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特許拒絶査定不服審判

2021-002574

遊技機

審判番号
2021-002574
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-147802外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月26日
審決日
2021年12月27日
公報発行日
2022年03月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A63F) / P18 .575-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-147802号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月21日出願公開、特開2019- 25014号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年7月31日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和 2年 3月17日 :手続補正書の提出
令和 2年 6月23日付け:拒絶理由通知
令和 2年 8月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月 2日付け:最後の拒絶理由通知
令和 2年11月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 1月27日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 2月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年 5月25日付け:拒絶理由通知
令和 3年 7月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 8月31日付け:最後の拒絶理由通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)
令和 3年11月 1日 :意見書(以下単に「意見書」という。)、手続補正書の提出

第2 令和3年11月1日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

令和3年11月1日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年7月30日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、

「外枠と、該外枠に開閉可能に設けられる枠本体と、該枠本体に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、を備え、発射手段により発射された遊技球が前記遊技盤の前面側に形成される遊技領域に設けられる受入口に入球したことに基づいて抽選を行い、該抽選が当りになることに基づいて遊技者に利益を付与することができる遊技機であって、
前記遊技機の電源投入を行うことができる電源投入手段と、
前記遊技機に電源が投入されたときに第1条件が成立している場合に、前記抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
前記遊技機の電源遮断後においても各種情報を記憶保持することができる記憶手段と、
続きを表示(全16行)
該記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う情報初期化手段と、
前記設定情報を表示することができる表示手段と、
管理者によって操作可能な管理者操作部と、
を備え、
前記管理者操作部に対する操作として、第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能であり、
前記特別状態発生手段は、前記電源投入手段により前記遊技機の電源投入が行われたときに前記第1信号の出力を特定したことを含む前記第1条件の成立により前記特別状態を発生させ、前記特別状態中に前記第2信号の出力を特定して前記設定情報を決定し、前記設定情報を前記記憶手段のうちの特定領域に記憶保存させることが可能であり、
前記情報初期化手段は、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第1情報初期化手段と、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件は成立していないが該第1条件とは別の第2条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に関係なく前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第2情報初期化手段と、を有し、
前記電源投入手段と前記表示手段と前記管理者操作部とは、前記遊技機の後面側に設けられ、
前記表示手段は、前記特別状態中に前記設定情報を表示可能であるものの、前記記憶手段に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用される、
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「外枠と、該外枠に開閉可能に設けられる枠本体と、該枠本体に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、を備え、発射手段により発射された遊技球が前記遊技盤の前面側に形成される遊技領域に設けられる受入口に入球したことに基づいて抽選を行い、該抽選が当りになることに基づいて遊技者に利益を付与することができる遊技機であって、
前記遊技機の電源投入を行うことができる電源投入手段と、
前記遊技機に電源が投入されたときに第1条件が成立している場合に、前記抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
前記遊技機の電源遮断後においても各種情報を記憶保持することができる記憶手段と、
続きを表示(全18行)
該記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う情報初期化手段と、
前記設定情報を表示することができる表示手段と、
管理者によって操作可能な管理者操作部と、
を備え、
前記管理者操作部は、第1管理者操作部と第2管理者操作部とを有し、
前記第1管理者操作部に対する操作として、第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能であり、
前記特別状態発生手段は、前記電源投入手段により前記遊技機の電源投入が行われたときに前記第1信号の出力を特定したことを含む前記第1条件の成立により前記特別状態を発生させ、前記特別状態中に前記設定情報を決定し、前記設定情報を前記記憶手段のうちの特定領域に記憶保存させることが可能であり、
前記情報初期化手段は、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第1情報初期化手段と、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件は成立していないが前記第2管理者操作部が操作されたことに基づいて前記第1条件とは別の第2条件が成立している場合に、前記特別状態を発生させることなく前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第2情報初期化手段と、を有し、
前記電源投入手段と前記表示手段と前記管理者操作部とは、前記遊技機の後面側に設けられ、
前記表示手段は、前記特別状態中に前記設定情報を表示可能であるものの、前記記憶手段に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用され、
さらに、前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない、
ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について

(1)補正の目的について

ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「管理者操作部」に関し、「前記管理者操作部は、第1管理者操作部と第2管理者操作部とを有し、」と限定するものを含むものである。

イ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能」な「管理者操作部」が「第1管理者操作部」であることに限定するものを含むものである。

ウ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記特別状態中に前記第2信号の出力を特定して前記設定情報を決定し、」に関し、「前記設定情報を決定」することと、「前記第2信号の出力を特定して」との関連が不明であったところ、不要な「前記第2信号の出力を特定して」を削除することにより記載を明瞭としたものを含むものである。

エ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2条件」の「成立」が「前記第2管理者操作部が操作されたことに基づいて」いることに限定するものを含むものである。

オ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2情報初期化処理手段」が「行う」「初期化する処理」が、「前記特別状態の発生に関係なく」行われるものを、「前記特別状態を発生させることなく」行われるものに限定するものを含むものである。

カ 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「設定」に関し、「さらに、前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない、」との限定をするものを含むものである。

キ 上記アないしカからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、不明瞭な記載を正す事項を含むものの、全体として、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0825】、【0830】、【0831】、【0835】、【0873】、【1707】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしMについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

「A 外枠と、該外枠に開閉可能に設けられる枠本体と、該枠本体に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、を備え、発射手段により発射された遊技球が前記遊技盤の前面側に形成される遊技領域に設けられる受入口に入球したことに基づいて抽選を行い、該抽選が当りになることに基づいて遊技者に利益を付与することができる遊技機であって、
B 前記遊技機の電源投入を行うことができる電源投入手段と、
C 前記遊技機に電源が投入されたときに第1条件が成立している場合に、前記抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
D 前記遊技機の電源遮断後においても各種情報を記憶保持することができる記憶手段と、
続きを表示(全18行)
E 該記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う情報初期化手段と、
F 前記設定情報を表示することができる表示手段と、
G 管理者によって操作可能な管理者操作部と、
を備え、
G1 前記管理者操作部は、第1管理者操作部と第2管理者操作部とを有し、
H 前記第1管理者操作部に対する操作として、第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能であり、
I 前記特別状態発生手段は、前記電源投入手段により前記遊技機の電源投入が行われたときに前記第1信号の出力を特定したことを含む前記第1条件の成立により前記特別状態を発生させ、前記特別状態中に前記設定情報を決定し、前記設定情報を前記記憶手段のうちの特定領域に記憶保存させることが可能であり、
J 前記情報初期化手段は、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第1情報初期化手段と、
K 前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件は成立していないが前記第2管理者操作部が操作されたことに基づいて前記第1条件とは別の第2条件が成立している場合に、前記特別状態を発生させることなく前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第2情報初期化手段と、を有し、
L 前記電源投入手段と前記表示手段と前記管理者操作部とは、前記遊技機の後面側に設けられ、
F1 前記表示手段は、前記特別状態中に前記設定情報を表示可能であるものの、前記記憶手段に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用され、
F2 さらに、前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない、
M ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例の記載、引用発明

ア 引用例1

当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-199931号公報(平成15年7月15日公開、以下「引用例1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示状態が変化可能な可変表示装置を備えたパチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に関する。
・・・略・・・
【0008】
【発明が解決しようとする課題】確率設定等の設定に応じて演出制御手段による演出内容が変わるように構成されている場合に、一般に設定スイッチによる設定を認識できるのは遊技制御手段であるから、遊技制御手段は、演出制御手段に対して、設定スイッチによる設定を示す信号を送信する必要がある。しかし、遊技制御手段から演出制御手段に送信される信号が正しく伝達されないと、演出制御手段は演出内容を決定することができなくなるという事態が生じうる。そのような事態が生じたのでは、円滑な遊技演出を行うことができない。
【0009】そこで、本発明は、確率設定等の設定に応じて演出制御手段による演出内容が変わるように構成されている遊技機において、演出制御手段が確実に演出内容を実行することができる遊技機を提供することを目的とする。」
(イ)「【0024】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。
【0025】パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0026】図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0027】遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄(特別図柄)を可変表示する可変表示部を含む表示領域150を有する可変表示装置9が設けられている。表示領域150には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがある。また、可変表示装置9の周囲には、可変表示装置を装飾するための装飾部材(表飾り)が設けられている。
【0028】可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。」
(ウ)「【0036】打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9の表示領域150において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
【0037】特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示態様)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。」
(エ)「【図3】
[図:0001382201000001.jpg]
【図4】
[図:0001382201000002.jpg]
」
(オ)「【0040】図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
・・・略・・・
【0042】さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能な変動データ記憶手段すなわちバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
【0043】また、主基板31には、キーを挿入して所定方向に回転させることによって確率設定を行うことができる確率設定スイッチ925が設けられている。」

(カ)「【0051】また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。」

(キ)「【図8】
[図:0001382201000003.jpg]
」
(ク)「【0073】電源基板910には、遊技機内の各電気部品制御基板や機構部品への電力供給を実行または遮断するための電源スイッチ914が設けられている。トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC-DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC-DCコンバータ913は、1つまたは複数のコンバータIC922(図8では1つのみを示す。)を有し、VSLにもとづいて+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コンバータIC922の入力側には、比較的大容量のコンデンサ923が接続されている。従って、外部からの遊技機に対する電力供給が停止したときに、+30V、+12V、+5V等の直流電圧は、比較的緩やかに低下する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各電気部品制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。
・・・略・・・
【0083】図9は、主基板31に搭載されている設定スイッチ925の操作方法の一例を示す説明図である。設定スイッチ925にキーが挿入されて左方向に回転された状態(図9(a)参照)で電源が投入されると、確率設定の変更を行える状態になる。この状態を「設定」状態または設定モードと呼ぶ。そして、図9(b)に示された状態(中立状態とする。)から右方向に回転された状態(図9(c)参照)にされ、さらに中立状態に戻される(図9(d)参照)と設定状態が変化する。例えば、設定1の状態にあったのならば設定2の状態になる。設定をさらに変更する場合には、再度図9(c)に示す状態にしてから図9(d)に示す状態にする。図9(d)に示す状態で所定時間(例えば5秒)放置されると設定が確定する。確定させるための操作を確定操作と呼ぶ。確定操作がなされたときに、最後の設定状態が、最終的に確定した設定状態になる。
【0084】図10は、主基板31に搭載されているバックアップRAMの格納データの一部を示す説明図である。図10に示すように、バックアップRAMには、例えば、大当り遊技状態中にセットされる大当りフラグや高確率状態になったときにセットされる確変フラグが格納される。また、ランダム1(大当りとするか否かを決定するための乱数)を生成するためのカウンタの更新範囲であるランダム1範囲指定値が格納される。また、いずれの確率設定(この実施の形態では設定1,2,3)が設定されているのかを示す情報もバックアップRAMに格納される。なお、この実施の形態では、全てのRAM領域が電源バックアップされている。
・・・略・・・
【0095】次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力される設定スイッチ925の出力信号の状態を確認する(ステップS7)。設定スイッチ925が設定モードになっていることを確認したらステップS71の確率設定処理を実行した後ステップS13に移行する。従って、遊技店員は、設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機に対する電力供給を開始(電源スイッチ914をオン)することによって、確率設定処理を実行させることができる。
【0096】設定スイッチ925が設定モードになっていなければ、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS8)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、後述するRAMクリア2の処理を実行した後、初期化処理を実行する(ステップS13~ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。例えば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。」
(ケ)「【0107】図14は、ステップS71の確率設定処理を示すフローチャートである。確率設定処理において、CPU56は、まず、RAMクリア処理1を実行する(ステップS150)。次いで、設定選択指定の表示制御コマンドを図柄制御基板80の表示制御手段に送信するために、設定選択指定に対応したコマンド送信テーブルをセットし(ステップS151)、コマンド作成処理をコールする(ステップS152)。そして、設定スイッチ925によって設定値の設定処理が行われる度に、設定された設定値に対応した設定値指定に対応したコマンド送信テーブルをセットし(ステップS154)、コマンド作成処理をコールする(ステップS155)。また、設定スイッチ925によって確定操作がなされると(ステップS156)、設定選択確定指定に対応したコマンド送信テーブルをセットし(ステップS157)、コマンド作成処理をコールする(ステップS158)。また、設定値に対応したランダム1範囲指定値をバックアップRAMに書き込む(ステップS159)。ここで、設定値を示す情報もバックアップRAMの設定値保存領域に書き込んでおく。
【0108】図15は、RAMクリア1処理を示すフローチャートである。RAMクリア1処理では、CPU56は、バックアップRAMの全領域をクリアした後(ステップS161)、最低設定値に対応したランダム1範囲指定値をバックアップRAMに書き込む(ステップS161)。また、最低設定値(この実施の形態では設定3)を示す情報もバックアップRAMの設定値保存領域に書き込んでおく。なお、図14に示されたステップS150においてRAMクリア1処理が実行されるので確率設定処理の最初で最低設定値に対応したランダム1範囲指定値がバックアップRAMに書き込まれるが、その後、ステップS159で設定値に対応したランダム1範囲指定値で上書きされる。
【0109】図16は、クリアスイッチ921がオン状態であったときに実行されるRAMクリア2処理(ステップS72)を示すフローチャートである。RAMクリア2処理では、CPU56は、バックアップRAMのランダム1範囲指定値を除く領域をクリアする(ステップS165)。」

(コ)「【0235】また、上記の各実施の形態では、確率設定操作手段としてキースイッチによる設定スイッチ925を例示したが、確率設定操作手段は、他のタイプの手段であってもよい。例えば、図48(A)に示すように、電源スイッチと兼用したスライドスイッチ925aを用いてもよい。設定値を変更する場合には、スイッチ位置を「切替」に置いた状態で、ボタン925bを設定値に対応した回数だけ押下する。そして、7セグメントLED925cに設定値が表示される。この場合、スライドスイッチ925aは電源基板910に設置される。」

(サ)「【図48】
[図:0001382201000004.jpg]
」

(シ)引用例1の【0040】、【0042】、【0043】、【0073】、【0235】、図3、図4、図8及び図48の記載からみて、電源スイッチ914、クリアスイッチ921、7セグメントLED925c及び設定スイッチ925が遊技機の裏面側に設けられていることは明らかである。

(ス)上記(ア)ないし(シ)からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしmについては本願補正発明の特定事項AないしMに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 縦長の方形状に形成された外枠と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成され、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有し、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられ、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成され、遊技領域7の中央付近には、可変表示装置9が設けられ、可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられ、打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下り、打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、可変表示装置9の表示領域150において特別図柄が可変表示(変動)を始め、停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示態様)であると、大当り遊技状態に移行する、パチンコ遊技機1(【0025】ないし【0028】、【0036】、【0037】)であって、
b 遊技機内の各電気部品制御基板や機構部品への電力供給を実行または遮断するための電源スイッチ914(【0073】)と、
d バックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであるRAM55(【0051】)と、
f 設定値が表示される7セグメントLED925c(【0235】)と、
続きを表示(全12行)
g、g1 遊技機裏面側の主基板31に設けられ、遊技店員が、キーを挿入して所定方向に回転させることによって確率設定を行うことができる確率設定スイッチ925(【0040】、【0043】、【0095】)と、各基板に含まれるバックアップRAMに記憶されたバックアップデータを遊技店員がクリアするクリアスイッチ921(【0042】、【0096】)と、
を備え、
c、h、i 設定スイッチ925にキーが挿入されて左方向に回転された状態で電源が投入されると、確率設定の変更を行える状態、すなわち「設定」状態または設定モードになり、中立状態から右方向に回転された状態にされ、さらに中立状態に戻されると設定状態が変化し、中立状態で所定時間(例えば5秒)放置されると設定が確定するものであり、確定させるための操作を確定操作と呼び、確定操作がなされたときに、最後の設定状態が、最終的に確定した設定状態になり、いずれの確率設定(設定1,2,3)が設定されているのかを示す情報をバックアップRAMに格納し(【0083】、【0084】)、
e バックアップRAMの全領域をクリアした後に最低設定値に対応したランダム1範囲指定値をバックアップRAMに書き込むRAMクリア処理1と、バックアップRAMの設定値に対応したランダム1範囲指定値を除く領域をクリアするRAMクリア処理2とを実行可能とし(【0108】、【0109】)、
j 遊技店員が設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機に対する電力供給を開始(電源スイッチ914をオン)することによって、確率設定処理を実行し、確率設定処理において、RAMクリア処理1を実行し(【0095】、【0107】)、
k 設定スイッチ925が設定モードになっていなければ、クリアスイッチ921の出力信号を検出した場合には、RAMクリア処理2を実行し(【0096】)、
l 前記電源スイッチ914、前記クリアスイッチ921、前記7セグメントLED925c及び前記設定スイッチ925は、遊技機の裏面側に設けられている(上記(シ))、
m パチンコ遊技機1(【0025】)。」(以下「引用発明」という。)

イ 引用例2

当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-346276号公報(平成18年12月28日公開、以下「引用例2」という。)には、弾球遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0026】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例である弾球遊技機1の全体の構成について説明する。図1は弾球遊技機1を正面からみた正面図である。なお、ここでは、遊技機の一例として弾球遊技機(パチンコ機)を示すが、本発明は弾球遊技機に限られず、例えば、画像式の遊技機、コイン遊技機、及び、スロット機、等であってもよい。」
(イ)「【0086】
次いで、CPU56は、設定スイッチ90を操作したことにもとづく操作信号が入力されているかを1回だけ確認する(ステップS7)。その確認において、ONを検出した場合には、CPU56は後述する初期設定処理(ステップS13)を実行する。なお、初期設定処理(ステップS13)では、上述した設定スイッチ90の操作に応じて弾球遊技機1における確率の設定値を変更する設定変更処理も実行される。
【0087】
そして、CPU56は、入力ポート1を介して入力されるクリアスイッチ65の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS8)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、設定スイッチ90がONになったか、すなわち、設定スイッチ90からの操作信号が入力されているかを確認し(ステップS12)、設定スイッチ90からの操作信号が入力されていれば初期設定処理を実行する(ステップS13)。なお、クリアスイッチ65がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート1では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。また、例えば、遊技店員は、クリアスイッチ65をオン状態にしながら弾球遊技機1に対する電力供給を開始する(例えば電源スイッチをオンする)ことによって、容易に初期設定処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。」
(ウ)「【0099】
図7は、図5に示すメイン処理のステップS13で実行される初期設定処理を示すフローチャートである。初期設定処理において、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS111)。なお、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータや確率設定(設定値)値等)をそのままにしてもよい。例えば、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータをそのままにした場合には、不正な手段によって初期設定処理が実行される状態になったとしても、大当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値が大当り判定値に一致するタイミングを狙うことは困難である。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS112)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS113)。ステップS112およびステップS113の処理によって、例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。」

(エ)上記(ア)ないし(ウ)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている。

「設定スイッチ90を操作したことにもとづく操作信号が入力されているかを確認し、ONを検出した場合には、初期設定処理を実行し、クリアスイッチ65の出力信号の状態を確認し、オンを検出した場合には、設定スイッチ90からの操作信号が入力されていれば初期設定処理を実行し(【0086】、【0087】)、初期設定処理において、RAMクリア処理を行い、該RAMクリア処理では、RAM55の全領域を初期化せず、確率設定(設定値)値をそのままにする(【0099】)、弾球遊技機1(【0026】)。」(以下「引用例2記載の技術事項」という。)

ウ 引用例3

当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-22221号公報(平成25年2月4日公開、以下「引用例3」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0240】
<11-1.設定変更の設定と表示)
図27に示すように、遊技盤53の裏面側には、裏カバー73に、設定基板80が格納された設定基板ケース79が着脱自在に装着されている。設定基板80には、キー操作によりON/OFFの切り替えが可能な設定キースイッチ81、押しボタン式その他のリセットスイッチ82、設定値を表示する7セグメント式その他の設定値表示器83が設けられている。」
(イ)「【0271】
チェックサム値が一致しないときは、ROM異常エラーを示すエラーコードを設定し、当該エラーコードをエラーコード表示部(設定値表示器83)に表示すると共に、エラーコードを送信してチェックサム値が一致しない旨を液晶表示する(ステップS75)。そして遊技停止コマンドを演出制御部24等に送信して遊技の進行を停止させる(ステップS76)。その後、いずれの処理も行わないループ処理に移行する。」
(ウ)「【0273】
(11-4-2.設定変更処理:図32)
この設定変更処理では、図32に詳細を示すように、まずRAM203の設定値記憶領域以外のRAM領域がクリアされ(ステップS31)、演出制御部24側に設定変更中コマンドが送信され、また払出制御基板29側に発射禁止コマンドが送信される(ステップS32、S33)と共に、RAM203の設定値記憶領域から一時領域に読み出された電源遮断前の設定値が設定値表示器83に表示される(ステップS36)。
【0274】
演出制御部24側に設定変更中コマンドが送信されると、設定演出表示手段である液晶表示装置36に「設定変更中」等のメッセージによる報知画像が表示され、これにより設定変更中である旨が報知される。また、払出制御基板29側に発射禁止コマンドが送信されると、この払出制御基板29により、発射制御基板28に対する発射制御信号がONからOFFに切り替えられる。これにより発射装置32の動作が停止され、発射操作ハンドル65を操作しても遊技球を発射することができなくなる。なお、電源投入時に発射制御信号がOFFの状態で払出制御基板29が起動されるように構成されている場合にはステップS33の処理は不要である。
【0275】
その後は、入賞検出スイッチである特別図柄始動口センサ34a、35aの一つがONになるか(ステップS37)、または設定キースイッチ81がOFFになるまで(ステップS38)、リセットスイッチ82がON操作される毎に設定値に1が加算され(ステップS39、S40)、それに応じて設定値表示器83への設定値の表示も更新される(ステップS36)。そして、加算により設定値が3より大となる場合には設定値が1に戻される(ステップS34、S35)。すなわち、設定値表示器83に表示される設定値は、リセットスイッチ82が操作される毎に1→2→3→1→2→のように1~3の範囲で循環するように切り替えられる。
【0276】
そして、ある時点で、たとえば特別図柄始動口34または35に遊技球が投入されて特別図柄始動口センサ34aまたは35aがONになると(ステップS37:ON)、そのときに設定値表示器83に表示されている設定値が、変更後設定値として、RAM203の設定値記憶領域に格納されて確定される(ステップS41)と共に、設定値表示器83の表示が、設定値の後に「.(ドット)」が付加された確定表示に切り替えられる(ステップS42)。これにより、CPU201の内蔵レジスタには電源遮断前の設定値が変更前設定値として記憶され、RAM203の設定値記憶領域にはこの設定変更処理による変更後設定値が記憶された状態となる。」

(エ)上記(ア)ないし(ウ)からみて、引用例3には、次の事項が記載されている。

「設定変更処理において設定値を表示する7セグメント式その他の設定値表示器83に、エラーコードも表示可能な遊技機。」(以下「引用例3記載の技術事項」という。)

エ 引用例4

当審拒絶理由で引用例4として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2006-81673号公報(平成18年3月30日公開、以下「引用例4」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0067】
ステップS303では、設定値表示器(図示省略)にエラーの表示を行うと共に、スロットマシン100の動作を一時停止する。」
(イ)「【0074】
ステップS401では、現在の設定値を設定値表示器に表示する。」

(ウ)上記(ア)及び(イ)からみて、引用例4には、次の事項が記載されている。

「設定値を表示する設定値表示器に、エラーの表示も行うことが可能であるスロットマシン100。」(以下「引用例4記載の技術事項」という。)

(3)周知例、周知技術

ア 周知例1

本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2005-95334号公報(平成17年4月14日公開、以下「周知例1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0042】
図3は、本実施形態における遊技機10の背面側を示す概観図である。図3に示すように、遊技機10の背面側には、バックアップクリアスイッチ17と、電源スイッチ18と、設定切替装置19とが具備されている。
【0043】
バックアップクリアスイッチ17は、後述するメインRAM33に記憶されている前回電源断となったときのデータを初期化するためのスイッチである。また、電源スイッチ18は、遊技機10に電源を投入するためのスイッチである。なお、バックアップクリアスイッチ17が押下されている状態で、電源スイッチ18がオンにされると、後述するメインRAM33に記憶されている前回電源断となったときのデータは初期化される。」
(イ)「【0137】
次に、本実施形態におけるメイン処理について、図面を参照しながら説明する。図6(b)に示すように、ステップ10において、メインCPU31は、遊技機10における各種設定を、前回電源断となったときの設定に復帰するか、若しくは初期化する。
【0138】
ステップ20において、メインCPU31は、確率設定処理を行う。具体的には、メインCPU31は、バックアップクリアスイッチ17が押下され、設定キー21が設定切替装置19に挿入されているときに、設定キー21によって切り替えられた確率設定値を確率設定フラグにセットする。なお、確率設定フラグには、設定キー21が設定切替装置19から引き抜かれた際の確率設定値がセットされる。」

イ 周知例2

本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007-117253号公報(平成19年5月17日公開、以下「周知例2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0030】
パチンコ機1の背面側には、同図に示すように、バックアップクリアスイッチ69s、電源スイッチ91sおよび設定切替装置70がそれぞれ設けられている。電源スイッチ91sは、パチンコ機1に電源を投入するためのスイッチであり、後述する電源回路91(図7参照)に接続されている。また、バックアップクリアスイッチ69sは、後述する主制御基板30(図7参照)の主制御回路を構成するメインRAM34、および、枠制御基板60(図7参照)の払出・発射制御回路を構成する図示しないRAMの電源断前のバックアップ内容を初期化するスイッチである。」
(イ)「【0050】
パチンコ機1の電源が投入されると、まず始めに、メインCPU31の動作の初期化処理が行われる(図9,ステップ(以下Sと記す)1参照)。この初期化処理では、メインRAM34のアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域の初期化等の処理が実行される。続いて、メインCPU31は、確率設定処理を行う(S2)。確率設定処理では、バックアップクリアスイッチ69sが押下され、設定切替装置70に挿入された設定キー71の回動操作によって切り替えられた設定値(“1”~“6”)が、確率設定フラグにセットされる。なお、確率設定フラグに設定値が設定されるタイミングは、設定キー71が設定切替装置70から引き抜かれたときである。続いて、メインCPU31は、確率設定値表示処理を行う(S3)。確率設定値表示処理では、S2でセットされた設定値が7セグ表示部などに表示される。」

ウ 周知例3

本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007-275392号公報(平成19年10月25日公開、以下「周知例3」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。」
(イ)「【0092】
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ123は、スロットマシン10のエラー状態をクリアするためのスイッチである。また、設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。本スロットマシン10には、「設定1」から「設定6」まで6段階の設定値が予め用意されている。なお、リセットスイッチ123は、エラー状態をクリアする場合のほか、スロットマシン10の当選確率を変更する場合にも操作される。」
(ウ)「【0121】
図14は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
【0122】
先ずステップS401では、初期化処理として、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
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【0123】
これらの初期化処理が終了すると、ステップS402では設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されてON操作されているか否か、より詳しくは設定キー検出センサ124aからON信号を受信しているか否かを判定する。設定キーのON操作がなされている場合にはステップS403に進み、ステップS403~ステップS405のデータクリア処理を実行する。すなわち、ステップS403にて電源スイッチ122のON操作に際してリセットスイッチ123が操作されているか否か、より詳しくはリセット検出センサ123aからON信号を受信しているか否かを判定する。リセットスイッチ123が操作されていない場合にはステップS404に進み、一部RAMクリア処理を実行する。
【0124】
一部RAMクリア処理では、バックアップエリア157における保護エリア159に記憶されたデータを除いてRAM153に記憶されたデータをクリアする。つまり、一部RAMクリア処理では、バックアップ用の設定値格納エリア158に記憶された設定値のデータはクリアするが、バックアップ用のRT1フラグ格納エリア159a、RT2フラグ格納エリア159b、残RTカウンタエリア159cに記憶されたRTゲームに関するデータ(RT1フラグ、RT2フラグ、残RTカウンタ155の値)はクリアしない。
【0125】
ステップS403にてリセットスイッチ123が操作されていると判定された場合には、ステップS405に進み、全RAMクリア処理を実行する。全RAMクリア処理では、バックアップエリア157における保護エリア159に記憶されたデータを含めてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。以上のように、一部RAMクリア処理と全RAMクリア処理とを設定することにより、設定値変更に際してRTゲームを実行する上で使用されるデータが強制的にクリアされないようにすることができるとともに、必要に応じてかかるデータのクリアをすることができる。
【0126】
データクリア処理を実行した後、ステップS406では当選確率設定処理を行う。ここで、当選確率設定処理について図15を用いて説明する。スロットマシン10には、上記の通り、「設定1」から「設定6」まで6段階の当選確率(設定値)が予め用意されており、当選確率設定処理とは、いずれの当選確率に基づいて内部処理を実行させるのかを設定するための処理である。
【0127】
ステップS501ではレジスタ復帰処理を実行する。但し、ステップS405にて全RAMクリア処理が実行されていた場合にはバックアップエリア157に退避されているデータがないため、レジスタ復帰処理は実行されない。一方、ステップS405にて全RAMクリア処理が実行されていない場合には、かかるレジスタ復帰処理において上述したとおりバックアップ用の各エリア158,159a,159b,159cに記憶されたデータを通常用の各エリア156a,156b,156c及び残RTカウンタ155に復帰させる。
【0128】
次に、ステップS502では設定キーが挿入されてON操作されているか否かを判定し、ON操作されていない場合にはそのまま本処理を終了する。ON操作されている場合には、ステップS503にて次回のタイマ割込みを許可する。その後、ステップS504にて現在の設定値を読み込むと共に、ステップS505では現在の設定値をクレジット表示部35に表示する。但し、設定キーが挿入されてON操作された直後の処理では、先のデータクリア処理により設定値のデータがクリアされているため、クレジット表示部35に表示される設定値は「1」である。
【0129】
ステップS506ではスタートレバー71が操作されたか否かを判定し、操作されていない場合にはステップS507~ステップS508に示す設定更新処理を行う。ステップS507では、リセットスイッチ123が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ123が操作されていない場合にはそのままステップS505に戻り、操作された場合にはステップS508にて設定値を1更新した後にステップS505に戻る。つまり、設定更新処理では、リセットスイッチ123が操作される毎に設定値が1更新され、更新された設定値がクレジット表示部35に表示される。なお、設定値が「6」のときにリセットスイッチ123が操作された場合、設定値は「1」に更新される。
【0130】
ステップS506にてスタートレバー71が操作された場合には、ステップS509にて設定キーのON操作が継続してなされているか否かを判定する。設定キーのON操作が継続してなされている場合にはそのまま待機し、ON操作が終了された場合にはステップS510にて次回のタイマ割込みを禁止する。その後、ステップS511にて設定値を保存して本処理を終了する。」
(エ)「【0214】
リセットスイッチ123を設け、電源スイッチ122のON操作に際してリセットスイッチ123を操作することでRAM153に記憶されたデータを全てクリアするようにした。つまり、上記操作を行うことでRAM153の各RTゲームに関するデータもクリアされる。これにより、設定値変更に際して各RTゲームに関するデータがクリアされないようにした構成において、ホール管理者等は所望のタイミングで当該各RTゲームに関するデータをクリアすることができる。
【0215】
当選確率設定処理(図15参照)においては、リセットスイッチ123が操作されることにより設定値を更新するようにした。つまり、リセットスイッチ123に設定を順次変更する機能が兼用され、構成の簡素化を図ることができる。」

エ 上記アないしウからみて、以下の事項が本願の出願前に周知であると認められる。

「主制御基板のRAMを初期化するバックアップクリアスイッチと、確率設定に用いる設定キーと、を備え、バックアップクリアスイッチと設定キーとを操作することにより、確率設定値をセットする、パチンコ機。」(以下「周知技術」という。)

(4)対比

本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項Aについて

引用発明の「外枠」、「外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠」、「打球発射装置」、「遊技領域7」、「始動入賞口14」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の「外枠」、「該外枠に開閉可能に設けられる枠本体」、「発射手段」、「遊技領域」、「受入口」及び「遊技機」に相当する。

また、引用発明の「遊技盤6」は、遊技枠(枠本体)に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2の背面に着脱可能に取り付けられているから、本願補正発明の「該枠本体に着脱可能に取り付けられる遊技盤」に相当する。

また、引用発明のaにおいて、打球発射装置(発射手段)から発射された遊技球は、始動入賞口14(受入口)に入ると、可変表示装置9の表示領域150において特別図柄が可変表示(変動)を始め、停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄であると、大当り遊技状態に移行する(遊技者に利益を付与)のであり、、停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄であるか否かが始動入賞口14(受入口)に遊技球が入ることに基づいた抽選を経たものであることは技術常識であるから、引用発明のaは、本願補正発明の特定事項Aのうち、「発射手段により発射された遊技球が前記遊技盤の前面側に形成される遊技領域に設けられる受入口に入球したことに基づいて抽選を行い、該抽選が当りになることに基づいて遊技者に利益を付与することができる」との特定事項を備える。

また、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

してみると、引用発明のaは、本願補正発明の特定事項Aに相当する。

イ 特定事項Bについて

引用発明の「b 遊技機内の各電気部品制御基板や機構部品への電力供給を実行または遮断するための電源スイッチ914」は、本願補正発明の「B 前記遊技機の電源投入を行うことができる電源投入手段」に相当する。

ウ 特定事項Cについて

引用発明のc、h、jの「確率設定の変更を行える状態、すなわち「設定」状態または設定モード」は、本願補正発明の「抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態」に相当する。

また、引用発明のc、h、iにおいて、設定スイッチ925にキーが挿入されて左方向に回転された状態で電源が投入されるという条件を満たすと、確率設定の変更を行える状態、すなわち「設定」状態または設定モード(特別状態)になるのであるから、引用発明の「設定スイッチ925にキーが挿入されて左方向に回転された状態で電源が投入されるという条件」は、本願補正発明の「第1条件」に相当する。

そうすると、引用発明のc、h、iは、本願補正発明の「C 前記遊技機に電源が投入されたときに第1条件が成立している場合に、前記抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態を発生させる特別状態発生手段」を備える。

エ 特定事項Dについて

引用発明の「d バックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであるRAM55」は、本願補正発明の「D 前記遊技機の電源遮断後においても各種情報を記憶保持することができる記憶手段」に相当する。

オ 特定事項Eについて

引用発明のeは、RAMクリア処理1とRAMクリア2処理とを実行可能としているものであるから、引用発明のeは、本願補正発明の「E 該記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う情報初期化手段」を備える。

カ 特定事項Fについて

引用発明の「f 設定値が表示される7セグメントLED925c」は、本願補正発明の「F 前記設定情報を表示することができる表示手段」に相当する。

キ 特定事項G、G1について

引用発明のg、g1の「確率設定スイッチ925」及び「クリアスイッチ921」は、いずれも遊技店員が操作するものであり、確率設定とバックアップデータをクリアするものであるから、それぞれ本願補正発明の「第1管理者操作部」及び「第2管理者操作部」に相当し、引用発明のgの「確率設定スイッチ925」及び「クリアスイッチ921」をまとめて称したものが、本願補正発明の「管理者によって操作可能な管理者操作部」に相当する。

引用発明のg、g1は、本願補正発明の特定事項G、G1を備える。

ク 特定事項H及びIについて

引用発明のc、h、iにおいて、設定スイッチ925(第1管理者操作部)を中立状態から右方向に回転した状態にし、さらに中立状態に戻すと設定状態が変化し、中立状態で所定時間(例えば5秒)放置されると設定が確定するものであり、確定させるための操作を確定操作(本願補正発明の「第2操作」に相当)と呼び、確定操作がなされたときに、最後の設定状態が、最終的に確定した設定状態になり、いずれの確率設定(設定1,2,3)が設定されているのかを示す情報をバックアップRAM(記憶手段)に格納するものである。引用発明のc、h、iの確率設定処理は、引用発明のjで示されるように、遊技店員が設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機に対する電力供給を開始(電源スイッチ914をオン)することによって、実行されるものである。また、各操作(第1操作、第2操作)に対応した信号がそれぞれ出力可能な状態であることは技術常識からみて明らかである。

そうすると、引用発明のc、h、iは、本願補正発明の「H 前記第1管理者操作部に対する操作として、第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能であり、」及び「I 前記特別状態発生手段は、前記電源投入手段により前記遊技機の電源投入が行われたときに前記第1信号の出力を特定したことを含む前記第1条件の成立により前記特別状態を発生させ、前記特別状態中に前記設定情報を決定し、前記設定情報を前記記憶手段のうちの特定領域に記憶保存させることが可能であり、」との特定事項を備える。

ケ 特定事項Jについて

引用発明のjにおいて、遊技店員が設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機の電源スイッチ914をオンすることによって、確率設定処理を実行するとともに、バックアップRAMの全領域をクリアするRAMクリア処理1を実行するものである。

そうすると、引用発明のjと、本願補正発明の特定事項Jとは、「前記情報初期化手段は、前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段」「に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第1情報初期化手段」を備える点で一致する。

コ 特定事項Kについて

引用発明のkにおいて、設定スイッチ925が設定モードになっていなければ、クリアスイッチ921(第2管理者操作部)の出力信号を検出した場合には、バックアップRAMの設定値に対応したランダム1範囲指定値(本願補正発明の「特定領域」に相当)を除く領域をクリアするRAMクリア処理2を実行する。該RAMクリア処理2は、設定モード(特別状態)の発生を条件として実行されるわけではないから、「特別状態を発生させることなく」実行されるといえる。

そうすると、引用発明のkは、本願補正発明の「K 前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件は成立していないが前記第2管理者操作部が操作されたことに基づいて前記第1条件とは別の第2条件が成立している場合に、前記特別状態を発生させることなく前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第2情報初期化手段」を備える。

サ 特定事項Lについて

引用発明のlにおいて、電源スイッチ914(電源投入手段)、クリアスイッチ921(第2管理者操作部)、7セグメントLED925c(表示手段)及び設定スイッチ925(第1管理者操作部)は、遊技機の裏面側(後面側)に設けられているから、引用発明のlは、本願補正発明の「L 前記電源投入手段と前記表示手段と前記管理者操作部とは、前記遊技機の後面側に設けられ、」との特定事項を備える。

シ 特定事項Mについて

引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、本願補正発明の特定事項Mを備える。

ス 上記アないしシからみて、本願補正発明と引用発明とは、

「A 外枠と、該外枠に開閉可能に設けられる枠本体と、該枠本体に着脱可能に取り付けられる遊技盤と、を備え、発射手段により発射された遊技球が前記遊技盤の前面側に形成される遊技領域に設けられる受入口に入球したことに基づいて抽選を行い、該抽選が当りになることに基づいて遊技者に利益を付与することができる遊技機であって、
B 前記遊技機の電源投入を行うことができる電源投入手段と、
C 前記遊技機に電源が投入されたときに第1条件が成立している場合に、前記抽選における当選確率に関する設定情報を決定可能な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
D 前記遊技機の電源遮断後においても各種情報を記憶保持することができる記憶手段と、
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E 該記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う情報初期化手段と、
F 前記設定情報を表示することができる表示手段と、
G 管理者によって操作可能な管理者操作部と、
を備え、
G1 前記管理者操作部は、第1管理者操作部と第2管理者操作部とを有し、
H 前記第1管理者操作部に対する操作として、第1信号を出力可能な状態となる第1操作と、第2信号を出力可能な状態となる第2操作とを行うことが可能であり、
I 前記特別状態発生手段は、前記電源投入手段により前記遊技機の電源投入が行われたときに前記第1信号の出力を特定したことを含む前記第1条件の成立により前記特別状態を発生させ、前記特別状態中に前記設定情報を決定し、前記設定情報を前記記憶手段のうちの特定領域に記憶保存させることが可能であり、
J’前記情報初期化手段は、
前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第1情報初期化手段と、
K 前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件は成立していないが前記第2管理者操作部が操作されたことに基づいて前記第1条件とは別の第2条件が成立している場合に、前記特別状態を発生させることなく前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う第2情報初期化手段と、を有し、
L 前記電源投入手段と前記表示手段と前記管理者操作部とは、前記遊技機の後面側に設けられる、
M 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項J)

「第1情報初期化手段」は、

本願補正発明では、「前記遊技機に電源が投入されたときに前記第1条件が成立している場合に、前記特別状態の発生に伴い前記記憶手段の前記特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化する処理を行う」のに対し、

引用発明では、設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機の電源スイッチ914をオンすることによって、確率設定処理を実行させ、確率設定処理(特別状態)において、バックアップRAMの全領域をクリアするRAMクリア処理1を実行するものであり、本願補正発明のように、バックアップRAM(記憶手段)をクリア(初期化する処理)する際に特定領域を除くものではない点。

・相違点2(特定事項F1)

「表示手段」に関し、

本願補正発明では、「前記表示手段は、前記特別状態中に前記設定情報を表示可能であるものの、前記記憶手段に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用される」のに対し、

引用発明では、7セグメントLED925c(表示手段)が設定値を表示するものの、RAM(記憶手段)に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用されるものではない点。

・相違点3(特定事項F2)

「当選確率に関する設定情報」に関し、

本願補正発明では、「前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない」のに対し、

引用発明では、設定スイッチ925(第1管理者操作部)の操作により確定した設定状態となるが、設定スイッチ925(第1管理者操作部)の操作に加えて、クリアスイッチ921(第2管理者操作部)の操作を要するものではない点。

(5)判断

ア 上記相違点1について検討する。

(ア)引用例2記載の技術事項は、弾球遊技機1において、設定スイッチ90を操作したことにもとづく操作信号が入力されているかを確認し、ONを検出した場合には、初期設定処理を実行し、クリアスイッチ65の出力信号の状態を確認し、オンを検出した場合には、設定スイッチ90からの操作信号が入力されていれば初期設定処理を実行し、初期設定処理において、RAMクリア処理を行い、該RAMクリア処理では、RAM55の全領域を初期化せず、確率設定(設定値)値をそのままにするというものである。

引用例2記載の技術事項は、設定スイッチ90の操作に基づくRAMクリア処理では、RAM55の全領域を初期化せず、確率設定(設定値)値をそのままにする、すなわち、記憶手段の特定領域を除く他の領域に記憶保持される情報を初期化するのであるから、本願補正発明の特定事項Jを備えるといえる。

(イ)引用発明と引用例2記載の技術事項とは、電源投入の際に設定値を決定するとともにRAMを初期化する遊技機である点で共通し、意図せず設定値を消去する等して、想定していない設定値とならないようにするという課題を内在する点でも共通することが明らかであるから、当業者であれば引用発明に引用例2記載の技術事項を適用することは適宜なし得ることである。

具体的に検討すると、引用発明において、確率設定処理(特別状態)において実行されるRAMクリア処理1は、バックアップRAMの全領域をクリアした後に最低設定値に対応したランダム1範囲指定値をバックアップRAMに書き込むものであり、クリアスイッチ921の出力信号を検出した場合に実行されるRAMクリア処理2は、バックアップRAMの設定値に対応したランダム1範囲指定値(特定領域)を除く領域をクリアするものである。

そうすると、引用発明の確率設定処理におけるRAMクリア処理1においても、RAMクリア処理2と同様に、RAMにおける設定値が記憶されている領域を除いてクリアするようになすことは当業者が適宜なし得ることであるとともに、さらに引用例2記載の技術事項を引用発明のRAMクリア処理1に適用し、設定値が記憶されている領域を除いてクリアするようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは当業者が引用例2記載の技術事項に基づいて適宜なし得たことである。

イ 上記相違点2について検討する。

(ア)引用例3記載の技術事項は、遊技機において、設定変更処理において設定値を表示する7セグメント式その他の設定値表示器83に、エラーコードも表示可能とするものである。

(イ)引用例4記載の技術事項は、遊技機において、設定変更処理において設定値を表示する設定値表示器に、エラーの表示も行うことが可能であるというものである。

(ウ)上記(ア)及び(イ)からみて、引用例3及び4記載の技術事項は、本願補正発明の特定事項F1のうち、「前記表示手段は、前記特別状態中に前記設定情報を表示可能であるものの、」「異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用される」との特定事項を備えるといえる。

(エ)引用発明と引用例3及び4記載の技術事項とは、設定値を表示する設定値表示器を備える遊技機である点で共通し、異常を生じる可能性があるという課題を内在する点でも共通することが明らかであるから、引用発明、引用例3及び4記載の技術事項に接した当業者であれば、引用発明において、引用例3及び4記載の技術事項を適用し、設定値を表示する7セグメントLED925c(表示手段)で、RAM(記憶手段)に記憶保持される情報に異常がある場合には、該異常を示す異常情報を表示する部位として兼用させるようにすること、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が引用例3及び4記載の技術事項に基づいて容易になし得たことである。

ウ 上記相違点3について検討する。

(ア)上記(3)エで示したとおり、パチンコ機において、主制御基板のRAMを初期化するバックアップクリアスイッチと、確率設定に用いる設定キーと、を備え、バックアップスイッチと設定キーとを操作することにより、確率設定値をセットすることは周知技術である。

(イ)周知技術の「設定キー」及び「バックアップクリアスイッチ」は、それぞれ本願補正発明の「第1管理者操作部」及び「第2管理者操作部」に相当する。

そして、周知技術は、バックアップスイッチ(第2管理者操作部)と設定キー(第1管理者操作部)とを操作することにより、確率設定値をセットするのであるから、周知技術は、本願補正発明の「F2 前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない」との特定事項を備えるといえる。

(ウ)引用発明と周知技術とは、設定値の設定に用いる設定キーとクリアスイッチとを備えるパチンコ機である点で共通し、設定値の設定のセキュリティの向上という課題を内在する点でも共通することが明らかであるから、引用発明及び周知技術に接した当業者であれば、引用発明において、周知技術を適用し、確率設定をする際に、確率設定キー925(第1管理者操作部)に対する操作に加えてクリアスイッチ921(第2管理者操作部)の操作も必要とすること、すなわち、上記相違点3に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が適宜なし得たことである。

(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明、引用例2ないし4記載の技術事項及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について

ア 請求人は、意見書において、概ね以下のとおり主張する。

「(3-3)本願発明が拒絶理由を回避した理由
(イ)審判長殿は、今般の拒絶理由通知の理由において、令和3年7月30日に提出した手続補正書に記載される請求項1(以下、補正前の請求項1と記載。)に係る発明は、引用文献1~引用文献4に記載される発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとご認定されています。そこで、出願人は、本意見書と同時に手続補正書を提出し、その手続補正書で特許請求の範囲の記載を補正しました。以下、その点を詳細に説明します。
(ロ) ・・・
そして、引用文献1に上記した引用文献2に開示される技術と引用文献3、4の設定値を表示する表示器にエラーの表示も行う技術とを適用した遊技機は、設定値を報知する表示器にエラーの表示を行うものであって、設定スイッチ925を「設定」状態にして遊技機に対する電力供給を開始(電源スイッチ914をオン)することによって設定の変更が可能な設定状態へと移行し、該設定状態において、設定スイッチ925を「中立」状態にして所定時間が経過する(引用文献1)か又は、設定スイッチ925を「中立」状態にする(引用文献2)ことにより設定が確定されるというものに過ぎません。
つまり、引用文献1に上記した引用文献2~4に開示される技術を適用した遊技機は、遊技枠とともに遊技盤6が開放された後に設定スイッチ925と電源スイッチ914とが操作されることによって、設定の変更が可能な設定状態へと移行し、該設定状態において、設定スイッチ925のみが操作されることによって、設定が確定されるとともに設定状態が終了するというものに過ぎず、設定状態において、設定スイッチ925のみが操作されることによって設定が確定されるため、例えば、不正な遊技者によって、遊技機が設定状態に移行された場合に、設定スイッチ925のみの操作によって設定が変更及び確定される恐れがあり、遊技機のセキュリティが低下するという欠点があります。
(ハ)これに対し、本願の補正後の請求項1に係る発明は、・・・という特徴的な構成を採用しました。
そして、上記した特徴的な構成を採用することにより、電源投入手段により遊技機の電源投入が行われたときに第1信号の出力を特定したことを含む第1条件の成立により特別状態を発生させ、第1管理者操作部に対する操作に加えて第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しないため、例えば、不正な遊技者によって、遊技機が特別状態に移行された場合であっても、新たな設定情報を設定するためには、第1管理者操作部に対する操作に加えて第2管理者操作部に対する操作も必要となり、遊技機のセキュリティを向上させることができるという明細書に記載(段落0873)の顕著な効果を奏します。
一方、審判長殿の例示された引用文献1~4のいずれにも、上記した補正後の請求項1に係る発明の顕著な効果を奏するための上記した特徴的な構成が開示も示唆もされていませんので、補正後の請求項1に係る発明が引用文献1~3に記載される発明から容易に想到し得るものではないと思料いたします。」

イ しかしながら、上記(3)エ及び上記(5)ウで示したように、本願補正発明の「F2 さらに、前記第1管理者操作部に対する操作に加えて前記第2管理者操作部に対する操作がなければ、新たな設定情報への設定を許容しない」ことは周知技術であり、該周知技術を引用発明に適用して本願補正発明の特定事項となすことが容易であるから、上記主張は採用できない。

(8)小括

以上のように、本願補正発明は、当業者が、引用発明、引用例2ないし4記載の技術事項及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年7月30日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由は、概略、次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用例1.特開2003-199931号公報

引用例2.特開2006-346276号公報

引用例3.特開2013-22221号公報

引用例4.特開2006-81673号公報

3 引用例

引用例1ないし4は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明(上記第2〔理由〕1)は、本願補正発明(上記第2〔理由〕3(1))から、上記相違点4に係る発明特定事項を削除したものである。

そして、本願発明と引用発明とを対比すると、相違点は、上記第2の3(4)で説示した相違点と同様のものとなるから、上記第2の3(5)ア及びイで説示した事項と同様に、本願発明は、引用例に記載された発明及び引用例2ないし4記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-002574

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