2020-700300
電子装置および皮膚覚提示システム
- 審判番号
- 2020-700300
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-194109外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月27日
- 審決日
- 2021年03月16日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.121-YAA(G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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特許第6611217号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成28年3月31日に出願した特願2016-70338号(以下、「原出願」という。)の一部を平成30年10月15日に新たな特許出願としたものであって、令和元年11月8日にその特許権の設定登録がされ、令和元年11月27日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 2年 4月27日 特許異議申立人 梅田明子(以下、「
特許異議申立人」という。)による請
求項1~7に係る特許に対する特許異
議の申立て
令和 2年 9月15日付け 取消理由通知書
令和 2年11月24日 特許権者による意見書、訂正請求書(
以下、この訂正請求書による訂正請求
を「本件訂正請求」という。)の提出
令和 3年 2月 1日 特許異議申立人による意見書(以下、
この意見書を「意見書」という。)の
提出
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)請求項1に係る「前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、」を「前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、」に訂正するとともに、「前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報を少なくとも含み、」を「前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ、」に訂正する。
(2)請求項3に係る「前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有することを特徴とする皮膚覚提示システム。」を「前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とする皮膚覚提示システム。」に訂正する。
(3)請求項4に係る「前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、」を「前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、」に訂正するとともに、「前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、」を「前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、」に訂正するとともに、さらに「前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする皮膚覚提示システム。」を「前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ、前記制御手段は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とする皮膚覚提示システム。」に訂正する。
(4)発明の詳細な説明の段落【0010】の「本発明は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報を少なくとも含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」という記載を「本発明は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」に訂正する。
(5)発明の詳細な説明の段落【0011】の「また、本発明の皮膚覚提示システムは、前記電子装置と、ユーザーが身に付けるウェアラブル機器とを備え、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有することを特徴とするものである。」という記載を「また、本発明の皮膚覚提示システムは、前記電子装置と、ユーザーが身に付けるウェアラブル機器とを備え、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とするものである。」に訂正する。
(6)発明の詳細な説明の段落【0011】の「また、本発明は、電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」という記載を「また、本発明は、電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とするものである。」に訂正する。
本件訂正請求は、一群の請求項〔1-9〕に対して請求されたものである。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1-9〕に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び独立特許要件について
(1)請求項1に係る訂正について
請求項1に係る訂正は、
ア 「ユーザーの操作情報」について、「前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」むとの限定を加え、
イ 「信号パターン」について、「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ」ると限定を加える
ものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、明細書の発明の詳細な説明には、
ア 「ユーザーの操作情報」について、
「マイクロコンピュータ23は、ユーザーのタッチパネル21に対する操作から得られた操作情報(位置、方向、速度、接触時間など)をタッチパネル制御部22から取得することができる。」(段落【0030】)、「上記のとおり、電子装置2のマイクロコンピュータ23は、ユーザーのタッチパネル21に対する操作から得られた操作情報(位置、方向、速度、接触時間など)をタッチパネル制御部22から取得する。ユーザーがタッチパネル21上で“揉む”という操作をする場合には、ユーザーの複数本の指がタッチパネル21に接触している状態で接近したり離れたりすることになる。したがって、マイクロコンピュータ23は、ユーザーの複数本の指がタッチパネル21に接触している位置と、その位置の時間に伴う変化とを検出することができる。」(段落【0065】)と記載され、
イ 「信号パターン」について、
「信号パターンは、例えばウェアラブル機器1上の特定の位置を指定する位置指定情報と、この特定の位置に皮膚覚を与える継続時間を指定する時間指定情報とからなり、これら位置指定情報と時間指定情報の組が時系列で記述された情報である。」(段落【0037】)、「信号パターンでは、ユーザーの指が触れたタッチパネル21上の位置の情報が、対応するウェアラブル機器1上の位置を指定する位置指定情報に変換され、ユーザーがタッチパネル21上の同一の位置に触れていた継続時間の情報が、位置指定情報で指定されるウェアラブル機器1上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報に変換される。」(段落【0066】)と記載され、「上記のとおり、ユーザーの指が触れるタッチパネル21上の位置は時間に伴って変化するので、位置指定情報と時間指定情報の組が時間に伴って変化していく信号パターンを用意しておけば、ユーザーが電子装置2のタッチパネル21上で行なった操作に応じた皮膚覚情報を、刺激提示部11を通じてユーザーに提示することが可能である。」(段落【0067】)と記載されている。
よって、ア 「ユーザーの操作情報」について、「前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」むこと、及び、イ 「信号パターン」について、「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ」ることを含む発明は、明細書に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(2)請求項3に係る訂正について
請求項3に係る訂正は、「制御装置」について「前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可する」との限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の発明の詳細な説明には、「ウェアラブル機器1の制御装置12のCPU121は、通信インターフェース部120を介して電子装置2から信号パターンを受信すると、信号パターンに含まれる位置指定情報で指定されるウェアラブル機器1上の位置に存在する刺激提示部11を選択し、この刺激提示部11が信号パターンに含まれる時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるよう刺激制御部123に指令を出力する。」(段落【0070】)と記載されているから、「制御装置」について「前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可する」ことを含む発明は、明細書に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(3)請求項4に係る訂正について
請求項4に係る訂正は、
ア 「ユーザーの操作情報」について、「前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」むとの限定を加え、
イ 「信号パターン」について、「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」むと限定し、
ウ 「制御装置」について、「前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可する」との限定を加える
ものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、明細書の発明の詳細な説明には、
ア 「ユーザーの操作情報」について、
「マイクロコンピュータ23は、ユーザーのタッチパネル21に対する操作から得られた操作情報(位置、方向、速度、接触時間など)をタッチパネル制御部22から取得することができる。」(段落【0030】)、「上記のとおり、電子装置2のマイクロコンピュータ23は、ユーザーのタッチパネル21に対する操作から得られた操作情報(位置、方向、速度、接触時間など)をタッチパネル制御部22から取得する。ユーザーがタッチパネル21上で“揉む”という操作をする場合には、ユーザーの複数本の指がタッチパネル21に接触している状態で接近したり離れたりすることになる。したがって、マイクロコンピュータ23は、ユーザーの複数本の指がタッチパネル21に接触している位置と、その位置の時間に伴う変化とを検出することができる。」(段落【0065】)と記載され、
イ 「信号パターン」について、
「信号パターンは、例えばウェアラブル機器1上の特定の位置を指定する位置指定情報と、この特定の位置に皮膚覚を与える継続時間を指定する時間指定情報とからなり、これら位置指定情報と時間指定情報の組が時系列で記述された情報である。」(段落【0037】)、「信号パターンでは、ユーザーの指が触れたタッチパネル21上の位置の情報が、対応するウェアラブル機器1上の位置を指定する位置指定情報に変換され、ユーザーがタッチパネル21上の同一の位置に触れていた継続時間の情報が、位置指定情報で指定されるウェアラブル機器1上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報に変換される。」(段落【0066】)と記載され、
ウ 「制御装置」について、
「ウェアラブル機器1の制御装置12のCPU121は、通信インターフェース部120を介して電子装置2から信号パターンを受信すると、信号パターンに含まれる位置指定情報で指定されるウェアラブル機器1上の位置に存在する刺激提示部11を選択し、この刺激提示部11が信号パターンに含まれる時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるよう刺激制御部123に指令を出力する。」(段落【0070】)と記載されている。
よって、ア 「ユーザーの操作情報」について、「前記ユーザーが前記タッチパネルに接している位置と、その位置の時間に伴う位置とを含」むこと、イ 「信号パターン」について、「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とにそれぞれ対応する、前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むこと、及び、ウ 「制御装置」について、「前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可する」ことを含む発明は、明細書に記載されており、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
(4)段落【0010】の訂正について
発明の詳細な説明の段落【0010】の「本発明は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報を少なくとも含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」という記載を「本発明は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」とする訂正は、上記1(1)及び(3)の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。
そうすると上記1(4)の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)段落【0011】の訂正について
ア 発明の詳細な説明の段落【0011】の「また、本発明の皮膚覚提示システムは、前記電子装置と、ユーザーが身に付けるウェアラブル機器とを備え、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有することを特徴とするものである。」という記載を「また、本発明の皮膚覚提示システムは、前記電子装置と、ユーザーが身に付けるウェアラブル機器とを備え、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とするものである。」とする訂正は、上記1(2)及び(3)の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。
そうすると上記1(5)の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ 発明の詳細な説明の段落【0011】の「また、本発明は、電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とするものである。」という記載を「また、本発明は、電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とするものである。」とする訂正は、上記1(1)ないし(3)の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。
そうすると上記1(6)の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない
(6)独立特許要件について
特許異議の申立てがされていない請求項8及び9に対して、以下、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか検討する。
訂正後の請求項8及び9に係る発明は、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むとの特定事項、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むとの特定事項、もしくは、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むとの特定事項、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」むとの特定事項を有する。
そして、上記特定事項に関し、後記第4の2及び3で検討するように、特許異議申立人が特許異議申立書において提示した甲第1ないし5号証のいずれにも記載及び示唆がされておらず、原出願の出願前において周知技術であるともいえない。
そうすると、訂正後の請求項8及び9に係る発明は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
よって、訂正後の請求項8及び9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。そして、その他の特許を受けることができない理由もない。
したがって、訂正後の請求項8及び9に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明9」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
本件発明1
「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含み、前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする電子装置。」
本件発明2
「請求項1記載の電子装置において、前記信号パターン生成手段は、前記表示情報と、表示情報およびユーザーの操作情報と関連付けされた信号パターンとを含むアプリケーションプログラムをサーバー装置から受信して、このアプリケーションプログラムを基に前記信号パターンを生成することを特徴とする電子装置。」
本件発明3
「請求項1または2記載の電子装置と、
ユーザーが身に付けるウェアラブル機器とを備え、
前記ウェアラブル機器は、
ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、
前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とする皮膚覚提示システム。
本願発明4
「電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、続きを表示(全15行)前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
本件発明5
「請求項4記載の皮膚覚提示システムにおいて、さらに、サーバー装置を備え、前記電子装置の信号パターン生成手段は、前記表示情報と、表示情報およびユーザーの操作情報と関連付けされた信号パターンとを含むアプリケーションプログラムを前記サーバー装置から受信して、このアプリケーションプログラムを基に前記信号パターンを生成することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
本件発明6
「請求項3乃至5のいずれか1項に記載の皮膚覚提示システムにおいて、前記ウェアラブル機器の複数の刺激提示手段の各々は、ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた1対の電極を少なくとも含み、前記ウェアラブル機器の制御装置は、前記複数の刺激提示手段のうち前記信号パターンに応じた刺激提示手段を選択し、選択した刺激提示手段の前記1対の電極間に前記駆動信号を印加することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
本件発明7
「請求項6記載の皮膚覚提示システムにおいて、前記ウェアラブル機器の複数の刺激提示手段の各々は、さらに、前記衣類と前記1対の電極との間に配置され、保湿性を有する絶縁性の材料からなる第1の絶縁部材と、前記1対の電極間に配置され、保湿性を有する絶縁性の材料からなる第2の絶縁部材とを有することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
本件発明8
「請求項6または7記載の皮膚覚提示システムにおいて、前記1対の電極の各々は、PEDOT-PSSを含浸させた布帛からなることを特徴とする皮膚覚提示システム。」
本件発明9
「請求項3乃至8のいずれか1項に記載の皮膚覚提示システムにおいて、複数のユーザーが所持する複数の前記電子装置と、複数のユーザーが身に付ける複数の前記ウェアラブル機器とを備え、各電子装置の前記通信手段は、さらに、電子装置間で直接に双方向通信する機能もしくは通信網を介して電子装置間で双方向通信する機能を備え、前記信号パターンを送信する送信元の電子装置の通信手段は、自装置の前記信号パターン生成手段が生成した信号パターンを、予め定められた送信先の電子装置もしくは自装置のユーザーが指定した送信先の電子装置に送信し、前記送信先の電子装置の通信手段は、前記送信元の電子装置から受信した信号パターンを、自装置に対応する前記ウェアラブル機器に送信することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし7に係る特許に対して、当審が令和2年9月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1ないし7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証に記載された技術的事項を組み合わせることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1ないし7に係る特許は、取り消されるべきものである。
2 甲号証の記載
(1)甲第1号証について
甲第1号証(特開2015-196006号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審が付した。以下、同様。)。
「【特許請求の範囲】【請求項1】設定された周波数及び振幅の信号を発生させる発振器と、前記発振器から出力される前記信号に基づいて錘を一方向に振動させるとともに振動の周波数を維持しながら振幅の大きさを変化させることのできる少なくとも1つのリニア振動アクチュエータを含む振動発生機と、続きを表示(全26行)皮膚反射を誘発させる周波数及び振幅の誘発信号を前記発振器から前記振動発生機に供給する誘発時間及び前記誘発信号を前記振動発生機に供給しない弛緩時間を交互に繰り返して設定できる制御部と、少なくとも前記振動発生機を搭載し、利用者の頭部に当接して前記振動を頭皮に伝播することで前記頭皮に皮膚反射を誘発させる伝達部材と、を備えることを特徴とする皮膚反射誘発装置。(中略)【請求項8】前記振動発生機は、前記錘の振動方向を揃えて配置される複数のリニア振動アクチュエータを含み、前記制御部は、全ての前記リニア振動アクチュエータの前記錘の振動の位相を同期させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の皮膚反射誘発装置。(中略)【請求項13】前記振動発生機は、前頭部、頭頂部、後頭部及び側頭部の頭蓋部全体に対応する範囲にわたって配置される複数の前記リニア振動アクチュエータを有し、前記制御部は、複数の前記リニア振動アクチュエータを、個別に、または分割された複数の領域に各々対応する群ごとに、前記誘発時間、前記弛緩時間、周波数、振幅、位相、の少なくとも1つを設定可能に設けられることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の皮膚反射誘発装置。【請求項14】前記制御部にインターフェイスで接続される操作端末をさらに備え、前記操作端末は、前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する画面と、前記画面に表示された情報に対応して操作が可能な入力部と、を備えることを特徴とする請求項13に記載された皮膚反射誘発装置。【請求項15】前記操作端末は、前記画面に表示された前記二次元平面画像に対応する前記入力部の部位に触れられることで、前記伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータの前記錘の振動の周波数、振幅、位相の少なくとも1つを変化させる指令信号を前記制御部に出力することを特徴とする請求項14に記載された皮膚反射誘発装置。【請求項16】前記操作端末に格納され、請求項14に記載された皮膚反射誘発装置の制御部に対して通信をして複数の前記リニア振動アクチュエータの前記誘発時間、前記弛緩時間、前記周波数、前記振幅、前記位相の少なくとも1つを制御することを特徴とする発毛促進アプリケーション。【請求項17】複数の前記リニア振動アクチュエータの前記誘発時間中の振動の周波数、振幅、位相の少なくとも1つを、個別にまたは分割された領域に各々対応する群ごとに、変化させる複数の振動パターンを含むことを特徴とする請求項16に記載された発毛促進アプリケーション。【請求項18】前記振動パターンは、前頭部から後頭部に向けて、頭頂部から前頭部及び後頭部に向けて、頭頂部から両側頭部に向けて、両側頭部から頭頂部に向けて、頭頂部を上から見て右回り、または、頭頂部を上から見て左回り、の少なくともいずれか1つの順序で、振動の周波数、振幅、位相の異なる範囲を移動させるように、複数の前記リニア振動アクチュエータを制御することを特徴とする請求項17に記載された発毛促進アプリケーション。」
「【技術分野】【0001】本発明は、皮膚反射を引き起こす振動を頭皮に加える皮膚反射誘発装置に関する。」
「【0043】振動発生機12は、少なくとも1つのリニア振動アクチュエータ、本実施形態では1つのリニア振動アクチュエータ121を有している。このリニア振動アクチュエータ121は、図1(A)~(C)に示すように利用者の頭部Hの頭頂部HMの中央に配置される。リニア振動アクチュエータ121は、発振器11から出力される信号に基づいて、内蔵している錘を一方向に往復駆動させることで、振動を発生させる。具体的には、リニア振動アクチュエータ121は、スピーカのコイルと磁石が逆に配置された構造、すなわち錘となる磁石が一方向に移動可能に支持されてその近傍にコイルが固定された構造を有している。リニア振動アクチュエータ121は、モータの回転軸に偏心した錘を取り付けた振動装置では容易に実現できない、振動の周波数及び振幅を個別に調整することが可能であり、振動させたい一方向に振動するので、エネルギー変換効率もよい。本実施形態では、リニア振動アクチュエータ121の場合、錘の振動方向は、頭皮に対して垂直になるよう、配置される。したがって、発生する振動の伝達効率が良い。」
「【0096】本実施形態において、皮膚反射誘発装置1は、図17に示すように伝達部材15としてスカルキャップ15Eを採用している。スカルキャップ15Eは、伝達部材15として利用者の頭蓋部(前頭部HF、頭頂部HM、後頭部HR、および側頭部HSr,HSl)を覆う硬質の外殻15E0と、利用者の頭蓋部の形状に合わせて作られる内壁パッド15E1を有している。皮膚反射誘発装置1の振動発生機12は、外殻15E0と内壁パッド15E1との間に、頭蓋部に対応する範囲の全体にわたって隙間なく配置された複数のリニア振動アクチュエータ121を有している。【0097】発振器11、制御部13、バッテリ14は、後頭部HRから後頸部側へ延びた外殻15E0と内壁パッド15E1との間に配置される。十分な容積を確保するために、外殻15E0を後方へ隆起させてもよい。操作部16は、発振器11などが配置された後頭部HRの外殻15E0に表示部161及びボタン162を露出した状態に組み込まれる。利用者の頭部Hに当接して個々のリニア振動アクチュエータ121の振動を頭皮に伝達する内壁パッド15E1の接触面151が利用者の一人一人の頭部Hの外形にフィットするように、3Dスキャナで頭部Hの形状を読み取り、その形状を基に外殻15E0内面と個々のリニア振動アクチュエータ121との間に挿入するスペーサを3Dプリンタで造形するとよい。」
「【0100】さらに、第5の実施形態の皮膚反射誘発装置1は、図17に示すように制御部13にインターフェイスで接続される操作端末2を含むとともに、操作端末2と通信するために操作部16の周辺の外殻15E0に組み込まれている通信モジュール18を備える。本実施形態では、インターフェイスとして無線(赤外線や近距離無線を含む)接続される場合を例に説明する。ただしインターフェイスとして一般的なコネクタとジャックを設けて有線接続されてもよい。【0101】図17に示す操作端末2は、伝達部材15に配置された複数のリニア振動アクチュエータ121の配置を平面に展開して示す二次元平面画像Gを少なくとも表示する画面21と、この画面21に表示された情報に対応して操作が可能な入力部22と、を備える。そして、操作端末2は、画面21に表示された二次元平面画像Gに対応する入力部22の部位に触れられることで、伝達部材15の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータ121を選択し、振動パターンV1~V13や、誘発時間t1、弛緩時間t2、運転時間t3、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータ121を振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする、優先的な指令信号を制御部13に送信する。【0102】上記機能を備えるこの操作端末2は、専用のリモートコントローラであってもよいし、携帯電話やスマートフォン、無線通信機能を有したタブレット型端末やノートブック型ポータブルコンピュータあるいはデスクトップコンピュータであってもよい。図17の本実施形態では、スマートフォンを利用し、専用のアプリケーションである発毛促進アプリケーションをダウンロードして使用している一例を示している。この場合、入力部22は、タッチパネルとして、画面21に対して積層されているので、画面21に表示された情報の位置にそのまま触れることで、入力部22を操作できる。操作端末2がデスクトップコンピュータである場合、モニタに表示された情報や二次元平面画像Gに対してかマウスやタッチパッドでカーソルの位置を移動させて入力操作される。操作端末2は、無線通信機能によって無線接続される以外に、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)や他の規格のインターフェイスによる通信ケーブルによって伝達部材15であるスカルキャップ15Eに搭載された制御部13に接続されてもよい。【0103】次に、操作端末2に格納された発毛促進アプリケーションの機能について説明する。この発毛促進アプリケーションは、本実施形態では操作端末2となるスマートフォンに格納され、皮膚反射誘発装置1の伝達部材15であるスカルキャップ15Eに搭載された制御部13に対してインターフェイスを介して通信を行う。つまり、発毛促進アプリケーションは、皮膚反射誘発装置1の電源が入っている状態で起動されることで、または、発毛促進アプリケーションが先に起動している場合は皮膚反射誘発装置1の電源が入れられたのち設定情報の取得操作をすることで、操作端末2の通信機能を利用して皮膚反射誘発装置1の制御部13と通信モジュール18を介して無線で通信し、現在の皮膚反射誘発装置1の設定情報等を取得する。そして、操作端末2とスカルキャップ15Eの間の通信が確立されると、制御部13は、スカルキャップ15Eに設けられた操作部16を無効化する。操作端末2と通信モジュール18の間の通信が一定の時間以上、途絶えると、制御部13は、操作部16の機能を回復させる。【0104】この発毛促進アプリケーションは、通信状態にあるスカルキャップ15Eの複数のリニア振動アクチュエータ121の誘発時間t1、弛緩時間t2、振動の周波数、振幅、位相を制御するための指令信号(運転プログラム)を制御部13に提供する。さらにこの発毛促進アプリケーションは、制御部13が備えていない複数の振動パターンを実施する振動プログラムを含んでいてもよい。例えば、複数のリニア振動アクチュエータ121の誘発時間t1中の振幅を、個別に、または分割された複数の領域に対応するリニア振動アクチュエータ121の群(例えば、前頭部の群12GF,頭頂部の群12GM,後頭部の群12GR,左右の側頭部の群12GSr,12GSl)ごとに変化させるなど、複数の振動パターンを含む。」
「【0112】 以上のように、図18から図21の振動パターンV10~V13をスカルキャップ15Eの制御部13に提供し、リニア振動アクチュエータ121を制御することで、異なる振動を体感することができるとともに、体感の違いによる異なる効果も得られる。例えば、これらの振動パターンV10~V12を図3から図7に示す基本的な振動パターンV1~V5と組み合わせた運転プログラムにすることによって、振動の強さを感じる位置が移動することによるマッサージ的効果を加えることができる。」
【図17】
以上によれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。
「設定された周波数及び振幅の信号を発生させる発振器と、前記発振器から出力される前記信号に基づいて錘を一方に振動させるとともに振動の周波数を維持しながら振幅の大きさを変化させることのできる複数のリニア振動アクチュエータを含む振動発生機と、皮膚反射を誘発させる周波数及び振幅の誘発信号を前記発振器から前記振動発生機に供給する誘発時間及び前記誘発信号を前記振動発生器に供給しない弛緩時間を交互に繰り返して設定できる制御部と、少なくとも前記振動発生機を搭載し、利用者の頭部に当接して前記振動を頭皮に伝搬することで前記頭皮に皮膚反射を誘発させる伝達部材と、続きを表示(全18行)を備え、上記伝達部材としてスカルキャップ15Eを採用し、スカルキャップ15Eは、伝達部材として利用者の頭蓋部(前頭部HF、頭頂部HM、後頭部HR、および側頭部HSr、HSi)を覆う硬質の外殻15B0と、利用者の頭蓋部の形状に合わせて作られる内壁パッド15E1を有し、皮膚反射誘発装置1の振動発生機は、外郭15E0と内壁パッド15E1との間に、頭蓋部に対応する範囲の全体にわたって隙間なく配置された複数のリニア振動アクチュエータを有し、利用者の頭部Hに当接して個々のリニア振動アクチュエータの振動を頭皮に伝達する内壁パッド15E1の接触面151が利用者の一人一人の頭部Hの外形にフィットするように造形するとよく、前記振動発生機は、前記錘の振動方向を揃えて配置される複数のリニア振動アクチュエータを含み、これにより、発生する振動の伝達効率を良くし、前記振動発生機は、前頭部、頭頂部、後頭部及び側頭部の頭蓋部全体に対応する範囲にわたって配置される複数のリニアアクチュエータを有し、前記制御部は、複数の前記リニア振動アクチュエータを、個別に、または分割された複数の領域に各々対応群ごとに、前記誘発時間、前記弛緩時間、周波数、振幅、位相、の少なくとも1つを設定可能に設けられ、後頭部HRから後顎部側へ延びた外殻15E0と内壁パッド15E1との間に配置される、ことを特徴とする皮膚反射誘発装置1の前記制御部にインターフェイスで接続される操作端末2において、操作端末2は、皮膚反射誘発装置1の操作部16の周辺の外殻15E0に組み込まれている通信モジュール18と、インターフェイスとして無線接続され、前記操作端末2は、前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する画面と、前記画面に表示された情報に対応して操作が可能な入力部と、を備え、前記操作端末2に格納され、前記制御部に対して通信をして複数の前記リニア振幅アクチュエータの前記誘発時間、前記弛緩時間、前記周波数、前記振幅、前記位相の少なくとも1つを制御することを特徴とする発毛促進アプリケーションを設け、発毛促進アプリケーションはダウンロードして使用され、発毛促進アプリケーションを使用する例において、入力部は、タッチパネルとして、画面に対して積層されており、画面に表示された情報の位置にそのまま触れることで入力部を操作でき、前記操作端末2は、前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータを振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする、指令信号を制御部13に送信し、前記発毛促進アプリケーションは、複数のリニア振動アクチュエータ121の誘発時間t1、振動の周波数、振幅などを制御するための指令信号を制御部に提供でき、前記発毛アプリケーションは、複数の前記リニア振動アクチュエータの前記誘発時間中の振動の周波数、振幅、位相の少なくとも1つを、個別にまたは分割された領域に各々対応する群ごとに、変化させる複数の振動パターンを含み、前記振動パターンは、前頭部から後頭部に向けて、少なくともいずれか1つの順序で、振動の周波数、振幅、位相の異なる範囲を移動させるように、複数の前記リニア振動アクチュエータを制御する、操作端末2。」
(2)甲第2号証について
甲第2号証(特開2005-342076号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
「【技術分野】【0001】本発明は、低周波治療器に関するものである。」
「【0012】図1は本発明の第1の実施の形態における靴の断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における治療器本体部を示す平面図、図3は本発明の第1の実施の形態における治療器制御装置を示すブロック図である。【0013】図において、11は低周波治療器としての、かつ、履物としての靴であり、該靴11は、底部12、前半部(図1において左半部)において足の上面を覆う甲皮部13、前端(図1において左端)から後端(図1において右端)まで延在させて配設され、足の側面を覆う側部14、及び足の後面を覆う後部15を備える。前記底部12には、靴11内において足裏と対向するように、底部12の全体にわたり、一体にプレート状の治療器本体部18が配設される。また、前記底部12のうちの踵(かかと)部21には、制御部としての制御回路・電源ユニット部22及び第1の検出部としての踵センサ23が、底部12のつま先部25には第2の検出部としてのつま先センサ26が配設される。そして、前記後部15にスイッチ28が配設される。なお、本実施の形態において、前記治療器本体部18は、底部12と一体に形成されるが、底部12と別体に形成することができる。その場合、治療器本体部18によって中敷が構成される。【0014】前記制御回路・電源ユニット部22は、操作者の歩行に支障がないように、踵部21に配設されるようになっているが、踵部21に代えて甲皮部13に配設したり、靴11と別体に配設したりすることができる。【0015】前記治療器本体部18は、底部12の全体にわたって延びる絶縁性の樹脂板から成るプレート部31、該プレート部31の各所、すなわち、各足つぼに対応させて設定された位置に配設され、上方に向けて突出させて形成された電極32、及び該各電極32と制御回路・電源ユニット部22とを接続するリード部wrを備える。前記各電極32は導電性及び伸縮性の高い材料、例えば、導電性ゴムによって形成され、各リード部wrには、薄板状の導電性の高い材料が使用される。したがって、操作者が歩行する際に、プレート部31、電極32及びリード部wrは屈曲させられる。また、治療器本体部18によって中敷きが形成される場合、エラストマー等の基台に前記電極32が埋め込まれる。なお、各電極32として、導電性ゴムのほかに、導電性スポンジ、金属薄板、金属箔(はく)、導電性繊維、導電性樹脂、導電性インク、導電性塗料、エッチングパターン等を使用することができる。また、本実施の形態においては、前記制御回路・電源ユニット部22と各電極32とをリード部wrによって接続するようになっているが、前記制御回路・電源ユニット部22と各電極32とを無線によって接続することができる。」
「【0024】また、操作者は、操作部36の図示されない第2のモード選択スイッチを操作することによって、低周波パルスの発生モードを片足モード及び両足モードの中から選択することができ、片足モードが選択されると、前記低周波パルス電圧発生処理手段は、低周波パルスを発生させるに当たり、右足用及び左足用の各靴11それぞれにおいて、所定の各電極32に印加される電圧と、他の電極32に印加される電圧とを異ならせて電位差を形成する。」
(3)甲第3号証について
甲第3号証(特開2002-369857号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、マッサージ機の操作を行う操作器に関し、詳しくは操作釦以外に施療状態や操作釦の操作に対応する表示を行う液晶表示部を有し、さらに音声を発生するスピーカー部を有する操作器に関するものである。」
「【0008】【発明の実施の形態】マッサージ機は予め設定された複数の動作を自動的に行う自動コースモードと、好みの一定動作を行うお好み動作モードと、体調を入力することにより動作を選んでくれる問診コースモードとを有しており、このマッサージ機を操作する操作器1は図1、図2に示すように構成されている。この操作器1は横長の矩形状に形成されており、この操作器1の中央部には液晶表示部2を設けてある。この液晶表示部2では動作内容、施療子の移動範囲、施療子の位置、設定内容を表示するようになっている。そして操作器1にはこの液晶表示部2を中心に上下左右に操作釦を設けてある。」
「【0010】マッサージ機の基本動作としては、施療子を人体に対して縦方向に上下して動かす指圧動作、ソフト指圧動作、人体を掴む動作の揉み上げ動作、揉み下げ動作、ぐい揉み動作、ソフト揉み動作、また左右の施療子を交互に上下する叩き動作、揉み叩き動作、また背中の首から腰にかけて上下する背すじ伸ばし動作を行えるものであり、全身自動コース用操作釦8を操作して行う4つの全身自動コースはこれらのコースを組み合わせたものである。指圧コース釦8aを操作して行う指圧コースは指圧動作、ソフト指圧動作、ソフト指圧背すじ伸ばしを中心に動作するコースとなっている。コリ改善コース釦8bを操作して行うコリ改善コースは揉み上げ動作、揉み下げ動作、ぐい揉み動作、ソフト揉み動作、揉み背すじ伸ばし動作を中心にする動作となっている。疲労回復コース釦8cを操作して行う疲労回復コースはソフト指圧動作、ソフト指圧背すじ伸ばし動作、ソフト揉み動作、ソフト叩き動作、ソフト叩き背すじ伸ばし動作を中心に動作するコースとなっている。全身活性コース操作釦8dを操作して行う全身活性コースは全ての動作を万遍なく動作するコースとなっている。」
「【0012】上記のように操作器1が構成され、横長の矩形状の操作器1の中心部に動作内容及び施療子の移動範囲、施療子の位置、設定内容を表示する液晶表示部2を配置することで、液晶表示部2を中心に上下左右に操作釦を設けることができ、例えば左側に入/切操作釦4、停止操作釦5等を、上部に全身自動コース用操作釦8等を、右の蓋9の表面に問診コース用操作釦14等を、蓋9が開放されたとき露出する面にお好み操作釦15群等を設けることができ、夫々の操作釦に対応した表示を液晶表示部2で行うことで、操作が切り替えられたことを操作釦に近い位置で液晶表示にて確認することができる。また操作器1を右手、左手または両手で持って液晶表示部2が手で隠れて見えなくなってしまうことを防ぐことができる。」
【図1】
(4)甲第4号証について
甲第4号証(特開平4-138160号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
「[産業上の利用分野]本発明は、背もたれて人体の背部のマッサージを行うマッサージ機に関するものである。」(第1頁左下欄13行乃至15行)
「[実施例]以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。第1図はマッサージ機の操作器Aの表示部1の平面図を示し、この表示部1は液晶にて形成されている。第1図に示すように、方向表示部2は、施療子の移動の方向を表示するものであり、コース表示部3は、自動運転か、あるいはマニュアル運転かの選択したコースを表示するものであり、自動運転用の表示部3aとマニュアル運転用の表示部3bが設けられている。位置表示部4は、人体の背部の絵を書いてその部分に多数に表示部が区分けして設けてある。施療表示部5は、もみ上げ,もみ下げ動作、たたき動作、背筋伸ばし動作の各表示部5a~5cからなっている。また、速度表示部6、強さ表示部7が設けられている。これらの各表示部は、それぞれ施療状態に応じて点灯表示するようにしてある。」(第2頁左上欄7行乃至右上欄3行)
(5)甲第5号証について
甲第5号証(特表2015-521521号公報)には、図面とともに、次の記載がある。
「【技術分野】【0001】本願発明は、独立項の前文に記載されるような医学治療装置に関する。【背景技術】【0002】本願発明は、筋肉リラクゼーションに関し、特に、中枢神経系統(CNS)に損傷をもつ患者の特定の筋肉に対して、少なくとも筋肉刺激を使った筋肉リラクゼーションに関する。」
「【0019】衣服は弾性であり、かつ、患者の体にぴったり合うように意図されている。衣服は、筋肉の外部電気刺激治療のためのユーザフレンドリーな方法で使用することができるようになっている。電極、例えば、シリコン電極は、衣服の内側面に配置されており、その面は患者の皮膚に対向し、患者の皮膚に接触する。電極をコネクションユニットに接続する電気的接続は、フレキシブルかつ弾性である。」
3 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)引用発明の「伝達部材」は、「スカルキャップ15E」として使用者の一部(頭蓋部)を覆うものであるから、本件発明1の「衣類」に相当する。
また、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、振動により頭部の皮膚に対して刺激を与える(提示する)手段であるから、本件発明1の「駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与える」と同様の動作を行っていると認められる。
加えて、引用発明の「伝達部材」は、「スカルキャップ15E」として使用者の頭蓋部を覆うものであり、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は「伝達部材」に配置されたものであるから、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、「スカルキャップ15E」に取り付けられているといえる。
そうすると、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」と、本件発明1の「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段」は、衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段である点で共通する。
よって、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」及び「伝達部材」が配置された「皮膚反射誘発装置1」は、本件発明1の「ウェアラブル機器」に対応する。
そして、引用発明の「指令信号」は、「操作端末2」の「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータを振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする」信号であるから、本件発明1の「複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して」送信される「信号パターン」に相当する。
そうすると、引用発明の「操作端末2」は、本件発明1の「電子装置」に対応する。
(イ)引用発明の「入力部」は、利用者により「画面に表示された情報に対応して操作」できるものであり、「タッチパネルとして、画面に対して積層されてい」るから、本件発明1の、「ユーザーの操作を受け付ける入力手段」に相当する。
(ウ)引用発明の「指令信号」は、「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで」「制御部13」に送信される信号であるから、この信号は、本件発明1の「ユーザーの操作に対応する信号パターン」に相当する。
そうすると、引用発明は、本件発明1の「ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段」と同様の生成手段を備えていると認められる。
(エ)引用発明の「操作端末2」は、「皮膚反射誘発装置1の操作部16の周辺の外殻15E0に組み込まれている通信モジュール18と、インターフェイスとして無線接続され」ているから、「通信モジュール18」と無線接続するための手段を備えていると認められる。
そして、「操作端末2」は、「前記制御部に対して通信をして複数の前記リニア振幅アクチュエータの前記誘発時間、前記弛緩時間、前記周波数、前記振幅、前記位相の少なくとも1つを制御する」から、引用発明の「操作端末2」が備える無線接続するための手段は、本件発明1の「この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段」に相当する。
(オ)引用発明の「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する画面」は、本件発明1の「表示装置」に相当する。
(カ)引用発明の「表示する画面」は、「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する」ものであり、この「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像」は、本件発明1の「表示情報に応じた画像」に相当するから、引用発明も本件発明1の「表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段」と同様の手段を備えていると認められる。
(キ)引用発明は、「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示」し、「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータを振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする、指令信号を制御部13に送信し」ているから、この「触られること」は、本件発明1の「ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作」に相当する。
そうすると、引用発明の本願発明1の「ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段」に相当する構成は、請求項1に係る発明の「ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成」することと同様の動作を行っていると認められる。
(ク)そして、引用発明は、この「触れること」で「伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し」ているのであるから、引用発明の本件発明1の「ユーザーの操作情報」に対応する情報は、本件発明1の「前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置」に関する情報を含んでいる点で共通する。
(ケ)加えて、引用発明の「指令信号」は、「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できる」信号であるから、引用発明の「指令信号」と、本件発明1の「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」む「前記信号パターン」は、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情含む信号パターンである点で共通する。
(コ)引用発明の「前記操作端末2は、前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する」ことは、本件発明1の「前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させること」に相当する。
(サ)そうすると、本件発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段のうち少なくとも1つの刺激提示手段に、信号パターンに応じた駆動信号を印加してユーザーに皮膚覚刺激を与えるウェアラブル機器に対して、信号パターンを送信する電子装置であって、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、この信号パターン生成手段によって生成された信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なったなぞり操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置を含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報を少なくとも含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする電子装置。」
[相違点1]
「刺激提示手段」について、本件発明1は「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられ」ているのに対して、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられ」ていない点で相違する。
[相違点2]
「ユーザーの操作情報」について、本件発明1は「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」んでいるのに対して、引用発明の「ユーザーの操作情報」に対応する情報は、位置の時間に伴う変化は含んでいない点。
[相違点3]
「信号パターン」について、本件発明1は「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」んでいるのに対して、引用発明は、「その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報」に対応する情報は含んでいない点。
[相違点4]
本願発明1は、「前記ウェアラブル機器に、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可させ」ているのに対して、引用発明は対応する動作を行っていない点。
イ 相違点についての当審の判断
事案に鑑みて、上記相違点2及び3について先に検討すると、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むこと、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むことは、上記甲第2号証ないし5号証には記載及び示唆がされておらず、原出願の出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本件発明1は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(2)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1の「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」み、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むことを有するものであるから、本件発明1と同じ理由により、本件発明2及び3は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(3)本件発明4について
ア 本件発明4と甲1発明とを対比する。
(ア)引用発明の「操作端末2」の「入力部」は、利用者により「画面に表示された情報に対応して操作」できるものであり、「タッチパネルとして、画面に対して積層されてい」るから、本件発明4の「ユーザーの操作を受け付ける入力手段」に相当する。
(イ)「引用発明の「指令信号」は、「操作端末2」の「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータを振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする」信号であるから、本件発明4の「ユーザーの操作に対応する信号パターン」に相当する。
そうすると、引用発明の「操作端末2」は、本件発明4の「ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段」と同様の生成手段を備えていると認められる。
(ウ)引用発明の「操作端末2」は、「皮膚反射誘発装置1の操作部16の周辺の外殻15E0に組み込まれている通信モジュール18と、インターフェイスとして無線接続され」ているから、「通信モジュール18」と無線接続するための手段を備えていると認められる。
そして、「操作端末2」は、「前記制御部に対して通信をして複数の前記リニア振幅アクチュエータの前記誘発時間、前記弛緩時間、前記周波数、前記振幅、前記位相の少なくとも1つを制御する」から、引用発明の「操作端末2」が備える無線接続するための手段は、本件発明4の「前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段」に相当する。
(エ)引用発明の「操作端末2」の「画面」は、本件発明4の「表示装置」に相当する。
(カ)引用発明の「画面」は、「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する」ものであり、この「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像」は、本件発明4の「表示情報に応じた画像」に相当するから、引用発明も本件発明4の「表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段」と同様の手段を備えていると認められる。
(キ)そうすると、引用発明の「操作端末2」は、本件発明4の「電子装置」に対応する。
(ク)引用発明の「伝達部材」は、「スカルキャップ15E」として使用者の一部(頭蓋部)を覆うものであるから、本件発明4の「衣類」に相当する。
また、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、振動により頭部の皮膚に対して刺激を与える(提示する)手段であるから、本件発明4の「駆動信号を印加することによってユーザーに皮膚覚刺激を与える」と同様の動作を行っていると認められる。
加えて、引用発明の「伝達部材」は、「スカルキャップ15E」として使用者の頭蓋部を覆うものであり、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は「伝達部材」に配置されたものであるから、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、「スカルキャップ15E」に取り付けられているといえる。
そうすると、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」と、本件発明4の「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段」は、衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段である点で共通する。
(ケ)また、引用発明の「皮膚反射を誘発させる周波数及び振幅の誘発信号を前記発振器から前記振動発生機に供給する誘発時間及び前記誘発信号を前記振動発生器に供給しない弛緩時間を交互に繰り返して設定できる制御部」は「操作端末2」から「指令信号」により制御されており、また「皮膚反射誘発装置1」に配置されたものであるから、引用発明の「制御部」は、本件発明4の「前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置」に相当する。
(コ)そうすると、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」及び「制御部」が配置された「皮膚反射誘発装置1」は、本件発明4の「ウェアラブル機器」に対応する。
(サ)引用発明は、「前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示」し、「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できるほか、任意の振動パターンを実行中である場合には、選択したリニア振動アクチュエータを振動パターンによる誘発時間t1とは異なるタイミングで振動させたり、振幅の大きさを変化させたりする、指令信号を制御部13に送信し」ているから、この「触られること」は、本件発明4の「ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作」に相当する。
そうすると、引用発明の本件発明4の「ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段」に相当する構成は、請求項4に係る発明の「ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成」することと同様の動作を行っていると認められる。
(シ)そして、引用発明は、この「触れること」で「伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し」ているのであるから、引用発明の本件発明4の「ユーザーの操作情報」に対応する情報と本件発明4の「ユーザーの操作情報」とは、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置を含んでいる点で共通する。
(コ)加えて、引用発明の「指令信号」は、「前記画面に表示された前記二次元平面画像に対する前記入力部の部位に触られることで、伝達部材の対応する位置に配置されたリニア振動アクチュエータを選択し、振動パターンV1からV13や、誘発時間t1、振動の周波数、振動の強度(振幅)などを設定できる」信号であるから、引用発明の「指令信号」と、本件発明4の「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを含」む「前記信号パターン」は、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情含む信号パターンである点で共通する。
(サ)引用発明の「前記操作端末2は、前記伝達部材に配置された複数の前記リニア振動アクチュエータの配置を平面に展開して示す二次元平面画像を少なくとも表示する」ことは、本件発明4の「前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ」ることに相当する。そしてこれらの表示制御も、引用発明の本件発明4の「表示情報制御手段」に相当する構成が制御していると認められる。
(シ)そすると、引用発明の「操作端末2」と「皮膚反射誘発装置1」を備えるシステムは、本願発明4の「皮膚覚提示システム」に対応する。
(ス)してみると、本件発明4と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「電子装置とウェアラブル機器を備える皮膚覚提示システムであって、前記電子装置は、ユーザーの操作を受け付ける入力手段と、ユーザーの操作に対応する信号パターンを生成する信号パターン生成手段と、続きを表示(全15行)前記信号パターンを前記ウェアラブル機器に送信する通信手段と、表示装置と、表示情報に応じた画像を前記表示装置に表示させる表示情報制御手段とを有し、前記ウェアラブル機器は、衣類に取り付けられた複数の刺激提示手段と、前記衣類に装着され、少なくとも1つの前記刺激提示手段に、前記電子装置から送信された信号パターンに応じた駆動信号を印加することによりユーザーに皮膚覚刺激を与える制御装置とを有し、前記信号パターン生成手段は、ユーザーが前記入力手段を介して行なった操作に応じて、前記表示情報およびユーザーの操作情報に対応する前記信号パターンを生成し、前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置を含み、前記信号パターンは、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含み、前記表示情報制御手段は、前記表示情報により、前記ウェアラブル機器の画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可することを特徴とする皮膚覚提示システム。」
[相違点5]
「刺激提示手段」について、本件発明4は「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられ」ているのに対して、引用発明の「リニア振動アクチュエータ」は、「ユーザーの体表面に接触するように衣類に取り付けられ」ていない点で相違する。
[相違点6]
「ユーザーの操作情報」について、本件発明4は「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」んでいるのに対して、引用発明の「ユーザーの操作情報」に対応する情報は、位置の時間に伴う変化は含んでいない点。
[相違点7]
「信号パターン」について、本件発明4は「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」んでいるのに対して、引用発明の「指令信号」は、「その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報」に対応する情報は含んでいない点。
[相違点8]
本件発明4の「前記制御装置は、前記信号パターンに含まれる前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に存在する刺激提示手段を選択し、この刺激提示手段が前記信号パターンに含まれる前記時間指定情報で指定される継続時間だけユーザーに皮膚覚刺激を与えるように、前記刺激提示手段に前記駆動信号を印可」しているのに対して、引用発明の「制御部」は対応する動作を行っていない点。
イ 相違点についての当審の判断
事案に鑑みて、上記相違点6及び7について先に検討すると、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むことは、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」むことは、上記甲第2号証ないし5号証には記載及び示唆がされておらず、原出願の出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本件発明4は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
(4)本件発明5ないし7について
本件発明5ないし7は、本件発明1の「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置と、その位置の時間に伴う変化とを含」むこと、及び「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」むこと、あるいは、本件発明4の「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むこと、及び「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むことを有するものであるから、本件発明1及び4と同じ理由により、本件発明5ないし7は、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
第5 特許異議申立人梅田明子の意見について
特許異議申立人は、令和3年2月1日に提出された意見書において、
1 訂正請求書の訂正は、訂正の要件を満たさない。
2 訂正後の請求項1ないし7に係る発明は、進歩性を欠いている。
旨主張している。
しかしながら、上記第2で検討したように、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、特許異議申立人の訂正請求書に関する主張は採用できない。
さらに、上記第4の3で検討したように、上記相違点2及び3に係る、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むこと、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情と、その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報とを少なくとも含」むこと、並びに、上記相違点6及び7に係る、「前記ユーザーの操作情報は、前記ユーザーが前記入力手段を操作して指定した」「位置の時間に伴う変化とを含」むことは、及び、「信号パターン」について「ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置に対応する前記ウェアラブル機器上の位置を指定する位置指定情報と、その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報とを含」むことは、上記甲第1ないし5に記載されておらず、原出願の出願前において周知技術であるともいえないから、特許異議申立人の進歩性に関する主張は採用できない。
なお、特許異議申立人は、周知技術を示す文献として参考資料1(特開2005-328270号公報)を提示しているが、参考資料1に、
「【技術分野】【0001】本発明は、送信者が指示した刺激方法に従って受信者になでられる感触や文字をなぞられる感触、叩かれる感触などの触覚情報を与える触覚刺激通信装置に関する。」
「【実施例1】【0018】図1は本発明の実施例1に係る触覚刺激通信装置の構成を示すブロック図である。図示の触覚刺激通信装置1は、触覚刺激出力手段2、刺激方法指示手段3、通信手段4、それらを制御する制御手段5および図示されていない電源とを含んで構成されている。触覚刺激出力手段2は、接触した対象物に後述する機構によって触覚刺激を与える。刺激方法指示手段3は、使用者が指などによって行う指示を後述する機構によって取得し、電気信号に変換して制御手段5に伝達する。制御手段5は、伝達された電気信号に基づいて刺激方法指示情報を生成し、通信手段4へ伝達する。通信手段4は、刺激方法指示手段3から伝達された刺激方法指示情報を他の触覚刺激通信装置1へ送信し、他の触覚刺激通信装置1からの刺激方法指示情報を受信して前記制御手段5へ伝達する。制御手段5は伝達された刺激方法指示情報を触覚刺激出力手段2に対する駆動信号に変換して触覚刺激出力手段2に出力する。触覚刺激出力手段2は、伝達された駆動信号に従って接触している対象物に触覚刺激を出力する。制御手段5はまた、触覚刺激出力手段2、刺激方法指示手段3および通信手段4の動作を制御する。【0019】このようにして、例えば使用者甲が指示した刺激方法が使用者乙に対して出力され、使用者乙が指示した刺激方法が使用者甲に対して出力される。」
「【0023】刺激方法指示手段3での刺激方法の指示は、刺激方法指示手段3上で指8を動かし、動かす位置、動かす方向、動かす速さ、押す強さ、叩くリズムなどを変えて行う。これらのパラメータによる刺激を触覚刺激出力手段2からそのまま出力すれば、まるで直接手のひらを指でなぞっている感覚を与えることができる。しかし、これらのパラメータを忠実に再現する機構を手の上に載るようなコンパクトなもので実現することは難しい。そこで、限られた出力方法で効果的な刺激表現を行うために、刺激をパターン化するとよい。【0024】図6は実施例1に係る触覚刺激通信装置の触覚刺激の例を示す図である。本実施例では、触覚刺激を、(a)~(f)の六つのモードに分けて定義する。続きを表示(全37行)(a)ノーマルモード指8を動かす位置、動かす速さ、動かす方向、押す強さをそのまま出力するモードである。(b)なでなでモードなでられる感覚を与えるモードである。全体的に同じ方向の刺激を与えることでなでられる感覚を与える。なでる速さ、なでる方向、なでる強さ、なでる幅などに何段階かのレベルを設け、刺激方法指示手段3をなでる動作から得られるこれらのパラメータの値に最も近いレベルの出力を行う。(c)文字伝達モード文字の運筆の刺激を出力するモードであり、『あ』の文字の出力例である。手のひらの触覚は絶対位置はわかりにくいが連続する動きの相対向きに敏感である。そこで、動きの方向を誇張して出力している。第1文字要素刺激ベクトル21の「横方向の直線的動き」、第2文字要素刺激ベクトル22の「縦方向の直線的動き」、第3文字要素刺激ベクトル23の「ぐるっと回る動き」という刺激の変化から『あ』という文字であることを認識できる。(d)トントンモード叩くリズムの伝達を主眼とするモードである。位置や速度などのパラメータを省略することで歯切れのよいリズム伝達に特化することができる。強さは刺激エリア24の面積で代用することも可能である。(e)放射刺激モード特殊な感触を伝達するモードである。一般的に身体の特定部分を放射状になでられるとぞっとするような面白い感触を得ることができる。それを誇張した出力である。位置、方向を固定することで限られた面積の中で最も効果的な出力を行うことができる。(f)さみだれモード他の特殊な感触を伝達するモードである。図中の数字の順のようにランダムな位置をランダムに刺激すると楽しい感覚を得ることができる。刺激方法指示手段3で指示された位置、リズムが偏っていても、出力時に満遍なくランダムに行うことにより、より効果的な出力にすることができる。【0025】このように触覚刺激を複数のモードに分けて定義し、モードごとに必要なパラメータを定め、なでる、叩くなどの表現をわかりやすくパターン化された刺激にすることで、よりはっきり相手に伝えることができる。さらに、触覚刺激を複数のモードに分けて定義することで、人間の感覚器特性を考慮した出力を行うことができ、触覚による文字認識を容易にすることができる。【0026】図7は本発明の実施例1に係る触覚刺激通信装置の動作の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、まず、甲から乙へ触覚を送信する場合の手順について説明する。【0027】通信が開始されると(S100)、甲の触覚刺激通信装置1の刺激方法指示手段3は、入力された指示(刺激方法指示手段3に加えられた物理的な動作・接触刺激)を電気信号に変換して甲の制御手段5(以下、制御手段5甲という)に伝達し、制御手段5甲は、伝達された電気信号に基づいて刺激方法指示手段3で入力された指示を取得する(S101)。そして、刺激方法指示手段3で入力された指示に基づいて触覚刺激のモードがなでなでモードであるかどうかを判定する(S102)。触覚刺激モードの認識は、刺激方法指示手段3で入力される動きから自動的に行われるようにしてもよいし、モードを指定する特定の動きを刺激方法指示手段3で行わせることにしてもよいし、筐体6にモード指示のためのモード指示手段を設けてもよい。【0028】図8に、実施例1に係る触覚刺激通信装置の筐体6にモード指示手段を設けた例を示す。図8の例では、筐体6の側面(円柱部外周面)に、なでなでモード指示手段31、文字伝達モード指示手段32、トントンモード指示手段33、放射刺激モード指示手段34、さみだれモード指示手段35及びノーマルモード指示手段36が設けられている。各モード指示手段は押しボタンになっており、そのボタンを押すことでモードが指定される。【0029】S102で、なでなでモードと認識されたときは、制御手段5甲はS103に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから必要なパラメータとして速さ、方向、強さ、幅を取得したのちS113に進む。【0030】S102で、なでなでモードではないと認識されたときは制御手段5甲はS104に進み、文字伝達モードであるかどうかを判定する。S104で文字伝達モードであると認識されたときは制御手段5甲はS105に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから必要なパラメータとして文字要素を認識する。文字要素を認識したのち、S113に進む。【0031】S104で文字伝達モードではないと認識されたときは制御手段5甲はS106に進み、トントンモードであるかどうかを判定する。S106でトントンモードであると認識されたときは制御手段5甲はS107に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから必要なパラメータとしてリズムと強さを取得する。リズムと強さを取得したのち、S113に進む。【0032】S106でトントンモードではないと認識されたときは制御手段5甲はS108に進み、放射刺激モードであるかどうかを判定する。S108で放射刺激モードであると認識されたときは制御手段5甲はS109に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから必要なパラメータとして速さと強さを取得する。速さと強さを取得したのち、S113に進む。【0033】S108で放射刺激モードではないと認識されたときは制御手段5甲はS110に進み、さみだれモードであるかどうかを判定する。S110でさみだれモードであると認識されたときは、制御手段5甲はS111に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから必要なパラメータとして速さと強さを取得する。速さと強さを取得したのち、S113に進む。【0034】S110でさみだれモードではないと認識されたときはノーマルモードであるので、制御手段5甲はS112に進み、刺激方法指示手段3で入力される動きから位置と速さと必要なパラメータとして方向と強さを取得する。方向と強さを取得したのち、S113に進む。【0035】S113では、制御手段5甲はモードの別と各モードで必要なパラメータの値を記述した刺激方法指示情報の通信文を作成し、通信手段4に伝達する。通信手段4は、伝達された通信文を乙に送信する。」
「【0077】ソフトカバー202の上から、なでる、文字を描くなどの動作を行うと感圧センサ203に圧力が掛かり、各感圧センサ203はそれぞれ感知した圧力を信号に変えて制御手段5に伝達する。制御手段5は、各感圧センサ203から入力された信号に基づいて、動作の強さ、動作を行っている位置(範囲)、圧力が検知される位置の変化から動作の方向、動作の速度などを検出し、入力された動作が前記a~fのモードのいずれであるかを判定するとともに、判定されたモードに付属すべきパラメータを取得する。図8に示すようなモード指示手段が設けられている場合は、モード指示手段から伝達される信号に基づいて、入力された動作が前記a~fのモードのいずれであるかが判定される。」
と記載されているように、参考資料1に記載された「ノーマルモード」は、指8を動かす位置、動かす速さ、動かす方向、押す強さをそのまま出力するモードであり、刺激方法指示手段3で入力される動きから位置と速さと必要なパラメータとして方向と強さを取得し、制御手段5甲はモードの別と各モードで必要なパラメータの値を記述した刺激方法指示情報の通信文を作成し、通信手段4に伝達するのであるから、この「通信文」には、上記相違点4に係る「信号パターン」の「その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報」、及び相違点7に係る「信号パターン」の「その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報」に対応する情報は含まれていない。
そうすると、引用発明に参考資料1に記載された技術を適用したとしても、引用発明の「指令信号」を、上記相違点4に係る「信号パターン」と同様の「その位置の時間に伴う変化に対応して、前記位置指定情報で指定される前記ウェアラブル機器上の位置に刺激を与える継続時間を指定する時間指定情報」を含む情報にすること、及び相違点7に係る「信号パターン」と同様の「その位置の時間に伴う変化に対応して、ユーザーが前記入力手段を操作して指定した位置へのユーザーが指定した継続時間を、前記位置指定情報で指定されるウェアラブル機器上の位置に皮膚覚刺激を与える継続時間として指定する時間指定情報」を含む情報にすることには至らない。
してみると、引用発明並びに甲第2ないし第5に記載された事項及び参考資料1に記載された周知技術に基づいて、本件発明1ないし7は、進歩性を欠いているという、特許異議申立人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700300