2020-014921
ペン入力装置用ガラス基板、及びペン入力装置
- 審判番号
- 2020-014921
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-005336外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月27日
- 審決日
- 2021年10月22日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日本電気硝子株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人矢野内外国特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2017年(平成29年) 1月16日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和 2年10月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和 2年10月27日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1-5の記載は次のとおりである。(下線部は,補正箇所である。以下,それぞれ,「補正後の請求項1」-「補正後の請求項5」という。)
「 【請求項1】ペン入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置されるペン入力装置用ガラス基板であって,少なくとも一方の主面に凹凸を有し,前記凹凸を有する主面における,クルトシスRkuが5.5以上かつ12.0以下,かつ算術平均粗さRaが7.5nm以上かつ24.5nm以下である,続きを表示(全17行)ことを特徴とするペン入力装置用ガラス基板。【請求項2】前記凹凸を有する主面における,最大高さ粗さRzが180nm以上かつ360nm以下である,ことを特徴とする請求項1に記載のペン入力装置用ガラス基板。【請求項3】ヘイズが,可視光の波長域において10%未満である,ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペン入力装置用ガラス基板。【請求項4】請求項1~請求項3の何れか一項に記載されるペン入力装置用ガラス基板,ディスプレイ素子,及びペン入力を検出する検出回路を備える,ことを特徴とするペン入力装置。【請求項5】前記ペン入力装置用ガラス基板の主面に接触しながら移動することにより,ペン入力装置に対するペン入力を行う入力ペンを備える,ことを特徴とする請求項4に記載のペン入力装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,特許請求の範囲の請求項1-6の記載は次のとおりである。(以下,それぞれ,「補正前の請求項1」-「補正前の請求項6」という。)
「 【請求項1】ペン入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置されるペン入力装置用ガラス基板であって,少なくとも一方の主面に凹凸を有し,前記凹凸を有する主面における,クルトシスRkuが5.5以上,かつ算術平均粗さRaが7.5nm以上かつ300nm以下である,続きを表示(全20行)ことを特徴とするペン入力装置用ガラス基板。【請求項2】前記凹凸を有する主面における,最大高さ粗さRzが180nm以上かつ500nm以下である,ことを特徴とする請求項1に記載のペン入力装置用ガラス基板。【請求項3】ヘイズが,可視光の波長域において10%未満である,ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペン入力装置用ガラス基板。【請求項4】前記凹凸を有する主面における,クルトシスRkuが12.0以下である,ことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載のペン入力装置用ガラス基板。【請求項5】請求項1~請求項4の何れか一項に記載されるペン入力装置用ガラス基板,ディスプレイ素子,及びペン入力を検出する検出回路を備える,ことを特徴とするペン入力装置。【請求項6】前記ペン入力装置用ガラス基板の主面に接触しながら移動することにより,ペン入力装置に対するペン入力を行う入力ペンを備える,ことを特徴とする請求項5に記載のペン入力装置。」
2 補正の目的
(1)本件補正は,補正前の請求項1の,クルトシスRkuの上限値及び算術平均粗さRaの上限値を,本願明細書段落0052-0055に記載された実施例の数値に限定する補正を行ったものであるから,特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする補正を含むものである。
そして,補正前の請求項1-6に記載された発明と補正後の請求項1-5に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることは明らかである。
3 独立特許要件
(1)以上のように,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。
そこで,補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。
本件補正発明は,上記1(1)に補正後の請求項1として記載したとおりのものである。
(2)引用文献1に記載されている技術的事項及び引用発明
ア 原査定の拒絶理由通知において引用された,特開2010-70445号公報(以下,「引用文献1」という。)には,以下の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同じ。)
「【0002】携帯電話,デジタルカメラ,PDA等のデバイスが広く使用されており,近年,これらのデバイスにタッチパネルを搭載させたタイプが普及している。【0003】タッチパネルには,タッチパネル内のディスプレイやセンサー部を保護するため,ガラスが用いられる。タッチパネル用ガラスは,一般的に,(1)機械的強度が高いこと,(2)ペンや指等で表面を押す際,撓み難いように高いヤング率を有すること,(3)安価で多量に供給できること等の特性が要求される。」
「【0005】上記の通り,静電容量式のタッチパネルは,二点以上のポイントを検知できるため,多彩な操作方法が実現可能である。しかし,従来の静電容量式のタッチパネルは,二点以上のポイントを指等で滑らせる場合,指等がガラス表面で引っ掛かりやすく,操作感が適正ではなく,また誤操作等の不具合が発生しやすかった。このような事情から,タッチパネルの操作性を向上させる技術は重要になってきている。【0006】また,タッチパネルの操作時には,ガラス表面が指やペン等で擦られることが多くなるため,ガラス表面に傷がつきやすく,機械的強度が低下しやすくなる。【0007】そこで,本発明は,ガラス表面を改良し,タッチパネルの操作性を向上させ,更にはガラスの機械的強度を高めることを技術的課題とする。」
「【発明の効果】【0022】本発明のタッチパネル用ガラスの製造方法によれば,粗面化工程により,ガラス表面に適正な摩擦係数を付与することができ,指等で二点以上のポイントを滑らせる場合,適正な操作感を得ることができる。また,本発明のタッチパネル用ガラスの製造方法において,更に,化学強化工程を含む場合,ガラスの機械的強度を高めることができ,ガラスの破損等を防止することができる。【発明を実施するための最良の形態】【0023】本発明のタッチパネル用ガラスの製造方法は,ガラス表面の全部または一部の表面粗さRaを3~50000Åにする粗面化工程を含む。表面粗さRaが3Åより小さいと,ガラス表面の摩擦係数が大きくなり過ぎて,指等が滑り難くなる。指等の滑りを考慮すると,表面粗さRaは50Å以上,100Å以上,500Å以上,1000Å以上,2000Å以上,5000Å以上,6000Å以上,7000Å以上,特に8000Å以上が好ましい。一方,表面粗さRaが50000Åより大きいと,指等でガラス表面を触れる際,ざらつき感が生じる。ざらつき感を考慮すると,表面粗さRaは40000Å以下,30000Å以下,20000Å以下,18000Å以下,特に16000Å以下が好ましい。」
「【0030】本発明のタッチパネル用ガラスの製造方法は,ガラス表面の全部または一部の表面粗さRkuを30以下にする粗面化工程を含むことが好ましい。本発明者等は,種々の検討を行った結果,ガラス表面の凹凸の大きさに加えて,凹凸の尖り度合も操作感に影響を与えることを見出した。表面粗さRkuが30より大きいと,ガラス表面を指等でなぞる際にざらつき感が生じやすくなり,また強度が低下しやすくなる場合がある。よって,表面粗さRkuは20以下,10以下,5以下,4以下,3.5以下,特に3.2以下が好ましい。一方,表面粗さRkuが小さくなり過ぎると,指が引っ掛かる感じが生じるため,表面粗さRkuは1以上,1.5以上,特に2以上が好ましい。」
イ ここで,引用文献1に記載されている事項を検討する。
(ア)上記段落0002-0003の記載を参照すると,引用文献1は「携帯電話,デジタルカメラ,PDA等のデバイス」に搭載される「タッチパネル内のディスプレイやセンサー部を保護するため」の「タッチパネル用ガラス」に関するものであると認められる。
(イ)上記段落0023を参照すると,引用文献1には,「ガラス表面の全部または一部の表面粗さRaを3~50000Åにする粗面化工程」が含まれるから,引用文献1の「タッチパネル用ガラス」は,「ガラス表面の全部または一部の表面粗さRa」が「3~50000Å」であると認められる。
(ウ)上記段落0025を参照すると,引用文献1は,「ガラス表面の全部または一部の表面粗さRkuを30以下にする粗面化工程」が含まれ,ここで,「一方,表面粗さRkuが小さくなり過ぎると,指が引っ掛かる感じが生じるため,表面粗さRkuは1以上,1.5以上,特に2以上が好ましい。」と記載されているから,引用文献1の「タッチパネル用ガラス」は,「ガラス表面の全部または一部の表面粗さRku」が「1以上30以下」であると認められる。
ウ 以上から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「携帯電話,デジタルカメラ,PDA等のデバイスに搭載されるタッチパネル内のディスプレイやセンサー部を保護するためのタッチパネル用ガラスであって,ガラス表面の全部または一部の表面粗さRaが3~50000Åであり,ガラス表面の全部または一部の表面粗さRkuが1以上30以下である,タッチパネル用ガラス。」
(3)引用文献2に記載されている技術的事項
ア 原査定の拒絶理由通知において引用された,特開2016-18333号公報(以下,「引用文献2」という。)には,以下の事項が記載されている。
「【背景技術】【0002】ペン入力装置は,入力ペンを用いて,紙上に文字および図形等を描写する感覚で入力操作を行うことができるという特徴を有し,各種製品に幅広く使用されている。【0003】このようなペン入力装置は,例えば液晶ディスプレイのようなディスプレイ装置の前面に,例えばカバーガラスやカバー樹脂のようなカバー部材を配置することにより構成される。このカバー部材に対して入力ペンを接触,移動させることにより,様々な入力操作を直感的に行うことができる。」
「【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0005】当然のことながら,従来のペン入力装置では,入力手段として入力ペンを使用することが想定されている。このため,カバー部材には,ユーザが入力ペンを使用した際に,適切な筆記感(「書き味」)が得られるような表面特性が求められ,そのような表面特性を有するカバー部材の開発が進められてきた。【0006】しかしながら,最近の入力装置には,入力手段として,入力ペンと指の両方を使用するものが製品化され始めている。特に,最近のタブレット型携帯電話(スマートフォン)およびタブレット型携帯情報端末などの装置においては,むしろ指による入力の方が,入力ペンによる入力よりも主流になってきている。【0007】しかしながら,これまでの入力装置用のカバー部材は,そのような入力ペンと指の両方による入力を十分に想定しているとは言い難く,このため,入力ペンによる筆記感(書き味)には優れても,指による操作感(指滑り性)が悪いという問題,あるいはその逆の問題が認められるようになってきている。【0008】本発明は,このような背景に鑑みなされたものであり,本発明では,入力ペンによる筆記感(書き味)に加えて,指による操作感(指滑り性)にも優れるペン入力装置用のカバーガラスを提供することを目的とする。また,本発明では,そのようなペン入力装置用のカバーガラスの製造方法を提供することを目的とする。」
「【0018】後に詳しく示すように,カバーガラスの表面にこのような突起を形成した場合,入力ペンを使用した際に,良好な筆記感(書き味)が得られるとともに,指による入力の際の操作感(指滑り性)を向上させることができる。【0019】従って,本発明では,入力ペンによる書き味に加えて,指滑り性に優れるカバーガラスを提供することができる。」
イ 以上から,引用文献2には,次の技術的事項(以下,「周知技術」という。)が記載されているものと認められる。
「例えば液晶ディスプレイのようなディスプレイ装置の前面に,例えばカバーガラスのようなカバー部材を配置することにより構成されるペン入力装置において,カバーガラスの表面に突起を形成し,入力ペンによる筆記感(書き味)に加えて,指による操作感(指滑り性)にも優れるカバーガラスを提供することができる,このカバー部材。」
(4)引用文献3に記載されている技術的事項
ア 原査定の拒絶理由通知において引用された,国際公開第2015/072297号(以下,「引用文献3」という。)には,以下の事項が記載されている。
「[0009] 本発明は,このような背景に鑑みなされたものであり,本発明では,筆記感(「書き味」)に優れるとともに,高精細なペン入力装置用のカバーガラスを提供することを目的とする。また,本発明では,そのようなペン入力装置用のカバーガラスの製造方法を提供することを目的とする。」
「[0023] 本発明の一実施例では,カバーガラスは,アンチグレア構造を有さないため,1%未満の低いヘイズ値を示す。すなわち,本発明の一実施例によるカバーガラスは,透明性が高いという特徴を有する。」
(5)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「タッチパネル用ガラス」は,「携帯電話,デジタルカメラ,PDA等のデバイスに搭載されるタッチパネル内のディスプレイやセンサー部を保護するため」のものであるから,本件補正発明の「ペン入力装置用ガラス基板」と,「入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置される入力装置用ガラス基板」である点で一致する。
(イ)引用発明における「ガラス表面」,「表面粗さRa」,「表面粗さRku」が,本件補正発明の「主面」,「算術平均粗さRa」,「クルトシスRku」に対応すると認められる。
ここで,引用発明の「ガラス表面」は,「表面粗さRaが3~50000Å」,「表面粗さRkuが1以上30以下」であるから,「凹凸を有する」とは明らかである。
イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。
<一致点>
「 入力装置におけるディスプレイ素子の前面側に配置される入力装置用ガラス基板であって,少なくとも一方の主面に凹凸を有する入力装置用ガラス基板。」
<相違点1>
「入力装置用ガラス基板」に関して,本件補正発明は,「ペン入力装置用ガラス基板」と特定されているのに対し,引用発明は,そのように特定されていない点。
<相違点2>
「入力装置用ガラス基板」における「主面」の「クルトシスRku」及び「算術平均粗さRa」の範囲に関して,本件補正発明は,「クルトシスRkuが5.5以上かつ12.0以下,かつ算術平均粗さRaが7.5nm以上かつ24.5nm以下」と特定されているのに対し,引用発明は,「表面粗さRkuが1以上30以下」,「表面粗さRaが3~50000Å」であり,Rku,Raの範囲が本件補正発明のRku,Raの範囲を含み広く特定されている点。
(6)当審の判断
ア 相違点1-2について
上記相違点1-2は,どちらも,「入力装置用ガラス基板」に関するものなので,まとめて検討する。
引用文献1の段落0003に「タッチパネル用ガラスは,一般的に,(1)機械的強度が高いこと,(2)ペンや指等で表面を押す際,撓み難いように高いヤング率を有すること,(3)安価で多量に供給できること等の特性が要求される。」,段落0006に「また,タッチパネルの操作時には,ガラス表面が指やペン等で擦られることが多くなるため,ガラス表面に傷がつきやすく,機械的強度が低下しやすくなる。」と記載されているように,引用文献1においても「入力装置用ガラス基板」が,指だけでなくペンも用いられる「入力装置」に用いられることが記載されている。
また,引用文献1の段落0023,0030には,タッチパネル用ガラスの表面粗さRaを3~50000Åの範囲,Rkuを1以上30以下の範囲で,好適な数値を選択する旨の技術思想が記載されていると認められる。
一方,引用文献2の段落0006に「しかしながら,最近の入力装置には,入力手段として,入力ペンと指の両方を使用するものが製品化され始めている。」と記載されているように,指だけでなくペンも用いられる「入力装置」は,本願出願時に一般的な技術事項であると認められる。
そして,このような「入力装置」に用いられる「カバー部材」(本件補正発明の「入力装置用ガラス基板」に対応する。)の表面に突起を設け(本件補正発明の「主面に凹凸を有し」に対応する。),「入力ペンによる筆記感(書き味)に加えて,指による操作感(指滑り性)にも優れる」ものとすることは,周知技術であった。
すると,引用発明において周知技術を採用し,「入力装置用ガラス基板」を「ペン入力装置用ガラス基板」となし,その「主面」の「クルトシスRku」及び「算術平均粗さRa」の範囲を,引用発明の「表面粗さRaが3~50000Å」及び「表面粗さRkuが1以上30以下」の範囲内において選択し,入力ペンによる筆記感も優れたものとなるように,入力ペンによる筆記感及び指による操作感の双方に最適化することにより,クルトシスRkuが5.5以上かつ12.0以下,かつ算術平均粗さRaが7.5nm以上かつ24.5nm以下,すなわち,本件補正発明の相違点1,2に係る構成とすることは,当業者が容易になし得たものである。
(7)小括
上記で検討したごとく,相違点1-2に係る構成は当業者が容易に想到し得たものであり,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本件補正発明は,上記引用発明及び当該技術分野の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 補正却下の決定のむすび
以上から,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和 2年10月27日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,本件補正前の特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,上記「第2」の「1(2)」に,補正前の請求項1として記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,以下のとおりである。
理由2 この出願の請求項1-6に係る発明は,下記の引用文献1-3に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2010-70445号公報
引用文献2 特開2016-18333号公報
引用文献3 国際公開第2015/072297号
3 引用例に記載されている技術的事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1-3は,前記「第2」の「3(2)」-「3(4)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は,前記「第2」の「3」で検討した本件補正発明に関する限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含む本件補正発明が,上記「第2」の「3」に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,上記限定事項を省いた本願発明も同様の理由により,引用発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-014921