商標取消審判
2020-300699
アイプレス、イプレス、プレス
- 審判番号
- 2020-300699
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2000-129786
- 登録番号
- 4573137
- 請求日
- 2020年10月06日
- 審決日
- 2022年02月21日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】グスタフ クラウケ ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】今井 秀樹
- 【被請求人】小林クリエイト 株式会社
- 【被請求人代理人】岩田 康利
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 政実
- 審判官 大山 健
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T132 .1 -Z (Z09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4573137号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4573137号商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4573137号商標(以下「本件商標」という。)は、上段に「i・pres」の欧文字、下段に「アイプレス」の片仮名を二段に書してなり、平成12年12月4日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」及び第10類「診断用機械器具,病院用機械器具」を指定商品として、同14年5月31日に設定登録がなされ、同24年5月29日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年10月23日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和2年12月25日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同3年3月29日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁書による主張の要旨
(1)使用標章について
被請求人は、採血管準備装置の製造・販売を1994年頃から開始し、2001年以降に販売した製品は「i・presシリーズ」として販売しており、「i・pres」の文字からなる商標を、被請求人の採血管準備装置のファミリーネームとして長年使用しており、要証期間中に、「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」の3種類の採血管準備装置(以下「使用商品」という場合がある。)を日本国内において販売していると主張し、使用に係る標章として標章1ないし標章3を提示するが、本件商標は「i・pres」の欧文字と「アイプレス」の片仮名の二段併記商標であるところ、標章1ないし標章3はいずれも、上段の欧文字のみを使用し、それぞれ「fit」、「fine」及び「core」の欧文字と組み合わせた様態からなる。「fit」、「fine」及び「core」は、数字や欧文字からなる記号・符号ではなく、それ自体意味を有する構成要素であり、そこから称呼及び観念が生じる。
したがって、標章1ないし標章3は「i・pres」なるファミリーネームに単に記号・符号を付加したものではなく、そこから新たに派生した標章であると理解される。
以下、各標章を詳細に検証する。
ア 標章1
乙第10号証の製品の右上部に付された標章1(以下「標章1」という。)では、左側の「i」と思しき文字は、「・」の部分が異常に大きく、糸玉に似た形に図案化され、色彩も異なっているため、直ちに「i」と認識することが出来ない。そのため、標章1は判読可能な「pres」の文字から「プレス」の称呼が生じると考えられる。標章1は、本件商標の書体を変えた使用の範ちゅうを超えて、外観が変更されており、「アイプレス」ではなく「プレス」又は「プレスフィット」の称呼が生じると認められるため、本件商標と社会通念上同一とは認められない。
イ 標章2
乙第13号証の製品の右上部に付された標章2(以下「標章2」という。)において、左側の「i・pres」と右側の「fine」の文字とは、太さ、文字色、背景色が相違しているとしても、両者は長さがほぼ等しい横長矩形の中に表示され、2つの矩形は隙間なく並べられて、四隅を面取りし、1つの撫四角形を形成している。つまり、「i・pres」と「fine」の文字は1つの撫四角形の中に配置されていて、全体が外観上まとまりよく表されている。また、「アイプレスファイン」は8音と冗長ではなく、一気一連に称呼できるので、標章2は全体として「アイプレスファイン」の称呼が発生すると判断するのが妥当である。「fine」の文字が表示された右部分の面積は左部分と同程度であり、黒色の背景と「i・pres」の文字よりも太い書体と相まって、需要者の目を引く。さらに、横長矩形の下部には「intelligent preparation system [fine]」と表示され、他の文字とは異なる書体と色で「fine」の文字が繰り返され、強調されている。「i・pres」部分と同等に「fine」の部分にも意匠を凝らしていることから、「fine」の文字は単に商品の規格、形式、品番等を表示する記号・符号ではなく、独立した識別機能として機能すると考えるのが自然である。標章2は、本件商標の上段の欧文字「i・pres」をその構成中に有するとしても、全体として「i・pres fine」と認められるべきであり、本件商標とは別異のものであって、社会通念上同一とは認められない。
ウ 標章3
乙第16号証の製品の右上部に付された標章3(以下「標章3」という。)において、左側の「i・pres」と右側の「core」の文字とは、太さ、文字色、背景色が相違しているとしても、両者は長さがほぼ等しい横長矩形の中に表示され、2つの矩形は隙間なく並べられて、四隅を面取りし、1つの撫四角形を形成している。つまり、「i・pres」と「core」の文字は1つの撫四角形の中に配置されていて、全体が外観上まとまりよく表されている。また、「アイプレスコア」は7音と冗長ではなく、一気一連に称呼できるので、標章2(審決注:標章3の誤りと認める。)は全体として「アイプレスコア」の称呼が発生すると判断するのが妥当である。「core」の文字が表示された右部分の面積は左部分と同程度であり、黒色の背景と「i・pres」の文字よりも太い書体と相まって、需要者の目を引く。さらに、横長矩形の下部には「intelligent preparation system [core]」と表示され、他の文字とは異なる書体と色で「core」の文字が繰り返され、強調されている。「i・pres」部分と同等に「core」の部分にも意匠を凝らしていることから、「core」の文字は単に商品の規格、形式、品番等を表示する記号・符号ではなく、独立した識別機能として機能すると考えるのが自然である。標章3は、本件商標の上段の欧文字「i・pres」をその構成中に有するとしても、全体として「i・pres core」と認められるべきであり、本件商標とは別異のものであって、社会通念上同一とは認められない。
したがって、被請求人の示した使用標章はいずれも、本件商標とは別異のものであり、社会通念上同一の商標を使用しているとは認められない。
(2)使用商品について
被請求人は、使用商品である採血管準備装置は、採血管に貼付する検体ラベル等を印刷するものであり、本件審判請求に係る指定商品に含まれる、第9類の「コンピュータ用プリンター」に相当する商品であると主張する。
乙第1号証、乙第29号証及び乙第30号証のパンフレット、乙第22号証ないし第24号証の製品情報、及び被請求人の説明によれば、当該採血管準備装置は、ストッカーに保管された採血管を自動的に選択し、検体ラベルを印刷し、採血管に貼付する装置であり、ラベル印刷機能を有すると理解されるが、当該採血管準備装置がプリンターを搭載するとしても、使用商品が第9類の「コンピュータ用プリンター」に相当するという、被請求人の主張には承服できない。
第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「コンピュータ用プリンター」とは、コンピュータの周辺機器である、個人用又はオフィス用のプリンターであり、家電量販店等で販売される機械器具であると理解される。
一方、使用商品は、病院等の医療現場で使用される、採血管を準備するための複合的な装置であって、当該装置の機能の1つが、採血管に貼付する検体ラベルを印刷する機能である。印刷する対象も採血管用のラベルに限定されている。
ところで、本件商標は、第10類の「診断用機械器具,病院用機械器具」を指定商品としており、提出された証拠を勘案するに、使用商品はプリンター機能付きの採血管準備装置であって、第10類「病院用機械器具」に相当すると理解される。
特許庁類似商品・役務審査基準(以下「類似商品・役務審査基準」という。)の第10類の注釈には、「第10類には、主として、外科用、内科用、歯科用及び獣医科用の機器及び器具であって、概して人及び動物の機能又は状態の診断、治療又は改善のために使用される商品を含む」と記載されており、「採血管準備装置」は正にここに説明された商品に合致する。被請求人は、使用商品は、検体ラベルを印刷して、貼付するためのものであり、医療行為(採血行為)に用いられるものでないため、医療機器に該当するものではない、と主張する。しかしながら、第10類の「医療用機械器具」が、直接医療行為に用いられる物品以外に、医療現場で使用される物品を含むことは周知であり、例えば、第20類の「家具」に分類される戸棚やテーブルであっても、医療現場で使用されることが明らかな「器械戸棚」や「調剤台」は、「病院用機械器具」であって、第10類に分類される。また、手術用の照明器具は第11類ではなく、第10類に分類される。してみると、印刷対象が採血管の検体ラベルに限定されたプリンターである採血管準備装置は、第9類の「コンピュータ用プリンター」ではなく、第10類の「病院用機械器具」に相当すると判断される。さらに、被請求人が提出した使用証拠からも、該採血管準備装置が医療用(医療現場用)であることは明らかである。
乙第21号証は、被請求人のホームページの医療・ヘルスケア関連の製品・サービス情報ページの写しであり、被請求人が採血管準備装置「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」を販売していることの立証として提出された。ホームページにおいて、被請求人の事業領域は「コミュニケーション」、「自動車・製造業ソリューション」、「プリンティング・ソリューション」、「ヘルスケア・パブリックサービスソリューション」の4つのカテゴリーに分類されているが、採血管準備装置は、「ヘルスケア・パブリックサービスソリューション」の中の「医療・ヘルスケア関連」の製品として紹介されている。これは、被請求人自身が、採血管準備装置を「プリンティング・ソリューション」ではなく、「医療・ヘルスケア関連商品」と認識している証である。なお、被請求人はプリンターを製造・販売しているが、いずれも別のネーミングが使用されていて、本件商標を付したプリンターはホームページ上で紹介されていない。
乙第2号証ないし乙第7号証は、被請求人が日本国内で採血管準備装置を販売した立証である。提出された注文書や納品書の写しに記載された取引先は、いずれも病院や検診センター等の医療関係者である。需要者は当該商品を施設備品として注文・購入したはずで、「コンピュータ用プリンター」と認識していたとは考えられない。また、注文書や納品書に「プリンター」への言及もない。
乙第17号証、乙第18号証及び乙第20号証に係る展示会は、いずれも一般社団法人日本臨床検査機器・試薬・システム振興協会(JACLaS)の主催する「臨床検査機器・試薬・システム展示会」であって、医療機関・医療関係者を対象としている。いわゆる、コンピュータ用プリンターの製造・販売業者は参加していない。また、問い合わせ先も被請求人の「ヘルスケア事業部 医療推進部」である(乙20)。被請求人が本件商標を使用しているという採血管準備装置は、専ら医療現場で使用されるものであって、「コンピュータ用プリンター」とは需要者も、流通経路や販売場所も異なる。
したがって、当該採血管準備装置は、第10類の「病院用機械器具」に相当するものであると判断され、本件審判請求に係る第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「コンピュータ用プリンター」に使用されているものではない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人が提出した証拠からは、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標を本件審判請求に係る指定商品について、要証期間に日本国内において使用していると認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和3年7月15日付けの審判事件回答書(以下「回答書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第30号証を提出した。
1 答弁の要旨
(1)使用の事実
ア 採血管準備装置「i・presシリーズ」について
被請求人は、採血管準備装置の製造・販売を1994年頃から開始し、現在まで継続している。乙第1号証(i・pres core パンフレット)の2枚目の下部の「i・presのあゆみ」に記載されているように、被請求人は、2001年以降に発売した製品には、各商品名の語頭に「i・pres」を付けて、それらを「i・presシリーズ」として販売している。具体的には、「i・pres 80S」(2001年発売)、「i・pres 40S」(2001年発売)、「i・pres gear」(2003年発売)、「i・pres fit」(2008年発売)、「i・pres with」(2009年発売)、「i・pres core」(2012年発売)及び「i・pres fine」(2017年発売)の7機種の採血管準備装置を、「i・presシリーズ」として製造・販売してきた。現在、日本国内では、「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」の3機種のみを販売している。このように、被請求人は、「i・pres」の文字からなる商標を、被請求人の採血管準備装置のファミリーネームとして長年用いてきた。
イ 使用の事実1
被請求人は、要証期間に「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」の3機種の採血管準備装置を日本国内において販売している。乙第2号証ないし乙第7号証は、要証期間に、日本国内で各機種を販売した際の取引書類であり、各取引書類には、各機種の商品名が記載されている。具体的には、乙第2号証及び乙第3号証には、納品・発注商品として「採血管準備装置 i・pres fit(外来モデル)」と記載され、乙第4号証及び乙第5号証には納品・発注商品として「採血管準備装置 i・pres fine(12巻種)」と記載され、乙第6号証及び乙第7号証には見積・発注商品として「採血業務支援システム i・pres core」と記載されている。
乙第8号証は、採血管準備装置「i・pres fit」の全体写真であり、乙第9号証は、同製品の正面右上部の拡大写真、乙第10号証は同製品の右上部に付された標章1の写真で、これらの写真に表示されているように、採血管準備装置には、「i・pres fit」の文字を意匠化した標章1が付されている。標章1は、特殊書体で表された「i・pres」の文字の下に、赤色背景に白抜きのゴシック体で表された「fit」の文字が併記されたもので、かかる標章1に含まれる「i・pres」の文字は、「fit」の文字とは書体、背景、大きさが異なる態様で表されており、「fit」の文字から独立して識別力を発揮し得る態様で表示されている。「i・pres」の文字が、被請求人の採血管準備装置のファミリーネームとして用いられている点を考慮すると、標章1に含まれる「i・pres」の文字は、採血管準備装置「i・pres fit」において、独立した識別標識として機能している。
乙第11号証は、採血管準備装置「i・pres fine」の全体写真であり、乙第12号証は、同製品の正面の拡大写真、乙第13号証は同製品の右上部に付された標章2の写真で、これらの写真に表示されているように、採血管準備装置には、「i・pres fine」の文字を意匠化した標章2が付されている。標章2は、横長矩形状の白色背景に赤色ゴシック体で表された「i・pres」の文字の右側に、横長矩形状の黒色背景に白抜きの太字ゴシック体で表された「fine」の文字を配置してなるもので、かかる標章2では、左側の「i・pres」の文字は、右側の「fine」の文字とは、太さ、文字色、背景色が相違し、また、「i・pres」と「fine」の間は2ないし3字程度のスペースが設けられており、「i・pres」の文字は「fine」の文字から独立して識別力を発揮し得る態様で表示されている。「i・pres」の文字が、被請求人の採血管準備装置のファミリーネームとして用いられている点を考慮すると、標章2に含まれる「i・pres」の文字は、採血管準備装置「i・pres fine」において、独立した識別標識として機能している。
乙第14号証は、採血管準備装置「i・pres core」の全体写真であり、乙第15号証は、同製品の正面右側部の拡大写真、乙第16号証は同製品の右上部に付された標章3の写真で、これらの写真に表示されているように、採血管準備装置には、「i・pres core」の文字を意匠化した標章3が付されている。標章3は、横長矩形状の白色背景に赤色ゴシック体で表された「i・pres」の文字の右側に、横長矩形状の黒色背景に白抜きの太字ゴシック体で表された「core」の文字を配置してなるもので、左側の「i・pres」の文字は、右側の「core」の文字とは、太さ、文字色、背景色が相違し、また、「i・pres」と「core」の間は2ないし3字程度のスペースが設けられており、「i・pres」の文字は、「core」の文字から独立して識別力を発揮し得る態様で表示されている。「i・pres」の文字が、被請求人の採血管準備装置のファミリーネームとして用いられている点を考慮すると、標章3に含まれる「i・pres」の文字は、採血管準備装置「i・pres core」において、独立した識別標識として機能している。
以上のように、被請求人は、要証期間に、「i・pres」の文字からなる商標が付された採血管準備装置を日本国内において販売している。
ウ 使用の事実2
被請求人は、要証期間に、3機種の採血管準備装置「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」を、「JACLaS EXPO 2019-臨床検査機器・試薬・システム展示会-」で展示した。同展示会は、要証期間中の2019年(令和元年)10月3日ないし同月5日に、パシフィコ横浜(横浜市・・・)で開催されたもの(乙17)で、「JACLaS EXPO 2019 製品一覧」(乙18)は、巻頭に記載されているように、同展示会を開催するにあたり、出展各社の機器・試薬・システム等の情報を総覧したもので、同展示会の出展各社・参加者に配付され、また、一般社団法人日本臨床検査機器・試薬・システム振興協会のウェブサイトで公開されたものである。また、同号証の第217ページの「出展企業/会員企業・主要製品紹介」の「小林クリエイト株式会社」の欄には、同社の主要出展品目として、「採血管準備装置 i・presシリーズ」が記載され、その詳細内容として「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」の3機種の商品名がそれぞれ記載されている。なお、同欄に記載されている同社の住所は、被請求人のヘルスケア事業部の所在地である(乙19)。採血管準備装置「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」には、「i・pres」の文字を含む標章1ないし標章3が夫々付されているので、被請求人は、同展示会において、「i・pres」の文字が付された採血管準備装置を、譲渡のために展示した。
また、乙第18号証の第217ページの「小林クリエイト株式会社」の襴の内容は、同号証の発行にあたり、被請求人が作成して発行者に提供したものであり、当該欄は、被請求人が同展示会に出展した製品の広告に該当し、被請求人は、採血管準備装置に関する広告に「i・pres」の文字を付して頒布し、また、これらを内容とする情報に「i・pres」の文字を付して電磁的方法により提供した。
さらに、被請求人は、同展示会に自社製品を出展するにあたり、出展案内チラシ(乙20)を作成し、頒布した。乙第20号証には、出展予定の採血管準備装置「i・pres fine」と「i・pres core」の写真が掲載され、各写真に標章2及び標章3が付されているから、同号証の頒布により、被請求人は、採血管準備装置に関する広告に「i・pres」の文字を付して頒布した。
以上のように、商標権者である被請求人は、要証期間中に日本国内で開催された展示会において、「i・pres」の文字が付された採血管準備装置を、譲渡のために展示し、採血管準備装置に関する広告に「i・pres」の文字を付して頒布し、また、採血管準備装置に関する広告情報に「i・pres」の文字からなる商標を付して電磁的方法により提供した。
エ 使用の事実3
乙第21号証は、被請求人のホームページにおける、医療・ヘルスケア関連の製品・サービス情報のページの写しで、同号証には、被請求人が製造・販売する採血管準備装置「i・pres fit」、「i・pres fine」及び「i・pres core」の商品名が掲載されている。
乙第22号証は、被請求人のホームページの採血管準備装置「i・pres fit」の製品情報ページの写しで、同号証の1ページ目の上部には、「採血管準備装置 i・pres fit」の文字が記載され、1ページ目の下部には、「採血管準備の専用装置 i・presシリーズ」と記載され、2ページ目の上部には、採血管準備装置「i・pres fit」の写真の右側に「i・pres fit」の文字を意匠化した標章が表示されている。
乙第23号証は、被請求人のホームページの採血管準備装置「i・pres fine」の製品情報ページの写しで、同号証の1ページ目の上部には、「採血管準備装置 i・pres fine」の文字が記載され、1ページ目の下部には、「採血管準備の専用装置 i・presシリーズ」と記載され、2ページ目の上部には、採血管準備装置「i・pres fine」の写真の下方に標章2が表示されている。
乙第24号証は、被請求人のホームページの採血管準備装置「i・pres core」の情報ページの写しで、同号証の1ページ目の上部には、「採血管準備装置 i・pres core」の文字が記載され、1ページ目の下部には、「採血管準備の専用装置 i・presシリーズ」と記載され、2ページ目の上部には、採血管準備装置「i・pres core」の写真の下方に標章3が表示されている。
乙第25号証ないし乙第28号証は、インターネットのウェブページのアーカイブを閲覧可能な「Wayback Machine」のウェブサイトから取得した、2019年12月10日時点の乙第21号証ないし乙第24号証の各ウェブページのアーカイブの写しで、乙第25号証ないし乙第28号証の内容は、乙第21号証ないし乙第24号証と同一の内容であり、乙第21号証ないし乙第24号証の各ページの内容が、要証期間にインターネットで閲覧可能であったこと、日本国内の顧客向けに掲載されたものであることは明らかである。また、乙第21号証ないし乙第24号証の各ページは、日本語で記載されており、日本国内の顧客向けに掲載されたものであることは明らかである。
以上のように、被請求人のホームページの採血管準備装置の製品情報ページには、要証期間から「i・pres」の文字が付され、これらの製品情報ページは、各製品の広告に該当するものであり、また、日本語によって日本国内の顧客向けに掲載されたものである。
したがって、これらの製品情報ページの掲載によって、被請求人は、要証期間中に、日本国内において、採血管準備装置の広告情報に、「i・pres」の文字からなる商標を付して電磁的方法により提供している。
(2)使用商標が、本件商標と社会通念上同一であること
本件商標と使用商標を比較すると、本件商標が「i・pres」の欧文字と「アイプレス」の片仮名を二段併記してなるのに対して、使用商標は、「i・pres」の欧文字よりなるもので、片仮名「アイプレス」が併記されていない点で相違する。
しかしながら、「i・pres」の欧文字は「アイプレス」と称呼されるのが自然であり、使用商標は「アイプレス」の称呼を生じ、本件商標も全体として「アイプレス」の称呼のみを生じるので、本件商標と使用商標は称呼を同じくする。
また、「i・pres」及び「アイプレス」の各語は、我が国において特定の意味合いを持って知られた語ではなく、本件商標と使用商標は、ともに特定の観念を生じるものではない。
このように、本件商標と使用商標は、称呼を同じくし、両者の間に観念上の変動もないため、両者は社会通念上同一の商標と認められるべきである。
(3)使用商品が、本件審判請求に係る指定商品に含まれること
使用商品である採血管準備装置は、採血業務に用いる採血管の準備作業を補助するためのものであり、具体的には、採血業務に用いる採血管には、被採血者の属性情報(名前、性別、生年月日)や機械読取用のバーコードが印刷された検体ラベルを採血管に貼付して、検体の取り違えを防止する。一部の検査施設や病院では、採血を実施する前に、検体ラベルをプリンターで印刷して、手作業で採血管に貼っている。採血管準備装置は、検体ラベルの印刷機能と貼付機能を兼備し、印刷した検体ラベルを採血管に貼付した状態で排出するため、採血管準備装置を用いれば、検体ラベルを採血管に貼付する作業を省力化できる。
乙第29号証は、使用商品である採血管準備装置「i・pres fit」のパンフレットであり、その2枚目には、「採血管準備装置は、オーダリング情報などから指定されたオーダー単位で採血管を自動的に選択し、検体ラベルを貼り付けることで人為的なミスをなくします。」とあり、「i・pres fit」が検体ラベルを印刷し、採血管に貼り付ける装置であることが記載されている。また、同号証の2枚目の右上部には、「4管種×100本対応」とあるが、これは、筐体内部に貯蔵した4種類400本の採血管に、検体ラベルを選択的に貼り付け可能であることを示している。また、同号証の2枚目の右下部には、「4管種以外の手貼りラベルを発行」及び「採血指示書の発行」と記載され、「4管種以外の手貼りラベルを発行」とは、筐体内部に貯蔵されていない種類の採血管を用いる場合は、検体ラベルを採血管に貼り付けできないため、手作業で貼り付ける手貼りラベルとして、剥離紙に貼られた状態で検体ラベルを発行することを意味し、「採血指示書の発行」とは、採血作業における注意事項等が記載された指示書を、検体ラベルとは別に印刷して発行することを意味する。また、同号証の3枚目の右下部には、「上位システムと連動することで属性情報を印字します」とあるが、これは、上位システムのコンピュータから採血者の属性情報等を受信して、当該属性情報を検体ラベルに印刷することを意味する。なお、同号証は、使用商品である採血管準備装置「i・pres fit」のパンフレットであるが、上位機種である「i・pres fine」及び「i・pres core」の2機種は、以上に説明した「i・pres fit」の機能を全て具備している(乙1、乙30)。
このように、使用商品である採血管準備装置は、採血管に貼付する検体ラベル等を印刷するものであり、本件審判請求に係る指定商品に含まれる、第9類の「コンピュータ用プリンター」に相当する商品である。
なお、特許情報プラットフォームの商品・役務名検索では、「電子計算機用ラベルプリンター」が第9類で登録された例と、「ラベルプリンター」が第16類で登録された例がヒットするが、第16類に分類される「ラベルプリンター」は、手持ち式ラベルプリンターのような事務用品であり、使用商品のようにコンピュータからデータを受信して印刷するプリンターは、第16類の「ラベルプリンター」でなく、第9類の「コンピュータ用プリンター」や「電子計算機用ラベルプリンター」に属すべきものである。
また、使用商品は、検体ラベルを印刷するだけでなく、印刷した検体ラベルを採血管に貼り付ける機能も具備し、第9類以外の商品区分にも分類され得る機能を有する複合的な商品であるが、昭和57年(行ケ)67号の判決を始めとする多数の裁判例、審決例においては、商品や役務が二面性を有する商品・役務である場合には、それぞれ2つの類等に属する商品について登録商標が使用されていると扱って差し支えないとされている。このため、仮に、使用商品が、その他の商品にも分類され得るとしても、使用商品が、「コンピュータ用プリンター」に該当しないということにはならない。
さらに、使用商品は、検体ラベルを印刷して、貼付するだけのものであり、医療行為(採血行為)に用いられるものでないため、医療機器に該当するものではない。薬機法等により、医療機器として製造・販売される商品は、届出や第三者認証、大臣承認が必要とされるが、使用商品は、こうした届出等がなされたものでなく、発売から現時点まで、医療機器として製造・販売されたことはない。類似商品・役務審査基準〔国際分類第11-2020版対応〕において、第10類の「医療用機械器具」に包含される商品として列挙されている商品は、「歩行補助器」と「松莱づえ」を除き、医療機器としての届出等が法律上必要とされている商品である。このため、使用商品は、少なくとも要証期間においては「医療用機械器具」でなく、「電子応用機械器具」に属すべきものである。
(4)まとめ
以上のように、商標権者である被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を使用していた。
2 回答書による主張の要旨
(1)使用商品が、本件審判請求に係る指定商品に含まれるかについて
答弁書(上記1(3)を参照。)で述べたように、使用商品は、外部のコンピュータからの指示により、検体ラベルや採血指示書を印刷し、採血管に貼らずに発行することが可能であり、すなわち、使用商品は、単体で「コンピュータ用検体ラベルプリンター」や「コンピュータ用採血指示書プリンター」として使用可能である。類似商品・役務審査基準の「商品・サービス国際分類表〔第11-2021版〕 一般的注釈 日本語訳」の箇所には、「(b)完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能又は各用途に対応するいずれの類にも分類することができる。」とあるから、単体で「コンピュータ用検体ラベルプリンター」や「コンピュータ用採血指示書プリンター」として機能する使用商品は、その他の機能に関わらず、「コンピュータ用検体ラベルプリンター」や「コンピュータ用採血指示書プリンター」の区分に分類され得る。
請求人は、弁駁書において、第9類の「コンピュータ用プリンター」について、「個人用またはオフィス用のプリンターであり、家電量販店等で販売される機械器具であると理解される。」と主張しているが、一般的に、用途特定がない場合には、あらゆる用途の商品を含むと解されるから、第9類の「コンピュータ用プリンター」についても、汎用のプリンターに限られず、「コンピュータ用検体ラベルプリンター」や「コンピュータ用採血指示書プリンター」などの専用プリンターを包含すると解すべきである。
したがって、使用商品は、第9類の「コンピュータ用プリンター」の範ちゅうに含まれるものである。
なお、特許情報プラットフォームの商品・役務名検索で検索すると、「電子計算機用ラベルプリンター」、「通帳伝票プリンター」、「POSプリンター」、「バーコードプリンター」及び「チケットプリンター」などの特殊用途の専用プリンターが、第9類に分類されているから、仮に、使用商品が、第9類の「コンピュータ用プリンター」の範ちゅうに含まれないとしても、少なくとも、本件審判請求に係る指定商品である「電子応用機械器具」の範ちゅうには属するものである。
また、審尋の暫定的な見解では、「使用商品は、病院等の医療現場で使用される採血管を準備するための装置であって、第10類の『病院用機械器具』の範ちゅうに属する商品と考えられる」とされているが、病院等の医療現場で専ら使用される商品であることのみをもってして、使用商品が第10類に属すると結論づけるのは妥当でない。類似商品・役務審査基準の第10類の注釈には、「第10類には、主として、外科用、内科用、歯科用及び獣医科用の機器及び器具であって、概して人及び動物の機能又は状態の診断、治療又は改善のために使用される商品を含む。」とされているが、医療現場で専ら使用されるものであっても、医療行為に直接使用されないものは、第10類以外に分類されている。
具体的には、特許情報プラットフォームの商品・役務名検索で検索すると、医療現場で専ら使用されるものであっても、以下の商品は、第10類以外の区分に分類されている。
第 7類 病院・医院又は薬局用の薬剤又は医療用補助品搬送装置
第 9類 医療用計量用はかり,医療用機械器具に使用する電池,医療用診断チップ
第11類 医療用消毒装置,医療のための保管を目的とした冷蔵庫・冷却装置及びフリーザー
第12類 病院用荷車
第20類 病院用識別腕環(金属製のものを除く。)
第21類 病院用ベッド
第25類 医療衣(スクラブ)
このように、医療現場で専ら用いられるものであっても、医療行為に直接使用されない商品は、第10類以外に分類されているため、使用商品が、医療現場で使用されることのみをもってして、第10類の「病院用機械器具」の範ちゅうに属する商品と認定することは妥当でない。
また、上記商品のうち、「病院・医院又は薬局用の薬剤又は医療用補助品搬送装置」、「医療用計量用はかり」、「医療用消毒装置」、「医療のための保管を目的とした冷蔵庫・冷却装置及びフリーザー」及び「病院用荷車」は、医療現場において医療機器や医薬の準備にのみ使用される商品であり、使用商品は、医療現場において医療機器の準備にのみ使用される商品である点でこれらの商品と共通しているから、使用商品は、第10類には属さず、第9類の「電子応用機械器具」の範ちゅうに属すべき商品である。
以上のように、使用商品は、第9類の「コンピュータ用プリンター」でなく、第10類の「病院用機械器具」の範ちゅうに属する、という審尋の暫定的な見解は妥当でなく、使用商品は、第9類の「コンピュータ用プリンター」の範ちゅうに含まれ、また、仮に含まれていないとしても、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうには含まれる。
(2)使用商標と本件商標との社会通念上同一性について
被請求人が提出した証拠においては、「i・pres core」、「i・pres fit」及び「i・pres fine」の文字だけでなく、「i・pres」の文字が単独でも使用されているため、「i・pres core」、「i・pres fit」及び「i・pres fine」の各文字と、本件商標との同一性を否定することのみにより、商標権者等が、社会通念上同一の商標を使用していないと結論づけるのは妥当でない。
具体的には、乙第18号証には、小林クリエイト株式会社(以下「小林クリエイト社」という。)の主要出展品目として、「採血管準備装置 i・presシリーズ」と記載されており、答弁書に記載したように、同号証の当該欄は、被請求人が展示会に出展した使用商品の広告に該当する。このため、同号証の発行により、使用商品に関する広告に、「i・pres」の文字を、「core」、「fit」及び「fine」の文字とは組み合わせずに、単独で付して頒布し、電磁的方法により提供した。
また、乙第22号証ないし乙第24号証の1ページ目の下部には、それぞれ「採血管準備の専用装置 i・presシリーズは、これらの課題を一度に解決します。」と記載されている。答弁書に記載したように、乙第22号証ないし乙第24号証は、被請求人のホームページの使用商品の製品情報ページであり、使用商品の広告に該当する。このため、乙第22号証ないし乙第24号証の製品情報ページの掲載により、被請求人は、使用商品に関する広告を内容とする情報に、「core」、「fit」及び「fine」の文字と組み合わせずに、「i・pres」の文字を単独で付して電磁的方法により提供している。
このように、商標権者である被請求人は、「i・pres core」、「i・pres fit」及び「i・pres fine」の各文字だけでなく、「i・pres」の文字を単独でも使用商品に使用していることは、乙第18号証、乙第22号証ないし乙第24号証から明らかである。
このため、「i・pres core」、「i・pres fit」及び「i・pres fine」の各文字と、本件商標との同一性を否定することのみにより、被請求人が、社会通念上同一の商標を使用していないと結論づけるのは妥当でない。なお、「i・pres」の文字が、本件商標と社会通念上同一であることは、答弁書(上記1(2)参照)で述べたとおりである。
(3)まとめ
以上のように、商標権者が、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品に、日本国内において、要証期間に使用したことは、乙各号証によって証明される。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出した証拠は以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、パンフレットであり、その表紙の上部に、「KOBAYASHI」及び「採血管準備装置」と記載され、中央に、左側の2つの角を丸くした白色の横長長方形の中に赤色で書された「i・pres」の文字の右側に、右側の2つの角を丸くした黒色の横長長方形の中に白抜きでやや太く書された「core」の文字を配置し、その2つの横長長方形を合わせた下に「黒色で「Intelligent preparation system 〔core〕(〔 〕の中は赤色。)」の文字が書された構成態様からなるものである。以下、これを「使用商標1」という。
同号証の2葉目の中段には、「採血管準備装置は、オーダリング情報などから指定されたオーダー単位で採血管を自動的に選択し、検体ラベルを貼り付けることで人為的なミスをなくすとともに、検査の迅速化を実現します。」の記載がある。
また、同号証の4葉目には、「オートセット機能」として「ラベルの通しと頭出しを自動で行います。プリンタヘッドまでのラベル通しとラベルの位置合わせまでを自動化。面倒なラベル交換の負担を軽減します。」の記載がある。
さらに、同号証の奥付の上部に「i・pres core 仕様機能」と題する表内に、それぞれの項に「最大収容管種数:15管種(ユニット増設により 20管種、24管種対応可能)」、「採血管収容本数:ランダムピッカー:100本/1種類、標準ピッカー:100本/1種類」、「搭載プリンター:貼付け部プリンター:3台 手貼りプリンター:1台」及び「ラベリング:処理能力 4秒/1本/1プリンター(3プリンター同時処理可能)」等の記載があり、左下には、「小林クリエイト株式会社」の記載がある。
他方、同号証のパンフレットの発行日についての記載はない。
(2)乙第29号証について
乙第29号証は、パンフレットであり、その表紙の上部に、「KOBAYASHI」の記載、中央に、左側の2つの角を丸くした白色の横長長方形の中に赤色で書された「i・pres」の文字の右側に、右側の2つの角を丸くした黒色の横長長方形の中に白抜きでやや太く書された「fit」の文字を配置し、その2つの横長長方形を合わせた下に黒色で「Intelligent preparation system 〔fit〕(〔 〕の中は赤色。)」の文字が書された構成態様からなるものである。以下、これを「使用商標2」という。
同号証の2葉目の中段には、「採血管準備装置は、オーダリング情報などから指定されたオーダー単位で採血管を自動的に選択し、検体ラベルを貼り付けることで人為的なミスをなくします。分析装置に合わせラベル貼り位置を固定するので、分析装置のバーコードエラーが減少します。」の記載がある。
また、同号証の奥付の左下には、「小林クリエイト株式会社」と記載され、上部に「i・pres fit 仕様機能」と題する表内に、「採血管種搭載数/収容本数」の項に「4管種/400本(100本/1種類)」及び「搭載プリンタ」の項に「貼付け部プリンタ:1台」並びに「手貼りプリンタ:1台」などの記載がある。
他方、同号証のパンフレットの発行日についての記載はない。
(3)乙第30号証について
乙第30号証は、パンフレットであり、その表紙の上部に、「KOBAYASHI」、「採血管準備装置」と記載され、中央に、左側の2つの角を丸くした白色の横長長方形の中に赤色で書された「i・pres」の文字の右側に、右側の2つの角を丸くした黒色の横長長方形の中に白抜きでやや太く書された「fine」の文字を配置し、その2つの横長長方形を合わせた下に黒色で「Intelligent preparation system 〔fine〕(〔 〕の中は赤色。)」の文字が書された構成態様からものである。以下、これを「使用商標3」という。
また、同号証の4葉目及び5葉目には、商品の技術として、「大容量」、「小型多管種モデル」、「ラベル通しの自動化」、「ラベル自動切換え」、「前面操作」、「オペレーション対応」、「設計機能」及び「チョイスカラー」の8つが記載されている。
さらに、奥付の左下には、「小林クリエイト株式会社」と記載され、上部に「i・pres fine 仕様機能」と題する表内に、「最大収容管種数」について「12管種」、「収容本数」について「1200本(100本/1管種)」及び「搭載プリンター」について「貼り付け部プリンター:2台 手貼りプリンター:1台」などの記載がある。
他方、同号証のパンフレットの発行日についての記載はない。
なお、以下、「使用商標1」、「使用商標2」及び「使用商標3」をまとめて「使用商標」という場合がある。
(4)乙第2号証ないし乙第7号証について
乙第2号証及び乙第3号証は、納品報告書及び発注書の写しであり、医療法人聖授会総合検診センターに小林クリエイト社が「採血管準備装置 i・pres fit(外来モデル)」を2020年(令和2年)4月27日に搬入したことが認められる。
乙第4号証及び乙第5号証は、納品報告書及び注文書の写しであり、大阪警察病院付属人間ドッククリニックに小林クリエイト社が「採血管準備装置 i・pres fine(12巻種)」を2019年(令和元年)5月9日に搬入したことが認められる。
乙第6号証及び乙第7号証は、見積書及び注文書の写しであり、東邦大学医療センター佐倉病院に2020年(令和2年)2月21日までに小林クリエイト社が、「採血業務支援システム i・pres core」を納入したことが認められる。
(5)乙第8号証ないし乙第16号証について
乙第8号証ないし乙第16号証は、被請求人が「採血管準備装置」であると主張する写真であるが、これらの写真は不鮮明なものであったり、機器の一部を写したものであったりするため、どのような機器か特定することができない。
(6)乙第17号証ないし乙第20号証について
乙第17号証は、表紙に「JACLaS EXPO 2019 報告書」と記載され、その2葉目の「1.開催概要」の欄に、「名称」として「JACLaS EXPO 2019 -臨床検査機器・試薬・システム展示会-」、「会期」として「2019年10月3日(木) 13:00~17:30」、「4日(金) 9:00~17:30」及び「5日(土) 9:00~14:00」並びに「会場」として「パシフィコ横浜 展示ホールA・B・C」の記載がある。
乙第18号証は、表紙の上部に「JACLaS EXPO 2019」、「臨床検査機器・試薬・システム展示会」及び「製品一覧」と記載され、その奥付の下部(6葉目の右下)に「JACLaS EXPO 2019 臨床検査機器・試薬・システム展示会 JACLaS EXPO 2019 製品一覧」、「2019年(令和元年)10月3日 印刷・発行」と記載されている。
また、同号証の5葉目(217ページ)の右上には、「小林クリエイト株式会社」と記載され、その下の【主要出展品目】の項の下に「・採血管準備装置 i・presシリーズ」、「4管種『i・pres fit』」、「12管種『i・pres fine』」及び「15~24管種『i・pres core』」の記載がある。
乙第19号証は、小林クリエイト社の企業情報のウェブサイトであり、本社、工場等の住所等の記載がある。
乙第20号証には、表紙の上部左上に「KOBAYASHI」、上部右上に「出展のご案内」の記載、その下に「JACLaS EXPO 2019」、「2019年(令和元年)10月3日→5日」(「→」は、右向きの黒三角を示す。)、「臨床検査機器・試薬・システム展示会」及び「パシフィコ横浜」と記載され、その2葉目に、「その他の出展予定製品」のタイトルの下に、採血管準備装置が掲載され、下部に「お問い合わせ」及び「小林クリエイト株式会社 ヘルスケア事業部 医療推進部」の記載がある。
(7)乙第21号証ないし乙第28号証について
乙第21号証ないし乙第24号証は、ホームページの写しで、それぞれ上部に「小林クリエイト株式会社」の記載、乙第21号証には、「採血管準備装置 i・pres fit」、「採血管準備装置 i・pres fine」及び「採血管準備装置 i・pres core」の記載があり、乙第22号証ないし乙第24号証には、それぞれ「採血管準備装置 i・pres fit」、「採血管準備装置 i・pres fine」及び「採血管準備装置 i・pres core」の製品情報が掲載され、また、それぞれの1葉目の下部に、「製品・サービスの内容」について、「採血管の準備は、職員の手作業から、専用装置での自動発行に」、「採血業務の改善は、採血間違いや採血漏れの撲滅と時間短縮の両面から行われます。」及び「採血管準備の専用装置i・presシリーズは、これらの課題を一度に解決します。」の記載がある。
また、乙第22号証ないし乙第24号証の2葉目の上部には、使用商品とともに使用商標2、使用商標3及び使用商標1がそれぞれ表示されている。
さらに、乙第25号証ないし乙第28号証は、インターネットのウェブページのアーカイブを閲覧可能なWayback Machineのサイトから取得した、2019年(令和元年)12月10日時点の乙第21号証ないし乙第24号証の各ホームページのアーカイブの写しであり、要証期間である2019年12月10日時点で、上記乙第21号証ないし乙第24号証の内容が開示されていたことが推認できる。
2 上記1からすれば、次のとおり判断できる。
(1)使用者について
被請求人が提出したパンフレット(乙1、乙29、乙30)からは、小林クリエイト社が使用商品(採血管準備装置)を販売していることが認められるから、使用者は、商標権者である小林クリエイト社である。
(2)使用商品について
被請求人が提出したパンフレット(乙1、乙29、乙30)からは、採血管準備装置(使用商品)は、オーダリング情報などから指定されたオーダ単位で採血管を自動的に選択し、検体ラベルを貼り付けることができるもので、採血管を収容する複数のストッカを備え、収容されている採血管を自動的に選択し、採血管に検体ラベルを貼り付ける機能を主たる機能として有する商品であるから、採血管準備装置は、採血管をストッカに保管し、採血管を自動的に選択し、採血管を搬送し、ラベルを採血管に貼り付ける機能を有するものである。
したがって、使用商品である採血管準備装置は、専ら病院等の医療現場で使用される採血管を準備するための装置であるといえるから、第10類「病院用機械器具」の範ちゅうに属する商品であると認められ、本件審判請求に係る指定商品である第9類「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうには属さないものである。
また、被請求人が提出した全証拠からは、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る指定商品に使用した事実を見いだすことができない。
なお、仮に、使用商標が本件商標と社会通念上同一のものだとしても、使用商品と本件審判請求に係る指定商品は、異なるものであるから、被請求人は、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を本件審判請求に係る指定商品に使用したことを証明したことにならない。
したがって、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品に本件商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用されていることを証明していない。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、使用者は商標権者である小林クリエイト社であることは認めることができるが、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属さないものであるから、被請求人は、本件商標の使用を証明したことにならない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、使用商品が本件審判請求に係る指定商品に含まれると主張しているため、以下、検討する。
被請求人は、第9類の「コンピュータ用プリンター」についても、汎用のプリンターに限られず、「コンピュータ用検体ラベルプリンター」や「コンピュータ用採血指示書プリンター」などの専用プリンターを包含すると解すべきである旨を主張する。
しかしながら、上記2(2)で述べたとおり、使用商品である採血管準備装置は、採血管に貼り付けるラベル、手貼りラベル、採血指示書を印刷する機能だけでなく、採血管をストッカに保管し、採血管を自動的に選択し、採血管を搬送し、ラベルを採血管に貼り付ける機能なども有するものであり、さらに、乙第22号証ないし乙第24号証及び乙第26号証ないし乙第28号証には、「採血管の準備は、職員の手作業から、専用装置での自動発行に」、「採血業務の改善は、採血間違いや採血漏れの撲滅と時間短縮の両面から行われます。」、「採血管準備の専用装置i・presシリーズは、これらの課題を一度に解決します。」の記載があることから、採血管専用の装置であり、第9類の「コンピュータ用プリンター」の範ちゅうに属さないものである。
よって、被請求人の上記主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-300699