商標取消審判
2020-300405
ヒュンダイ、ヒョンデ、ヒューンダイ
- 審判番号
- 2020-300405
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1999-115556外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 4470951
- 請求日
- 2020年06月11日
- 審決日
- 2022年09月28日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ ホールディングス カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】高橋 伸也
- 【被請求人】ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド
- 【被請求人代理人】水野 勝文
- 【被請求人代理人】和田 光子
- 【被請求人代理人】保崎 明弘
- 【被請求人代理人】鈴木 亜美
- 【被請求人代理人】竹山 尚治
- 分類
- T131 .1 -Y (Z09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
- 標準文字
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4470951号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録4470951号の2商標(以下「本件商標」という。)は、「HYUNDAI」の文字を標準文字で表してなり、平成11年12月17日に登録出願、同13年4月27日に設定登録された登録第4470951号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類「TFT液晶ディスプレイその他の液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ」を指定商品として、同16年1月14日に商標権の分割移転の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年7月2日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成29年(2017年)7月2日~令和2年(2020年)7月1日)を以下「要証期間」という。
なお、本件商標の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、設定登録時の権利者は「イメージクエスト カンパニー リミテッド」であったが、平成23年4月21日受付の登録名義人の表示の変更により、「ヒュンダイ アイティー コープ」となり、その後、令和元年11月25日受付の登録名義人の表示の変更により、「ヒュンダイ バイオサイエンス カンパニー リミテッド」となり、さらに、同日受付の特定承継による本権の移転の登録がされた結果、「ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド」となったものと認められる。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 審判事件弁駁書における主張
(1)使用時点での使用者の権原について
現在の商標権者である「ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド」に本件登録の移転がなされたのは令和元年(2019年)11月25日(甲1)である。仮に2019年9月28日に輸出がなされたという被請求人の主張が正しいとしても、同時点においては、権利者は商標登録原簿上の商標権者ではなかった。
(2)乙各号証について
ア 乙第6号証は、「ヒュンダイ バイオサイエンス カンパニー リミテッド」から「ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド」への移転契約書とされており、署名と対価の支払いをもって契約が有効になるとされているが、対価の支払日についての証拠は提出されていない。ここで対価が支払われていないとすれば、その後のライセンス契約書の効果にも影響を与えるものとなるため極めて重要な証拠資料であるはずのところ、答弁書の中で日付にのみ言及し、証拠が提出されていないのは不自然である。
イ 乙第7号証ないし乙第10号証は、契約当時商標原簿上無権原者であった「ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド」から、今回使用証拠上の商標使用者である「ヒュンダイ アイティー カンパニーリミテッド」へのライセンスの流れを示したものであるが、諸外国においても公休日となる1月1日をはさんでおり、地理的な遠隔関係等もあることを考慮すると、極めて短期間で契約締結されている流れは、違和感を持たざるをえない。
ウ 原則的に、商標権の保有者は商標登録原簿等の手段で公示されているべきであり、このような形での使用が認められ、一年弱もの登録の遅れが安易に救済されてしまうのは問題がある。また、ライセンス関連の契約がきわめて短期間に完了しているのに比して、特許庁への移転登録申請に一年弱もかかっている点も不自然である。
エ 商標登録原簿等で公示されていなかった期間の使用が認められるケースは、商標権者の使用のケースである。今回はマスターライセンサーヘの許諾の上、再使用許諾可能な使用許諾、再使用許諾という3つの許諾のステップを踏むものとなっているところ、移転登録申請のなされていない商標について、三次通常使用権者のような者による使用が認められるとすれば、無権原者の使用が脱法的に商標法第50条上の使用と認められる温床となる。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人が提出した答弁書及び提出された乙各号証によっても、商標権者等が本件商標をその指定商品のいずれかについて要証期間に使用されたことは立証されていない。
3 令和4年3月22日付け回答書における主張
(1)被請求人の提出に係る乙第11号証ないし乙第26号証によっても、本件商標が要証期間に商標権者等によって使用されていることは立証されておらず、被請求人の主張を否認する。
(2)被請求人は回答書にて、乙第15号証ないし乙第17号証(当審注:「乙第13号証ないし乙第15号証」の誤記と認める。)として品番「D55EMN」及び「D557MN」に係る船荷証券を提出しているが、船荷証券からだけでは当該商品に商標「HYUNDAI」が付されていたか否か不明である。当該商品に商標が付されているより確かな証拠があればそれを提出すればいいところ、被請求人側はそのような証拠を提出していない。審尋において提示された「商標が付された(使用された)商品の輸入が確認できない」という論点に対して、上記品番の付された商品の輸入の事実があった点のみ立証しているにすぎない。
(3)被請求人回答書において、使用商品の写真撮影日や裏面シールの作成者、貼付時期などについて触れられていない。その代わりに乙第16号証及び乙第17号証としてリーフレットが提出されているが、誰が作成して、いつ、どのような範囲に頒布されたのかが具体的に明らかになっていない。この中で最も重要なのが「いつ」頒布されたのかという論点であるが、それが特定できない証拠を提出したにすぎない。この種のPDFは事後的かつ容易に作成可能であるため、これをもってその使用と認められてしまうのであれば事後的かつ容易に準備した使用証拠により不使用状態の商標についての使用が認められるため不当である。デジタル関連商品のリーフレットについて、PDFをウェブサイトで公開する形が採られることも増えてきているのはそのとおりであるが、それを不使用取消審判の証拠として提出するのであれば「いつ」の部分を合わせて立証することが必要である。
この点、「UPDATE:APR2017」の記載は、2017年4月に改訂されたことを示すのみであり、要証期間に同リーフレットが使用されていた事実や商品が販売されていた事実を示すものではない。
(4)さらに、乙第18号証として提出されたウェブサイトにつき、品番「D557MN」に係るカテゴリ(高輝度ディスプレイ分野)及び「D55EMN」に係るカテゴリ(屋内サイネージ分野)につき本日付けで閲覧したもの(甲2、甲3)と、それぞれの分野に掲載のあった商品リーフレットのデータシート部分の写しを添付する(甲4、甲5)。高輝度ディスプレイ分野においては当該品番(「D557MN」)のみUPDATE日付があり、その他の資料についてはUPDATE日付がなく、いつからアップロードされているものかも不明である。また、屋内サイネージ分野においては「D55EMN」の記載は消えており、「D46EMN」及び「D43AMN」について「UPDATE:JUN2017」との記載があるものの、その他の品番についてはUPDATE日付がなく、いつからアップロードされているものかも不明である。
このように、UPDATE日付については一部の商品にしか付されていないところ、本件使用証拠に係る2件については要証期間に間に合うような日付が付されている点に不自然さを感じざるをえない。
(5)乙第19号証ないし乙第26号証については、上述の型番と商標が付された商品との紐づけがなされていない旨の論点と、後述の移転登録申請すらしていなかった商標についての三次通常使用権者の包括的業務提携先の使用を根拠として使用証拠を提出することの適否についての論点があり、どちらも各箇所にて指摘するとおりである。
(6)なお、請求人が提出した弁駁書についても言及があったが、それぞれ再度要点のみ反論を加える。
ア 上記2(2)イについて、乙第7号証ないし乙第10号証の正当性に疑義を持っているがゆえの指摘である点が見過ごされている。すなわち、容易に虚偽の書類を作成することができ得る署名に比して、対価を動かした証拠を偽造するのは簡単ではないため、その提出がない点を指摘したものであり、そのような重要な送金記録であれば被請求人において容易に準備できるものと思われるところ、被請求人回答書においては、その点を意図的に看過し、提出不要との主張に終始している。
イ 上記2(2)エについて、ライセンス契約に用いるような重要な商標登録についての指摘である点が看過されている。本件は、移転登録申請済みの商標登録に関する三次通常使用権者の話ではなく、移転登録申請すらしていなかった商標についての三次通常使用権者の話である。今回の答弁書に至っては、移転登録申請すらしていなかった商標についての三次通常使用権者の包括的業務提携先の使用を根拠として使用証拠を提出しているが、これを無制限に認めれば無権原者の使用により容易に不使用商標が救済され、商標法第50条の趣旨に反すると考える。
(7)以上のとおり、被請求人回答書及び提出された乙各号証によっても、商標権者等が本件商標をその指定商品のいずれかについて要証期間に使用されたことは立証されていない。
よって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 審判事件答弁書における主張
本件商標は、通常使用権者によって、要証期間に日本において「液晶ディスプレイ」について使用されているため、本件審判請求は成り立たない。
(1)本件商標の通常使用権者である「ヒュンダイ アイティー カンパニーリミテッド」(以下「ヒュンダイアイティー社」という。)から、販売代理店である日本法人の株式会社協同コム(以下「協同コム社」という。)へ本件商標を使用したプラズマディスプレイを輸出し、販売している。乙第2号証は、輸出時の船荷証券である。なお、ヒュンダイアイティー社の住所が契約書(乙10)の住所と異なるのは、船荷証券上の住所は同社の工場住所のためである(乙3)。この船荷証券に記載されている「D32AMN」は本件商標を使用したプラズマディスプレイを表す商品コードである(乙4)。乙第2号証から、韓国から本件商標を使用したプラズマディスプレイが要証期間である2019年9月28日に日本に向けて輸出されたことが分かる。
また、輸出関連書類(乙5)から、要証期間に、通常使用権者によって、本件商標を使用したプラズマディスプレイが日本へ輸出され、日本において譲渡され、また商品に関する広告・取引書類に付され提供されていたことが分かる。
(2)次に権利者と通常使用権者との関係について説明する。
本件商標の当初の権利者である「イメージクエスト カンパニー リミテッド」(以下「イメージクエスト社」という。)は、その社名を2004年3月19日に「ヒュンダイ イメージクエスト カンパニー リミテッド」へ変更し、2006年3月28日に「ヒュンダイ アイティー コーポレーション」へ変更し、2012年3月30日に「ヒュンダイ アイビーティ カンパニー リミテッド」(以下「ヒュンダイアイビーティ社」という。)へ変更し、2018年8月31日に「ヒュンダイ バイオサイエンス カンパニー リミテッド」(以下「ヒュンダイバイオサイエンス社」という。)へ変更した(乙6)。
そして、前権利者であるヒュンダイバイオサイエンス社から、被請求人へ本件商標を譲渡する旨の契約が2018年11月5日に交わされ、2018年12月28日の対価の支払いをもって譲渡された(乙7)。なお、日本の特許庁への移転登録申請手続はその後に行われたが、契約(乙8)当時の本件商標の権利者は被請求人である。
乙第8号証は、被請求人が「ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア,インコーポレイテッド」(以下「ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社」という。)ヘ使用許諾に関する権限を委託したことを表す契約書であり、この契約に基づき、ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社は、「ヒュンダイ ディスプレイ カンパニーリミテッド」(以下「ヒュンダイディスプレイ社」という。)ヘ本件商標権の再許諾可能な使用許諾を行った(乙9)。
乙第9号証に基づき、ヒュンダイディスプレイ社は、ヒュンダイアイティー社ヘ本件商標の使用許諾を行った(乙10)。
よって、ヒュンダイアイティー社は、本件商標の通常使用権者であることは明瞭であり、本件商標を使用した液晶ディスプレイを要証期間である2019年9月28日に日本へ輸出し、販売代理店を通じて日本において譲渡した。
(3)以上により、本件商標が日本国内において、要証期間に「液晶ディスプレイ」について被請求人の通常使用権者により実際に使用されている。
2 令和3年7月9日付け回答書における主張
(1)上記1で述べたとおり、ヒュンダイアイティー社は、本件商標の通常使用権者であり、協同コム社を総輸入元としてプラズマディスプレイなどを日本で販売している。協同コム社は2016年8月1日より、アフターサービスも行う包括的業務提携をヒュンダイアイティー社と結び、日本における販売活動を行っている(乙11)。よって、商慣行上、協同コム社の日本での被請求人商品の販売は、被請求人の通常使用権者が行っている行為と同一視できる。
日本へ輸出されたものは、その行為の結果として当然日本へ輸入されるものであるから、本件商標を使用した商品が日本へ輸入されたものといえる。ヒュンダイアイティー社から協同コム社ヘ液晶ディスプレイなどを輸出しているのは乙第2号証及び乙第5号証から分かるが、追加で、輸出関連書類を提出する(乙13~乙15)。
乙第13号証からは、品番「D55EMN」の商品が2018年(平成30年)8月22日に、乙第14号証からは、品番「D557MN」の商品が同年12月4日に、乙第15号証からは、品番「D557MN」の商品が2019年(令和元年)12月29日に、いずれもヒュンダイアイティー社から協同コム社へ輸出されたことが分かる。
次に、品番「D55EMN」及び品番「D557MN」の商品のヒュンダイアイティー社作成のリーフレット(乙16、乙17)の左上に大きく「HYUNDAI」と記載されており、この商標は本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
リーフレット(乙16、乙17)は、協同コム社のウェブサイトにおいてPDFデータとして公開されている(乙18)が、近年のデジタル関連商品のリーフレットはPDFをウェブサイトで公開しているのが主流であり、紙媒体とは異なり、発行者や発行年などの記載はなく、またその発行部数や頒布範囲などが証明できるものではない。
なお、上記リーフレットには、一枚目の右下に「UPDATE:APR.2017」とあることから、遅くとも2017年(平成29年)4月には改訂され、存在し、それぞれ二枚目に「LCD Panel」の文字があることから、これら商品が「液晶ディスプレイ」であることは明らかである。そして、当該リーフレットは、商品の規格・内容を説明するものであり、商標法第2条第3項第8号の「取引書類」に該当することは明らかである。
よって、被請求人は、遅くとも2017年4月より本件商標を「液晶ディスプレイ」の取引書類に使用していたことが分かる。
次に、日本へ輸入されたこれらの商品が、日本国内で販売されたことの証拠として、品番「D55EMN」に関する発注書(乙19)及びそれに対する請求書(乙20)、品番「D557MN」に関する発注書(乙21~乙23)及びそれに対する請求書(乙24~乙26)を提出する。
乙第19号証により、加賀電子株式会社より、被請求人商品の日本における総輸入元である協同コム社に対して2018年(平成30年)11月13日に品番「D55EMN」に対する発注があり、それに対する請求が乙第20号証であったことが分かる。
乙第21号証より、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社より、協同コム社に対して2019年(令和元年)5月13日に品番「D557MN」に対する発注があり、それに対する請求が乙第24号証であったことが分かる。
乙第22号証より、株式会社ニューフォリアより、協同コム社に対して2020年(令和2年)2月3日に品番「D557MN」に対する発注があり、それに対する請求が乙第25号証であったことが分かる。
乙第23号証より、SBクリエイティブ株式会社より、協同コム社に対して2020年(令和2年)4月1日に品番「D557MN」に対する発注があり、それに対する請求が乙第26号証であったことが分かる。
以上のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標「HYUNDAI」が、要証期間において、通常使用権者によって、商品「液晶ディスプレイ」の取引書類に使用され、日本へ輸入され、日本で譲渡されたことが分かる。
(2)請求人は、対価の支払日の証明が提出されていないのは不自然であると主張するが、対価の支払いは通常金融機関の送金をもって確認されるものであり、この契約書に基づく行為であるから、別途その送金の結果を提出する必要はなく、提出がないとしても当該契約書には問題はない。
請求人は、1月1日を挟み契約書を締結している点に違和感を持つと主張するが、署名をする契約当事者が1月1日を挟み同じ場所にいることがさほど不自然とはいえない。
請求人は、特許庁の移転登録申請に1年弱かかっている点が不自然であると主張するが、移転登録申請に期限はなく、外国法人が1年程度で日本特許庁へ申請をしていることは決して不自然とはいえない。
請求人は、三次通常使用権者のような者による使用が認められるとすれば、無権原者の使用が脱法的に認められ、商標法第50条の趣旨に反すると主張するが、本件における通常使用権者は契約に基づく通常使用権者であり、無権原者ではない。被請求人のような巨大企業はそのグループ会社も多く、ライセンスの形態が複雑になることは自明である。
(3)以上により、本件商標と社会通念上同一である「HYUNDAI」が、日本国内において、要証期間に通常使用権者により、「液晶ディスプレイ」に使用されていることは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)商標権者の名義変更及び本件商標の使用許諾に係る契約について
ア イメージクエスト社の登記簿謄本(乙6)
本件商標の当初の商標権者であるイメージクエスト社は、数度の名義変更を経て、ヒュンダイアイビーティ社へ2012年4月4日に名義変更の登録をし、その後、ヒュンダイアイビーティ社は、ヒュンダイバイオサイエンス社へ2018年8月31日に名義変更の登録をした(乙6)。
イ 商標譲渡契約書(乙7)
ヒュンダイバイオサイエンス社(譲渡人)は、ヒュンダイ テクノロジー,インコーポレイテッド(譲受人。以下「ヒュンダイテクノロジー社」又は「現商標権者」という。)との間で、譲渡人は本件商標を含む譲渡対象商標権の法的な所有権を全て譲受人へ譲渡・移転することを含む契約を、2018年11月5日に商標譲渡契約書(乙7)において締結した。
なお、当該契約書には、譲受人は本件商標を含む譲渡対象商標権について2018年12月31日までにその対価を譲渡人に支払う旨記載されている(3.1.2)。
ウ 使用許諾代理契約書(乙8)
ヒュンダイテクノロジー社は、使用許諾代理契約書(乙8)において、ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社を、本件商標を含むライセンスされた権利についての代理人とする旨の使用許諾代理契約を2018年12月31日に締結した。
また、当該契約書には、ヒュンダイテクノロジー社が以前に第三者に許諾された「HYUNDAI」ブランドの一定の非独占的使用権をヒュンダイバイオサイエンス社より譲渡された旨が記載されている(前文)。
エ 商標使用許諾契約書(乙9、乙10)
ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社は、ヒュンダイディスプレイ社との間で、2019年1月1日ないし4日に商標使用許諾契約を締結し、使用許諾された商標の一覧(別紙A)中には、本件商標が含まれている(乙9)。
ヒュンダイディスプレイ社は、ヒュンダイアイティー社との間で、2019年1月7日に商標使用許諾契約を締結し、使用許諾された商標の一覧(別紙A)中には、本件商標が含まれている(乙10)。
(2)商品のリーフレットについて
ア 商品「D32AMN」のリーフレット(乙4の1)
乙第4号証の1は、商品「D32AMN」のリーフレットであり、その1葉目には、「HYUNDAI」及び「D32AMN」の文字が記載されるとともに、屋内用に設置されたディスプレイの画像及び「SPECIFICATIONS」(仕様)として、「型番」「パネル」「解像度」「電力」「機能」「動作環境」「寸法」「重量」等を記した表が掲載されている。
また、2葉目には、上記商品のサイズ等を記した図面と「NOTES,/1.LCD Panel:32”LED PANEL」の文字、及びヒュンダイアイティー社の名称(HYUNDAI IT CO.,LTD.)が記載されている。
イ 商品「D55EMN」のリーフレット(乙16)
乙第16号証は、商品「D55EMN」のリーフレットであり、その1葉目には、「HYUNDAI」及び「D55EMN」の文字が記載されるとともに、屋内に設置されたディスプレイの画像及び「SPECIFICATIONS」として、「型番」「パネル」「解像度」「電力」「機能」「動作環境」「寸法」「重量」等を記した表が掲載されており、さらに、「UPDATE:APR.2017」の記載がある。
また、2葉目には、上記商品のサイズ等を記した図面と「NOTES,/1.LCD Panel:55”LED PANEL」の文字、及びヒュンダイアイティー社の名称(HYUNDAI IT CO.,LTD.)が記載されている。
ウ 商品「D557MN」のリーフレット(乙17)
乙第17号証は、商品「D557MN」のリーフレットであり、その1葉目には、「HYUNDAI」及び「D557MN」の文字が記載されるとともに、屋外に設置されたディスプレイの画像及び「SPECIFICATIONS」として、「型番」「パネル」「解像度」「電力」「機能」「動作環境」「寸法」「重量」等を記した表が掲載されており、さらに、「UPDATE:APR.2017」の記載がある。
また、2葉目には、上記商品のサイズ等を記した図面と「NOTES,/1.LCD Panel:55”」の文字、及びヒュンダイアイティー社の名称(HYUNDAI IT CO.,LTD.)が記載されている。
(3)船荷証券又は輸出関連書類(乙2、乙5、乙13~乙15)について
船荷証券又は輸出関連書類(乙2、乙5、乙13~乙15)は、それぞれ韓国(大韓民国 39670,キョンサンボクード キムチョンーシ,アポーウプ,・・・)のヒュンダイアイティー社から日本(東京都中央区)の協同コム社に向けて、2018年8月22日に商品「D32AMN」及び商品「D55EMN」が輸出され(乙13)、同年12月4日に商品「D557MN」が10台輸出され(乙14)、2019年9月28日に商品「D32AMN」が3台、「D55EMN」を3台及び商品「D557MN」が4台、それぞれ輸出され(乙2、乙5)、同年12月29日に商品「D557MN」が6台輸出された(乙15)旨の記載がある。
(4)使用商品の日本での販売について
ア ヒュンダイアイティー社と協同コム社の業務提携
乙第11号証は、ヒュンダイアイティー社による2016年8月24日付けの「韓国HYUNDAI IT 日本国内販売およびアフターサービスに関するお知らせ」と題するプレスリリースの出力物であり、その1葉目には、「デジタルサイネージメーカーである韓国HYUNDAI ITと、日本市場における総輸入元である株式会社協同コムとの業務提携に関するお知らせです。」、「韓国企業である株式会社HYUNDAI IT・・・は、日本市場における弊社製品の総輸入元である株式会社協同コム・・・と、包括的業務提携を締結していることをお知らせします。」及び「協同コムとの業務提携により、日本市場においても確固たる実績を築き、日本のお客様にリーズナブルな価格で高品質な製品を供給してまいります。」と記載されている。
そして、その2葉目に「リリース配信元」としてヒュンダイアイティー社の名称及び住所等の記載とともに、「HYUNDAI IT社製 製品の販売およびアフターサービスに関するお問合せ先」として、協同コム社の住所、連絡先などが記載されている。
イ 協同コム社のウェブサイト
乙第18号証は、協同コム社のウェブサイトの出力物であり、1葉目には、ディスプレイの画像に隣接して、「D55EMN」、「サイズ:55インチ」、「製品情報」の記載があり、2葉目には、ディスプレイの画像に隣接して、「D32AMN」、「サイズ:32インチ」、「製品情報」の記載があり、さらに、3葉目には、ディスプレイの画像に隣接して、「D557MN」、「サイズ:55インチ」、「製品情報」の記載がある。
ウ 発注書、請求書等(乙19~乙26)
乙第19号証は、2018年11月13日付けで加賀電子株式会社が協同コム社に宛てて発行した、品名(規格)「D55EMN」(注文数量は1、指定納期は2018年11月27日)の注文書であり、乙第20号証は、請求日を2018年11月30日とする協同コム社が加賀電子株式会社に宛てて発行した、品名「D55EMN」(数量1点)の請求書である。
乙第21号証は、2019年5月13日付けで富士フイルムイメージングシステムズ株式会社が協同コム社に宛てて発行した、「ヒュンダイ/55インチ高輝度屋内モニター/D557MN」(数量2)の注文書(No:2019K-70022)であり、乙第24号証は、2019年5月31日付けで協同コム社が富士フイルムイメージングシステムズ株式会社に宛てて発行した、品名「D557MN」(数量2点 発注番号「2019K-70022」)の請求書である。
乙第22号証は、2020年2月3日付けで株式会社ニューフォーリアが協同コム社に宛てて発行した、「D557MN(55inch、2,500cd 屋内用)」(数量2)の発注書であり、乙第25号証は、2020年2月27日付けで協同コム社が株式会社ニューフォーリアに宛てて発行した、品名「D557MN」(数量2点)の請求書である。
乙第23号証は、2020年4月1日付けでSBクリエイティブ株式会社が協同コム社に宛てて発行した、「高輝度55インチディスプレイ/HYUNDAI製 D557MN」(数量3)の発注書(サ・発・第2020-006)であり、乙第26号証は、2020年6月30日付けで協同コム社がSBクリエイティブ株式会社に宛てて発行した、品名「D557MN」(数量3点 発注番号「サ・発・第2020-006」)の請求書である。
(5)その他の証拠について
ア 乙第3号証
乙第3号証は、ヒュンダイアイティー社のウェブサイトであり、「Factory」(工場)の住所として船荷証券又は輸出関連書類(乙2、乙5、乙13~乙15)に記載されたヒュンダイアイティー社の住所と同一の住所が記載されている。
イ 乙第4号証の2
乙第4号証の2の1葉目は、コンピュータ用のディスプレイと思しき写真であり、2葉目には「HYUNDAI」の文字が写っており、「モデル」の項に商品コード(D32AMN)の記載、さらに、「製造年」の項に「SEPTEMBER 2019」の記載がある。
2 上記1からすれば、以下の事実が認められる。
本件商標の当初の商標権者であるイメージクエスト社は、数度の名義変更を経て2018年8月31日登録でヒュンダイバイオサイエンス社に名義変更し(乙6)、ヒュンダイバイオサイエンス社からヒュンダイテクノロジー社(現商標権者)へ同年11月5日付けで本件商標の譲渡がなされた(乙7)。そして、ヒュンダイテクノロジー社(現商標権者)は、2018年12月31日にヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社と本件商標を含むライセンスについての代理人とする契約を締結し(乙8)、その後、ヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社がヒュンダイディスプレイ社ヘ本件商標を含む商標権の使用許諾を行い(乙9)、2019年1月17日にヒュンダイディスプレイ社がヒュンダイアイティー社ヘ本件商標を含む商標権の使用許諾を行った(乙10)ことが認められる。
これらの名義変更、譲渡、使用許諾に係る手続は、登記簿、各契約書をもって証明されており、各書類の記載内容に不自然なところはないことから、いずれも正式に手続又は契約がされたものとみて差し支えない。
なお、商標譲渡契約書(乙7)における、ヒュンダイバイオサイエンス社からヒュンダイテクノロジー社へ本件商標を含む譲渡対象商標権について対価を支払期限までに支払った事実を示す証拠は提出されていないものの、使用許諾代理契約書(乙8)にヒュンダイテクノロジー社が「HYUNDAI」ブランドの一定の非独占的使用権をヒュンダイバイオサイエンス社より譲渡された旨が確認できる記載があることや、当該譲渡の後も本件商標を含む商標権についての契約がされていることを勘案すれば、当該譲渡が成立する要件である対価の支払いはされたと推認できる。
そして、ヒュンダイアイティー社は、協同コム社と、ヒュンダイアイティー社の商品の日本国内での販売及びアフターサービスについての包括的な業務提携を締結している(乙11)ところ、船荷証券又は輸出関連書類(乙2、乙5、乙13~乙15)及び発注書・請求書等(乙19~乙26)からすれば、2018年8月から2019年12月の間に、ヒュンダイアイティー社の工場(乙3)から協同コム社に向けて商品「D32AMN」、商品「D55EMN」及び商品「D557MN」(以下「使用商品」という。)が輸出され、その後2018年11月から2020年2月の間に、協同コム社を通じて日本国内の顧客に販売されたといえる。
また、協同コム社のウェブサイト(乙18)には、使用商品を掲載するとともに「製品情報」の表示があるところ、当該「製品情報」とは単にこの文字が表記されているというより、そこから使用商品のリーフレット(乙4の1、乙16、乙17)にアクセスするためのリンク表示であるとみるのが自然である。
加えて、使用商品のリーフレット(乙4の1、乙16、乙17)は、ヒュンダイアイティー社が作成したものであり、使用商標が表示され、サイズ等を記した図面が添付されていることが認められる。
3 判断
(1)使用商標について
使用商標は、「HYUNDAI」の文字からなり、他方、本件商標は、「HYUNDAI」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、本件商標と使用商標とは構成文字が一致することから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、商品「D32AMN」、商品「D55EMN」及び商品「D557MN」であるところ、ヒュンダイアイティー社が作成したそれぞれのリーフレットに掲載された各商品の画像や図面に記載された「LCD Panel」の表記等を総合して判断すれば、使用商品はいずれも「液晶ディスプレイ」であり、本件審判の請求に係る指定商品中の第9類「TFT液晶ディスプレイその他の液晶ディスプレイ」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(3)使用者について
令和元年(2019年)11月25日から本件商標の登録原簿上の権利者であるヒュンダイテクノロジー社(現商標権者)は、2018年11月5日付け商標譲渡契約書(乙7)により本件商標についてヒュンダイバイオサイエンス社から譲渡を受けたことが認められる。
そして、ヒュンダイアイティー社は、ヒュンダイテクノロジー社(現商標権者)から商標権の使用許諾を受けたヒュンダイテクノロジーオブカリフォルニア社、ヒュンダイディスプレイ社を介して2019年1月17日に使用許諾を受けたものであるから、使用商品のリーフレットの作成者であるヒュンダイアイティー社は、現商標権者から本件商標について使用許諾を受けた通常使用権者とみて差し支えない。
(4)使用時期及び使用行為について
使用時期の証明に関し、要証期間のうち、令和元年(2019年)11月25日から令和2年(2020年)7月1日までの期間は、ヒュンダイテクノロジー社(現商標権者)によって本件商標の使用がされていたことを要する。
ヒュンダイアイティー社と包括的な業務提携を締結している日本(東京都中央区)の協同コム社は自社のウェブサイト(乙18)において、その出力時期は不明であるが、使用商品を掲載するとともに、その使用商品のリーフレットにアクセスするためのリンクを付していると推認し得るものである。そして、使用商品のリーフレットは、本件商標の通常使用権者であるヒュンダイアイティー社が作成したものであって、使用商標が表示され、使用商品の画像、仕様及びサイズ等を記した図面が添付されている。
また、ヒュンダイアイティー社は、協同コム社へ、少なくとも2019年12月29日に使用商品のうちの商品「D557MN」を6台輸出した(乙15)こと、その後2020年2月及び4月頃には協同コム社と日本の顧客との間で商品「D557MN」について取引があったことが認められる(乙22、乙23、乙25、乙26)。
そして、その輸出行為があった2019年12月29日は、令和元年(2019年)11月25日から令和2年(2020年)7月1日までの期間に含まれるものであって、その2019年12月前には協同コム社のウェブサイトに掲載されていたと推認し得るものであり、この時期は要証期間といえる。
そうすると、本件商標の通常使用権者は、要証期間に協同コム社のウェブサイトを通じて、日本の需要者向けに使用商品のリーフレットを頒布し、使用商標を広告し、日本国内の顧客に対して使用商品を販売したといえるものであり、これは商標法第2条第3項第8号に基づく使用行為に相当する。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中、第9類「液晶ディスプレイ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布し、又はこれらを内容とする情報を電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号に基づく使用行為)というのが相当である。
4 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-300405