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特許拒絶査定不服審判

2024-007217

チップ抵抗器の製造方法

審判番号
2024-007217
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-127436
請求日
2024年04月26日
審決日
2025年01月20日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】住友金属鉱山株式会社
  • 【請求人代理人】辻川 典範
審判長/審判官
  • 審判長 井上 信一
  • 審判官 ▲高▼橋 徳浩
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .121-Z (H01C) / P18 .572-Z (H01C) / P18 .575-Z (H01C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-127436「チップ抵抗器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月 9日出願公開、特開2022- 24701〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年7月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 5年 9月 5日付け:拒絶理由通知 令和 5年11月 9日 :意見書、手続補正書の提出 令和 5年12月12日付け:拒絶査定(原査定) 令和 6年 4月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年4月26日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和6年4月26日の手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲 令和6年4月26日の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 絶縁基板の表面側に1対の表面電極を形成する表面電極形成工程と、前記1対の表面電極に架け渡す抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、前記1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で前記抵抗体を被覆する第1コート層を形成する第1コート層形成工程と、前記抵抗体に対して前記第1コート層の上からレーザートリミングを行う抵抗値調整工程とを有するチップ抵抗器の製造方法であって、前記表面電極形成工程において、前記抵抗体の抵抗値測定用のプローブを接触させる1対のプローブ接触部を前記1対の表面電極の互いに対向する側とは反対側にそれぞれ接続するように形成し、該1対のプローブ接触部は前記抵抗値調整工程の後に切除し、前記1対の表面電極の各々の前記露出させた部分は、前記プローブの接触が不可能な狭さであることを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、出願当初の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(なお、令和5年11月9日の手続補正において、特許請求の範囲の請求項1は補正されていない)。 「【請求項1】 絶縁基板の表面側に1対の表面電極を形成する表面電極形成工程と、前記1対の表面電極に架け渡す抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、前記抵抗体を被覆する第1コート層を形成する第1コート層形成工程と、前記抵抗体に対して前記第1コート層の上からレーザートリミングを行う抵抗値調整工程とを有するチップ抵抗器の製造方法であって、前記表面電極形成工程において、前記抵抗体の抵抗値測定用のプローブを接触させる1対のプローブ接触部を前記1対の表面電極の互いに対向する側とは反対側にそれぞれ接続するように形成し、該1対のプローブ接触部は前記抵抗値調整工程の後に切除することを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。」 2.補正の適否 (1)補正の目的について 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1コート層形成工程」について、抵抗体を被覆する第1コート層の形成を「前記1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で」行うことの限定を付加し、更に、「前記1対の表面電極の各々の前記露出させた部分は、前記プローブの接触が不可能な狭さである」ことの限定を付加するものである。 そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 よって、上記補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)否かについて以下に検討する。 (2)本願補正発明 本願補正発明は、上記「1.(1)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。 (3)引用例の記載事項 ア.原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2003-142304号公報(以下、「引用例」という。)には、「第1の実施の形態による製造方法」について、以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、チップ型の耐熱性絶縁基板の表面に、抵抗膜を厚膜状に形成して成るチップ抵抗器において、その構造と、その製造方法とに関するものである。」 (イ)「【0024】図1~図10は、第1の実施の形態を示す。 【0025】この第1の実施の形態による製造方法は、 〔1〕(当審注:〔1〕は丸に囲まれた数字“1”を意味する。以下同様。).先ず、図1に示すように、長さ寸法Lで幅寸法Wのチップ型にした絶縁基板11をその長さ方向と幅方向とに複数個を並べ、且つ、長さ方向に並ぶ各絶縁基板11の間に適宜幅寸法Gの捨て代部A1を設けて一体化して成るセラミック製の素材板Aを製造する工程。 〔2〕.次いで、前記素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、図2に示すように、後述する抵抗膜12の両端に対する左右一対の上面電極13を、当該上面電極13が前記捨て代部A1の部分まで延びるように、その材料ペーストのスクリーン印刷と、その後における乾燥・焼成にて形成する工程。 〔3〕.次いで、前記素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、図3及び図4に示すように、抵抗膜12を、その材料ペーストのスクリーン印刷と、その後における乾燥・焼成にて形成する工程。 【0026】なお、この抵抗膜12を形成する工程を先に行い、その後において上面電極13を形成する工程を行うようにしても良い。 〔4〕.次いで、前記各絶縁基板11における両上面電極3のうち前記捨て代部A1の部分に通電用プローブ(図示せず)を接触して抵抗膜12における抵抗値を測定した状態で、当該抵抗膜12に対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝を刻設することにより、所定の抵抗値にするというトリミング調整を行う工程。 〔5〕.次いで、前記素材板Aにおける表面の全体に、図5及び図6に示すように、前記各抵抗膜12及び各上面電極13を覆うガラス製のカバーコート15を、その材料ペーストのスクリーン印刷と、その後における乾燥・焼成にて形成する工程。 【0027】なお、このカバーコート15は、耐熱性合成樹脂製にしても良い。 〔6〕.次いで、前記素材板Aにおける捨て代部A1を、図6及び図7に示すように、その幅寸法Gと同じ厚さGにした高速回転するダイシングカッターBにて切削除去することにより、前記素材板Aを、図8に示すように、複数個の絶縁基板11が幅方向に並ぶ棒状の素材板片A′に分割する工程。この捨て代部A1の切削除去により、前記棒状の素材板片A′における両側の切削面a′(この切削面a′が、絶縁基板11における左右両端面11aになる)に、前記各上面電極13の端部が露出する。 〔7〕.次いで、前記棒状の素材板片A′における両側の切削面a′に、側面電極14を、当該側面電極14が前記カバーコート15の上面及び絶縁基板11の下面に一部重なるように、その材料ペーストの塗布と、その後における乾燥・焼成にて形成する工程。 〔8〕.そして、前記棒状の素材板片A′を、各絶縁基板11間の分割線A2に沿ってブレイク(割る)又はダイシングカッターにて切削することにより、各絶縁基板11ごとに分割する工程。 を含み、これによって、図9及び図10に示す構成のチップ抵抗器を製造することができる。」(なお、段落【0026】〔4〕.の「両上面電極3」は、「両上面電極13」の誤記と認められる。) (ウ)「【0032】更にまた、前記した製造方法において、抵抗膜12に対するトリミング調整に際しては、通電用プローブを、前記上面電極13のうち前記捨て代部A1に延びる部分に対して接触することができる一方、前記した捨て代部A1が切削切除されることにより、前記絶縁基板11における抵抗膜12の両端に対する上面電極13のうち抵抗膜12の一端から絶縁基板11の端面1aまでの間の寸法Dを、前記捨て代部A1の部分にプローブを接触するための場所を確保できる分だけ、従来の場合よりも、小さくするか、無くすることができるから、抵抗膜12のうちその両端における上面電極13間における電極間距離Eを、絶縁基板11の長さ寸法Lを増大することなく、長くすることができる。」 イ.上記記載から、引用例には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)引用例に記載の「第1の実施の形態による製造方法」は、上記「ア.(ア)」の段落【0001】、「ア.(イ)」の段落【0025】~【0027】の記載によれば、チップ抵抗器の製造方法である。 (イ)上記「ア.(イ)」の段落【0025】の記載によれば、絶縁基板11を複数個を並べ、且つ、長さ方向に並ぶ各絶縁基板11の間に適宜幅寸法Gの捨て代部A1を設けて一体化して成るセラミック製の素材板Aを製造する工程を含んでなるものである。 (ウ)上記「ア.(イ)」の段落【0025】の記載によれば、素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、抵抗膜12の両端に対する左右一対の上面電極13を、上面電極13が捨て代部A1の部分まで延びるように形成する工程を含んでなるものである。 (エ)上記「ア.(イ)」の段落【0025】の記載によれば、素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、抵抗膜12を形成する工程を含んでなるものである。 (オ)上記「ア.(イ)」の段落【0026】の記載によれば、各絶縁基板11における両上面電極13のうち捨て代部A1の部分に通電用プローブを接触して抵抗膜12における抵抗値を測定した状態で、抵抗膜12に対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝を刻設することにより、所定の抵抗値にするというトリミング調整を行う工程を含んでなるものである。 (カ)上記「ア.(イ)」の段落【0026】の記載によれば、素材板Aにおける表面の全体に、各抵抗膜12及び各上面電極13を覆うガラス製のカバーコート15を形成する工程を含んでなるものである。 (キ)上記「ア.(イ)」の段落【0027】の記載によれば、素材板Aにおける捨て代部A1を、ダイシングカッターBにて切削除去することにより、棒状の素材板片A′に分割する工程を含んでなるものである。 (ク)上記「ア.(ウ)」の段落【0032】の記載によれば、絶縁基板11における抵抗膜12の両端に対する上面電極13のうち抵抗膜12の一端から絶縁基板11の端面1aまでの間の寸法Dを、捨て代部A1の部分にプローブを接触するための場所を確保できる分だけ、小さくするか、無くすることができるものである。 ウ.以上のことから、第1の実施の形態に着目し、上記記載を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「チップ抵抗器の製造方法であって、 絶縁基板11を複数個を並べ、且つ、長さ方向に並ぶ各絶縁基板11の間に適宜幅寸法Gの捨て代部A1を設けて一体化して成るセラミック製の素材板Aを製造する工程と、 素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、抵抗膜12の両端に対する左右一対の上面電極13を、上面電極13が捨て代部A1の部分まで延びるように形成する工程と、 素材板Aの表面のうち各絶縁基板11の個所の各々に、抵抗膜12を形成する工程と、 各絶縁基板11における両上面電極13のうち捨て代部A1の部分に通電用プローブを接触して抵抗膜12における抵抗値を測定した状態で、抵抗膜12に対してレーザ光線の照射等にてトリミング溝を刻設することにより、所定の抵抗値にするというトリミング調整を行う工程と、 素材板Aにおける表面の全体に、各抵抗膜12及び各上面電極13を覆うガラス製のカバーコート15を形成する工程と、 素材板Aにおける捨て代部A1を、ダイシングカッターBにて切削除去することにより、棒状の素材板片A′に分割する工程と、を含み、 絶縁基板11における抵抗膜12の両端に対する上面電極13のうち抵抗膜12の一端から絶縁基板11の端面1aまでの間の寸法Dを、捨て代部A1の部分にプローブを接触するための場所を確保できる分だけ、小さくするか、無くすることができる、 チップ抵抗器の製造方法。」 (4)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア.引用発明における「素材板A」は、「セラミック製」であり、本願補正発明でいう「絶縁基板」に相当する。また、引用発明における「表面」、「上面電極13」は、それぞれ、本願補正発明でいう「表面」、「表面電極」に相当する。そして、引用発明における「素材板Aの表面」に「左右一対の上面電極13を」「形成する工程」は、本願補正発明でいう「絶縁基板の表面側に1対の表面電極を形成する表面電極形成工程」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「絶縁基板の表面側に1対の表面電極を形成する表面電極形成工程」を有するものである点で一致する。 イ.引用発明における「抵抗膜12」は、本願補正発明でいう「抵抗体」に相当する。また、引用発明における「抵抗膜12」は、左右一対の上面電極13がその両端に対するものであり、本願補正発明でいう「抵抗体」が、1対の表面電極に架け渡されることに相当する。そして、引用発明における「抵抗膜12を形成する工程」は、上記のように「抵抗膜12」は左右一対の上面電極13がその両端に対するものであることを踏まえると、本願補正発明でいう「1対の表面電極に架け渡す抵抗体を形成する抵抗体形成工程」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記1対の表面電極に架け渡す抵抗体を形成する抵抗体形成工程」を有するものである点で一致する。 ウ.本願補正発明では、「前記1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で前記抵抗体を被覆する第1コート層を形成する第1コート層形成工程」を有することを特定するのに対して、引用発明では、そのような特定を有していない点で相違する。 エ.上記「イ.」に記載したように、引用発明における「抵抗膜12」は、本願補正発明でいう「抵抗体」に相当する。また、引用発明における「トリミング調整」は、「レーザ光線の照射等にて」行うものであり、本願補正発明でいう「レーザートリミング」に相当する。そして、引用発明における「抵抗膜12に対してレーザ光線の照射等にて」「所定の抵抗値にするというトリミング調整を行う工程」は、本願補正発明でいう「抵抗体に対して」「レーザートリミングを行う抵抗値調整工程」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記抵抗体に対してレーザートリミングを行う抵抗値調整工程」を有するものである点では共通する。 しかしながら、「レーザートリミング」について、本願補正発明では、「前記第1コート層の上から」行うことを特定するのに対して、引用発明では、そのような特定を有していない点で相違する。 オ.上記「ア.」、「イ.」に記載したように、引用発明における「抵抗膜12」、「上面電極13」は、それぞれ、本願補正発明でいう「抵抗体」、「表面電極」に相当する。また、上記「ア.」、「エ.」に記載したように、引用発明における「上面電極13を」「形成する工程」、及び、「所定の抵抗値にするという」「工程」は、それぞれ、本願補正発明でいう「表面電極形成工程」及び「抵抗値調整工程」に相当する。更に、引用発明における「通電用プローブ」は、「抵抗値を測定」するものであり、本願補正発明でいう「抵抗値測定用のプローブ」に相当する。加えて、引用発明における「上面電極13のうち捨て代部A1の部分」は、「通電用プローブを接触」するものであり、本願補正発明でいう「プローブ接触部」に相当する。 そして、引用発明における「両上面電極13のうち捨て代部A1の部分」が、「通電用プローブを接触して抵抗膜12における抵抗値を測定」するためのものであることは、本願補正発明でいう「1対のプローブ接触部」が、「抵抗体の抵抗値測定用のプローブを接触させる」ものであることに相当する。また、引用発明における「左右一対の上面電極13」は、「抵抗膜12の両端に対する」ものであり、「捨て代部A1の部分まで延びるように形成する」ものであることから、引用発明における「左右一対の上面電極13」の互いに対向する側には「抵抗膜12」が接続され、その反対側にあっては当該上面電極13が「捨て代部A1の部分まで延びるように形成」されるといえ、してみれば、引用発明における「上面電極13を」「形成する工程」において、「抵抗膜12の両端に対する左右一対の上面電極13を、上面電極13が捨て代部A1の部分まで延びるように形成する」ことは、本願補正発明でいう「表面電極形成工程において」、「1対のプローブ接触部を」「1対の表面電極の互いに対向する側とは反対側にそれぞれ接続するように形成」することに相当する。更に、引用発明において、「捨て代部A1を」「切削除去する」ことは、「所定の抵抗値にするという」「工程」の後に行われるものであり、本願補正発明でいう「1対のプローブ接触部は」「抵抗値調整工程の後に切除」されることに相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記表面電極形成工程において、前記抵抗体の抵抗値測定用のプローブを接触させる1対のプローブ接触部を前記1対の表面電極の互いに対向する側とは反対側にそれぞれ接続するように形成し、該1対のプローブ接触部は前記抵抗値調整工程の後に切除」するものである点で一致する。 カ.本願補正発明では、「前記1対の表面電極の各々の前記露出させた部分は、前記プローブの接触が不可能な狭さである」ことを特定するのに対して、引用発明では、そもそも「露出させた部分」を有していない点で相違する。 キ.そして、引用発明における「チップ抵抗器の製造方法」は、本願補正発明における「チップ抵抗器の製造方法」に相当するものである。 よって、上記「ア.」ないし「キ.」によれば、本願補正発明と引用発明とは、 「絶縁基板の表面側に1対の表面電極を形成する表面電極形成工程と、前記1対の表面電極に架け渡す抵抗体を形成する抵抗体形成工程と、前記抵抗体に対してレーザートリミングを行う抵抗値調整工程とを有するチップ抵抗器の製造方法であって、前記表面電極形成工程において、前記抵抗体の抵抗値測定用のプローブを接触させる1対のプローブ接触部を前記1対の表面電極の互いに対向する側とは反対側にそれぞれ接続するように形成し、該1対のプローブ接触部は前記抵抗値調整工程の後に切除することを特徴とするチップ抵抗器の製造方法。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明では、「前記1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で前記抵抗体を被覆する第1コート層を形成する第1コート層形成工程」を有し、「レーザートリミング」について、「前記第1コート層の上から」行うことを特定するのに対して、引用発明では、そのような特定を有していない点。 [相違点2] 本願補正発明では、「前記1対の表面電極の各々の前記露出させた部分は、前記プローブの接触が不可能な狭さである」ことを特定するのに対して、引用発明では、そもそも「露出させた部分」を有していない点。 (5)判断 上記相違点1及び相違点2について検討する。 例えば、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2016-92127号公報(特に、段落【0002】、【0003】、【0032】~【0034】、【図2】を参照)、更には、国際公開第2017/057248号(特に、段落[0033]、[図8]を参照)に記載されているように、チップ抵抗器を製造する際に、トリミング調整時に抵抗体が損傷しないように、1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で抵抗体を被覆するアンダーコート層を形成した後、抵抗体に対してアンダーコート層の上からトリミング調整を行い、その後、オーバーコート層を形成することは、周知の技術事項である。よって、引用発明においても、トリミング調整を行う工程で抵抗膜12が損傷しないように、上記周知の技術事項を適用して「カバーコート15」に代えてアンダーコート層及びオーバーコート層を形成するようにし、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、引用発明では、「絶縁基板11における抵抗膜12の両端に対する上面電極13のうち抵抗膜12の一端から絶縁基板11の端面1aまでの間の寸法Dを、捨て代部A1の部分にプローブを接触するための場所を確保できる分だけ、小さくするか、無くすることができる」ものであることから、引用発明において、通電用プローブは主として上面電極13のうち捨て代部A1の部分に接触させるものであり、上面電極13のうち抵抗膜12の一端から絶縁基板11の端面1aまでの間の部分は、単独では通電用プローブを接触させるには狭い大きさであるといえる。そうすると、引用発明に上記周知の技術事項を適用した場合にあっては、左右一対の上面電極13の各々のアンダーコート層で被覆されない部分、すなわち、露出させた部分は、通電用プローブの接触が不可能な狭さとされる、すなわち、上記相違点2に係る構成とされることになるといえる。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和6年4月26日の手続補正は上記のとおり却下され、令和5年11月9日の手続補正において、特許請求の範囲の請求項1は補正されていないので、本願の請求項1に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 [理由]1.(2)」の【請求項1】に記載したとおりのものである。 2.原査定の概要 本願の請求項1に対する原査定(令和5年12年12日付け拒絶査定)の拒絶の理由のうち、理由2(進歩性)の概要は以下のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2003-142304号公報 引用文献2:特開2016-92127号公報 3.引用例、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用した引用例(引用文献1)の記載事項及び引用発明は、上記「第2 [理由]2.(3)」に記載したとおりである。 4.対比 本願発明は、上記「第2 [理由]2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である、「第1コート層形成工程」について、抵抗体を被覆する第1コート層の形成を「前記1対の表面電極の各々の一部を露出させた状態で」行うことの限定、すなわち、上記「第2 [理由]2.(4)」で認定した[相違点1]に係る構成の一部を省き、更に、「前記1対の表面電極の各々の前記露出させた部分は、前記プローブの接触が不可能な狭さである」ことの限定、すなわち、上記「第2 [理由]2.(4)」で認定した[相違点2]に係る構成を省いたものに相当する。 そして、本願補正発明から、上記[相違点1]に係る構成の一部、及び、上記[相違点2]に係る構成を省いた残りの発明特定事項については、下記の[相違点1’]を除いて、上記「第2 [理由]2.(4)」の「ア.」ないし「キ.」に記載したとおり、引用発明における「チップ抵抗器の製造方法」においても備える事項である。 [相違点1’] 本願発明では、「前記抵抗体を被覆する第1コート層を形成する第1コート層形成工程」を有し、「レーザートリミング」について、「前記第1コート層の上から」行うことを特定するのに対して、引用発明では、そのような特定を有していない点。 5.判断 上記相違点1’について検討する。 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2016-92127号公報(以下、「引用例2」という。)(特に、段落【0002】、【0003】、【0032】~【0034】、【図2】を参照)には、チップ抵抗器を製造する際に、トリミング溝を形成することにより抵抗体を所望の抵抗値に調整する時に抵抗体が損傷しないように、1対の表電極3の各々の端部以外を露出させた状態で抵抗体4を被覆する第1絶縁層5を形成した後、抵抗体4に対して第1絶縁層5の上から抵抗体4の抵抗値を調整し、その後、第2絶縁層6を形成する技術が記載されており、かかる技術事項は、上記「第2 [理由]2.(5)ア.」に記載したとおり、周知の技術事項でもあることに鑑みれば、引用発明においても、トリミング調整を行う工程で抵抗膜12が損傷しないように、上記引用例2に記載の技術事項を適用し、相違点1’に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007217

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