商標取消審判
2025-300151
エヌデイアイ
- 審判番号
- 2025-300151
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2000-098759
- 登録番号
- 4493288
- 請求日
- 2025年02月12日
- 審決日
- 2026年02月27日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ビズアールティー・エヌディーアイ・エービー
- 【請求人代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 【被請求人】ノーザン・デジタル・インコーポレイテッド
- 【被請求人代理人】稲葉 良幸
- 【被請求人代理人】田中 克郎
- 【被請求人代理人】石田 昌彦
- 【被請求人代理人】両部 奈穂子
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 正和
- 審判官 渡邉 あおい
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T132 .1 -Z (Z09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4493288号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4493288号商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,工業上の目標対象物の動き及び人体の動きを測定するのに使用するための空間測定機械器具の操作のためのユニットとして販売されるコンピュータソフトウェア」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4493288号商標(以下「本件商標」という。)は、「NDI」の文字を標準文字により表してなり、平成12年9月8日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,工業上の目標対象物の動き及び人体の動きを測定するのに使用するための空間測定機械器具及びその操作のためのユニットとして販売されるコンピュータソフトウェア」を指定商品として、平成13年7月19日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和7年3月3日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、令和4年(2022年)3月3日から令和7年(2025年)3月2日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,工業上の目標対象物の動き及び人体の動きを測定するのに使用するための空間測定機械器具の操作のためのユニットとして販売されるコンピュータソフトウェア」(以下「請求に係る商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証に掲載された「Sensor Interface Unit」は、センサからの信号を増幅及びデジタル化するために用いられる商品であり、信号増幅器及び信号変換器であって、このような商品は「電気通信機械器具」の範ちゅうに属すると主張する。
(2)乙第2号証によると、「Sensor Interface Unit」を含む「AURORA Electromagnetic Tracking System」がアドバンストシステムズ株式会社(以下「アドバンスト社」という。)のホームページにおいて紹介されている。乙第2号証には、「AURORA Electromagnetic Tracking System」については、「高度な電磁技術に基づいて開発されたAuroraトラッキングシステムは、医療用途に対応できるように設計された極めて精巧な計測装置です。」と記載されている。
また、乙第2号証の「AURORA Electromagnetic Tracking System」として表示されている写真には、左側の「System Control Unit」と中央の「Planar 20-20 Field Generator」と右側の「Sensor Interface Unit」と当該「Sensor Interface Unit」にケーブルを介して接続された「Sensor」が示されており、これらの構成要素をもって当該システム、すなわち、「計測装置」が構成されている。
そうすると、「Sensor Interface Unit」は、「計測装置」である「AURORA Electromagnetic Tracking System」の一構成要素にすぎないことが理解できる。
このことは、乙第3号証に添付されたExhibit Eに、「Sensor Interface Unit」が「AURORA磁気式測定システム」の一部として神戸大学に納品されたことが示されており、同じく、乙第3号証に添付されたExhibit Fに、「Sensor Interface Unit」が「AURORA磁気式計測システム一式」の一部としてオリンパスメディカルシステムズ株式会社に納品されたことが示されていることからも明らかである。
なお、被請求人は、乙第1号証には、被請求人からアドバンスト社に「Sensor Interface Unit」が納品されたことが示されていると主張するが、乙第1号証に示された納品の対象物は、「Sensor Interface Unit」と「Aurora Connection Cable」からなる「SIU Kit」であり、「Sensor Interface Unit」が独立して商取引の対象となっていることまでは示されていない。そして、「Sensor Interface Unit」と「Aurora Connection Cable」はいずれも、単体では機能し得るものではなく、「AURORA Electromagnetic Tracking System」の他の構成要素とあいまって初めて「計測装置」として機能し得るものであるため、これらは、「計測装置」の「部品」又は「付属品」にすぎないものである。
(3)特許庁が発行する「商品及び役務の区分解説〔国際分類第12-2025版対応〕」における第9類の「測定機械器具」(甲3)には、「「自動調節機械器具」は、主体が測定機械器具なので、この商品に含まれることとなりますが、遠隔の地にある機械を自動調節する「遠隔測定制御機械器具」は、「電気通信機械器具」が主体となるため、この商品には含まれず、本類「電気通信機械器具」に属します。」の説明がある。
前記記載から、ある商品が「測定機械器具」に該当するか否かを判断するに当たっては、その商品の主体が「測定機械器具」に該当するか否かをもって判断されるべきことが理解できる。
そうすると、「Sensor Interface Unit」を含む「AURORA Electromagnetic Tracking System」は、「高度な電磁技術に基づいて開発されたAuroraトラッキングシステム」であって、「医療用途に対応できるように設計された極めて精巧な計測装置」であることから、その主体は「電磁技術」を用いた「計測装置」であり、甲第3号証には、「電気又は磁気により測定するものは「測定機械器具」に属します」との記載があることから、本装置の主体である「電磁技術」を用いた「計測装置」は、第9類の「測定機械器具」に該当するものである。
そして、仮に、「Sensor Interface Unit」が「信号増幅器」及び「信号変換器」の機能を有しているとしても、この装置は、あくまでも、全体として「測定機械器具」に該当する「計測装置」の一構成要素にすぎないものであるから、「Sensor Interface Unit」は「測定機械器具」の「部品」又は「付属品」に該当すると判断されるべきものである。
(4)以上述べたことから、被請求人が、「電気通信機械器具」の範ちゅうに属すると主張する「Sensor Interface Unit」は、「計測装置」、すなわち、第9類の「測定機械器具」の「部品」又は「付属品」に該当するものである。
(5)なお、仮に、「Sensor Interface Unit」が「信号増幅器」及び「信号変換器」に該当するとしても、「信号増幅器」及び「信号変換器」はいずれも「電気通信機械器具」に包含される商品ではなく、「増幅器」が「電気通信機械器具」に類似する商品として推定されるにすぎないものである(甲4)。
よって、被請求人は、本件商標を「電気通信機械器具」について使用したことまでは立証していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証から乙第3号証を提出した。
1 本件商標の商標権者について
商標権者であるノーザン・デジタル・インコーポレイテッドは、先進的な3D測定技術システムのリーディングカンパニーであり、1981年の創業から現在に至るまで、3D測定技術を搭載した商品を開発、製造している。
商標権者は、我が国においては、本件審判の請求の予告登録日前から、アドバンスト社を日本正規代理店として、本件商標を付した、信号増幅器及び信号変換器を含む自社商品を販売してきた。
2 本件商標の使用事実
(1)使用証拠
乙第1号証は、要証期間内である2024年10月28日に、商標権者からアドバンスト社に対して発行された納品書の写しである。
これによると、商標権者からアドバンスト社に対して、「Sensor Interface Unit」が納品されたことが示されている。
乙第2号証は、ウェブアーカイブである「Wayback Machine」により、2024年5月24日付けで保存、公開されている、アドバンスト社のホームページの写しである。当該ホームページには、「Northen Digital Inc.国内正規代理店」と表示され、商標権者の商品が掲載されている。その中の一つ、「Sensor Interface Unit」には「センサからの信号を増幅およびデジタル化します」と表示されており、この表示から、「Sensor Interface Unit」が、信号増幅器及び信号変換器であることが確認できる。また、「Sensor Interface Unit」(信号増幅器、信号変換器)には、「NDI」の文字が表示されている。
(2)使用商標
乙第2号証に掲載される「Sensor Interface Unit」に付されている「NDI」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)と本件商標は、共に「NDI」の文字を表したものであり、書体のみがやや異なる程度であり、同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきである。
(3)使用に係る商品
乙第1号証及び乙第2号証に係る証拠に掲載されている「Sensor Interface Unit」は、センサからの信号を増幅及びデジタル化するために用いられる商品であり、信号増幅器及び信号変換器である。このような商品は「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する。
(4)使用行為
乙第1号証は、商標権者の商品「Sensor Interface Unit」が、アドバンスト社に対して、販売された事実を示す納品書である。乙第2号証によれば、本件商標と社会通念上同一の使用商標が付された「Sensor Interface Unit」が、アドバンスト社のホームページ内で紹介されている。
したがって、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び同項第8号の「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」の使用行為があることは明らかである。
(5)使用時期、使用場所
乙第1号証が作成されたのは、要証期間内である。
乙第2号証は、要証期間内に、商標権者の商品である「Sensor Interface Unit」(信号増幅器、信号変換器)が、アドバンスト社のホームページに掲載されていることを示すものである。
(6)使用者
商標権者は、アドバンスト社を通じて、我が国で自社商品を販売しているところ、アドバンスト社は、商標権者の国内正規代理店であるから、商標権者がアドバンスト社に、本件商標の使用を許諾していたことは明らかである。
よって、アドバンスト社は、本件商標の通常使用権者といえる。
(7)小括
以上より、要証期間内において、本件商標の通常使用権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する「信号増幅器、信号変換器」について使用していたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)アドバンスト社は、2001年(平成13年)以降、商標権者の日本における国内正規代理店である(乙2、乙3)。
(2)2024年(令和6年)5月24日におけるアドバンスト社のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)には、「高度な電磁技術に基づいて開発されたAuroraトラッキングシステムは、医療用途に対応できるように設計された極めて精巧な計測装置です。」と説明されている、3つの箱形の機械等からなる「AURORA Electromagnetic Tracking System」と称する商品(以下「トラッキングシステム」という。)が掲載されている(乙2)。
(3)本件ウェブサイトには、「センサからの信号を増幅およびデジタル化します。」と説明されている、箱形の機械からなる「Sensor Interface Unit」と称する商品(以下「使用商品」という。)が掲載されており、使用商品は、トラッキングシステムを構成する箱形の機械の一つである(乙2)。
(4)本件ウェブサイトには、使用商標が表示されており、また、使用商品の前面にも使用商標が表示されている(乙2)。
2 「電気通信機械器具」及び「測定機械器具」について
商標法施行規則の別表(以下「省令別表」という。)における「第9類」には、「二」として「測定機械器具」が挙げられており、「測定機械器具」には、様々な測定を行うための各種の機械及び器具が例示されている。
また、省令別表における「第9類」には、「十二」として「電気通信機械器具」が挙げられており、「電気通信機械器具」には、「(一)電話機械器具」や「(二)有線通信機械器具」など、通信に関する各種の機械、「(八)音声周波機械器具」といった音声に関する機械、及び「(九)映像周波機械器具」といった映像に関する機械が例示されている。
なお、当該「電気通信機械器具」には、「信号増幅器」及び「信号変換器」の例示はない。
3 使用商品について
(1)前記1によれば、使用商品は、センサからの信号を増幅及びデジタル化するものではあるが、医療用途に対応できる計測装置であるトラッキングシステムの一つの構成要素ということができる。
そうすると、使用商品は、「測定装置」の一つの構成要素とみるのが相当であり、様々な測定を行うための各種の機械及び器具を包括する、省令別表における「第9類」の「測定機械器具」に含まれる商品と判断するのが相当である。
そして、当該「測定機械器具」は、本件商標の指定商品中には含まれているが、請求に係る商品中には含まれていない。
したがって、使用商品は、請求に係る商品中には含まれないものといわなければならない。
(2)被請求人は、使用商品は、センサからの信号を増幅及びデジタル化するために用いられる商品であり、「信号増幅器」及び「信号変換器」であるから、「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する旨主張している。
しかしながら、仮に、使用商品が「信号増幅器」及び「信号変換器」であるとしても、前記2のとおり、「信号増幅器」及び「信号変換器」は、省令別表における「第9類」の「十二 電気通信機械器具」には例示されていないから、使用商品が「電気通信機械器具」に含まれていると直ちにいうことはできない。
そして、前記(1)のとおり、使用商品が、たとえ、センサからの信号を増幅及びデジタル化するものであるとしても、計測装置であるトラッキングシステムの一つの構成要素であるから、「測定装置」の一つの構成要素として、「測定機械器具」に含まれる商品というべきである。
したがって、使用商品は、「電気通信機械器具」に含まれるということはできない。
4 本件商標の使用について
前記1(1)によれば、アドバンスト社は、商標権者の日本における国内正規代理店であるから、本件商標の通常使用権者であるといえる。
また、本件商標及び使用商標は、いずれも「NDI」の文字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
さらに、前記1(2)から(4)によれば、令和6年5月24日におけるアドバンスト社のウェブサイト(本件ウェブサイト)には、使用商品及び使用商標が掲載されており、当該日は要証期間内である。
そうすると、本件商標の通常使用権者であるアドバンスト社は、要証期間内に、使用商品に関する広告を内容とする情報(本件ウェブサイト)に本件商標と社会通念上同一の使用商標を付して電磁的方法(インターネット)により提供したということができる(商標法第2条第3項第8号の使用行為)。
しかしながら、前記3のとおり、使用商品は、請求に係る商品中には含まれていない。
したがって、被請求人は、本件商標の使用をしていることを証明したとはいえない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人が、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る商品についての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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