び曲げ固定装置は、全体がコンパクトな構成であり、然も間隔調節装置(5)はシリンダー装置により駆動されるので、モータを用いた機構に比べて軽量である。」(明細書14頁第14~18行)
(キ)第1図
[図:0001383091000001.jpg]
(ク)第4図(左)及び第5図(右)
[図:0001383091000002.jpg]
(ケ)第6図(左)及び第7図(右)
[図:0001383091000003.jpg]
(コ)第8図
[図:0001383091000004.jpg]
(サ)上記記載事項(イ)の「切断及び曲げ固定装置(8)がターンテーブル装置(2)を介してX-Yテーブル(1)上に配備されている。」との記載に照らせば、第1図、第4図、第5図及び第8図から、切断及び曲げ固定装置(8)は、昇降用シリンダー装置(3)、支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)一対の取付台(6)及び一対のリード線切断装置(7)からなり、リード線切断装置(7)の揺動レバー(76)の切断刃(71)の挿入孔(73)(以下、「下部リード線挿入孔(73)」という。)は、切断及び曲げ固定装置(8)において、一対設けられていることが見て取れる。
(シ)第8図から、搬送ライン(92)は一対のレーンにおいて水平な姿勢でプリント基板(90)を搬送する構成であり、切断及び曲げ固定装置(8)は、この一対のレーンの間で移動することが見て取れる。
(ス)第1図及び第8図から、X-Yテーブル(1)は、切断及び曲げ固定装置(8)を、水平方向に移動させる構成であることが見て取れる。
(セ)第4図から、揺動レバー(76)が回動すると、一対の揺動レバー(76)は、互いに近づいたり離れたりする構成であることが見て取れる。
(ソ)上記(ア)に記載された、電子部品の2本のリード線が挿入されるプリント基板には、通常のプリント基板と同様に、2以上の複数の孔が形成されていると認められる。
(タ)上記図示内容(サ)及び上記(エ)の「X-Yテーブル(1)は制御装置(80)からの制御信号によって切断及び曲げ固定装置(8)を電子部品(9)の挿入位置の下方へ移動せしめる。」との記載、「間隔調節装置(5)は挿入されるべき電子部品(9)のリード線の間隔に対応するストロークを有するピストンロッドを動作させ、(省略)両リード線切断装置(7)(7)の間隔を開く。」との記載、「次に昇降用シリンダー装置(3)(3)が制御装置(80)からの信号により動作して、支持ブロック(4)を間隔調節装置(5)と共に上昇せしめ、リード線切断固定装置(7)(7)をプリント基板(90)の裏面に接近せしめる。」との記載及び「ロボットハンドにより自動的に、電子部品(9)のリード線(91)をプリント基板(90)の定められた位置の孔に挿入すると、該挿入位置の下方には前述の如く所定の姿勢で切断及び曲げ固定装置(8)が待機しているから、前記リード線(91)は第6図に示す如く固定刃(70)及び切断刃(71)に開設された挿入孔(72)(73)を貫通し、」との記載から、ロボットハンドに保持された電子部品(9)の2本リード線(91)をプリント基板(90)の定められた位置の2つの孔に挿入する工程の前に、一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の位置が、X-Yテーブル(1)及び間隔調節装置(5)により、一対のリード線(91)が挿入されるプリント基板(90)の定められた位置の2つの孔の下方の位置になる工程と、一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の間隔が、挿入されるべき電子部品(9)の2本のリード線(91)の間隔となる工程とがあり、その次に、昇降用シリンダー装置(3)(3)によって一対の揺動レバー(76)が上昇せしめられる工程を含む位置制御の方法が理解できる。
そして、挿入されるべき電子部品(9)の2本のリード線(91)の間隔は、2本のリード線(91)が挿入されるプリント基板(90)の定められた位置の2つの孔の間隔と同じであると認められる。
イ 引用発明
上記記載事項(ア)~(コ)、図示内容(サ)~(セ)並びに認定事項(ソ)及び(タ)を整理し、本件補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
[引用発明]
「複数の孔が形成されたプリント基板(90)を一対のレーンにおいて水平な姿勢で搬送するとともに、前記プリント基板(90)を位置決めする構成を備えた搬送ライン(92)と、2本のリード線(91)を有する電子部品(9)を保持し、自動的にプリント基板(90)の定められた位置の2つの孔に挿入するロボットハンドと、(ア)互いに近づいたり離れたりすることで前記プリント基板(90)に形成された前記複数の孔のうちの2つの孔にそれぞれ挿入された前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)を揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の押圧により押し曲げる一対の揺動レバー(76)と、前記一対の揺動レバー(76)の間隔を調節する間隔調節装置(5)とを備えた、支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)と、(イ)前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を上昇せしめる昇降用シリンダー装置(3)(3)と、(ウ)前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)並びに昇降用シリンダー装置(3)(3)からなる切断及び曲げ固定装置(8)を、前記一対のレーンの間で水平方向に移動させるX-Yテーブル(1)とを備えた、X-Yテーブル(1)並びに切断及び曲げ固定装置(8)とを含む電子部品をプリント基板上に固定する作業を自動的に行なう装置において、前記ロボットハンドが前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)を前記位置決めする構成で位置決めされた前記プリント基板(90)に形成された前記複数の孔のうちの前記2つの孔に挿入する前に、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の水平方向の位置及び昇降する位置を制御する位置の制御方法であって、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の水平方向の位置が、前記ロボットハンドに保持された前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)が挿入される、前記位置決めする構成で位置決めされた前記プリント基板(90)に形成された前記複数の孔のうちの前記2つの孔の挿入位置の下方に位置するように、前記一対の揺動レバー(76)を前記間隔調節装置(5)で間隔の調節をするとともに、前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を前記X-Yテーブル(1)で移動させて、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の水平方向の位置を制御し、次に、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の昇降する位置を、前記プリント基板(90)に形成された前記2つの孔に近づく位置となるよう、前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を昇降用シリンダー装置(3)(3)で上昇させて、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の昇降する位置を制御する工程を含む位置制御の方法。」
ウ 引用文献2の記載事項
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原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2014/037993号(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「[0016] プリント基板作業装置100は、本実施形態では、プリント基板に電子部品を実装するものである。図1及び図2に示すように、プリント基板作業装置100は、ベース1、一対の支持壁2、コンベアユニット10、上側ロボット20、上側作業装置30、撮像装置40、下側ロボット50、下側作業装置60、制御部70とから構成されている。」
(イ)「[0021] 上側ロボット20は、X移動体21、一対のXガイド22、X移動装置23、Y移動体24、一対のYガイド25、Y移動装置26、Z移動装置27を有している。」
(ウ)「[0024] 上側作業装置30は、Y移動体24に、Z方向に移動可能に取り付けられている。Z移動装置27は、上側作業装置30をZ方向に移動させるものであり、上側作業装置30と螺合するボールネジ(不図示)、当該ボールネジを回転させる上Zサーボモータ27a(図3示)を有している。[0025] 上側作業装置30は、本実施形態では、電子部品を吸着する吸着ヘッドであり、Y移動体24に、Z方向移動可能に取り付けられたノズルホルダ31と、ノズルホルダ31の下端に着脱可能に取り付けられた吸着ノズル32を有している。」
(エ)「[0030] 下側作業装置60は、X移動体54に、Z方向に移動可能に取り付けられている。Z移動装置57は、下側作業装置60をZ方向に移動させるものであり、下側作業装置60と螺合するボールネジ(不図示)、当該ボールネジを回転させる下Zサーボモータ57a(図3示)を有している。[0031] 下側作業装置60は、本実施形態では、プリント基板に装着された電子部品のリードを、プリント基板の下方において、曲げつつ所望の長さに切断するカット・アンド・クリンチ装置である。下側作業装置60には、検査マーク61が設けられている。検査マーク61は、例えば、円形状のマークである。本実施形態では、下側作業装置60が作業を行う下側作業装置60上における位置と検査マーク61は一致している。」
上記記載事項(ア)~(エ)を本件補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献2記載の技術的事項]
「X移動装置23、Y移動装置24及びZ移動装置27によりリードを有する電子部品を移動する上側ロボット20及び上側作業装置30と、カット・アンド・クリンチ装置を下Zサーボモータ57aでZ方向に移動するZ移動装置57を備えた下側ロボット50及び下側作業装置60と、を含むプリント基板作業装置100。」
エ 引用文献3の記載事項
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原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2003-124689号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0046】基板83の下部機構は、把持チャック72に把持された電子部品のリード端子を、基板83の挿入孔へガイドして挿入するガイドピン73、ガイドピン73の上下駆動機構(図示せず)、挿入後の電子部品のリード端子を所定長さに切断してクリンチするカット機構(図示せず)、これらの構成部品や機構を取付け保持するためのブロック74およびフレーム75により構成されている。【0047】さらに、各電子部品の挿入ピッチに合わせてカット刃76の距離(位置)を変化させるピッチ切替機構を駆動するモータ77と、ボールネジ78および構成機構全体を上下および90度程度回動させる機構も有している。」
オ 引用文献4の記載事項
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原査定の拒絶の理由で引用された原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開昭63-289899号公報(以下、「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。
「第8図及び第9図のように挿入ヘッド部3における左右の曲げ治具20A,20B、挿入ガイド4A,4B、押し棒75A,75Bの間隔を仮想線のごとく変えてジャンパー線2のプリント基板PBへの挿入ピッチを変更した場合には、クリンチヘッド部9においても第17図の仮想線のように左右の固定刃部材132A,132Bの間隔を対応させて変更する必要がある。このために、ピッチ可変機構11が設けられている。ピッチ可変機構11は挿入ピッチ変換カム160を有し、このカム160の上面には渦巻き状のピッチ変換カム溝180が形成されている。そして、このカム溝180に係合するカムフォロアとしてのローラー181が前記可動ブロック133の底面に取付られている。さらにカム160の下部にはタイミングプーリー182が固着されている。一方、サーボモーターの回転を減速機構で減速した回転を出力する減速駆動軸183にタイミングプーリー184が固着されており、タイミングブーリー182と184との開にタイミングベルト185が巻き掛けられている。減速駆動軸183の回転により前記挿入ピッチ変換カム160が回転すると、そのカム溝180に係合するローラー181を有する可動ブロック133が直線移動し、これによって挿入ヘッド部3側の挿入間隔の変更に対応させてクリンチヘッド部9側の固定刃部材132A,132Bの間隔を可変調整できる。」(第7ページ左上欄第18行~左下欄第5行)
カ 周知技術
上記引用文献3及び4の記載事項から、ピッチ変更装置に1つのピッチ変更用モータを設け、前記ピッチ変更用モータの作動により一対の可動子を移動する構成とすることは、周知技術であると認められる。
(3)対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「孔」は、本件補正発明の「貫通穴」に相当し、以下同様に、
「プリント基板(90)」は「回路基板」に、
「一対のレーン」は「一対の基板搬送レーン」に、
「位置決め」することは「固定的に保持」することに、
「位置決めする構成」は「固定的に保持する保持機能」に、
「搬送ライン(92)」は「回路基板搬送装置」に、
「リード線(91)」は「リード線」に、
「電子部品(9)」は「リード部品」に、
「電子部品(9)を保持し、自動的にプリント基板(90)の定められた位置の2つの孔に挿入する」ことは「リード部品を保持して移動する」ことに、
「ロボットハンド」は「作業ヘッド」に、
「互いに近づいたり離れたりすること」は「互いに接近・離間させること」に、
「2つの孔」は「一対の貫通穴」に、
「挿入され」ることは「挿通され」ることに、
「2本のリード線(91)を揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の押圧により押し曲げる」ことは「2本のリード線に接して折り曲げる」ことに、
「揺動レバー(76)」は「可動子」に、
「一対の揺動レバー(76)の間隔を調節する間隔調節装置(5)」は「一対の可動子を移動させるピッチ変更装置」に、
「支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)」は「クリンチユニット」に、
「X-Yテーブル(1)」は「ユニット水平移動装置」に、
「電子部品をプリント基板上に固定する作業を自動的に行なう装置」は「自動組立装置」に、
「一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の水平方向の位置及び昇降する位置」は「一対の可動子の前記水平方向の位置および前記上下方向の位置である高さ」に、
「位置の制御方法」は「位置制御方法」に、
「前記ロボットハンドが前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)を前記位置決めする構成で位置決めされた前記プリント基板(90)に形成された複数の孔のうちの2つの孔に挿入する前」は「前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前」に、
「前記ロボットハンドに保持された前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)が挿入される、前記位置決めする構成で位置決めされた前記プリント基板(90)に形成された前記複数の孔のうちの前記2つの孔の挿入位置の下方に位置する」ことは「前記作業ヘッドに保持された前記リード部品の前記2本のリード線が挿通される、前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴に近接する」ことに、
「前記一対の揺動レバー(76)を前記間隔調節装置(5)で間隔の調節をする」ことは「前記一対の可動子を前記ピッチ変更装置で移動させる」ことに、
「前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を前記X-Yテーブル(1)で移動させ」ることは、「前記クリンチユニットを前記ユニット水平移動装置で移動させ」ることに、
「前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の水平方向の位置を制御」することは「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御」することに、
「前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の昇降する位置を、前記プリント基板(90)に形成された前記一対の孔に近づく位置となる」ことは、「前記一対の可動子の前記高さが前記回路基板の前記一対のリード線貫通穴に近接する高さとなる」ことに、それぞれ相当する。
また、引用発明の「切断及び曲げ固定装置(8)」は、「支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)並びに昇降用シリンダー装置(3)(3)」からなるので、引用発明の「X-Yテーブル(1)並びに切断及び曲げ固定装置(8)」は、本件補正発明の「クリンチ装置」に相当する。
そして、引用発明の支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を「上昇せしめる昇降用シリンダー装置(3)(3)」と、本件補正発明のクリンチユニットを「zモータで上下方向に移動させる上下方向移動装置」とは、「上下方向に移動させる上下方向移動装置」の限りで共通するので、
引用発明の「前記支持ブロック(4)、間隔調節装置(5)、取付台(6)(6)及びリード線切断装置(7)(7)を昇降用シリンダー装置(3)(3)で上昇させて、前記一対の揺動レバー(76)の切断刃(71)の下部リード線挿入孔(73)の昇降する位置を制御する」ことと、本件補正発明の「前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置の前記zモータで上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する」こととは、「前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置で上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する」ことの限りで共通する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1~3で相違する。
[一致点]
「複数の貫通穴が形成された回路基板を一対の基板搬送レーンにおいて水平な姿勢で搬送するとともに、前記回路基板を固定的に保持する保持機能を備えた回路基板搬送装置と、2本のリード線を有するリード部品を保持して移動する作業ヘッドと、(a)互いに接近・離間させることで前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴にそれぞれ挿通された前記リード部品の前記2本のリード線に接して折り曲げる一対の可動子と、前記一対の可動子を移動させるピッチ変更装置とを備えたクリンチユニットと、(b)前記クリンチユニットを上下方向に移動させる上下方向移動装置と、(c)前記クリンチユニットを前記一対の基板搬送レーンの間において水平方向に移動させるユニット水平移動装置とを備えたクリンチ装置とを含む自動組立装置において、前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前に、前記一対の可動子の前記水平方向の位置および前記上下方向の位置である高さを制御する位置制御方法であって、前記一対の可動子の前記水平方向の位置が、前記作業ヘッドに保持された前記リード部品の前記2本のリード線が挿通される、前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された複数の貫通穴のうちの一対の貫通穴に近接するように、前記一対の可動子を前記ピッチ変更装置で移動させるとともに、前記クリンチユニットを前記ユニット水平移動装置で移動させて、前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御し、次に、前記一対の可動子の前記高さが前記回路基板の前記一対のリード線貫通穴に近接する高さとなるように、前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置で上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する工程を含む位置制御方法。」
[相違点1]
本件補正発明の「作業ヘッド」は、「x方向移動装置、y方向移動装置、z方向移動装置の作動により」移動する構成であるのに対し、引用発明の「ロボットハンド」は、このような構成を有するか不明である点。
[相違点2]
本件補正発明の「上下方向移動装置」は、「zモータ」で上下方向に移動ないし上昇される構成であるのに対し、引用発明の「昇降用シリンダー装置(3)」は、zモータを有しない点。
[相違点3]
本件補正発明の「ピッチ変更装置」は、「1つのピッチ変更用モータを有し、前記ピッチ変更用モータの作動」により前記一対の可動子を移動させる構成であるのに対し、引用発明の「間隔調節装置(5)」は、ピッチ変更用モータを有しない点。
イ 相違点の検討
先に、相違点1及び相違点2について検討する。
上記(2)ウの引用文献2記載の技術的事項の「X移動装置23」は、本件補正発明の「x方向移動装置」に相当し、以下同様に、
「Y移動装置24」は「y方向移動装置」に
「Z移動装置27」は「z方向移動装置」に、
「リードを有する電子部品」は「リード部品」
「上側ロボット20及び上側作業装置30」は「作業ヘッド」に、
「カット・アンド・クリンチ装置」は「クリンチユニット」に、
「下Zサーボモータ57a」は「zモータ」に、
「Z方向に移動」することは「上下方向に移動」することに、
「Z移動装置57」は「上下方向移動装置」に、
「下側ロボット50及び下側作業装置60」は「クリンチ装置」に、
「プリント基板作業装置100」は「自動組立装置」に、それぞれ相当する。
したがって、引用文献2記載の技術的事項は、本件補正発明の用語を用いると、
「x方向移動装置、y方向移動装置、z方向移動装置の作動によりリード部品を移動する作業ヘッドと、クリンチユニットをzモータで上下方向に移動させる上下方向移動装置を備えたクリンチ装置と、を含む自動組立装置」ということができ、上記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成は、引用文献2記載の技術的事項の構成である。
そして、引用文献1の頒布された日から、原出願の出願日までの、技術水準の向上や製造精度への要求水準の向上等を考慮すれば、引用発明の「ロボットハンド」の具体化のために、引用文献2記載の技術的事項の「上側ロボット20及び上側作業装置30」の構成を採用することで上記相違点1に係る本件補正発明の構成とし、また、引用発明の「昇降用シリンダー装置(3)」を、引用文献2記載の技術的事項の「Z移動装置57」に置き換えることで、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
次に、相違点3について検討する。
可動部を有する装置において、当該可動部を駆動する駆動手段として、モータを含む公知の駆動手段からどのような手段を選択するかは、装置の機能や特性に応じて当業者が適宜選択する設計的事項にすぎない。
そして、引用発明の間隔調節装置(5)は、「ストロークの異なるピストンロッド(50)を有する5つのシリンダー装置(57)を2列に喰い違いに配備してなる。」(引用文献1の明細書第8頁第16~18行)構成であり、変更できるピッチの数が少なければ「間隔調節装置(5)はシリンダー装置により駆動されるので、モータを用いた機構に比べて軽量である。」(引用文献1の明細書14頁第16~18行)という効果が期待できるとしても、変更できるピッチの数だけシリンダーやピストンが必要となるから、シリンダー装置は、設定可能なピッチの数の増加によってはモータを用いた機構と比べて不利となり得る。
また、上記(2)カのとおり、ピッチ変更装置に1つのピッチ変更用モータを設け、前記ピッチ変更用モータの作動により一対の可動子を移動させる構成とすることは原出願の出願当時の技術水準においては周知技術であるから、引用発明の「間隔調節装置(5)」に、この周知技術を適用して、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
また、全体的にみて、本件補正発明による作用・効果は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術から当業者が予測可能なものであって、格別顕著なものとは認められない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであって、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件に係る出願の請求項1~7に係る発明は、令和2年11月25日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1及び7に係る発明は、原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2記載の技術的事項並びに周知技術(引用文献3及び4参照)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、また、この出願の請求項2~6に係る発明は、原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2記載の技術的事項並びに周知技術(引用文献3~6参照)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.実願昭59-92231号(実開昭61-9157号)のマイクロフィルム
引用文献2.国際公開第2014/037993号
引用文献3.特開2003-124689号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開昭63-289899号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開平5-327287号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.特開2004-14934号公報(周知技術を示す文献)
3.引用文献に記載された事項及び引用発明等
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載された事項及び引用発明、引用文献2記載の技術的事項並びに引用文献3及び4に係る周知技術は、前記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、
(1)作業ヘッドに関して「x方向移動装置、y方向移動装置、z方向移動装置の作動により」移動することに限定すること、
(2)クリンチ装置に関して「クリンチユニットをzモータで上下方向に移動させる上下方向移動装置」を備えたことに限定すること、
(3)位置制御方法に関して、「前記クリンチユニットが備える前記一対の可動子が前記2本のリード線に接して折り曲げる前」を「前記z方向移動装置の作動により、前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機能により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前」に限定すること、
(4)「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する位置制御方法」を「前記一対の可動子の前記水平方向の位置および前記上下方向の位置である高さを制御する位置制御方法」に限定すること、
(5)「前記回路基板搬送装置で固定的に保持された前記回路基板」を「前記保持機能により固定的に保持された前記回路基板」に限定すること、
(6)「前記一対の可動子のピッチを前記ピッチ変更装置で移動させる」を「前記一対の可動子を前記ピッチ変更装置で移動させる」に限定すること、
(7)「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御する工程」を「前記一対の可動子の前記水平方向の位置を制御し、次に、前記一対の可動子の前記高さが前記回路基板の前記一対のリード線貫通穴に近接する高さとなるように、前記クリンチユニットを前記上下方向移動装置の前記zモータで上昇させて、前記一対の可動子の前記高さを制御する工程」に限定すること、
以上(1)~(7)の発明特定事項に係る限定を削除したものである。
そして、本願発明の「前記クリンチユニットが備える前記一対の可動子が前記2本のリード線に接して折り曲げる前」は、本件補正発明の「前記作業ヘッドが前記リード部品の前記2本のリード線を前記保持機構により固定的に保持された前記回路基板に形成された前記複数の貫通穴のうちの前記一対の貫通穴に挿通する前」を含むものであるから、引用発明と本件補正発明との対比を踏まえれば、引用発明の「前記ロボットハンドが前記電子部品(9)の前記2本のリード線(91)を前記位置決めする構成で位置決めされた前記プリント基板(90)に形成された前記複数の孔のうちの前記2つの孔に挿入する前」は、本願発明の「前記クリンチユニットが備える前記一対の可動子が前記2本のリード線に接して折り曲げる前」に相当するといえる。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.(3)に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-007099