特許拒絶査定不服審判
2021-003463
青色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルタおよび画像表示装置
- 審判番号
- 2021-003463
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-534267
- 請求日
- 2021年03月16日
- 審決日
- 2021年11月26日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東友ファインケム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 吉孝
- 審判官 井口 猶二
- 審判官 関根 洋之
- 分類
- P18 .121-Z (G02B) / P18 .575-Z (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-534267「青色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルタおよび画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日国際公開、WO2018/182136、令和 2年 5月21日国内公表、特表2020-514788〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2019-534267号(以下「本件出願」という。)は、2017年(平成29年)11月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年3月31日 韓国)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 2年 6月24日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 9月29日提出:意見書
令和 2年 9月29日提出:手続補正書
令和 2年11月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年 3月16日提出:審判請求書
令和 3年 3月16日提出:手続補正書
令和 3年 5月17日付け:前置報告書
令和 3年 9月10日提出:上申書
第2 令和3年3月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
令和3年3月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和2年9月29日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1及び10の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
散乱粒子、青色着色剤、バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、UV吸収剤、および溶剤を含む青色感光性樹脂組成物であって、
前記光重合開始剤は、下記化学式5-2、5-3、5-4、5-5、5-6、5-7、5-8からなるグループより選択される1種以上を含み、
前記UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のうちの1つ以上を含むものである、青色感光性樹脂組成物。
[化学式5-2]
[図:0001383770000001.jpg]
[化学式5-3]
[図:0001383770000002.jpg]
[化学式5-4]
[図:0001383770000003.jpg]
[化学式5-5]
[図:0001383770000004.jpg]
[化学式5-6]
[図:0001383770000005.jpg]
[化学式5-7]
[図:0001383770000006.jpg]
[化学式5-8]
[図:0001383770000007.jpg]
」
「 【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の青色感光性樹脂組成物からなる青色パターンを含むカラーフィルタ。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は当合議体が付与したものであり、補正箇所を示す。
「 赤量子ドットを含む赤色パターン層と緑量子ドットを含む緑色パターン層からなる群より選択される1種以上と青色パターン層を含み、
前記青色パターン層は、散乱粒子、青色着色剤、バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、UV吸収剤、および溶剤を含む青色感光性樹脂組成物を用いて製造され、
前記青色感光性樹脂組成物は、量子ドットを含まない、
前記光重合開始剤は、下記化学式5-2、5-3、5-4、5-5、5-6、5-7、5-8からなるグループより選択される1種以上を含み、
前記UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のうちの1つ以上を含むものである、カラーフィルタ。
[化学式5-2]
[図:0001383770000008.jpg]
[化学式5-3]
[図:0001383770000009.jpg]
[化学式5-4]
[図:0001383770000010.jpg]
[化学式5-5]
[図:0001383770000011.jpg]
[化学式5-6]
[図:0001383770000012.jpg]
[化学式5-7]
[図:0001383770000013.jpg]
[化学式5-8]
[図:0001383770000014.jpg]
」
2 補正の適否について
本件補正でした補正は、本件補正前の請求項1を引用する請求項10に記載された発明を特定するための必要な事項である「青色感光性樹脂組成物」について、本件出願の翻訳文等(184条の12第2項)の【0116】等の記載に基づき、「量子ドットを含まない」ことを挿入するとともに、本件補正前の請求項1を引用する請求項10に記載された発明を特定するための必要な事項である「カラーフィルタ」を、本件補正前の請求項11及び12の記載及び本件出願の翻訳文等(184条の12第2項)の【0122】等の記載に基づき、「赤量子ドットを含む赤色パターン層と緑量子ドットを含む緑色パターン層からなる群より選択される1種以上と青色パターン層を含み」、「前記青色パターン層は」、「青色感光性樹脂を用いて製造され」る「カラーフィルタ」とする補正を含むものである。また、本件補正前の請求項1を引用する請求項10に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野(【0001】)及び解決しようとする課題(【0007】)が同一である。
したがって、本件補正のうち請求項1についてした補正は、特許法17条の2第3項の規定する要件を満たしているとともに、同条5項1号の請求項の削除及び同条5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正後発明
本件補正後発明は、上記「1」「(2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものである。
(2)引用文献1及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、パリ条約による優先権主張の日(以下「本件優先日」という。)前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2017/052351号(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、翻訳は当合議体にて行った。また、翻訳文における下線は当合議体が付与したものである。
(ア)「
[図:0001383770000015.jpg]
[図:0001383770000016.jpg]
[図:0001383770000017.jpg]
[図:0001383770000018.jpg]
[図:0001383770000019.jpg]
[図:0001383770000020.jpg]
[図:0001383770000021.jpg]
」
翻訳文:「技術分野
[1] 本願は、2015年9月23日付の韓国特許出願第10-2015-0134985号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
[2] 本発明は、オキシムエステル化合物、それを用いた光重合開始剤に係り、より詳細には、高輝度を保持し、熱安定性に優れ、有機溶剤に対する溶解性に優れた感光性樹脂組成物の製造に有用な新規構造のオキシムエステル化合物、及びそれを含む光重合開始剤に関する。
背景技術
[3] 感光性組成物は、結合剤樹脂、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物に光重合開始剤を添加したものであり、この感光性組成物に365~435nmの光を照射することによって、重合硬化させることができるために、インクジェット用インクまたは自動車や携帯電話などの透明であるか、着色された保護膜に使われ、最近、Flat panel display(FPD)のTV、そのうち、LCD TVに広く使われている。
[4] LCDを製造するためには、多様な光学技術と多数の電子部品とが必要であり、LCD製造に最も重要な部分のうちの1つが、赤色、緑色、青色及び黒色のピクセルを有しているカラーフィルターである。前記カラーフィルターは、光による重合反応によって溶解度が減少する現象を用いる光エッチング法で製造を行い、カラーフィルターに使われる色相別感光性組成物に光重合開始剤が応用されている。
[5] 感光性樹脂組成物は、高い生産効率、フォトスピード、最小限の露光で光重合ができる感度などが重要であり、これに影響を与える最も重要な要素が光重合開始剤である。例えば、カラーフィルターの場合、色材の含有量が多くなれば、感光性樹脂組成物の感度、現像性、解像性、密着性などが悪化する問題があり、生産性の低下だけではなく、カラーフィルターに要求される精度、信頼性が得られないということが知られている。すなわち、カラーフィルターは、高濃度で高感度、高解像性が要求され、ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物も、薄い膜、高遮光性(高濃度)の条件下で高感度、高解像性を発揮することができることが要求される。
[6] そして、既存の常用品の場合、熱安定性が低い問題によって、その適用に限界があり、したがって、熱安定性が向上した光開始剤が切実な実情である。
[7] したがって、このような問題点を根本的に解決することができる新たな構造のオキシムエステル化合物、及びそれを含むネガティブ型感光性樹脂組成物などに対する要求が高い実情である。
発明の詳細な説明
技術的課題
[8] 本発明は、前記のような従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題とを解決することを目的とする。
[9] 具体的に、本願の発明者は、深度ある研究と多様な実験とを繰り返した末に、以後説明するような新規な構造のオキシムエステル化合物が、従来の技術の開始剤に比べて、透明度及び熱安定性に優れて、ネガティブ感光性樹脂組成物に適用する場合、輝度低下現象及び樹脂の透明度の変化がほとんどなく、解像性、現像性、密着性などに優れ、熱安定性も優れていることを確認して、本発明を完成するに至った。
課題を解決するための手段
[10] 本発明は、下記化学式1で表されるオキシムエステル化合物を提供する。
[11] [化学式1]
[12]
[図:0001383770000022.jpg]
[13] 前記式において、
[14] R1は、メチルまたはフェニル基であり、
[15] R2及びR3は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基から選択されるものであり、
[16] nは、1~4の整数であり、
[17] mは、0~6の整数であるが、
[18] 但し、nが、1である場合、mは、1~6の整数である。
[19] また、本発明は、前記オキシムエステル化合物を有効成分として含む光重合開始剤を提供する。
[20] また、本発明は、結合剤樹脂、エチレン系不飽和結合を有する化合物、及び前記光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を提供する。
発明の効果
[21] 本発明によるオキシムエステル化合物は、保存安定性に優れるので、保存状態では重合を発生せず、重合性組成物を短時間で効率的に重合することができる。また、カラーフィルターに主に使用している溶媒であるPGMEA(Propyleneglycol monomethyl ether acetate)に対する溶解度に優れているために、フォトレジスト組成物の光開始剤として適用時に、透明度に優れ、耐化学性に優れ、LCD製造工程であるカラムスぺーサ、オーバーコート、有機絶縁膜、カラーフィルター、ブラックマトリックスに適用時に、樹脂組成物の輝度低下現象及び樹脂の透明度の変化がほとんどなくて、これによる品質問題を最小化し、熱安定性に優れた光重合開始剤及び感光性組成物を製造することができる。」
(イ)「
[図:0001383770000023.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000024.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000025.jpg]
[図:0001383770000026.jpg]
[図:0001383770000027.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000028.jpg]
[図:0001383770000029.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000030.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000031.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000032.jpg]
[図:0001383770000033.jpg]
[図:0001383770000034.jpg]
[図:0001383770000035.jpg]
」
翻訳文:「発明を実施するための形態
[22] 本発明は、下記化学式1で表されるオキシムエステル化合物を提供する。
[23] [化学式1]
[24]
[図:0001383770000036.jpg]
[25] 前記式において、
[26] R1は、メチルまたはフェニル基であり、[27] R2及びR3は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基から選択されるものであり、
[28] nは、1~4の整数であり、
[29] mは、0~6の整数であるが、
[30] 但し、nが、1である場合、mは、1~6の整数である。
・・・省略・・・
[35] 本発明は、前記オキシムエステル化合物を有効成分として含む光重合開始剤を提供する。
[36] 本発明による光重合開始剤は、既存の開始剤よりも感度が高く、解像性、現像性、密着性などに優れ、LCD製造工程に主に使用している溶媒であるPGMEAに対する溶解度に優れて、LCDのカラーフィルター、ブラックマトリックス、カラムスぺーサ、有機絶縁膜、オーバーコートのように光硬化を施行する産業全般に使われる。
[37] また、本発明は、結合剤樹脂、エチレン系不飽和結合を有する化合物、及び前記光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を提供する。
[38] 前記光重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、エチレン性不飽和結合を有する前記重合性化合物固形分100重量部に対して、本発明によるオキシムエステル化合物は、望ましくは、1~50重量部、より望ましくは、5~30重量部で含まれ得る。
・・・省略・・・
[41] また、本発明によるネガティブ型感光性樹脂組成物には、光重合開始剤として本発明のオキシムエステル化合物の以外に、必要に応じて他種の光重合開始剤を併用することも可能であり、他種の光重合開始剤を共に使用して相乗効果を発揮することもできる。
[42] このような光重合開始剤を含むネガティブ型感光性樹脂組成物は、特定波長領域の光照射に対して増減剤を併用しないとしても、非常に効率的に分解されてラジカルを効率的に発生する高感度材料として使用が可能である。
[43] 本発明のオキシムエステル化合物と共に使える光重合開始剤は、従来の公知の化合物を利用することが可能であり、望ましい例として、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2-ブトキシエチル-4-メチルアミノ安息香酸、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ジメチルアミノメチル安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ベンゾイルギ酸メチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ-(4-メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,4-ビス(卜リクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(卜リクロロメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリブロモメチル)-6-(4’-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1,3-ベンゾジオキソラン-5-イル)-1,3,5-s-トリアジン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-安息香酸、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセテート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセテート、エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
[44] このような光重合開始剤は、1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して併用することができる。本発明において、光重合開始剤は、本発明によるネガティブ型感光性樹脂組成物の固形分総重量を基準に通常0.5~30重量%、望ましくは、1~20重量%を使用することができる。また、感光性樹脂組成物総重量を基準にすれば、0.01~10重量%、望ましくは、0.1~7重量%であり得る。
[45] 前記結合剤樹脂としては、不飽和カルボキシル基を有する化合物、及びそれと共重合が可能な他の単量体の共重合体を使用することができる。
・・・省略・・・
[49] また、前記結合剤樹脂は、ブラックマトリックス分野で一般的に使われる下記化学式2で表されるカルド系樹脂を使用することができる。
[50] [化学式2]
[51]
[図:0001383770000037.jpg]
[52] 前記化学式2において、Qは、4価の有機基、zは、繰り返し単位を示す1以上の整数である。
[53] 前記カルド系樹脂は、望ましくは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル及びビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン及び9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレンなどから得られ得るが、これらに限定されるものではない。
・・・省略・・・
[57] また、本発明による感光性樹脂組成物には、色材、無機化合物、分散剤及びシラン系カップリング剤から選択された1つ以上がさらに含まれ得る。
[58] 本発明の感光性樹脂組成物は、色材をさらに含有することができる。前記色材としては、顔料、染料、天然色素などが挙げられ、これら色材は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
・・・省略・・・
[62] 本発明による感光性樹脂組成物には、また無機化合物を含有させることができる。前記無機化合物としては、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸窒化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ(Ben gala)、群青、紺青、酸化クロム、アンチモンホワイト、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、亜鉛、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩などが挙げられるが、これらのみに制限されるものではない。これら無機顔料は、必要に応じて、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明のネガティブ型感光性樹脂組成物において、前記無機化合物の含有量は、前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100重量部に対して、望ましくは、0.1~1000重量部、望ましくは、10~800重量部であり得る。
・・・省略・・・
[65] また、本発明の感光性樹脂組成物には、粘度調節のために、必要に応じて溶剤を使用し、具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
[66] 前記溶剤は、塗布性、乾燥性面で前記例示した溶剤のうちから沸点が100℃~200℃である有機溶剤が望ましく使われ、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類がより望ましく使われ、特に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどがさらに望ましく使われる。溶剤は、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。樹脂液が基板に塗布される粘度を有するように溶剤の比率を選択することが望ましく、通常、感光性樹脂組成物総重量を基準に10~95重量%、望ましくは、20~80重量%で含まれ得る。
[67] それ以外に、本発明による感光性樹脂組成物には、樹脂組成物の物性を害しない範囲内で連鎖移動剤、増減剤、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量添加される。このような添加剤の添加量は、当業者によって調節される。
[68] このような感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルター、ブラックマトリックス、カラムスぺーサ、有機絶縁膜、オーバーコートなどを製造することができる。
[69] 具体的に、本発明は、前記感光性樹脂組成物を含むカラーフィルターを提供することができる。このようなカラーフィルターに使われるネガティブ型感光性樹脂組成物は、例えば、青色を表わすピグメントブルー、15:6を固形分総重量を基準に20~30重量%、望ましくは、23~27重量%、例えば、25重量%を含んで青色を表わすことができる。」
(ウ)「
[図:0001383770000038.jpg]
[図:0001383770000039.jpg]
[図:0001383770000040.jpg]
[図:0001383770000041.jpg]
[図:0001383770000042.jpg]
[図:0001383770000043.jpg]
[図:0001383770000044.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000045.jpg]
・・・省略・・・
[図:0001383770000046.jpg]
[図:0001383770000047.jpg]
[図:0001383770000048.jpg]
[図:0001383770000049.jpg]
[図:0001383770000050.jpg]
」
翻訳文:「発明を実施する形態
[81] 以下、実施例を参照して、本発明の内容を詳述するが、本発明の範疇が、それによって限定されるものではない。
[82] [実施例1]1-(9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-1,2-オクタンジオン-2-オキシム-O-アセテート化合物1の合成
[83] 合成1-1) 9,9-ジプロピル-9H-フルオレン(1)の合成
[84]
[図:0001383770000051.jpg]
[85] フルオレン10.0gとテトラヒドロフラン100mLとに溶解させ、1-ブロモプロパン16.2gを25℃以下で滴加し、常温で1時間撹拌した。反応が終了した後、ジエチルエーテル100mLと蒸留水100mLとを入れ、常温で10分間撹拌した後、捕集された有機層を減圧濃縮して得た液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル/n-ヘキサン=1/8)を通じて精製して、褐色の固体化合物(1)12.2g(収率81.3%)を得た。
[86] 1H NMR data(δ ppm;CDCl3):1.01(m、6H)、1.31(m、4H)、1.82(m、4H)、7.25~7.97(m、8H)
[87] MS(m/e):250
[88]
[89] 合成1-2) 1-(9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-1-オクタノン(2)の合成
[90]
[図:0001383770000052.jpg]
[91] 合成1-1から合成された化合物(1)10.0gをジクロロメタン80mLに溶解後、5℃以下に冷却し、塩化アルミニウム9.0gを投入した後、n-オクタノイルクロリド5.8gを5℃以下で滴加し、常温で2時間撹拌した。その後、氷水80.0gを徐々に入れ、30分間撹拌した後、回収した有機層を減圧濃縮して収得した固体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル/n-ヘキサン=1/8)を通じて精製して、褐色の化合物(2)11.6g(収率76.9%)を得た。
[92] 1H NMR(δ ppm;CDCl3):0.97(m、6H)、1.25~1.32(m、12H)、1.51(m、2H)、1.87(m、4H)、2.87(t、2H)、7.25~7.97(m、7H)
[93] MS(m/e):376
[94]
[95] 合成1-3)1-(9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-1,2-オクタンジオン-2-オキシム(3)の合成
[96]
[図:0001383770000053.jpg]
[97] 合成1-2で合成した化合物(2)10.0gをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、亜硝酸イソアミル0.3gと塩酸ガス45mLとを投入し、10℃で6時間撹拌した。反応が終了した後、ジエチルエーテル100mLと蒸留水100mLとを入れ、常温で10分間撹拌した後、捕集された有機層を減圧濃縮して得た液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル/n-ヘキサン=1/8)を通じて精製して、薄い黄色の固体化合物(3)6.0g(収率55.8%)を得た。
[98] 1H NMR(δ ppm;CDCl3):0.89(m、9H)、1.25~1.47(m、10H)、1.51(m、2H)、1.87(m、4H)、2.15(t、2H)、7.25~7.97(m、7H)、11.0(s、1H)
[99] MS(m/e):405
[100]
[101] 合成1-4) 化合物1の合成
[102]
[図:0001383770000054.jpg]
[103] 合成1-3で合成した化合物(3)5.0gをMC 50.0gに溶解した後、5℃以下でアセチルクロライド1.3gを投入し、同じ温度でトリエチルアミン(TEA)2.0gを滴加した後、3時間撹拌した。反応が終了したら、蒸留水100mLを入れ、10分間撹拌した後、回収した有機層を減圧濃縮して得た黄色液体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル/n-ヘキサン=1/8)を通じて精製して、固体化合物14.9g(収率89.2%)を得た。
[104] 1H NMR(δ ppm;CDCl3):0.89(m、9H)、1.25~1.47(m、10H)、1.51(m、2H)、1.87(m、4H)、2.15(t、2H)、2.23(s、3H)、7.25~8.1(m、7H)
[105] MS(m/e):447
・・・省略・・・
[216] 化合物9(比較例2)
[217]
[図:0001383770000055.jpg]
・・・省略・・・
[234] [製造例1]実施例の化合物1ないし化合物7を利用した青色ネガティブ感光性樹脂組成物の製造
[235] <青色分散液(A)の製造>
[236] 溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80g、青色顔料ピグメントブルー15:6 12g、分散剤4g(BYK社のDisperbyk-163)、アルカリ可溶性樹脂(アクリレート系)4gを混合した後、高速撹拌機を用いて2時間撹拌した後、0.3mmジルコニアビーズを投入し、ネツ社のビーズミルを用いて8m/sの速度で3時間撹拌して、青色顔料分散体(A)を得た。
[237]
[238] <アルカリ現像性樹脂(B)の製造>
[239] 反応容器に、エポキシビスフェノールフルオレン231g、アクリル酸72g、臭化テトラ‐n‐ブチルアンモニウム0.1g及びPGMEA 250gを投入し、空気バブリングを行いながら、120℃で22時間撹拌した。以後、反応液を90℃に冷却し、ビスフェノール無水物60gを添加して、120℃で8時間撹拌を行った。以後、90℃に冷却した後、テトラヒドロ無水フタル酸20g、PGAMEA 100gを投入して、120℃で6時間追加撹拌を実施した。以後、室温に冷却して、アルカリ現像性樹脂(B)を収得した。この際、固形分は50%、Mn=3500、酸価(固形分)95.3mg KOH/gであった。
[240]
[241] <アルカリ現像性樹脂(C)の製造>
[242] 反応容器に、シンナミルアルコール84.5g、トリエチルアミン76.6g、重合禁止剤0.14g、溶媒ジクロロメタン422gを投入した後、室温を保持しながら、メタクリレート106.7gを徐々に投入した。投入が完了した後、温度を40℃に上げた後、24時間を保持した。以後、水を投入して抽出及び濃縮を進行して、シンナミルメタクリレートを得た。シンナミルメタクリレート96.8g、メタクリル酸33.3g、スチレン12g、AIBN 11.0g、PGMEA 230gを投入し、85℃で6時間保持して、アルカリ現像性樹脂(C)を収得した。この際、固形分は40%、Mn=8,800、酸価(固形分)160mg KOH/gであった。
[243]
[244] <青色感光性樹脂組成物の製造>
[245] 分散液(A)21.2gに、アルカリ現像性樹脂(B)6.6g、アルカリ現像性樹脂(C)2.8g、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート0.6g、光重合開始剤(化合物1ないし化合物7)1.5g、界面活性剤0.05gを投入して撹拌し、最終的な固形分濃度が20%重量になるようにPGMEAを加えて、青色ネガティブ感光性樹脂組成物を得た。
[246]
[247] [製造例2]比較例の化合物を利用した青色ネガティブ感光性樹脂組成物の製造
[248] 化合物1ないし化合物7の代わりに、下記化合物8(比較例1)及び化合物9(比較例2)のような光重合開始剤を使用して製造したものの以外には、製造例1と同じ方法を使用して、青色ネガティブ感光性樹脂組成物を製造した。
[249] 比較例1 比較例2
[250]
[図:0001383770000056.jpg]
」
イ 引用文献1の上記アの[3]~[5]の記載により、引用文献1に記載された実施例及び比較例の青色ネガティブ感光性樹脂組成物が青色のカラーフィルターに使われることは明らかである。
そうしてみると、引用文献1には、比較例の化合物9を利用した製造例2により製造された青色ネガティブ感光性樹脂組成物を使ったカラーフィルターとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、分散体(A)を分散液(A)に、PGMEAをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに、それぞれ用語を統一して記載した。また、[239]の「PGAMEA」は、技術常識から「PGMEA」の誤記と認められるので、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとして用語を統一した。
「 分散液(A)21.2gに、アルカリ現像性樹脂(B)6.6g、アルカリ現像性樹脂(C)2.8g、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート0.6g、光重合開始剤(化合物9)1.5g、界面活性剤0.05gを投入して撹拌し、最終的な固形分濃度が20%重量になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、得た、青色ネガティブ感光性樹脂組成物を使ったカラーフィルター。
上記分散液(A)は、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80g、青色顔料ピグメントブルー15:6 12g、分散剤4g、アルカリ可溶性樹脂4gを混合した後、高速撹拌機を用いて2時間撹拌し、ジルコニアビーズを投入し、8m/sの速度で3時間撹拌して得た。
上記アルカリ現像性樹脂(B)は、エポキシビスフェノールフルオレン231g、アクリル酸72g、臭化テトラ‐n‐ブチルアンモニウム0.1g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250gを投入し、空気バブリングを行いながら、120℃で22時間撹拌し、反応液を90℃に冷却し、ビスフェノール無水物60gを添加して、120℃で8時間撹拌を行い、90℃に冷却した後、テトラヒドロ無水フタル酸20g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを投入して、120℃で6時間追加撹拌を実施し、室温に冷却して収得した。
上記アルカリ現像性樹脂(C)は、シンナミルアルコール84.5g、トリエチルアミン76.6g、重合禁止剤0.14g、溶媒ジクロロメタン422gを投入した後、メタクリレート106.7gを徐々に投入し、温度を40℃に上げた後、24時間を保持し、水を投入して抽出及び濃縮を進行して、シンナミルメタクリレートを得、シンナミルメタクリレート96.8g、メタクリル酸33.3g、スチレン12g、AIBN 11.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート230gを投入し、85℃で6時間保持して収得した。
上記光重合開始剤(化合物9)は、
[図:0001383770000057.jpg]
である。」
(3)対比
本件補正後発明と引用発明とを対比する。
ア 青色着色剤
引用発明の「分散液(A)」は、「溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80g、青色顔料ピグメントブルー15:6 12g、分散剤4g、アルカリ可溶性樹脂4gを混合した後、高速撹拌機を用いて2時間撹拌し、ジルコニアビーズを投入し、8m/sの速度で3時間撹拌して得た」。
上記組成及び製法からみて、引用発明の「青色顔料ピグメントブルー15:6」は、本件補正後発明の「青色着色剤」に相当する。
イ バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂
引用発明の「アルカリ現像性樹脂(B)」は、「エポキシビスフェノールフルオレン231g、アクリル酸72g、臭化テトラ‐n‐ブチルアンモニウム0.1g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 250gを投入し、空気バブリングを行いながら、120℃で22時間撹拌し、反応液を90℃に冷却し、ビスフェノール無水物60gを添加して、120℃で8時間撹拌を行い、90℃に冷却した後、テトラヒドロ無水フタル酸20g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを投入して、120℃で6時間追加撹拌を実施し、室温に冷却して収得した」。
上記組成及び製法から、引用発明の「アルカリ現像性樹脂(B)」には「エポキシビスフェノールフルオレン」が用いられている。また、引用発明の「アルカリ現像性樹脂(B)」がバインダー樹脂として機能することは、明らかである。
そうしてみると、引用発明の「アルカリ現像性樹脂(B)」は、本件補正後発明の「バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂」に相当する。
ウ 光重合性化合物
引用発明の「アルカリ現像性樹脂(C)」は、「シンナミルアルコール84.5g、トリエチルアミン76.6g、重合禁止剤0.14g、溶媒ジクロロメタン422gを投入した後、メタクリレート106.7gを徐々に投入し、温度を40℃に上げた後、24時間を保持し、水を投入して抽出及び濃縮を進行して、シンナミルメタクリレートを得、シンナミルメタクリレート96.8g、メタクリル酸33.3g、スチレン12g、AIBN 11.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート230gを投入し、85℃で6時間保持して収得した」。
上記組成及び製法からみて、引用発明の「アルカリ現像性樹脂(C)」は、本件補正後発明の「光重合性化合物」に相当する。また、引用発明の「ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート」は、本件補正後発明の「光重合性化合物」に相当する。
エ 光重合開始剤
引用発明の「光重合開始剤(化合物9)」は、本件補正後発明の「光重合開始剤」及び「[化学式5-4]」に相当する(当合議体注:化合物9及び化学式5-4の構造式は省略した。なお、化合物9及び化学式5-2ないし化学式5-8の構造式を以後省略する。)。また、引用発明の「光重合開始剤(化合物9)」は、本件補正後発明の「光重合開始剤」の「化学式5-2、5-3、5-4、5-5、5-6、5-7、5-8からなるグループより選択される1種以上を含み」との要件を満たす。
オ 溶剤
引用発明の「プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート」は、技術的にみて、本件補正後発明の「溶剤」に相当する。
カ 青色感光性樹脂組成物
引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、「分散液(A)21.2gに、アルカリ現像性樹脂(B)6.6g、アルカリ現像性樹脂(C)2.8g、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート0.6g、光重合開始剤(化合物9)1.5g、界面活性剤0.05gを投入して撹拌し、最終的な固形分濃度が20%重量になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、得た」。
上記ア~オ並びに上記組成及び製法からみて、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、本件補正後発明の「青色感光性樹脂組成物」に相当する。
また、引用発明は、量子ドットを含まないものであることは明らかである。そうしてみると、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、本件補正後発明の「青色感光性樹脂組成物」と、「青色着色剤、バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光開始剤、および溶剤を含み、量子ドットを含まない」点で共通する。
キ 青色パターン層、カラーフィルタ
技術常識からみて、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物を使ったカラーフィルター」は、青色ネガティブ感光性樹脂組成物を用いて製造された青色パターン層を含むといえる。
また、上記ア~カを総合すると、引用発明の「カラーフィルター」は、本件補正後発明の「カラーフィルタ」に相当する。さらに、引用発明の「カラーフィルター」は、本件補正後発明の「カラーフィルタ」と、「青色パターン層を含み」の点で共通する。
(4)一致点及び相違点
ア 一致点
以上の対比結果を踏まえると、本件補正後発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「 青色パターン層を含み、
前記青色パターン層は、青色着色剤、バインダー樹脂としてカルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む青色感光性樹脂組成物を用いて製造され、
前記青色感光性樹脂組成物は、量子ドットを含まない、
前記光重合開始剤は、下記化学式5-2、5-3、5-4、5-5、5-6、5-7、5-8からなるグループより選択される1種以上を含む、カラーフィルタ。」
イ 相違点
本件補正後発明と引用発明は、以下の点で相違する。
(相違点1)本件補正後発明は、「赤量子ドットを含む赤色パターン層と緑量子ドットを含む緑色パターン層からなる群より選択される1種以上」「を含」むのに対して、引用発明は、赤色パターン層及び緑色パターン層を含むことは明らかでない点。
(相違点2)「青色感光性樹脂組成物」が、本件補正後発明は、「散乱粒子」「を含む」のに対して、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、散乱粒子を含まない点。
(相違点3)「青色感光性樹脂組成物」が、本件補正後発明は、「UV吸収剤」「を含」み、「前記UV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のうちの1つ以上を含むものである」のに対して、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、UV吸収剤を含まない点。
(5)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献1の[4]及び[5]には、それぞれ、「LCD製造に最も重要な部分のうちの1つが、赤色、緑色、青色及び黒色のピクセルを有しているカラーフィルターである。」及び「カラーフィルターの場合、色材の含有量が多くなれば、感光性樹脂組成物の感度、現像性、解像性、密着性などが悪化する問題があり、生産性の低下だけではなく、カラーフィルターに要求される精度、信頼性が得られないということが知られている。」と記載されている。上記記載に接した当業者であれば、感光性樹脂組成物が赤色、緑色、青色及び黒色のピクセルを有しているカラーフィルターが記載されていることが理解できる。
そして、赤量子ドットを含む赤色パターン層と緑量子ドットを含む緑色パターン層のいずれかの層を含むカラーフィルタは、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-98375号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)の【0099】、原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった韓国公開特許第10-2017-0019277号公報(以下、同じく「引用文献7」という。)の[0155]~[0157]に記載されているように周知技術である。
上記周知技術を心得た当業者であれば、色再現性を改善するために、引用発明に赤量子ドットを含む赤色パターン層と緑量子ドットを含む緑色パターン層のいずれかの層を含むようにすることは、当然想起するものである。
なお、念のために付言すれば、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、量子ドットを含まないものであるが、赤量子ドットを含む赤色パターン層及び緑量子ドットを含む緑色パターン層と量子ドットを含まない青色パターン層は、本件優先日前に周知技術(例えば、米国特許出願公開第2017/0076678号明細書の[0089]~[0097]、図2、韓国公開特許第10-2016-0113885号公報の[0187]~[0194]参照。)である。
そうしてみると、引用発明に上記周知技術を適用して上記相違点1に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用文献1の[62]には、「本発明による感光性樹脂組成物には、また無機化合物を含有させることができる。」と記載されていて、酸化チタンや酸化亜鉛など散乱粒子として用いられるものも例示されている。また、光学特性を改善するために散乱粒子を含む感光性樹脂組成物を用いることは、引用文献2の【0039】~【0045】、及び原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開平11-329742号公報(以下、同じく「引用文献3」という。)の【0005】~【0008】、【0017】に記載されているように周知技術である。
上記周知技術を心得た当業者であれば、光学特性を改善するために、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」に散乱粒子を含むようにすることは、当然想起するものである。
なお、念のために付言すれば、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」は、量子ドットを含まないものであるが、引用文献1の[62]の記載には量子ドットとして機能しない無機化合物が記載されていることから、周知技術である散乱粒子を含むようにする際に量子ドットを含まないようにすることに、何ら格別の困難性はない。
そうしてみると、引用発明に上記周知技術を適用して上記相違点2に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のいずれかの紫外線吸収材を含む感光性樹脂組成物を用いることは、原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-62334号公報(以下、同じく「引用文献4」という。)の【0233】~【0234】、原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された特開2012-73291号公報(以下、同じく「引用文献5」という。)の【0061】、原査定の拒絶の理由で引用文献8として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2016-504614号公報(以下、同じく「引用文献8」という。)の【0021】、原査定の拒絶の理由で引用文献9として引用され、本件優先日前に日本国内又は外国において頒布された特開2012-181505号公報(以下、同じく「引用文献9」という。)の【0112】に記載されているように周知技術である
上記周知技術を心得た当業者であれば、紫外線による劣化を防止するために、引用発明の「青色ネガティブ感光性樹脂組成物」にベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のいずれかの紫外線吸収材を含むようにすることは、当然想起するものである。
そうしてみると、引用発明に上記周知技術を適用して上記相違点3に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(6)効果について
本件補正後発明に関して、本件明細書の【0011】には、「本発明は、前記青色感光性樹脂組成物にベンゾトリアゾール系、トリアジン系、およびベンゾフェノン系のうちの1つ以上を含むUV吸収剤を含むことにより、耐熱性に優れて高温で黄変が発生せず発光強度の変化がなく、一定値の微細パターン形成が可能で優れたパターン特性を有し、微細画素の実現不良の問題を改善したカラーフィルタ、特に自発光カラーフィルタの実現が可能である。また、優れた視野角を有する高品質の画質の自発光カラーフィルタを提供することである。」と記載されている。
しかしながら、このような効果は、周知技術であるUV吸収剤から予測できる範囲内である。
また、本件明細書の【0146】の【表3】には、比較例1~4が記載されている。比較例1は散乱粒子を含まず、比較例2はカルド系バインダー樹脂を含まず、比較例3は光重合性化合物を含まず、比較例4はUV吸収剤を含まないものである。そして、本件明細書の【0155】の【表4】には、比較例2及び3の現像速度、感度、パターン安定性及び耐熱性が不良であること、同じく、比較例4の耐熱性が不良であること、同【0159】の【表5】には、比較例2及び3の微細パターンが不良であること、同【0164】の【表6】には、比較例1及び4の発光強度が低いこと、同【0168】の【表7】には、比較例1及び4の拡散率が低いことが示されている。本件明細書の上記実施例及び比較例の特性からは、結局のところ、散乱粒子、カルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、UV吸収剤の各成分のそれぞれの効果を奏すると把握されるものである。光重合開始剤についても、本件明細書の実施例及び比較例は、本件補正後発明において列挙された光重合開始剤のうちの一部が用いられているにすぎず、本件補正後発明の光重合開始剤による作用効果も確認できない。
そうしてみると、本件補正後発明の効果は、散乱粒子、カルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、UV吸収剤のいずれかの効果であるとはいえるものの、散乱粒子、カルド系バインダー樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、UV吸収剤を組み合わせた効果であるとまではいえない。
(7)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和3年3月16日提出の審判請求書において、「引用文献1~9は、本願における請求項1に係るフィルターである、赤色パターン層は赤量子ドットを含み、緑色パターン層は緑量子ドットを含むものの、青色パターン層は量子ドットを含まない青色感光性樹脂組成物を用いて製造されているカラーフィルタを開示、示唆するものではなく、さらにはこのような構成に想到する動機付けはありません。」、令和3年9月10日提出の上申書において、「本願請求項1に係る発明は、化学式5-2、5-3、5-4、5-5、5-6、5-7、5-8からなるグループより選択される1種以上を含む光重合開始剤、散乱粒子、カルド系バインダー樹脂、およびUV吸収剤の全ての要素を含む感光性樹脂材料を用いてカラーフィルタを作成することを特徴としているものです。」、「しかしながら、引用文献1-5、8-11(当合議体注:引用文献10及び引用文献11は、それぞれ、米国特許出願公開第2017/0076678号明細書及び韓国公開特許第10-2016-0113885号公報であって、いずれも周知技術を示す文献であり前置報告書において示された。)には、それぞれ、本願請求項1に係る発明の一つの要素について記載されているのみであり、これらの組み合わせについては記載も示唆もありません。」と、それぞれ主張している。
しかしながら、上記(5)及び(6)で述べたとおりであり、審判請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(8)小括
したがって、本件補正後発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 補正却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記「第2 令和3年3月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定」[結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1を引用する請求項10に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、本件出願の請求項1~14に係る発明は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1:国際公開第2017/052351号
引用文献2:特開2016-98375号公報
引用文献3:特開平11-329742号公報
引用文献4:特開2017-62334号公報
引用文献5:特開2012-73291号公報
引用文献6:韓国公開特許第10-2016-0024628号公報
引用文献7:韓国公開特許第10-2017-0019277号公報
引用文献8:特表2016-504614号公報
引用文献9:特開2012-181505号公報
(当合議体注:引用文献1は、主引例であり、引用文献2~5、7~9は、周知技術を示す文献であり、引用文献6は、請求項6~7についての副引例である。)
3 引用文献及び引用発明
引用文献1の記載及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。
4 対比及び判断
本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本件補正後発明から、上記第2[理由]1の補正事項に係る事項を取り除いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定した本件補正後発明も、上記第2[理由]2に記載したとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用文献1に記載された発明及び周知技術に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-003463