商標異議申立
2020-900348
コブラリリー、コブラ、リリー
- 審判番号
- 2020-900348
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2020-090992
- 登録番号
- 6306132
- 請求日
- 2020年12月24日
- 審決日
- 2021年11月24日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】煙台正和時服装有限公司
- 【異議申立人】コブラ ゴルフ インコーポレーテッド
- 【異議申立人代理人】三上 真毅
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T1651.261-Y (W25) / T1651.262-Y (W25) / T1651.263-Y (W25) / T1651.271-Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号、商標法第4条第1項第15号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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登録第6306132号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6306132号商標の商標登録を維持する。
理由
理 由
1 本件商標
本件登録第6306132号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cobra Lily」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年7月22日に登録出願、同年9月25日に登録査定され、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、同年10月20日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の(1)から(4)の登録商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という。)で、いずれも現に有効に存続しているものと、以下の(5)の申立人使用商標である。
(1)登録第797133号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:昭和41年12月28日
設定登録日:昭和43年11月14日
指定商品の書換登録日:平成21年3月11日
指定商品 :第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
第28類「スキー締具,その他の運動用具」
(2)登録第2529983号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成3年3月25日
設定登録日:平成5年4月28日
指定商品の書換登録日:平成15年9月10日
指定商品 :第25類「被服」
(3)登録第4376262号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成9年7月9日
設定登録日:平成12年4月14日
指定商品 :第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(4)登録第4455671号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「COBRA」(標準文字)
登録出願日:平成9年7月4日
設定登録日:平成13年2月23日
指定商品 :第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(5)申立人使用商標
商標の構成:別掲3のとおり
使用商品 :「ゴルフウェア,帽子,ゴルフクラブ,その他ゴルフ用品」
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第46号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 本件商標について
本件商標は、標準文字で書した「Cobra」と「Lily」の欧文字を、スペースを空けて、横に並べた態様からなる。
「Cobra」(コブラ)は、「アジア・アフリカ産の毒へび」、「Lily」(リリー)は、「百合(植物)。百合の花。」を意味する我が国の一般消費者にとって比較的馴染みある英単語であるから(甲8~甲10)、本件商標は、「Cobra」と「Lily」の2つの英単語を、スペースを空けて、横に並べて配した結合商標と看取される。
なお、「Cobra Lily」(コブラリリー)の語は、辞書等に掲載された語ではない(甲8~甲10)。インターネットで調べたところ、米国カリフォルニア州とオレゴン州の山地に生息する食虫植物の一種(Darlingtonia californica)の名称が「コブラリリー(Cobra Lily)」との情報が検出されたが(甲11)、我が国の需要者の間にほとんど知られていない。
このため、「アジア・アフリカ産の毒へび」と「百合の花」を表す語の間に観念上のつながりはなく、本件商標を構成する「Cobra」の語と「Lily」の語を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものではないから、本件商標は、「Cobra」の欧文字部分に相応して、「コブラ」の称呼及び「アジア・アフリカ産の毒へび」の観念を生じ得る。
また、「被服」を取り扱う業界においては、「百合の花」のデザイン(ユリ柄)をあしらった被服が多数取引されている実情が存在する(甲12)。このため、とりわけ、本件商標が、その指定商品のうち「ユリ柄を描いた被服・運動用特殊衣服」に使用された場合、その需要者及び取引者は、より一層、前半の「Cobra」の欧文字部分を要部として認識する。
イ 引用商標について
引用商標1から引用商標4(甲3~甲6)は、いずれも「COBRA」又は「cobra」の欧文字を、ゴシック体又は標準文字で書してなる。
このため、引用商標は、「コブラ」の称呼及び「アジア・アフリカ産の毒へび」の観念が生じる。
ウ 申立人と「Cobra」商標
(ア)申立人は、1973年に設立されたゴルフメーカーである。各時代の著名なプロと契約し、先進的な思想を具現化したクラブとともに独自の存在感を確立しており、現在は、スポーツ総合メーカー「Puma」のグループに属し、本国アメリカでは大人気の選手が契約、使用していることで多くのファンを抱えている(甲13)。同社のゴルフ用品は、1990年代後半、著名選手が使用していたことがゴルフ業界で話題となり、「パワーヒッター御用達」として知られるようになった(甲14)。現在では、キャロウェイやテーラーメイドといったゴルフクラブのトップブランドと並び、「世界的なゴルフクラブマーケットエリアユニットの主要プレーヤー」の一つに挙げられる「コブラゴルフ」を世界的に展開している(甲15)。
(イ)甲第16号証は、2016年の申立人のゴルフ用品カタログ「KING 2016PRODUCT GUIDE」であり、甲第17号証は、2021年のカタログである。同社のゴルフ用品には、「cobra」の文字が目立つ態様で刻印されている。
甲第18号証は、現在の申立人の日本語ウェブサイトであり、最新モデルにおいても、各種ゴルフ用品に「cobra」の文字が大きく表示されている。
甲第19号証は、申立人のウェブサイト(www.cobragolf.com)において現在販売されているゴルフウェア、帽子、Tシャツであり、「cobra」の文字が目立つ態様により、また、ワンポイントとして表示されている。
(ウ)申立人のゴルフ用品は、「ヴィクトリアゴルフ」(甲20)や、「PGAツアースーパーストア」、「ゴルフパートナー」、「つるやゴルフ」(甲21)といった、大手ゴルフ用品店の店頭において販売されている。また、店頭販売に限らず、アマゾンジャパン(甲22)、楽天市場(甲23)、Yahoo!ショッピング(甲24)といった大手ネット通販サイトやゴルフ用品通販サイト(甲25)においても多数販売されている。なお、申立人のゴルフ用品を販売する店舗は、全国各地にあり、国内での取扱店は、120店近くある(甲26)。
これら量販店においては、「コブラゴルフ」の愛好家やファンの要望に応え、現在では、ゴルフクラブに限らず、申立人使用商標が付されたゴルフウェアも各種販売している。
甲第27号証は、「スーパースポーツゼビオ」のオンラインストアに掲載されている商品一覧であり、申立人使用商標が付されたウェア類も販売されている。
(エ)申立人のゴルフ用品がゴルフ通の間で人気を博していることから、新しいモデルが発売される度、ゴルフ雑誌等のメディアやプロゴルファーらが、新モデルの性能や特徴を紹介、評価する記事を掲載している(甲13、甲28、甲29)。
また、新しいモデルの販促も積極的に行っており、YouTube広告(甲30)や日本最大級のゴルフポータルサイト「GDO」でのバナー広告(甲31)、ゴルフ雑誌「ALBA」への広告(甲32)等を行っている。甲第33号証は、申立人の人気モデル「KING F9」の国内でのプロモーション活動を紹介した資料である。
Googleで「コブラゴルフ」を検索すると、申立人使用商標が付されたゴルフ用品やゴルフウェアの画像が数百点以上検出されるだけでなく(甲34)、ゴルフ用品人気メーカーランキングでは、ユーティリティ部門において、テイラーメイドに次いで、「コブラ」は第2位に選ばれている(甲35)。
(オ)これらの営業活動、宣伝広告活動等により、「cobra」商標を付したゴルフ用品のうち、主力人気ブランド「KING」の国内売上に限ってみても、2018年以降、急激に増加しており、2019年が690百万円(小売価格ベース)、2020年が830百万円となっている。
上記の国内売上自体は、国内のゴルフ用品市場規模からすると、やや小さい印象は否めないものの、長年の使用により、海外の人気ゴルファーが愛用する「パワーヒッター御用達」ゴルフブランドとしての評判を獲得しており、業界内において一定の認知度を獲得していることは、証拠資料(甲13~甲35)から容易に推測される。
(カ)申立人使用商標が、「世界的なゴルフクラブマーケットエリアユニットの主要プレーヤー」の一つに挙げられる人気ブランドであることから、申立人は申立人使用商標をはじめ、「COBRA」の文字商標や関連商標を世界各国(44の国と地域)において数多く登録している(甲36)。
(キ)以上により、申立人使用商標は、申立人の「ゴルフウェア,帽子,ゴルフクラブ,その他ゴルフ用品」を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得している。
エ 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、「Cobra」の欧文字部分に相応して、「コブラ」の称呼及び「アジア・アフリカ産の毒へび」の観念が生じ得る。
そこで、本件商標の要部「Cobra」と引用商標とを対比すると、引用商標全体から生ずる称呼「コブラ」、観念「アジア・アフリカ産の毒へび」において同一であるから、両商標は全体として類似する。
文字のみからなる商標において、観念上のつながりがないこと等を考慮して、結合の強弱の程度を判断し、「Cobra」の文字部分を抽出して商標の類否を判断することは、過去の審査例(甲37~甲42)や商標審査基準に照らして妥当である。
また、申立人使用商標「cobra」は、申立人のゴルフ用品を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得しているところ、本件商標は、とりわけ、その指定商品に含まれる「ゴルフ用の衣服,ゴルフ用の運動用特殊衣服,ゴルフ帽,ゴルフ靴」(甲43)との関係において、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合に該当する。
商標審査基準に照らしても、本件商標は、その指定商品の全部又は一部について、申立人の引用商標と類似する。
なお、「Cobra Lily」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく、申立人の引用商標は一般に親しまれた既成の語の一部には該当しない。
以上より、本件商標と引用商標は、外観において異なるものの、本件商標の要部「Cobra」において、称呼及び観念が一致しており、また、本件商標はその指定商品に係る需要者の間に広く認識された申立人の使用商標「cobra」に、「Lily」の文字を結合した商標に該当するから、これらの事情を総合的に勘案すると、その指定商品の全部又は一部との関係において、類似する。
オ 本件商標と引用商標の指定商品との同一
本件商標の指定商品「被服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」は、引用商標1、3及び4の指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに引用商標2の指定商品「被服」と同一である。
また、本件商標の指定商品には、「ゴルフ用の衣服,ゴルフ用の運動用特殊衣服,ゴルフ帽,ゴルフ靴」が含まれる(甲43)。
カ 小括
本件商標は、引用商標とは、全体として類似しており、また、本件商標に係る指定商品は、引用商標の指定商品と同一のものを含む。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
ア 本件商標と申立人使用商標との類似性の程度
本件商標は、我が国の需要者、取引者において比較的馴染みある英単語「Cobra」と「Lily」を、スペースを空けて結合した態様よりなる。上述したとおり、前半の「Cobra」(コブラ)の欧文字は、「アジア・アフリカ産の毒へび」を意味し、後半の「Lily」(リリー)の欧文字は、「百合(植物)。百合の花。」を意味する(甲8~甲10)ところ、両語には観念上の明確なつながりがなく、また、スペースを空けていることも相まって、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合していないから、簡易かつ迅速を尊ぶ取引において、需要者等は、外観及び称呼上、最も重視される語頭の欧文字部分「Cobra」をもって、本件商標を認識、識別する可能性が高い。
本件商標と申立人使用商標は、「Lily」の欧文字の有無において、多少、外観が異なるものの、本件商標の要部「Cobra」において、称呼及び観念が一致しており、また、本件商標は、一部の指定商品に係る需要者の間に広く認識された申立人使用商標に、スペースを空けて、「Lily」の欧文字を並べた商標に該当するから、これらの事情を総合的に勘案すると類似性の程度は高い。
イ 申立人使用商標の認知度及び独創性の程度
「Cobra」の語は、「アジア・アフリカ産の毒へび」を意味する比較的馴染みある英単語であるため(甲8~甲10)、申立人使用商標の独創性の程度は高いとは言い得ないものの、上述したとおり、申立人使用商標「cobra」は、長年の使用により、とりわけ、国内外のゴルフ業界の関係者や熱狂的なファンの間で一定の認知度を獲得している事情がある(甲13~甲35)。
ウ 本件商標の指定商品と申立人使用商品との関連性
本件商標の指定商品には「ゴルフ用の衣服,ゴルフ用の運動用特殊衣服,ゴルフ帽,ゴルフ靴」が含まれるところ(甲43)、申立人使用商標を付した商品(ゴルフウェア,帽子,ゴルフクラブ,その他ゴルフ用品)の一部と同一又は類似する。また、本件商標の指定商品の需要者には、ゴルフの需要者や業界関係者等も含まれるから、総じて、申立人商品との関連性は高い。
エ 取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品及び申立人使用商品(ゴルフウェア、ゴルフ用品)の主たる需要者は、スポーツの愛好家を始めとして、広く一般の消費者を含む。そして、このような一般の消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれており、商品の購入に際し、メーカー名やハウスマークなどについて常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定することも少なくないから、商品の選択・購入に際して払う注意力が高いとはいえない一般消費者を需要者とする点で共通する。
また、例えば、アパレル業界大手ユニクロのように、ゴルフ用品専門業者でない一般のアパレル業者が、プロゴルファーと契約したり(甲45)、ゴルフウェアを製造して、一般のアパレル商品と同じ店舗で販売するような取引の実情もあるから(甲46)、最近では、ゴルフ用品や一般のアパレル商品を扱う業界、その流通・販売経路において、一定程度の関連性がある。
アパレル業者がゴルフウェア類も取り扱う事例としては、ユニクロ以外に、アパレルブランド「BEAMS」の株式会社ビームスが「BEAMS GOLF」を、アメリカの高級衣料品ブランド「TOMMY HILFIGER」のトミーヒルフィガーコーポレーションが「TOMMY HILFIGER GOLF」を、それぞれ国内において展開している。
オ 混同を生ずるおそれ
上記の事情を総合すると、「Lily」の文字の有無において本件商標と申立人使用商標の外観構成に多少差異が存在するとしても、本件商標の要部である「Cobra」において申立人使用商標の称呼及び観念と一致しており、そのため、本件商標が申立人商品と同一又は類似、さらには、これと関連する商品(とりわけ、ゴルフ用品)に付して使用された場合には、一般消費者の注意力などをも考慮すると、これに接する取引者、需要者は、本件商標の構成中「Cobra」の文字部分に着目し、ゴルフ業界において広く認識された申立人使用商標を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがある。
したがって、仮に、本件商標と引用商標又は申立人使用商標とが非類似であるとしても、申立人使用商標は、申立人商品を表示する商標として、我が国のゴルフ業界の関係者や熱狂的な愛好家の間に広く認識されており、また、要部「Cobra」において、本件商標と申立人使用商標とは共通するものであるから、たとえ、外観全体の構成において多少差異があるとしても、本件商標が、その指定商品、とりわけ、ゴルフ用の「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、申立人使用商標を連想、想起し、当該商品が申立人、又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、誤認するおそれがある。
カ 小括
以上によれば、本件商標が、その指定商品、とりわけ、ゴルフ用の「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その登録出願前から、申立人の業務に係るゴルフ用品を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識された申立人使用商標を連想、想起し、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)申立人使用商標の周知性の程度
ア 申立人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1973年に設立された、米国のゴルフメーカーで、米国のプロゴルファーによる使用実績もあるところ、我が国でも、申立人商標を付した「ゴルフクラブ」などのゴルフ用品を販売している(甲13、甲14、甲17、甲18)。
(イ)申立人の商品販売実績は、主力ブランド(KING)のゴルフクラブだけでも、年間で約6億9千万円(2019年)、約8億3千万円(2020年)あるとされる(申立人の主張)。
(ウ)申立人の商品(主にゴルフクラブ)は、ゴルフ雑誌やインターネット情報などにおいて商品紹介をする記事や広告が掲載されているが、その広告宣伝規模(広告費用、広告宣伝回数等)を客観的に示す証拠は提出されていない(甲13、甲28~甲32)。
イ 以上を踏まえると、申立人商標に係る「ゴルフクラブ」は、我が国においてある程度の販売実績及び広告実績があるから、一部のゴルフ愛好家の間においては、一定程度認知はされているとしても、その周知性の程度及び範囲は限定的であって、我が国における一般の需要者の間において、申立人又はその業務に係る商品を表示するものとして、周知、著名となるに至っていたものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標について
本件商標は、「Cobra Lily」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、間に一文字分の間隔を空けながらも、同種文字(欧文字)を、同じ大きさ及び書体で、横一列にまとまりよく表してなるため、視覚上分離した印象や、特定の文字部分のみが強い印象を与えるものではなく、構成文字全体で一連一体の語を表してなると看取できる。
そして、本件商標の構成中「Cobra」の文字は「コブラ(インド・アフリカ産の毒ヘビ)」の意味を、「Lily」の文字は「ユリ。ユリの花。」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるところ、全体として特定の意味を有する成語とは看取できず、各文字の語義を結合した意味合いも漠然としているから、全体で特定の意味を有さない造語を表してなると認識、理解できる。
また、申立人使用商標「cobra」は、上記(1)のとおり、我が国の需要者の間における周知性の程度及び範囲は限定的であるから、本件商標のようなまとまりのよい構成において、その構成中「Cobra」の文字部分が、他の文字部分からは独立して、強い印象を与えるものではない。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「コブラリリー」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標1及び引用商標2は、別掲1及び別掲2のとおり、「COBRA」の欧文字を表してなり、引用商標3は、別掲3のとおり、「cobra」の欧文字を表してなり、引用商標4は、「COBRA」の欧文字を標準文字で表してなる。
そして、「COBRA」(Cobra)の文字は「コブラ(インド・アフリカ産の毒ヘビ)」の意味を有する英語(前掲書)である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「コブラ」の称呼が生じ、「コブラ(インド・アフリカ産の毒ヘビ)」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、外観については、語頭の構成文字(Cobra、COBRA、cobra)は共通するものの、語尾の構成文字(Lily)の有無の差異により、構成文字全体としては異なる語を表してなるから、判別は容易である。また、称呼については、語頭の構成音(コブラ)は共通するものの、語尾の構成音(リリー)の有無の差異から、全体として聴別は容易である。さらに、観念については、本件商標は特定の観念は生じないものの、引用商標は具体的な観念(コブラ。インド・アフリカ産の毒ヘビ。)が生じるから、互いの印象は相違する。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において判別は容易で、観念における印象も相違するから、それらを総合すれば互いに相紛れるおそれはなく、類似しない。
エ 小括
本件商標は、引用商標とは、同一又は類似する商標ではないから、その指定商品について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 申立人使用商標は、別掲3のとおり、「cobra」の欧文字を表してなるもので、当該文字は、「コブラ(インド・アフリカ産の毒ヘビ)」の意味を有する英語(前掲書)であって、我が国でも親しまれた外来語(「広辞苑 第7版」岩波書店)であるから、独創性の程度は高くない。
また、申立人使用商標は、上記(1)のとおり、我が国における一般の需要者の間において、周知、著名となるに至っているものではなく、その周知性の程度及び範囲は限定的である。
イ 引用商標3と本件商標とが、上記(2)ウのとおり、外観及び称呼において判別は容易で、観念における印象も相違する、互いに類似しない商標であるから、引用商標3と構成文字及び構成態様を共通にする本件使用商標と本件商標は同様に、外観、称呼及び観念における印象は相違するもので、類似性の程度は低い。
ウ 以上によれば、申立人使用商標は、独創性も高くはない英語を表してなるもので、我が国の一般の需要者の間において周知、著名となるに至っておらず、その周知性の程度及び範囲は限定的で、本件商標と申立人使用商標の類似性の程度が低いことも鑑みると、本件商標の指定商品と申立人の販売するゴルフ用品等との間で関連性や、需要者の一部(ゴルフ愛好家)の共通性にかかわらず、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標をその指定商品に使用したとしても、これに接する需要者、取引者をして、申立人又はそれに係る商品を連想、想起させるものとはいえない。
したがって、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-900348