特許訂正審判
2024-390155
水排出構造を有する燃料電池スタック
- 審判番号
- 2024-390155
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2011-086329
- 登録番号
- 5791940
- 請求日
- 2024年12月16日
- 審決日
- 2025年02月05日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】現代自動車株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
- 【請求人】起亞株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人共生国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠原 功一
- 審判官 畑中 博幸
- 審判官 須原 宏光
- 分類
- P141 .853-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第3項、特許法第126条、特許法第126条第6項、特許法第126条第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第5791940号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5791940号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第5791940号に係る出願は、平成23年4月8日(パリ条約に基づく優先権主張 2010年11月17日、韓国(KR))に出願され、平成27年8月14日に特許権の設定登録がなされ、令和6年12月16日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5791940号の明細書、特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし7について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項(以下、「本件訂正事項」という。)は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「複数のセルがスタック両端のエンドプレート(EP)の間に積層された燃料電池スタックであって、
スタック発電部のエンドセルと前記両端のエンドプレート(EP)との間にはスタックの水排出のためのダミーセルとしてアノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル(CD)とカソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル(AD)がそれぞれ少なくとも一側に1つ以上積層されることを特徴とする水排出構造を有する燃料電池スタック。」
と記載されているのを、
「複数のセルがスタック両端のエンドプレート(EP)の間に積層された燃料電池スタックであって、
スタック発電部のエンドセルと前記両端のエンドプレート(EP)との間にはスタックの水排出のためのダミーセルとしてアノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル(ED)とカソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル(CD)がそれぞれ少なくとも一側に1つ以上積層されることを特徴とする水排出構造を有する燃料電池スタック。」
に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし7も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
本件特許明細書段落【0012】に
「上記目的を達成するための本発明に係る水排出構造を有する燃料電池スタックは、複数のセルがスタック両端のエンドプレート(EP)の間に積層された燃料電池スタックであって、スタック発電部のエンドセルと上記両端のエンドプレート(EP)との間にはスタックの水排出のためのダミーセルとしてアノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル(CD)とカソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル(AD)がそれぞれ少なくとも一側に1つ以上積層されることを特徴とする。」
と記載されているのを、
「上記目的を達成するための本発明に係る水排出構造を有する燃料電池スタックは、複数のセルがスタック両端のエンドプレート(EP)の間に積層された燃料電池スタックであって、スタック発電部のエンドセルと前記両端のエンドプレート(EP)との間にはスタックの水排出のためのダミーセルとしてアノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル(ED)とカソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル(CD)がそれぞれ少なくとも一側に1つ以上積層されることを特徴とする。」
に訂正する。
第4 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし7ついて、請求項2ないし7は、請求項1の記載を引用しているものであって、本件訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし7に対応する訂正後の請求項1ないし7は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 本件訂正事項について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
(ア)訂正前の請求項1には、「アノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル」、「カソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル」と記載されている。
(イ)ここで、訂正前の請求項1の「カソードダミーセル」及び「アノードダミーセル」に関し、本件特許明細書には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与した。
「【0023】
本発明の実施例に係るダミーセルは、化学反応を行わず、水排出のために積層されるセルであって、上記エンドアノードプレート(EAP)またはエンドカソードプレート(ECP)を含んで構成される。すなわち、アノードの水排出のためのアノードダミーセル(ED)は、アノードプレート(AP)とエンドカソードプレート(ECP)を含んで構成され、カソードの水排出のためのカソードダミーセル(CD)は、カソードプレート(CP)とエンドアノードプレート(EAP)を含んで構成される。
上記アノードダミーセル(ED)には、アノードプレート(AP)を介して水素が流入するが、エンドカソードプレート(ECP)を介して空気が流入することはないため、燃料電池の化学反応が起こることがなく、アノードの水排出だけが行われる。同様に、上記カソードダミーセル(CD)には、カソードプレート(CP)を介して空気が流入するが、エンドアノードプレート(EAP)を介して水素気体が流入することはないため、燃料電池の化学反応が起こることがなく、カソードの水排出だけが行われる。」
「【0026】
図1に示す本発明の実施例は、オープンエンドプレート3ーカソードダミーセル300ーアノードダミーセル320ー一般セル5の繰り返しーアノードダミーセル320ーカソードダミーセル300ークローズエンドプレート4で構成される。上記実施例でオープンエンドプレート3側に積層されたカソードダミーセル300には空気の流入のみが行われ、アノードダミーセル320には水素の流入のみが行われる。したがって、オープンエンドプレート3の空気マニホールドを介して流入する水は、大部分上記カソードダミーセル300を介してスタックの出口に排出され、オープンエンドプレート3の水素マニホールドを介して流入する水は、大部分上記アノードダミーセル320を介してスタックの出口に排出される。」
(下線は、当審が付与。)
(ウ)上記(イ)によれば、「カソードダミーセル」は、カソードプレートを介して空気が流入するが、エンドアノードプレートを介して水素気体が流入することはなく、カソードの水排出だけが行われるものであり、「アノードダミーセル」は、アノードプレートを介して水素が流入するが、エンドカソードプレートを介して空気が流入することはないため、アノードの水排出だけが行われるものであることから、訂正前の請求項1の上記記載は本件特許明細書の記載に示す構成と対応しておらず、明瞭ではないものとなっている。
(エ)これに対して、訂正後の請求項1では、「アノードに水素が流入するがカソードに空気が流入することがなくアノードの水排出だけが行われるアノードダミーセル」と、「カソードに空気が流入するがアノードに水素が流入することがなくカソードの水排出だけが行われるカソードダミーセル」とそれぞれ訂正されることから、本件明細書の段落【0023】、【0026】に示された構成と整合が図られ、その内容は明瞭である。
してみると、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づいて訂正前の不明瞭な点を正すものであるといえ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(オ)よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていた事項に基づく訂正であり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とし、訂正前の不明瞭な点を正すものするものであるから、特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法126条6項の規定に適合するものである。
エ 独立特許要件について
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、上記(1)と同様に、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、(1)と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件について
訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
オ 明細書の訂正と関係する請求項についての説明
訂正事項2に係る訂正は、明細書の記載事項を訂正事項1により訂正された請求項1と整合させるための訂正である。そして、請求項2ないし7は、訂正事項1により訂正された請求項1を全て含むものであるから、訂正事項2に係る訂正により請求項2ないし7も訂正されているといえる。そうすると、訂正事項2に係る明細書に対する訂正は、訂正に係る全ての請求項について訂正がなされているといえる。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第4項に適合する。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第4項ないし第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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