特許異議申立
2020-700962
レジスト下層膜形成方法及びパターン形成方法
- 審判番号
- 2020-700962
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-085581
- 登録番号
- 6711104
- 請求日
- 2020年12月07日
- 審決日
- 2022年03月28日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】JSR株式会社
- 【権利者代理人】天野 一規
- 【権利者代理人】藤本 勝誠
- 【権利者代理人】池田 義典
- 【異議申立人】加藤 三千代
- 【異議申立人】古川 慎二
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 里村 利光
- 審判官 植前 充司
- 分類
- P1651.121-YAA(G03F) / P1651.16 -YAA(G03F) / P1651.537-YAA(G03F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第36条、特許法第120条の5第4項、特許法第29条、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6711104号発明「レジスト下層膜形成方法及びパターン形成方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6711104号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、11~13〕〔6~10、14~16〕について訂正することを認める。
特許第6711104号の請求項1~16に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続等の経緯
特許第6711104号の請求項1~請求項10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2016-85581号)は、2016年(平成28年)4月21日(先の出願に基づく優先権主張 平成27年4月24日)を出願日とする特許出願であって、令和2年6月1日に特許権の設定の登録がされたものである。
その後、本件特許について、令和2年6月17日に特許掲載公報が発行されたところ、発行の日から6月以内である令和2年12月7日に、本件特許のうち全請求項に係る特許に対して、特許異議申立人 加藤三千代(以下「特許異議申立人1」という。)から、令和2年12月15日に、本件特許発明のうち全請求項に係る特許に対して、特許異議申立人 古川慎二(以下「特許異議申立人2」という。)から、それぞれ特許異議の申立てがされた。
その後の手続等の概要は、以下のとおりである。
令和3年3月 3日付け:取消理由通知書
令和3年4月30日付け:訂正請求書
令和3年4月30日付け:意見書(特許権者)
令和3年6月18日付け:意見書(特許異議申立人1)
令和3年6月18日付け:意見書(特許異議申立人2)
第2 本件訂正請求について
令和3年4月30日にされた訂正の請求を、以下「本件訂正請求」という。
1 訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6711104号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~16について訂正することを求める、というものである。
2 訂正の内容
本件訂正請求において特許権者が求める訂正の内容は、以下のとおりであるところ、本件訂正請求は、後述するように(1)一群の請求項1~5に係る訂正及び(2)一群の請求項6~10に係る訂正からなり、それぞれ別の訂正単位とすることを求めている。なお、下線は訂正箇所を示す。
また、化学式において同一構造のもの(例えば、【化1】と【化4】等)の再摘記は省略する。
(1)一群の請求項1~5に係る訂正
ア 訂正事項1
訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲の請求項1に
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が1容量%未満の雰囲気中、450℃超800℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有するレジスト下層膜形成方法(但し、上記芳香環を有する化合物が、下記式(1)又は(2)で表されるものを除く)。
【化1】
[図:0001386096000001.jpg]
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化2】
[図:0001386096000002.jpg]
」と記載されているのを
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデ環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化1】
(当合議体注:【化1】の再摘記は省略する。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化2】
(当合議体注:【化2】の再摘記は省略する。)
【化3】(i)
[図:0001386096000003.jpg]
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」(下線は訂正箇所を示す。)に訂正する。(請求項1を引用する請求項3も同様に訂正する。)
イ 訂正事項2
訂正事項2による訂正は、特許請求の範囲の請求項2に
「上記酸素濃度が0.1容量%以下である請求項1に記載のレジスト下層膜形成方法。」と記載されているのを、
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化4】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化5】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化6】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」に訂正する。(請求項2を引用する請求項3も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項3
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4の記載を訂正するものであるところ、以下の「訂正事項3-1」~「訂正事項3-4」からなるものである。
(ア)訂正事項3-1
訂正事項3-1による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項1、請求項2又は請求項3に記載のレジスト下層膜形成方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記樹脂αが、ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化7】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化8】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化9】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」に訂正する。(請求項4を引用する請求項5も同様に訂正する。)
(イ)訂正事項3-2
訂正事項3-2による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項1、請求項2又は請求項3に記載のレジスト下層膜形成方法。」とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用するものについて、独立形式に改め
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、下記式(5)若しくは(6)で表される部分構造を有する芳香環含有化合物γ’、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化19】
[図:0001386096000004.jpg]
(式(5)中、R101~R104は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は炭素数1~20の1価の有機基である。a11及びa12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。b11及びb12は、それぞれ独立して、0~4の整数である。R101~R104がそれぞれ複数の場合、複数のR101は同一でも異なっていてもよく、複数のR102は同一でも異なっていてもよく、複数のR103は同一でも異なっていてもよく、複数のR104は同一でも異なっていてもよい。n11及びn12は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k11及びk12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。但し、a11+k11は、9以下であり、a12+k12は、9以下である。*11は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化20】
[図:0001386096000005.jpg]
(式(6)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、スピロ炭素原子及び芳香環の炭素原子と共に構成される置換又は非置換の環員数4~10の環構造を表す。R131及びR132は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。R131及びR132がそれぞれ複数の場合、複数のR131は同一でも異なっていてもよく、複数のR132は同一でも異なっていてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k1及びk2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。但し、a1+k1は8以下であり、a2+k2は8以下である。*13は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化21】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化22】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化23】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」と記載し、新たに請求項11とする。
(ウ)訂正事項3-3
訂正事項3-3による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項1、請求項2又は請求項3に記載のレジスト下層膜形成方法。」とあるうち、請求項1を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上550℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化24】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化25】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化26】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」と記載し、新たに請求項12とする。
(エ)訂正事項3-4
訂正事項3-4による訂正は、特許請求の範囲の請求項4に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項1、請求項2又は請求項3に記載のレジスト下層膜形成方法。」とあるうち、請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用するものについて、独立形式に改め
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記芳香環を有する化合物が架橋性を有するレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化27】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化28】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化29】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
」と記載し、新たに請求項13とする。
エ 訂正事項4
訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の請求項5に、
「上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物である請求項4に記載のレジスト下層膜形成方法。」と記載されているのを
「上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物であり、
上記温度が450℃超550℃以下である請求項4に記載のレジスト下層膜形成方法。」に訂正する。
(2)一群の請求項6~10に係る訂正
ア 訂正事項5
訂正事項5による訂正は、特許請求の範囲の請求項6に
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジストパターンを形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が1容量%未満の雰囲気中、450℃超800℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有するパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記レジスト下層膜を形成する工程と、上記レジストパターンを形成する工程との間に、
上記レジスト下層膜上に、シリコン膜を形成する工程と、
上記シリコン膜上に、炭化水素膜材料をコーティングし、炭化水素膜を形成する工程と、
上記炭化水素膜上に、珪素酸化膜材料をコーティングし、珪素酸化膜を形成する工程と
を備え、且つ上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表されるもの
(B)上記芳香環を有する化合物が下記式(3)で表されるもの
【化3】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化4】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化5】
[図:0001386096000006.jpg]
」と記載されているのを
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化10】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化11】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化12】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」に訂正する。(請求項6を引用する請求項8も同様に訂正する。)
イ 訂正事項6
訂正事項6による訂正は、特許請求の範囲の請求項7に
「上記酸素濃度が0.1容量%以下である請求項6に記載のパターン形成方法。」と記載されているのを
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化13】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化14】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化15】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」に訂正する。(請求項7を引用する請求項8も同様に訂正する。)
ウ 訂正事項7
訂正事項7による訂正は、訂正前の請求項9の記載を訂正するものであるところ、以下の「訂正事項7-1」~「訂正事項7-4」からなるものである。
(ア)訂正事項7-1
訂正事項7-1による訂正は、特許請求の範囲の請求項9に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項6、請求項7又は請求項8に記載のパターン形成方法。」とあるうち、請求項6を引用するものについて
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記樹脂αが、ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化16】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化17】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化18】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」に訂正する。(請求項9を引用する請求項10も同様に訂正する。)
(イ)訂正事項7-2
訂正事項7-2による訂正は、特許請求の範囲の請求項9に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項6、請求項7又は請求項8に記載のパターン形成方法。」とあるうち、請求項6を引用する請求項7を引用するものについて、独立形式に改め
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、下記式(5)若しくは(6)で表される部分構造を有する芳香環含有化合物γ’、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化30】
[図:0001386096000007.jpg]
(式(5)中、R101~R104は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は炭素数1~20の1価の有機基である。a11及びa12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。b11及びb12は、それぞれ独立して、0~4の整数である。R101~R104がそれぞれ複数の場合、複数のR101は同一でも異なっていてもよく、複数のR102は同一でも異なっていてもよく、複数のR103は同一でも異なっていてもよく、複数のR104は同一でも異なっていてもよい。n11及びn12は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k11及びk12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。但し、a11+k11は、9以下であり、a12+k12は、9以下である。*11は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化31】
[図:0001386096000008.jpg]
(式(6)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、スピロ炭素原子及び芳香環の炭素原子と共に構成される置換又は非置換の環員数4~10の環構造を表す。R131及びR132は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。R131及びR132がそれぞれ複数の場合、複数のR131は同一でも異なっていてもよく、複数のR132は同一でも異なっていてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k1及びk2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。但し、a1+k1は8以下であり、a2+k2は8以下である。*13は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化32】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化33】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化34】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」と記載し、新たに請求項14とする。
(ウ)訂正事項7-3
訂正事項7-3による訂正は、特許請求の範囲の請求項9に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項6、請求項7又は請求項8に記載のパターン形成方法。」とあるうち、請求項6を引用する請求項8を引用するものについて、独立形式に改め
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上550℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化35】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化36】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化37】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」と記載し、新たに請求項15とする。
(エ)訂正事項7-4
訂正事項7-4による訂正は、特許請求の範囲の請求項9に
「上記芳香環を有する化合物が主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせである請求項6、請求項7又は請求項8に記載のパターン形成方法。」とあるうち、請求項6を引用する請求項7を引用する請求項8を引用するものについて、独立形式に改め
「基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記芳香環を有する化合物が架橋性を有するパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化38】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化39】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化40】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」と記載し、新たに請求項16とする。
エ 訂正事項8
訂正事項8による訂正は、特許請求の範囲の請求項10に
「上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物である請求項9に記載のレジスト下層膜形成方法。」と記載されているのを
「上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物であり、
上記温度が450℃超550℃以下である請求項9に記載のパターン形成方法。」に訂正する。
(3)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
特許権者は、令和3年4月30日付け訂正請求書(34頁及び72頁)において、[A]訂正後の請求項1~5及び11~13及び[B]訂正後の請求項6~10及び14~16について、それぞれ他の一群の請求項とは別途訂正することを求めている。
ここで、上記[A]に係る訂正は、上記(1)の訂正内容からみて、訂正前の請求項1~5について訂正するものであって、訂正前の請求項2~5はそれぞれ訂正前の請求項1を直接又は間接に引用しているものであり、訂正事項1による訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5及び11~13は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項(以下「第1群」という。)といえる。
同様に、上記[B]に係る訂正は、上記(2)の訂正内容からみて、訂正前の請求項6~10について訂正するものであって、訂正前の請求項7~10はそれぞれ訂正前の請求項6を直接又は間接に引用しているものでり、訂正事項5による訂正によって記載が訂正される請求項6に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項6~10に対応する訂正後の請求項6~10及び14~16は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項(以下「第2群」という。)といえる。
したがって、以下、各一群ごとに訂正の適否について判断する。
3 訂正の適否
(1)第1群に係る訂正について
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1による訂正のうち、訂正前の請求項1の酸素濃度を「1容量%未満」から「0.01容量%以下」とする訂正A(以降、訂正の一部をアルファベットを付して称する場合がある。)は、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
訂正事項1による訂正のうち、訂正前の請求項1の温度範囲を「450℃超800℃以下」から「450℃超600℃以下」とする訂正Bは、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
訂正事項1による訂正のうち、請求項1に「上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、又はこれらの組み合わせである」を加える訂正Cは、訂正前の請求項1の「芳香環を有する化合物」を具体的に下位概念に限定するものである。
訂正事項1による訂正のうち、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、及び除くものとして、訂正前の態様を「(A)」とした上でさらに「(B)」の態様を加える訂正Eは、特許請求の範囲から除かれる範囲を広げるものである。
したがって、これらの訂正(訂正A~E)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項1による訂正のうち、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正Fは、化合物は式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものであることを明確にするものであり、式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gは式(1)の説明であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
以上によれば、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするもの及び同条同項ただし書第3号に規定する事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。
(イ)新規事項
訂正A及び訂正Bは、それぞれ本件出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0016】及び【0015】の記載に基づくものである。
また、訂正Cのうち上記芳香環を有する化合物が、「ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α」であること(訂正C-1)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、「カリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C-2)は、本件明細書段落【0039】の記載に基づき、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C-3)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、「又はこれらの組み合わせ」であること(訂正C-4)、すなわち上記樹脂を2種以上を組み合わせて用いることができることは、本件明細書段落【0037】の記載に基づくものである。
また、式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正Dは、請求項1の発明から除かれる範囲に、取消理由通知書に記載の甲2に記載された発明を加えるものであり、除くものに(B)の態様を加える訂正Eは、請求項1の発明から除かれる範囲に、先願1発明の範囲を加えるものである。
訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正Fについては、先願2明細書には、式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものが記載されている。このため、訂正Fは、甲2発明及び先願2発明を除くものである。
式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gは、形式的な訂正であり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
以上勘案すると、訂正事項1による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)拡張又は変更
上記(ア)で述べた訂正の内容からみて、訂正事項1による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項2についての訂正であって、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用していたのを引用関係を解消して新たに独立請求項2とする訂正を含む。また、訂正事項2による訂正は、訂正の対象が訂正前の請求項2であることのほか、上記アの訂正A~訂正Gのうち、訂正Cの「樹脂α」として複数列挙された環から「ナフタレン環」及び「アントラセン環」を削除したものをものからなる「樹脂α」を追加すること以外は同一の内容を訂正内容とする訂正である。
そうしてみると、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項1による訂正と同様の理由により、訂正事項2による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2による訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1による訂正と同様の理由により、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、以下の(ア)~(エ)に示す訂正からなる。
(ア)訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項4について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項4とする訂正(以下「訂正事項3-1」という。)
(イ)訂正前の請求項1及び2を引用した訂正前の請求項4について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項11とする訂正(以下「訂正事項3-2」という。)
(ウ)訂正前の請求項1及び3(請求項2を引用する部分を除く)を引用した訂正前の請求項4について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項12とする訂正(以下「訂正事項3-3」という。)
(エ)訂正前の請求項1~3をいずれも引用した訂正前の請求項4について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項13とする訂正(以下「訂正事項3-4」という。)
以下、各訂正事項について検討する。
(ア)訂正事項3-1について
a 訂正の目的
訂正事項3-1による訂正は、訂正前の請求項1の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正Aを含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項3-1による訂正は、訂正前の請求項1の「450℃超800℃以下」を「450℃超600℃以下」とする訂正Bを含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
さらに、訂正事項3-1による訂正は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」を「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」とし、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物を「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」とし、さらに樹脂αを「ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種」とする訂正C2は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」及び「分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物」をそれぞれ下位概念に限定するものである。
したがって、これら(訂正A、B及びC2)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項3-1による訂正のうち、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。上記訂正D、E、F及びGの内容から、これらの訂正は、訂正事項1と同様の訂正といえる。
したがって、訂正事項3-1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
b 新規事項
訂正事項3-1による訂正のうち訂正A及び訂正Bは、それぞれ本件明細書段落【0016】及び【0015】の記載に基づくものである。
また、訂正Cのうち上記主鎖に芳香環を有する樹脂が、「ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C2-1)は、本件明細書段落【0038】及び【0039】の記載に基づき、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物が、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C2-2)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、樹脂αが、「ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種」であること(訂正C2-3)は、本件明細書段落【0039】の記載に基づくものである。
さらに、訂正事項3-1による訂正のうち、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gは、訂正事項1による訂正と同様の内容であるから、本件明細書における訂正の根拠も同様である。
以上勘案すると、訂正事項3-1による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
c 拡張又は変更
上記aの訂正内容からみて、訂正事項3-1による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項3-1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(イ)訂正事項3-2について
a 訂正の目的
訂正事項3-2による訂正は、訂正前の請求項1の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正A1を含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項3-2による訂正は、訂正前の請求項1の「450℃超800℃以下」を「450℃超600℃以下」とする訂正Bを含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
さらに、訂正事項3-2による訂正は、訂正前の請求項4の主鎖に芳香環を有する樹脂を「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」とし、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物を「分子量が600以上3000以下であり、式(5)若しくは(6)で表される部分化合物を有する芳香環含有化合物γ’(式(5)及び式(6)については省略)」とする訂正C3は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」及び「分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物」をそれぞれ下位概念に限定するものである。
したがって、これら(訂正A1、B及びC3)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項3-2による訂正のうち、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。上記訂正D、E、F及びGの内容からみて、これらの訂正は、訂正事項1と同様の訂正といえる。
したがって、訂正事項3-2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
b 新規事項
訂正事項3-2による訂正のうち訂正A及び訂正Bは、それぞれ本件明細書の段落【0016】及び【0015】の記載に基づくものである。
また、訂正C3のうち上記主鎖に芳香環を有する樹脂が、「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C3-1)は、本件明細書段落【0038】及び【0039】の記載に基づき、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物が、「分子量が600以上3000以下であり、式(5)若しくは(6)で表される部分化合物を有する芳香環含有化合物γ’(式(5)及び式(6)については省略)」であること(訂正C3-2)は、本件明細書段落【0118】~【0122】の記載に基づくものである。
さらに、訂正事項3-2による訂正は、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。その訂正の内容からみて、
これらの訂正は、訂正事項1による訂正と同様の訂正といえるから、本件明細書における訂正の根拠も同様である。
以上勘案すると、訂正事項3-2による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
c 拡張又は変更
上記aの訂正内容からみて、訂正事項3-2による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項3-2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)訂正事項3-3について
a 訂正の目的
訂正事項3-3による訂正は、訂正前の請求項1の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正Aを含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項3-3による訂正は、訂正前の請求項3の「500℃以上600℃以下」を「500℃以上550℃以下」とする訂正B1を含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
さらに、訂正事項3-3による訂正は、訂正前の請求項4の主鎖に芳香環を有する樹脂を「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」とし、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物を「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」とする訂正C4は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」及び「分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物」をそれぞれ下位概念に限定するものである。
したがって、これら(訂正A、B1及びC4)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項3-3による訂正は、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。上記訂正D、F及びGの内容からみて、これらの訂正は、訂正事項1と同様の訂正といえる。
以上によれば、訂正事項3-3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
b 新規事項
訂正事項3-3による訂正のうち訂正Aは、本件明細書段落【0016】の記載に、訂正B1は、本件明細書段落【0015】及び【0262】【表1】の実施例1~実施例19の「レジスト下層膜形成時の加熱温度」の記載に基づくものである。
また、訂正C4のうち上記主鎖に芳香環を有する樹脂が、「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C4-1)は、本件明細書段落【0038】及び【0039】の記載に基づき、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物が、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C4-2)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づくものである。
さらに、訂正事項3-3による訂正は、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正E、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。その訂正の内容からみて、これらの訂正は、訂正事項1による訂正と同様の訂正といえるから、本件明細書における訂正の根拠も同様である。
以上勘案すると、訂正事項3-3による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
c 拡張又は変更
上記aの訂正内容からみて、訂正事項3-3による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項3-3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(エ)訂正事項3-4について
a 訂正の目的
訂正事項3-4による訂正は、訂正前の請求項2の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正A1を含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項3-4による訂正は、訂正前の請求項4の主鎖に芳香環を有する樹脂を「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」とし、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物を「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」とする訂正C4は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」及び「分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物」をそれぞれ下位概念に限定するものである。
さらに、訂正前の請求項4に「芳香環を有する化合物が架橋性を有する」を加える訂正Hは、「芳香環を有する化合物」を具体的に下位概念のものに限定するものである。
したがって、これら(訂正A1、C4及びH)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項3-4による訂正は、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。上記訂正D、E、F及びGの内容からみて、これらの訂正は、訂正事項1と同様の訂正といえる。
以上によれば、訂正事項3-4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
b 新規事項
訂正事項3-4による訂正のうち訂正A1は、本件明細書段落【0016】の記載に基づくものである。
また、訂正C4のうち上記主鎖に芳香環を有する樹脂が、「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C4-1)は、本件明細書段落【0038】及び【0039】の記載に基づき、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物が、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C4-2)は、本件明細書段落【0038】の記載([A]化合物の架橋反応についての記載)に基づくものである。
さらに、芳香環を有する化合物が架橋性を有すること(訂正H)は、本件明細書段落【0192】等の記載に基づくものである。
加えて、訂正事項3-4による訂正は、訂正前の請求項1の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除くものに(B)の態様を加える訂正E、訂正前の請求項1の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正F、及び式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gを含む。その訂正の内容からみて、これらの訂正は、訂正事項1による訂正と同様の訂正といえるから、本件明細書における訂正の根拠も同様である。
以上勘案すると、訂正事項3-4による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3-4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
c 拡張又は変更
上記aの訂正内容からみて、訂正事項3-4による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項3-4による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
エ 訂正事項4について
(ア)訂正の目的
訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項1の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正Aを含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項1の「450℃超800℃以下」を「450℃超550℃以下」とする訂正B2を含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
(イ)新規事項
訂正事項4による訂正のうち、訂正Aは、本件明細書段落【0016】の記載に、訂正B2は、本件明細書段落【0262】【表1】の実施例1~実施例19の「レジスト下層膜形成時の加熱温度」の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)拡張又は変更
上記(ア)から明らかなように、訂正事項4による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。
オ 第1群に係る訂正についての小括
以上ア~エで述べたとおり、第1群に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
(2)第2群に係る訂正について
ア 訂正事項5について
(ア)訂正の目的
訂正事項5による訂正のうち、訂正前の請求項6の「上記レジストパターンを形成する工程が」を「上記レジスト下層膜を形成する工程が」とする訂正Yは、明らかな誤記を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる事項(誤記又は誤訳の訂正)を目的とするものである。
訂正事項5による訂正のうち、訂正前の請求項6の酸素濃度を「1容量%未満」から「0.01容量%以下」とする訂正Aは、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものであり、訂正前の請求項6の温度範囲を「450℃超800℃以下」から「450℃超600℃以下」とする訂正Bは、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
訂正事項5による訂正のうち、請求項6に「上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、又はこれらの組み合わせである」を加える訂正Cは、訂正前の請求項6の「芳香環を有する化合物」を具体的に下位概念に限定するものである。
訂正事項5による訂正のうち、訂正前の請求項6の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、及び除く態様である(A)及び(B)を「(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの」とする訂正E1は、特許請求の範囲から除かれる範囲を広げるものである。
したがって、これら(訂正A、B、C、D及びE1)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項5による訂正のうち、訂正前の請求項6の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正Fは、式(1)の説明において「式中」を「式『(1)』中」とする訂正Gは式(1)の説明であることを明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。
以上によれば、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書き第2号に掲げる事項(誤記又は誤訳の訂正)及び同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)を目的とするものである。
(イ)新規事項
訂正Yは、明細書段落【0011】、【0021】等の記載に基づくものである。
訂正A及びBは、それぞれ本件明細書段落【0016】及び【0015】の記載に基づくものである。
また、上記芳香環を有する化合物が、「ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α」であること(訂正C-1)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、「カリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C-2)は、本件明細書段落【0039】の記載に基づき、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C-3)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、「又はこれらの組み合わせ」であること(訂正C-4)、すなわち2種以上を組み合わせて用いることができることは、本件明細書段落【0037】の記載に基づくものである。
さらに、式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、及び除く態様である(A)及び(B)を「(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの」とする訂正E1は、請求項6の発明から除かれる範囲を広げるものである。
また、訂正前の請求項6の式(1)又は(2)で表されるものを式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものとする訂正Fに関し、取消理由通知書に記載の引用文献2及び先願2の明細書等には、式(1)又は(2)で表される「構造を含む」ものが記載されている。このため、訂正Fは、引用文献2及び先願2の明細書等に記載された発明を除くことを明確にするための訂正である。さらにまた、式(1)の説明において「式中」を「式(1)中」とする訂正Gは、形式的な訂正であり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
以上勘案すると、訂正事項5による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項5による訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)拡張又は変更
上記(ア)で述べた訂正の内容からみて、訂正事項5による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項5による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項6について
訂正事項6による訂正は、訂正前の請求項7についての訂正であって、訂正前の請求項7が訂正前の請求項6を引用していたのを引用関係を解消して新たな独立請求項7とする訂正を含む。また、訂正事項6による訂正は、訂正の対象が訂正前の請求項7であること以外、その訂正内容は、実質的に訂正事項2による訂正(酸素濃度、温度範囲及び樹脂の範囲についての訂正、「レジストパターン」から「レジスト下層膜」に変更する訂正等)と同様の内容である。
そうしてみると、訂正事項6による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第2号に掲げる事項(誤記の訂正)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項6による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項6による訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項5による訂正と同様の理由により、訂正事項6による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 訂正事項7について
訂正事項7による訂正は、以下の(ア)~(エ)に示す訂正からなる。
(ア)訂正前の請求項6を引用した訂正前の請求項9について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項9とする訂正(以下「訂正事項7-1」という。)
(イ)訂正前の請求項6及び7を引用した訂正前の請求項9について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項14とする訂正(以下「訂正事項7-2」という。)
(ウ)訂正前の請求項6及び8(請求項7を引用する部分を除く)を引用した訂正前の請求項9について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項15とする訂正(以下「訂正事項7-3」という。)
(エ)訂正前の請求項6~8をいずれも引用した訂正前の請求項9について引用関係を解消して訂正後の新たな請求項16とする訂正(以下「訂正事項7-4」という。)
以下、各訂正事項について検討する。
(ア)訂正事項7-1について
a 訂正の目的
訂正事項7-1による訂正は、訂正前の請求項6の酸素濃度の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正Aを含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項7-1による訂正は、訂正前の請求項6の「450℃超800℃以下」を「450℃超600℃以下」とする訂正Bを含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
さらに、訂正事項7-1による訂正は、訂正前の請求項9の「主鎖に芳香環を有する樹脂」を「主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」とし、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物を「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」とし、さらに樹脂αを「ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種」とする訂正C2は、訂正前の請求項4の「主鎖に芳香環を有する樹脂」及び「分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物」をそれぞれ下位概念に限定するものである。
したがって、これら(訂正A、B及びC2)はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
また、訂正事項7-1による訂正のうち、訂正前の請求項6の「上記レジストパターンを形成する工程が」を「上記レジスト下層膜を形成する工程が」とする訂正Y、訂正前の請求項6の式(1)中のR5の定義に「単結合」を加える訂正D、除く態様である(A)及び(B)を「(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの」とする訂正E1、訂正前の請求項6の「式(1)又は(2)で表される」ものを「式(1)又は(2)で表される構造を含む」ものとする訂正F及び式(1)の説明において「式中」を「式(1)中」と明確化する訂正Gを含む。上記訂正D、E1、F及びGの内容から、これらの訂正は、訂正事項5と同様の訂正といえる。
以上によれば、訂正事項7-1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第2号に掲げる事項(誤記の訂正)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
b 新規事項
訂正事項7-1による訂正のうち訂正A及び訂正Bは、それぞれ本件明細書段落【0016】及び【0015】の記載に基づくものである。
また、訂正C2のうち上記主鎖に芳香環を有する樹脂が、「ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β」であること(訂正C2-1)は、本件明細書段落【0038】及び【0039】の記載に基づき、分子量が600以上3000以下の芳香環含有化合物が、「分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ」であること(訂正C2-2)は、本件明細書段落【0038】の記載に基づき、樹脂αが、「ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種」であること(訂正C2-3)は、本件明細書段落【0039】の記載に基づくものである。
さらに、訂正事項7-1による訂正のうちの、訂正D、E1、F及びGは、訂正事項5による訂正と同様の内容であるから、本件明細書における訂正の根拠も同様である。
以上勘案すると、訂正事項7-1による訂正は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項7-1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
c 拡張又は変更
上記「第2(1)ウ(ア)」及び「第2(2)ウ(ア)」によれば、訂正事項7-1による訂正は、訂正の対象となる訂正前の請求項こそ異なるものの、訂正事項3-1による訂正の内容と同様のものであるから、訂正の適否は上記「(1)ウ(ア)」で判断したとおりとなる。
ただし、除く態様に係る訂正の内容が、訂正事項3-1による訂正と訂正事項7-1による訂正とでは異なるから、この点については改めて検討する必要がある。
訂正事項7-1による訂正のうち、訂正E1及び訂正Fは、訂正前の請求項6において除かれていた範囲に相当する「(A)及び(B)」を、新たな「(A)及び(B)」へと変更するものである。ここで、訂正前の「(A)」は、「(A)上記レジスト下層膜を形成する工程と、上記レジストパターンを形成する工程との間に、上記レジスト下層膜上に、シリコン膜を形成する工程と、上記シリコン膜上に、炭化水素膜材料をコーティングし、炭化水素膜を形成する工程と、上記炭化水素膜上に、珪素酸化膜材料をコーティングし、珪素酸化膜を形成する工程とを備え、且つ上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表されるもの」であり、訂正前の「(B)」は、「(B)上記芳香環を有する化合物が下記式(3)で表されるもの」である(当合議体注:式(1)~式(3)は上記「第2」「2(2)ア」に記載されたものである。)。
他方、訂正後の「(A)」は、「(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの」であることから、訂正後の「(A)」は、訂正前の「(A)」と同一の「式(1)又は(2)で表される構造を含むもの」(下線は強調のために付した。)であって、なおかつ上記下線部の要件が課されないものと理解される。さらに、訂正前の「(B)」は、「上記芳香環を有する化合物が下記式(3)で表されるもの」であって、当該「式(3)」で表される化合物は、訂正後の「(A)」における「式(1)又は(2)で表される構造を含むもの」に含まれる化合物である。加えて、訂正後の「(B)」は、訂正前の請求項6において「除く」とされた範囲に含まれていない。
以上総合すると、訂正後に「除く」とされた範囲である「(A)及び(B)」は、実質的にみて、訂正前に「除く」とされた範囲である「(A)及び(B)」を全て包含するより広い範囲のものである。
そうしてみると、上記aの訂正内容及び除く態様に係る訂正についての上記検討結果から、訂正事項7-1による訂正により、訂正前の特許請求の範囲には含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることにならないことは明らかである。
したがって、訂正事項7-1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(イ)訂正事項7-2について
上記「2(1)ウ(イ)」及び「2(2)ウ(イ)」によれば、訂正事項7-2による訂正は、訂正の対象となる訂正前の請求項こそ異なるものの、訂正事項3-2による訂正の内容と同様のものであるから、訂正の適否は上記「(1)ウ(イ)」で判断したとおりとなる。
また、除く態様に係る訂正の適否についても、上記「(ア)c」に示した判断と同様となる。
したがって、訂正事項7-2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第2号に掲げる事項(誤記の訂正)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項7-2による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7-2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(ウ)訂正事項7-3について
上記「2(1)ウ(ウ)」及び「2(2)ウ(ウ)」によれば、訂正事項7-3による訂正は、訂正の対象となる訂正前の請求項こそ異なるものの、訂正事項3-3による訂正の内容と同様のものであるから、訂正の適否は上記「(1)ウ(ウ)」で判断したとおりとなる。
また、除く態様に係る訂正の適否についても、上記「(ア)c」に示した判断と同様となる。
したがって、訂正事項7-3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第2号に掲げる事項(誤記の訂正)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項7-3による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7-3による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(エ)訂正事項7-4について
上記「2(1)ウ(エ)」及び「2(2)ウ(エ)」によれば、訂正事項7-4による訂正は、訂正の対象となる訂正前の請求項こそ異なるものの、訂正事項3-4による訂正の内容と同様のものであるから、訂正の適否は上記「(1)ウ(エ)」で判断したとおりとなる。
また、除く態様に係る訂正の適否についても、上記「(ア)c」に示した判断と同様となる。
したがって、訂正事項7-4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)、同条同項ただし書第2号に掲げる事項(誤記の訂正)、同条同項ただし書第3号に掲げる事項(明瞭でない記載の釈明)及び同条同項ただし書4号に掲げる事項(他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること)を目的とするものである。
また、訂正事項7-4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7-4による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
エ 訂正事項8について
(ア)訂正の目的
訂正事項8による訂正は、訂正前の請求項6の「1容量%未満」を「0.01容量%以下」とする訂正Aを含み、酸素濃度をより狭い範囲へ限定するものである。
また、訂正事項8による訂正は、訂正前の請求項6の「450℃超800℃以下」を「450℃超550℃以下」とする訂正B2を含み、温度範囲をより狭い範囲へ限定するものである。
したがって、訂正事項8による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。
(イ)新規事項
訂正事項8による訂正のうち、訂正Aは、本件明細書段落【0016】の記載に、訂正B2は、本件明細書段落【0262】【表1】の実施例1~実施例19の「レジスト下層膜形成時の加熱温度」の記載に基づくものである。
したがって、訂正事項8による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ)拡張又は変更
上記アから明らかなように、訂正事項8による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことは明らかである。
オ 第2群に係る訂正についての小括
以上ア~エで述べたとおり、第2群に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するものである。
4 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法120条の5第2項ただし書、同法同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
したがって、結論に記載のとおり、特許第6711104号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、11~13〕〔6~10、14~16〕について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記「第2」のとおり、本件訂正請求による訂正は認められた。
そうしてみると、特許異議の申立ての対象となっている発明は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1~請求項16に記載された事項によって特定されるとおりの、以下のものである(以下、本件訂正請求後の各請求項に係る発明を、それぞれ「本件特許発明1」などという。
また、訂正後の請求項1~請求項16に係る発明を「本件特許発明」と総称することがある。)。なお、下線は訂正箇所である。
「【請求項1】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化1】
(当合議体注:【化1】の再度の摘記は省略する。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化2】
(当合議体注:【化2】の再度の摘記は省略する。)
【化3】
(当合議体注:【化3】の再度の摘記は省略する。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項2】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化4】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化5】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化6】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項3】
上記温度が500℃以上600℃以下である請求項1又は請求項2に記載のレジスト下層膜形成方法。
【請求項4】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記樹脂αが、ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化7】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化8】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化9】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項5】
上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物であり、
上記温度が450℃超550℃以下である請求項4に記載のレジスト下層膜形成方法。【請求項6】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化10】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化11】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化12】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項7】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
カリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化13】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化14】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化15】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項8】
上記温度が500℃以上600℃以下である請求項6又は請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記樹脂αが、ノボラック系樹脂及びピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化16】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化17】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化18】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項10】
上記主鎖に芳香環を有する樹脂が重縮合化合物であり、
上記温度が450℃超550℃以下である請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、下記式(5)若しくは(6)で表される部分構造を有する芳香環含有化合物γ’、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化19】
[図:0001386096000009.jpg]
(式(5)中、R101~R104は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は炭素数1~20の1価の有機基である。a11及びa12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。b11及びb12は、それぞれ独立して、0~4の整数である。R101~R104がそれぞれ複数の場合、複数のR101は同一でも異なっていてもよく、複数のR102は同一でも異なっていてもよく、複数のR103は同一でも異なっていてもよく、複数のR104は同一でも異なっていてもよい。n11及びn12は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k11及びk12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。但し、a11+k11は、9以下であり、a12+k12は、9以下である。*11は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化20】
[図:0001386096000010.jpg]
(式(6)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、スピロ炭素原子及び芳香環の炭素原子と共に構成される置換又は非置換の環員数4~10の環構造を表す。R131及びR132は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。R131及びR132がそれぞれ複数の場合、複数のR131は同一でも異なっていてもよく、複数のR132は同一でも異なっていてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k1及びk2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。但し、a1+k1は8以下であり、a2+k2は8以下である。*13は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化21】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化22】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化23】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項12】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上550℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化24】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化25】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化26】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項13】
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記芳香環を有する化合物が架橋性を有するレジスト下層膜形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化27】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化28】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化29】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項14】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、下記式(5)若しくは(6)で表される部分構造を有する芳香環含有化合物γ’、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化30】
[図:0001386096000011.jpg]
(式(5)中、R101~R104は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は炭素数1~20の1価の有機基である。a11及びa12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。b11及びb12は、それぞれ独立して、0~4の整数である。R101~R104がそれぞれ複数の場合、複数のR101は同一でも異なっていてもよく、複数のR102は同一でも異なっていてもよく、複数のR103は同一でも異なっていてもよく、複数のR104は同一でも異なっていてもよい。n11及びn12は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k11及びk12は、それぞれ独立して、0~9の整数である。但し、a11+k11は、9以下であり、a12+k12は、9以下である。*11は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化31】
[図:0001386096000012.jpg]
(式(6)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、スピロ炭素原子及び芳香環の炭素原子と共に構成される置換又は非置換の環員数4~10の環構造を表す。R131及びR132は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基又は1価の有機基である。a1及びa2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。R131及びR132がそれぞれ複数の場合、複数のR131は同一でも異なっていてもよく、複数のR132は同一でも異なっていてもよい。n1及びn2は、それぞれ独立して、0~2の整数である。k1及びk2は、それぞれ独立して、0~8の整数である。但し、a1+k1は8以下であり、a2+k2は8以下である。*13は、上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。)
【化32】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化33】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化34】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項15】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上550℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであるパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化35】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化36】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化37】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)
【請求項16】
基板の一方の面側にレジスト下層膜を形成する工程と、
上記レジスト下層膜の上記基板とは反対の面側にレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンをマスクとした複数回のエッチングにより上記基板にパターンを形成する工程と
を備え、
上記レジスト下層膜を形成する工程が、
レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、500℃以上600℃以下の温度で加熱する加熱工程と
を備え、
上記レジスト下層膜形成用組成物が、芳香環を有する化合物を含有し、
上記芳香環を有する化合物が、
主鎖に芳香環を有する樹脂であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、
主鎖に芳香環を有する樹脂であるカリックスアレーン系樹脂β、
分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、
又はこれらの組み合わせであり、
上記芳香環を有する化合物が架橋性を有するパターン形成方法(但し、下記(A)及び(B)を除く)。
(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの
【化38】
(当合議体注:【化1】と同一の構造式である。)
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化39】
(当合議体注:【化2】と同一の構造式である。)
【化40】
(当合議体注:【化3】と同一の構造式である。)
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」
第4 当合議体が通知した取消しの理由
●理由1(サポート要件)本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるということができないから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
●理由2(進歩性)本件特許の請求項1~請求項10に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2000-310863号公報(後記「甲1-1」)
引用文献2:特開2010-122656号公報(後記「甲1-2」及び「甲2-1」)
引用文献3:特開2013-156627号公報(後記「甲2-2」)
●理由3(拡大先願)本件特許の請求項1~請求項10に係る発明は、先の出願の日前の他の日本語特許出願であって、本件特許の出願後に国際公開がされたものの国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が他の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また、本件特許の出願の時に本件特許の出願人が他の日本語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法184条の13)。
先願1:特願2017-504921号(国際出願番号はPCT/JP2016/053534号、国際公開番号は国際公開第2016/143436号)(「甲1-14」及び「甲2-8」でもある。)
●理由4(拡大先願)本件特許の請求項1~請求項10に係る発明は、先の出願の日前の他の特許出願であって、本件特許の出願後に出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が他の特許出願に係る上記発明をした者と同一ではなく、また、本件特許の出願の時に本件特許の出願人が他の特許出願の出願人と同一でもないので、特許法29条の2の規定により、特許を受けることができない。
先願2:特願2014-140110号(特開2016-18051号公報)(「甲2-9」である。)
●理由5(明確性要件)本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が、明確であるということができないから、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
第5 当事者が提出した証拠
当事者は、それぞれ以下に示す証拠を提出した。以下では、特許異議申立人1及び特許異議申立人2が提出した証拠を区別するために、前者が提出した証拠を「甲1-〇」、後者が提出した資料を「甲2-〇」などという。
1 特許異議申立人1が提出した証拠
甲1-1 :特開2000-310863号公報(以下「甲1」という。)
甲1-2 :特開2010-122656号公報(以下「甲2」という。)
甲1-3 :特開2004-146450号公報
甲1-4 :特開2004-335571公報
甲1-5 :特開2005-39017公報
甲1-6 :国際公開第2007/105776号
甲1-7 :特開2012-215842公報
甲1-8 :特開2009-14816公報
甲1-9 :特開2010-271654公報
甲1-10:特開2006-259482公報
甲1-11:国際公開第2014/030579号
甲1-12:国際公開第2013/047516号
甲1-13:国際公開第2010/147155号
甲1-14:再公表WO2016/143436号(特願2017-504921号に係る特許出願の国内公表公報であって、国際出願番号はPCT/JP2016/053534号)(以下「先願1」という。)
甲1-15:特願2016-85581号の審査過程で提出された令和2年1月14日提出の意見書
参考資料1 :大岩徳久、次世代微細加工技術、東芝レビュー、Vol.59、No.8、2004年、22頁
参考資料2 :再公表2014/171326号公報
参考資料3 :国際公開第2013/047516号
参考資料4 :特開2013-253227号公報
参考資料5 :特開2005-292528号公報
参考資料6 :再公表2008/038544号公報
参考資料7 :特開2012-1687号公報
参考資料8 :特開2012-77295号公報
参考資料9 :特開2006-140222号公報
参考資料10:特開2009-14816号公報
2 特許異議申立人2が提出した証拠
甲2-1 :特開2010-122656号公報(「甲2」と同一である。)
甲2-2 :特開2013-156627号公報(以下「甲3」という。)
甲2-3 :特開2012-141496号公報
甲2-4 :特開2010-160189号公報
甲2-5 :参考資料7と同一である。
甲2-6 :特開2000-206704号公報
甲2-7 :特開2010-181605号公報
甲2-8 :甲1-14と同一である。
甲2-9 :特願2014-140110号(特開2016-18051号公報)(以下「先願2」という。)
甲2-10:梶正史他3名、新規なピレン構造を有するエポキシ樹脂の合成とフェノールノボラックによる硬化物の物性、ネットワークポリマー、Vol.20、No.4、1999年、179頁~184頁
甲2-11:大西裕一他2名、多環芳香族型エポキシ樹脂の硬化性と熱機械特性、高分子論文集、Vol.68、No.2、2011年2月、62頁~71頁
甲2-12:特許第6255210号公報
甲2-13:国際公開第2014/196509号
第6 当合議体の判断(進歩性)
1 甲1の記載及び甲1に記載された発明
(1)甲1の記載
甲1は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア
「【請求項1】 被加工膜上に、下記一般式(CP1)ないし(CP4)で表される繰り返し単位を有するネットワーク状炭素重合体の少なくとも1種を含む溶液を塗布してマスク材を形成する工程と、
前記マスク材上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に対してパターン露光および現像処理を施してレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを前記マスク材に転写して、マスク材パターンを形成する工程と、
前記マスク材パターンを前記被加工膜に転写して、被加工膜パターンを形成する工程とを具備するパターン形成方法。
【化1】
[図:0001386096000013.jpg]
(上記一般式中、Rはハロゲン原子、水素原子、置換または無置換の炭化水素基であり、Aは多価の有機基である。m,n,kは正の整数である。)
」
イ
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、層間絶縁膜や金属配線層等の薄膜の加工方法に関する。
・・・中略・・・
【0004】従来からマスク材として、乾式方法で成膜できるものとして、アルミニウムなどの金属膜、およびカーボンが用いられ、湿式で成膜できるものとしては、ポリシラン、さらにノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンなどの有機樹脂が用いられてきた。これらのうち、乾式で成膜する金属膜やカーボンは、成膜に真空系が必要であるため成膜コストがかかる。湿式方法で成膜できる材料においても、ポリシランは無機原子を含むため被加工膜の加工終了後、残ったマスク材パターンを剥離することが難しく、一方、有機樹脂を用いた場合には、レジスト並みのエッチング耐性しか得られない。
・・・中略・・・
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、湿式方法で正常に塗布できるとともに充分なエッチング耐性を有し、しかも灰化処理で剥離することができるマスク材を用い、レジスト膜厚を薄くした際でも被加工膜を異方性よく加工可能なパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0008】また本発明は、アライメント光に対する透明性を付与したマスク材を用い、下地パターンに対して高精度の位置合わせを行ってパターンを形成可能なパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、被加工膜上に、下記一般式(CP1)ないし(CP4)で表される繰り返し単位を有するネットワーク状炭素重合体の少なくとも1種を含む溶液を塗布してマスク材を形成する工程と、前記マスク材上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜に対してパターン露光および現像処理を施してレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを前記マスク材に転写して、マスク材パターンを形成する工程と、前記マスク材パターンを前記被加工膜に転写して、被加工膜パターンを形成する工程とを具備するパターン形成方法を提供する。」
ウ
「【発明の実施の形態】
・・・中略・・・
【0020】ここで、一般式(CP1)ないし(CP4)で表される繰り返し単位を有するネットワーク状炭素重合体について、詳細に説明する。
・・・中略・・・
【0082】まず、一般式(CP1)ないし(CP4)で表される繰り返し単位を有するネットワーク状炭素重合体を所定の有機溶剤に溶解して溶液材料を調製する。用い得るネットワーク状炭素重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、200~200,000であることが好ましい。この理由は、分子量が200未満であると、レジストの溶媒にマスク材が溶解してしまい、一方200,000を越えると、有機溶剤に溶解しにくく、溶液材料を調製するのが困難になるためである。
・・・中略・・・
【0085】さらに、上述したようなネットワーク状炭素重合体に架橋剤を配合して、組成物として用いてマスク材16を形成してもよい。用い得る架橋剤としては、分子中に炭素-炭素多重結合を2つ以上有する化合物が挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、エチニル基、1,3-ブタンジエキル基、およびプロパギル基などが挙げられるが特に限定されない。このような多重結合を有する化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの状態でもよい。
【0086】多重結合を有する化合物は、熱または光によりネットワーク状炭素重合体の一部が分解し生成した活性種との間で反応して、重合体を架橋させる。なお、多重結合を有する化合物は、自己重合していてもよい。分子中に炭素-炭素多重結合を2つ以上有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
・・・中略・・・
【0088】架橋剤の配合量は、ネットワーク状重合体100重量部に対して、0.001~300重量部とすることが好ましく、0.1~50重量部がより好ましい。
・・・中略・・・
【0090】上述したように、所定のネットワーク状炭素重合体、および場合によってはさらに別の化合物を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料が調製される。得られた塗布材料を、例えばスピンコーティング法などによって被加工膜上に塗布して塗膜を形成する。本発明において用いられるネットワーク状炭素重合体は、繰り返し単位中に有機基を有するため有機溶剤に溶解しやすいので、正常に塗布して成膜を行うことができる。次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて塗膜を加熱して溶剤を気化することによって、耐熱性および耐溶剤性に優れたマスク材16が形成される。本発明で用いられるネットワーク状炭素重合体を含む塗膜は、加熱によりポリマー中の炭素-ハロゲン(C-X)結合が熱分解してポリマー間の架橋が進行して不溶化するためである。
【0091】なお、加熱温度は、50~700℃の範囲が好ましく、70~500℃の範囲がより好ましい。50℃未満の場合には、溶剤が充分に気化せず、一方700℃を越えると被加工膜が変質するおそれがあるからである。
【0092】加熱雰囲気は特に限定されないが、ネットワーク状炭素重合体が酸化されてエッチング耐性が低下する場合には、酸素濃度10%以下、より好ましくは1%以下の低酸素雰囲気中で加熱を行うことが望まれる。
【0093】さらに、塗膜に対して加熱、あるいはエネルギービームを照射してもよい。この場合には、マスク材16中に含まれる有機基が揮発あるいは炭化するので、よりエッチング耐性のある膜を得ることができる。エネルギービームとしては、例えば、紫外光、X線、電子ビーム、イオンビームなどを挙げることができる。紫外線を照射する場合、450nm以下の波長が含まれていることが好ましく、照射量は0.1mJ/cm2 以上が好ましい。その理由は、450nmを越える波長、あるいは0.1mJ/cm2 未満の照射量では有機基の揮発または炭化を充分に進行させることができないためである。電子ビームを照射する場合、加速電圧は0.1~1000keV、照射量は0.1μC/cm2 ~10000C/cm2 の範囲が好ましい。加速電圧が0.1keV未満では表層部分のみしか電子ビームが照射されず、一方1000keVを越えると、電子ビームがマスク材を透過して照射効率が著しく低下してしまう。また、照射量が0.1μC/cm2未満では有機基の揮発または炭化を充分に進行させることができず、一方10000C/cm2 を越えると処理時間の増大を招いてしまう。なお、加熱あるいはエネルギービームの照射でネットワーク状炭素重合体が酸化されてエッチング耐性が低下する場合には、加熱およびエネルギービームの照射は酸素濃度10%以下、より好ましくは1%以下の低酸素濃度雰囲気で行うことが望まれる。また、エネルギービームの照射と加熱とは同時に行ってもよい。
【0094】次に、マスク材16上にレジスト溶液をスピンコート法などにより塗布し、ホットプレートあるいはオーブンなどを用いて加熱して溶媒を気化させることにより、図1(b)に示すようにレジスト膜17を形成する。レジスト膜17の膜厚を薄くすれば、それだけ露光時の露光量裕度、フォーカス裕度、あるいは解像度を向上させることができる。そのため、レジスト膜17の膜厚は、マスク材16を寸法制御性よくエッチングできる膜厚であれば薄いほうがよく、好ましくは10~10,000nmが望ましい。10nm未満では、マスク材を良好な形状でエッチングすることが難しく、一方、10,000nmを越えると、解像度の低下を招いてしまう。
・・・中略・・・
【0097】次に、レジスト膜17等が形成されたウェハー基板10にパターン露光を行う。露光光の光源として、例えば紫外光、X線、電子ビーム、イオンビームなどが挙げられる。具体的には紫外光としては、水銀灯のg線(波長=436nm)、i線(波長=365nm)、あるいはXeF(波長=351nm)、XeCl(波長=308nm)、KrF(波長=248nm)、KrCl(波長=222nm)、ArF(波長=193nm)、およびF2 (波長=151nm)等のエキシマレーザーが挙げられる。必要に応じて、ホットプレート、オーブンなどを用いてポストエクスポージャーベークを行ってよい。
【0098】次いで、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド)、コリンなどのアルカリ現像液で現像処理を行うことにより、図1(c)に示すようなレジストパターン17aが形成される。
【0099】得られたレジストパターン17aをエッチングマスクとして用いて、マスク材16をドライエッチングすることによりレジストパターン17aをマスク材16に転写して、図2(a)に示すようなマスク材パターン16aを形成する。エッチング方式としては、例えば、反応性イオンエッチング、マグネトロン型反応性イオンエッチング、電子ビームイオンエッチング、ICPエッチングまたはECRイオンエッチングなど微細加工可能なものであれば特に限定されない。ソースガスは特に限定されることはないが、O2、CO、CO2などの酸素原子を含むガス;He、N2、Arなどの不活性ガス;Cl2、BCl3などの塩素系ガス;その他H2などを使用することができる。
【0100】さらに、レジストパターン17aおよびマスク材パターン16aをエッチングマスクとして用いて、被加工膜としての金属配線層15をエッチングすることにより、図2(b)に示すような金属配線パターン15aが形成される。エッチング方式としては、例えば、反応性イオンエッチング、マグネトロン型反応性イオンエッチング、電子ビームイオンエッチング、ICPイオンエッチング、またはECRイオンエッチングなど微細加工可能なものであれば特に限定されるものではない。
【0101】本発明のネットワーク状炭素重合体を用いて形成されたマスク材16は、スパッタリングされにくいカーボン原子で基本骨格が構成されるため、エッチャントの種類によることなく充分なエッチング耐性が得られる。その結果、マスク材パターン16aの肩落ちや後退を防ぐことができ、高い異方性をもって被加工膜15を加工することができる。この工程では、レジストパターン17aを除去して、マスク材パターン16aのみをエッチングマスクとして用いて被加工膜15をエッチングしてもよい。」
エ
「【0165】
【実施例】以下に、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
【0166】(実施例I)本実施例においては、第1のパターン形成方法について述べる。
【0167】(実施例I-1)以下、図1および図2を参照しつつ本実施例を説明する。
【0168】まず、シリコンウェハー10上に厚さ300nmのSiO2 膜11をスパッター法により形成した。このSiO2 膜11上に、被加工膜としての金属配線層15をスパッター法により形成した。金属配線層15は、TiN膜12(膜厚:40nm)、Ti膜13(膜厚:5nm)、0.5%-Cu-Al膜14(膜厚:230nm)、Ti膜13(膜厚:10nm)、およびTiN膜12(膜厚:20nm)が順次形成された積層構造である。
【0169】得られた被加工膜である金属配線層15の上に、以下の(S1)~(S6)に示す手法を用いて、図1(a)に示したようなマスク材16をそれぞれ形成した。
【0170】(S1)ネットワーク状炭素重合体として前記化学式[CP1-1]で表される重量平均分子量12,000の化合物(n/m=1/1)1gを、クメン9gに溶解してマスク材溶液を調製した。このマスク材溶液を被加工膜(金属配線層)15上にスピンコーティング法により塗布した後、窒素雰囲気中(酸素濃度50ppm以下)、330℃で60秒間加熱してマスク材を形成した。」
(2)甲1に記載された発明
ア 甲1発明
甲1の【0090】~【0093】に記載された「マスク材16」の形成工程は、請求項1に記載された「パターン形成方法」における「マスク材パターンを形成する工程」を具体化したものと理解される。さらに、甲1の【0094】~【0100】の記載(特に、上記(1)ウの下線部)によれば、上記「マスク材16」は、当該「マスク材16」及びその上に形成される「レジスト膜17」から得られる、「レジストパターン17aおよびマスク材パターン16aをエッチングマスクとして用いて、被加工膜としての金属配線層15をエッチングする」(特に、【0100】)ためのものである。
以上によれば、甲1には、次の「マスク材16の形成」方法の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「ネットワーク状炭素重合体を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料を調製し、得られた塗布材料を被加工膜上に塗布して塗膜を形成し、
次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて塗膜を加熱して溶剤を気化することによって、耐熱性および耐溶剤性に優れたマスク材16を形成する方法において、
マスク材16は、当該マスク材16及びその上に形成されるレジスト膜17から得られる、レジストパターン17aおよびマスク材パターン16aをエッチングマスクとして用いて、被加工膜としての金属配線層15をエッチングするためのものである、
マスク材16の形成方法。」
(3)甲2の記載
甲2は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア
「【請求項1】
リソグラフィーで用いられる少なくとも3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、少なくとも、下記一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする工程と、コーティングした該レジスト下層膜材料を300℃を超え、600℃以下の温度で、10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させる工程を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成方法。
【化37】
[図:0001386096000014.jpg]
(一般式(1)中、R1、R2は同一、又は異種の水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数2~20のアルケニル基である。R3、R4はそれぞれ水素原子、あるいはグリシジル基であり、R5は単結合、炭素数1~10の直鎖状、分岐状のアルキレン基であり、R6、R7はベンゼン環、ナフタレン環である。p、qはそれぞれ1又は2である。nは0<n≦1である。)
・・・中略・・・
【請求項4】
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、基板上に請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成方法によりレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上に珪素原子を含有するレジスト中間層膜材料を用いてレジスト中間層膜を形成し、該レジスト中間層膜の上にフォトレジスト組成物からなるレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、得られたレジストパターンをエッチングマスクにして前記レジスト中間膜をエッチングし、得られたレジスト中間膜パターンをエッチングマスクにして前記レジスト下層膜をエッチングし、得られたレジスト下層膜パターンをエッチングマスクにして基板をエッチングして基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。」
イ
「【0027】
以上より、反射防止膜としての最適なn、k値と埋め込み特性、優れたエッチング耐性、耐溶媒性を有し、更にCVD法などによる無機ハードマスク中間膜形成中の高温にも耐えることができる耐熱性を有し、基板のエッチング中によれが生じないレジスト下層膜を形成するための方法やレジスト下層膜材料が求められているのである。
・・・中略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、リソグラフィーで用いられる少なくとも3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、反射率を低減でき、エッチング耐性が高く、高い耐熱性、耐溶媒性を有し、特に基板のエッチング中によれの発生がないレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜形成方法及びこれを用いたパターン形成方法を提供することにある。また、本発明は、多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、反射率を低減でき、特にエッチング耐性が高く、高い耐熱性を有し、基板のエッチング中によれの発生がないレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記課題を解決するために、本発明によれば、リソグラフィーで用いられる少なくとも3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、少なくとも、下記一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする工程と、コーティングした該レジスト下層膜材料を300℃を超え、600℃以下の温度で、10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させる工程を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成方法を提供する。
・・・中略・・・
【0048】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、フルオレン、ベンゾフルオレンのビスナフトール化合物のノボラック樹脂は耐熱性が非常に高いことを見出し、300℃を超える高温でベークをすると熱分解を起こさずに溶媒等の蒸発が促進され、膜の炭素密度、緻密性が高くなる性質を持ち、エッチング耐性が向上し、特にはエッチング後の微細パターンのよれ防止効果に優れ、レジスト下層膜として有望な材料であることを見出した。
・・・中略・・・
【0053】
本発明のパターン形成方法に用いる下層膜材料にはビスナフトール化合物をアルデヒド類との縮合反応によってノボラック化した樹脂を用いる。
・・・中略・・・
【0055】
ビスナフトール類とアルデヒドの縮合反応に触媒を用いることもできる。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性触媒を挙げることができる。
・・・中略・・・
【0057】
重縮合における反応溶媒として水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン又はこれらの混合溶媒用いることができる。これらの溶媒は、反応原料100質量部に対して0~2,000質量部の範囲である。
・・・中略・・・
【0059】
重縮合の方法としては、ビスナフトール化合物、アルデヒド類、触媒を一括で仕込む方法や、触媒存在下ビスナフトール化合物、アルデヒド類を滴下していく方法がある。重縮合反応終了後、系内に存在する未反応原料、触媒等を除去するために、反応釜の温度を130~230℃にまで上昇させ、1~50mmHg程度で揮発分を除去することができる。
・・・中略・・・
【0063】
また、本発明のレジスト下層膜形成方法で用いるレジスト下層膜材料としては、更にエッチング耐性を強化するために、下記一般式(2)式で示され、かつ重量平均分子量が500~100000である樹脂を含むものを用いることが好ましい。
・・・中略・・・
【0080】
本発明のパターン形成方法は、上記一般式(1)に示されるフルオレン、ベンゾフルオレンを有するビスナフトール化合物を縮合したノボラック樹脂を含むフォトレジスト下層膜材料を基板上にコーティングし、300℃を超える高温でベークして、レジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜の上にレジスト中間層膜を介してフォトレジスト組成物のレジスト上層膜を形成し、このフォトレジスト層の所用領域に放射線等を照射し、現像液で現像してレジストパターンを形成し、ドライエッチング装置で得られたフォトレジストパターンをマスクにしてレジスト中間層膜をエッチングし、得られたレジスト中間層膜パターンをマスクにしてレジスト下層膜及び基板を加工するものである。
【0081】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト下層膜材料は、フォトレジストと同様にスピンコート法などで被加工基板上にコーティングする。スピンコート法などを用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。スピンコート後、溶媒を蒸発し、レジスト上層膜やレジスト中間層膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークを行う。ベークは300℃を超え、600℃以下の範囲内で行い、10~600秒、好ましくは10~300秒の範囲内で行う。ベーク温度は、より好ましくは350℃以上500℃以下である。デバイスダメージやウェハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウェハープロセスでの加熱できる温度の上限は600℃以下、好ましくは500℃以下である。
・・・中略・・・
【0083】
ベーク中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN2、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、レジスト下層膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。ベーク中にレジスト下層膜が酸化されると吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがあるため好ましいことではない。」
ウ
「【実施例】
【0098】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
ポリマー合成例(ポリマー1~22、比較ポリマー1~3)
【0099】
(合成例1)
300mlのフラスコにフルオレンビスナフトールの291g、37%ホルマリン水溶液75g、シュウ酸5gを加え、撹拌しながら100℃で24時間撹拌させた。反応後メチルイソブチルケトン500mlに溶解し、十分な水洗により触媒と金属不純物を除去し、溶媒を減圧除去し、150℃、2mmHgまで減圧し、水分、未反応モノマーを除きポリマー1を得た。
GPCにより分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求め、1H-NMR分析によりポリマー中の比率を以下のように求めた。
ポリマー1 Mw3,500、Mw/Mn4.50
【0100】
[図:0001386096000015.jpg]
」
・・・中略・・・
【0145】
レジスト下層膜材料、レジスト中間層膜材料の調製
(UDL-1~25、比較例UDL-1~3、SOG-1)
表1に示すように上記ポリマー1~22で示される樹脂、上記比較例ポリマー1~3で示される樹脂、ArF珪素含有中間層用ポリマー1、AG1で示される酸発生剤、CR1で示される架橋剤を、FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表1に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってレジスト下層膜材料(ULD-1~25、比較例UDL-1~3)とレジスト中間層膜材料(SOG-1)をそれぞれ調製した。酸発生剤として使用したAG1、架橋剤として使用したCR1、ArF珪素含有中間層用ポリマー1を以下に示す。
・・・中略・・・
【0148】
【表1】
[図:0001386096000016.jpg]
PGMEA;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0149】
溶媒耐性測定
レジスト下層膜材料UDL-1をシリコン基板上に塗布して、窒素気流下、290℃、300℃、310℃、320℃、400℃、500℃でそれぞれ60秒間ベークして膜厚を測定し、その上にPGMEA溶液をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚を測定しPGMEA処理前後の膜厚差を求めた。結果を表2に示した。
【表2】
[図:0001386096000017.jpg]
【0150】
ベークによる膜厚減と炭素濃度測定レジスト下層膜材料UDL-1~25、比較例UDL-1~3をシリコン基板上に塗布して、窒素気流下、下の表3に示す220℃、400℃でそれぞれ60秒間ベークして膜厚を測定した。光学式屈折率計を用いて同一回転数で塗布したベーク温度が220℃の時と400℃の時のそれぞれの膜厚を求め、その比率を計算した。a/bの値が大きい方が高温ベークによる膜厚減小が少なく耐熱性が高い事を示す。
またUDL-1、UDL-7及び比較例UDL-1は、400℃でベークした膜の炭素濃度(重量%)をX線マイクロアナライザー(XPS)で測定し求めた。」
(4)甲2に記載された発明
ア 甲2発明
上記(3)アによれば、甲2には、請求項1に係る発明として、次の「レジスト下層膜形成方法」の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「リソグラフィーで用いられる少なくとも3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、少なくとも【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする工程と、コーティングした該レジスト下層膜材料を300℃を超え、600℃以下の温度で、10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させる工程を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成方法。」
(当合議体注:【化37】及び各置換基の説明は、上記アで摘記したとおりである。以降、摘記は省略する。)
(5)甲3の記載
甲3は、先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に半導体素子等の製造工程における微細加工に用いられる反射防止膜材料として有効なレジスト下層膜材料、レジスト下層膜材料用ポリマーの製造方法、及びこれを用いた遠紫外線、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、F2レーザー光(157nm)、Kr2レーザー光(146nm)、Ar2レーザー光(126nm)、軟X線(EUV、13.5nm)、電子線(EB)、X線露光等に好適なレジストパターン形成方法に関するものである。
・・・中略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、特には3層レジストプロセス用下層膜として反射率を低減でき、即ち反射防止膜としての好適なn値、k値を有し、埋め込み特性に優れ、パターン曲がり耐性が高く、特には60nmよりも細い高アスペクトラインにおけるエッチング後のラインの倒れやよれの発生が無く、更には低温PABでも十分な溶剤耐性を有する下層膜を形成できるレジスト下層膜材料、レジスト下層膜用ポリマーの製造方法、及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1-1)で示される化合物1種類以上と下記一般式(2-3)で示される化合物及びその等価体のうちの1種類以上とを縮合することにより得られる縮合体と、下記一般式(2-1)、(2-2)で示される化合物、及びそれらの等価体のうちの1種類以上とを縮合させることにより得られるポリマーを含有することを特徴とするレジスト下層膜材料を提供する。
【化1】
[図:0001386096000018.jpg]
(上記一般式(1-1)中、R1~R4は互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、イソシアナト基、グリシジルオキシ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数が1~30のアルコキシル基、炭素数が1~30のアルコキシカルボニル基、及び炭素数が1~30のアルカノイルオキシ基のいずれか、又は置換されてもよい炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の有機基である。更に、分子内でR1~R4からそれぞれ任意に選ばれる2個の置換基が結合して、環状置換基を形成してもよい。上記一般式(2-1)及び(2-2)中、Qは置換されてもよい炭素数が1~30の有機基であり、更に分子内で任意に選ばれる2個のQが結合して、環状置換基を形成してもよい。n1~n6は各置換基の数であり、それぞれ0~2の整数である。また、(2-2)では、0≦n3+n5≦3、0≦n4+n6≦4、0≦n3+n4≦4の関係を満たす。上記一般式(2-3)中、Yは水素原子又は置換基を有してもよい炭素数が1~30の一価の有機基であり、(2-3)は(2-1)及び(2-2)とは異なる。)
・・・中略・・・
【0105】
本発明のパターン形成方法におけるレジスト下層膜形成工程では、上記のレジスト下層膜材料を、フォトレジストと同様にスピンコート法等で被加工体上にコーティングする。スピンコート法等を用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。
【0106】
スピンコート後、溶媒を揮発させ、また、架橋反応を促進させて緻密な膜を形成しレジスト上層膜やレジスト中間層膜とのミキシングが起こらないようにするため、加熱処理(PAB)を行う。加熱処理は100℃を超え、600℃以下の範囲内で行い、10~600秒、好ましくは10~300秒の範囲内で行う。加熱処理温度は、より好ましくは150℃以上500℃以下であり、更に好ましくは180℃以上400℃以下である。デバイスダメージやウエハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウェハープロセスでの加熱できる温度の上限は500℃以下、好ましくは450℃以下である。被加工基板の耐熱性等の理由から250℃以下のPAB温度が適用される必要がある場合に、本発明の下層膜材料は特に好ましい。
【0107】
加熱処理中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN2、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、レジスト下層膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。加熱処理中のレジスト下層膜の酸化を防止すると、吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがないため好ましい。」
イ
「【0145】
これら下層膜材料をシリコン基板上にスピンコートして、250℃で60秒間加熱処理してそれぞれ膜厚200nmの塗布膜UDL1~5、9、11~15を形成した。
この膜を、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおけるn値、k値を求めた。その結果を表1に示す。更に、東陽テクニカ社製ナノインデンターSA2型装置でナノインデンテーション試験を行い、上記塗布膜のハードネスを測定した。」
(6)甲3に記載された発明
ア 甲3発明
上記(3)によれば、甲3の【0105】~【0107】には、甲3でいう「本発明」の「パターン形成方法における1つの工程として、実質的に次のレジスト下層膜形成方法の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「レジスト下層膜形成方法であって、レジスト下層膜材料を、スピンコート法で被加工体上にコーティングし、スピンコート後、溶媒を揮発させ、また、架橋反応を促進させて緻密な膜を形成し、加熱処理(PAB)を行う、
レジスト下層膜形成方法。」
2 甲1を主引用例とした場合
(1)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
ア レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜形成方法
甲1発明の「マスク材16」は、「ネットワーク状炭素重合体を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料を調製し、得られた塗布材料を被加工膜上に塗布して塗膜を形成し、次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて塗膜を加熱して溶剤を気化する」ことによって得られた、「耐熱性および耐溶剤性に優れたマスク材16」であり、前記「マスク材16」は、「マスク材16及びその上に形成されるレジスト膜17から得られる、レジストパターン17aおよびマスク材パターン16aをエッチングマスクとして用いて、被加工膜としての金属配線層15をエッチングするためのものである」。
上記組成及びその用途からみて、甲1発明の「ネットワーク状炭素重合体を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料を調製し、得られた塗布材料」が、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物」に相当する。
そして、甲1発明の「マスク材16の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」に相当する。
イ 塗布工程及び加熱工程
甲1発明の「被加工膜」が何らかの基板の上に形成された膜であることは技術常識である。
そうすると、甲1発明の「ネットワーク状炭素重合体を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料を調製し、得られた塗布材料を被加工膜上に塗布して塗膜を形成」する工程及び「塗膜を形成し、次いで、ホットプレート、オーブン等を用いて塗膜を加熱して溶剤を気化する」工程は、技術的にみて、それぞれ本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程」及び「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程」に相当する。
ウ レジスト下層膜形成方法
以上ア~イによれば、甲1発明の「マスク材16の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」における、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、」「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程とを備え」との要件を満たす。
(2)一致点及び相違点
上記(1)によれば、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
ア 一致点
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を加熱する加熱工程と
を備える、レジスト下層膜形成方法。」
イ 相違点
(相違点1A)
「加熱工程」が、本件特許発明1は、「酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する」ものであるのに対して、甲1発明は、このように特定されたものではない点。
(相違点2A)
「レジスト下層膜形成用組成物」が、本件特許発明1は、[A] 芳香環を有する化合物を含有し、上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ又はこれらの組み合わせ(以下「特定芳香族化合物」という。)であり、[B] 下記(A)及び(B)を除くとされているのに対して、甲1発明の「ネットワーク状炭素重合体を有機溶剤に溶解することにより、マスク材の原料となる塗布材料を調製し、得られた塗布材料」はこのように特定されたものではない点。
ここで、(A)及び(B)は以下に示されるものである。
「(A)上記芳香環を有する化合物が下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの(以降「(A)」と略記する。)
(B)上記レジスト下層膜形成用組成物が、フラーレン1分子に対して下記式(i)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むもの(以降「(B)」と略記する。)
【化1】
[図:0001386096000019.jpg]
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は、単結合、炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6及びR7は、それぞれ独立に、ベンゼン環及びナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環及びナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p及びqは、それぞれ独立に、1又は2である。)
【化2】
[図:0001386096000020.jpg]
【化3】
[図:0001386096000021.jpg]
(式(i)中、2つのRは、それぞれ独立して、炭素数1乃至10のアルキル基である。)」
(3)判断
まず、相違点1Aについて検討する。
加熱工程における酸素濃度及び加熱温度について、甲1には次の記載がある。
「加熱温度は、50~700℃の範囲が好ましく、70~500℃の範囲がより好ましい。50℃未満の場合には、溶剤が充分に気化せず、一方700℃を越えると被加工膜が変質するおそれがあるからである。」(【0091】)
「加熱雰囲気は特に限定されないが、ネットワーク状炭素重合体が酸化されてエッチング耐性が低下する場合には、酸素濃度10%以下、より好ましくは1%以下の低酸素雰囲気中で加熱を行うことが望まれる。」(【0092】)
「塗膜に対して加熱、あるいはエネルギービームを照射してもよい。・・・中略・・・なお、加熱あるいはエネルギービームの照射でネットワーク状炭素重合体が酸化されてエッチング耐性が低下する場合には、加熱およびエネルギービームの照射は酸素濃度10%以下、より好ましくは1%以下の低酸素濃度雰囲気で行うことが望まれる。また、エネルギービームの照射と加熱とは同時に行ってもよい。」(【0093】)
上記記載によれば、甲1には、加熱温度を相違点1Aに係る「450℃超600℃以下」の範囲内とすることを示唆する記載はあるものの、酸素濃度については「より好ましくは1%以下の低酸素濃度雰囲気で行うことが望まれる」と上限値が記載されるにとどまる。一方で、甲1に記載された実施例(特に、【0166】~【0170】に記載された実施例1)についてみると、甲1の【0170】には「窒素雰囲気中(酸素濃度50ppm以下)、330℃で60秒間加熱してマスク材を形成した」と記載されているように、酸素濃度は相違点1Aに係る「0.01容量%以下」の範囲内であるものの、加熱温度は相違点1Aの上記範囲外である例が開示されているにとどまる(加熱温度の最高温度は比較例(【0194】)の350℃である。)。加えて、加熱温度については、甲1に限らず、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠(甲1-3~甲1-13及び甲2-3~甲2-7)にも、特定の構造を備えた樹脂を含むレジスト下層膜(後述する甲2に記載されたレジスト下層膜であって、組成が本件特許発明1の範囲外のもの)を除いて、相違点1Aに係る酸素濃度及び加熱温度を同時に満たす加熱工程を施した具体例の開示はない。
他方、後記「第7」で詳述するとおり、本件特許明細書の【0262】【表1】の記載によれば、本件特許発明1の「レジスト下層膜」は耐熱性及び耐エッチングに優れるという有利な効果を奏するものであって、当該有利な効果は酸素濃度及び加熱温度が相違点1Aに係る数値範囲を同時に満たすことによってもたらされる効果であると理解される。そして、本件特許発明1の構成によってもたらされる効果は、甲1及びその他の証拠並びに技術常識に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものともいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1に記載された発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(4)特許異議申立人の主張について
令和3年6月18日付け意見書において、特許異議申立人1は、甲1を主引用例とする進歩性については実質的に意見を述べていない。
また、同日付け意見書48頁~49頁において、特許異議申立人2は、概略、[A]引用文献1(甲1のことである。)等の記載から低酸素濃度雰囲気で熱処理することは公知技術であり、また、0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱することも当業者における設計事項の範囲内に過ぎない点及び[B]本件発明の効果を奏するか否かは樹脂α等の構造に依存するところが大きい物と推測され、特に450℃超600℃以下の温度に耐えられない可能性のある樹脂等やエッチング耐性が低いと推測される構造を有する樹脂等までも含むものである点を主張する。
しかしながら、[A]については上記(3)に、[B]については後記「第7」に示すとおりである。
したがって、上記主張は採用する理由がない。
(5)本件特許発明2~16について
本件特許発明2~16は、いずれも加熱工程における酸素濃度が「0.01容量%以下」である点及び加熱温度の下限値が少なくとも「450度超」である点を発明特定事項として含むから、本件特許発明1と同様の理由により、甲1発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(6)小括
本件特許発明1~16は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
3 甲2を主引用例とした場合
(1)対比
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
ア レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜形成方法
甲2発明の「レジスト下層膜」は、その文言が意味するとおり、本件特許発明1の「レジスト下層膜」に相当する。
また、甲2発明の「レジスト下層膜」は、「【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする」工程を経て形成される膜である。上記組成及び用途からみて、甲2発明の「【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料」が、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物」に相当する。
そして、甲2発明の「レジスト下層膜形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」に相当する。
イ 塗布工程及び加熱工程
甲2発明の「【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする工程」及び「コーティングした該レジスト下層膜材料を300℃を超え、600℃以下の温度で、10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させる工程」は、実質的にみて、それぞれ本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程」及び「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程」に相当する。
ウ レジスト下層膜形成方法
以上ア~イによれば、甲2発明の「レジスト下層膜形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」における、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、」「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程とを備え」との要件を満たす。
エ (A)について
甲2発明の「レジスト下層膜材料」は、「【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有する」ものであるところ、【化37】の式(1)及びその置換基の説明からみて、甲2発明の「レジスト下層膜材料」が、本件特許発明1の「(A)」に該当するものであることは明らかである。
(2)一致点及び相違点
上記(1)によれば、本件特許発明1と甲2発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
ア 一致点
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を加熱する加熱工程と
を備える、レジスト下層膜形成方法。」
イ 相違点
(相違点1B)
「加熱工程」が、本件特許発明1は、「酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する」ものであるのに対して、甲2発明は、このように特定されたものではない点。
(相違点2B)
「レジスト下層膜形成用組成物」が、本件特許発明1は、[A] 芳香環を有する化合物を含有し、上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ又はこれらの組み合わせ(以下「特定芳香族化合物」という。)であり、[B] (A)及び(B)を除くとされているのに対して、甲2発明の「【化37】一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料」は、(A)に該当する点。
(3)判断
事案に鑑み、相違点2Bのうち、「(A)を除く」という要件について検討する。
甲2には、解決しようとする課題について、「本発明は、多層レジスト膜のレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料であって、反射率を低減でき、特にエッチング耐性が高く、高い耐熱性を有し、基板のエッチング中によれの発生がないレジスト下層膜を形成するためのレジスト下層膜材料を提供することにある。」(【0029】)と記載され、さらに、解決するための手段として、「本発明によれば、リソグラフィーで用いられる少なくとも3層を有する多層レジスト膜のレジスト下層膜の形成方法であって、少なくとも、下記一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有するレジスト下層膜材料を基板上にコーティングする工程と、コーティングした該レジスト下層膜材料を300℃を超え、600℃以下の温度で、10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させる工程を含むことを特徴とするレジスト下層膜形成方法を提供する。」(【0030】)
上記記載及び上記(1)エの対比結果から、当業者は、甲2発明の「レジスト下層膜材料」が、「一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有する」こと、すなわち、本件特許発明1の「(A)」に該当することは、課題を解決するための必須の要件であることを理解する。
そうしてみると、当業者が上記必須の要件に反して、甲2発明の「レジスト下層膜材料」から上記「一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂」の使用を排除して、本件特許発明1の「(A)を除く」との要件を満たすような改変を行う動機を見出すことはできない。
したがって、相違点2Bのその他の要件及び相違点1Bについて検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2に記載された発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(4)特許異議申立人の主張について
令和3年6月18日付け意見書において、特許異議申立人1は、甲2を主引用例とする進歩性については実質的に意見を述べていない。
また、同日付け意見書50頁~51頁において、特許異議申立人2は、概略、[A]低酸素濃度雰囲気で熱処理することは公知技術である。また、0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱することも当業者における設計事項の範囲内に過ぎない点及び[B]本件特許発明1(訂正発明1)では「上記芳香環を有する化合物が、下記式(1)又は(2)で表される構造を含むもの」を除くと規定されているものの、樹脂α等は依然無数の化合物を含むものであり、式(1)又は(2)に類似する構造を含む化合物までも排除してはいない。すなわち、式(1)又は(2)に類似する構造を含むような化合物は未だ樹脂α等の範疇であり、これら化合物に対しても有利な効果を有していることは示されていない点を主張する。
しかしながら、[A]については上記「2(3)」に示したとおりである。また、[B]については、特許異議申立人2が主張する「類似する構造を含む化合物」がどのような化合物を意図しているのかが明らかではないため、そのような化合物と本件特許発明1に係る「芳香環を有する化合物」との相違点及び当該相違点に基づく進歩性の判断が困難であって、主張自体失当というほかない。
したがって、上記主張は採用する理由がない。
(5)本件特許発明2~16について
本件特許発明2~16は、いずれも(A)を除くことを発明特定事項として含むから、本件特許発明1と同様の理由により、甲2に記載された発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(6)小括
本件特許発明1~16は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
4 甲3を主引用例とした場合
(1)対比
本件特許発明1と甲3発明とを対比する。
ア レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜形成方法
甲3発明の「レジスト下層膜」は、その文言が意味するとおり、本件特許発明1の「レジスト下層膜」に相当する。
また、甲3発明の「レジスト下層膜」は、「レジスト下層膜材料」を「スピンコート法で被加工体上にコーティングし、スピンコート後、溶媒を揮発させ、また、架橋反応を促進させて緻密な膜を形成」することで得られる。そうしてみると、甲3発明の「レジスト下層膜材料」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物」に相当する。
以上によれば、甲3発明の「レジスト下層膜形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」に相当する。
イ 塗布工程及び加熱工程
甲3発明の「被加工体」が何らかの基板の上に形成されたものであることは技術常識である。
そうすると、甲3発明の「レジスト下層膜材料を、スピンコート法で被加工体上にコーティングし、スピンコート後、溶媒を揮発させ、また、架橋反応を促進させて緻密な膜を形成」する工程及び「加熱処理(PAB)を行う」工程は、技術的にみて、それぞれ本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程」及び「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程」に相当する。
ウ レジスト下層膜形成方法
以上ア~イによれば、甲3発明の「レジスト下層膜形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」における、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、」「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程とを備え」との要件を満たす。
(2)一致点及び相違点
上記(1)によれば、本件特許発明1と甲3発明とは、上記「2 甲1を主引用例とした場合」の「(2)ア」の点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1C)
「加熱工程」が、本件特許発明1は、「酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する」ものであるのに対して、甲3発明は、このように特定されたものではない点。
(相違点2C)
「レジスト下層膜形成用組成物」が、本件特許発明1は、[A] 芳香環を有する化合物を含有し、 上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ又はこれらの組み合わせ(以下「特定芳香族化合物」という。)であり、[B] (A)及び(B)を除くとされているのに対して、甲3発明の「レジスト下層膜材料」はこのように特定されたものではない点。
(3)判断
まず、相違点1Cについて検討する。
加熱工程における酸素濃度及び加熱温度について、甲3には次の記載がある。
「スピンコート後、溶媒を揮発させ、また、架橋反応を促進させて緻密な膜を形成しレジスト上層膜やレジスト中間層膜とのミキシングが起こらないようにするため、加熱処理(PAB)を行う。加熱処理は100℃を超え、600℃以下の範囲内で行い、10~600秒、好ましくは10~300秒の範囲内で行う。加熱処理温度は、より好ましくは150℃以上500℃以下であり、更に好ましくは180℃以上400℃以下である。デバイスダメージやウエハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウェハープロセスでの加熱できる温度の上限は500℃以下、好ましくは450℃以下である。被加工基板の耐熱性等の理由から250℃以下のPAB温度が適用される必要がある場合に、本発明の下層膜材料は特に好ましい。」(【0106】)
「加熱処理中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN2、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、レジスト下層膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。加熱処理中のレジスト下層膜の酸化を防止すると、吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがないため好ましい。」(【0107】)
上記記載によれば、甲3には、加熱温度については、相違点1Cに係る「450℃超600℃以下」の範囲内とすることを示唆する記載が、酸素濃度については「好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である」と記載されているが、一方で、甲3に記載された実施例(特に、【0146】に記載された実施例1~5等)についてみると、甲3の【0145】には「250℃で60秒間加熱処理してそれぞれ膜厚200nmの塗布膜UDL1~5、9、11~15を形成した」(加熱処理時の酸素濃度は記載されていない。)と記載されているように、酸素濃度は相違点1Cに係る「0.01容量%以下」の範囲内であるか不明であり、加熱温度は相違点1Cの上記範囲外である例が開示されているにとどまる。加えて、加熱温度については、甲3に限らず、特許異議申立人1及び2が提出したいずれの証拠にも、特定の構造を備えた樹脂を含むレジスト下層膜(上記甲2に記載されたレジスト下層膜であって、組成が本件特許発明1の範囲外のもの)を除いて、相違点1Cに係る酸素濃度及び加熱温度を同時に満たす加熱工程を施した具体例の開示はない。
他方、後記「第7」で詳述するとおり、本件特許明細書の【0262】【表1】の記載によれば、本件特許発明1の「レジスト下層膜」は耐熱性及び耐エッチングに優れるという有利な効果を奏するものであって、当該有利な効果は酸素濃度及び加熱温度が相違点1Cに係る数値範囲を同時に満たすことによってもたらされる効果であると理解される。そして、本件特許発明1の構成によってもたらされる効果は、甲3及びその他の証拠並びに技術常識に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものともいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲3に記載された発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(4)特許異議申立人の主張について
令和3年6月18日付け意見書において、特許異議申立人1は、甲3を主引用例とする進歩性については実質的に意見を述べていない。
また、同日付け意見書51頁~52頁において、特許異議申立人2は、上記「2 甲1を主引用例とした場合」の上記(4)検討したのと同様の主張をしている。
しかしながら、上記主張は上記(4)と同様の理由により採用する理由がない。
(5)本件特許発明2~16について
本件特許発明2~16は、いずれも加熱工程における酸素濃度が「0.01容量%以下」である点及び加熱温度の下限値が少なくとも「450度超」である点を発明特定事項として含むから、本件特許発明1と同様の理由により、甲3に記載された発明及びその他の文献に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(6)小括
本件特許発明1~16は、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたということはできない。
5 進歩性全般に対する特許異議申立人1の主張
令和3年6月18日付け意見書の26頁~42頁において、特許異議申立人1は、新たに参考資料6を主引用例とした取消の理由を主張しているが、当該理由を採用することは、実質的に令和2年12月7日付けの特許異議の申立ての要旨を変更することは明らかであるから採用しない。
また、仮に採用したとしても、上記取消の理由は、参考資料6の比較例に係る発明を改良の出発点として、その他の文献(参考資料7、甲1、参考資料8及び甲2等)に記載された発明ないし技術的事項を組み合わせて進歩性を論じるものであって、動機づけの論理に無理があることから採用し難いことを付言しておく。
第7 当合議体の判断(拡大先願)
1 先願1明細書の記載及び先願1明細書に記載された発明
(1)先願1明細書の記載
先願1は、先の出願の日前の特許出願であって、その出願後に当該出願に係る発明に基づく優先権の主張を伴う日本語特許出願についての国際公開がされた時に当該出願について出願公開がされたものとみなされる特許出願であるところ、先願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願1明細書等」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア
「【請求項1】
フラーレン1分子に対して下記式(1):
[図:0001386096000022.jpg]
(式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)
で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、前記レジスト下層膜形成組成物が塗布された基板を、窒素、アルゴン又はそれらの混合物の雰囲気下で240℃以上の温度で少なくとも1回ベークする、レジスト下層膜の形成方法。
【請求項2】
前記雰囲気下でのベーク温度は750℃以下である請求項1に記載のレジスト下層膜の形成方法。
【請求項3】
前記雰囲気の酸素濃度は0.01ppm乃至100ppmである請求項1又は2に記載のレジスト下層膜の形成方法。」
イ
「【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィープロセスにおいて使用されるレジスト下層膜であって、固形分としてフラーレン誘導体を含む組成物から得られる膜を形成する方法に関する。」
ウ
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フラーレン誘導体を含むレジスト下層膜形成組成物からレジスト下層膜を形成する際、フルオロカーボンを含むガスに対するドライエッチング耐性のさらなる向上が望まれていた。前記レジスト下層膜を形成する際のベーク時に、フラーレン誘導体の付加物(修飾基)のみならず、フラーレン骨格も分解することが、得られるレジスト下層膜のドライエッチング耐性の向上を困難にしていると考えられる。
【0006】
本発明は、フラーレン誘導体を含むレジスト下層膜形成組成物を用いて、フルオロカーボンを含むガスに対し高いドライエッチング耐性を有する、すなわちドライエッチング速度が小さいレジスト下層膜を形成する方法を提供することを目的とする。
・・・中略・・・
課題を解決するための手段
・・・中略・・・
【0008】
すなわち本発明の第一態様は、
フラーレン1分子に対して下記式(1):
(当合議体注:式(1)の摘記は省略する。)
(式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、前記レジスト下層膜形成組成物が塗布された基板を、窒素、アルゴン又はそれらの混合物の雰囲気下で240℃以上の温度で少なくとも1回ベークする、レジスト下層膜の形成方法である。
・・・中略・・・
【0021】
以下、本発明のレジスト下層膜の形成方法及びパターン形成方法についてさらに具体的に説明する。基板〔例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜が形成されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス及び結晶化ガラスを含む。)、ITO膜が形成されたガラス基板〕の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により、レジスト下層膜形成組成物を塗布する。その後、ホットプレート等の加熱手段を用いて、上記レジスト下層膜形成組成物が塗布された基板を、窒素、アルゴン又はそれらの混合物の雰囲気下でベークすることによりレジスト下層膜が形成される。ベーク条件は、温度:240℃以上、時間:0.3分乃至10分の範囲から最適値が選択される。本発明において、ベーク温度は、フラーレン骨格が熱分解しない温度が好ましい。本発明の場合、空気中でベークする場合よりもベーク温度の上限値を高く設定することができ、500℃以上の温度、例えば750℃を上限値とすることができる。また、フラーレン骨格が熱分解しない温度範囲で、ベーク温度が高いほど形成される膜の密度を高くすることができるため、例えば350℃を下限値とすることができる。また、ベーク条件を変更し、2回以上に分けてベークしてレジスト下層膜を形成してもよい。2回に分けてベークしレジスト下層膜を形成する場合、2回目のベーク温度を1回目のベーク温度より高い温度に設定するのが、緻密な膜を形成する観点から好ましい。1回目のベーク温度として例えば240℃乃至600℃の範囲から適当な温度に設定し、2回目のベーク温度として例えば500℃乃至750℃の範囲から1回目のベーク温度よりも高温に設定することができる。」
(2)先願1明細書に記載された発明
上記(1)によれば、先願1明細書には、請求項2を介して請求項1を引用する請求項3に係る「レジスト下層膜の形成方法」の発明(以下「先願1発明」という。)が記載されている。
「フラーレン1分子に対して式(1):(式中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布し、前記レジスト下層膜形成組成物が塗布された基板を、窒素、アルゴン又はそれらの混合物の雰囲気下で240℃以上の温度で少なくとも1回ベークし、
前記雰囲気下でのベーク温度は750℃以下であり、
前記雰囲気の酸素濃度は0.01ppm乃至100ppmである、
レジスト下層膜の形成方法。」
(当合議体注:式(1)の再度の摘記は省略する。)
(3)対比
本件特許発明1と先願1発明とを対比する。
ア レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜形成方法
先願1発明の「レジスト下層膜」は、その文言が意味するとおり、本件特許発明1の「レジスト下層膜」に相当する。
また、先願1発明の「レジスト下層膜」は、「フラーレン1分子に対して」「式(1)」「で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含むレジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布」する工程を経て「形成」される膜である。(当合議体注:上記「式(1)」は上記(2)に記載のものである。)
上記組成及び用途からみて、先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物」に相当する。
さらにまた、先願1発明の「レジスト下層膜の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」に相当する。
イ 塗布工程及び加熱工程
先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物を基板上に塗布」する工程と、本件特許発明1の「塗布工程」とは、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する」点で共通する。
また、先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物が塗布された基板を、窒素、アルゴン又はそれらの混合物の雰囲気下で240℃以上の温度で少なくとも1回ベーク」する工程は、「前記雰囲気下でのベーク温度は750℃以下であり、前記雰囲気の酸素濃度は0.01ppm乃至100ppmである」。そうしてみると、先願1発明の上記「ベーク」する工程と、本件特許発明1の「加熱工程」とは、「得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中」「で加熱する」点で共通する。
ウ レジスト下層膜形成方法
以上ア~イによれば、先願1発明の「レジスト下層膜の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」における、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、」「得られた塗膜」を「加熱する加熱工程とを備え」との要件を満たす。
エ (B)について
先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物」は、上記アの下線部の要件を満たすものである。当該要件の「式(1)」及びその置換基の説明からみて、先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物」は、本件特許発明1の「(B)」に該当する。
(4)一致点及び相違点
上記(1)によれば、本件特許発明1と先願1発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
ア 一致点
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中で加熱する加熱工程と
を備える、レジスト下層膜形成方法。」
イ 相違点
(相違点1D)
「加熱工程」が、本件特許発明1は、「450℃超600℃以下の温度で加熱する」ものであるのに対して、先願1発明は「750℃以下で」加熱するとされているにとどまる点。
(相違点2D)
「レジスト下層膜形成用組成物」が、本件特許発明1は、[A] 芳香環を有する化合物を含有し、 上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ又はこれらの組み合わせ(以下「特定芳香族化合物」という。)であり、[B] (A)及び(B)を除くとされているのに対して、先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物」は、(B)に該当する点。
(5)判断
事案に鑑み、相違点2Dのうち、「(B)を除く」という要件について検討する。
先願1明細書の[0008]には、課題を解決するための手段として、上記(3)アの下線部の要件を満たす材料が記載されており、この材料は本件特許発明1の「(B)」に該当する化合物そのものである。また、同明細書の他の記載(例えば、[0021]等)をみても、上記(B)に該当する化合物の使用を前提として、ベーク条件(ベーク温度や回数等)についての説明がなされており、上記(B)に該当する化合物以外の材料を使用することが想定されていると理解できるような記載は先願1明細書には存在しない。
以上によれば、先願1発明の「レジスト下層膜形成組成物」が、「フラーレン1分子に対して、上記(2)で摘記した式(1)(式(1)中、2つのRはそれぞれ独立に炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)で表されるマロン酸ジエステルが1乃至6分子付加したフラーレン誘導体、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物及び溶剤を含む」こと、すなわち、本件特許発明1の「(B)」に該当する化合物を含むこと、先願1発明の課題を解決するための手段としては必須の要件であることを当業者は理解する。
そうしてみると、先願1発明において、相違点2Dのうちの「(B)を除く」という構成が、課題解決のための具体化手段における微差であるということができないことは明らかである。
したがって、相違点2Dのその他の要件及び相違点1Dについて検討するまでもなく、本件特許発明1は、先願1明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
(6)特許異議申立人の主張について
令和3年6月18日付け意見書53頁~54頁において、特許異議申立人2は、概略、[A]酸素濃度、加熱温度、及び、芳香環を有する化合物を樹脂α等に限定することについて技術的意義が見いだせないから、訂正請求項1中の除く態様(A)及び(B)は、いずれも課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)に該当し、本件特許発明1と先願1発明とは実質的に同一である旨主張する。
しかしながら、酸素濃度や加熱温度を特定することによる有利な効果は上記「第6」「2(3)」に示したとおりであるから、上記主張は採用する理由がない。
(7)本件特許発明2~16について
本件特許発明2~16は、いずれも(B)を除くことを発明特定事項として含むから、本件特許発明1と同様の理由により、先願1明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
(8)小括
本件特許発明1~16は、先願1明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
2 先願2明細書の記載及び先願2明細書に記載された発明
(1)先願2明細書の記載
先願2は、先の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされたものであるところ、先願2の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願2明細書等」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示す。
ア
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられるレジスト下層膜として有用な多層膜の形成方法、及び該多層膜形成方法で形成された多層膜を用いたパターン形成方法に関する。
・・・中略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、リソグラフィーにレジスト下層膜として用いられる多層膜の形成方法であって、反射率を低減でき、ドライエッチングの寸法精度が高いパターン形成方法に有用な多層膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では、基板上に多層膜を形成する方法であって、(1)前記基板上に、下記一般式(1)で示されるビスナフトール基を有する化合物をノボラック化した樹脂を含有する下層膜材料をコーティングし、300℃以上700℃以下の温度で10秒~600秒間の範囲で熱処理して硬化させることで下層膜を形成する工程と、(2)前記下層膜上に、シリコン膜を形成する工程と、(3)前記シリコン膜上に、炭化水素膜材料をコーティングし、炭化水素膜を形成する工程と、(4)前記炭化水素膜上に、珪素酸化膜材料をコーティングし、珪素酸化膜を形成する工程、を含む多層膜形成方法を提供する。
【化1】
[図:0001386096000023.jpg]
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6、R7はそれぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環、ナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p、qはそれぞれ独立に1又は2である。)」
イ
「【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散度(Mw/Mn)を示している。
【0096】
下層膜材料に用いた下層膜ポリマー1~6、比較下層膜ポリマー1を以下に示す。
下層膜ポリマー1 Mw=3,500、Mw/Mn=4.50
【化6】
[図:0001386096000024.jpg]
・・・中略・・・
【0110】
また、下層膜材料、炭化水素膜材料、珪素酸化膜材料、フォトレジスト膜材料に用いた溶媒を以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
Cyclohexanone:シクロヘキサノン
水
PGEE:プロピレングリコールモノエチルエーテル
GBL:γ-ブチロラクトン
【0111】
下層膜材料(UDL-1~6、比較UDL-1)の調製
上記下層膜ポリマー1~6、比較下層膜ポリマー1で示される樹脂を、FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表1に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって下層膜材料(UDL-1~6、比較UDL-1)を調製した。
【0112】
【表1】
[図:0001386096000025.jpg]
・・・中略・・・
【0119】
下層膜の屈折率と高温ベーク前後の膜厚測定上記下層膜材料(UDL-1~6、比較UDL-1)をシリコン基板(ウェハー)上に塗布して、350℃で60秒間ベークしてそれぞれ膜厚100nmの下層膜を形成し、入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE;J.A.ウーラム社製)で波長193nmにおける各下層膜の屈折率(n値、k値)と350℃ベーク後の膜厚aを求めた。次いで、このウェハーをファーネス中窒素気流下、500℃で3分間ベークし、500℃ベーク後の膜厚bを測定し、500℃ベーク前後の膜厚の比率を求めた。
・・・中略・・・
【0121】
パターンエッチング試験
[多層膜の形成]
(実施例1~8、比較例1)
膜厚200nmのSiO2膜(被加工層)が形成された直径300mmのSiウェハー基板上に、表1に記載の下層膜材料(UDL-1~6、比較UDL-1)をスピンコートにより塗布して、大気下、350℃で60秒間ベークし、膜厚100nmの下層膜を形成した。更に、ファーネスで窒素雰囲気下、500℃で3分間ベークした。」
(2)先願2明細書に記載された発明
上記(1)によれば、先願2明細書の【0121】には、実施例1として、以下に示す「Siウェハー基板上に、表1に記載の下層膜材料(UDL-1)をスピンコートにより塗布して、」「形成」する「下層膜」を形成する方法の発明(以下「先願2発明」という。)が記載されている。ここで、上記「下層膜材料(UDL-1)」は、先願2明細書の【0096】【化6】の構造式で表されるものである。
「膜厚200nmのSiO2膜が形成されたSiウェハー基板上に下層膜材料(UDL-1)をスピンコートにより塗布して、大気下、350℃で60秒間ベークし、膜厚100nmの下層膜を形成し、更に、ファーネスで窒素雰囲気下、500℃で3分間ベークする、
下層膜を形成する方法。
上記下層膜材料(UDL-1)は構造式【化6】(上記(1)イ参照。)で表されるものである。」
(3)対比
本件特許発明1と先願2発明とを対比する。
ア レジスト下層膜形成用組成物及びレジスト下層膜形成方法
先願2発明の「下層膜」は、「SiO2膜が形成されたSiウェハー基板上に」形成されるものであって、技術的にみて、本件特許発明1の「レジスト下層膜」に相当する。
また、先願2発明の「下層膜材料(UDL-1)」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成用組成物」に相当する。
さらにまた、先願2発明の「レジスト下層膜の形成方法」は、「Siウェハー基板上に下層膜材料(UDL-1)をスピンコートにより塗布して、」「下層膜を形成し、」「更に、ファーネスで窒素雰囲気下、500℃で3分間ベーク」し、「下層膜を形成する」ものである。そうすると、先願2発明の「レジスト下層膜の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」に相当する。
イ 塗布工程及び加熱工程
上記アによれば、先願2発明の「Siウェハー基板上に下層膜材料(UDL-1)をスピンコートにより塗布」する工程と、本件特許発明1の「塗布工程」とは、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する」点で共通する。
また、先願2発明の「下層膜を形成し、更に、ファーネスで窒素雰囲気下、500℃で3分間ベークする」する工程と、本件特許発明1の「加熱工程」とは、「得られた塗膜を」「450℃超600℃以下の温度で加熱する」点で共通する。
ウ レジスト下層膜形成方法
以上ア~イによれば、先願2発明の「レジスト下層膜の形成方法」は、本件特許発明1の「レジスト下層膜形成方法」における、「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、」「得られた塗膜を」「450℃超600℃以下の温度で加熱する加熱工程とを備え」との要件を満たす。
エ (A)について
先願2発明の「下層膜材料(UDL-1)」は、「構造式【化6】で表されるものである」(当合議体注:【化6】は上記(1)で表される材料である。)。
そして、上記「構造式【化6】で表される」「下層膜材料(UDL-1)」は、その構造から少なくとも6つの芳香環を有する化合物であって、さらに詳細には、本件特許発明1の「(A)」の式(1)において、R1及びR2が、それぞれ水素原子であり、R3及びR4が、それぞれ水素原子であり、R5が、炭素数1のメチレン基であり、R6及びR7が、それぞれベンゼン環であり、p及びqは、それぞれ1である場合に該当する。
そうしてみると、先願2発明の「下層膜材料(UDL-1)」は、本件特許発明1の「(A)」に該当する。
(4)一致点及び相違点
上記(1)によれば、本件特許発明1と先願2発明とは、以下の点で一致ないし相違する。
ア 一致点
「レジスト下層膜形成用組成物を基板に塗布する塗布工程と、
得られた塗膜を加熱する加熱工程と
を備える、レジスト下層膜形成方法。」
イ 相違点
(相違点1E)
「加熱工程」が、本件特許発明1は、「酸素濃度が0.01容量%以下の雰囲気中」「で加熱する」のに対して、先願2発明は、「窒素雰囲気下で」「ベーク」するとされているにとどまる点。
(相違点2E)
「レジスト下層膜形成用組成物」が、本件特許発明1は、[A] 芳香環を有する化合物を含有し、 上記芳香環を有する化合物が、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ又はこれらの組み合わせ(以下「特定芳香族化合物」という。)であり、[B] (A)及び(B)を除くとされているのに対して、先願2発明の「下層膜材料(UDL-1)」は、上記[A]のように特定されたものではなく、また、(A)に該当する点。
(5)判断
事案に鑑み、相違点2Eのうち、「(A)を除く」という要件について検討する。
先願2明細書には、課題を解決するための材料として、次の構造の材料が記載されている。
「【化1】
[図:0001386096000026.jpg]
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数2~20のアルケニル基である。R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子又はグリシジル基である。R5は炭素数1~10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。R6、R7はそれぞれ独立に、ベンゼン環、ナフタレン環のいずれかであり、ベンゼン環、ナフタレン環中の水素原子は炭素数1~6の炭化水素基で置換されていてもよい。p、qはそれぞれ独立に1又は2である。)」(【0012】)
加えて、先願2明細書の実施例において使用されているいずれの下層膜材料も上記【化1】で表される構造を含む材料に該当する。そうしてみると、上記【化1】で表される材料、すなわち、本件特許発明1の(A)は、先願2発明においては、課題を解決するための必須の構成といえる。
そうしてみると、先願2発明において、相違点2Eのうちの「(A)を除く」という構成が、課題解決のための具体化手段における微差であるということができないことは明らかである。
したがって、相違点2Eのその他の要件及び相違点1Eについて検討するまでもなく、本件特許発明1は、先願2明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
(6)特許異議申立人の主張について
先願2を主引用例とした取消の理由に対する、令和3年6月18日付け意見書における、特許異議申立人2の主張は、上記「1(6)」と同様のものである。
したがって、同様の理由により、上記主張は採用する理由がない。
(7)本件特許発明2~16について
本件特許発明2~16は、いずれも(A)を除くことを発明特定事項として含むから、本件特許発明1と同様の理由により、先願2明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
(8)小括
本件特許発明1~16は、先願2明細書に記載された発明と同一であるということはできない。
第8 当合議体の判断(サポート要件)
1 判断基準
特許請求の範囲の記載が、特許法第36条6項1号に記載する要件(いわゆる、サポート要件)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認定できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。
この判断基準にしたがって、以下検討する。
2 本件特許発明について
本件特許発明は、「芳香環を有する化合物」が[A]「ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデ環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂α、カリックスアレーン系樹脂β、分子量が600以上3000以下であり、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレニリデンビフェニル環及びフルオレニリデンビナフタレン環からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する芳香環含有化合物γ、又はこれらの組み合わせである」との要件(以下「本件材料要件」ということがある。)を、「加熱工程」が[B]「酸素濃度が0.01容量%未満の雰囲気中、450℃超600℃以下の温度で加熱する」との要件をそれぞれ満たす点を発明を特定する事項として有するものである。
3 本件特許発明の課題及び課題を解決するための手段について
本件出願の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、「本発明は・・・中略・・・その目的は、エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を形成することができるレジスト下層膜形成方法及びパターン形成方法を提供することにある。」(【0006】)との記載がある。
上記記載によれば、本件特許発明の課題は、「エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を形成することができるレジスト下層膜形成方法及びパターン形成方法を提供すること」と認められる。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、「当該レジスト下層膜形成方法で用いられるレジスト下層膜形成用組成物(I)は、[A]化合物及び[B]溶媒を含有する。」(【0036】)ものであって、「[A]化合物は、芳香環を有する化合物」(【0037】)であり、「[A]化合物としては、耐熱性及びエッチング耐性の観点から、主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3,000以下の芳香環含有化合物(以下「芳香環含有化合物(A)」ともいう。)又はこれらの組み合わせが好ましい。」こと及びその具体的な化合物の条件(【0038】)、加熱工程として、「塗膜の加熱は、通常、低酸素雰囲気下で行われる。加熱温度としては、450℃超であり、・・・600℃以下がより好ましい。加熱温度が上記規定される範囲外の場合、レジスト下層膜として必要な特性が発現しないおそれがある。」(【0015】)こと、「加熱時の酸素濃度としては、・・・0.01容量%以下がより好ましく・・・加熱時の酸素濃度が高い場合、レジスト下層膜の酸化が進行し、レジスト下層膜として必要な特性が発現できないおそれがある。」(【0016】)ことが記載されている。
加えて、本件明細書等の【0226】~【0248】及び【0262】【表1】には、上記各条件を満たす[A]化合物について種々の具体例が記載されている。
4 判断
本件明細書等の上記記載に照らせば、当業者であれば、レジスト下層膜を形成するにあたり、加熱条件として、「450℃超600℃以下」であって、「酸素濃度が0.01容量%以下」の条件で加熱するものであって、かつ、レジスト下層膜形成用組成物が、「芳香環を有する化合物」であって、【0038】に挙げられるような特定の「主鎖に芳香環を有する樹脂、分子量が600以上3,000以下の芳香環含有化合物又はこれらの組み合わせ」であれば、本件特許発明の上記課題を解決することができると認識する。
そして、本件特許発明は、上記課題を解決すると認識できる発明特定事項を全て含むものであるから、本件特許発明の上記課題を解決するものであるといえる。
したがって、本件特許発明は、本件明細書等の発明の詳細な説明に記載したものであるということができる。
5 特許異議申立人の主張
(1)特許異議申立人2の主張
令和3年6月18日付け意見書において、特許異議申立人2は、概略、以下のア~イの点を主張する。
ア 発明の効果(課題)と本件材料要件との関係について
本件特許発明においてエッチング耐性を発揮するためには、”芳香環を有する化合物”が実施例で用いられた化合物(化合物(A-1)から(A-19))と同程度又はそれ以上に分解し難い構造を有することが必須であると解されるところ、本件出願時における技術常識(例えば、甲2-10~甲2-13の各証拠に記載された事項)に照らせば、本件材料要件を満たす樹脂α等には耐熱性が低い(450℃や300℃程度の温度で分解する)樹脂等が含まれるため、本件特許発明は課題を解決することができないものを含むという点。(意見書32頁~34頁)
以下、上記各証拠について検討する。
(ア)甲2-10について
甲2-10(5頁の表3)には、アントラセン環を含む樹脂(例えば、エポキシ樹脂[5]等の10%重量減少温度及び軟化点が記載されているものの、これらと本件特許発明における酸素濃度の要件及び加熱温度の要件を満たす加熱工程に対する耐性(以下「本件耐性」という。)との間の定量的な関係は不明というほかない。
(イ)甲2-11について
甲2-11(表3及び表4)によれば、ナフタレン環を含むエポキシ樹脂(DGEND)のTgが、アントラセン環を含むエポキシ樹脂(DGEAD)のTgよりも低いことが理解できるものの、このことと本件耐性との関係が不明であることは甲2-10と同様である。
(ウ)甲2-12について
特許異議申立人2は、甲2-12の表1に記載された、応用実施例3並びに応用比較例1及び2のドライエッチング速度比の実験結果から、ナフタレン環を有するか否かのみでは直接エッチング耐性に対する影響は判断できない旨主張する。しかしながら、上記実験で使用された下層膜の加熱温度(【0078】)(酸素濃度は不記載である。)及びエッチング条件(【0083】)が、本件耐性の前提となる条件とかけ離れていることからみて、上記実験結果から本件材料要件を満たすか否かを論じることは困難である。
(エ)甲2-13について
特許異議申立人2は、甲2-13の応用実施例5及び6並びに応用比較例1及び2を根拠にして、ナフタレン環やアントラセン環を有するか否かが直接エッチング耐性に影響を与えてない旨主張するが、上記実施例及び比較例における下層膜の加熱温度や酸素濃度([0074])(酸素濃度は不記載である。)及びエッチング条件([0079])が、本件耐性の前提となる条件とかけ離れていることは甲2-12と同様である。
以上(ア)~(エ)によれば、上記いずれの証拠によっても上記アの主張を採用する理由は見いだせない。
イ 酸素濃度及び温度条件について
本件明細書に記載された実施例の結果からは、訂正発明1に係る樹脂α等全般において、酸素濃度は0.01~0.002容量%の範囲で効果があるかどうかは示されておらず、さらに、加熱温度についても450℃超600℃以下の範囲で樹脂α等全般において効果があるかどうかは示されていない点。(意見書45頁)
確かに、レジスト下層膜形成用組成物について「芳香環を有する化合物」以外に何ら限定がなく、本件明細書において実施例で効果が確認された酸素濃度(0.002容量%)の約500倍の酸素濃度を含み、かつ、実施例で効果が確認された加熱温度(550℃)より250℃も高温の加熱温度を含むような加熱条件を発明特定事項として含む、本件訂正請求前の本件特許発明であれば、「酸素濃度が1容量%」近傍であって、加熱温度が「800℃」近傍という過酷な温度で加熱されると、組成物の熱分解によってもはや「エッチング耐性に優れるレジスト下層膜」として機能し得ない蓋然性は高いといえる。
しかしながら、本件訂正請求によって、酸素濃度及び加熱温度についての数値範囲の上限値が、それぞれ「0.01容量%」及び「600℃」へと既に訂正された。そうすると、特段の証拠(本件材料要件を満たす樹脂又は化合物が、本件耐性を示さないことを立証する具体的な証拠(いわゆる反例となり得る証拠)が発見されれば格別、そうでなければ、本件明細書に記載された上記(A-1)~(A-19)を用いた実施例の結果から、当業者は、もはや本件特許発明1が「エッチング耐性に優れるレジスト下層膜を形成することができる」という課題を解決することができることを認識するといえる。
したがって、上記イの主張は採用する理由がない。
(2)特許異議申立人1の主張
特許異議申立人1は、令和2年12月7日付け特許異議申立書において、サポート要件違反を理由とする取消の理由は申し立てていないから、令和3年6月18日付け意見書の同要件に係る主張は、特許異議申立ての要旨を変更するものであることは明らかであるから検討対象としない。
仮に検討したとしても、特許異議申立人2が主張する内容と同様のものであるか、上記(1)イの下線部で述べたような新たな具体的な証拠が提示されていないから、上記イの判断は変わらない。
6 小括
したがって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものであるということができる。
また、本件特許発明2~16は、いずれも本件特許発明1の加熱温度の数値範囲をより狭い範囲内に限定した発明又は「芳香環を有する化合物」の範囲をより限定した発明であるから、本件特許発明1と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものであるということができる。
第9 当合議体の判断(明確性要件)
上記「第4」に示す理由5(明確性要件)は、「1 芳香環を有する化合物について」、「2 レジストパターンを形成する工程について」及び「3 除くクレームについて」通知したものであるところ、「1」及び「2」は理由1(サポート要件)の解消にともない解消し、「3」は、本件訂正請求により除かれる材料の範囲が明確になったことで解消したといえる。
第10 当合議体による取消しの理由で採用しなかった特許異議申立理由(進歩性)について
1 特許異議申立人1による申立て理由
特許異議申立人1は、令和3年3月3日付け取消理由通知において採用しなかった、以下の取消しの理由を申し立てた。
本件特許発明1~10は、甲1に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許をうけることができない。この取消しの理由は、甲1の【0091】における、加熱温度は、50~700℃の範囲が好ましく、70~500℃の範囲がより好ましい。50℃未満の場合には、溶剤が充分に気化せず、一方700℃の温度範囲で(つまり450℃超えの温度を含む範囲で)の加熱により形成される旨の記載に基づくものである。
しかしながら、特定の数値範囲を発明特定事項に含む発明に対して、その範囲が一部重複する数値範囲が漠然と記載されているに過ぎず、本件特許発明の酸素濃度及び温度範囲を満たす具体例の開示は存在しないことから、本件特許発明の新規性を否定し得る発明が甲1に記載されているとまではいえない。
したがって、この取消しの理由によっても本件請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。
2 特許異議申立人2による申立て理由
特許異議申立人2は、令和3年3月3日付け取消理由通知において採用しなかった理由として、上記1の取消しの理由(本件特許発明1~10に対する甲1に基づく新規性についての取消しの理由)と同様の理由を申し立てた。
しかしながら、上記1(1)の判断と同様である。
3 小括
したがって、当合議体による取消しの理由において採用しなかった特許異議申立ての理由によっても、本件請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。
第11 まとめ
以上のとおりであるから、当合議体が通知した取消しの理由及び特許異議の申立ての理由によっては、本件請求項1~16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700962