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特許拒絶査定不服審判

2021-003080

検索装置、検索方法および検索プログラム

審判番号
2021-003080
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-209605外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月08日
審決日
2022年07月26日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06F) / P18 .537-WZ (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-209605「検索装置、検索方法および検索プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018- 72983〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成28年10月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 3月13日付け:拒絶理由通知書
令和2年 4月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 7月10日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和2年 9月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 1月28日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
令和3年 3月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年 5月31日 :前置報告書
令和3年 6月22日 :上申書の提出
令和3年12月 9日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和4年 2月14日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~10に係る発明は、令和4年2月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
検索処理に利用するための素性をコンテンツから抽出する抽出部と、
前記抽出部によって前記コンテンツから抽出された素性の組み合わせにおける共起関係を数値化し、数値化された共起関係に基づいて、前記素性ごとに設定される所定の指標値を算出し、算出された指標値と前記コンテンツとを対応付けて所定の記憶部に格納する算出部と、
前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するような検索モデルであって、マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデルを生成する生成部と、
前記生成部によって生成されたモデルに、ユーザから送信されたクエリと検索対象のコンテンツとを入力し、入力に応じて当該モデルから出力されるマッチングスコアに基づいて、当該クエリに適合するコンテンツを検索する検索部と、
を備え、
前記検索部は、前記マッチングスコアに基づいて前記コンテンツにランクを付与する、
ことを特徴とする検索装置。」

第3 当審において通知した拒絶理由

当審が通知した拒絶理由の理由3の概要は、次のとおりのものである。

この出願の請求項1~10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1~3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1、2、9、10について:引用文献1

請求項3について:引用文献1、2
請求項4~6について:引用文献1~3
引用文献1:特開2009-193219号公報
引用文献2:特開2010-9307号公報
引用文献3:特開2010-55164号公報

第4 引用文献1に記載された事項、引用発明

1 引用文献1に記載された事項

当審が通知した拒絶理由において引用した特開2009-193219号公報(平成21年8月27日公開、以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下のとおりの記載がある。下線は、注目箇所に当審が付した。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の集合からクエリ(処理要求を文字列で表したもの)に適合する文書を検索し、適合順にランク付けするためのインデックスを作成する技術に関する。
【背景技術】
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【0002】
従来より、文書の集合からクエリに適合する文書を検索し、適合順にランク付け(ランキング)する方法として、様々な方法が提案されていた。
【0003】(省略)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術をサーチエンジンに適用する場合にはいくつか課題があった。
【0005】~【0007】(省略)
【0008】
本発明の目的は、ユーザが入力するクエリが少数のキーワードで与えられる場合に、雑多な内容を含む文書で構成され得る文書の集合に対しても、サーチエンジンに適用できる処理速度で精度の高いランキングを可能とすることにある。」
「【0014】
本発明によれば、少数のキーワードでしかクエリが与えられず、雑多な内容を含む文書集合を対象とする場合でも、キーワードの周辺に存在するキーワードと相関の高い単語を多く含む文書に高いスコアが与えられるため、結果的にキーワードと関連する単語を近傍に多く持つ文書を検索ランキングの上位に表示することが可能となる。また、事前にクエリとして想定され得るキーワードと文書のインデックスを作成しているため、検索時にユーザからのフィードバックを取り入れたり、検索結果を利用した計算を実行する必要がないことから、従来の手法に比べ検索時に迅速に結果を出力することができる。このように本発明は高速で高精度な文書検索ランキングを実現する効果を有する。」
「【0016】
図1は本発明のインデックス作成装置の実施の形態の一例(但し、ここでは文書検索に関わる部分も含む。)を示すもので、本実施の形態のインデックス作成装置は、解析済み文書データベース1と、キーワードデータベース2と、キーワード入力部3と、キーワード同定部4と、近傍単語獲得部5と、単語頻度計測部6と、関連度計算部7と、関連度テーブル8と、文書スコア計算部9と、キーワード文書インデックス10と、文書検索部11とからなる。
【0017】
解析済み文書データベース1は、検索対象文書中の各単語に対し、その単語表記、読み、品詞等の単語情報と、出現した文書中での当該単語の位置を表す位置情報とをそれぞれ付与してなる解析済み検索対象文書の集合を格納している。なお、処理済み検索対象文書は、予め検索対象文書の集合を格納した検索対象文書データベース中の各検索対象文書(自然言語で記述された検索対象文書)に対し、周知の形態素解析処理を行うことによって得られる。」
「【0019】
キーワードデータベース2は、文書の検索に使用する(クエリとして与えられる)キーワードの集合を格納している。ここでのキーワードは1単語または複合語またはフレーズとする。複合語は名詞が連続したものであり、フレーズは内容語だけでなく機能語も含むものとする。キーワードには検索対象文書の集合における単語の出現頻度が高いものを選んでも良いし、既存の固有表現抽出技術により抽出される固有表現を選んでも良い。あるいは文書集合以外の情報源として、利用者が入力した検索キーワードを集計したクエリログなどを用いても良い。
【0020】
キーワード入力部3は、キーワードデータベース2からキーワードを取得してキーワード同定部4に入力する。
続きを表示(全14行)
【0021】
キーワード同定部4は、解析済み文書データベース1に格納されている各解析済み検索対象文書中の単語(形態素)あるいは複数の単語の並びである単語列(形態素列)が、入力されたキーワードと合致するかどうかを比較し、合致した場合はその開始位置及び終了位置の情報を取得して近傍単語獲得部5に出力する。
【0022】(省略)
【0023】
近傍単語獲得部5は、前記キーワードが合致する単語あるいは単語列の開始位置及び終了位置の情報に基づき、解析済み文書データベース1に格納されている各解析済み検索対象文書中から当該キーワードが合致する単語あるいは単語列の位置の近傍に存在する内容語を近傍単語として抽出し、当該キーワードが合致する単語あるいは単語列と対にして関連度テーブル8に格納するとともに、当該キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度をカウント、即ち関連度テーブル8に格納・更新する。この際、共起頻度は当該キーワードが合致する単語あるいは単語列及び近傍単語を検出した解析済み検索対象文書に限定したものと、解析済み検索対象文書の集合全体を対象にしたものとをカウントするものとする。
【0024】
ここで、内容語は、例えば単語に付与されている品詞情報によって予め規定される。内容語の品詞情報としては、例えば図3に示すように「名詞」や「名詞:固有」と指定する。また、内容語として、IDF(inverse document frequency)や残差IDF等の尺度を用いてこれらの値が大きい単語に限定したり、品詞情報と組み合わせて用いても良い。例えば、残差IDFは単語が出現する文書数に対して、文書集合全体の総出現頻度が多いものが大きい値を持ち、重要なキーワードとされている。このような尺度であればこれらに限定しない。さらに、内容語として人名や地名、組織名等の固有表現に限定したり、あるいは単語と組み合わせて用いても良い。固有表現は既存の固有表現抽出技術を用いて抽出することができる。
【0025】(省略)
【0026】
なお、近傍については、キーワードの前後の単語数に限定するものではなく、係り受け解析を行った結果として得られるキーワードと係り受けの関係にある単語としても良いし、キーワードと同一の文節内に含まれる単語としても良い。」
「【0032】
単語頻度計測部6は、解析済み文書データベース1に格納されている全ての解析済み検索対象文書に対して前述したキーワード及び関連度テーブル8に格納された近傍単語による検索を行い、解析済み検索対象文書の集合全体におけるキーワードに対応する単語あるいは単語列の出現頻度及び解析済み検索対象文書の集合全体における近傍単語の出現頻度を計測するとともに、各解析済み検索対象文書の単語数、並びに解析済み検索対象文書の集合全体における全ての単語数を計測し、これらを関連度テーブル8に格納する。
【0033】
関連度計算部7は、関連度テーブル8に格納されている、解析済み検索対象文書の集合全体における前記キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度とともに、解析済み検索対象文書の集合全体における前記キーワードに対応する単語あるいは単語列の出現頻度、近傍単語の出現頻度及び全単語数から、予め指定された計算式に基づいて前記キーワードと近傍単語との関連度を計算する。計算式はキーワードと近傍単語との相関の強さが求められれば良く、例えば相互情報量を求める式であっても良い。計算式の一例を以下に示す。
続きを表示(全47行)
【0034】
[図:0001388739000001.jpg]
【0035】
但し、
Q:キーワード
W:キーワードの近傍単語
C(Q):文書集合におけるキーワードQの出現頻度
C(W):文書集合における近傍単語Wの出現頻度
C(Q、W):文書集合におけるキーワードQと近傍単語Wの共起頻度
N:文書集合における全単語数
である。
【0036】(省略)
【0037】
関連度テーブル8は、キーワードに対応する単語あるいは単語列とその解析済み検索対象文書の集合全体における出現頻度、当該キーワードに対応する単語あるいは単語列の近傍単語とその解析済み検索対象文書の集合全体における出現頻度、キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度(但し、ここでは集合全体を対象にしたもののみを示す。)、前記計算したキーワードと近傍単語との関連度を格納する。
【0038】(省略)
【0039】
文書スコア計算部9は、関連度テーブル8に格納されている、キーワードと近傍単語の関連度を用いて各解析済み検索対象文書における前記キーワードに対する文書スコアを計算し、これをインデックスとしてキーワード文書インデックス10に出力する。文書スコアの計算式は、キーワードと関連の強い近傍単語を多く有する文書に高いスコアが与えられる式であれば良い。近傍や内容語に関する規定は関連度の計算と同じでも良いし異なっても良いが、以下では同じ場合について説明する。
【0040】
例えば、前記相互情報量を用いる場合では、解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について近傍単語との相互情報量の総和の値を求め、さらにキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について得られた値の総和をキーワードに対する検索対象文書の文書スコアとする。また、文書スコアはこの値に対して文書の全単語数や内容語の異なり数等を用いて正規化した値としても良い。文書スコアの計算に用いる内容語は、キーワードとの関連度が高い順に上位から選択するよう制限を設けても良い。
【0041】
キーワードQに対する文書Dの文書スコアの計算式の一例を以下に示す。
【0042】
[図:0001388739000002.jpg]
【0043】
但し、
D:文書
Q:キーワード
Wi:キーワードQと共起する各単語
Co(D、Q、Wi):文書DにおいてキーワードQと共起する単語Wiの共起頻度
ND:文書Dの単語数
である。
【0044】
例えば、前記のキーワード「長谷川隆明」に対する文書「横須賀百貨店の長谷川隆明店長ってほんとにいい人かもね」における文書スコアを求める。キーワード「長谷川隆明」の前後3つの形態素の範囲に存在する品詞が「名詞」や「名詞:固有」である単語を近傍単語とすると、図3に示したように3つの近傍単語が得られ、当該文書におけるそれぞれの共起頻度は1である。キーワード「長谷川隆明」と近傍単語「横須賀」、「百貨店」、「店長」との関連度PMIは、図6に示したようにそれぞれ3.51、3.22、6.21で、文書の単語数13なので、当該キーワードに対する当該文書の文書スコアは式(2)により
Score=(1*3、51+1*3.22+1*6.21)/13
=0.995
と計算される。
【0045】(省略)
【0046】
キーワードデータベース2中の全てのキーワードがキーワード入力部3により順次、取得され、前述したキーワード同定部4、近傍単語獲得部5、単語頻度計測部6、関連度計算部7、文書スコア計算部9における一連の処理が行われて、キーワードデータベース2中の全てのキーワードと解析済み文書データベース中の全ての解析済み検索対象文書の組み合わせに対する文書スコアが計算され、該計算された各キーワードと各解析済み検索対象文書との組み合わせに対応する文書スコアを要素とするインデックスがキーワード文書インデックス10に格納される。
【0047】
図7はキーワード文書インデックスの一例を示すものである。解析済み文書データベース1に格納されている解析済み検索対象文書数がNで、キーワードデータベース2に格納されているキーワード数がMとすれば、文書1から文書Nまでに対しキーワード1からキーワードMまでの文書スコアの行列として格納する。
【0048】
文書検索部11は、キーワード文書インデックス10に格納されている文書スコアに従って検索対象文書のランク付けを行い、ランキングを出力する。例えば、検索時のクエリが一つのキーワードに対しては、そのキーワードに対して格納されている文書スコアが大きい順序となるように検索対象文書をランク付けすれば良い。クエリが複数のキーワードの場合には、各々のキーワードに対する文書スコアの和が大きい順序にランク付けしても良いし、ベクトル空間モデルにおける単語の文書内頻度と単語の文書頻度の逆数を用いる代わりにキーワードの文書スコアとキーワードの文書頻度の逆数を使ってクエリと文書の類似度を計算し、類似度の大きい順序に文書をランク付けしても良い。また、クエリに含まれるキーワードがキーワード文書インデックスに存在しない場合には、そのキーワードについては既存のベクトル空間モデルを適用しても良い。」

[図:0001388739000003.jpg]

[図:0001388739000004.jpg]

[図:0001388739000005.jpg]

[図:0001388739000006.jpg]

2 引用文献1の記載から把握できる事項

上記1の記載から以下のことが言える。

なお、【0040】の記載を文言どおり解釈すると、「解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について近傍単語との相互情報量の総和の値を求め」た後に、さらに「キーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について得られた値の総和」を「キーワードに対する検索対象文書の文書スコア」とすることになり、技術的に不自然であるとともに、【0042】の式(2)とも整合しない。このため、【0040】の下線部は、「相互情報量の総和の値」が、「相互情報量の値」の誤記と解釈でき、誤記であると解釈すると上記式(2)と整合する。

よって、【0040】の「相互情報量の総和の値」を「相互情報量の値」に読み替えて、以下、検討をする。

(1)【0033】には、「関連度計算部7」は、「関連度」を、「予め指定された計算式」に基づき計算することが記載されており、「予め指定された計算式」として「相互情報量」を求める式(1)(【数1】)が例としてあげられている(【0034】、【0035】参照。PMI。)。

[図:0001388739000007.jpg]

(2)【0040】には、「前記相互情報量を用いる場合では、解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について近傍単語との相互情報量の値を求め、さらにキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について得られた値の総和をキーワードに対する検索対象文書の文書スコアとする。」ことが記載されており、【0041】~【0043】には文書スコアの計算式として式(2)(【数2】)が一例として挙げられている。

(3)【0044】には、文書スコアの計算の例が挙げられており、その例と文書スコアの計算式を対応させると、キーワードQである「長谷川隆明」と共起する各単語Wiである「横須賀」、「百貨店」、「店長」に対応する関連度PMIは、図6の「関連度(相互情報量)PMI(Q、W)」を参照すると、それぞれ、3.51、3.22、6.21であることが記載されている。

そして、【0039】には、「文書スコア計算部9は、関連度テーブル8に格納されている、キーワードと近傍単語の関連度を用いて各解析済み検索対象文書における前記キーワードに対する文書スコアを計算し、これをインデックスとしてキーワード文書インデックス10に出力する。」と記載されている。

(4)よって、上記(1)~(3)の【0033】~【0035】、【0039】~【0044】には、「文書スコア計算部は、関連度テーブルに格納されている、キーワードと近傍単語の関連度を用いて各解析済み検索対象文書における前記キーワードに対する文書スコアを計算し、これをインデックスとしてキーワード文書インデックスに出力するものであって、キーワードQに対する検索対象文書Dの文書スコアの計算式の一例として、キーワードと近傍単語の関連度及び検索対象文書DにおいてキーワードQと共起する単語Wiの共起頻度を用いた計算式(【数2】)があげられており、

[図:0001388739000008.jpg]

例えば、解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語(「長谷川隆明」)あるいは単語列の各出現位置について近傍単語(「横須賀」、「百貨店」、「店長」)との相互情報量(PMI:3.51、3.22、6.21)の値を求め、さらにキーワードに対応する単語あるいは単語列の各出現位置について得られた値の総和をキーワードに対する検索対象文書の文書スコア(Score=(1*3、51+1*3.22+1*6.21)/13=0.995)とする」ことが記載されている。

3 引用発明

以上、上記1、2から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

解析済み文書データベースと、キーワードデータベースと、キーワード入力部と、キーワード同定部と、近傍単語獲得部と、単語頻度計測部と、関連度計算部と、関連度テーブルと、文書スコア計算部と、キーワード文書インデックスと、文書検索部とからなるインデックス作成装置であって(段落【0016】)、

解析済み文書データベースは、検索対象文書データベース中の各検索対象文書に対し、形態素解析処理を行うことによって得られた、検索対象文書中の各単語に対する、その単語表記、読み、品詞等の単語情報と、出現した文書中での当該単語の位置を表す位置情報とをそれぞれ付与してなる解析済み検索対象文書の集合を格納しており(段落【0017】)、

キーワードデータベースは、文書の検索に使用する(クエリとして与えられる)キーワードの集合を格納しており(段落【0019】)、

キーワード入力部は、キーワードデータベースからキーワードを取得してキーワード同定部に入力し(段落【0020】)、

キーワード同定部は、解析済み文書データベースに格納されている各解析済み検索対象文書中の単語(形態素)あるいは複数の単語の並びである単語列(形態素列)が、入力されたキーワードに合致する開始位置及び終了位置の情報を取得して近傍単語獲得部に出力し(段落【0021】)、

近傍単語獲得部は、解析済み文書データベースに格納されている各解析済み検索対象文書中から当該キーワードが合致する単語あるいは単語列の位置の近傍に存在する内容語を近傍単語として抽出し、当該キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度をカウントし、関連度テーブルに格納・更新を行い(段落【0023】)、

単語頻度計測部は、解析済み文書データベースに格納されている解析済み検索対象文書の集合全体におけるキーワードに対応する単語あるいは単語列や近傍単語の出現頻度を計測するとともに、各解析済み検索対象文書の単語数、並びに解析済み検索対象文書の集合全体における全ての単語数を計測し、これらを関連度テーブルに格納し(段落【0032】)、

関連度計算部は、関連度テーブルに格納されている、解析済み検索対象文書の集合全体における前記キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度とともに、解析済み検索対象文書の集合全体における前記キーワードに対応する単語あるいは単語列の出現頻度、近傍単語の出現頻度及び全単語数から、予め指定された計算式に基づいて前記キーワードと近傍単語との関連度を計算し、計算式は相互情報量を求める式(【数1】)であっても良く(段落【0033】)、

[図:0001388739000009.jpg]

関連度テーブルは、キーワードに対応する単語あるいは単語列とその解析済み検索対象文書の集合全体における出現頻度、当該キーワードに対応する単語あるいは単語列の近傍単語とその解析済み検索対象文書の集合全体における出現頻度、キーワードが合致する単語あるいは単語列と近傍単語との共起頻度(但し、ここでは集合全体を対象にしたもののみを示す。)、前記計算したキーワードと近傍単語との関連度を格納し(段落【0037】)、

文書スコア計算部は、関連度テーブルに格納されている、キーワードと近傍単語の関連度を用いて各解析済み検索対象文書における前記キーワードに対する文書スコアを計算し、これをインデックスとしてキーワード文書インデックスに出力するものであって、キーワードQに対する検索対象文書Dの文書スコアの計算式の一例として、キーワードと近傍単語の関連度及び検索対象文書DにおいてキーワードQと共起する単語Wiの共起頻度を用いた計算式(【数2】)があげられており、

[図:0001388739000010.jpg]

例えば、解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語(「長谷川隆明」)の各出現位置について近傍単語(「横須賀」、「百貨店」、「店長」)との相互情報量(PMI:3.51、3.22、6.21)の値を求め、さらにキーワードに対応する単語の各出現位置について得られた値の総和をキーワードに対する検索対象文書の文書スコア(Score=(1*3、51+1*3.22+1*6.21)/13=0.995)とし(2(4))、解析済み検索対象文書数がNで、キーワードデータベースに格納されているキーワード数をMとすれば、文書1から文書Nまでに対しキーワード1からキーワードMまでの文書スコアを行列としてキーワード文書インデックスに格納し(段落【0047】、【図7】)、

文書検索部は、キーワード文書インデックスに格納されている文書スコアに従って検索対象文書のランク付けを行うものであって、検索時のユーザが入力したクエリが複数のキーワードの場合には、各々のキーワードに対する文書スコアの和が大きい順序に、検索対象文書のランク付けを行う(段落【0008】、【0048】)、

インデックス作成装置。

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

1(1)本願発明において、「素性」は、検索処理に利用するためにコンテンツから抽出されるものであり、本願明細書には、「素性」について、「実施形態に係る検索装置100は、検索処理に利用するための素性(図1の例では、コンテンツのタイトルが含む単語)をコンテンツから抽出する。」(段落【0048】)、「抽出部132は、検索処理に利用するための素性をコンテンツから抽出する。例えば、抽出部132は、素性として、コンテンツに含まれる単語を抽出する。実施形態では、抽出部132は、コンテンツのタイトルに含まれる単語の中から、クエリになりうる単語を抽出する例を示している。抽出部132は、例えばコンテンツのタイトルを構成するテキストデータを形態素解析する。そして、抽出部132は、形態素解析した単語のうち、過去にクエリとして用いられた回数の多い単語を、当該コンテンツにおけるクエリになりうる単語として抽出する。」(段落【0076】、【0077】)と記載されている。

そうすると、本願発明の「素性」は、検索処理に利用するためにコンテンツから抽出した「単語」を含む概念である。

(2)引用発明の「キーワード同定部」の機能であって、「解析済み文書データベースに格納されている各解析済み検索対象文書中の単語(形態素)あるいは複数の単語の並びである単語列(形態素列)が」、キーワード入力部によって入力された、「キーワードデータベース」から取得された「キーワード」に「合致する開始位置及び終了位置の情報を取得して近傍単語獲得部に出力」する機能は、形態素解析処理を行うことによって得られた検索対象文書データベース中の各検索対象文書の各単語のうち、キーワードデータベースのキーワードと合致する単語を出力するものであるから、引用発明の、形態素解析処理を行うことによって得られた検索対象文書データベース中の各検索対象文書の各単語のうち、キーワードデータベースのキーワードと合致する単語は、検索対象文書から抽出した検索処理に用いる「単語」である。

(3)引用発明の「近傍単語獲得部」は、「解析済み文書データベースに格納されている各解析済み検索対象文書中から」、「キーワード同定部」により、上記(2)で抽出した検索対象文書からキーワードと合致する単語に「近傍に存在する内容語を近傍単語」を抽出する機能を有するものであり、この「近傍単語」も検索処理に用いられるから、引用発明の「近傍単語獲得部」により抽出される「キーワード同定部」により抽出された単語と「近傍に存在する内容語」である「近傍単語」は、検索対象文書から抽出した検索処理に用いる「単語」である。

(4)上記(1)~(3)から、以下のことがいえる。

引用発明の「検索対象文書」は、本願発明の「コンテンツ」に相当することは明らかである。

引用発明の「キーワード同定部」において出力される、検索対象文書データベース中の各検索対象文書の各単語のうち、キーワードデータベースのキーワードと合致する単語、及び、「近傍単語獲得部」において抽出される、「キーワード同定部」から出力された単語と「近傍に存在する内容語」である「近傍単語」は、本願発明の「コンテンツ」から抽出された「検索処理に利用するための素性」に相当する。

よって、引用発明の、検索対象文書データベース中の各検索対象文書の各単語のうち、キーワードデータベースのキーワードと合致する単語を出力する「キーワード同定部」と、「キーワード同定部」により抽出された「キーワードと合致する単語」と近傍に存在する「近傍単語」を抽出する「近傍単語獲得部」とからなるものは、本願発明の「検索処理に利用するための素性をコンテンツから抽出する抽出部」に相当する。

2(1)引用発明の「関連度計算部」が計算する、予め指定された計算式に基づく、文書集合全体のキーワードと近傍単語との「関連度」は、キーワードと単語との共起関係を式(【数1】)に基づいて計算した相互情報量(PMI)であるから、本願発明の「共起関係を数値化」したものに相当する。

(2)引用発明の、「文書スコア計算部」が計算する「解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語(「長谷川隆明」)の各出現位置について近傍単語(「横須賀」、「百貨店」、「店長」)との相互情報量(PMI)の値を求め、さらにキーワードに対応する単語の各出現位置について得られた値の総和とした、キーワードに対する検索対象文書の文書スコア」は、解析済み検索対象文書内のキーワードに対応する単語とその近傍単語との「関連度」を、式(【数1】)により相互情報量の値として計算し、この相互情報量の値を用いて、当該解析済み検索対象文書内の各キーワードに対応する単語に対して式(【数2】)に基づいて計算されたものであるから、本願発明の「数値化された共起関係に基づいて、前記素性ごとに設定される所定の指標値」に相当する。

(3)引用発明の「文書スコア」は、「解析済み検索対象文書数がNで、キーワードデータベースに格納されているキーワード数がMとすれば、文書1から文書Nまでに対しキーワード1からキーワードMまでの文書スコアを行列として格納」されることから、解析済み検索対象文書と関連付けられていることは明らかであり、このような「文書スコア」を格納する「キーワード文書インデックス」は、本願発明の「算出された指標値と前記コンテンツとを対応付けて」格納する「所定の記憶部」に相当する。

(4)上記(1)~(3)から、引用発明の、「キーワード同定部」と「近傍単語獲得部」とが抽出した「キーワードと合致する単語」とその「近傍単語」との共起関係を式(【数1】)に基づいて「関連度」を算出する「関連度計算部」と、「関連度」と解析済み検索対象文書内の各キーワードに対応する単語に対して式(【数2】)に基づいて「文書スコア」を算出して「キーワード文書インデックス」に格納する「文書スコア計算部」とからなるものは、本願発明の「前記抽出部によって前記コンテンツから抽出された素性の組み合わせにおける共起関係を数値化し、数値化された共起関係に基づいて、前記素性ごとに設定される所定の指標値を算出し、算出された指、標値と前記コンテンツとを対応付けて所定の記憶部に格納する算出部」に相当する。

3(1)引用発明の検索時のユーザが入力した「クエリ」は、本願発明の「クエリ」に相当する。また、上記2(2)のとおりであるから、引用発明の検索対象文書の「キーワードに対する文書スコア」は、本願発明のコンテンツの「素性の指標値」に相当する。

(2)引用発明の「文献検索部」は、ユーザが入力した「クエリ」が複数のキーワードの場合には、各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和を求める」処理を行うものである。

ここで、キーワードに対する検索対象文書の「文書スコア」は、「解析済み検索対象文書数がNで、キーワードデータベースに格納されているキーワード数をMとすれば、文書1から文書Nまでに対しキーワード1からキーワードMまでの文書スコアを行列として格納」している「キーワード文書インデックス」から取得されるものであるから、当該「文書スコアの和を求める」処理は、「キーワード文書インデックス」に格納された各「文書スコア」に基づいて、検索対象文書のそれぞれに対する、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに合致する全ての「文書スコア」の和を求めるものである。

このように、引用発明の「文献検索部」は、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワード及びキーワード文書インデックスに格納している各文書スコアを入力とし、「クエリ」の各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和」を求めるものであるから、引用発明のインデックス作成装置が、当該「文書スコアの和」を求めるための手段として、上記の各入力に対して、「クエリ」の各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和」を出力とする、何らかの「文書スコアの和を演算する手段」を有していることは自明である。

(3)上記(2)によると、引用発明の、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和を求める」処理で求められる「文書スコアの和」は、検索対象文書のそれぞれに対する、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに合致する全ての「文書スコア」の和であるから、引用発明のユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和を演算する手段」と、本願発明の「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するような検索モデル」とは、「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するようなスコア演算手段」である点で共通する。

(4)引用発明の、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに対する検索対象文書の「文書スコアの和」は、上記(3)のとおり、検索対象文書のそれぞれに対する、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードに合致する全てのキーワードに対する「文書スコア」の和であって、ユーザの入力に対する結果である点で、本願発明の「マッチングした素性の指標値に基づ」く、「前記コンテンツにおけるマッチングスコア」に相当する。

以上より、引用発明の、ユーザが入力したクエリの各々のキーワードに対して、検索対象文書のキーワードに合致する全てのキーワードに対する「文書スコアの和を演算する手段」と、本願発明の「マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデル」とは、「マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するスコア演算手段」である点で共通する。

(5)上記(1)~(4)から、引用発明のユーザが入力したクエリの各々のキーワードに対して、検索対象文書のキーワードに合致する全てのキーワードに対する文書スコアの和を求める処理を行う「文書スコアの和を演算する手段」と、本願発明の「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するような検索モデルであって、マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデル」とは、「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するようなスコア演算手段であって、マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するスコア演算手段」である点で共通する。

4(1)引用発明の「文書検索部」は、「検索時のユーザが入力したクエリが複数のキーワードの場合」に、ユーザが入力したクエリの各々のキーワードに対する結果として、検索対象文書の「文書スコアの和」を求める処理を実行するものであるから、このときの「ユーザが入力したクエリ」は、本願発明の「ユーザから送信されたクエリ」に相当する。

(2)上記3(2)によると、「文書検索部」は、当該「文書スコアの和」を求める処理を実行するために、「スコアの和を演算する手段」を用いているといえ、また、引用発明の、ユーザが入力したクエリの各々のキーワードに対する結果として求められる検索対象文書の「文書スコアの和」は、本願発明の「マッチングスコア」に相当するものであるから、引用発明の、「文書検索部」は、「各々のキーワードに対する文書スコアの和が大きい順序に、検索対象文書のランク付けを行う」処理を行うものであって、「スコアの和を演算する手段」に、ユーザが入力した「クエリ」の各々のキーワードと、キーワード文書インデックスに格納している文書スコアとを入力し、「文書スコアの和」を出力させ、検索対象文書のランク付けを行うことものであるといえる。

よって、引用発明の、この「文書検索部」は、本願発明の「前記生成部によって生成されたモデルに、ユーザから送信されたクエリと検索対象のコンテンツとを入力し、入力に応じて当該モデルから出力されるマッチングスコアに基づいて、当該クエリに適合するコンテンツを検索する検索部」と、「スコア演算手段に、ユーザから送信されたクエリと検索対象のコンテンツに関する情報とを入力し、入力に応じて当該スコア演算手段から出力されるマッチングスコアに基づいて、当該クエリに適合するコンテンツを検索する検索部」である点で共通する。

(3)また、引用発明の、「文書検索部」が、「文書スコアの和」が大きい順序に検索対象文書のランク付けを行うことは、本願発明の「前記検索部は、前記マッチングスコアに基づいて前記コンテンツにランクを付与する」ことに相当する。

5 引用発明の「インデックス作成装置」は、「文書検索部」を備え、上記1~2のようなインデックス作成だけでなく、上記4で記載したとおり、「文書検索」をも行うから、後述する相違点は別にして、本願発明の「検索装置」に相当する。

6 以上、1~5によると、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。

[一致点]

「検索処理に利用するための素性をコンテンツから抽出する抽出部と、
前記抽出部によって前記コンテンツから抽出された素性の組み合わせにおける共起関係を数値化し、数値化された共起関係に基づいて、前記素性ごとに設定される所定の指標値を算出し、算出された指標値と前記コンテンツとを対応付けて所定の記憶部に格納する算出部と、
前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するようなスコア演算手段であって、マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するスコア演算手段と、
前記スコア演算手段に、ユーザから送信されたクエリと検索対象のコンテンツに関する情報とを入力し、入力に応じて当該スコア演算手段から出力されるマッチングスコアに基づいて、当該クエリに適合するコンテンツを検索する検索部と、
を備え、
前記検索部は、前記マッチングスコアに基づいて前記コンテンツにランクを付与する、
ことを特徴とする検索装置。」

[相違点]

(相違点1)

「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出」し「マッチングした指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを計算する」「スコア演算手段」が、本願発明では「検索モデル」であるのに対し、引用発明は、何らかの「スコアの和を演算する手段」である点。

(相違点2)

本願発明は、「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出するような検索モデルであって、マッチングした素性の指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデルを生成する生成部」を有するのに対し、引用発明は、そのような検索モデルを生成する手段を有していない点。

(相違点3)

「スコア演算手段」に入力する「検索対象のコンテンツに関する情報」が、本願発明では「検索対象のコンテンツ」であるのに対し、引用発明ではキーワード文書インデックスに格納している「検索対象文書の文書スコア」である点。

第6 当審の判断

1 (相違点1)、(相違点2)についての検討

(1)本願発明の「検索モデル」、「生成部」の定義について

ア 相違点の検討に先立ち、本願発明の「検索モデル」、「生成部」の定義について検討する。本願の発明の詳細な説明には以下の記載がある。なお、下線は当審が付したものである。

「【0041】
図2において、ユーザは、オークションサイトを訪問したとする(ステップS10)。そして、ユーザは、「カニ」と「送料込」という2つの単語をクエリとして送信する(ステップS11)すなわち、ユーザは、「カニ」と「送料込」という2つの単語をクエリとして、オークションサイトに出品された出品物を検索する。具体的には、ユーザは、ユーザ端末10に表示されたオークションサイトのウェブページ内の検索窓に「カニ」と「送料込」という単語を入力する。
【0042】
検索装置100は、保持しているコンテンツに対して、予め算出しておいた指標値とクエリとをマッチングさせ、マッチングスコアを算出する(ステップS12)。図1で説明したように、検索装置100は、コンテンツC01に含まれる単語について、既に、「カニ:10、北海道:8、新鮮:5、送料込:0.1」という指標値を算出している。そして、検索装置100は、コンテンツに含まれる単語のうち、クエリに含まれる単語とマッチングした単語に対応付けられた指標値を合計する。この場合、検索装置100は、例えば下記のような検索モデル(下記式(1))を用いてもよい。
続きを表示(全14行)
【0043】
[図:0001388739000011.jpg]
【0044】
上記式(1)において、「q」は「クエリ(query)」を示し、「D」は「ドキュメント(Document、実施形態ではドキュメントとは、検索対象となるコンテンツのことを意味する)」を示し、「t」は「クエリとドキュメント(コンテンツ)に共通して存在する単語(term)」を示し、w(t)は「単語の重み(term weight)」を示し、f(t,D)は「マッチングスコア」を示すものとする。なお、説明を簡略化するため、実施形態ではw(t)は「1」であるものとする。
【0045】
上記式(1)が示すように、検索装置100は、クエリと共通した単語(マッチングした単語)についての指標値を全て加算することにより、クエリとコンテンツのマッチングスコアを算出する。例えば、検索装置100は、コンテンツC01については、「カニ」と「送料込」がマッチングし、そのマッチングスコアは「10+0.1=10.1」であると算出する。また、検索装置100は、コンテンツC02については、「カニ」と「送料込」がマッチングし、そのマッチングスコアは「-3+0.2=-2.8」であると算出する。
【0046】
そして、検索装置100は、マッチングスコアに基づいてコンテンツにランクを付与する(ステップS13)。例えば、検索装置100は、検索対象がコンテンツC01とコンテンツC02である場合、マッチングスコアに基づいて、コンテンツC01に「1」をランク付けし、コンテンツC02に「2」をランク付けする。
【0047】
そして、検索装置100は、ユーザ端末10に対して、ランク順に検索結果を送信する(ステップS14)。すなわち、検索装置100は、検索結果として、コンテンツC01をコンテンツC02よりも優先的にユーザ端末10に送信する。ユーザ端末10は、検索装置100から送信されたコンテンツを検索結果として表示する。なお、ユーザ端末10は、検索結果として表示したコンテンツがユーザからクリックされたことや、クリックされなかったことなどの結果情報を検索装置100に送信するようにしてもよい。かかる情報に基づいて、検索装置100は、さらに指標値算出のための学習処理を繰り返す。」
「【0092】
(生成部137について)
生成部137は、算出部134によって算出された指標値に基づいて、検索対象のコンテンツの中からクエリに適合するコンテンツを検索するためのモデルを生成する。具体的には、生成部137は、上記式(1)で示すように、コンテンツに含まれる単語とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした単語の指標値を総和して指標値を算出するような検索モデルを生成する。
【0093】
なお、上記式(1)で示したモデルは一例であり、生成部137は、コンテンツに含まれる単語とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした単語の指標値に基づいて、コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデルであれば、上記式(1)とは異なるモデルを生成してもよい。」

イ 「検索モデル」について

上記アの記載、特に【0042】の「検索モデル(下記式(1))」や【0093】の「上記式(1)とは異なるモデル」との記載からすると、「検索モデル」は、「式」で示される「コンテンツに含まれる単語とクエリとがマッチングした場合に、マッチングした単語の指標値に基づいて、コンテンツにおけるマッチングスコアを出力するモデル」であり、具体的には

「式(1)」のような「式」が「検索モデル」であると解釈される。

ウ 「生成部」による「モデルを生成」について

上記アの記載によると、「生成部」は、「式(1)で示すよう」な「モデルを生成する」とするのみ(【0092】【0093】)であり、発明の詳細な説明には、「式(1)」のモデルの具体的な生成方法は記載されていない。他方、上記【0041】~【0046】の一連の処理の中で、「式(1)」を用いることが記載されており、上記【0043】の「コンテンツに含まれる単語のうち、クエリに含まれる単語とマッチングした単語に対応付けられた指標値を合計する。」、上記【0045】の「式(1)が示すように、検索装置100は、クエリと共通した単語(マッチングした単語)についての指標値を全て加算することにより、クエリとコンテンツのマッチングスコアを算出する。」との記載を勘案すると、式(1)は、「コンテンツに含まれる単語のうち、クエリに含まれる単語とマッチングした単語に対応付けられた指標値を合計する」、「クエリと共通した単語(マッチングした単語)についての指標値を全て加算することにより、クエリとコンテンツのマッチングスコアを算出する」ものとして定義された式であることは明らかである。

このように、本願の発明の詳細な説明には「モデルを生成」することについて、上記のとおりの記載があるのみであるから、本願発明の「モデルを生成する」とは、モデルを定義することを意味するものと解釈される。

なお、上記【0047】には「検索装置100は、さらに指標値算出のための学習処理を繰り返す。」と記載されているものの、式(1)は上述したとおり定義された式であって、指標値それ自体を算出するものとして定義されたものではないから、【0047】の当該記載は、式(1)の生成することを説明するものではない。

以上の点及び上記イを踏まえると、発明の詳細な説明において、モデルを「生成」することは、「式」であるモデルを「定義」することと同義であると解釈される。

(2)(相違点1)について

上記(1)イ、(1)ウの解釈を踏まえて検討をする。

上記(1)イによると、本願発明の「検索モデル」は「式」を示すものも含まれる。

そして、引用発明における「前記コンテンツに含まれる素性とクエリとがマッチングした素性の指標値を総和して指標値を算出」し「マッチングした指標値に基づいて、前記コンテンツにおけるマッチングスコアを計算する」処理を行うための「スコアの和を演算する手段」を、具体的にどのような手法で実現するかは当業者が適宜選択し得る事項であるから、引用発明における「スコアの和を演算する手段」を、単に「式」によって実現、すなわち、「モデル」によって実現することは当業者であれば適宜なし得たことである。さらに、引用発明は、上記「第4 3」に記載したように、キーワードと近傍単語との関連度や、キーワードに対する文書スコアを、「【数1】」、「【数2】」といった「式」によって計算するものであるから、引用発明の「スコアの和を演算する手段」についてもその実現にあたって「式」を用いるものとすることは、当業者であれば当然なし得たことである。

(3)(相違点2)について

クエリのキーワードと文書に含まれるキーワードとの合致度、すなわち、マッチングスコアを求める際に、クエリのキーワードの重要度などによる重み付けを行ってマッチングスコアを求める式も周知である。そして、引用発明は、単純にマッチングしたキーワードに対するスコアの和をとるものである点で、式を用いており、どのような式を採用するかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。そして、式によりモデルを定義することも周知技術であるから、引用発明において、「モデルを生成する生成部」を設けることは当業者が容易に想到し得た事項である。

2 (相違点3)についての検討

(1)「モデル」に、「検索対象のコンテンツ」を「入力」する点について

ア 相違点の検討に先立ち、請求項1の(相違点2)に係る生成部によって生成された「モデル」に、「検索対象のコンテンツ」を「入力」する点について、検討する。本願の発明の詳細な説明には以下の記載がある。なお、下線は当審が付したものである。

「【0028】
図1の例を用いて、具体的に説明する。図1の例のコンテンツC01について、検索装置100は、クエリになりうる単語として、「カニ」、「北海道」、「新鮮」、「送料込」を抽出している。このとき、検索装置100は、クエリが「カニ」であった場合に、各単語の共起度を示す数値を上記機械学習により算出する。すなわち、検索装置100は、コンテンツC01における「カニ」という単語に対応する指標値を算出するために、〈クエリ「カニ」、単語「カニ」〉、〈クエリ「カニ」、単語「北海道」〉、〈クエリ「カニ」、単語「新鮮」〉、〈クエリ「カニ」、単語「送料込」〉という4つのペアを作成する。そして、検索装置100は、4つ各々のペアに対して、上記機械学習により求められる数値を算出する。そして、検索装置100は、4つ各々のペアの数値を足した数値を、「コンテンツC01における単語「カニ」」の指標値として算出する。」
「【0033】
続いて、コンテンツC02について説明する。図1におけるコンテンツC02について、検索装置100は、クエリになりうる単語として、「カニ」、「ブレーキ」、「チタン」、「送料込」を抽出している。検索装置100は、クエリが「カニ」であった場合に、各単語の共起度を示す数値を上記機械学習により算出する。すなわち、検索装置100は、コンテンツC02における「カニ」という単語に対応する指標値を算出するために、〈クエリ「カニ」、単語「カニ」〉、〈クエリ「カニ」、単語「ブレーキ」〉、〈クエリ「カニ」、単語「チタン」〉、〈クエリ「カニ」、単語「送料込」〉という4つのペアを作成する。そして、検索装置100は、4つ各々のペアに対して、上記機械学習により求められる数値を算出する。そして、検索装置100は、4つ各々のペアの数値を足した数値を、「コンテンツC02における単語「カニ」」の指標値として算出する。」
「【0038】
このように、検索装置100は、出品者から入稿されたコンテンツC01やコンテンツC02に対して、実際の検索処理に先立ち、検索に用いられると想定される単語に対して予め指標値を算出しておく。そして、検索装置100は、算出した指標値と対応付けてコンテンツを所定の記憶部に格納する(ステップS04)。」
「【0042】
検索装置100は、保持しているコンテンツに対して、予め算出しておいた指標値とクエリとをマッチングさせ、マッチングスコアを算出する(ステップS12)。図1で説明したように、検索装置100は、コンテンツC01に含まれる単語について、既に、「カニ:10、北海道:8、新鮮:5、送料込:0.1」という指標値を算出している。そして、検索装置100は、コンテンツに含まれる単語のうち、クエリに含まれる単語とマッチングした単語に対応付けられた指標値を合計する。この場合、検索装置100は、例えば下記のような検索モデル(下記式(1))を用いてもよい。
【0043】
[図:0001388739000012.jpg]
【0044】
上記式(1)において、「q」は「クエリ(query)」を示し、「D」は「ドキュメント(Document、実施形態ではドキュメントとは、検索対象となるコンテンツのことを意味する)」を示し、「t」は「クエリとドキュメント(コンテンツ)に共通して存在する単語(term)」を示し、w(t)は「単語の重み(term weight)」を示し、f(t,D)は「マッチングスコア」を示すものとする。なお、説明を簡略化するため、実施形態ではw(t)は「1」であるものとする。
【0045】
上記式(1)が示すように、検索装置100は、クエリと共通した単語(マッチングした単語)についての指標値を全て加算することにより、クエリとコンテンツのマッチングスコアを算出する。例えば、検索装置100は、コンテンツC01については、「カニ」と「送料込」がマッチングし、そのマッチングスコアは「10+0.1=10.1」であると算出する。また、検索装置100は、コンテンツC02については、「カニ」と「送料込」がマッチングし、そのマッチングスコアは「-3+0.2=-2.8」であると算出する。」
「【0094】
(検索部138について)
検索部138は、算出部134によって算出された所定の指標値に基づいて、ユーザから送信されるクエリに適合するコンテンツを検索する。具体的には、検索部138は、生成部137によって生成されたモデルにユーザから送信されるクエリと検索対象のコンテンツとを入力し、入力に応じてモデルから出力されるマッチングスコアに基づいて、クエリに適合するコンテンツを検索する。」

イ 上記記載によると、発明の詳細な説明には、「Score(q、D)」を算出するにあたり、「クエリとドキュメント(コンテンツ)に共通して存在する単語(term)」の集合である「t」に対して、「f(t,D)」を合計しており、「モデル」である「式(1)」へ、「クエリ」に加えて「f(t,D)」すなわち、クエリであるtのコンテンツであるDの「コンテンツに含まれる単語指標値」を入力することが記載されている。

なお、【0044】には「f(t,D)は「マッチングスコア」を示すものとする」と記載されているが、【0045】のコンテンツC01、02に対するマッチングスコアの算出は、【0028】【0033】のとおり、クエリになりうる単語に対する指標値を算出し、【0038】で、この算出された指標値を記憶しておき、【0042】~【0045】のとおり、コンテンツに含まれる単語のうち、クエリに含まれる単語とマッチングした単語に対応付けられた指標値を合計するから、「f(t,D)」は「コンテンツに含まれる単語の指標値」を指すものであると解釈するのが自然であるし、当該解釈によると、発明の詳細な説明の他の箇所の記載とも矛盾がないから、当審は、「f(t,D)」は「コンテンツに含まれる単語の指標値」を指すものであると解釈した。

このとおりであるから、発明の詳細な説明の、式(1)の結果を得るために、クエリであるtと「f(t,D)」と入力することを、本願発明では「前記生成部によって生成されたモデルに、ユーザから送信されたクエリと検索対象のコンテンツとを入力」とするものであると解釈できる。

(2)(相違点3)について

上記(1)イの解釈を踏まえて検討をすると、引用発明が「スコアの和を演算する手段」へキーワード文書インデックスに格納している検索対象文書の文書スコア、すなわち「コンテンツに含まれる単語の指標値」を入力することと、本願発明が「モデル」へ「検索対象のコンテンツ」を入力することとは、技術的に差異がないものといえるから、(相違点3)は表現上の差異にすぎない。

また、仮に表現上の差異でないとしても、引用発明において、「スコアの和を演算する手段」へキーワード文書インデックスに格納している検索対象文書の文書スコアに代えて、検索対象文書自体を入力するようにすることは当業者が必要に応じて適宜なし得た事項である。

3 作用効果について

上記(相違点1)~(相違点3)により奏する作用効果は、当業者が予測可能なものであり、格別なものではない。

4 小括

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-003080

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  • 2025-007124拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)記憶装置
    共通の審決分類: 121・G06F、537・G06F
  • 2025-005890拒絶査定不服審判 / 2026-07-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示制御装置
    共通の審決分類: 121・G06F、537・G06F
  • 2025-011898拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)セッションベースの情報展示方法およびその装置、機器、並びにコンピュータプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、537・G06F

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