審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2020-008129

アクセスポイント装置、アクセス制御方法及びプログラム

審判番号
2020-008129
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-168804外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年06月11日
審決日
2021年04月14日
公報発行日
2021年06月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-168804「アクセスポイント装置、アクセス制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月22日出願公開、特開2019- 47344、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)9月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 元年 8月26日付け 拒絶理由通知書 令和 元年10月24日   手続補正書、意見書の提出 令和 2年 3月 9日付け 拒絶査定 令和 2年 6月11日   拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出 令和 2年12月17日付け 拒絶理由通知書(当審) 令和 3年 2月19日   手続補正書、意見書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年3月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1ないし4、9ないし10 ・引用文献等 1 ・請求項 5ないし8 ・引用文献等 1ないし5 <引用文献等一覧> 1.特開2004-72327号公報 2.特開2005-117488号公報(周知技術を示す文献) 3.特開2005-51314号公報(周知技術を示す文献) 4.特開2012-182679号公報(周知技術を示す文献) 5.特開2004-272792号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ア ・請求項 1ないし6 請求項1には、「前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量であり」との記載があり、当該記載においてパラメータであるデータ量は、無線端末が他の装置と送受信したものであるから増加していくものであって、減少するものではないと解される。 一方で、請求項1には、「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上又は閾値以下となった場合に、」との記載があり、当該記載においてパラメータが予め定められた閾値以下となった場合とは、パラメータが減少して閾値以下となる場合を指すものと解されるところ、先の記載によれば、パラメータであるデータ量は増加していくものであるから、当該記載は、先の記載と整合せず、請求項1の記載は不明確である。 請求項1を引用する請求項2ないし6についても同様である。 よって、請求項1ないし6に係る発明は明確でない。 イ ・請求項 1ないし6 請求項1に「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」と記載されているが、請求項1には、「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上又は閾値以下となった場合に、前記判定条件を満たしたとして、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記フィルタリング手段は、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行い」とも記載されており、請求項1において、「フィルタリング手段」は、第1のリストにフィルタリング対象外端末として登録された無線端末に関するデータ量が予め定められた閾値以上となった場合に、無線端末の無線通信手段への接続を拒否するように制御を行うのか、それとも、無線端末を、無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として第2のリストに登録し、無線端末の情報を第1のリストから削除し、第2のリストに拒否端末として登録された無線端末の無線通信手段への接続を拒否するように制御を行うのか、どちらの制御を行うのか不明確である。 また、請求項3の「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記接続回数が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」との記載、請求項4の「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記経過時間が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」との記載についても同様である。 請求項1を引用する請求項2ないし6、請求項3、4を引用する請求項5、6についても同様である。 よって、請求項1ないし6に係る発明は明確でない。 ウ ・請求項 1ないし8 請求項1に「前記フィルタリング手段は、前記フィルタリングの対象外である前記無線端末が前記無線通信手段と接続した場合に当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し」と記載されており、フィルタリングの対象外である無線端末には、第1、第2のリストに登録されていない無線端末と、第1リストに既に登録されている無線端末が存在し,第1、第2のリストに登録されていない無線端末について、第1のリストに登録する技術的意味は理解できるが,第1のリストに既に登録されている無線端末について、新たに登録してしまうと、2回目以降に接続した際の当該無線端末に関するデータ量の更新が行われないことになるため、そういった第1のリストに既に登録されている無線端末についてまで第1のリストに登録する技術的意味が理解できない。 請求項1を引用する請求項2ないし6についても同様である。 請求項7、8についても同様である。 よって、請求項1ないし8に係る発明は明確でない。 エ ・請求項 3ないし6 請求項3に「前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記無線通信手段に接続した接続回数であり」と記載されているが、請求項3が引用する請求項1には、「前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量であり」と記載されているから、請求項3の記載は引用する請求項1の記載と整合しない。 請求項4の「前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記無線通信手段に接続してから経過した経過時間であり」との記載についても同様である、 請求項3、4を引用する請求項5、6についても同様である。 よって、請求項3ないし6に係る発明は明確でない。 第4 本願発明について 本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和3年2月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「  【請求項1】 アクセスポイント装置であって、 無線端末と接続処理を行って無線通信を行う無線通信手段と、 前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するか拒否するかのフィルタリングを行うフィルタリング手段と、 前記無線通信手段に前記無線端末が接続することを拒否するか否かの判定条件であって値が変化するほど不正の度合が増加する状態を示す少なくとも1つのパラメータに関する判定条件を格納する条件格納手段と、 前記フィルタリング手段によるフィルタリングの対象外である前記無線端末を示す第1のリストを格納する第1リスト格納手段と、 前記無線通信手段との接続が拒否される前記無線端末及び前記無線通信手段との接続が許可される前記無線端末を示す第2のリストを格納する第2リスト格納手段と を有し、 前記フィルタリング手段は、前記フィルタリングの対象外である前記無線端末が前記無線通信手段と接続した場合、接続した前記無線端末が前記第1のリストに登録されていない場合は、当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し、前記第1のリストに登録されている場合は、前記第1のリストの当該無線端末に関する情報を更新し、 前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、前記判定条件を満たしたとして、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、 前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量であり、 前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が許可される許可端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するように制御を行い、 前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う アクセスポイント装置。 【請求項2】 前記第1リスト格納手段は、前記フィルタリング対象外端末と当該フィルタリング対象外端末の前記判定条件に関する状態とを対応付けて、前記第1のリストを格納し、 前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末の状態が変化したときに、前記第1のリストの前記判定条件に関する状態を更新する 請求項1に記載のアクセスポイント装置。 【請求項3】 前記判定条件を更新する更新手段 をさらに有する請求項1又は2に記載のアクセスポイント装置。 【請求項4】 前記更新手段は、前記アクセスポイント装置と通信可能に接続されたユーザ端末における操作に応じて、前記判定条件を更新する 請求項3に記載のアクセスポイント装置。 【請求項5】 無線端末とアクセスポイント装置との接続処理を行って無線通信を行い、 前記無線端末の接続を許可するか拒否するかのフィルタリングの対象外である前記無線端末が前記アクセスポイント装置に接続した場合、接続した前記無線端末が第1のリストに登録されていない場合は、当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し、前記第1のリストに登録されている場合は、前記第1のリストの当該無線端末に関する情報を更新し、 前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が許可される許可端末として第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を許可するように制御を行い、 前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、 前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を拒否するように制御を行う アクセス制御方法。 【請求項6】 無線端末とアクセスポイント装置との接続処理を行って無線通信を行う機能と、 前記無線端末の接続を許可するか拒否するかのフィルタリングの対象外である前記無線端末が前記アクセスポイント装置に接続した場合、接続した前記無線端末が第1のリストに登録されていない場合は、当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し、前記第1のリストに登録されている場合は、前記第1のリストの当該無線端末に関する情報を更新する機能と、 前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が許可される許可端末として第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を許可するように制御を行う機能と、 前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として、前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除する機能と、 前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を拒否するように制御を行う機能と をコンピュータに実現させるためのプログラム。」 第5 引用例の記載事項及び引用発明 1.引用例1について 原査定の拒絶理由で引用された特開2004-72327号公報(以下、「引用例1」という)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) (1)「【0005】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。図1~図5は、本発明の第1の実施例の説明図である。本実施例は、無線通信処理システムとして、宅内で家電機器が無線ホームネットワークを構築し、宅外の不正機器が該無線ホームネットワークに侵入しようとする場合の例である。図1は、家電機器を無線ネットワークでつないで成る無線通信処理システムの構成例図、図2は、無線通信処理装置の構成例図、図3は無線通信処理装置内の記憶手段が記憶する情報の例を示す図、図4は、宅内で無線接続を行う場合の手順例を示すフロー図、図5は、認証に複数回失敗した宅外機器に対し、接続を拒否する場合の手順例を示すフロー図である。図1において、10は、宅内の家電機器を無線ネットワークで結ぶアクセスポイント、11は、宅内の無線ネットワークを介して宅内の家電機器を制御するホームコントローラ、12は宅内の家電機器としてのエアコン、13は同じく電子レンジ、15aは、アクセスポイント10に設けられた無線通信処理装置、15bは、ホームコントローラ11に設けられた無線通信処理装置、15cは、エアコン12に設けられた無線通信処理装置、15dは、電子レンジ13に設けられた無線通信処理装置である。アクセスポイント10、ホームコントローラ11、エアコン12及び電子レンジ13は、それぞれに設けられた無線通信処理装置15a、15b、15c、15dにより無線ネットワークで結ばれている。つまり、ホームコントローラ11とエアコン12と電子レンジ13は、アクセスポイント10を介して無線ネットワークでつながっており、ホームコントローラ11の操作によってエアコン12と電子レンジ13が制御される。本実施例では、ホームコントローラ11、エアコン12及び電子レンジ13が宅内機器を構成している。14は、宅内の無線ネットワークに不正に侵入しようとする宅外機器、15eは宅外機器14に設けられた無線通信処理装置である。 【0006】 図2は無線通信処理装置15a~15eの内部構成例を示す図である。図2において、200は、外部機器と無線で通信する無線通信手段としての無線通信部、201は無線通信部200を識別するための固有ID、202は記憶手段としての記憶部で、接続要求する固有IDと、外部機器と認証を行うときのパスキーと、無線通信処理装置に接続を試みた機器の認証情報とを記憶する。203は、無線通信部200と記憶部202とを制御し、記憶する情報の制御と記憶した情報へのアクセスの制御とを行う制御手段としての制御部である。なお、以下の説明では、無線通信部200については、200aはアクセスポイント10の無線通信処理装置15aの無線通信部、200bはホームコントローラ11の無線通信処理装置15bの無線通信部、200cはエアコン12の無線通信処理装置15cの無線通信部、200dは電子レンジ13の無線通信処理装置15dの無線通信部、200eは無線通信処理装置15eの無線通信部をそれぞれ示し、固有ID201については、201aは無線通信処理装置15aの固有ID、201bは無線通信処理装置15bの固有ID、201cは無線通信処理装置15cの固有ID、201dは無線通信処理装置15dの固有ID、201eは無線通信処理装置15eの固有IDを示し、記憶部202については、202aは無線通信処理装置15aの記憶部、202bは無線通信処理装置15bの記憶部、202cは無線通信処理装置15cの記憶部、202dは無線通信処理装置15dの記憶部、202eは無線通信処理装置15eの記憶部を示し、制御部203については、203aは無線通信処理装置15aの制御部、203bは無線通信処理装置15bの制御部、203cは無線通信処理装置15cの制御部、203dは無線通信処理装置15dの制御部、203eは無線通信処理装置15eの制御部を示す。 【0007】 図3は、アクセスポイント10の無線通信処理装置15a内の記憶部202aが記憶する情報例を示す図である。該記憶部202aでは、認証情報として、無線通信処理装置15aに接続を試みた機器、例えば宅外機器14の無線通信処理装置15eの固有ID201eに対して、パスキー31aを用いた認証の済/未済、認証失敗回数、接続を許可する情報かまたは拒否する情報を記憶する。なお、本実施例では、認証を5回失敗した機器に対しては接続拒否を行う。例えば、固有IDの値が「0-0-0-5」のときは、認証を5回失敗しているため、接続拒否が「YES」つまり「接続を拒否する」となる。次に、接続要求する固有IDとして、アクセスポイント10が接続要求する相手の固有IDを記憶する。ここでは、固有ID201b「0-0-0-1」と、固有ID201c「0-0-0-2」を記憶している。なお、記憶部202b、記憶部202c、記憶部202dには、接続要求する固有IDとしてアクセスポイント10の固有ID201aを記憶しているものとする。無線通信を開始するために、接続相手と認証を行う際に用いられるパスキー31aも記憶する。 【0008】 図4は、宅内の無線ネットワークで無線接続を行う場合の手順の説明図であって、一例として、アクセスポイント10とエアコン12との間で無線接続を行う場合の手順例を示すフロー図である。アクセスポイント10とエアコン12はお互い同じパスキーを交換することで認証を行い、信頼関係にある接続を実現する。図4において、(1)まず、ユーザによりエアコン12が操作されると、無線通信処理装置15cの制御部203cは、記憶部202cが記憶したアクセスポイント10の固有ID201aへ接続要求情報420を送信する(ステップST400)。該接続要求情報420は、送信元が送信先に対して接続要求していることを示す情報である。(2)次に、上記接続要求情報420を受信した無線通信処理装置15aの制御部203aは、エアコン12に対して接続許可/接続拒否の返信を行う(ステップST401)。制御部203aが、接続を許可することを示す接続許可情報421を返信した場合は、無線通信処理装置15aと無線通信処理装置15cの間で認証が行われ、一方、エアコン12から受信した接続要求情報410に対し、制御部203aが、接続を拒否することを示す接続拒否情報422を返信すると、接続は失敗する(ステップST406)。ただし、いつでも宅内の新しい機器とも接続できるようにするため、認証が5回失敗し、接続拒否をすると記憶部202aが記憶した固有ID201以外の機器から接続要求情報420を受信した場合、無線通信処理装置15aの制御部203aは、接続許可情報421を返信するものとする。(3)制御部203aが、接続を許可することを示す接続許可情報421を返信し、無線通信処理装置15aと無線通信処理装置15cの間で認証が行われると、エアコン12の制御部203cは、記憶部202cが記憶するパスキー31cを取り出す(ステップST402)。(4)次に、アクセスポイント10の無線通信処理装置15aでは、制御部203aが、記憶部202aの記憶するパスキー31aを取り出し(ステップST403)、パスキー31cと31aを交換する(ステップST404)。(5)無線通信処理装置15aの無線通信部200aと、無線通信処理装置15cの無線通信部200cにおいて、パスキー31cとパスキー31aが一致するか否かが判定される(ステップST405)。(6)パスキー31cとパスキー31aが一致すると判定された場合は、認証が正しく行われたとして、接続が成功し(ステップST407)、(7)アクセスポイント10の無線通信処理装置15aの制御部203aは、記憶部202aに、エアコン12の無線通信処理装置の固有ID201cに対して認証が成功したことを登録する(ステップST408)。(8)一方、上記(5)のステップST405において、パスキー31cとパスキー31aが一致しないと判定された場合は、認証が失敗したとして接続は切断される(ステップST409)。認証が失敗した場合、不正な接続を試みようとしたということで、アクセスポイント10の制御部203aは記憶部202aに、固有ID201cに対して認証失敗の回数を1回増やすようにする(ステップST410)。なお、エアコン12の無線通信処理装置15cの記憶部202cが記憶するアクセスポイント10の固有ID201aとパスキー31c、アクセスポイント10の無線通信処理装置15aの記憶部202aが記憶するパスキー31aの設定については、ホームコントローラ11が別のインタフェースを介して設定するなどの方法が考えられる。また、エアコン12がアクセスポイント10へ接続要求を、ユーザ操作によって行うとしたが、エアコン12の電源が入れられる時や、パスキー31cの設定直後などに他の方法で接続要求を行うようにしてもよい。さらに、上記構成ではパスキー31cとパスキー31aを交換することによって認証を行うようにしているが、認証方法もこれに限定されない。ホームコントローラ11や電子レンジ13が、アクセスポイント10と接続する場合も、上記と同様にされるものとする。 【0009】 図5は、宅内の無線ネットワークにおいて、宅外機器からの不正なアクセスを防止するために、認証に複数回失敗した宅外機器に対し、接続を拒否する場合の手順例を示すフロー図である。本例では、認証を5回失敗した機器に対して、アクセスポイント10を含め、宅内機器が接続を許可しないようにする。図5において、(1)まず、宅外機器14の無線通信部200eがアクセスポイント10に対して接続要求情報420を送信する(ステップST500)。(2)次に、接続要求情報420を受信したアクセスポイント10の無線通信処理装置15aの制御部203aは、記憶部202aが宅外機器14の無線通信処理装置15eの固有ID201eに対して認証拒否を行うと記憶していないため、接続許可情報421を返信し(ステップST501)、認証処理を行う(ステップST502)。しかし、宅外機器14は記憶部202aが記憶するパスキー31aを認知していないため、宅外機器14のパスキー31eとパスキー31aが一致せずに認証に失敗する。(3)上記認証に失敗すると、制御部203aは、記憶部202aに固有ID201eについて1回認証が失敗したことを記憶させる(ステップST503)。(4)同様に、接続要求(ステップST504)と接続許可(ステップST505)、認証失敗(ステップST506)を繰り返し、アクセスポイント10の無線通信処理装置15aと宅外機器14の無線通信処理装置15eとの間で認証に5回失敗する(ステップST507)と、(5)無線通信処理装置15aの記憶部202aは、接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置15eの固有ID201eを記憶し、無線通信処理装置15aの制御部203aは、無線ネットワークでつながった宅内機器の無線通信処理装置、すなわちホームコントローラ11の無線通信処理装置15b、エアコン12の無線通信処理装置15c及び電子レンジ13の無線通信処理装置15dに対して、無線通信処理装置15eの固有ID201eを示す不正機器固有ID520を送信する(ステップST508)。不正機器固有ID520は、認証を5回失敗した固有IDを示す。(6)宅内機器が不正機器固有ID520を受信すると、接続拒否する機器として不正機器固有ID520が示す固有ID201eを、宅内機器のホームコントローラ11、エアコン12及び電子レンジ13の各無線通信処理装置の記憶部202b~202dに記憶する。(7)各宅内機器は、宅内機器の記憶部202b~202dが記憶する、接続拒否の固有ID201eからの接続要求に対して接続を拒否するようになる。これにより、宅外機器14がアクセスポイント10に接続要求情報420を送信したとき(ステップST509)、アクセスポイント10は接続拒否情報422返信する(ステップST510)。また、宅外機器14が宅内機器(例えばホームコントローラ11)に接続要求情報420を送信しても(ステップST511)、ホームコントローラ11は接続拒否情報422返信する(ステップST512)。なお、ここでは宅外機器14はアクセスポイント10に対して接続を試みたが、エアコン12など、他の機器に接続を試みた場合においても同様である。 【0010】 上記第1の実施例によれば、認証に失敗した宅外機器14の固有ID201eを、ネットワーク内の機器に通知することで、不正アクセスされた機器だけでなく、ネットワーク内の全ての機器が、不正なアクセスを行った宅外機器14の固有ID201eを共通的に認識することができる。このため、クラッカーや不正機器からの不正なアクセスに対し、ネットワーク全体のセキュリティを高めることができる。」 (2) 「【図3】 」 引用例1の上記記載、及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記(1)の段落【0005】の「図1において、10は、宅内の家電機器を無線ネットワークで結ぶアクセスポイント、・・・15aは、アクセスポイント10に設けられた無線通信処理装置、・・・である。」との記載によれば、アクセスポイントには、無線通信処理装置15aが設けられている。 また、上記(1)の段落【0005】の「15bは、ホームコントローラ11に設けられた無線通信処理装置、15cは、エアコン12に設けられた無線通信処理装置、15dは、電子レンジ13に設けられた無線通信処理装置である。」及び「本実施例では、ホームコントローラ11、エアコン12及び電子レンジ13が宅内機器を構成している。14は、宅内の無線ネットワークに不正に侵入しようとする宅外機器、15eは宅外機器14に設けられた無線通信処理装置である。」との記載によれば、宅外機器や宅内機器にも無線通信処理装置が設けられている。 イ 上記(1)の段落【0006】の「図2は無線通信処理装置15a~15eの内部構成例を示す図である。図2において、200は、外部機器と無線で通信する無線通信手段としての無線通信部、・・・202は記憶手段としての記憶部で、・・・203は、・・・制御手段としての制御部である。」との記載によれば、無線通信処理装置15aは、外部機器と無線で通信する無線通信部と、記憶部と、制御部とを有する。 ウ 上記(1)の段落【0008】の「まず、ユーザによりエアコン12が操作されると、無線通信処理装置15cの制御部203cは、記憶部202cが記憶したアクセスポイント10の固有ID201aへ接続要求情報420を送信する(ステップST400)。・・・次に、上記接続要求情報420を受信した無線通信処理装置15aの制御部203aは、エアコン12に対して接続許可/接続拒否の返信を行う(ステップST401)。制御部203aが、接続を許可することを示す接続許可情報421を返信した場合は、無線通信処理装置15aと無線通信処理装置15cの間で認証が行われ、一方、エアコン12から受信した接続要求情報410に対し、制御部203aが、接続を拒否することを示す接続拒否情報422を返信すると、接続は失敗する(ステップST406)。」との記載によれば、無線通信処理装置15aの制御部は、無線通信処理装置に対し接続を許可するか拒否する。 エ 上記(1)の段落【0007】の「図3は、アクセスポイント10の無線通信処理装置15a内の記憶部202aが記憶する情報例を示す図である。該記憶部202aでは、認証情報として、無線通信処理装置15aに接続を試みた機器、例えば宅外機器14の無線通信処理装置15eの固有ID201eに対して、・・・接続を許可する情報かまたは拒否する情報を記憶する。」との記載によれば、無線通信処理装置の記憶部は、無線通信処理装置15aに接続を試みた無線通信処理装置の固有IDに対して、接続を許可する情報か又は拒否する情報を記憶する。また、上記(2)の【図3】によれば、無線通信処理装置の固有IDはリストで示されている。そうすると、引用例1の記憶部は、接続を許可するか又は拒否するかを示す無線通信処理装置の固有IDをリストとして記憶しているといえる。 オ 上記(1)の段落【0009】の「接続要求(ステップST504)と接続許可(ステップST505)、認証失敗(ステップST506)を繰り返し、アクセスポイント10の無線通信処理装置15aと宅外機器14の無線通信処理装置15eとの間で認証に5回失敗する(ステップST507)と、(5)無線通信処理装置15aの記憶部202aは、接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置15eの固有ID201eを記憶し」との記載によれば、制御部は、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶する。そして、上記(1)の段落【0007】の「本実施例では、認証を5回失敗した機器に対しては接続拒否を行う。」及び段落【0009】の「本例では、認証を5回失敗した機器に対して、アクセスポイント10を含め、宅内機器が接続を許可しないようにする。」との記載を合わせると、制御部は、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶し、接続を拒否するとして記憶された無線通信処理装置との接続を拒否することは明らかである。 以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「無線通信処理装置15aが設けられたアクセスポイントであって、前記無線通信処理装置15aは、外部機器と無線で通信する無線通信部と、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に対し接続を許可するか拒否する制御部と、接続を許可するか又は拒否するかを示す無線通信処理装置の固有IDをリストとして記憶する記憶部と、を有し、制御部は、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶し、接続を拒否するとして記憶された無線通信処理装置との接続を拒否するアクセスポイント。」 2.引用例2について 原査定の拒絶理由で引用された特開2005-117488号公報(以下、「引用例2」という)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0039】 また、アクセスポイント1の制御部3は、クライアント2と最初にコネクションを確立したときから測定を開始している通信接続時間が1時間以内であるか否かをチェックし(ステップs8)、サービス提供時間の1時間が過ぎた場合は(ステップs8がNo)、クライアント2との通信を切断する。」 上記記載によれば、引用例2には、「アクセスポイントの制御部は、クライアントと最初にコネクションを確立したときから測定を開始している通信接続時間が、サービス提供時間を過ぎた場合、クライアントの通信を切断する」という技術的事項が記載されていると認められる。 3.引用例3について 原査定の拒絶理由で引用された特開2005-51314号公報(以下、「引用例3」という)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0030】 次に、動作を説明する。図4は、無線LANシステム1の動作を示すフローチャートである。図4において、まず、クライアントとなるPC10の利用者が、PC10をアクセスポイント20のクライアントI/F21に接続し、設定部22によって、接続可能時間および各種通信パラメータの設定を行う(ステップS1)。 【0031】 次に、ネットワーク情報管理部23が管理テーブルにPC10を登録(PC10のレコードデータを追加)する(ステップS2)。すると、PC10によるアクセスポイント20への接続(無線通信による接続)が可能となり、通信制御部25は、PC10の接続時間が接続可能時間を超過したか否かの判定を行う(ステップS3)。 【0032】 ステップS3において、PC10の接続時間が接続可能時間を超過していないと判定した場合、通信制御部25は、ステップS3の処理を繰り返す。一方、ステップS3において、PC10の接続時間が接続可能時間を超過したと判定した場合、通信制御部25は、PC10によるアクセスポイント20への接続が拒絶される状態とするため、PC10のレコードデータを管理テーブルから削除する指示を行う(ステップS4)。」 上記記載によれば、引用例3には、「通信制御部は、PCの接続時間が接続可能時間を超過したと判定した場合、PCによるアクセスポイントへの接続が拒絶される」という技術的事項が記載されていると認められる。 4.引用例4について 原査定の拒絶理由で引用された特開2012-182679号公報(以下、「引用例4」という)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0074】 〔第2実施形態〕 上述したように、第1実施形態では、ホームゲートウェイ装置1に一度登録された端末は、管理者が情報端末テーブル17を変更しない限り、無線通信できる場合を例示した。これに対し、無線通信可能な時間を有限に設定し、規定時間が経過した段階で無線通信を利用できなくするようにしてもよい。」 上記記載によれば、引用例4には、「無線通信可能な時間を有限に設定し、規定時間が経過した段階で無線通信を利用できなくする」という技術的事項が記載されていると認められる。 5.引用例5について 原査定の拒絶理由で引用された特開2004-272792号公報(以下、「引用例5」という)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。) 「【0035】 本発明は上述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施可能である。例えば、上述の説明では、課金(有効期限)は日単位としたが、時間単位、あるいはデータ量単位でもよい。時間単位の場合は、図5に示すように、証明書にアクセス可能残り時間項目も追加して、前払い金額に応じた時間を設定する。RADIUSサーバ20はアクセス時間計時機能を有し、アクセス時間の経過毎にこの残り時間を減算して、有効期限内で残り時間が0になるまでアクセスを許可すればよい。データ量単位の場合も同様に、図6に示すように、証明書にアクセス可能残りデータ量も追加して、前払い金額に応じたデータ量を設定する。RADIUSサーバ20はアクセスデータ量計測機能を有し、所定のアクセスデータ量毎にこの残りデータ量を減算して、有効期限内で残りデータ量が0になるまでアクセスを許可すればよい。」 上記記載によれば、引用例5には、「RADIUSサーバは、所定のアクセスデータ量毎にこの残りデータ量を減算して、有効期限内で残りデータ量が0になるまでアクセスを許可する」という技術的事項が記載されていると認められる。 第6 対比・判断 1.本願発明1について 本願発明1と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「アクセスポイント」は、本願発明1の「アクセスポイント装置」に相当する。 (2)引用発明のアクセスポイントには、無線通信処理装置15aが設けられており、無線通信処理装置15aの動作はアクセスポイントの動作といえる。よって、以下、無線通信処理装置15aの動作は、アクセスポイントとしての動作として対比を行う。引用発明のアクセスポイントは、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に対し接続の許可や拒否をするから、アクセスポイントの無線通信部は、許可された宅外機器や宅内機器と接続し、無線で通信することは明らかであって、引用発明の「宅外機器」や「宅内機器」は、本願発明の「無線端末」に相当する。そして、引用発明の「宅外機器」や「宅内機器」が、無線通信部が無線で通信する「外部機器」を表していることは明らかであるから、引用発明の「外部機器と無線で通信する無線通信部」は、本願発明1の「無線端末と接続処理を行って無線通信を行う無線通信手段」に相当する。 (3)引用発明の制御部は、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に対し接続を許可するか拒否するから、フィルタリングを行っているといえる。また、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に対し許可又は拒否する接続とは、無線通信部への接続であることは明らかである。そして、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置は、宅外機器や宅内機器に設けられるものであるから、接続の許可や拒否が宅外機器や宅内機器に対するものであることも明らかである。そうすると、引用発明の「宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に対し接続を許可するか拒否する制御部」は、本願発明1の「前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するか拒否するかのフィルタリングを行うフィルタリング手段」に相当する。 (4)引用発明の「制御部」は、「認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶し、接続を拒否するとして記憶された無線通信処理装置との接続を拒否する」のであるから、引用発明の「認証に5回失敗する」ことは、本願発明1の「無線通信手段に前記無線端末が接続することを拒否するか否かの判定条件」に相当する。また、認証に失敗した回数は増えるほど、不正の度合いが増加する状態を示すものであることが明らかであるから、引用発明の「認証に5回失敗する」ことは、本願発明1と同様に「値が変化するほど不正の度合が増加する状態を示す少なくとも1つのパラメータに関する判定条件」であるといえる。 そして、引用発明の「アクセスポイント」が「認証に5回失敗する」という条件を記憶していることは明らかであるので、本願発明1と引用発明は「前記無線通信手段に前記無線端末が接続することを拒否するか否かの判定条件であって値が変化するほど不正の度合が増加する状態を示す少なくとも1つのパラメータに関する判定条件を格納する条件格納手段」を有する点で共通するといえる。 (5)引用発明において、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置は、宅外機器や宅内機器に設けられるものであるから、「接続を許可する又は拒否する無線通信処理装置の固有IDを示すリスト」により、接続を許可されるか又は拒否される宅外機器や宅内機器を示しているといえる。そうすると、引用発明の「接続を許可するか又は拒否するかを示す無線通信処理装置の固有IDをリストとして記憶する記憶部」は、本願発明1の「前記無線通信手段との接続が拒否される前記無線端末及び前記無線通信手段との接続が許可される前記無線端末を示す第2のリストを格納する第2リスト格納手段」に相当する。 (6)引用発明では、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶するのであるから、認証に失敗した回数は、本願発明1と同様に「パラメータ」であるといえ、引用発明の「5回」は、本願発明1の「予め定められた閾値」に相当する。そして、認証が宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置に関するものであることは明らかであり、さらに、認証に5回失敗するとは、認証に失敗した回数が5回以上となった場合であるともいえるから、引用発明の「宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置」に関する「認証に5回失敗すると」は、本願発明1と同様に「無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合」であるといえる。また、固有IDはリストとして記憶されるもので、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置のものであり、宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置は宅外機器や宅内機器に設けられるものであるから、引用発明で、接続拒否する固有IDとして宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶することは、宅外機器や宅内機器を、接続が拒否される機器としてリストに記憶するものといえる。 そうすると、本願発明1の「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、前記判定条件を満たしたとして、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し」と、引用発明の「制御部は、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶し」は、「前記フィルタリング手段は、前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、前記判定条件を満たしたとして、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し」という点で共通する。 (7)上記(6)でも説示したように、引用発明の認証に失敗した回数はパラメータであるといえるから、本願発明1の「データ量」と引用発明の認証に失敗した回数は、どちらもパラメータである点で共通する。 また、引用発明の制御部は、アクセスポイントに設けられた無線通信処理装置15aが有するものであるから、「接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶する」ことは、アクセスポイントとの接続を拒否する固有IDとして宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置の固有IDを記憶することは明らかであって、本願発明1の「前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録」することに相当する。 さらに、上記(6)でも説示したとおり、引用発明では、宅外機器や宅内機器を、接続が拒否される機器としてリストに記憶する。そして、引用発明では、接続を拒否するとして記憶された宅外機器や宅内機器の無線通信処理装置との接続を拒否するのであるから、接続が拒否される機器としてリストに記憶された宅内機器や宅外機器の接続を拒否するといえる。してみれば、引用発明の「接続を拒否するとして記憶された無線通信処理装置との接続を拒否する」ことは、本願発明1の「前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」ことに相当する。 よって、本願発明1の「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」ことと、引用発明の「制御部は、認証に5回失敗すると接続拒否する固有IDとして無線通信処理装置の固有IDを記憶部に記憶し、接続を拒否するとして記憶された無線通信処理装置との接続を拒否する」ことは、「前記フィルタリング手段は、前記無線端末に関するパラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」点で共通する。 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「アクセスポイント装置であって、 無線端末と接続処理を行って無線通信を行う無線通信手段と、 前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するか拒否するかのフィルタリングを行うフィルタリング手段と、 前記無線通信手段に前記無線端末が接続することを拒否するか否かの判定条件であって値が変化するほど不正の度合が増加する状態を示す少なくとも1つのパラメータに関する判定条件を格納する条件格納手段と、 前記無線通信手段との接続が拒否される前記無線端末及び前記無線通信手段との接続が許可される前記無線端末を示す第2のリストを格納する第2リスト格納手段と を有し、 前記フィルタリング手段は、前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、前記判定条件を満たしたとして、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、 前記フィルタリング手段は、前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う アクセスポイント装置。」 (相違点1) 本願発明1では、「前記フィルタリング手段によるフィルタリングの対象外である前記無線端末を示す第1のリストを格納する第1リスト格納手段」を有するのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点2) 本願発明1では、前記フィルタリング手段は、前記フィルタリングの対象外である前記無線端末が前記無線通信手段と接続した場合、接続した前記無線端末が前記第1のリストに登録されていない場合は、当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し、前記第1のリストに登録されている場合は、前記第1のリストの当該無線端末に関する情報を更新」するのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点3) 本願発明1では、「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記パラメータが予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除」するのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点4) 本願発明1では、「前記パラメータは、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量であ」るのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点5) 本願発明1では、「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が許可される許可端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するように制御を行」うのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点6) 本願発明1では、「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除」するのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。 事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討すると、本願発明1の相違点5に関する発明特定事項である「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記無線通信手段との接続が許可される許可端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を許可するように制御を行」うことは、引用例2ないし5に記載されておらず、当該技術分野において周知技術であるともいえない。 したがって、上記相違点1ないし4及び6について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2ないし4について 本願発明2ないし4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 3.本願発明5について 本願発明5は、本願発明1の上記相違点5の発明特定事項と対応する「前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が許可される許可端末として第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を許可するように制御を行い」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 4.本願発明6について 本願発明6は、本願発明1の上記相違点5の発明特定事項と対応する「前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末が前記アクセスポイント装置を介して他の装置と送受信したデータ量が予め定められた閾値以上となる前に前記無線端末から認証情報を取得できた場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が許可される許可端末として第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに許可端末として登録された前記無線端末の前記アクセスポイント装置への接続を許可するように制御を行う機能」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 本願発明1ないし6は、上記「第6」の「1.」ないし上記「第6」の「4.」のとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用例1に記載された発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由の判断 令和3年2月19日にされた手続補正により、 1.請求項1の「又は閾値以下」との記載を削除することにより、理由1の「ア」の拒絶理由は解消された。 2.請求項1の「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」という記載は「前記フィルタリング手段は、前記第1のリストに前記フィルタリング対象外端末として登録された前記無線端末に関する前記データ量が予め定められた閾値以上となった場合に、当該無線端末を、前記アクセスポイント装置との接続が拒否される拒否端末として前記第2のリストに登録し、当該無線端末の情報を前記第1のリストから削除し、前記第2のリストに拒否端末として登録された前記無線端末の前記無線通信手段への接続を拒否するように制御を行う」と補正し、請求項3及び4を削除することにより、理由1の「イ」の拒絶理由は解消された。 3.請求項1の「前記フィルタリング手段は、前記フィルタリングの対象外である前記無線端末が前記無線通信手段と接続した場合に当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し」という記載は、「前記フィルタリング手段は、前記フィルタリングの対象外である前記無線端末が前記無線通信手段と接続した場合、接続した前記無線端末が前記第1のリストに登録されていない場合は、当該無線端末をフィルタリング対象外端末として前記第1のリストに登録し、前記第1のリストに登録されている場合は、前記第1のリストの当該無線端末に関する情報を更新し」と補正し、請求項5及び6にも請求項1と同様の補正をすることにより、理由1の「ウ」の拒絶理由は解消された。 4.請求項3及び4を削除することにより、理由1の「エ」の拒絶理由は解消された。 第9 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし6は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2ないし5のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2020-008129

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決102件(NECプラットフォームズ株式会社)
  • 2025-005880拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立ヒートシンク、電子機器、及び組み立て方法
    同じ当事者: NECプラットフォームズ株式会社
  • 2025-016469拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)電子機器用運搬ケース
    同じ当事者: NECプラットフォームズ株式会社
  • 2025-009682拒絶査定不服審判 / 2026-01-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)通信端末、無線通信システム、通信方法、及びプログラム
    同じ当事者: NECプラットフォームズ株式会社
  • 2025-001984拒絶査定不服審判 / 2025-10-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報提供装置、情報提供方法、及びプログラム
    同じ当事者: NECプラットフォームズ株式会社
  • 2025-001026拒絶査定不服審判 / 2025-09-19 / 請求不成立決済システムおよび決済方法
    同じ当事者: NECプラットフォームズ株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,954件(121・H04W、537・H04W)
  • 2025-014125拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)SL DRXのためのL1およびL2方法
    共通の審決分類: 121・H04W、537・H04W
  • 2025-007104拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ユーザ機器(UE)の発見のための方法および装置
    共通の審決分類: 121・H04W、537・H04W
  • 2025-007787拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ハイブリッド自動再送要求確認のフィードバック方法及びその装置
    共通の審決分類: 121・H04W、537・H04W
  • 2025-007754拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)基準信号に基づく通信方法および関連装置
    共通の審決分類: 121・H04W、537・H04W
  • 2025-011049拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)通信をハンドリングすること
    共通の審決分類: 121・H04W、537・H04W

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存