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特許拒絶査定不服審判

2021-004569

低減された突入電流を有するPTCヒーター

審判番号
2021-004569
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-541319
請求日
2021年04月08日
審決日
2021年12月02日
公報発行日
2022年05月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
  • 【請求人代理人】前田・鈴木国際特許業務法人
審判長/審判官
  • 審判長 酒井 朋広
  • 審判官 棚田 一也
  • 審判官 山田 正文
分類
P18 .121-Z (H01C) / P18 .575-Z (H01C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-541319「低減された突入電流を有するPTCヒーター」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日国際公開、WO2018/141458、令和 2年 2月27日国内公表、特表2020-506549〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年12月19日(パリ条約による優先権主張 2017年2月1日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年 8月 3日付け:拒絶理由通知 令和 2年11月11日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年12月 3日付け:拒絶査定 令和 3年 4月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年4月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年4月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正 (1)本件補正による特許請求の範囲 本件補正による特許請求の範囲は、以下のとおりと認められる(下線は、補正箇所を示す)。 「【請求項1】 PTC材料で構成され、長さL、幅 B及び高さHを有する基体(GK)と、 導電材料で構成される第1電極(EL1)及び第2電極(EL2)と、を有する、低減された突入電流を有するPTCヒーター(HZ)であって、 前記基体(GK)を構成するPTC材料は、ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加されており、 前記電極(EL1、EL2)は、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu及び/又はAuを含み、 L、B及びHに、L≧B≧H、2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦Hが適用され、 前記電極(EL1、EL2)は、互いの距離dにd>Hが適用されるように、前記基体(GK)に固定されており、 前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有し、 前記誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含み、 前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含むPTCヒーター。 【請求項2】 L≧B>Hが適用される請求項1に記載のPTCヒーター。 【請求項3】 前記基体(GK)は、直方体、円柱体、薄膜又は楕円体形状を有する請求項1又は2に記載のPTCヒーター。 【請求項4】 保持体(TR)をさらに含み、当該保持体に前記基体(GK)が設けられる請求項1~3のいずれかに記載のPTCヒーター。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和2年11月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 PTC材料で構成され、長さL、幅B及び高さHを有する基体(GK)と、 導電材料で構成される第1電極(EL1)及び第2電極(EL2)と、を有する、低減された突入電流を有するPTCヒーター(HZ)であって、 前記基体(GK)を構成するPTC材料は、ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加されており、 前記電極(EL1、EL2)は、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu及び/又はAuを含み、 L、B及びHに、L≧B≧Hが適用され、 前記電極(EL1、EL2)は、互いの距離dにd>Hが適用されるように、前記基体(GK)に固定されるPTCヒーター。 【請求項2】 L≧B>Hが適用される請求項1に記載のPTCヒーター。 【請求項3】 前記基体(GK)は、直方体、円柱体、薄膜又は楕円体形状を有する請求項1又は2に記載のPTCヒーター。 【請求項4】 2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦Hが適用される請求項1~3のいずれかに記載のPTCヒーター。 【請求項5】 保持体(TR)をさらに含み、当該保持体に前記基体(GK)が設けられる請求項1~4のいずれかに記載のPTCヒーター。 【請求項6】 前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有する請求項1~5のいずれかに記載のPTCヒーター。 【請求項7】 前記誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含む請求項1~6のいずれかに記載のPTCヒーター。 【請求項8】 前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含む請求項1~7のいずれかに記載のPTCヒーター。」 2 補正の適否 本件補正は、 ・本件補正前の請求項1に記載された「L、B及びH」について、「2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦H」との限定を付加するとともに、本件補正前の請求項1に記載された「PTCヒーター」について「前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有し、前記誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含み、前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含む」との限定を付加し、 ・本件補正前の請求項4、6ないし8を削除し、 ・本件補正前の請求項5に記載された「請求項1~4のいずれかに記載のPTCヒーター。」を「請求項1~3のいずれかに記載のPTCヒーター。」とするものである。 本件補正は、いずれも本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項に限定を付加するものであり、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正における請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)、について以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)において請求項1に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1の記載、引用発明について (ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-022159号公報(平成7年1月24日公開、以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した)。 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】 したがって本発明が解決すべき課題は、将来の使用環境を想定し、高電圧下、特に200v使用時において、極めて簡単な手段により突入電流を大幅に減少させ、大きな定常出力のとれるPTCパネルヒータを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、上記課題を解決すべく、多くの試作実験を重ねた結果、肉厚の放熱板を組み合わせた構造をとり、異電極間の距離と印加電圧の関係のある条件下によれば、特に、突入電流を減少させることが可能であることを見出した。 【0009】 すなわち、使用印加電圧をVとして、異電極間距離をdとしたときに、V/d≦57の範囲を満たすことを特徴とする。さらに、熱伝導率の高いセラミックスからなる絶縁放熱板とPTCセラミックス素子は、電極を介在して一体化したり、一面に分割して、対向電極を設けることで、効果を増大させることができる点を特徴とする。 【0010】 なお、前記絶縁放熱板を構成する熱伝導率の高いセラミックスとしては、Al2O3,MgO,BN,AlN,SiCのいずれか一種以上を60mol%以上含有するものを好適に使用することができる。」 「【0019】 〔実施例3〕キュリー点を110℃にもつ15×25×2.5mmのPTCセラミックスに電極間距離(d)を10mmにして、図6に示すような形状でAlペーストを塗布し、乾燥後、650℃×15minで焼き付けて、図6に示すような電極2a及び2c,2dを形成した。なお、PTCセラミックス素子1の25℃における抵抗値は7KΩであった。さらに図7に示すように、240mm角×1mm厚のAl板5、100mm角×0.4mm厚のSi絶縁シート6と、90mm角×4mm厚のAl板7を積層したものに、上記PTCセラミックス素子1を取り付けて、下部に硬質ポリウレタンフォームの断熱材8を付けたパネルヒータを組み立てた。さらに、このパネルヒータ内のPTCセラミックス素子1の電極2c,2dに200vの電圧を印加し、時間-電流特性を測定した。」 「【0021】 〔実施例4〕キュリー点を110℃にもつ15×25×2.5mmのPTCセラミックスにAlペーストを両面に塗布し、乾燥前に図8(断面図),図9(斜視図)に示すようにアルミナ基板に押し付けて、同時に乾燥させた。乾燥後、650℃×15minで焼き付けて、図8,9に示すような電極2aを共通としたヒータユニットを得た。さらに図10に示すように、240mm角×1mm厚のAl板5と90mm角×4mm厚のAl板7を積層したものに、上記PTCセラミックス素子1を取り付けて、下部に硬質ポリウレタンフォームの断熱材8を付けたパネルヒータを組み立てた。その結果を表3に示す。」 「【0025】 〔比較例1〕図12に示すように、放熱板を250mm角×1mm厚のAl板5にした以外は、実施例5と同じである。その結果を表3に示す。 【0026】 〔比較例2〕図13に示すように、放熱板を250mm角×4mm厚のAl板5にした以外は、実施例5と同じである。」 「【0030】 以上の結果より、外部放熱板とそれよりも肉厚の放熱板を組み合わせた放熱板に、 ○1V(使用印加電圧)/d(電極間距離)≦57を満たし、PTCサーミスタの最大面に相対するように電極を形成した素子。または、 ○2PTCサーミスタの一面を分割して一対の対向電極を設けた素子。 【0031】 を組み合わせることにより、大きな出力を確保しつつ、突入電流を抑えたパネルヒータを提供することができるようになった。さらに、これらの特性は、放熱板とPTCサーミスタとの間に介在させる絶縁板と電極膜を一体化させることで、さらに向上させることができる。」(当審注:「○1」及び「○2」は丸中数字を表す。) [図:0001383799000001.jpg] [図:0001383799000002.jpg] [図:0001383799000003.jpg] [図:0001383799000004.jpg] (イ)上記(ア)によれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 a 段落【0009】には、PTCセラミックス素子について、「一面に分割して、対向電極を設ける」ことが記載されている。段落【0021】には、実施例4について、「15×25× 2.5mmのPTCセラミックス」を用いて図8及び図9に示される「ヒータユニットを得」ること、当該ヒータユニットを用いて「パネルヒータを組み立て」ることが記載されている。そして、図8及び図9から、PTCセラミックス素子の一面に分割されて対向する電極2c,2dが見てとれる。 よって、段落【0009】、段落【0021】、図8及び図9には、実施例4として、15×25×2.5mmのPTCセラミックス素子と、PTCセラミックス素子の一面に分割して設けられた一対の対向電極とを有するパネルヒータが記載されている。 b 段落【0021】には、実施例4について、「PTCセラミックスにAlペーストを両面に塗布し」て、「図8(斜視図)及び図9(斜視図)に示すようにアルミナ基板に押し付け」、「乾燥させ」、乾燥後「焼き付け」ることが記載されている。そして、図8及び図9から、PTCセラミックス素子の一面に分割されて対向する電極2c、2dが形成されると共に、当該一面と反対側の面に電極2aを介してアルミナ基板が形成された構造が見てとれる。 よって、段落【0021】、図8及び図9には、実施例4について、PTCセラミックス素子の一面に分割されて対向する電極2c、2d、すなわち、対向電極はAlペーストがPTCセラミックスに焼き付けられたものであることが記載されており、また、PTCセラミックスの対向電極が位置する面と反対側の面に電極を介して焼き付けられたアルミナ基板が記載されている。 c 段落【0007】及び段落【0008】には、「突入電流を減少させ」ることが解決すべき課題として記載され、段落【0009】には、「一面に分割して、対向電極を設けることで、効果を増大させることができる」と記載され、段落【0030】及び段落【0031】には、「外部放熱板とそれよりも肉厚の放熱板を組み合わせた放熱板」に「○2PTCサーミスタの一面を分割して一対の対向電極を設けた素子。」(当審注:「○2」は丸中数字を表す。)を組み合わせることにより、「突入電流を抑制したパネルヒータを提供することができる」ことが記載されている。 よって、段落【0007】ないし段落【0009】、段落【0030】及び段落【0031】の記載より、実施例4に記載されたパネルヒータは突入電流を減少させたものである。 d 段落【0009】には、「熱伝導率の高いセラミックスからなる絶縁放熱板とPTCセラミックス素子は、電極を介在して一体化」されることが記載され、段落【0010】には、「前記絶縁放熱板を構成する熱伝導率の高いセラミックスとしては、Al2O3」「を60mol%以上含有するものを好適に使用」できることが記載されている。 よって、段落【0009】及び段落【0010】の記載より、アルミナ基板は熱伝導率の高いセラミックスである。 e 段落【0021】には、実施例4において、「240mm角×1mm厚のAl板5と90mm角×4mm厚のAl板7を積層したものに、上記PTCセラミックス素子1を取り付け」ることが記載され、段落【0030】には、「外部放熱板とそれよりも肉厚の放熱板を組み合わせた放熱板」が記載されている。また、図10から、アルミナ基板3のPTCセラミックスと反対側にAl板7を介してAl5が接続された構造が見てとれる。 よって、段落【0021】、段落【0031】及び図10に記載された実施例4において、Al板5及びAl板7は放熱板としての機能を有すると認められ、パネルヒータは、PTCセラミックスにアルミナ基板を介して、90mm角×4mm厚のAl板、240mm角×1mm厚のAl板が順に積層して接続された放熱板としてのAl板とを含むものである。 f 段落【0019】には、「15×25×2.5mmのPTCセラミックスにおいて電極間距離(d)を10mmとして」「図6に示すような電極2a、2c及び2dを形成」すること、「電極2c、2dに200vの電圧を印加」することが記載されている。また、図6からPTCセラミックスの一面に分割して配置された電極2cと2dとの距離を電極間距離(d)とすることが見てとれる。 よって、段落【0019】及び図6には、15×25×2.5mmのPTCセラミックスの一面に分割して配置された電極2c、2dの間の距離を10mmにし、電極2c、2dに電圧を印加することが記載されている。 (ウ)上記(イ)aないしeによれば、引用文献1には実施例4のパネルヒータとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「突入電流を減少させたパネルヒータであって、 15×25×2.5mmのPTCセラミックスと、 PTCセラミックス素子の一面に分割して設けられた一対の対向電極と、を有し、 対向電極はAlペーストがPTCセラミックスに焼き付けられたものであり、 PTCセラミックスの対向電極が位置する面と反対側の面に電極を介して焼き付けられた、熱伝導率の高いセラミックスであるアルミナ基板と、 PTCセラミックスにアルミナ基板を介して、90mm角×4mm厚のAl板、240mm角×1mm厚のAl板が順に積層して接続された放熱板としてのAl板とを含む、パネルヒータ。」 イ 引用文献2の記載 (ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平7-211511号公報(平成7年8月11日公開、以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した)。 「【0002】 【従来の技術】 チタン酸バリウムにY,La,Ceなどの希土類元素あるいはNb,Taなどの遷移元素を微量添加すると半導体化し、そのキュリー点付近の温度で正の抵抗温度特性(以下PTC特性と記す)を示すことは従来より広く知られている。そのPTC特性を利用して、過電流保護用素子、温度制御用素子、モータ起動用素子、ヒータ用といった様々な用途に応用されてきている。」 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 ヒータ用素子では、通常スイッチング温度と呼ばれる発熱開始温度の高温化が要求され、チタン酸バリウムのバリウムサイトを一部鉛に置換し、チタン酸バリウムのキュリー点(120℃)を高温側に移動させたチタン酸バリウム鉛系材料によるスイッチング温度が200~300℃のものが一般に使用されている。鉛の置換によってスイッチング温度を高温側に移動させることはできるが、焼成時における鉛の揮散が大きく、セラミックの焼結性に問題があり、緻密で均質なセラミックが得られない。その結果特性のばらつきが大きく、電気特性においてもスイッチング温度を越えた後の抵抗温度係数が小さく電圧による抵抗値変動が大きいこととともに耐電圧性が悪い。」 「【0007】 本発明はこれらの欠点を改善した抵抗温度係数および抵抗変化幅が大きく、電圧依存性の小さい耐電圧にすぐれた正特性サーミスタを提供することを目的としたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 この課題を解決するために本発明では、組成をチタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムを主成分とし、主成分に対し半導体化剤として、Y,La,Ce,Nb,Bi,Sb,W,Thの元素のうちから少なくとも1種類を酸化物として添加含有させ、さらにSiO2,Mnを酸化物の形で含有させ、さらにAl2O3を添加含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なくすることにより安定した正特性サーミスタ素子を得ることができる。 【0009】 さらに、チタン酸バリウムを40~95モル%、チタン酸鉛を4~40モル%、チタン酸カルシウムを1~20モル%を主成分とし、主成分に対し半導体化剤として、Y,La,Ce,Nb,Bi,Sb,W,Thの元素のうち少なくとも1種類を酸化物として0.1~0.4モル%添加含有させ、SiO2を1.0~5.0モル%、Mnを酸化物として0.01~0.15モル%、Al2O3を0.1~2.0モル%含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なくすることにより効果がある。」 「【0011】 【作用】 本発明においてバリウムサイトの組成比率をチタンサイトに対して0.970~0.997にすることにより、過剰になった主成分のチタンとバリウムの化合物およびチタンと焼結助剤として添加した二酸化珪素との化合物が生成することによって焼結が促進され、緻密で安定な正特性サーミスタを得ることができる。それによって電気特性においても、抵抗温度係数、抵抗値変化幅の大きい電圧依存性の小さい、電圧変動などの外的要因などで素体の抵抗値が変動してもその温度が大きく変動することがなく目的とする温度を安定して得ることができるなど優れた正特性サーミスタを得ることができる。」 (イ)上記(ア)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。 a 段落【0002】には、正の抵抗温度特性すなわち「PTC特性」が、「ヒータ用といった様々な用途に応用されてきている」ことが記載され、段落【0005】及び段落【0007】には、発明の目的として、「ヒータ用に用いられる際の欠点を改善した」「正特性サーミスタを提供すること」が記載されている。 よって、段落【0002】、段落【0005】及び段落【0007】には、正特性サーミスタがヒータ用であることが記載されている。 b 段落【0008】及び段落【0009】には、「正特性サーミスタ」が、「チタン酸バリウムを40~95モル%、チタン酸鉛を4~40モル%、チタン酸カルシウムを1~20モル%を主成分とし、主成分に対し」「Y,La,Ce」「の元素のうち少なくとも1種類を酸化物として0.1~0.4モル%添加含有させ、SiO2を1.0~5.0モル%、Mnを酸化物として0.01~0.15モル%、Al2O3を0.1~2.0モル%含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なく」したものであることが記載されている。 c 段落【0011】には、正特性サーミスタは、「焼結」により形成されたものであること、また、「電圧変動などの外的要因などで温度が大きく変動することがなく目的とする温度を安定して得ることができる」ものであることが記載されている。 (ウ)上記(イ)によれば、引用文献2には、 「ヒータ用の正特性サーミスタであって、 チタン酸バリウムを40~95モル%、チタン酸鉛を4~40モル%、チタン酸カルシウムを1~20モル%を主成分とし、主成分に対しY,La,Ceの元素のうち少なくとも1種類を酸化物として0.1~0.4モル%添加含有させ、SiO2を1.0~5.0モル%、Mnを酸化物として0.01~0.15モル%、Al2O3を0.1~2.0モル%含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なくしたものであり、 焼結により形成され、 電圧変動などの外的要因で温度が大きく変動することがなく目的とする温度を安定して得ることができる正特性サーミスタ」 とする技術が記載されている。 (3)対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明の「15×25×2.5mmのPTCセラミックス」は、三辺の長さが25mm、15mm、2.5mmである直方体形状のPTCセラミックスと解される。本件補正発明は「長さL、幅B及び高さH」に「L≧B≧H、2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦Hが適用され」るものであるから、引用発明の「15」mm、「25」mm、「2.5mm」の長さは、本件補正発明の「幅B」、「長さL」、「高さH」に対応する。よって、引用発明の「15×25×2.5mmのPTCセラミックス」は、本件補正発明の「PTC材料で構成され、長さL、幅B及び高さHを有する基体(GK)」に相当し、本件補正発明の「L、B及びHに、L≧B≧H、2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦Hが適用され」ることを満たす。 ただし、本件補正発明は「前記基体(GK)を構成するPTC材料は、ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加されており、前記電極(EL1、EL2)は、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu及び/又はAuを含」むのに対し、引用発明は「PTCセラミックス」が、PTC特性を有することは明らかであるが、PTC特性を示す材料が具体的に特定されていない点で本件補正発明と相違する。さらに、本件補正発明は「前記電極(EL1、EL2)は、互いの距離dにd>Hが適用される」のに対し、引用発明の「PTCセラミックス」は、「対向電極」間の距離が限定されていない点で相違する。 b 引用発明の「Alペーストが」「焼き付けられたもの」である「PTCセラミックス素子の一面に分割して設けられ」た「一対の対向電極」は、本件補正発明の「導電材料で構成される第1電極(EL1)及び第2電極(EL2)」に相当する。 c 引用発明の「パネルヒータ」は、「PTCセラミックス」を備えるから、本件補正発明の「PTCヒーター」であるといえる。よって、引用発明の「突入電流を減少させたパネルヒータ」は、本件補正発明の「低減された突入電流を有するPTCヒーター(HZ)」に相当する。 d 本件補正発明の「前記電極(EL1、EL2)は、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu及び/又はAuを含み」とは、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu、Auのいずれかを含めば良いと解釈できる。そうすると、引用発明の「対向電極はAlペーストがPTCセラミックスに焼き付けられたもの」は、本件補正発明の「前記電極(EL1、EL2)は、」「Al」「を含」むものに相当する。 e 本願の願書に最初に添付された明細書の段落【0024】には、「誘電体層は、電気的絶縁性を有しており、従来のヒーターでは電極の取り付けに用いられる面積の大きい側面を介して、放散された熱を放出する必要がある場合に、従来のヒーターの構造とは異なるので、当該誘電体層は必要なものである。」と記載されており、「誘電体層」は「電気的絶縁性を有」する材料として記載されている。そして、一般にアルミナが電気的に絶縁性を有すると共に、誘電性を有することは技術常識であるから、引用発明の「アルミナ基板」は、本発明の「誘電体層」に相当する。さらに、上記段落【0024】には「誘電体層は」「面積の大きい側面を介して、放散された熱を放出する必要がある場合に」「当該誘電体層は必要なものである」ことが記載されており、本願の願書に最初に添付された明細書の段落【0026】には「当該冷却体は基体に接続されてもよい。当該冷却体は、基体で放散された熱を周囲に放出するのに好適である。」と記載され、段落【0029】には「絶縁層としての誘電体層は、冷却体と電極、及び電極に接続される基体とを電気的に隔離するために用いられる。」と記載されている。よって、基体の側面に冷却体を接続して熱を放出する際、冷却体と基体とは誘電体層により隔離されるから、誘電体層が冷却体と基体の側面との間に設けられることは明らかであり、本件補正発明の「誘電体層(IS)」が設けられる「側面」は、放散された熱を放出する面であると認められる。そして、引用発明における「アルミナ基板」は「熱伝導率」が高く、「90mm角×4mm厚のAl板、240mm角×1mm厚のAl板が順に積層して接続された放熱板」に接続されるものであり、PTCセラミックスから熱を放出するものと認められるから、引用発明の「アルミナ基板」が「焼き付けられ」る「反対側の面」は、本件補正発明の「側面」に相当する。よって、引用発明の「PTCセラミックスの対向電極が位置する面と反対側の面に電極を介して焼き付けられたアルミナ基板」は、本件補正発明の「前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有」することを満たす。 さらに、引用発明の「アルミナ基板は熱伝導率の高いセラミックスであ」ることは、アルミナが酸化アルミ、すなわち酸化物であるから、本件補正発明の「誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含」むことに相当する。 f 引用発明の「PTCセラミックスにアルミナ基板を介して、90mm角×4mm厚のAl板、240mm角×1mm厚のAl板が順に積層して接続された放熱板としてのAl板とを含む」ことは、放熱板としてのAl板がPTCセラミックスで放散された熱を周囲に放出することは明らかだから、本件補正発明の「前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含む」ことに相当する。 イ 上記アによれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「PTC材料で構成され、長さL、幅B及び高さHを有する基体(GK)と、 導電材料で構成される第1電極(EL1)及び第2電極(EL2)と、を有する、低減された突入電流を有するPTCヒーター(HZ)であって、 前記電極(EL1、EL2)はAlを含み、 L、B及びHに、L≧B≧H、2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦Hが適用され、 前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有し、 前記誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含み、 前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含むPTCヒーター。」 (相違点1) 本件補正発明では「前記基体(GK)を構成するPTC材料は、ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加されて」いるのに対し、引用発明では「PTCセラミックス」を構成する材料が具体的に特定されていない点。 (相違点2) 本件補正発明では「前記電極(EL1、EL2)は、互いの距離dにd>Hが適用されるように、前記基体(GK)に固定され」るのに対し、引用発明では「対向電極」間の距離と「PTCセラミックス」の高さとの大小関係は特定されていない点。 (4)判断 (ア)相違点1について検討する。 上記「(2)イ (ウ)」に記載のとおり、引用文献2に記載された「正特性サーミスタ」は、「チタン酸バリウムを40~95モル%、チタン酸鉛を4~40モル%、チタン酸カルシウムを1~20モル%を主成分とし、主成分に対しY,La,Ceの元素のうち少なくとも1種類を酸化物として0.1~0.4モル%添加含有させ、SiO2を1.0~5.0モル%、Mnを酸化物として0.01~0.15モル%、Al2O3を0.1~2.0モル%含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なくしたもの」である。よって、引用文献2に記載された「正特性サーミスタ」は、チタン酸バリウムが、チタン酸鉛及びチタン酸カルシウムと共に主成分を構成し、Y,La,Ce元素のうち少なくとも1種類を添加含有し、Mn及びAl2O3を含有するものであるといえる。 また、正特性サーミスタの主成分であるチタン酸バリウムは、Y,La,Ce元素のうち少なくとも1種類を添加含有し、Mn及びAl2O3を含有するものであるから、Y,La,Ce元素のうち少なくとも1種類、Mn及びAl2O3が「ドープされた」ものである。 そして、引用文献2に記載された「正特性サーミスタ」は、引用発明と同じくヒータに用いられるものである。さらに、引用文献2に記載された「正特性サーミスタ」の、電圧変動などの外的要因で温度が大きく変動することがなく目的とする温度を安定して得ることができる特性は、ヒータ用のPTCサーミスタに通常求められる特性であり、セラミックスが焼結により形成されることは明らかであるから、引用発明の「PTCセラミックス」の材料として、引用文献2に記載された、「チタン酸バリウムを40~95モル%、チタン酸鉛を4~40モル%、チタン酸カルシウムを1~20モル%を主成分とし、主成分に対しY,La,Ceの元素のうち少なくとも1種類を酸化物として0.1~0.4モル%添加含有させ、SiO2を1.0~5.0モル%、Mnを酸化物として0.01~0.15モル%、Al2O3を0.1~2.0モル%含有させ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウムよりなる主成分のうち、バリウムサイトの組成比率がチタンサイトに対して0.970~0.997の範囲でチタンサイトより少なくしたもの」を用いて、相違点1に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 この点について、審判請求人は審判請求書において、補正後の請求項1に記載された「基体(GK)の長さL、幅B及び高さH、および、電極(EL1,EL2)の距離dについて、L≧B≧H、2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、100μm≦H、および、d>Hである」という特徴、「基体(GK)を構成するPTC材料として、ドープされたBaTiO3であって、Sr、Pb及び/又はCaを含み、さらに希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加されたBaTiO3を選択し、また、電極(EL1、EL2)として、Cr、Ni、Ti、Al、Ag、Cu及び/又はAuを含むものを選択している」という特徴、「基体(GK)の一方の側面に酸化物セラミックスを含む誘電体層(IS)を有する」という特徴、および、「基体(GK)に接続され、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)を含む」という特徴の全てを併せもつことにより、初期電流/開始電流を大幅に低減したPTCヒーターを実現可能にしたものである。そして、当業者であれば、引用文献1および引用文献2に開示された材料組成であればこそ装置を適切に作動させ、引用文献1および引用文献2に明示されている材料組成から逸脱すると、組成物の性能が確実に低下することを知っているから、引用文献1および引用文献2に明示されている材料組成を変えることは行わず、本件補正発明は、引用文献1及び2に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない旨主張している。 しかし、本願の願書に最初に添付された明細書の段落【0011】に記載されているように、本件補正発明は、突入電流を小さくするためにヒーターの電極を間隔のより遠い基体の末端に位置させたものであり、一方、引用発明も、上記「(2)ア (イ)」であげた技術事項a、cのとおり、突入電流を低減するために、対向電極をPTCセラミックスの一面に分割配置したものとするものである。また、引用文献1には、上記「(2)ア (イ)」であげた技術事項cのとおり、放熱板の構造により突入電流を低減することが記載されている。一方、引用文献1において、PTCセラミックスの材料は具体的に限定されていない。してみると、引用文献1には、PTCセラミックスの材料を具体的に限定することなく、対向電極の配置、放熱板の構造により突入電流を低減することが示されているから、引用文献1に接した当業者であれば、引用発明において引用文献2に記載された材料を用いたとしても、対向電極の配置、放熱板の構造により突入電流を低減できると認識するものと認められる。さらに、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面には「ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加」された「PTC材料」を用いることに、突入電流との関係で臨界的意義があることを示す比較例等は記載されていないから、請求項1に記載された「前記基体(GK)を構成するPTC材料は、ドープされたBaTiO3を有し、前記BaTiO3は、Sr、Pb及び/又はCaを含み、希土類元素、Mn、Fe及び/又はAlが添加され」た構成による格別な効果があるとも認められない。よって、上記審判請求人の主張を採用することはできない。 イ 相違点2について検討する。 上記「(2)ア (イ)」の技術事項fのとおり、引用文献1には、実施例3の構成として、15×25×2.5mmのPTCセラミックスの一面に分割して配置された電極2c、2dの間の距離を10mmとし、電極2c、2dに電圧を印加することが記載されている。また、上記「(2)ア (イ)」の技術事項cのとおり、引用文献1には、「外部放熱板とそれよりも肉厚の放熱板を組み合わせた放熱板」に「PTCサーミスタの一面を分割して一対の対向電極を設けた素子」を組み合わせることにより、「突入電流を抑制したパネルヒータを提供することができる」ことが記載されている。そして、実施例4から認定した引用発明も、「15×25×2.5mmのPTCセラミックス」の「一面に分割して設けられた一対の対向電極」、並びに、肉厚の放熱板としての「90mm角×4mm厚のAl板」及び外部放熱板としての「240mm角×1mm厚のAl板」からなる「放熱板としてのAl板」という、実施例3の構成と同様の、突入電流を減少させるための構造を備えたものだから、引用文献1に記載された実施例3の電極2c、2dの間の距離を10mmにする構成を引用発明に適用し、対向電極の間の距離を10mmとしてPTCセラミックスの高さである2.5mmよりも大きくし、相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。 よって、本件補正発明は、引用発明、並びに、引用文献1及び引用文献2に記載された技術事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和2年11月11日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1(2)」において請求項1に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定(令和2年12月3日付け拒絶査定)の拒絶の理由は、概略次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1-8 ・引用文献等 1,2 引用文献1.特開平07-022159号公報 引用文献2.特開平07-211511号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由]2 (2)(ア)」に記載したとおりである。また、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2の記載事項は、上記「第2[理由]2 (2)(イ)」に記載したとおりである。 4 対比、判断 本願発明は、本件補正発明から、上記「第2[理由]1 」で検討した「L、B及びH」について、「2.5cm≦L≦5cm、1cm≦B≦4cm、及び100μm≦H」との限定を削除するとともに、本件補正前の請求項1に記載された「PTCヒーター」について、「前記基体(GK)の一方の側面に位置する誘電体層(IS)をさらに有し、前記誘電体層(IS)は酸化物セラミックスを含み、前記基体(GK)に接続されると共に、基体(GK)で放散された熱を周囲に放出するための冷却体(KK)をさらに含む」との限定を削除するものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に限定したものに相当する本件補正発明が前記「第2[理由]2 (4)」に示したとおり、引用発明、並びに、引用文献1及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、並びに、引用文献1及び引用文献2に記載された技術事項とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-004569

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