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特許拒絶査定不服審判

2021-002497

電池システム

審判番号
2021-002497
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-181858外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月26日
審決日
2022年08月30日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-181858「電池システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月10日出願公開、特開2019- 3954〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2010年4月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年4月16日、米国)を国際出願日とする特願2012-506144号の一部を平成26年11月11日に新たな特許出願とした特願2014-228599号の一部を平成29年3月22日に新たな特許出願とした特願2017-56202号の一部を平成30年9月27日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 1年11月27日付け:拒絶理由通知
令和 2年 5月 1日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月22日付け:拒絶査定
令和 3年 2月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年11月11日付け:拒絶理由通知(当審)
令和 4年 4月15日 :意見書の提出

第2 本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明は、令和3年2月26日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「 複数の電池モジュールと、
第1の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第1の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第1の接触回路と、
第2の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第2の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第2の接触回路であって、前記接続動作モードで動作する前記第2の接触回路は、前記接続動作モードで動作する前記第1の接触回路に流れる電流量に比べて少ない電流量を流すように構成される前記第2の接触回路と、
前記外部装置に接続された第1のシステム端子および第2のシステム端子と、を含み、
前記電池モジュールは、
複数の充電式のセル、
第1のモジュール端子および第2のモジュール端子、ならびに、
前記複数の充電式のセルと、第1のモジュール端子または第2のモジュール端子と、の間に接続されたスイッチング回路、を含み、
前記第2の接触回路は、前記第1の接触回路の非接続動作モードから接続動作モードへの移行の前に、前記非接続動作モードから前記接続動作モードに移行するように制御され、
前記第1の接触回路および前記第2の接触回路は、互いに並列に、前記複数の電池モジュールと、前記第1のシステム端子および前記第2のシステム端子の一つのみと、の間に接続される電池システム。」

第3 拒絶の理由の概要

令和3年11月11日付けで当審が通知した拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 1-6

・引用文献等 1-2

<引 用 文 献 等 一 覧>

1.特開2002-171680号公報

2.特開平4-275002号公報

第4 引用文献の記載事項、引用発明等

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1 引用文献1

(1)令和3年11月11日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2002-171680号公報)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

「【0002】
【従来の技術】電源装置に用いる蓄電池は蓄電池放電や自然放電による容量低下を補うため、入力電力回復時又は定期的に充電する必要があり、その充電方法には定電流充電法や定電圧充電法又はそれらを組合わせたものがある。
【0003】いずれの充電方法においても、整流装置から負荷へ直流電力を供給しつつ、単一の蓄電池からなるもの、あるいは、単一の蓄電池又は複数の蓄電池を直列又は並列あるいは直並列接続してなるもの(本件明細書では蓄電池ブロックという)を並列接続した蓄電池群を同時に回復充電又は浮動充電させる方法が一般的である。
【0004】この従来の電源装置の回路構成図を図5に示す。交流電力を直流電力に変換する整流器1の出力端子には蓄電池ブロックB1~B4を充電するための蓄電池充電回路3の入力端子と逆流阻止用ダイオード9が接続され、蓄電池充電回路3の出力端子は蓄電池ブロックB1~B4に接続され、逆流阻止用ダイオード9の他端子は逆流阻止用ダイオード10と負荷2に接続され、逆流阻止用ダイオード10の他端子は負荷用DC-DCコンバータ4の出力端子に接続され、負荷用DC-DCコンバータ4の入力端子は蓄電池ブロックB1~B4に接続されている。
【0005】交流入力が正常の場合は、整流器1の出力は負荷2へ直流電力を供給しつつ、蓄電池充電回路3を経由して蓄電池ブロックB1~B4を浮動充電している。交流入力が停電すると、蓄電池ブロックB1~B4から負荷用DC-DCコンバータ4を経由して負荷2へ直流電力を供給する。交流入力が復電すると整流器1の出力は負荷2へ直流電力を供給しつつ、蓄電池充電回路3を経由して蓄電池ブロックB1~B4を回復充電する。」
「【0037】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。第1の実施例である実施例1のニッケル水素蓄電池を定電流充電する方法を説明する。実施例1の回路構成の概略を図1に示す。図1に示すように、本電源装置は負荷2に直流電力を供給する整流器1、蓄電池充電回路3、負荷用DC-DCコンバータ4、定電流放電回路5、電圧検出回路6、電流検出回路7、マイクロプロセッサ部8、並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4、ダイオードなどの逆流阻止用半導体素子9,10、ショットキーダイオードなどの逆流阻止用半導体素子D1~D4などで構成されている。
【0038】なお、蓄電池充電回路3には、マイクロプロセッサ部8からのあるシーケンス信号に基づき蓄電池ブロックB1~B4への出力を切替えるスイッチ(図示せず)を備えている。
【0039】また、蓄電池ブロックBの個数は負荷2に対し本来必要な個数の3ブロックに信頼性を高めるために冗長用の1ブロックを加えた合計4ブロックとし、詳細には図示しないが、蓄電池ブロックB1~B4内には、蓄電池に直列に接続された、マイクロプロセッサ部8からのあるシーケンス信号に基づき順次開閉されるスイッチA1~A4が備えられている。」

「【0074】電源装置の回路を、負荷へ正極性の電圧を供給する回路で説明したが、負極性の電圧を供給する場合にはダイオードなどの向きが反対方向となる。」

「【0077】蓄電池に直列接続されるスイッチA1~A4は蓄電池ブロックに内蔵されていても良いし、蓄電池ブロックの外側で直列に接続されていても良く、そのスイッチはトランジスタスイッチや他の半導体スイッチや継電器を用いても良い。」

[図:0001393477000001.jpg]

[図:0001393477000002.jpg]

(2)引用文献1の上記記載からは、以下のことがいえる。

ア 段落【0037】の記載によれば、「電源装置は負荷2に直流電力を供給する整流器1」、「負荷用DC-DCコンバータ4」、「並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4、ダイオードなどの逆流阻止用半導体素子9,10、ショットキーダイオードなどの逆流阻止用半導体素子D1~D4などで構成」される回路構成を有するものである。

そして、図1から逆流阻止用半導体素子D1~D4を介して並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4の正極側が負荷用DC-DCコンバータ4に接続され、また、負荷用DC-DCコンバータ4は逆流阻止用半導体素子10を介して負荷2に接続されることが見てとれる。また、段落【0005】に「交流入力が停電すると、蓄電池ブロックB1~B4から負荷用DC-DCコンバータ4を経由して負荷2へ直流電力を供給する」こと、段落【0074】に「電源装置の回路を、負荷へ正極性の電圧を供給する回路で説明した」ことが記載されている。

してみると、引用文献1の「電源装置」は、逆流阻止用半導体素子D1~D4を介して並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4の正極を負荷用DC-DCコンバータ4に接続し、負荷用DC-DCコンバータ4を逆流阻止用半導体素子10を介して負荷2に接続した回路を有し、蓄電池ブロックB1~B4から負荷用DC-DCコンバータ4を経由して負荷2へ直流電力を供給するものである。

イ 段落【0003】の記載によれば、「蓄電池ブロック」(B1~B4)は「複数の蓄電池を直列又は並列あるいは直並列接続してなるもの」である。

ウ 段落【0039】、【0077】の記載によれば、「蓄電池ブロックB1~B4内には、蓄電池に直列に接続された、」「トランジスタスイッチ」を用いた「スイッチA1~A4が備えられている」。

(3)上記アないしウによれば、引用文献1には、「電源装置」として次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「逆流阻止用半導体素子D1~D4を介して並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4の正極側を負荷用DC-DCコンバータ4に接続し、負荷用DC-DCコンバータ4を逆流阻止用半導体素子10を介して負荷2に接続した回路を有し、蓄電池ブロックB1~B4から負荷用DC-DCコンバータ4を経由して負荷2へ直流電力を供給するものであり、
蓄電池ブロックB1~B4は複数の蓄電池を直列又は並列あるいは直並列接続してなり、
蓄電池ブロックB1~B4内には、蓄電池に直列に接続された、トランジスタスイッチを用いたスイッチA1~A4が備えられている
電源装置。」

2 引用文献2

(1)令和3年11月11日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平4-275002号公報)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

「【0018】また、この実施例は、図5に示される従来例と同様インバータ12を回生モードで使用して主バッテリ10を充電する機能を有している。すなわち、インバータ12とモータ14との間に充電時にモータを14を切り離すためのスイッチ20が設けられおり、スイッチ20とインバータ12との間にはリアクトル22を介して交流電源用端子18が設けられている。一方、主バッテリ10とインバータ12との間には、モータ14の駆動時等にオンされるメインリレー24が設けられており、メインリレー24を流れる電流が許容電流値を越えた場合に溶断する所定電流容量のヒューズ26が設けられている。また、モータ14の駆動時には主バッテリ10から出力される電圧を安定化させ、充電時にはインバータ12から出力される電圧を平滑化するコンデンサ28がインバータ12の主バッテリ10側端子に並列に接続されている。加えて、このコンデンサ28の充電時の電流を制限するためにメインリレー24と並列に抵抗30が接続されており、抵抗30に係る流路を開閉するためにサブリレー32が設けられている。主バッテリ10には電圧検出器34が並列に接続されており、電圧検出器34の出力は制御装置16に与えられる。
【0019】まず、この実施例におけるモータ14の駆動時の動作を説明すると次のようになる。
【0020】モータ14を起動させる場合、まず、アクセル等からモータ駆動指令が制御装置16に与えられる。制御装置16は、リレー駆動信号を発することによりサブリレー32を動作させ、抵抗30を主バッテリ10とコンデンサ28及びインバータ12の間に介在させる。すなわちリレー32をオンさせる。なお、この時、メインリレー24はオフしており、主バッテリ10とコンデンサ28及びインバータ12との直接接続はされていないものとする。
【0021】従って、この状態では、主バッテリ10からインバータ12及びコンデンサ28側への電流が抵抗30により制限される。すなわち、抵抗30が介在しない状態で主バッテリ10をインバータ12側に接続してしまうとコンデンサ28への流入電流が過大となりヒューズ26が溶断してしまう。これを避けるため、本実施例においては、起動時においてのみサブリレー32をオンさせ抵抗30を主バッテリ10とコンデンサ28等との間に介在させるようにしている。
【0022】コンデンサ28の充電が進行し、主バッテリ10の両端の電圧とコンデンサ28の両端の電圧にほぼ差がなくなったと認められた場合、すなわち抵抗30の抵抗値及びコンデンサ28の静電容量値により定まる時定数に対応する時間が経過した場合、制御装置16はメインリレー24をオンさせる。すると、抵抗30及びサブリレー32の両端が短絡されたことになり、主バッテリ10とコンデンサ28及びインバータ12との間は抵抗30を介することなく短絡接続されることになる。制御装置16は、インバータ12を構成するトランジスタ等のスイッチング素子を素子駆動パルスにより制御し、従来公知の手法により主バッテリ10の出力電圧を三相の交流電圧に変換してモータ14に供給する。なお、このときスイッチ20はオンされているものとする。
【0023】従って、本実施例においては、モータ14の起動時においてのみ抵抗30により電流の制限を行い、コンデンサ28の充電に伴う過渡電流が減少した時点で抵抗30を排除して、熱損失のない駆動を実現している。
【0024】このような動作、特にモータ14起動時の動作は、従来から用いられているものである。・・・(後略)」

[図:0001393477000003.jpg]

(2)引用文献2の上記記載からは、以下のことがいえる。

ア 段落【0018】の記載によれば、「主バッテリ10とインバータ12との間には、モータ14の駆動時等にオンされるメインリレー24が設けられており」、「加えて、」「電流を制限するためにメインリレー24と並列に抵抗30が接続されており、抵抗30に係る流路を開閉するためにサブリレー32が設けられている」。そして、図1から、メインリレー24は主バッテリ10の正極側に設けられること、抵抗30とサブリレー32との直列回路がメインリレー24に並列接続されることが見てとれる。

ここで、インバータ12は主バッテリ10の直流電力をモータ14へ供給する交流電力へ変換するものであり、主バッテリ10からみた場合、インバータ12及びモータ14が主バッテリ10より直流電力が供給される負荷であることは明らかである。そして、モータ14の駆動時等は負荷への電力供給時である。

してみると、主バッテリの正極側には、負荷への電力供給時にオンされるメインリレーが設けられており、加えて、電流を制限するためにメインリレーと並列に抵抗とサブリレーとの直列回路が接続されているといえる。

イ 段落【0020】の記載によれば、「モータ14を起動させる場合」、「サブリレー32」「をオンさせ」、「この時、メインリレー24はオフして」いる。そして段落【0021】の記載によれば、「この状態では、主バッテリ10から」「の電流が抵抗30により制限され」、「電流が過大」となることを「避ける」。そして、モータ14を起動させる場合とは、負荷へ電力を供給する場合である。

してみると、負荷へ電力を供給する場合、サブリレーをオンさせ、この時、メインリレーはオフしているため、この状態では、主バッテリからの電流が抵抗により制限され、電流が過大となることを避けるといえる。

ウ 段落【0022】の記載によれば、「時定数に対応する時間が経過した場合、メインリレー24をオンさせる」。

ここで、時定数に対応する時間が経過した場合が、サブリレーをオンさせ所定時間経過後であることは明らかであるから、サブリレーをオンさせ所定時間経過後、メインリレーをオンさせるといえる。

(3)上記アないしウによれば、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。

「主バッテリの正極側には、負荷への電力供給時にオンされるメインリレーが設けられており、加えて、電流を制限するためにメインリレーと並列に抵抗とサブリレーとの直列回路が接続され、
負荷へ電力を供給する場合、サブリレーをオンさせ、この時、メインリレーはオフしているため、この状態では、主バッテリからの電流が抵抗により制限され、電流が過大となることを避け、
サブリレーをオンさせ所定時間経過後、メインリレーをオンさせる」技術。

第5 対比

1 本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「並列に接続された4個の蓄電池ブロックB1~B4」は、本願発明の「複数の電池モジュール」に相当する。

(2)本願発明は「第1の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第1の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第1の接触回路と、第2の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第2の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第2の接触回路であって、前記接続動作モードで動作する前記第2の接触回路は、前記接続動作モードで動作する前記第1の接触回路に流れる電流量に比べて少ない電流量を流すように構成される前記第2の接触回路と」「を含み」、「前記第2の接触回路は、前記第1の接触回路の非接続動作モードから接続動作モードへの移行の前に、前記非接続動作モードから前記接続動作モードに移行するように制御され、前記第1の接触回路および前記第2の接触回路は、互いに並列に、前記複数の電池モジュールと、前記第1のシステム端子および前記第2のシステム端子の一つのみと、の間に接続される」のに対して、引用発明はそのような「第1の接触回路」および「第2の接触回路」を有していない点で相違する。

(3)引用発明の「電源装置」から直流電力が供給される「負荷2」は、本願発明の「外部装置」に相当する。そして、引用発明の「電源装置」は、「負荷2」へ直流電力を供給するために負荷に接続された正負の端子を有することは明らかであるから、本願発明の「外部装置に接続された第1のシステム端子および第2のシステム端子と、を含」むことに相当する。

(4)引用発明の「蓄電池ブロックB1~B4」は複数の蓄電池を直列又は並列あるいは直並列接続したものであるところ、蓄電池が充電式のセルを有することは明らかである。してみると、引用発明の「蓄電池ブロックB1~B4」は複数の充電式のセルを直列又は並列あるいは直並列接続したものといえ、本願発明の「前記電池モジュールは、複数の充電式のセル」「を含」むことに相当する。

(5)引用発明の「蓄電池ブロックB1~B4」は逆流阻止用半導体素子D1~D4を介して4個の蓄電池ブロックが並列に接続されたものである。してみると、引用発明の各「蓄電池ブロック」は、並列に接続される他の蓄電池ブロックと接続する正負の端子を有することは明らかであるから、本願発明の「前記電池モジュールは、」「第1のモジュール端子及び第2のモジュール端子」「を含」むことに相当する。

(6)引用発明の「蓄電池ブロックB1~B4」内に、蓄電池に直列に接続されたトランジスタスイッチのスイッチA1~A4を備えることは、本願発明の「前記電池モジュールは、」「前記複数の充電式のセルと、第1のモジュール端子または第2のモジュール端子と、の間に接続されたスイッチング回路、を含」むことに相当する。

(7)引用発明の「電源装置」は「蓄電池ブロックB1~B4」を含み「負荷2」に直流電力を供給する正負の端子を有することは明らかであるから、第1の接触回路及び第2の接触回路に関する下記の相違点を除き本願発明の「電池システム」に相当する。

2 そうすると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

〈一致点〉

「複数の電池モジュールと、
外部装置に接続された第1のシステム端子および第2のシステム端子と、を含み、
前記電池モジュールは、
複数の充電式のセル、
第1のモジュール端子および第2のモジュール端子、ならびに、
前記複数の充電式のセルと、第1のモジュール端子または第2のモジュール端子と、の間に接続されたスイッチング回路、を含む電池システム。」

〈相違点〉

本願発明は「第1の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第1の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第1の接触回路と、第2の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第2の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第2の接触回路であって、前記接続動作モードで動作する前記第2の接触回路は、前記接続動作モードで動作する前記第1の接触回路に流れる電流量に比べて少ない電流量を流すように構成される前記第2の接触回路と」「を含み」、「前記第2の接触回路は、前記第1の接触回路の非接続動作モードから接続動作モードへの移行の前に、前記非接続動作モードから前記接続動作モードに移行するように制御され、前記第1の接触回路および前記第2の接触回路は、互いに並列に、前記複数の電池モジュールと、前記第1のシステム端子および前記第2のシステム端子の一つのみと、の間に接続される」のに対して、引用発明はそのような「第1の接触回路」および「第2の接触回路」を有していない点

第6 判断

1 引用発明への引用文献2記載の技術の適用について

引用発明と引用文献2記載の技術とはいずれも、電池から負荷へ電力を供給する装置に関するものである。そして、引用発明においても、複数の蓄電池ブロックから負荷への電力供給時に電流が過大となることを避けるべきであることは明らかであり、また、引用発明において、負荷へ供給される電流を抑制するための構成を付加することを妨げる格別の事情があるものとは認められないから、引用発明に引用文献2記載の技術を適用することは、当業者が容易になし得たことと認められる。

そして、引用発明に引用文献2記載の技術を適用したものは、複数の蓄電池ブロック(複数の電池モジュール)の正極側に、負荷(外部装置)への電力供給時にオンされるメインリレー(主接触器)が設けられており、加えて、電流を制限するためにメインリレーと並列に抵抗(レジスタ)とサブリレー(事前充電接触器)との直列回路が接続され、負荷へ電力を供給する場合、サブリレーをオンさせ、この時、メインリレーはオフしているため、この状態では、主バッテリからの電流が抵抗により制限され、電流が過大となることを避け、サブリレーをオンさせ所定時間経過後、メインリレーをオンさせる構成となる。

ここで当該構成の「複数の蓄電池ブロック(複数の電池モジュール)の正極側に、負荷(外部装置)への電力供給時にオンされるメインリレー(主接触器)」は複数の蓄電池ブロックと負荷とを電気的に接続し、また切り離すように構成されたものであることは明らかであり、本願発明の相違点に係る構成の「第1の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第1の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第1の接触回路」に相当する。また、「電流を制限するためにメインリレーと並列に」接続された「抵抗(レジスタ)とサブリレー(事前充電接触器)との直列回路」も複数の蓄電池ブロックと負荷とを電気的に接続し、また切り離すように構成されたものであることは明らかであり、本願発明の相違点に係る構成の「第2の接触回路が接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置と選択的に電気的に接続し、前記第2の接触回路が非接続動作モードの間、前記複数の電池モジュールを前記外部装置から電気的に切り離すように構成された前記第2の接触回路であって、前記接続動作モードで動作する前記第2の接触回路は、前記接続動作モードで動作する前記第1の接触回路に流れる電流量に比べて少ない電流量を流すように構成される前記第2の接触回路」に相当する。そして、「サブリレーをオンさせ、この時、メインリレーはオフしている」ことは、本願発明の相違点に係る構成の「前記第2の接触回路は、前記第1の接触回路の非接続動作モードから接続動作モードへの移行の前に、前記非接続動作モードから前記接続動作モードに移行するように制御」することに相当し、「複数の蓄電池ブロック(複数の電池モジュール)の正極側に、」「メインリレー(主接触器)が設けられ」、「メインリレーと並列に抵抗(レジスタ)とサブリレー(事前充電接触器)との直列回路が接続され」ることは、本願発明の相違点に係る構成の「前記第1の接触回路および前記第2の接触回路は、互いに並列に、前記複数の電池モジュールと、前記第1のシステム端子および前記第2のシステム端子の一つのみと、の間に接続される」ことに相当する。

したがって、引用発明に引用文献2記載の技術を適用して、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明に引用文献2記載の技術を適用したことにより得られる効果に対して、当業者が想起し得ないものとも認められない。

2 令和4年4月15日の意見書での請求人の主張について

(1)請求人の主張

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請求人は令和4年4月15日の意見書において、概略次のように主張している。

ア 「一方、引用文献2に記載された発明では、メインリレー24(本願の第1の接触回路に相当します。)およびサブリレー32(本願の第2の接触回路に相当します。)が、インバータ12の三つの端子(本願のシステム端子に相当します。)の全てと接続されています。したがって、引用文献2に記載された発明を参照しても、第1の接触回路および第2の接触回路が第1のシステム端子および第2のシステム端子の「一つのみ」と接続されることを特定する発明特定事項Dを備える構成には至りません。」(第3頁第27-32行)

イ 「まず、引用文献1に記載された発明の監視回路は、異なる蓄電池の間を流れる電流を測定しますが、接触回路を組み込むことによってこの電流が低下する可能性があります。このような電流の低下により、監視回路の動作に支障をきたすおそれがあります。また、引用文献1に記載された発明では、電源喪失時に速やかに蓄電池からの給電が開始される必要がありますが、接触回路を組み込むことによって蓄電池からの給電が遅延するおそれがあります。これらの事情から、当業者は、引用文献1に記載された発明に対して、引用文献2に記載された接触回路を追加しようとは考えません。」(第3頁第39-45行)

(2)請求人の主張についての検討

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ア 上記主張アについて検討する。

本願発明の「システム端子」は、外部装置に接続された電池システムの端子であるから、引用文献2に記載された技術において、本願発明のシステム端子に相当するものは、主バッテリ10の正極側の端子であり、インバータ12の三つの端子ではない。

すなわち、上記「第4」の「2(2)ア」で述べたように、引用文献2の図1から、メインリレー24は主バッテリ10の正極に設けられること、抵抗30とサブリレー32との直列回路がメインリレー24に並列接続されることが見てとれ、インバータ12は主バッテリ10の直流電力をモータ14へ供給する交流電力へ変換するものであり、主バッテリ10からみた場合、インバータ12及びモータ14が主バッテリ10より直流電力が供給される負荷であることは明らかであり、負荷であるインバータ12と接続される主バッテリ10の正極側の端子が、引用文献2に記載された技術において、本願発明のシステム端子に相当する。

したがって、引用発明に引用文献2記載の技術を適用したものは、第1の接触回路および第2の接触回路が第1のシステム端子および第2のシステム端子の「一つのみ」と接続される構成となる。

よって、請求人の主張は採用できない。

イ 上記主張イについて検討する。

引用文献1に記載された定電流放電回路5、電圧検出回路6、電流検出回路7、マイクロプロセッサ部8からなる構成(請求人のいう「監視回路」)は、蓄電池ブロックB1~B4の充電に際し蓄電池ブロックの状態を監視するために、蓄電池充電回路3と蓄電池ブロックB1~B4とからなる回路に対して設けられた回路であるから、当該回路が測定する電流は、蓄電池ブロックB1~B4から負荷用DC-DCコンバータ4を介して接続される負荷2に対して電力を供給する回路を流れるものではない。

してみると、負荷2に電力を供給する回路に「接触回路」を組み込むことにより「監視回路」が測定する電流が低下するものとは認められない。

また、電源喪失時に速やかに蓄電池からの給電が開始される必要があるとしても、電源喪失時に蓄電池から給電する場合においても、蓄電池からの給電が過大になることを避ける必要はあることは明らかであり、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された接触回路を追加する動機は認められる。

そして、「接触回路」を構成するメインリレー、サブリレーの開閉速度やサブリレーに接続される抵抗の値を調節することにより、給電電流が過大となることを避けつつ速やかな給電を行うことは可能であるものと認められ、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された接触回路を追加することを妨げる事情があるものとは認められない。

したがって、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-002497

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