特許訂正審判
2020-390116
根尖位置検出装置
- 審判番号
- 2020-390116
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2013-009569外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月23日
- 審決日
- 2021年03月29日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 モリタ製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 分類
- P141 .853-Y (A61C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第4項、特許法第126条第7項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5551283号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5551283号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5551283号(以下「本件特許」という。)は、平成19年8月23日に出願した特願2007-216552号の一部を平成25年1月22日に新たな特許出願としたものであって、平成26年5月30日にその特許権の設定登録がなされ、その後、令和2年12月23日に本件訂正審判が請求されたものである。
2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「根管内に挿入され根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」と記載されているのを、
「根管内に挿入される歯科用工具に電気的に接続され、根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」
に訂正する(請求項1の記載を直接または他の請求項を介して引用する請求項2、3、4および5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0010】に
「根管内に挿入され根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」と記載されているのを、
「根管内に挿入される歯科用工具に電気的に接続され、根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」
に訂正する。
3 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1ないし5について、請求項2ないし5は請求項1を引用するものであって、訂正事項1に係る訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし5は、特許法第126条第4項に規定する一群の請求項である。
イ 訂正の目的について
まず、訂正前の請求項1における「測定電極」について検討すると、「根管内に挿入され根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、根尖位置を検出される被検体に接触し根尖位置検出信号を印加するための」と特定していることから、当該測定電極は、文言上直接的に根管内に挿入され、直接根尖位置検出信号を印加する態様を含むものと解することができる。
他方、本件特許に係る根尖位置検出装置について明細書の段落【0021】に「・・・測定電極102は、測定電極用信号線102aの先端に設けられた測定電極用接続部102aaに接続されることで、装置本体101と接続される。・・・測定電極102は、歯の根管内に挿入される歯科用工具104に、被検体接触電極103は、例えば患者の口唇に、それぞれ電気的に接続される。以上の構成により、歯の根管内電気特性(例えば根管内インピーダンス値)を測定するための電気回路が構成される。」(下線は当審で付した。以下同様である。)と記載されるとともに、図1及び図2には、測定電極は、歯の根管内に挿入された歯科用工具と接続されることが図示されており、測定電極を直接的に根管内に挿入する態様は見当たらないことから、本件特許に係る根尖位置検出装置の測定電極は、直接的に根管内に挿入されて根尖位置検出信号を印加するものではなく、根管内に挿入された工具を介して根尖位置検出信号を印加することのみが、本件特許の明細書及び図面には実質的に記載されているといえる。
そして、特開平6-181938号公報、特開平10-155818号公報、特開2001-327519号公報及び特表2006-509592号公報に記載されているとおり、根尖位置測定装置の測定電極は、根管内に挿入された歯科用工具を介して根尖位置検出信号を印加することは技術常識であるといえるといえる(以下「技術常識」という。)。
そうすると、訂正前の請求項1の記載では、測定電極が根尖位置検出信号を印加するための具体的態様について、文言どおり測定電極が根管内に挿入され根尖位置検出信号を印加する(以下「解釈1」という。)のか、根管内に挿入されるものは歯科用工具であって、該歯科用工具に接続された測定電極が該歯科用工具を介して根尖位置検出信号を印加する(以下「解釈2」という。)のか、不明瞭であったといえるところ、上記のように本件特許明細書及び図面の記載並びに技術常識を参酌すると、上記解釈2と解することが相当であるといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、「根管内に挿入される歯科用工具に電気的に接続され、根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」であるから、本件特許の請求項1において、測定電極が根尖位置検出信号を印加するための具体的態様が解釈1のように測定電極を根管内に挿入するのではなく、解釈2のように、根管内に挿入されるものは歯科用工具であって、該歯科用工具に接続された測定電極は該歯科用工具を介して根尖位置検出信号を印加することを明瞭にしようとするものである。
してみると、訂正事項1に係る訂正は、本件特許において、「根管内に挿入され」るものが「歯科用工具」であり、測定電極が歯科用工具を介して根尖位置検出信号を印加すること、すなわち解釈2であることを明瞭にしたものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記イに示したとおり、「根管内に挿入され根尖位置検出信号を印加するための測定電極と、」との記載は、解釈1および解釈2の二通りの解釈ができるものであるが、本件特許明細書及び図面の記載並びに上記技術常識を参酌すると、根管内に挿入されるものは「歯科用工具」であり、測定電極が歯科用工具を介して根尖位置検出信号を印加すること、すなわち解釈2と解することが相当である。
そうすると、訂正事項1に係る訂正は、文言的には、一見、解釈1から解釈2に変更されたともみることができるが、当業者が本件特許明細書及び図面の記載並びに上記技術常識を踏まえれば、解釈1のように理解せず、解釈2のように理解したはずであるから、実質上特許請求の範囲の変更には当たらない。
そうすると、訂正事項1に係る訂正は、請求項1ないし6に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ 新規事項の追加について
(ア)本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【0021】
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。(実施の形態)まず、図7を基に、従来の根尖位置検出装置の構成を確認する。従来の根尖位置検出装置110は、装置本体101と、測定電極102と、被検体接触電極103とを備える。測定電極102は、測定電極用信号線102aの先端に設けられた測定電極用接続部102aaに接続されることで、装置本体101と接続される。また、被検体接触電極103は、被検体接触電極用信号線103aの先端に設けられた被検体接触電極用接続部103aaに接続されることで、装置本体101と接続される。測定電極102は、歯の根管内に挿入される歯科用工具104に、被検体接触電極103は、例えば患者の口唇に、それぞれ電気的に接続される。以上の構成により、歯の根管内電気特性(例えば根管内インピーダンス値)を測定するための電気回路が構成される。」
「【0024】
・・・そして、測定電極2は、歯の根管内に挿入されるリーマやファイルなどの歯科用工具4に、被検体接触電極3は、例えば患者の口唇に、それぞれ電気的に接続される。以上の構成により、歯の根管内電気特性(例えば根管内インピーダンス値)を測定するための電気回路が構成される。・・・」
(イ)上記(ア)の記載からみて、本件特許明細書には、「根管内に挿入される歯科用工具に電気的に接続され、根尖位置検出信号を印加するための測定電極」が記載されていたといえるから、訂正事項1に係る訂正は、新たな技術的事項を導入したものではない。
よって、当該訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
オ 独立特許要件について
上記イで検討したとおり、訂正事項1に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2
ア 一群の請求項について
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項1ないし5についてするものであるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第4項に規定する一群の請求項全てに対して行うものである。
イ 訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって訂正される特許請求の範囲と、明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないこと、および、新規事項の追加について
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様のものであるから、実質上特許請求の範囲の拡張し、又は変更する訂正ではないこと、および、新規事項の追加がないことは、上記(1)ウおよびエと同様である。
エ 独立特許要件について
上記イで検討したとおり、訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1-5]について訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
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