特許拒絶査定不服審判
2020-007737
リサイクル樹脂組成物及びそれから製造される使い捨て医療機器
- 審判番号
- 2020-007737
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-162776
- 請求日
- 2020年06月04日
- 審決日
- 2021年12月16日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 福井 悟
- 審判官 大島 祥吾
- 審判官 近野 光知
- 分類
- P18 .121-WYF(C08L) / P18 .561-WYF(C08L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法53条1項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-162776「リサイクル樹脂組成物及びそれから製造される使い捨て医療機器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日出願公開、特開2017-203174、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2011年8月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年8月20日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2013-525988号の一部を、平成27年12月22日に新たな特許出願とした特願2015-250399号の一部を、平成29年8月25日に新たに特許出願したものであって、平成30年11月19日付けで拒絶理由が通知され、平成31年2月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年6月27日に再度拒絶理由が通知され、同年10月2日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、令和2年1月30日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年6月4日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和2年6月4日提出の手続補正書による補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
医療機器を成形するための組成物であり、
追跡可能な起源から供給される生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物であって、
脱工業化リサイクル樹脂、使用済みのリサイクル樹脂及びこれらの組み合わせ50重量%から70重量%と、
抗酸化剤成分及び溶融安定剤成分を総量で0.3から0.8重量%、及び酸捕捉剤成分0.2から0.3重量%を含む、未使用のポリプロピレン樹脂であって、前記抗酸化剤成分及び溶融安定剤成分の総量、及び前記酸捕捉剤成分の量が生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物に対するものである、未使用のポリプロピレン樹脂30から50重量%と、
セルロースベースの材料を用いたポリマーから選択されるバイオベース樹脂とを含む生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物、並びに、
スリップ添加剤成分、静電気防止成分、衝撃改質剤成分、着色剤成分、X線蛍光剤成分、放射線不透過充填剤成分、表面改質剤成分、加工助剤成分、溶融安定剤成分、清澄剤成分、核形成剤及び補強剤成分の1つ以上
を含み、
前記生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物がゼロ点の細胞毒性スコアを有し、
前記生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物の総量が100重量%である、
医療機器を成形するための組成物。」
を、
「【請求項1】
医療機器を成形するための組成物であり、
追跡可能な起源から供給される生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物であって、
脱工業化リサイクル樹脂、及び/又は50から90重量%の使用済みのリサイクル樹脂及びこれらの組み合わせ50重量%から70重量%と、
抗酸化剤成分及び溶融安定剤成分を総量で0.3から0.8重量%、及び酸捕捉剤成分0.2から0.3重量%を含む、未使用のポリプロピレン樹脂であって、前記抗酸化剤成分及び溶融安定剤成分の総量、及び前記酸捕捉剤成分の量が生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物に対するものである、未使用のポリプロピレン樹脂30から50重量%と、
セルロースベースの材料を用いたポリマーから選択されるバイオベース樹脂とを含む生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物、並びに、
スリップ添加剤成分、静電気防止成分、衝撃改質剤成分、着色剤成分、X線蛍光剤成分、放射線不透過充填剤成分、表面改質剤成分、加工助剤成分、溶融安定剤成分、清澄剤成分、核形成剤及び補強剤成分の1つ以上
を含み、
前記生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物が、ゼロ点の細胞毒性スコアを有し、滅菌後の変色がなく、
前記生体適合性リサイクルポリプロピレン樹脂組成物の総量が100重量%である、
医療機器を成形するための組成物。」
とする補正である。なお、補正箇所について、当審において下線を付与した。
2 新規事項について
(1)本件補正は、次の補正事項を含むものである。
<補正事項>
リサイクル樹脂に関して、「脱工業化リサイクル樹脂、使用済みのリサイクル樹脂及びこれらの組み合わせ50重量%から70重量%」と記載されているのを、「脱工業化リサイクル樹脂、及び/又は50から90重量%の使用済みのリサイクル樹脂及びこれらの組み合わせ50重量%から70重量%」に補正する。
(2)そこで、当該補正事項について、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、併せて「当初明細書等」という。)の記載について検討する。
当初明細書等には、以下のとおり記載されている。なお、下線は当審において付した。
「【0024】
第1の側面の1つ以上の実施形態のリサイクル樹脂組成物は、脱工業化リサイクル樹脂を含んでもよい。脱工業化リサイクル樹脂の量は、当該リサイクル樹脂組成物の約0.1重量%から約100重量%の範囲で、当該リサイクル樹脂組成物内に存してもよい。1つ以上の実施形態において、当該リサイクル樹脂組成物は、約50重量%から約99重量%までの範囲の量の脱工業化リサイクル樹脂を含む。1つ以上の特定の実施形態において、当該リサイクル樹脂組成物は約20重量%から約80重量%までの範囲の量の脱工業化リサイクル樹脂を含んでもよい。さらに特定の実施形態において、脱工業化リサイクル樹脂の量の下限は、リサイクル樹脂組成物の25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%及び50重量%、及びこれらの間の全範囲及びこれらの間の部分的範囲(sub-range)を含みうる。脱工業化リサイクル樹脂の量の上限は、当該リサイクル樹脂組成物の75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%及び50重量%、及びこれらの間の全範囲及びこれらの間の部分的範囲を含みうる。
【0025】
第1の側面の1つ以上の実施形態のリサイクル樹脂組成物は、使用済み(post-consumer)のリサイクル樹脂を含んでもよい。当該樹脂は、フレーク、チップ、ペレット等の形式のような、適当な形式で提供されてもよい。1つの変形例では、当該リサイクル樹脂組成物が使用済みのリサイクル樹脂及び脱工業化リサイクル樹脂を含みうる。使用済みのリサイクル樹脂の量は、当該リサイクル樹脂組成物の約0.1%から約100重量%の範囲で当該リサイクル樹脂組成物内に存在しうる。1つ以上の実施形態において、当該リサイクル樹脂組成物は、約50重量%から約99重量%までの範囲の量で使用済みのリサイクル樹脂を含む。1つ以上の特定の実施形態において、当該リサイクル樹脂組成物は約20重量%から約80重量%までの範囲の量で使用済みのリサイクル樹脂を含みうる。より具体的な実施形態において、使用済みのリサイクル樹脂の量の下限は、当該リサイクル樹脂組成物の25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%及び50重量%、及びこれらの間の全範囲及びこれらの間の部分的範囲を含みうる。使用済みのリサイクル樹脂の量の上限は、当該リサイクル樹脂組成物の75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%及び50重量%、及びこれらの間の全範囲及びこれらの間の部分的範囲を含みうる。」
(3)本件補正後の「脱工業化リサイクル樹脂」と「使用済みのリサイクル樹脂」との割合,言い換えると、リサイクル樹脂中の「使用済みリサイクル樹脂」の割合について、当初明細書等には上記のとおり、リサイクル樹脂中に「脱工業化リサイクル樹脂」をどの程度含むか、及び、リサイクル樹脂中に「使用済みリサイクル樹脂」をどの程度含むかの記載があるものの、「50から90重量%の使用済みのリサイクル樹脂」を採用することについては文言上記載されていない。
また、この技術分野において、リサイクル樹脂においての「使用済みリサイクル樹脂」の配合量が50から90重量%であることが、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)にとって、自明のことでもないし、本願出願時の技術常識でもない。
以上のとおりであるから、当初明細書等には、上記補正事項についての記載は一切されていないし、そのことが示唆もされていないし、本願出願時において、上記補正事項が当業者にとって自明のことでもないし、技術常識でもない。
そうすると、本件補正後の請求項1に記載された、「脱工業化リサイクル樹脂、及び/又は50から90重量%の使用済みのリサイクル樹脂及びこれらの組み合わせ50重量%から70重量%」の点が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとする根拠は見出せない。
したがって、上記補正事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
(4)以上のことから、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和1年10月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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