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特許拒絶査定不服審判

2024-005140

超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサの動作方法

審判番号
2024-005140
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-512763
請求日
2024年03月27日
審決日
2025年05月29日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
  • 【請求人代理人】弁理士法人相原国際知財事務所
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 道祖土 新吾
  • 審判官 濱野 隆
分類
P18 .121-Z (G01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-512763号「超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサの動作方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年12月9日国際公開、WO2021/244919、令和4年12月15日国内公表、特表2022-552068号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)5月26日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2020年6月3日 ドイツ連邦共和国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。以下、2020年6月3日を「優先日」という。 令和4年 4月19日 :翻訳文の提出 令和5年 5月23日付け:拒絶理由通知書 同年 8月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年11月29日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年12月 6日 :原査定の謄本の送達) 令和6年 3月27日 :審判請求書の提出 2 本願発明の認定等 (1) 本願発明の認定と分説 本願の請求項1~18に係る発明は、令和5年8月18日に提出された手続補正書により補正された請求項1~18に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりのものであると認める。 ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Gまでに分説する。分説するにあたり、適宜改行を加えて表記した。 また、参考図として、本願の【図1】を符号の説明とともに示す。 <本願発明> 「【請求項1】 (構成X) 超音波トランスデューサであって、 (構成A) ハウジング(4)を有する超音波ユニット(6)を有し、 (構成B) 前記ハウジング(4)内には圧電素子(2)が配置されており、 (構成C) 前記超音波ユニット(6)は、厚み振動モードでの動作のために構成されており、 (構成D) 前記ハウジング(4)から外へ導かれた少なくとも1つの電気的な接続ケーブル(3)を有し、 (構成E) 前記接続ケーブル(3)は、前記超音波ユニット(6)とは別個に配置された制御及び/又は評価電子機器(5)との接続のために構成されており、 (構成F) 前記圧電素子(2)は、前記ハウジング(4)のカバープレート(7)に固定されており、 (構成G) 前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)の全厚さは、前記超音波ユニット(6)が、前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)から成る系の共振状態において厚み振動モードで動作するように構成されるようなものである、 (構成X) 超音波トランスデューサ。」 <参考図(【図1】)> [図:0001428675000001.jpg] 1 超音波トランスデューサ 2 圧電素子 3 接続ケーブル 4 ハウジング 6 超音波ユニット 7 カバープレート 8 放射面 9 接着層 10 下面 11 背面構造 12 開口 13 付加的な要素 17 音波 t 容器の厚さ D 容器の直径 (2) 本願発明に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載 本願発明の技術上の意義の概略を理解するために、本願明細書の発明の詳細な説明の記載等を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。以下同様である。 ア 本願発明の技術分野、背景技術についての記載 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば容器内の液体の充填レベルを測定するために構成された、超音波トランスデューサに関する。 【背景技術】 【0002】 充填レベルの測定、したがって容器内の液体の残量の決定は、多くの分野にとって重要である。この例は、熱湯で満たされた家庭用ボイラー、醸造所のタンク、ガスボンベ、農場の貯水槽又は工業分野における化学物質の入ったタンクである。 【0003】 このような容器の多くは、既に一体化されたレベルゲージを含む。一体化されたレベルゲージのない容器では、最も単純な場合には、容器が開放され、充填レベルが、視認によって又は棒を挿入することによって、決定される。しかしながら、これは、しばしば不正確で時間がかかる。更に、このようにして充填レベルのリアルタイム監視は不可能であり、有毒で汚染に対して弱い液体では使用することができない。同様に、このような方法は、加圧容器には不可能である。 【0004】 超音波トランスデューサによって、液体と接触することなく、リアルタイムで、充填レベルを測定することが可能である。特許文献1及び特許文献2には、このような超音波トランスデューサが記載されている。 【0005】 例えば、超音波トランスデューサは、容器の外側に配置することができる。その際、電気信号が、超音波トランスデューサによって、音響信号に変換される。音響信号は、例えば、液面の上方の気体を通って液体の方向に、又は、下から液体を通って気体の方向に、送られる。その時、媒体の境界面では、音響インピーダンスの差に起因して、信号の反射が生じる。反射された信号部分は、次いで、超音波トランスデューサに戻り、電気信号に変換される。液体中の音響信号の伝播時間及び音速から、充填レベルを算出することができる。」 イ 本願発明の解決しようとする課題についての記載 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明の課題は、改良された超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサの動作方法を提示することである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の第1の態様によれば、超音波トランスデューサは、ハウジング内に配置された圧電素子を備える超音波ユニットを有する。超音波トランスデューサは、更に、圧電素子の電気的な接続のための1つ又は複数の接続ケーブルを有し、接続ケーブルはハウジングから外へ導かれている。 【0009】 接続ケーブルは、超音波ユニットとは別に設けられた制御及び/又は評価電子機器との接続のために、接続されている。それは、例えば、コンパクトな電子機器ユニットであることができる。 【0010】 超音波ユニットと電子機器とを分離することにより、超音波ユニットのサイズを最小限に抑えることができる。したがって、超音波ユニットは、狭く限られた空間内にも配置することができる。更に、電子機器は、ユーザが容易にアクセス可能な場所に配置することができる。」 ウ 本願発明の構成C、Gについての記載 「【0060】 図4は、例えば図1~3の超音波トランスデューサ1の超音波ユニット6における、圧電素子2とカバープレート7との例示的な厚さ比を、概略的な断面図で示している。」 「【図4】 [図:0001428675000002.jpg] 」 「【0061】 圧電素子2は、例えば0.9mmの厚さt2を有する。直径D2は、例えば15mmである。カバープレート7は、例えば0.1mmの厚さt7を有する。直径D7は、例えば20mmである。接着層9は、ここでは無視される。直径は、ここでは縮尺通りに示されていない。 【0062】 圧電素子2は、この場合、圧電素子2及びカバープレート7から成る系の厚み振動モードで、特に厚み共振周波数で動作するよう、構成されている。したがって、厚さ方向、すなわちここに示された垂直方向における圧電素子2の伸張は、厚さ方向に対して平行な電界強度を有する電圧が印加される場合に、利用される(d33効果)。圧電素子2及びカバープレート7に、カバープレート7の主面に対して垂直に伝播する音響平面波が生成される。 【0063】 カバープレート7と圧電素子2の音響インピーダンスが同様である場合、カバープレート7は圧電素子の延長部のように作用するが、圧電特性はない。したがって、カバープレート7の厚さt7は、超音波ユニット6の最終共振周波数を微調整するために使用される。特に、例えば2MHzの所望の動作周波数が意図され得る。圧電素子2及びカバープレート7の全厚さは、厚み振動が共振状態にあるように選択される。この場合、超音波ユニットは、特に効率的に、特に厚み共振周波数で動作する。 【0064】 均質な材料については、音速v、生成された音響振動の周波数f及び波長λの間の以下の関係を導出することができる:v=f*λ。圧電素子2の圧電材料及びカバープレート7の材料から成る複合構造については、系全体の等価音速から波長λを決定することができる。例えば、2MHzの動作周波数において、圧電素子2及びカバープレート7から成る系全体における等価音速v=4000m/sの場合、波長はλ=4mmである。したがって、圧電素子2及びカバープレート7の全厚さは、最適な場合、λ/2=2mmである。 【0065】 例えば、選択された厚さ(圧電素子0.9mm;カバープレート0.1mm)の場合、共振周波数は2MHzである。厚さが、例えば2mmの全厚さまで増大される場合、共振周波数は、例えば1MHzである。 【0066】 可能な限り明確な共振周波数を得るために、圧電素子2の直径D2のその厚さt2に対する比は、例えば10:1又は15:1以上、例えば20:1に選択される。したがって、15:1の比率では、1mmの厚さでは直径は例えば15mmであり、2mmの厚さでは直径は30mmである。 【0067】 カバープレート7の厚さは、最小限に抑えることができる。例えば、カバープレート7の厚さの圧電素子の厚さに対する比は、1:5以下である。図示された実施形態では、厚さは1:9である。特に、超音波トランスデューサ1の圧電特性に及ぼす影響を可能な限り小さくし、かつ、音響振動を可能な限り妨害されることなく外へ向かって伝達するために、厚さは、必要とされるロバスト性に応じて、50μm以下であることができる。しかしながら、選択された厚さが0.1mmの場合であっても、装置は、2MHzで明確に規定された共振周波数を示す。これは、特に、カバープレート7の厚さを小さくし、相応して圧電素子2の厚さを減少させることによりカバープレート7の厚さを補償することによって、達成される。 【0068】 超音波ユニット6の共振周波数は、妨害の影響を僅かしか受けない。特に、共振周波数は、特に、力が超音波ユニット6の側面又は下面に作用する場合、選択された取り付け方法によって変化しない。音響信号は、超音波ユニット6の表面のみを起点として外へ向かって伝達され、他の面は、音響的にパッシブに構成されている。」 3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性の欠如の理由の要旨は、次のとおりである。 本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2000-314651号公報 引用文献3:米国特許第4770038号明細書(周知技術を示す文献) 4 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定 (1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(特開2000-314651号公報)には、以下の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したもので、後記ウにおいて引用発明の認定に直接用いる記載を示す。 (ア) 【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、タンク内に貯留されている液体の液面レベルの絶対値を検出する液面レベル検出方法および装置に関するものである。」 (イ) 【0007】~【0009】、【図1】 「【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。図1はこの発明に係る液面レベル検出方法の原理を説明する図である。同図において、図16と同一符号は同一構成要素を示し、その説明は省略する。この発明では、圧電素子3を整合層4を介してタンク1の外部底面に取り付ける。整合層4としては安価で加工性に優れたアルミニウムを使用する。また、整合層4の厚みdは、圧電素子3の固有の反共振点周波数fpの波長をλとしたとき、d=λ/2とする。」(当審注:引用文献1においては「タンク2」と記載されているが、これは「タンク1」の明らかな誤記であるから正した。) 「【図1】 [図:0001428675000003.jpg] 」 「【0008】この場合、圧電素子3を厚み方向(図示上下方向)に縦振動させて超音波をタンク1内に発射し、タンク1内の液化ガス2の液面で全反射して戻ってくる超音波を圧電素子3で受信する。このときの超音波が発射されてから受信されるまでの時間を計測し、この計測した時間に基づいてタンク1内の液化ガス2の液面レベルの絶対値を検出する。 【0009】タンク1内の底面からの液化ガス2の液面の高さをLとした場合の演算式を下記(1)式に示す。 L=Vt・〔{(t1+t2)}/2-2d0/V0〕 ・・・・(1) ここで、Vtは液化ガス2内での音速、t1は超音波が発射されてから液面で反射されるまでの時間、t2は超音波が液面で反射されてから受信されるまでの時間、d0はタンク1の厚さ、V0はタンク1の材質内での音速である。」 (ウ) 【0011】~【0015】、【図3】、【図4】 「【0011】ここで、有限の大きさとエネルギーを持つ圧電素子3の振動を効率よく使用するには、圧電素子3を固有の共振点周波数ftで駆動し、電気音響変換の能率を効果的に利用することが望ましい。圧電素子3をタンク2の外部底面にλ/2の整合層4を介さずに接着固定した場合、例えばλ/4以下の保護膜を介して接着固定した場合、圧電素子3の反共振点周波数が周期的に大幅に変化してしまう。 【0012】図3および図4にλ/4の保護膜を圧電素子3に接着した時の反共振点周波数のずれ(周波数方程式の解)を示す。この場合、圧電素子3の反共振点周波数は固有の反共振点周波数fpの近傍で反共振点に対して大小2つ(f1,f2)に変動し、fp=815kHzとした場合、f1=595kHz、f2=1036kHzとして算出される。」 「【図3】 [図:0001428675000004.jpg] 」 「【図4】 [図:0001428675000005.jpg] 」 「【0013】この変動した周波数f1およびf2により、個々の共振エネルギーが分散し、センサ駆動パルスにより誘発された個々の変動した共振点が電気音響変換の能率およびS/Nを低下させる。これを解決するために、圧電素子3に対して設けられる受信回路(図示せず)におけるフィルタに大きな選択性を持たせたり、回路ゲインを高めることが考えられるが、元のS/Nが低いため、回路ゲインの幅も制約を受けてしまう。このため、回路の複雑化が余儀なくされ、コストがアップする。 【0014】そこで、本願の発明者は、圧電素子3の反共振点周波数が変動しない条件を波動方程式と圧電方程式より計算することにより、保護膜の材料に無関係にその厚みdをλ/2の整数倍〔d=(m+1)・λ/2、mは整数(m≧0)〕とすればよいことを見出した。そして、このλ/2の整数倍の厚みを持つ保護膜を整合層と名付け、図1の例ではd=λ/2の整合層4を圧電素子3とタンク2の外部底面との間に設けることによって音響整合をとるようにした。 【0015】本実施の形態では、整合層4によって音響整合がとられているので、圧電素子3の反共振点周波数が変動することがなく、電気音響変換の能率を効果的に利用することができ、S/Nが低下することがない。これにより、精度よく、広範囲にわたって安定して、液面レベルを検出することができる。また、電気音響変換の能率が高いので、すなわち発射される超音波のパワーが大きいので、液面が揺れているような場合であってもこれに追従して強い反射波を得ることができ、液面レベルの検出が可能となる。参考として、図5に、使用周波数帯と検出距離との関係を示す。実際は、使用周波数として1.8MHz~400kHzを使用し、1m~40mをその検出距離とする。」 (エ) 【0018】~【0019】、【図6】 「【0018】図6は上述した圧電素子3および整合層4を組み込んだ超音波センサ100を示す縦断面図である。同図において、5-1はホルダ、5-2はホルダキャップ、6-1はセンサケース、6-2はセンサケースキャップ、7は押しバネ、8はリング状のマグネット、9は端子板、10はケーブルクランプ、11は同軸ケーブルである。ホルダ5-1およびホルダキャップ5-1は強磁性材とされており、ホルダハウジング5を構成している。センサケース6-1およびセンサケースキャップ6-2は樹脂とされており、センサハウジング6を構成している。」 「【図6】 [図:0001428675000006.jpg] 」 「【0019】センサハウジング6には、その開口部に整合層4が固定されており、この整合層4の裏面側(センサハウジング6の内面側)に圧電素子3が取り付けられている。また、ホルダハウジング5には、その開口部にリング状のマグネット8が固定されている。なお、ホルダハウジング5としては強磁性材で安価な材料である鉄を防錆処理して用いており、マグネット8とホルダハウジング5とで磁気回路を構成し、吸引力の確保と低コスト化を実現している。この超音波センサ100のタンク1の外部底面への取り付け、すなわち圧電素子3の整合層4を介するタンク1の外部底面への取り付けは、次のようにして行う。」 (オ) 【0027】~【0029】、【図10】 「【0027】図10は超音波センサ100を使用した液面レベル検出装置のブロック図である。同図において、101はCPU、102は発振器、103はゲート回路、104は駆動回路、105はハイパスフィルタ、106はアンプ、107はコンパレータ、108は信号出力回路である。」 「【図10】 [図:0001428675000007.jpg] 」 「【0028】CPU101は、ゲート回路103のゲートをON/OFFし、発振器102からの周波数f0の連続信号から周波数faの駆動信号(駆動バースト信号)を生成する。この駆動信号faが駆動回路104を介して超音波センサ100へ与えられ、超音波センサ100(圧電素子3)が共振点周波数ftで駆動され、超音波が発射される。超音波センサ100から発射された超音波は液化ガス2の液面で全反射して超音波センサ100に戻ってくる。このとき、超音波センサ100は、次の超音波の発射に備えた自由振動状態にある。なお、超音波センサ100の要求する周波数および周波数精度がCPU101のソフトウェアタイミングにて合成できる場合は、発振器102とゲート回路103を省略して更なるコストダウン・小型化を実現することができる。 【0029】超音波センサ100で受信された超音波は電気信号(受信信号)に変換されてハイパスフィルタ105へ与えられる。ハイパスフィルタ105においてフィルタリングされた受信信号はアンプ106を介してコンパレータ107へ与えられる。コンパレータ107は、アンプ106を介する受信信号が予め定められたしきい値以上であるか否かをチェックし、そのチェック結果をCPU101へ送る。CPU101は、コンパレータ107からのチェック結果に基づき、超音波センサ100から超音波を発射してから超音波センサ100で受信されるまでの時間t1+t2を計測し、この計測した時間t1+t2に基づいてタンク1内の液化ガス2の液面レベルの絶対値を算出する。そして、この算出したタンク1内の液化ガス2の液面レベルの絶対値を信号出力回路108へ送り、ディスプレイ上に表示したりする。」 (カ) 【0034】 「【0034】なお、本実施の形態では、図6を用いて説明したように、圧電素子3および整合層4を組み込んだ超音波センサ100をマグネット8を使用してタンク1の外部底面に吸着固定するようにしたが、整合層4を直にタンク1の外部底面に接着固定(例えば、エポキシ系の接着剤で接着)するようにしてもよい。このようにすれば、取り付けの自由度は低下してしまうが、ホルダハウジング5やマグネット8,押しバネ7を省略してコストダウンを図ることができる。また、タンク1が鉄以外の材料(例えば、樹脂)であったり、取り付け箇所が限定されている場合でも対応することができる。」 イ 引用文献1の記載から認定した事項 (ア) 前記ア(オ)において摘記した事項(特に図10を参照)から、超音波センサ100は、駆動回路104、CPU101、信号出力回路108を含む外部装置と接続されていると認められる。 (イ) 前記ア(エ)及び(オ)において摘記した事項(特に図6を参照)から、超音波センサ100の同軸ケーブル11は、圧電素子3を駆動するための駆動信号及び圧電素子3からの受信信号を伝送するものであると認められる。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用文献1には、次の事項(以下「認定事項1」という。)が記載されていると認められる。 <認定事項1> 「超音波センサ100は、同軸ケーブル11を介して、駆動回路104、CPU101、信号出力回路108を含む外部装置と接続されており、同軸ケーブル11は、圧電素子3を駆動するための駆動信号及び圧電素子3からの受信信号を伝送するものであること。」 ウ 引用発明の認定 前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。 <引用発明> 「タンク内に貯留されている液体の液面レベルの絶対値を検出する液面レベル検出装置であって、(【0001】) 圧電素子3が整合層4を介してタンク1の外部底面に取り付けられており、(【0007】) 整合層4は、保護膜であり、(【0014】) 整合層4の厚みdは、圧電素子3の固有の反共振点周波数fpの波長をλとしたとき、d=λ/2としており、(【0007】) 整合層4によって音響整合がとられているので、圧電素子3の反共振点周波数が変動することがなく、電気音響変換の能率を効果的に利用することができ、S/Nが低下することがなく、(【0015】) 圧電素子3は固有の共振点周波数ftで駆動され、(【0011】) 圧電素子3を厚み方向に縦振動させて超音波をタンク1内に発射し、タンク1内の液化ガス2の液面で全反射して戻ってくる超音波を圧電素子3で受信し、このときの超音波が発射されてから受信されるまでの時間を計測し、この計測した時間に基づいてタンク1内の液化ガス2の液面レベルの絶対値が検出され、(【0008】) 圧電素子3および整合層4を組み込んだ超音波センサ100は、ホルダ5-1、ホルダキャップ5-2、センサケース6-1、センサケースキャップ6-2、押しバネ7、リング状のマグネット8、端子板9、ケーブルクランプ10、同軸ケーブル11を備えており、ホルダ5-1およびホルダキャップ5-1は、強磁性材とされており、ホルダハウジング5を構成しており、センサケース6-1およびセンサケースキャップ6-2は樹脂とされており、センサハウジング6を構成しており、(【0018】) センサハウジング6には、その開口部に整合層4が固定されており、この整合層4の裏面側(センサハウジング6の内面側)に圧電素子3が取り付けられており、ホルダハウジング5には、その開口部にリング状のマグネット8が固定されており、(【0019】) 圧電素子3および整合層4を組み込んだ超音波センサ100をマグネット8を使用してタンク1の外部底面に吸着固定するようにしたが、整合層4を直にタンク1の外部底面に接着固定(例えば、エポキシ系の接着剤で接着)するようにしてもよく、(【0034】) 超音波センサ100は、同軸ケーブル11を介して、駆動回路104、CPU101、信号出力回路108を含む外部装置と接続されており、 同軸ケーブル11は、圧電素子3を駆動するための駆動信号及び圧電素子3からの受信信号を伝送するものである、(認定事項1) 液面レベル検出装置。」 (2) 引用文献3~6に記載された事項及び技術常識1、2の認定 ア 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された引用文献3(米国特許第4770038号明細書)には、以下の事項が記載されている。日本語訳は審判合議体が作成したものである。 なお、下線は審判合議体において付したものであり、以下同様である。 (ア) 2欄45~59行、図1 「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION Referring now more particularly to an embodiment of the invention selected for illustration in the drawings, FIG. 1 shows a cross-section of the basic components of a system utilizing the invention designated generally by 10. A storage vessel 12 contains a stored liquid 13 subjected to from above by a pressurizing gas as indicated by the arrows 14. The pressurizing gas maintains the pressure of liquid 13 at a very high level (ie: more than 3000 p.s.i.). Such high pressure is required, for example, to transfer cryogenic liquids from a holding vessel to a rocket engine. The ultrasonic depth gauge assembly, as indicated generally by 20, is comprised of a transducer assembly 21 and a supporting electronics unit 22.」 (日本語訳) 発明の詳細な説明 ここで、図面における例示のために選択された本発明の実施形態をより詳細に参照すると、図1は、一般に10で示される本発明を利用するシステムの基本的な構成要素の断面図を示す。貯蔵容器12は、矢印14によって示されるように上方から加圧ガスにさらされる貯蔵液体13を含む。加圧ガスは液体13の圧力を非常に高いレベル(すなわち、3000p.s.i.以上)に維持する。このような高圧は、例えば極低温液体を保持容器からロケットエンジンに移送するために必要とされる。超音波深さゲージ組立体は、全体を20で示すように、変換器組立体21及び支持電子ユニット22から成る。 「FIG.1(図1) [図:0001428675000008.jpg] 」 (イ) 2欄60行~3欄23行、図2 「A cross-section of transducer assembly 21, designed to withstand the extreme pressures imposed upon stored liquid 13, is shown in FIG. 2.(中略) The plug 30 is screwed into the base of the wall of storage vessel 12. The threads 36 and vessel wall 12 form the primary pressure seal. The exterior surface of the plug wall indicated by surface B - B is exposed to the pressurized liquid 13. The interior surface indicated by A - A has a conventional piezoelectric element 38 rigidly bonded to it by means of a bonding agent 40. (中略) The element 38 is accessible from the outside of storage vessel 12 to permit electrical connection to the supporting electronics unit 22. Without the protection of the plug wall thickness 42, element 38 would fail at pressure levels far inferior to the rated levels of the high pressure plug 30. However, in the present invention, element 38 is protected from the high pressure by the plug wall thickness 42.」 (日本語訳) 貯蔵された液体13にかかる極度の圧力に耐えるように設計された変換器アセンブリ21の断面が図2に示されている。(中略)プラグ30は貯蔵容器12の壁の基部にねじ込まれる。ねじ山36及び容器壁12は、一次圧力シールを形成する。面B-Bによって示されるプラグ壁の外面は、加圧液体13にさらされる。A-Aで示される内部表面は、結合剤40によってそれに強固に結合された従来の圧電素子38を有する。(中略)要素38は、貯蔵容器12の外側からアクセス可能であり、支持電子ユニット22への電気的接続を可能にする。プラグ壁厚42の保護がなければ、要素38は、高圧プラグ30の定格レベルよりはるかに低い圧力レベルで破損する。しかし、本発明では、要素38はプラグ壁厚42によって高圧から保護される。 「FIG.2(図2) [図:0001428675000009.jpg] 」 (ウ) 3欄24~47行 「The principle of measurement is based upon the round-trip transit time of an ultrasonic pulse propagating up from assembly 21 through the depth 15, as shown in FIG. 1, of liquid 13 and back to assembly 21. Transducer assembly 21, upon excitation by supporting electronics unit 22, launches an ultrasonic pulse into liquid 13. The ultrasonic pulse propagates up to the liquid-gas interface 16, where it suffers reflection and returns to transducer assembly 21. Here the pulse is converted back into an analog electric pulse, which is detected by electronics unit 22. Unit 22 provides a readout of the round-trip transit time between the transmitted and received pulses. From the measured round-trip transit time T and from the known sound velocity V of liquid 13, the depth H (also indicated by 15) of liquid 13 can be computed from the formula (式省略)」 (日本語訳) 測定の原理は、図1に示されるように、液体13の深さ15を通ってアセンブリ21から上方に伝播し、アセンブリ21に戻る超音波パルスの往復通過時間に基づく。変換器アセンブリ21は、支持電子ユニット22によって励起されると、超音波パルスを液体13中に発射する。超音波パルスは、液体-気体界面16まで伝搬し、そこで反射を受け、変換器アセンブリ21に戻る。ここでパルスはアナログ電気パルスに逆変換され、電子ユニット22によって検出される。ユニット22は、送信パルスと受信パルスの間の往復通過時間の読み出しを提供する。測定された往復移動時間T及び液体13の既知の音速Vから、液体13の深さH(15によっても示される)は、次式から計算することができる。(式省略) (エ) 3欄48~64行、図3 「In operation, supporting electronics unit 22 provides a series of electrical impulses of high voltage (typically 350 V) for a brief duration (typically 20 nanoseconds) to excite piezoelectric element 38. Element 38 then excites the plug wall thickness 42 between surfaces A - A and B - B, hereinafter referred to as vibrating plate A - A - B - B, into a plate vibration, whereby element 38 and vibrating plate A - A - B - B vibrate together as a composite resonator designated generally by 50, the solid lines in FIG. 3. The frequencies of vibration for composite resonator 50 are essentially the natural frequencies of vibrating plate A - A - B - B, loaded slightly by the mass of element 38 and liquid 13, and are much lower than those of element 38 itself. For example, in the prototype invention, the fundamental frequency of vibration is 10 MHz for the isolated element 38 but 175 kHz for composite resonator 50.」 (日本語訳) 動作中、支持電子ユニット22は、圧電素子38を励起するために、短い持続時間(典型的には20ナノ秒)の間、高電圧(典型的には350V)の一連の電気インパルスを提供する。次に、要素38は、面A-Aと面B-Bの間のプラグ壁厚42(以下「振動板A-A-B-B」と称する。)を板振動に励振し、これにより、要素38及び振動板A-A-B-Bは、全体を符号50で示す複合共振器(図3の実線)として共に振動する。複合共振器50の振動周波数は、本質的に振動板A-A-B-Bの固有周波数であり、要素38及び液体13の質量によってわずかに負荷され、要素38自体の固有周波数よりもはるかに低い。例えば、プロトタイプの発明では、振動の基本周波数は、隔離された素子38では10MHzであるが、複合共振器50では175kHzである。 「FIG.3(図3) [図:0001428675000010.jpg] 」 イ 引用文献4に記載された事項 当審において新たに引用する、優先日前に発行された次の文献(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。 <引用文献4> 高橋弘文著「はじめての圧電素子の選び方-圧電セラミックスの特性と選択-」日本音響学会誌72巻5号、2016年5月、244~249頁 (ア) 244頁左欄1~12行 「 1. はじめに 近年,圧電素子は機能材料素子として振動制御や音響制御,更に共振機能を利用したアクチュエータ応用,加速度,AE等の各センサ応用の範囲が広がり期待されている。 機械的応力を掛けるとその表面に電荷が生じ,その電荷は印加応力に比例することを圧電効果,また印加電界に比例するひずみを発生する現象を逆圧電効果と呼んでいる。これらはアクチュエータとセンサの機能として同じ材料中に存在し,近年ではインテリジェント材料,スマート材料として圧電材料は様々な用途に用いられている。」 (イ) 244頁右欄1~22行 「 2. 圧電素子について 2.1 圧電デバイス 超音波の駆動源としては圧電素子である圧電セラミックスが用いられるが,主な応用分野としては超音波洗浄機,超音波センサ,ソナー,魚群探知機,非破壊検査装置,医療分野では超音波治療機,HIFU装置,走査型超音波診断装置などがある。 圧電セラミックスは駆動周波数が形状に依存し,振動モードや最適な材料を選択できれば設計が安易なことが特徴である。電界が圧電材料に印加されたときに変形,ひずみが発生するが,交流電界の場合は駆動周波数が共振周波数と一致したときに大きなひずみになり,それを圧電共振という。共振で利用される圧電セラミックスとしては機械的品質係数Qmが大きなハード材料が望ましいと言われている。 圧電セラミックスを選択する上で特に重要な圧電特性としては電気機械結合係数k,圧電歪定数dと圧電電圧定数g,誘電率ε,機械的品質係数Qm,キュリー温度Tcがあり,これらの特性を理解することが大切である。次項でこれらの圧電特性について説明する。」 (ウ) 244頁右欄23行~245頁左欄24行 「 2.2 圧電材料と特性 逆圧電効果は電界Eに比例したひずみ量xを生じ,次の関係式で表される。 x=dE このときの比例定数dを圧電歪定数と呼ぶ。 また,圧電効果は印加応力Xによって発生する電荷で次のように圧電歪定数dで表すことができる。 P=dX 電気的エネルギーが圧電材料に印加された場合,蓄えられる電気的エネルギーのほかに機械的エネルギーに変換されるが,この比率を電気機械結合係数kと定義し下記で示す。 ここで k2=d2/sε (sは弾性コンプライアンス,εは誘電率) 圧電電圧定数gは印加応力Xによる誘起電圧Vの性能指数gで表される。圧電歪定数dがアクチュエータ応用に非常に重要な定数である。一方,圧電電圧定数gはセンサ応用に非常に重要な定数である。 E=gX で表され,P=dXから圧電歪定数dと圧電電圧定数gは下記のような関係で表される。 g=d/ε (εは誘電率) 圧電材料を利用する上で上記の圧電定数は特に重要である。更に圧電材料を選択するとき,最初に考慮しなければならない定数が機械的品質係数Qmである。 機械的品質係数Qmは電気機械共振スペクトルの鋭さを表すパラメータであり,Qm-1は機械損失(tanδ)と等しい。機械的品質係数Qmは共振ひずみの大きさを評価するのに重要であり共振時の振幅は非共振時の振幅と比較して,機械的品質係数Qmに比例して増幅される。」 (エ) 246頁左欄22行~同頁右欄11行 「 3. 設計方法について 3.1 共振周波数と形状 圧電素子を利用する際の設計方法に関して説明する。ここでは圧電セラミックスに関して述べる。圧電セラミックスにはこれまでに記述したように多くの諸特性がある(表-2参照)。一般的に圧電セラミックスは単体で無負荷な状態で利用することは少なく,必ず対象物に接着又は締め付ける必要がある。 負荷が掛かると共振周波数frは低くなるため,予め実際の使用条件下で実測して確認し,共振周波数frを高めに設計しておく必要があるが,機械的品質係数Qmが低くなるのでインピーダンスの変化が散漫になり,気にならない場合もある。 圧電セラミックスの直径は結合振動の影響を受けることから,厚さとの比は1:3(厚さ:直径)以上に取る必要がある。面積は静電容量に依存するために必要な静電容量を持つ材料を選び寸法,形状を設計する必要がある。一方,縦方向のひずみに対する横方向のひずみの比をポアソン比σと呼んでいる。一般的なポアソン比σは0.3で,これより小さいポアソン比σを持つ圧電セラミックスは異方性が大きい材料である。例えばチタン酸鉛であるPTセラミックスのポアソン比σは0.2で横方向の振動がほとんど観測されない異方性材料であり,結合振動を考慮する必要はない。」 ウ 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する、優先日前に発行された次の文献(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。 <引用文献5> 浅田隆昭著「空中超音波トランスデューサの概要-現状と今後について-」日本音響学会誌76巻5号、2020年5月、271~278頁 (ア) 272頁右欄下から6行~273頁右欄2行 「2.2 防滴型超音波トランスデューサ 防滴型超音波トランスデューサはその名のとおり,埃や水滴が付着する環境下でも使用可能な構造を持つ。主用途は自動車において障害物の有無や距離を検知する駐車支援システムであり,バックソナー,もしくはクリアランスソナーと呼ばれている。最近ではADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)の一つの機能として,アクセルやブレーキの踏み間違い時にも前後の壁面などを検知してブレーキを補助する,あるいはエンジンの出力を抑制するシステムにも採用されている。図-6,図-7は防滴型超音波トランスデューサの外観及び内部構造概略図である。カップ形状にアルミなどの金属を成形し,底面部に圧電セラミックス板を接着してモノモルフ振動板を形成する。共振周波数は主として振動部の金属の厚さとセラミックスの厚さ及び振動面積の大きさで決まり,通常40kHzから60kHzの周波数が用いられている。」 (イ) 273頁の図-6 「 [図:0001428675000011.jpg] 」 (ウ) 273頁の図-7 「 [図:0001428675000012.jpg] 」 エ 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、優先日前に発行された次の文献(以下「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。 <引用文献6> 製品カタログ「圧電セラミックス(ピエゾタイト)応用センサ」村田製作所、カタログ番号P19-9、2005年7月19日、6頁 「2.圧電材料定数の記号について」の右欄 (ア) 「3 電気機械結合係数k (Electro Mechanical Coupling Coefficient) 電気機械結合係数は、圧電体の圧電活性の能力を表わす定数であり、圧電体の電極間に加えた電気エネルギーを機械エネルギーに変換する効率を表わし、電気的総入力に対する機械的な形で結晶中に蓄積されたエネルギーの比の平方根で定義されます。 [図:0001428675000013.jpg] 電気機械結合係数は図2に示されるように、振動モードによって異なり、共振周波数fr、反共振周波数fa、およびその差Δf=fa-frにより、次式より求められます。 (中略) [図:0001428675000014.jpg] (後略)」 (イ) 「4 機械的品質係数Qm(Mechanical Qm) 機械的Qmとは、共振周波数付近における機械的な振動の“鋭さ”を表わす定数です。次の式(19)によって求められます。 [図:0001428675000015.jpg] ここでR1は共振抵抗、Cfは電極間の自由容量。 Qmの逆数は弾性損失率tanδmとなります。」 オ 技術常識の認定 (ア) 技術常識1の認定 前記イにおいて示した引用文献4の摘記事項(特に摘記事項(イ)、(ウ)を参照)、前記エにおいて示した引用文献6の摘記事項(特に摘記事項(イ)を参照)に例示されるように、次に示す事項は、優先日前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識1」という。)。 <技術常識1> 「圧電素子を共振状態で利用する場合、電気機械共振スペクトルの鋭さを表すパラメータである、以下の式で表される機械的品質係数Qmを考慮して設計すること。 [図:0001428675000016.jpg] ここで、R1は共振抵抗、Cfは電極間の自由容量、frは共振周波数、faは反共振周波数を表す。」 (イ) 技術常識2の認定 前記アにおいて示した引用文献3の摘記事項(特に摘記事項(エ)を参照)、前記イにおいて示した引用文献4の摘記事項(特に摘記事項(エ)を参照)、前記ウにおいて示した引用文献5の摘記事項(特に摘記事項(ア)を参照)に例示されるように、次に示す事項は、優先日前において、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識2」という。)。 <技術常識2> 「超音波トランスデューサにおける圧電素子を共振周波数で駆動させる場合には、圧電素子に隣接する部材による共振周波数の変化を考慮して設計する必要があること。」 5 当審の判断 (1) 本願発明と引用発明の対比 ア 対比分析 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア) 構成Xの観点について a 構成Xは「超音波トランスデューサ」の発明であることを特定するものである。 b 引用発明である「液面レベル検出装置」は、「タンク内に貯留されている液体の液面レベルの絶対値を検出する」ものであるところ、「圧電素子3を厚み方向に縦振動させて超音波をタンク1内に発射し、タンク1内の液化ガス2の液面で全反射して戻ってくる超音波を圧電素子3で受信し、このときの超音波が発射されてから受信されるまでの時間を計測し、この計測した時間に基づいてタンク1内の液化ガス2の液面レベルの絶対値が検出され[る]」ことを踏まえると、「圧電素子3」を介して、電気信号を機械的な音響信号(送信超音波信号)に変換するとともに、機械的な音響信号(受信超音波信号)を電気信号に変換する装置であるから、超音波トランスデューサ(変換器)であるといえる。 c したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の点において一致する。 「超音波トランスデューサ」の発明である点。 (イ) 構成Aの観点について a 構成Aは「ハウジング(4)を有する超音波ユニット(6)を有[する]」ことを特定するものである。 b 引用発明における「超音波センサ100」は、本願発明における「超音波ユニット(6)」に相当する。 c 引用発明における「超音波センサ100」が備える「センサハウジング6」は、本願発明における「超音波ユニット(6)」が有する「ハウジング(4)」に相当する。 d したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点について、次の点において一致する。 「ハウジングを有する超音波ユニットを有する」点。 (ウ) 構成Bの観点について a 構成Bは「前記ハウジング(4)内には圧電素子(2)が配置されて[いる]」ことを特定するものである。 b 引用発明における「圧電素子3」は、本願発明における「圧電素子(2)」に相当する。 c 引用発明においては、「センサハウジング6には、その開口部に整合層4が固定されており、この整合層4の裏面側(センサハウジング6の内面側)に圧電素子3が取り付けられて[いる]」から、「圧電素子3」が「センサハウジング6」内に配置していることは明らかである。 d したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点について、次の点において一致する。 「前記ハウジング内には圧電素子が配置されている」点。 (エ) 構成Cの観点について a 構成Cは「前記超音波ユニット(6)は、厚み振動モードでの動作のために構成されて[いる]」ことを特定するものである。 b 引用発明においては、「圧電素子3は固有の共振点周波数ftで駆動され」、「圧電素子3を厚み方向に縦振動させて」いるから、「圧電素子3」を共振状態にして、「圧電素子3」の「厚み方向」について、圧電素子3の固有振動数に対応した振動モードで動作させているといえる。 c そうすると、引用発明の上記「厚み方向」の振動モードは、本願発明の「厚み振動モード」に相当するから、引用発明においても、「超音波センサ100」が「厚み振動モードでの動作のために構成されている」といえる。 d したがって、本願発明と引用発明は、構成Cの観点について、次の点において一致する。 「前記超音波ユニットは、厚み振動モードでの動作のために構成されている」点。 (オ) 構成Dの観点について a 構成Dは「前記ハウジング(4)から外へ導かれた少なくとも1つの電気的な接続ケーブル(3)を有[する]」ことを特定するものである。 b 引用発明においては、「超音波センサ100は、同軸ケーブル11を介して、駆動回路104、CPU101、信号出力回路108を含む外部装置と接続されて」いるから、「圧電素子3を駆動するための駆動信号及び圧電素子3からの受信信号を伝送する」「同軸ケーブル11」は、「センサハウジング6」から外へ導かれた電気的な接続ケーブルであるといえる。 c したがって、本願発明と引用発明は、構成Dの観点について、次の点において一致する。 「前記ハウジングから外へ導かれた少なくとも1つの電気的な接続ケーブルを有する」点。 (カ) 構成Eの観点について a 構成Eは「前記接続ケーブル(3)は、前記超音波ユニット(6)とは別個に配置された制御及び/又は評価電子機器(5)との接続のために構成されて[いる]」ことを特定するものである。 b 前記(オ)bを踏まえると、引用発明における「駆動回路104、CPU101、信号出力回路108を含む外部装置」は、本願発明における「前記超音波ユニット(6)とは別個に配置された制御及び/又は評価電子機器(5)」に相当する。 c したがって、本願発明と引用発明は、構成Eの観点について、次の点において一致する。 「前記接続ケーブルは、前記超音波ユニットとは別個に配置された制御及び/又は評価電子機器との接続のために構成されている」点。 (キ) 構成Fの観点について a 構成Fは「前記圧電素子(2)は、前記ハウジング(4)のカバープレート(7)に固定されて[いる]」ことを特定するものである。 b 引用発明において、「センサハウジング6には、その開口部に整合層4が固定されており」、「整合層4を直にタンク1の外部底面に接着固定(例えば、エポキシ系の接着剤で接着)するようにしてもよ[い]」としているから、「保護膜」である「整合層4」は、内部にある「圧電素子3」を保護するための部材として「センサハウジング6」と一体化されたものであると考えることができる。 c そうすると、引用発明における「保護膜」である「整合層4」は、本願発明における「前記ハウジング(4)のカバープレート(7)」に相当する。 d 引用発明において、「整合層4の裏面側(センサハウジング6の内面側)に圧電素子3が取り付けられて」いることは、前記cを踏まえると、本願発明において、「前記圧電素子(2)は、前記ハウジング(4)のカバープレート(7)に固定されて[いる]」ことに相当する。 e したがって、本願発明と引用発明は、構成Fの観点について、次の点において一致する。 「前記圧電素子は、前記ハウジングのカバープレートに固定されている」点。 (ク) 構成Gの観点について a 構成Gは「前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)の全厚さは、前記超音波ユニット(6)が、前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)から成る系の共振状態において厚み振動モードで動作するように構成されるようなものである」ことを特定するものである。 b 前記(エ)の検討結果を踏まえると、引用発明においては、「圧電素子3」を共振状態にして、「圧電素子3」の「厚み方向」について、圧電素子3の固有振動数に対応した振動モードで動作させているものの、「整合層4の厚みdは、圧電素子3の固有の反共振点周波数fpの波長をλとしたとき、d=λ/2としており」、「圧電素子3」と「整合層4」からなる系が共振状態になるように「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さを設定しているのか不明である。 c したがって、本願発明と引用発明は、構成Gの観点について、次の点において相違する。 <構成Gの観点での相違点> 本願発明においては、「前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)の全厚さは、前記超音波ユニット(6)が、前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)から成る系の共振状態において厚み振動モードで動作するように構成されるようなものである」のに対して、 引用発明においては、「圧電素子3」と「整合層4」からなる系が共振状態になるように「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さを設定しているのか不明である点。 イ 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記の(イ)に示す相違点において相違すると認められる。 (ア) 一致点 「超音波トランスデューサであって、 ハウジングを有する超音波ユニットを有し、 前記ハウジング内には圧電素子が配置されており、 前記超音波ユニットは、厚み振動モードでの動作のために構成されており、 前記ハウジングから外へ導かれた少なくとも1つの電気的な接続ケーブルを有し、 前記接続ケーブルは、前記超音波ユニットとは別個に配置された制御及び/又は評価電子機器との接続のために構成されており、 前記圧電素子は、前記ハウジングのカバープレートに固定されている、 超音波トランスデューサ」の発明である点。 (イ) 相違点 本願発明においては、「前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)の全厚さは、前記超音波ユニット(6)が、前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)から成る系の共振状態において厚み振動モードで動作するように構成されるようなものである」のに対して、 引用発明においては、「圧電素子3」と「整合層4」からなる系が共振状態になるように「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さを設定しているのか不明である点。 (2) 相違点の判断 ア 技術常識1を踏まえた判断 (ア) 「反共振点周波数fp」について 引用発明においては、「整合層4の厚みd」を「d=λ/2」としているところ、「λ」は「圧電素子3の固有の反共振点周波数fpの波長」であるから、「圧電素子3の固有の反共振点周波数fp」に着目して「整合層4の厚みd」の設計を行っており、これにより「圧電素子3の反共振点周波数が変動することがなく、電気音響変換の能率を効果的に利用することができ[る]」としている。 (イ) 技術常識1 ここで、圧電素子については、前記4(2)オ(ア)において示したとおり、次に示す事項は技術常識である。 <技術常識1> 「圧電素子を共振状態で利用する場合、電気機械共振スペクトルの鋭さを表すパラメータである、以下の式で表される機械的品質係数Qmを考慮して設計すること。 [図:0001428675000017.jpg] ここで、R1は共振抵抗、Cfは電極間の自由容量、frは共振周波数、faは反共振周波数を表す。」 (ウ) 「圧電素子及びカバープレートから成る系の共振状態」について a 前記(1)ア(エ)において検討したとおり、引用発明においては、「圧電素子3」を共振状態にしているところ、前記技術常識1を踏まえると、かかる共振状態を実現するために、電気機械共振スペクトルの鋭さを表すパラメータである機械的品質係数Qmを考慮して設計するのは当然である。 b ここで、Qmに係る前記関係式から明らかなように、反共振周波数faが変動すると、機械的品質係数Qmも変動し、共振状態が不安定なものになってしまうから、引用発明において、「圧電素子3の固有の反共振点周波数fp」に着目して「整合層4の厚みd」を「d=λ/2」に設定した趣旨は、機械的品質係数Qmを考慮した設計指針に沿って、上述したような不安定な共振状態の発生を防ぐために反共振点周波数fpの変動を抑制して、安定した電気機械共振スペクトルの鋭さが得られるようにしたことにあると認められる。 c 上記趣旨を踏まえると、「圧電素子3」の特性(固有の反共振点周波数fp)に関連づけられた「整合層4」は、安定した共振状態を実現するための手段として、「圧電素子3」と密接不可分な存在であるから、かかる安定した共振状態が「圧電素子3」単独の状態であると考えるのは適当ではなく、「圧電素子3」と「整合層4」を一つの系としてみた場合にはじめて達成される状態であると考えるべきものである。 d そうすると、引用発明において、「圧電素子3」と「整合層4」を一つの系としてみた場合の共振状態が観念されることになり、本願発明の「前記圧電素子(2)及び前記カバープレート(7)から成る系の共振状態」に相当する構成が導かれることになる。 (エ) 「圧電素子及びカバープレートの全厚さ」について 引用発明において、「圧電素子3」と「整合層4」からなる系が安定した共振状態になるように、「整合層4の厚みd」を「d=λ/2」に設定することは、「圧電素子3」の厚さとして設定された分も考慮すると、「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さを設定することを意味する。 そうすると、引用発明において、「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さは、かかる共振状態において厚み振動モードで動作するように設定されていることになる。 (オ) アの検討のまとめ 以上のとおりであるから、前記技術常識1からみて、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ 技術常識2を踏まえた判断 (ア) 前記アの判断に対しては、本願発明の「カバープレート(7)」の厚さt7は、「超音波ユニット(6)」の最終共振周波数を微調整するために使用されるものであって(本願明細書【0063】参照)、引用発明の「整合層4の厚みd」は、「超音波センサ100」の最終共振周波数を微調整するために使用されるものではないから、引用発明において「圧電素子3」と「整合層4」を系とする共振状態を観念することはできない、との反論が考えられる。 (イ) しかしながら、上記反論を考慮して検討しても、以下のa~dにおいて詳述するとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことに変わりはない。 a 引用文献1の記載 引用文献1の段落【0011】において、「ここで、有限の大きさとエネルギーを持つ圧電素子3の振動を効率よく使用するには、圧電素子3を固有の共振点周波数ftで駆動し、電気音響変換の能率を効果的に利用することが望ましい。」と記載されていることを考慮すると、引用発明において、「圧電素子3」は所望の共振状態が得られるように設計されることは明らかである。 b 技術常識2 他方、圧電素子については、前記4(2)オ(イ)において示したとおり、次に示す事項は技術常識である。 <技術常識2> 「超音波トランスデューサにおける圧電素子を共振周波数で駆動させる場合には、圧電素子に隣接する部材による共振周波数の変化を考慮して設計する必要があること。」 c 技術常識2を踏まえた検討 引用発明においては、「整合層4の裏面側(センサハウジング6の内面側)に圧電素子3が取り付けられて」おり、前記技術常識2を踏まえると、「圧電素子3」に隣接する部材である「整合層4」によって共振周波数は変化してしまうことになる。そうすると、機械的品質係数Qmも変化してしまうから、所望の共振状態が得られるようにするためには、「圧電素子3」の「固有の共振点周波数ft」と「固有の反共振点周波数fp」を調整する必要があることは明らかである(前記技術常識1のQmに係る関係式を参照)。 その場合、「圧電素子3の固有の反共振点周波数fpの波長」である「λ」も調整されるから、「整合層4の厚みd」である「d=λ/2」も調整されることになる。 d 「整合層4の厚みd」の前提となる設計事項 前記cを踏まえると、引用発明において、「圧電素子3の固有の反共振点周波数fp」に着目して「整合層4の厚みd」を「d=λ/2」に設定することの前提として、所望の共振状態が得られるような「圧電素子3」の設計を行っていることは自明であり、それに連動して「整合層4の厚みd」も設定されるのだから、引用発明の「超音波センサ100」の設計段階においては、「圧電素子3」と「整合層4」を一体の系と考えていることは自明である。 そうすると、引用発明において、「圧電素子3」と「整合層4」からなる系を考えて、「圧電素子3」と「整合層4」の全厚さを当該系が共振状態になるように設定することは、当業者にとって自明の設計事項にすぎない。 したがって、前記技術常識2からみて、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ 総合評価 前記ア及びイのいずれの検討結果からみても、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び技術常識1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 請求人の主張について ア 審判請求書における主張の概要 請求人は審判請求書において、概ね次の主張をしている。 (ア) 引用文献1について 引用文献1において、超音波トランスデューサは圧電素子3の共振モードで動作し、整合層4はλ/2(ここで、λは圧電素子固有の反共振点周波数の波長)の整数倍の厚さを有しており、これにより、音響整合が達成され、圧電素子3の反共振点周波数の変動が防止されるところ、常にλ/2の整数倍の厚さを有する整合層は、超音波ユニットが、圧電素子及びカバープレートから成る系の共振状態において厚み振動モードで動作するように構成されるような全厚さを有するカバープレートではない。 引用文献1は、圧電素子を、(当該圧電素子の)固有の共振点周波数で駆動することが必要であると強調しているから(段落0011参照)、整合層によって共振点周波数を変更することは、劇的な悪影響を有することとして記載されている(段落0011及び0012参照)。 したがって、当業者が、共振周波数が変化するようにカバープレートを提供することを、引用文献1は阻止するものと考えられる。 (イ) 引用文献3について 引用文献3のシステムは、平板振動(両端で固定された弦のような)によって超音波を発生させるのに対して、引用文献1のシステムは、厚み振動、すなわち圧電素子及びカバープレートから成る系の厚みを変化させる振動によって、超音波を発生させるものであるから、平板全体が振動状態となるような、すなわち全体として上下に運動するような平板振動を発生させるためには、引用文献1に開示されているような、系の厚みを変化させる厚み振動モードにおける振動数とは、全く異なる振動数が適用される。 引用文献3においては、カバープレートの振動数によって振動数が規定されるのに対して(第3欄第48~64行参照)、引用文献1においては、圧電素子の振動数によって振動数が決定される(段落0011及び0012参照)。 したがって、引用文献1及び引用文献3において提供される超音波トランスデューサは互いに全く異なっており、当業者が、引用文献3によって、引用文献1の超音波トランスデューサを、圧電素子及びカバープレートから成る系の共振状態において動作せるように動機付けられることはない。仮にそのようにした場合、引用文献1の目的(反共振点周波数の変動を回避すること)は、もはや達成され得ない。 イ 請求人の主張に対する判断 (ア) 引用文献1についての主張に対する判断 前記(2)イにおいて述べたとおり、引用発明において、「圧電素子3の固有の反共振点周波数fp」に着目して「整合層4の厚みd」を「d=λ/2」に設定することの前提として、所望の共振状態が得られるような「圧電素子3」の設計を行っていることは自明であり、それに連動して「整合層4の厚みd」も設定されるのだから、引用発明の「超音波センサ100」の設計段階においては、「圧電素子3」と「整合層4」を一体の系と考えて、「整合層4」の厚みも調整されていることは自明である。 したがって、引用文献1についての前記主張は採用できない。 (イ) 引用文献3についての主張に対する判断 引用発明の振動モードと引用文献3の振動モードが異なるものであるとしても、引用文献3においては、共振周波数が、圧電素子38自体の固有周波数から変化することが開示されているから、圧電素子に隣接する部材による共振周波数の変化を考慮して設計することを読み取ることは可能であり(前記技術常識2参照)、その観点を踏まえて、引用発明において、「整合層4の厚みd」の前提となる設計事項を検討することは許容されるべきである。 したがって、引用文献3についての前記主張は採用できない。 6 むすび 以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-005140

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