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意匠拒絶査定不服審判

2020-011132

仮想物体配置機能付き電子計算機

審判番号
2020-011132
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2018-026414外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年08月11日
審決日
2021年01月20日
公報発行日
2021年03月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .121-WY (H7-7)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第2項、意匠法第2条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2018- 26414「仮想物体配置機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 8項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、2018年6月4日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、平成30年(2018年)12月4日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。

令和1年 6月12日付け  拒絶理由の通知

令和1年10月17日    意見書の提出

令和2年 5月 7日付け  拒絶査定

令和2年 8月11日    拒絶査定不服審判の請求

第2 本願意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「仮想物体配置機能付き電子計算機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由

原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願意匠は、表示部上部に3つのボタン部を設け、表示部中央に表示される対象物の影を下方に表し、仮想物体を実空間に仮想的に配置する機能のための画像としたものですが、物品の操作の用に用いる画像においては、表示部上部に、角丸矩形のボタンを左右両端に設け、その間に左右で明度の異なる角丸横長長方形のボタンを設けたものは、本願出願前から公然知られています(画像1)。なお、各ボタンの角の丸みを調整することは、極めて一般的な手法であり、本願意匠のボタン部の丸みに格段の創意は認められません。
また、表示部上部の左端に設けられた角丸矩形のボタンに表された「×」アイコン図形は、例を挙げるまでもなく極めて一般的に知られたアイコン図形であり、右端のボタンに表された、正方形に上方向の矢印を組み合わせたアイコン図形も、本願出願前から公然知られており(画像2)、ボタンに様々なアイコン図形を表すことは極めて一般的に行われている手法であることから、アイコン図形を置き換えることは当業者であれば容易です。
さらに、表示部中央に表示される対象物の影を下方に表す手法を用いた画像も、本願出願前より公然知られています(画像3)。
そうすると、本願意匠は、いずれも本願出願前から公然知られた形態を、ほぼ同じ配置態様で単純に組み合わせて、「仮想物体配置機能付き電子計算機」の画像としたまでに過ぎませんので、当業者であれば容易に創作をすることができたものと認められます。
続きを表示(全33行)
(中略)
画像1
電気通信回線の種類  インターネット
掲載確認日(公知日) 2015年 3月 8日
受入日        特許庁意匠課受入2015年 5月21日
掲載者        Hubapps.com LLC
表題         iTunes の App Store で配信中
の iPhone、iPod touch、iPa
d 用 Night Map
掲載ページのアドレス https://itunes.apple.com/jp/app/night-map/id51
5739421?mt=8
に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの計測機能」の画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26292067号)
画像2
電気通信回線の種類  インターネット
掲載確認日(公知日) 2015年 3月 8日
受入日        特許庁意匠課受入2015年 5月21日
掲載者        Mega Limited
表題         iTunes の App Store で配信中
の iPhone、iPod touch、iPa
d 用 ・MEGA・
掲載ページのアドレス https://itunes.apple.com/jp/app/mega/id7068578
85?mt=8
に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのファイル管理機能」の画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26291976号)
画像3
米国特許商標公報 2016年 4月12日
携帯情報端末機(登録番号US D753675S)に表された画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HH28308264号)」

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定

当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は、「仮想物体配置機能付き電子計算機」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。

「正面図及び正面図の表示部拡大図に表された画像は、仮想物体を実空間に仮想的に配置する機能のための画像である。画像は、表示部内に表示された実空間に仮想物体が配置された状態を示すとともに、仮想物体を操作して動かすことにより、仮想物体を実空間に仮想的に配置することができる状態を示す。」

また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。

「破線で表された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線であり、一点鎖線で囲まれた部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」

これらの願書の記載によれば、本願物品である仮想物体配置機能付き電子計算機に設けられた表示部に、仮想物体を操作するための画像が表示される。

(2)本願物品の表示部に表された画像

本願物品には仮想物体を実空間に仮想的に配置する機能があると認められ、本願物品の表示部(物理的画面)には、その機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像(平成18年改正意匠法第2条第2項で規定された操作画像)が表されている(以下、表示部に表示される画像を「本願画像」という。)。

本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本願画像における一点鎖線で囲まれた部分であって、破線で表された部分以外の部分(以下「本願画像部分」という。)である。

(3)本願画像部分の用途及び機能

前記(1)で摘記した願書の記載によれば、本願画像部分は、実空間を表示するとともに、仮想物体が実空間に配置されている状態を示す用途を有しており、その仮想物体を動かすことができる機能を有していると認められる。

(4)本願画像部分の位置、大きさ及び範囲

本願画像部分の位置は、略板状の本願意匠の正面の中央に表された縦長長方形の本願画像のうち、四方の縁部を僅かに除いた一点鎖線で囲われた部分であるから、本願意匠の正面中央に位置しており、一点鎖線で囲われた部分の大きさ及び範囲は、本願意匠の縦幅の約3/4、横幅の約1:1.3を占めている。

(5)本願画像部分の形態

ア 全体の形態

本願画像部分は、外周が縦長長方形状(縦横比が約2:1)であり、その内側に、上端寄りに3つのボタン部が左右対称状に水平に並べられ、中央部から下端寄りにかけては淡い暗調子部(以下「中央暗調子部」という。)が配されて、その中にある蓄音機部分(本願部分意匠を構成しない部分)の左下周辺に濃い暗調子(以下「左下暗調子部」という。)が配されている。

イ ボタン部の形態

左側のボタン部は、略角丸横長長方形状(縦横比が約3:4)であって、淡い暗調子の地の中に濃い暗調子で「×」が表されている。中央のボタン部は、略角丸横長長方形状(縦横比が約1:4)であって、左右に分割された選択式のボタン(トグルボタン)であり、左半分が明調子に、右半分が淡い暗調子に表されている。右側のボタン部は、左側ボタン部と同形同大の淡い暗調子の地の中に、上部が┌↑┐様である矩形枠線(上方から矢印が出る矩形枠線)が濃い暗調子で表されている。

ウ 中央暗調子部の態様

中央暗調子部は、全体の濃さが均一に表されている。

エ 左下暗調子部の態様

左下暗調子部は、蓄音機部分の近傍が濃く表されており、同部分から離れるにつれて、すなわち、左下方向にいくにつれて次第に薄くなっている。左下暗調子部は、蓄音機部分に遮られている。

2 画像1ないし画像3の認定

原査定における拒絶の理由で引用された画像1ないし画像3について、以下のとおり認定する。なお、画像1ないし画像3の出典や公知日などについては、前記第3に記載したとおりである。

(1)画像1(別紙第2参照)

ア 画像1の用途及び機能

画像1は、スマートフォン用ソフトウェアの計測機能に係る画像であり、地図を表示する画像であると認められる。画像内の上端寄り中央にトグルボタンがあり、「Map」と「NightMap(夜間用地図)」を切り替える用途及び機能があると推認される。

イ 画像1の形態

(ア)全体の形態

画像1は、外周が縦長長方形状(縦横比が約1.8:1)であり、その内側に、上端寄りに3つのボタン部が左右対称状に水平に並べられている。

(イ)ボタン部の形態

左側のボタン部は、略横長長方形状(縦横比が約3:4)であって、上が明灰色で下が暗灰色である地の中に白抜きの円形状が表され、その中に黒色で太い「×」が表されている。中央のボタン部は、略横長長方形状(縦横比が約1:6)であって、左半分が左側ボタン部の地と同様に表され、右半分がほぼ黒色に表されている。右側のボタン部は、左側ボタン部と同形同大同様の地の中に、歯車様の白色模様が表されている。

(2)画像2(別紙第3参照)

ア 画像2の用途及び機能

画像2は、スマートフォン用ソフトウェアのファイル管理機能に係る画像であり、画像内のほぼ中央に「very_secure_file.js」の表示があり、その直下に「Saved locally」の表示とON/OFFボタンがあるので、ファイル保存などの用途及び機能があると推認される。

イ 画像2の形態

(ア)全体の形態

画像1は、外周が縦長長方形状(縦横比が約1.8:1)であり、その内側に、上端寄りに赤色の帯状部があり、その帯状部内の左右にボタン部が配されている。

(イ)ボタン部の形態

左側のボタン部は「<」様の白色模様であり、右側のボタン部は、右上1/4部が右上方向の矢印である矩形枠線が白色で表されている。

(3)画像3(別紙第4参照)

ア 画像3の用途及び機能

画像3は、「MULTIMEDIA TERMINAL WITH GRAPHICAL USER INTERFACE」であり、一般にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)では入出力(機器とユーザーとのインタラクション)が行われるから、画像3はその入出力を行うための画像である。

イ 画像3の形態

(ア)全体の形態

画像3は、外周が縦長長方形状(縦横比が約1.8:1)であり、その内側の中央上に略倒扁平コ字状の破線が描かれ、その下端が最も濃い暗調子で横筋状に表されて(以下「横筋状部」という。)、横筋状部を囲うように濃い暗調子部が略レンズ状に表されている(以下「レンズ状暗調子部」という。)。レンズ状暗調子部の周囲に淡い暗調子部が配されて、更にその上下には濃い暗調子部(以下「上側暗調子部」「下側暗調子部」という。)が配されて、淡い暗調子部との境界がおぼろな弧状に表されている。

(イ)レンズ状暗調子部の態様

レンズ状暗調子部は、全体の濃さが均一に表されている。レンズ状暗調子部は、略倒扁平コ字状の破線と横筋状部で囲われた領域に被っている。すなわち、レンズ状暗調子部は、同領域に遮られていない。

(ウ)上側暗調子部と下側暗調子部の態様

上側暗調子部は画像全体の上端にいくにつれて次第に濃くなっており、下側暗調子部は画像全体の下端にいくにつれて次第に濃くなっている。

3 本願意匠の創作非容易性について

本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。

まず、本願物品が仮想物体配置機能付き電子計算機であって、仮想物体を操作するための画像であるところ、仮想物体を画面上で操作することは例を挙げるまでもなく本願の出願前に広く知られているから、本願画像部分の用途及び機能として、仮想物体を実空間に配置したり動かしたりする用途及び機能が認められる点については、特段の創作性を認めることはできない。

また、本願画像部分が本願意匠の正面中央に位置しており、一点鎖線で囲われた部分の大きさ及び範囲が本願意匠の縦幅の約3/4を占めている点についても、略板状の電子計算機の正面中央に縦長長方形の画像を表示することはありふれており、その画像内の大きさ及び範囲を本願意匠の縦幅の約3/4、横幅の約1:1.3になるように選択したにすぎないから、本願画像部分の位置、大きさ及び範囲についても、特段の創作性を認めることはできない。

しかしながら、本願画像部分の形態については、画像1ないし画像3の形態から導き出されるということはできない。具体的には、本願画像部分では、濃さが均一で淡い中央暗調子部が中央部から下端寄りにかけて配されて、濃い左下暗調子部が蓄音機部分の左下方向に配されて蓄音機部分に遮られているところ、このような形態は画像1ないし画像3の形態においては表されていない。

そして、本願画像部分のボタン部の形態では、左側のボタン部が淡い暗調子の地の中に濃い暗調子で「×」が表されており、右側のボタン部が左側ボタン部と同形同大の淡い暗調子の地の中に、上部が┌↑┐様である矩形枠線が濃い暗調子で表されているところ、このような形態が、画像1ないし画像3の形態に基づいて容易に創作されたということはできない。

したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-011132

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