特許異議申立
2020-700756
ゴム組成物
- 審判番号
- 2020-700756
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-089618
- 登録番号
- 6680464
- 請求日
- 2020年10月02日
- 審決日
- 2022年10月27日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】バンドー化学株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
- 【異議申立人】枝木 幸二
- 審判長/審判官
- 審判長 近野 光知
- 審判官 杉江 渉
- 審判官 橋本 栄和
- 分類
- P1651.536-ZAA(C08L) / P1651.537-ZAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6680464号発明「ゴム組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6680464号の特許請求の範囲を令和3年4月23日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第6680464号の請求項6に係る特許についての申立てを却下する。
特許第6680464号の請求項1~5に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6680464号(以下「本件特許」という。)は、平成27年4月24日を出願日とする出願(特願2015-89618号)であって、その請求項1~6に係る発明について、令和2年3月24日に特許権の設定登録がなされ、令和2年4月15日にその特許掲載公報が発行された。
その後、令和2年10月2日に、特許異議申立人である枝木幸二(以下「申立人」という。)により、請求項1~6に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。
1 特許異議の申立て以降の経緯
本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和2年10月 2日 :特許異議の申立て(申立人)
令和3年 2月18日付け:取消理由通知
同年 4月23日 :訂正請求書、意見書(特許権者)
同年 5月17日付け:通知書(申立人宛て)
同年 6月17日 :意見書(申立人)
同年 8月31日付け:取消理由通知(決定の予告)
同年11月 4日 :意見書(特許権者)
同年12月21日 :応対記録
令和4年 1月 4日 :審尋(特許権者宛て)
同年 2月17日 :回答書(特許権者)
同年 4月11日 :応対記録
同年 6月 2日付け:取消理由通知(決定の予告)
なお、令和4年6月2日付け取消理由通知(決定の予告)に対して、特許権者は応答しなかった。
2 証拠方法
申立人が特許異議申立書に添付して提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証 :特許第4581116号公報
甲第2号証 :特開2013-22812号公報
甲第3号証 :特開2012-122019号公報
甲第4号証 :特開2013-177540号公報
甲第5号証 :特開2014-105233号公報
甲第6号証 :国際公開第2013/176033号
甲第7号証 :特開2013-133363号公報
甲第8号証 :特開2012-12713号公報
甲第9号証 :特開2011-26760号公報
甲第10号証:特開2014-214300号公報
甲第11号証:技術資料「セリッシュ(微小繊維状セルロース)」、ダイセルファインケム株式会社、1998年5月5日
甲第12号証:特開2011-16874号公報
甲第13号証:特開2008-13704号公報
第2 訂正請求について
令和3年4月23日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)の趣旨は「特許第6680464号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」というものであり、令和3年8月31日付け取消理由通知(決定の予告)において検討したとおり、本件訂正請求(以下「本件訂正」という。)は認められた。
本件訂正の内容及びその判断は、以下のとおりである。
1 訂正の内容
(1)各訂正事項について
ア 訂正事項1について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に「前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が、50~500nmの範囲を含むことを特徴とするゴム組成物。」と記載されているものを、「前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が、50~1600nmの範囲を含むことを特徴とするゴム組成物。」に訂正する。
イ 訂正事項2について
訂正前の特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(2)一群の請求項
訂正事項1に係る訂正前の請求項1~6について、請求項2~6はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
よって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものである。
2 判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1における「セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲」について、「50~500nmの範囲を含む」であったのを「50~1600nmの範囲を含む」とするものであり、「セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲」の含むべき範囲について「50~500nm」のみの範囲であったものを、「50~500nm」のみならず、より広い「50~1600nmの範囲」を含むことを特定したものであるから、特許請求の範囲をより限定したものであるといえる。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項1による訂正における「セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲」について、「50~500nmの範囲を含む」であったのを「50~1600nmの範囲を含む」と上限の範囲を拡大する訂正は、本件明細書の下記摘記(本d)の段落【0061】の【表1】に示された実施例2の「最大繊維径」が「1600nm」であることに基づくものであるから、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正事項1による訂正は、特許請求の範囲をより限定するものであるから、特許請求の範囲の拡張・変更に当たらないことは明らかである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2による訂正は、請求項6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加及び実質上の特許請求の範囲の拡張・変更
訂正事項2は、請求項6を削除するものであるから、新規事項の追加、実質上の特許請求の範囲の拡張又は変更に当たらないことは明らかである。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1~2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる目的に適合し、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。
第3 特許請求の範囲の記載
上記「第2 訂正請求について」で述べたとおり、令和3年8月31日付け取消理由通知(決定の予告)において検討したとおり、本件訂正請求は認められたので、特許第668044号の特許請求の範囲の記載は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~6に記載される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ゴム成分と、セルロース系微細繊維とを含むゴム組成物において、
前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が、50~1600nmの範囲を含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
請求項1のゴム組成物において、
フィラーとして、カーボンブラックを含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項3】
請求項2のゴム組成物において、
前記カーボンブラックは、水酸基、カルボニル基及びカルボキシル基の少なくとも1つを有することを特徴とするゴム組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つのゴム組成物において、
フィラーとして、シリカを含むことを特徴とするゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つのゴム組成物において、
前記ゴム成分は、エチレン-α-オレフィン系エラストマーであることを特徴とするゴム組成物。
【請求項6】(削除)」
第4 令和4年6月2日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した理由について
本件訂正請求により訂正された本件特許の請求項1~5に係る発明に対して、令和4年6月2日付けで、概略、以下の取消理由(決定の予告)を通知した。
理由A.(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~5の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
理由B.(実施可能要件)本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
当審は、上記「第4 令和4年6月2日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した理由について」で述べたとおり、令和4年6月2日付け取消理由通知(決定の予告)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件特許の請求項1~5に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。
また、本件訂正により、本件特許の請求項6が削除されたため、申立人による請求項6に係る特許についての特許異議の申立ては、申立ての対象を欠くこととなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により決定をもって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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