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特許拒絶査定不服審判

2024-008675

制御装置

審判番号
2024-008675
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-039484
請求日
2024年05月24日
審決日
2025年11月19日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社モリタ製作所
  • 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 栗山 卓也
  • 審判官 太田 良隆
  • 審判官 麻川 倫広
分類
P18 .121-WZ (A61C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023- 39484「制御装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 5月 9日出願公開、特開2023- 63428〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年5月25日に出願された特願2020-90512号の一部を令和5年3月14日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年12月20日付け 拒絶理由通知書 令和6年 2月20日 意見書、手続補正書の提出 令和6年 4月12日付け 拒絶査定 令和6年 5月24日 審判請求書、手続補正書の提出 令和6年 7月23日 上申書の提出 令和6年 8月20日付け 拒絶理由通知書 令和7年 9月 3日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は、令和 7年 9月 3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 歯科診療機器に用いる制御装置であって、 物置台であるトレーテーブルと、 歯科の診療器具を保持するインスツルメントホルダと、 前記トレーテーブルの内部に設けられ、少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを含む画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記画像を前記トレーテーブルの所定空間に結像させる結像板とを含む空間表示装置と、を備え、 前記空間表示装置は、前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に設けられる前記所定空間において、術者の位置から見て前記トレーテーブルの上面の上方に立った状態で前記画像を結像させる、制御装置。」 第3 当審の拒絶理由 令和 7年 8月20日付けで当審が通知した拒絶理由は、本願発明は、出願前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献1:特開2014-171584号公報 引用文献2:特開2015-60296号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2017-84073号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開2019-139698号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載事項及び引用発明 1 引用文献1の記載事項及び引用発明 (1)引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである(以下同様)。 ア「【0004】 上記のドクターテーブル13では、ドクターテーブル13を動かすためにドクターテーブル13の側方(前方)に設けられる把手16と、把手16の下方においてホルダ17に保持される歯科治療器具9とについての理想的な位置決めをスイッチパネル15が妨げることになる。 【0005】 すなわち、まず、ドクターテーブル13の天面14の前縁から把手16までの距離が短いほど歯科医師Dは治療中等に天面14の後部にまで容易に手を延ばすことができる。しかし、ドクターテーブル13の天面14の前縁と把手16の間にはスイッチパネル15が存在するため、天面14上に配置されるインスツルメントや薬瓶などを取り難く、特に天面14の後部に手が届き難くなってしまう。」 イ「【0022】 【図1】本発明の一実施の形態に係る歯科治療システムの構成を概略的に示す斜視図である。・・・」 ウ「【0024】 本実施の形態に係る歯科治療システムは、図1に示すように、ドクターユニット1と、アシスタントユニット2と、歯科治療椅子3とを具備した歯科治療装置に適用されるものである。 【0025】 ドクターユニット1に、仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14前部に投影する投影手段6と、仮想入力部4に接近した指による操作を検知する検知手段7と、モニター等の表示部8と、歯科治療器具(ハンドピース類)9とを設け、仮想入力部4を目安にした操作により、歯科治療装置自体や装置外部との有線または無線による情報の授受等に関する種々の制御を行えるように構成してある。」 エ「【0026】 本実施形態では、投影手段6によって投影される仮想入力部4は、ドクターテーブル5の外面にメニュー画面(スイッチ、アイコン、ダイアログボックス等を含む画面)、キーボード、テンキーとして表示され、メニュー画面、キーボード、テンキーは必要に応じて切換表示されたり一体表示(同時表示)されたりする。そして、仮想入力部4に接近した指による操作は検知手段7によって検知され、歯科治療システムの適宜の箇所に設けられた制御手段としての1台または複数台のコンピュータ(図示していない)が、検知手段7が検知した前記操作に応じて制御対象を制御するように構成されている。同時に、表示部8には、許容する制御内容や制御結果等が適宜表示される。 【0027】 以下、仮想入力部4として投影(表示)させることが考えられるメニュー画面中のメニューの具体例を列挙する。 【0028】 歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしては、歯科治療椅子3の昇降、回転、背凭れ3aの起伏(リクライニングのON/OFF)、予めセットされた複数の特定ポジション(例えば、3段階の診療ポジションやうがいポジション、ラストポジション等)を取らせるためのプリセットオート動作、パワーヘッドレスト3bの昇降及び角度調整といったことを行わせるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、歯科治療椅子3の姿勢や、予め設定しているプリセット姿勢を表示させることが考えられる。尚、例えばプリセット姿勢を変更可能に構成してもよい。 【0029】 歯科治療器具9の駆動制御用メニューとしては、冷却水、冷却空気、冷却スプレーの供給及び停止(ON/OFF)、冷却水の流量や冷却空気の圧力の調整、電気モータの回転方向の正逆の切換えや上限回転数の設定、ハンドピースライトのオン・オフといったことを行わせるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、冷却水、冷却空気、冷却スプレーの供給及び停止(ON/OFF)、冷却水の流量や冷却空気の圧力、電気モータの回転数を表示させることが考えられる。さらに、これらのメニューが、歯科治療器具9をホルダ17から取り上げると自動的に仮想入力部4に表示されるようにしてもよい。 【0030】 アシスタントユニット2に設けられたオペレーティングライト(デンタルライト)10の制御用メニューとしては、オペレーティングライト10の光量調節やON/OFFを切り換えるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、オペレーティングライト10に関する光量やON/OFFを表示させることが考えられる。 【0031】 アシスタントユニット2に設けられたスピットンボール11の制御用メニューとしては、患者がうがいをするためのコップへの給水や、スピットンボール11の洗浄を行うためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。」 オ「【0036】 また、本実施形態の歯科治療システムが上述したような各機能を発揮するように、投影手段6、検知手段7、表示部8、前記制御手段としてのコンピュータ等を構成すればよく、これらの個々の構成については公知の構成を利用可能であり、冗長となるのでその詳しい説明は省略する。」 カ「【0037】 上記の構成からなる本実施形態の歯科治療システムでは、ドクターテーブル5の外面に投影した仮想入力部4を利用して種々の操作を簡便に行うことができ、操作時に触れられる可能性のあるドクターテーブル5の外面はフラットであるので清掃等によって清潔に保つのも容易である。 【0038】 また、本歯科治療システムでは、仮想入力部4に対してある程度指を近接させると検知手段7がその近接に対応する操作を検知するので、ドクターテーブル5の外面に触れることなく操作することも可能であり、非接触で操作を行う場合はドクターテーブル5の外面の清掃作業に掛かる負担を軽減することができる。もっとも、ドクターテーブル5に触れる方が操作を行い易いと感じるユーザー(歯科医師)もいると考えられ、ユーザーが如何にして本歯科治療システムを取り扱うかは専らユーザーに委ねられるのであって、非接触操作によって患者に与える清潔感を重視するか接触操作による使い勝手を重視するか等の違いに応じ、取扱い方(ドクターテーブル5に触れるか否か)についての選択の幅を持たせることができる点でも本歯科治療システムは優れているといえる。勿論、ドクターテーブル5において仮想入力部4が投影される部分に使い捨て(交換)可能な抗菌シートを敷いて(貼って)操作時にはそのシートに触れるようにし、かつ、例えば患者が変わる毎にそのシートを交換するようにしてもよい。」 キ「【0039】 図3及び図4(A)に示す従来のドクターテーブル5とは異なり、本歯科治療システムのドクターテーブル5にはスイッチパネル15を設ける必要がなく、スイッチパネル15に代わる仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14に表示する。従って、図4(B)に示すように、天面14の前縁から把手16までの距離を短くすることができ、ひいては歯科医師Dが天面14の後部にまで手を延ばすことを容易とすることができる。また、仮想入力部4の表示位置を適宜調整すれば、把手16を高い位置にもってきても仮想入力部4に対する操作の邪魔にならず、故に把手16の配置の自由度が上がり、把手16の操作性を重視した配置が可能になる上、把手16を、仮想入力部4を目安にした操作を行うときにリストレストとなるように配置することもできる。さらに、把手16の配置の自由度が上がるのに伴ってホルダ17の設置自由度も上がり、ホルダ17に対する歯科治療器具9の出し入れのし易さを追求したホルダ17の設置も可能となる。」 ク「【0045】 図5(A)及び(B)に示すように、投影手段6及び検知手段7を、位置及び向きの変更が可能な入力装置18に一体的に組み込み、入力装置18の位置及び向きの変更に伴って仮想入力部4や表示部8の位置及び向きが変更されるようにしてあってもよい。このように構成した場合、ドクターテーブル5の使用状況や歯科医師Dの作業位置等に応じて仮想入力部4や表示部8の投影位置を変更することが容易となり、使用性の点で一層の向上を図ることができる。」 ケ「図1 [図:0001431699000001.jpg] 」 コ「図4 [図:0001431699000002.jpg] 」 サ「図5 [図:0001431699000003.jpg] 」 シ ア、キ、ケの記載を踏まえると、ドクターテーブル5には、インスツルメントや薬瓶が天面に配置され、ホルダ17には、歯科治療器具9が保持される。 ス エの記載を踏まえると、仮想入力部4は、メニュー画面として表示され、メニュー画面中のメニューは、歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューや、歯科治療器具9の駆動制御用メニューとしてのスイッチ、アイコンを含む。 (2)引用発明 上記(1)ア~スを総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「ドクターユニット1と、アシスタントユニット2と、歯科治療椅子3とを具備した歯科治療装置に適用される歯科治療システムであって、 インスツルメントや薬瓶などが天面14上に配置されるドクターテーブル5と、 歯科治療器具9を保持するホルダ17と、 仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14前部に投影する投影手段6を備え、 仮想入力部4は、メニュー画面として表示され、メニュー画面中のメニューは、歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしてのスイッチ、アイコンや、歯科治療器具9の駆動制用メニューとしてのスイッチ、アイコンを含む、歯科治療システム。」 2 周知技術を示す文献の記載事項 (1)引用文献4の記載 引用文献4には、次の事項が記載されている。 ア「【0002】 電気装置の起動、停止、パスワード入力などにおいて接触型のスイッチが多用されている。しかしながら、衛生用途、食品工場、高圧電気作業、現場作業などにおいては、非接触で装置の起動・停止などを行うことが望まれる場合がある。具体的には、例えば、多数の病人が触れる整理券発券装置、隔離病棟のエントランス・スイッチ、手術室の出入りドアのスイッチについては細菌の持ち込みや持ち出しを防止する必要がある。また、パスワード入力によりセキュリティを確保するシステムでは、後ろや横からの盗み見によるパスワード窃取の問題も発生している。 ・・・ 【0004】 このような非接触入力を可能とする技術は検討されており、例えば、特許第5,856,357号明細書(特許文献1)には、スイッチ画像を空中に結像させ、当該スイッチ画像への接触を発光ダイオードと、光センサとを使用して結像面付近に形成したグリッドを使用して、スイッチ画像への接触を判断する非接触入力装置が記載されている。」 イ「【0024】 図3は、本実施形態第1の空間入力装置110を、図1に示したカーテシアン座標系におけるX方向から見たものとしてその概略構成300を示した図である。なお、図3には説明の便宜上、空間入力装置110の筐体は示していないが、適切な筐体に図3に示した各要素を収容することができる。また筐体に代えて建築物の構造内に空間を設け、その空間内に空間入力装置110を収容することも可能である。 【0025】 空間入力装置110は、表示要素310(表示手段)と、透過型平面レンズ320(透過型結像手段)と、赤外線センサ380(センサ手段)とを含んで構成することができる。表示要素310は、液晶ディスプレイ装置を含んで構成され、ディスプレイ面に情報処理装置120が生成する入力を誘導するためのイメージ画像を表示させている。図3には、説明の目的で、ディスプレイ面上に表示されるイメージ画像360を示す。 【0026】 図3に示される光学的関係から、透過型平面レンズ320は、イメージ画像を倒立して透過させることがないので、ユーザが、普通の正立像を認識するため、ディスプレイ面上には、倒立像としてイメージ画像360が表示される。なお、他の実施形態では補助的に赤外線照射装置および対応する位置において赤外線を検知する赤外線センサのマトリックスを搭載することもできる。この実施形態では、赤外線センサの誤作動を防止する目的で赤外線透過性のフィルタを併用することもできる。 【0027】 表示要素310が表示したイメージ画像360は、透過型平面レンズ320により概ね45°の角度で入射され、透過型平面レンズ320でさらに45°反射されて、結像面350に正立像370として結像される。オペレータは、結像面に表示された正立像370に対して指330、340を近づけることで、空間入力を行うことが可能とされる。」 ウ「【0078】 本願の形式のSkyswitch(商標登録出願通)では、装置表面板をほとんど平滑に製作することが、できるので、消毒、清掃が極めて容易に行える。医療現場では、使い捨てのシリコンカバーで、入力装置を覆っているものも多いが、これらが不要となることで、医療廃棄物を減少させることができる。」 エ「図3 [図:0001431699000004.jpg] 」 オ「図11 [図:0001431699000005.jpg] 」 カ「図16 [図:0001431699000006.jpg] 」 キ イ、エ~カの記載を踏まえると、表示要素310(表示手段)と、透過型平面レンズ320(透過型結像手段)が筐体の内部に配置されていること、筐体の上面かつユーザ側の所定空間に、筐体の上面の上方に立った状態でイメージ画像360が結像されることが看取できる。 (2)引用文献3の記載事項 引用文献3には、次の事項が記載されている。 ア「【0002】 従来の操作入力装置は、液晶ディスプレイ等の画像表示装置に重ね合せるように近接させて座標入力装置を配置したものが一般的である。 このように、座標入力装置に表示装置を近接配置すると、座標入力装置が表示装置や操作入力装置内部の制御回路から発する電気的ノイズの影響を受けやすく、座標検出面の感度を抑えたり、全面透明導電膜等によるシールド構造を採用しなければならなかった。 また、座標入力装置と表示装置とが重なるように近接配置されているので、全体として厚みのある入力装置となる問題もなった。 一方、近年、特許文献1等に開示されているように、空中に像を結像させる技術が提案されている。 そこで本発明者らは、座標入力の検出部を従来の表示装置とから分離させた新感覚の入力装置を検討した結果、本発明に至った。」 イ「【0008】 光学式の検出部は、赤外線投光器,赤外線イメージセンサを組み合せ、再帰反射枠内に指先等を位置させるだけで入力操作ができるので、タッチ入力面のない新たな感覚の操作が実現できる。 例えば、医療用現場に採用すると、汚れを気にすることなく入力操作が可能となる。」 ウ「【0012】 本実施例に係る入力装置10の外観を図3に示し、内部構造を図1に示す。 液晶ディスプレイ等の表示体11と、例えば特許文献1に開示する光制御パネル等の結像パネル12を有する。 図2に図1に示した検出部14を取り除いた場合を示すように、表示体11から発した光は結像パネル12にて屈折し、空中に像を結像させる。 図2に示すように、表示体11は、結像パネル12に対して傾斜した姿勢で配置されており、像は、結像パネル12に対して対称となるように結像される。 また、本実施例では、平面状に画像を表示する表示体11を用いているので、その像も平面状の像として結像される。 この像の結像部13に合致させて、透明電極基板からなる入力座標の検出部14を配置してある。 本実施例では、検出部14として静電容量式のタッチパネルを用いている。 検出部14は、透明な平面状のガラス板からなる基材上に、ITOからなる透明導電膜によって形成された複数の電極(図示しない)が配設されている。 また、各電極からの信号を外部へ取り出すための引き回しパターン(図示しない)もITOからなる透明導電膜によって形成されている。この結果、検出部14は、電極も引き回しパターンも視認されず、透明な板状を呈している。 また、検出部14は、表示体11から十分に離れており、表示体11付近に配置されている入力装置10を制御するための回路(図示しない)や、表示体11がONとなっている間に発する電気的ノイズの影響を受けることがないため、全面透明導電膜によるシールド構造を有していない。そのため、シールド構造を有するものの場合よりも光透過率の点で優れている。 このように構成された入力装置10によれば、表示体11をONにすると、図3(a)に示すように透明電極基板からなる検出部14に操作画面13aが空中に像として表示されるので、操作画面13aに現れている操作ボタン等に対応する検出部14の位置に指等で触れることで、所望する操作を入力することができる。この表示体11をOFFにすると図3(b)に示すように空中の像からなる操作画面が消え、透明な検出部14となる。この状態では、検出部14を透過して、検出部14の先を良好に視認することができる。 なお、本実施例では、外来光による影響を避けて、像が見やすくなるようにカバー15にて結像部の周囲を覆ってあるが、カバー15の有無は任意であってよい。」 エ「【0015】 上述した実施例は、静電容量式のタッチパネルを用いた例であったが、静電容量式のタッチパネルに代えて、光学式の検出部を用いてもよい。光学式の検出部とは、例えば、赤外線投光器,赤外線イメージセンサを組み合せ、再帰反射枠内に指先等を位置させることで入力操作ができるものである。このような光学式の検出部を用いると、タッチ入力面のない新たな感覚の操作が実現される。」 オ「図1 [図:0001431699000007.jpg] 」 カ「図2 [図:0001431699000008.jpg] 」 キ「図3 [図:0001431699000009.jpg] 」 ク ウ、オ、カの記載を踏まえると、表示体11及び結像パネル12が、筐体の内部に配置され、筐体の上面かつユーザ側の所定空間に、筐体の上面の上方に立った状態で像13が結像されることが看取できる。 ケ ウ及びエの記載を踏まえると、静電容量式のタッチパネルに代えて光学式の検出部を用いてもよく、また、カバー15の有無は任意であるから、図1や図3に示される検出部14やカバー15は省略可能である。 (3)引用文献2の記載事項 引用文献2には、次の事項が記載されている。 ア「【0002】 従来、光線の光路が屈曲することとなる1つの平面を構成する光線屈曲面の一方側に配置される被投影物から発せられる光をその光線屈曲面の反対面側に前後を反転させて結像させて空中映像として観察可能とする結像光学系と、空中映像に近接させた物体の位置を特定する物体特定手段とを備えた空中映像インタラクション装置が知られている(例えば、特許文献1)。当該物体特定手段は、例えば、当該物体を撮影する1台以上のカメラと、当該カメラで撮影された映像から当該物体の位置を解析する画像解析装置とで構成される。ここで、当該物体は、ユーザの指やペンといった、ユーザによって動かされかつ前記空中映像に近づけられる指示体である。 【0003】 このような空中映像インタラクション装置によれば、装置の簡素化を実現しつつ、映像に対するユーザのアクセスを的確に把握することができ、映像とユーザとの好適なインタラクションをもたらすことができる。」 イ「【0029】 (第1の実施の形態) 第1の実施の形態では、空間に投影された空中像に対するユーザの仮想的なタッチ動作を検出する空中像インタラクションシステムについて説明する。 【0030】 図1は、空中像インタラクションシステム100の構成の一例を示す模式図である。 【0031】 図1に示されるように、空中像インタラクションシステム100は、検出光源10、光センサ20、コントローラ30、映像表示パネル50、及び反射素子集合基板60を備える。検出光源10、光センサ20、及びコントローラ30は、空間座標特定装置1を構成する。映像表示パネル50、及び反射素子集合基板60は、空中像投影装置を構成する。 ・・・ 【0035】 映像表示パネル50は、映像61を表示するパネルである。映像表示パネル50は、例えば、液晶表示パネルであってもよい。映像61は、例えば、高度に陰影処理され、正確な立体感が与えられた映像オブジェクトであってもよい。本明細書では、説明及び図示の簡明のため、映像61として鉢状の映像オブジェクトを例示する。 【0036】 反射素子集合基板60は、映像表示パネル50に表示された映像61を空中像62として検出領域40内に投影する光学素子である。反射素子集合基板60は、例えば、特許文献1に開示される、2面コーナーリフレクタアレイであってもよい。反射素子集合基板60によって、映像61の奥行きが反転した実像が空中像62として検出領域40内に結像される。コントローラ30において、空中像62の表面形状と同じ形状の仮想タッチ面42を定義することで、ユーザは、空中像62に対する仮想的なタッチ感を得ることができる。」 ウ「【0084】 (第4の実施の形態) 空中像インタラクションシステム100では、空中像62や仮想タッチ面42に対するユーザの位置によって、空中像62の見易さや、仮想タッチ面42に対する仮想的なタッチ操作のやり易さが異なる。そこで、校正用境界点45と校正点46とのずれ(指示体80の進入角度として定義される)に基づいて、空中像62や仮想タッチ面42を、ユーザにとってより見やすくかつより操作しやすい方向に向け直してもよい。」 エ「図1 [図:0001431699000010.jpg] 」 オ ウの記載を踏まえると、空中像インタラクションシステムでは、空中像62や仮想タッチ面42の向きを調整することで、ユーザにとっての見やすさや操作のしやすさ、すなわち視認性や操作性を改善できる。 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 1 引用発明の「ドクターユニット1と、アシスタントユニット2と、歯科治療椅子3とを具備した歯科治療装置」は、本願発明の「歯科診療機器」に相当するから、「ドクターユニット1と、アシスタントユニット2と、歯科治療椅子3とを具備した歯科治療装置に適用される歯科治療システム」は、本願発明の「歯科診療機器に用いる制御装置」に相当する。 2 引用発明の「ドクターテーブル5」は、「インスツルメントや薬瓶などが天面14上に配置される」から、本願発明の「物置台であるトレーテーブル」に相当する。 3 引用発明の「歯科治療器具9」は、本願発明の「歯科の診療器具」に相当し、引用発明の「歯科治療器具9を保持するホルダ17」は、本願発明の「歯科の診療器具を保持するインスツルメントホルダ」に相当する。 4 引用発明の「歯科治療椅子3」や「歯科治療器具9」は、本願発明の「歯科診療機器」に相当するから、引用発明の「歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしてのスイッチ、アイコンや、歯科治療器具9の駆動制卸用メニューとしてのスイッチ、アイコン」は、本願発明の「少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタン」に相当する。 また、引用発明の「ドクターテーブル5の天面14前部」は、前記第4の1(1)アの記載から、当該「前部」が歯科医師Dが位置する端部側であることを踏まえれば、本願発明の「前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置」に相当する。 5 したがって、上記4の対比を踏まえれば、引用発明の「歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしてのスイッチ、アイコンや、歯科治療器具9の駆動制用メニューとしてのスイッチ、アイコンを含む」「メニュー画面として表示され」る「仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14前部に投影する投影手段6」と、本願発明の「前記トレーテーブルの内部に設けられ、少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを含む画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記画像を前記トレーテーブルの所定空間に結像させる結像板とを含」み、「前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に設けられる前記所定空間において、術者の位置から見て前記トレーテーブルの上面の上方に立った状態で前記画像を結像させる」「空間表示装置」とは、少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを表示する表示装置であって、前記表示装置は、前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に前記操作ボタンを表示させる表示装置の限りで一致する。 6 そうすると、両者は、 「歯科診療機器に用いる制御装置であって、 物置台であるトレーテーブルと、 歯科の診療器具を保持するインスツルメントホルダと、 少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを表示する表示装置と、を備え、 前記表示装置は、前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に前記操作ボタンを表示させる、制御装置。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを表示する表示装置と、を備え、前記表示装置は、前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に前記操作ボタンを表示させる点について、本願発明では、「前記トレーテーブルの内部に設けられ、少なくとも前記歯科診療機器の操作を行うための操作ボタンを含む画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された前記画像を前記トレーテーブルの所定空間に結像させる結像板とを含む空間表示装置を備え、前記空間表示装置は、前記トレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置に設けられる前記所定空間において、術者の位置から見て前記トレーテーブルの上面の上方に立った状態で前記画像を結像させる」のに対し、引用発明では、投影手段6を備え、投影手段6は、仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14前部に投影する点。 第6 判断 1 上記相違点について検討する。 ユーザの仮想的なタッチ動作の対象となる画像を表示する表示パネルと当該画像を空中に結像する結像パネルを、筐体等の内部に設け、筐体等の上面かつユーザ側の所定空間に、筐体等の上面の上方に立った状態で画像を結像させることで、ユーザの仮想的なタッチ動作の対象となる画像を空間上に投影し、ユーザの当該画像の視認性やタッチ動作の操作性を改善することは、引用文献4(前記第4の2(1)ア、イ、エ~キを参照)、引用文献3(同(2)ア、ウ~ケを参照)、引用文献2(同(3)ア~オを参照)に記載されるように周知技術である。 そして、引用文献1(前記第4の1(1)カを参照)には、ドクターテーブル5の外面に触れることなく非接触で操作を行うことが記載されているほか、引用文献4(前記第4の2(1)ア、ウを参照)や引用文献3(同(2)イを参照)には、上記周知技術の医療分野での利用についての示唆がある。さらに、引用文献1(前記第4の1(1)ウ及びカを参照)、引用文献4(前記第4の2(1)イを参照)、引用文献3(同(2)イ及びエを参照)、及び引用文献2(同(3)イを参照)の記載を踏まえると、引用発明と周知技術は、検知手段を用いて、入力手段の表示領域への指の接近を検知することで、ユーザによる入力操作を実現する点で機能上共通する。 これらを踏まえると、引用発明において、ドクターテーブル5に表示される歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしてのスイッチ、アイコンや、歯科治療器具9の駆動制用メニューとしてのスイッチ、アイコン(以下「スイッチ等」という。)の視認性や入力操作の操作性の改善のため、当該周知技術を適用して、ドクターテーブル5の天面にスイッチ等を表示する投影手段6の代わりに、スイッチ等が表示されるドクターテーブル5の内部に、スイッチ等を含む画像を表示する表示パネル(表示部)と、当該画像を空中に結像する結像パネル(結像板)とを含む空中像投影装置を設け、ドクターテーブル5の天面14前部に仮想入力部4を投影する代わりに、ドクターテーブル5の天面14前部の所定空間にドクターテーブル5の天面14の上方に立った状態で当該画像を結像させることで、引用発明において上記相違点に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る以上のものとは認められない。 2 請求人の主張について なお、請求人は令和 7年 9月 3日付けの意見書において、主に以下の点を主張している(下線は当審で追加。)。 (1)「引用文献1には、「ドクターテーブル13の天面14の前縁と把手16の間にはスイッチパネル15が存在するため、天面14上に配置されるインスツルメントや薬瓶などを取り難く、特に天面14の後部に手が届き難くなってしまう」、「ドクターテーブル13の天面14の前縁から把手16までの距離が短いほど歯科医師Dは治療中等に天面14の後部にまで容易に手を延ばすことができる。」(段落[0005])と開示されております。そして、引用文献1には、「図4(A)に示すドクターテーブル13では、この制限の他に、スイッチパネル15の操作の邪魔にならないように把手16を比較的低く配置しなければならないという制限」(段落[0006])があると課題が開示されております。 引用文献1に記載の課題によれば、補正後の本願請求項1の発明にように、物置台であるトレーテーブルの上面かつ端部において上方に立った状態で操作ボタンを含む画像を結像させることは、トレーテーブルに載置しているインスツルメントや薬瓶など(以降、載置物という)を取ろうとする際に、誤操作を避けようと結像している画像を避けて手を回することが必要となり、術者からトレーテーブルの載置物までの距離が長くなって取り難くなります。 さらに、引用文献1では、課題を解決するため、載置物を取り易いように把手を低くしているにもかかわらず、トレーテーブルの上面かつ端部において上方に立った状態で画像を結像させる手段を採用することは、矛盾することになります。 なお、物理的な阻害物(把手など)ではない仮想的な阻害物(空中結像する映像)であっても、先に述べたように、術者から載置物までの距離が長くなって、載置物を取り難くなることに代わりは無く、引用文献1においてトレーテーブルにおいて邪魔になるものに該当することは言うまでもありません。 つまり、引用文献1には、本願請求項1に係る発明の「トレーテーブルの上面かつ端部において上方に立った状態で操作ボタンを含む画像を結像させる」構成を設ける動機がなく、仮に空中に映像が表示される引用文献2-4の構成を引用文献1に係る発明に組み合わせたとして載置物を取り難くなる等の阻害要因を有することになると考えます。」 (2)「補正後の本願請求項1に係る発明は、他の医療分野の医療機械には存在しない、歯科診療機械(チェアユニット)の技術分野において特別の構成であるトレーテーブルが構成に含まれ、かつ、術者側へ下方へ傾斜した面の特定部分(スイッチパネル)やインスツルメントホルダの位置ではない、あくまでも、物置台であるトレーテーブルの上面、かつ、術者が位置する端部側の位置において、設けられる所定空間において、術者の位置から見てトレーテーブルの上面の上方に立った状態で画像を結像させることによって、物置台であるトレーテーブルの機能を最大限に有効に活用させることができ、衛生的にでき、使い勝手を良くすることができます。 物置台であるトレーテーブルの機能を最大限に有効活用できることとは、例えば、引用文献1では、トレーテーブルの載置面に対して、操作ボタン等を含む画面をプロジェクターで投影させるため、画面領域の分だけトレーテーブルの載置面として利用できない不都合から明らかです。また、引用文献1では、トレーテーブルの術者側とは反対側にプロジェクターがあるため、トレーテーブルに載置物があると投影が遮られてしまい機能しなくなってしまいます。一方で、補正後の本願請求項1に係る発明は、画像が正面視では空中に結像するものの側面視では線の様であって奥行き方向は殆ど無く、トレーテーブルにおける載置面としての利用範囲を最大限に有効活用できます。また、空間表示装置をトレーテーブルの内部に設け、かつ、その上面の術者側端部に画像を結像させるため、トレーテーブルに載置物があっても、その結像を妨げるようなことは殆どありません。さらに、術者側へ下方へ傾斜した面の特定部分(スイッチパネル)に操作ボタンを含む画像を空中結像させると、スイッチパネルを併用して設けたい場合に邪魔になってしまうこともあり、当該位置が最適であると言えます。」 以下、請求人の上記(1)、(2)の主張について検討する。 まず、(1)の主張について、前記第4の1(1)キの記載を踏まえると、引用発明は、「スイッチパネル15に代わる仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14に表示する」もので、それによって、「天面14の前縁から把手16までの距離を短くすることができ、ひいては歯科医師Dが天面14の後部にまで手を延ばすことを容易とすることができ」るといった効果を奏するものである。さらに、「仮想入力部4の表示位置を適宜調整」することができるほか(前記第4の1(1)キを参照)、「メニューが、歯科治療器具9をホルダ17から取り上げると自動的に仮想入力部4に表示される」など、操作が必要な場合に限って、仮想入力部4を表示することもできる(前記第4の1(1)エを参照)。 そして、引用発明に上記周知技術を適用して、ドクターテーブル4の天面14の上方に立った状態で仮想入力部4を結像させても、仮想入力部4の表示される領域が、「ドクターテーブル5の天面14前部」であることに変わりはなく、さらに、仮想入力部4の表示位置を適宜調整したり、操作が必要な場合に限って、仮想入力部4を表示したりすることもできるから、「天面14の前縁から把手16までの距離を短くする」ことができ、「歯科医師Dが天面14の後部にまで手を延ばすことを容易とする」ことができるという引用発明の奏する効果が損なわれるものではない。 したがって、請求人の(1)の主張は採用することはできない。 次に、(2)の主張について、本願発明が備える空間表示装置は、表示部から放射された光線が結像板を経由することで収束され、所定空間上に画像を結像させるものである。したがって、画像が結像される空間と結像板の間に遮蔽物が配置された場合、結像板からの光線が遮られ、画像を適切に結像することができなくなる。 このため、本願発明においても、トレーテーブル上の載置物の配置によっては(例えば、本願図面の図7の操作パネル画像8の裏側)、その結像が妨げられることが想定され、必ずしも、トレーテーブルにおける載置面としての利用範囲を最大限に有効活用できるわけではない。また、請求人が主張する、衛生的である、使い勝手を良くすることができるといった本願発明の効果も、上記周知技術が奏する効果の範囲のものである。 したがって、請求人の(2)の主張は採用することはできない。 以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。 3 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2~4に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-008675

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