特許訂正審判
2020-390030
接着性の改善された人工爪組成物
- 審判番号
- 2020-390030
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2008-221249
- 登録番号
- 特許第5362294号(P5362294)
- 請求日
- 2020年04月14日
- 審決日
- 2020年07月10日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 松風
- 【請求人代理人】山田 威一郎
- 【請求人代理人】田中 順也
- 【請求人代理人】水谷 馨也
- 【請求人代理人】迫田 恭子
- 【請求人代理人】柴田 和彦
- 審判長/審判官
- 審判長 岡崎 美穂
- 審判官 山内 達人
- 審判官 冨永 みどり
- 分類
- P141 .851-Y (A61K) / P141 .852-Y (A61K) / P141 .853-Y (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5362294号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5362294号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第5362294号の請求項1~2に係る特許についての出願は、平成20年8月29日に特許出願され、平成25年9月13日にその特許権の設定登録がされ、その後、令和2年4月14日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正事項
本件審判の請求の趣旨は、特許第5362294号の明細書および特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
請求人が求めている訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部が訂正箇所。)。
1.訂正事項1
本件特許の願書に添付した明細書および特許請求の範囲(以下、「本件明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項1における
「(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、」
との記載を
「(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物(但し、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物を除く)、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。
2.訂正事項2
本件明細書等の特許請求の範囲の請求項1における
「(c)ラジカル重合開始材を含む人工爪組成物であって、
該酸性リン化合物(b)は、2 - メタクリロキシエチルフォスフェート(2-MEP)、ジ(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート(Di-MEP)および6-メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)より選択される少なくとも1種である」
との記載を
「(c)ラジカル重合開始材を含む人工爪組成物であって、
該酸性リン化合物(b)は、2 - メタクリロキシエチルフォスフェート(2-MEP)、ビス(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート(Di-MEP)および6-メタクリロキシヘキシルホスホノアセテート(6-MHPA)より選択される少なくとも1種であり、」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。
3.訂正事項3
本件明細書等の特許請求の範囲の請求項1における
「該人工爪組成物。」
との記載を
「該ラジカル重合開始材(c)は、光重合開始材である該人工爪組成物。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。
4.訂正事項4
本件明細書等の明細書の段落【0029】における
「【化2】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、およびR2は置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキレン基を示す。)」
との記載を削除する。
5.訂正事項5
本件明細書等の明細書の段落【0029】及び【0039】にそれぞれ
「ジ(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」
と記載されているのを
「ビス(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」
に訂正する。
第3 当審の判断
1.一群の請求項について
訂正前の請求項1~2について、請求項2は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1~3によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1~2に対応する訂正後の請求項1~2は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。
2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、化合物(a)をさらに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等の請求項1における
「(a)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、
(b)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物
、および
(c)ラジカル重合開始材を含む」
との記載は、(a)に(b)が含まれると認識されるものであるところ、本件明細書等の明細書の段落【0020】~【0022】に記載されている化合物(a)の具体例中に、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性不飽和二重結合を有する酸性リン化合物は含まれていないこと、および本件明細書等の実施例において化合物(a)として該酸性リン化合物ではないものが使用されていることから、(a)から(b)を除くことにより、新たな事項が追加されるものでもなく、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記アで説示したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮するだけのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(2)訂正事項2、5について
ア 訂正の目的
化合物の命名法において、倍数接頭語に関し、同じ単純基または母体化合物が2つあることを示す際には「ジ」を用い、同じ複合基が2つあることを示す際には「ビス」を用いるのが、本件特許の出願時の当業者の技術常識であるから(審判請求書に添付された甲第1号証(化学新シリーズ 化合物命名法、2009年8月25日第2版2刷発行、株式会社 裳華房、第109~110頁)を参照。)、複合基である2-メタクリロキシエチル基が2つあることを示す際には「ジ」ではなく「ビス」を用いるべきであることは明らかである。
したがって、訂正事項2、5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
「ジ(2-メタクリロキシエチル)」なる記載と「ビス(2-メタクリロキシエチル)」なる記載がともに、2-メタクリロキシエチル基が2つあることを意味することは、当業者にとって自明の事項である。
そうすると、当業者は「ジ(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」なる記載と「ビス(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」なる記載とで、当然に同一の化合物を認識するから、訂正事項2、5は、願書に最初に添付した明細書および特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記イで説示したとおり、当業者は「ジ(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」なる記載と「ビス(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート」なる記載とで、当然に同一の化合物を認識するから、訂正事項2、5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、ラジカル重合開始材(c)を光重合開始材に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無
本件明細書等の段落【0031】に「ラジカル重合開始材としては、公知の熱重合開始材及び、光重合開始材が使用できる。」との記載があるから、訂正事項3は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記アで説示したとおり、訂正事項3は、特許請求の範囲を減縮するだけのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4は、本件明細書等の段落【0029】における【化2】の構造式を削除して、該段落【0029】の「代表的な化合物としてジ(2-メタクリロキシエチル)- フォスフェート(Di-MEP)がある。」なる記載との関係において生じていた不合理を解消するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ 新規事項追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無
訂正事項4は、本件明細書等の段落【0029】における【化2】の構造式を削除するものにすぎないから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかであるし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4は、特許法第126条第5項及び第6項に規定する要件に適合するものである。
3.独立特許要件について
訂正事項1、3は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項2、5は誤記の訂正を目的とするものであるから、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、当該訂正後における特許請求の範囲の請求項1~2に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由を発見しないから、訂正事項1~3、5に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1~3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第5~7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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